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特開2022-143421表示制御装置および表示制御装置の作動方法
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  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図1
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図2
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図3
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図4
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図5
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図6
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図7
  • 特開-表示制御装置および表示制御装置の作動方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143421
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】表示制御装置および表示制御装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/339 20210101AFI20220926BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20220926BHJP
【FI】
A61B5/339
A61B5/367
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043912
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(71)【出願人】
【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】芦原 貴司
(72)【発明者】
【氏名】内山 薫
(72)【発明者】
【氏名】太田 明男
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼良 直樹
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 晃司
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG15
4C127HH11
4C127HH13
(57)【要約】
【課題】医療従事者が心筋の異常部位を特定することを支援可能な、表示制御装置およびその装置の作動方法を提供する。
【解決手段】本発明の表示制御装置1、被検者の心内心電図を取得する取得部2と、心内心電図に基づいて、心筋の興奮状態を表す可視化データを生成するための演算を行う演算部3と、可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別する判別部4と、被検者の心臓の立体イメージ上に、判別された興奮動態の種別の割合に応じて、心内心電図を取得した部位を色表示する表示制御部6と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の心内心電図を取得する取得部と、
前記心内心電図に基づいて、心筋の興奮状態を表す可視化データを生成するための演算を行う演算部と、
前記可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別する判別部と、
被検者の心臓の立体イメージ上に、判別された前記興奮動態の種別の割合に応じて、前記心内心電図を取得した部位を色表示する表示制御部と、
を備える、
表示制御装置。
【請求項2】
前記心筋の興奮動態の種別は、興奮波が波及している状態を示す第一状態(PA)と、心筋の興奮状態の旋回の中心を表す位相特異点の周りを興奮波が回転している状態を示す第二状態(MR)と、複数の前記位相特異点が存在する状態を示す第三状態(MW)と、を含み、
前記表示制御部は、被検者の心臓の立体イメージ上に、前記第二状態と前記第三状態の合計割合に応じて、前記心内心電図を取得した部位を色表示する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記可視化データは、所定の時間単位毎のフレームで構成され、前記フレームの各々は、複数のグリッドで構成され、
前記判別部は、前記フレームを構成する前記複数のグリッドのうち、心筋の興奮状態を示す興奮グリッドの総数を算出する算出部を有するとともに、前記フレーム毎の前記興奮グリッドの総数と前記位相特異点の総数とに基づいて、心筋の興奮動態の種別を判別する、
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、被検者の心房内部の全体にわたる心内心電図を複数回に分けて順次取得し、
前記演算部は、取得された前記心内心電図ごとに、前記可視化データを生成するための演算を行い、
前記判別部は、前記心内心電図を取得した部位ごとに、前記興奮動態の種別を判別し、
前記表示制御部は、被検者の心臓の立体イメージ上に、前記心内心電図を取得した部位ごとに、判別された前記興奮動態の種別の割合に応じて色表示する、
請求項1から請求項3のいずれ一項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
表示制御装置の作動方法であって、
取得部が、被検者の心内心電図を取得するステップと、
