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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143452
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20220926BHJP
   B65H 43/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H43/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043954
(22)【出願日】2021-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大門 光平
(72)【発明者】
【氏名】小味山 剛男
(72)【発明者】
【氏名】安田 洋之
(72)【発明者】
【氏名】清水 克宣
【テーマコード(参考)】
2C060
3F048
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BA10
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA01
3F048BB10
3F048CB08
3F048DA01
3F048DB17
3F048DC14
(57)【要約】
【課題】収容したロール紙を所望の位置に維持するとともに、ロール紙を交換し易いプリンタを提供する。
【解決手段】ロール紙Rを投入可能な投入口Gを有するケース10と、閉位置E1と開位置E2との間を回動可能に設けられたカバー20と、ケース10に回動可能に取り付けられた、ロール紙Rを保持する保持部42と、保持部42を第1方向Fに付勢する付勢手段43と、保持部42の第1方向Fへの回動を停止させるストッパ機構(第1面23a,突起部42c)と、カバー20の回動に連動して、保持部42を回動させる連動機構(第1面23a,突起部42c)と、を備え、カバー20が閉位置E1にある場合、保持部42は、付勢手段43による付勢力によって、ロール紙Rの外径に合わせて第1方向Fに回動し、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、保持部42は、付勢手段43の付勢力に抗して、カバー20とともに回動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を収容する収容部に対して、前記ロール紙を投入可能な投入口を有するケースと、
前記投入口を閉じた閉位置と、前記投入口を開けた開位置との間を回動可能に設けられたカバーと、
前記ケースに回動可能に取り付けられた、前記投入口に向かって延在する、前記ロール紙を保持する保持部と、
前記保持部を、前記収容部に収容された前記ロール紙に近づく第1方向に付勢する付勢手段と、
前記保持部の前記第1方向への回動を停止させるストッパ機構と、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記カバーの回動に連動して、前記保持部を回動させる連動機構と、を備え、
前記カバーが前記閉位置にある場合、前記保持部は、前記付勢手段による付勢力によって、前記ロール紙の外径に合わせて前記第1方向に回動し、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記保持部は、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記カバーとともに回動する
ことを特徴とする、プリンタ。
【請求項2】
前記連動機構は、前記カバーと前記保持部とが互いに係合した状態で連動させる機構である
ことを特徴とする、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ストッパ機構は、前記カバーと前記保持部とに設けられ、
前記ストッパ機構は、前記保持部に対し、前記第1方向への回動を、所定の回動範囲に規制するとともに、前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、両者を係合した状態で連動させる
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記カバーが上面となるように、前記ケースが横を向いた姿勢で設置した横置きの際に、前記ロール紙を収容する第1収容部と、
前記カバーが側面となるように、前記ケースが縦を向いた姿勢で設置した縦置きの際に、前記ロール紙が収容される、前記保持部とともに形成される第2収容部と、を備え、
前記横置きの際に、最大径の前記ロール紙が前記第1収容部に収容される位置と、前記縦置きの際に、最大径の前記ロール紙が前記第2収容部に収容される位置とが、略同じである
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第1収容部と前記第2収容部とは、それぞれ、断面V字状に形成される
ことを特徴とする、請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記ケースは、前記ロール紙の側面からの反射光に基づいて前記ロール紙の残量を検出するロール紙残量検出センサを備え、
前記ロール紙残量検出センサは、側面視において、
前記第1収容部又は前記第2収容部に収容された最大径の前記ロール紙の中心軸と、
前記第1収容部の断面V字状の頂点である第1頂点と、
前記第2収容部の断面V字状の頂点である第2頂点と、で囲まれた領域に配置される
ことを特徴とする、請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記ロール紙残量検出センサは、前記第1収容部又は前記第2収容部に収容される最大径の前記ロール紙の外径に沿うように、円弧状に移動可能に構成される