演算部が、前記心内心電図に基づいて、心筋の興奮状態を表す可視化データを生成するための演算を行うステップと、
判別部が、前記可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別するステップと、
表示制御部が、被検者の心房内部の立体イメージ上に、判別された前記興奮動態の種別の割合に応じて、前記心内心電図を取得した部位を色表示するステップと、
を備える、
表示制御装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓カテーテルから取得したデータを表示するための表示制御装置および表示制御装置の作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、心房細動とは、心臓の心房が痙攣して心臓本来の正しい動きができなくなる不整脈のことをいう。心房細動が発生すると、心房内に血液が滞り血栓が発生しやすくなるため、脳梗塞などのリスクが高まってしまう。
【0003】
そこで、従来、心房細動等の不整脈が発生した場合、心臓カテーテルを用いてその原因となる異常部位を選択的に焼灼(アブレーション)して治療することが知られている。この治療を行うには、アブレーションする位置を正確に同定することが重要となる。例えば、下記の特許文献1~2には、心臓カテーテルの電極から測定された心内心電図に対して演算処理を行うことで、心筋の興奮状態を示す可視化データを作成し、その可視化データからアブレーションする位置を同定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際出願WO2011/127209A1
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0088395号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
心房細動中の心筋興奮の状態は、その状態の変化のパターンによって、例えば幾つかの代表的な興奮動態と称される種別に大別される。
従来技術では、医療従事者は、可視化データに基づいて可視化された心筋の状態を目視で観察することによって、心筋の興奮動態の種別を判別しなければならない。しかしながら、心房細動中の心筋の状態は刻々と不規則に変化する性質のものであり、また、その変化が目視では捉えきれない速さの場合もある。このような事情により、従来技術では、医療従事者は、目視で興奮動態を判別しつつ、心筋の異常部位を特定することが困難な場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、医療従事者が心筋の異常部位を特定することを支援可能な、表示制御装置および表示制御装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一態様は、表示制御装置であって、被検者の心内心電図を取得する取得部と、前記心内心電図に基づいて、心筋の興奮状態を表す可視化データを生成するための演算を行う演算部と、前記可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別する判別部と、被検者の心臓の立体イメージ上に、判別された前記興奮動態の種別の割合に応じて、前記心内心電図を取得した部位を色表示する表示制御部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、心臓の立体イメージ上に、判別された興奮動態の種別の割合(例えば「Non Passive Ratio: NP」の割合)が色表示されるため、医療従事者は、心筋の異常部位である可能性が高い領域を視覚的に直感的に把握することができ、医療従事者は治療戦略を立てやすくなる。
【0009】
また、上記目的を達成するための別態様は、取得部が、被検者の心内心電図を取得するステップと、演算部が、前記心内心電図に基づいて、心筋の興奮状態を表す可視化データを生成するための演算を行うステップと、判別部が、前記可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別するステップと、表示制御部が、被検者の心臓の立体イメージ上に、判別された前記興奮動態の種別の割合に応じて、前記心内心電図を取得した部位を色表示するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、医療従事者が心筋の異常部位を特定することを支援可能な表示制御装置および表示制御装置の作動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る表示制御装置の概要図である。
図2】(a)~(c)は、代表的な種別の心筋の興奮動態を示す図である。
図3】心房内に留置したカテーテルを示す概要図である。
図4】可視化データを構成するフレームに含まれる興奮グリッド数を説明するための図である。
図5】心筋の興奮動態の種別を判別する方法を説明するための図である。
図6】可視化データを時系列で連続的に表示した場合のイメージ図である。
図7】記憶部のデータ構成を説明するための図である。
図8】患者の心臓の3Dイメージが表示されたときのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1に係る表示制御装置1は、取得部2と、演算部3と、判別部4と、記憶部5と、表示制御部6と、を備えている。表示制御装置1は、例えばカテーテル検査装置における一機能を実行するための装置として用いられる。表示制御装置1は、表示装置7と接続している。
【0013】
取得部2は、複数の電極を有する記録ユニット(例えば心臓カテーテルA)で記録された被検者の心内心電図を取得する。
【0014】
演算部3は、取得部2で取得された心内心電図に対して、被検者の心筋の興奮状態を可視化するための演算を行う。演算部3は、第一生成部11と、第一補完部12と、補正部13と、第二生成部14と、第二補完部15と、第三生成部16と、検出部17とを備えている。演算部3の各部の動作内容については後述する。
【0015】
判別部4は、可視化データに基づいて、心筋の興奮動態の種別を判別する。判別部4は、可視化データに含まれる所定のデータ数を算出するための算出部18を有する。心筋の興奮動態の種別を判別するための可視化データは、所定の時間単位毎のフレームで構成されている。算出部18は、所定の時間単位毎のフレームに含まれている所定のグリッドの総数を可視化データに含まれる所定のデータ数として算出する。判別部4は、算出部18によって算出された所定のグリッド数と、検出部17によって検出された位相特異点の数とに基づいて、心筋の興奮動態の種別を判別する。
【0016】
心筋の興奮動態の種別とは、心房細動が発生している心筋状態の変化のパターンを意味する。心筋の興奮動態の種別は、例えば図2(a)に示すようなMR(Meandering Rotor)と、図2(b)に示すようなPA(Passive Activation)と、図2(c)に示すようなMW(Multiple Wavelets)とに大別される。PAは、興奮波が波及している状態(第一状態の一例)のことをいう。MRは、位相特異点の周りを興奮波が回転している状態(第二状態の一例)のことをいう。MWは、複数の位相特異点が同時に存在する状態(第三状態の一例)のことをいう。
【0017】
記憶部5は、被検者の心臓の立体イメージを形成する3DデータZと、判別部4による判別結果データX1~X10と、立体色表示データCとが記憶される(図7参照)。
【0018】
表示制御部6は、記憶部5からデータを取得して、立体色表示データCを生成し、表示装置7に向けて送信する。表示装置7は、例えばタッチパネル式の液晶モニター画面で構成されている。
【0019】
次に、図3図8を参照して、表示制御装置1の動作について説明する。
図3に示すように、先ず、複数の電極Bを有する心臓カテーテルAが、被検者の心房内に挿入されて、所定箇所に所定時間(例えば1回の試技で10秒間)留置される。
【0020】
心臓カテーテルAの電極Bにより複数(本例では10個)の心内心電図波形が記録される。記録された心内心電図波形は、取得部2に取得される。
【0021】
次に、第一生成部11が、取得部2で取得された複数の心内心電図に対して擬似的な活動電位波形をそれぞれ生成する。第一補完部12は、心房内の心筋において、挿入した心臓カテーテルAの電極が配置されていない位置、すなわち複数の電極がそれぞれ配置されている中で周囲の電極との距離が大きく空いている位置に仮想の電極(仮想電極)を定義する。第一補完部12は、仮想電極の周囲の電極に対して生成されている擬似的な活動電位波形に基づいて、仮想電極に対する擬似的な活動電位波形を補完する。
【0022】
補正部13は、第一生成部11及び第一補完部12から出力された擬似的な活動電位波形に含まれるノイズ成分を除去し、各拍の振幅を揃える補正を行う。
第二生成部14は、補正部13から出力された活動電位波形について、活動電位波形に対して時相が所定時間だけシフトされたシフト波形を生成する。
第二補完部15は、心臓カテーテルAの電極及び仮想電極が配置されていない位置、すなわち各電極と周囲の電極との距離が空いている位置に対して、周囲の電極について生成されている活動電位波形及びシフト波形に基づいて、活動電位波形及びシフト波形を補完する。
【0023】
第三生成部16は、補正部13から出力された活動電位波形と第二生成部14から出力されたシフト波形、及び第二補完部15から出力された活動電位波形とシフト波形に基づいて、相図(Phase Portrait)を作成する。また、第三生成部16は、相図に基づいて位相を算出し、心筋の興奮状態を表す可視化データ(Phase Map)を生成する。可視化データとは、心筋の興奮電位を可視化したフレームのことをいう。心筋細胞の膜電位には電気的な興奮が起こり、これが心臓を収縮させる働きをする。この興奮収縮現象は活動電位によって引き起こされている。活動電位とは細胞内へのNa+の流入で起こる脱分極と、Ca2+やK+の流入や流出で起こる再分極とによる心筋細胞の興奮反応のことをいう。
検出部17は、第三生成部16で生成された可視化データにおける位相特異点(Phase Singularity)、すなわち心房壁上の細動の原因部位(Rotor)を検出する。
【0024】
判別部4は、第三生成部16で生成された可視化データにおいて、各フレームに含まれる興奮グリッド数を算出部18により順次算出する。興奮グリッドとは、心筋の興奮状態を示すグリッドを意味し、例えばR=255を示す暖色系の色に描画されたグリッドのことをいう。算出部18で算出された各フレームの興奮グリッド数は、例えば図4におけるグラフ81のように示される。さらに、判別部4は、算出部18により、所定時間内のフレーム(例えば、15個のフレーム)に含まれる興奮グリッド数の移動平均を順次算出する。移動平均された興奮グリッド数は、例えば図4及び図5のグラフ82のように示される。
【0025】
さらに、判別部4は、例えば、興奮グリッド数の平均値を算出し、算出した平均の興奮グリッド数を基準としてプラス、マイナスの閾値を設定する。平均の興奮グリッド数は図5において例えば平均値83のように示され、プラス、マイナスの閾値は図5において例えば閾値84a,84bのように示される。判別部4は、移動平均された興奮グリッド数が閾値84a,84bを超えているか否かを判定し、閾値を超えている場合には心筋の興奮動態がPAであると判別する。図5に示すグラフ82では、移動平均された興奮グリッド数が例えば範囲85において閾値84a,84bを超えており、この時間帯における心筋の興奮動態がPAと判別される。なお、移動平均された興奮グリッド数が閾値を超えている場合、さらに、各フレームにおける興奮グリッドの位置を特定することにより、興奮波が、心臓カテーテルAの領域内で発生したか、領域外で発生したかが判別されるようにしても良い。このようにすることにより、心筋の興奮状態PAが、さらに2つに分割される。