ことを特徴とする、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記ロール紙は、前記保持部が設けられた側とは反対側からシートが繰り出される
ことを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙を収容する収容部を有するプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙を使用するプリンタでは、ロール紙を収容する収容部を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ロール紙をロール紙ホルダ内に挿入してホルダカバーを閉じると、ホルダカバーの回転と連動して位置決め可動板が回転し、位置決め可動板は、ロール紙ホルダの第2の底部傾斜面との間に第2の位置決め用溝部を形成すべき位置に係止される構成が開示されている。これにより、ホルダカバーを閉じる場合、位置決め可動板が回転しながらロール紙をロール紙ホルダの奥側に押し込み、その状態で係止するため、ロール紙は、位置決め可動板と、第2の底部側の傾斜保持部との間に保持される。また、ホルダカバーを開ける場合、位置決め可動板が、ホルダカバーの裏側の位置に配置されるため、ロール紙をロール紙ホルダ内に収容する際邪魔にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3767290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロール紙を使用するプリンタでは、ロール紙からシートが繰り出される際に、ロール紙に慣性力が作用する。このようなロール紙に作用する慣性力を抑制するために、ロール紙を保持する機構が求められている。特許文献1に記載の構成では、ロール紙は、位置決め可動板と、第2の底部側の傾斜保持部との間に保持されるに留まる。そのため、特許文献1に記載の構成では、シートを繰り出す際の引き出し力によっては、ロール紙に強い慣性力が作用して、収容したロール紙を所望の位置に維持することができない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、収容したロール紙を所望の位置に維持するとともに、ロール紙を交換し易いプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のプリンタは、ロール紙を収容する収容部に対して、前記ロール紙を投入可能な投入口を有するケースと、前記投入口を閉じた閉位置と、前記投入口を開けた開位置との間を回動可能に設けられたカバーと、前記ケースに回動可能に取り付けられた、前記投入口に向かって延在する、前記ロール紙を保持する保持部と、前記保持部を、前記収容部に収容された前記ロール紙に近づく第1方向に付勢する付勢手段と、前記保持部の前記第1方向への回動を停止させる、ストッパ機構と、前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記カバーの回動に連動して、前記保持部を回動させる連動機構と、を備え、前記カバーが前記閉位置にある場合、前記保持部は、前記付勢手段による付勢力によって、前記ロール紙の外径に合わせて前記第1方向に回動し、前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記保持部は、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記カバーとともに回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のプリンタは、収容したロール紙を所望の位置に維持するとともに、ロール紙を交換しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のプリンタのカバーが閉位置の状態を示す斜視図である。
図2】実施例1のプリンタのカバーが開位置の状態を示す斜視図である。
図3】実施例1のプリンタのカバーが閉位置の状態を示す断面図である。
図4】実施例1の保持部材の周辺を示す分解斜視図である。
図5】実施例1の保持部材を示す分解斜視図である。
図6】実施例1の保持部材を示す平面図である。
図7】実施例1の保持部材を示す図であり、図7(a)は保持部を示す側面図であり、図7(b)は図6のAA断面を示す断面図であり、図7(c)は図6のBB断面を示す断面図である。
図8】実施例1のプリンタの第2収容部に最大径のロール紙が収容されている状態を示す断面図である。
図9】実施例1のプリンタの第2収容部に中径のロール紙が収容されている状態を示す断面図である。
図10】実施例1のプリンタの第2収容部に小径のロール紙が収容されている状態を示す断面図である。
図11】実施例1のプリンタのカバーが閉位置から開位置に移動する途中の状態を示す断面図である。
図12】実施例1のプリンタのカバーが開位置にある状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるプリンタを実現する実施形態を、実施例1に基づいて説明する。
【実施例0011】
実施例1におけるプリンタは、感熱紙に印刷を行う感熱式のサーマルプリンタに適用される。
【0012】
[プリンタの構成]
図1は、実施例1のプリンタのカバーが閉位置の状態を示す斜視図である。図2は、実施例1のプリンタのカバーが開位置の状態を示す斜視図である。図3は、実施例1のプリンタのカバーが閉位置の状態を示す断面図である。以下、実施例1のプリンタの構成を説明する。
【0013】
なお、プリンタ1の前後の方向を前後方向D1とし、左右の方向を幅方向D2とし、上下の方向を上下方向D3とする。
【0014】
プリンタ1は、図1に示すように、ケース10と、カバー20と、を備える。
【0015】