【0026】
また、判別部4は、移動平均された興奮グリッド数が閾値84a,84bを超えていない場合(例えば、図5における範囲86,87のような場合)、検出部17で検出されたフレームの位相特異点62の数に基づいて心筋の興奮動態の種別を判別する。判別部4は、フレームの位相特異点の総数が複数存在する場合には、心筋の興奮動態がMWであると判別し、複数存在しない場合には、心筋の興奮動態がMRであると判別する。
【0027】
図6は、可視化データを時系列で連続的に表示した場合の動画イメージであり、被検者の心筋の興奮状態が変化していく様子がリアルタイムに描写される。動画の長さは、心臓カテーテルAによる一回の試技で心内心電図を取得した時間(例えば5秒)を倍速表示(例えば1/10倍速)する。図6に示すように、動画の開始と同時に、動画全体における判別結果(興奮動態の種別と割合)がそれぞれ表示される。具体的には、Meandering Rotor(R)=28%、Multiple Wavelets(M)=47%、これら(R)と(M)の合計(Non Passive Ratio: NP)=75%、Passive Activation(P)=25%、のように表示されている。この判別結果データは、心房内の所定箇所Y1における判別結果データX1として、記憶部5に記憶される。
【0028】
この後、図7に示すように、心臓カテーテルAを心房内の所定箇所Y2~Y10に順次移動させて、同様の処理により、判別結果データX2~X10が記憶部5に記憶される。なお、本例では説明の都合上、心内心電図の取得から判別結果データを求める処理までを一連のものとして説明したが、これに限られない。例えば、まず、心臓カテーテルAを心房内の所定箇所Y1~Y10に順次移動させて、それぞれの箇所における心内心電図波形のデータを準備して記憶してから、それぞれのデータに対して、判別結果データを求める処理を行っても良い。
【0029】
心房内の各所定箇所Y1~Y10における判別結果データX1~X10が記憶部5に記憶された後、表示制御部6は、心臓の立体イメージを形成する3DデータZと、判別結果データX1~X10とに基づいて、立体色表示データCを生成し、記憶部5に記憶する。
このとき、表示制御部6は、各判別結果データX1~X10に対して、所定の興奮動態、例えば「Non Passive Ratio: NP」の割合と、所定の色基準とに基づいて、所定箇所Y1~Y10に対応する立体イメージ上の各位置に表示する色を決定する。
【0030】
色基準は、図8に示すように、例えば、「Non Passive Ratio: NP」が0%から100%にかけて、順に、白、赤、橙、黄、黄緑、青、紫と段階的に変化するような基準である。表示制御部6は、所定箇所Y1と所定箇所Y2との間の領域については、所定箇所Y1の色(例えば白)から所定箇所Y2の色(例えば紫)まで、色基準に沿って段階的に変化するように色を順次補完する。このようにして、表示制御部6は、患者の心臓全体に関する立体色表示データCを完成させ、この立体色表示データCを表示装置7に送信してその画面に表示させる。
【0031】
図8は、立体色表示データCに基づいて、患者の心臓の3Dイメージが表示装置7に表示されたときのイメージ図であり、具体的には、心房の3Dイメージ上に、「Non Passive Ratio: NP」の割合が色表示(カラーマッピング)されたときの一例である。
【0032】
ところで、従来、医療従事者が心筋の興奮動態の種別を判別する場合、心筋の興奮状態を示す可視化データを作成し、その可視化データに基づいて興奮動態の種別を目視で判別していた。しかしながら、心房細動中の心筋は、例えば1分間に300回程度の振動を発生させる場合もあり、そのように高速で変化する心筋のデータから興奮動態を目視で正確に判別することは困難であった。
【0033】
これに対し、本実施形態の表示制御装置1によれば、各判別結果データX1~X10と色基準とに基づいて、立体色表示データCが生成される。表示制御部6が立体色表示データCを表示装置7に送信して表示させることで、図8に示されるように、心臓の3Dイメージ上に「Non Passive Ratio: NP」の割合が色表示される。このため、医療従事者は、NPの割合が高い領域を視覚的に直感的に把握することができ、治療戦略を立てやすくなる。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0035】
例えば、上記の実施形態では、活動電位波形とシフト波形とを用いて相図及び可視化データを作成し、その可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別している。しかし、この構成に限定されず、例えば心内心電図に対してヒルベルト変換を行って相図及び可視化データを作成し、その可視化データに基づいて心筋の興奮動態の種別を判別するようにしても良い。
【0036】
例示的な心筋興奮の判別手法の更なる詳細は、2017年3月14日に出願された米国公開第2019/0076041号の「MYOCARDIAL EXCITATION DETERMINING APPARATUS」に記載されており、参照によりその開示の全文を本明細書に組み込む。本公開特許に記載されている特徴は全て、本明細書に記載されている特徴と一緒に実装することができる。
【符号の説明】
【0037】
1:表示制御判別装置、2:取得部、3:演算部、4:判別部、5:記憶部、6:表示制御部、11:第一生成部、12:第一補完部、13:補正部、14:第二生成部、15:第二補完部、16:第三生成部、17:検出部、18:算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8