図2に示すように、ケース10は、上方が開口した矩形の箱状に形成される。ケース10の開口は、ロール紙Rを収容する収容部に対して、上方からロール紙Rを投入可能(出し入れ可能)な投入口Gを構成する。
【0016】
カバー20は、投入口Gを閉じた閉位置E1(図1参照)と、投入口Gを開けた開位置E2(図2参照)との間を、幅方向D2に延在した回動軸21を中心として回動可能に設けられる。ロール紙Rは、長尺状のシートSがロール状に巻かれたものである。
【0017】
図3に示すように、ケース10の内部には、サーマルヘッドユニット6と、ロール紙Rを収容する収容部としての第1収容部31及び第2収容部32と、ロール紙Rを保持する保持部材40と、ロール紙Rの残量を検出するロール紙残量検出センサ50と、を備える。
【0018】
カバー20の裏面には、プラテンローラ5が取り付けられる。カバー20が閉位置E1にある状態において、プラテンローラ5は、サーマルヘッドユニット6と対向するように、カバー20に配置される。サーマルヘッドユニット6がプラテンローラ5に当接する方向に付勢された状態で、サーマルヘッドユニット6は、シートSに感熱印刷を行う。
【0019】
このように構成されたプリンタ1は、プラテンローラ5が回転することで、ロール紙RからシートSが繰り出される。ロール紙Rから繰り出されたシートSは、搬送方向Tに搬送され、サーマルヘッドユニット6によって、感熱印刷が行われ、排出口7から排出される。
【0020】
[第1収容部の構成]
図3に示すように、第1収容部31は、ケース10の底部に形成される。第1収容部31は、閉位置E1にあるカバー20が上面となるように、ケース10が横を向いた姿勢で、設置台Bに設置した横置きの場合に、ロール紙Rを収容する。
【0021】
第1収容部31は、第1傾斜保持部31aと、第2傾斜保持部31bとで、上方に向かって開いた断面V字状に形成される。第1傾斜保持部31aと第2傾斜保持部31bとが、ロール紙Rの外周面を下方から保持する。
【0022】
第1傾斜保持部31aと第2傾斜保持部31bは、ロール紙Rを回転可能に保持する保持ローラ31c,31dを備えてもよい。
【0023】
このように構成された第1収容部31には、横置きの際に、シートSがロール紙Rの下側から繰り出されるように、ロール紙Rが収容される。すなわち、ロール紙Rからは、保持部42が設けられた側とは反対側からシートSが繰り出されるようになっている。
【0024】
[第2収容部の構成]
図3に示すように、第2収容部32は、ケース10の後ろ側の側部に形成される。図8に示すように、第2収容部32は、閉位置E1にあるカバー20が側面となるように、ケース10が縦を向いた姿勢で、設置台Bに設置した縦置きの場合に、ロール紙Rを収容する。
【0025】
第2収容部32は、傾斜保持部32aと、保持部材40の保持部42とで、上方に開いた断面V字状に形成される。保持部42は、投入口Gの一部を塞ぐように、投入口Gに向かって延在するように形成される。
【0026】
傾斜保持部32aは、保持部42より、ケース10の底部側に設けられる。傾斜保持部32aの表面は、傾斜保持部32aの保持面32bを構成する。傾斜保持部32aと保持部42とが、ロール紙Rの外周面を下方から保持する。
【0027】
縦置きの際に、最大径のロール紙Rが第2収容部32に収容される位置は、横置きの際に、最大径のロール紙Rが第1収容部31に収容される位置と、略同じになるように形成される。
【0028】
傾斜保持部32aは、ロール紙Rを回転可能に保持する保持ローラ32cを備えてもよい。
【0029】
このように構成された第2収容部32には、縦置きの際に、シートSがロール紙Rの左側方から繰り出されるように、ロール紙Rが収容される。すなわち、ロール紙Rからは、保持部42が設けられた側とは反対側からシートSが繰り出されるようになっている。
【0030】
[保持部材の構成]
図4は、実施例1の保持部材40の周辺を示す分解斜視図である。図5は、実施例1の保持部材40を示す分解斜視図である。図6は、実施例1の保持部材40を示す平面図である。図7は、実施例1の保持部材40を示す図であり、図7(a)は保持部42を示す側面図であり、図7(b)は図6のAA断面を示す断面図であり、図7(c)は図6のBB断面を示す断面図である。以下、実施例1の保持部材40の構成を説明する。
【0031】
図3に示すように、保持部材40は、傾斜保持部32aとともに、第2収容部32を構成する。図4及び図5に示すように、保持部材40は、ケース10に固定されるホルダ41と、投入口Gに向かって延在する保持部42と、保持部42を付勢する付勢手段43とで構成される。
【0032】
(ホルダ)
図6に示すように、ホルダ41には、突出部41aと保持ローラ41bとが設けられる。
【0033】
図4に示すように、ホルダ41は、位置決めボス41cをケース10に設けられた位置決め穴に勘合して、ネジCをネジ穴44に挿通してネジ止めされる。ホルダ41の側面から、幅方向D2の外側に突出する円柱状に形成される突出部41aは、カバー20の回動軸21として作用する。
【0034】
保持ローラ41bは、保持ローラ32cとともに、ロール紙Rを回転可能に保持する。なお、保持ローラ41b及び保持ローラ32cを設けないようにしてもよい。
【0035】
(保持部)
図4及び図5に示すように、保持部42は、保持部42の表面に形成された保持面42aと、保持部42の裏面に形成されたリブ42bと、リブ42bに形成された突起部42cと、保持部42の下端に設けられた回動軸42dと、を備える。
【0036】
図3に示すように、保持部42の保持面42aは、第2収容部32の保持面32bとともに断面V字状に形成される。保持面42aは、最大径のロール紙Rの外径に沿うように、曲面で形成することもできるし、平面とすることもできる。
【0037】
図5に示すように、リブ42bは、保持部42の裏面に2つ形成される。リブ42bは、保持部42の裏面から、保持部42の厚さ方向に延在する。リブ42bの先端には、幅方向D2の外側に突出する突起部42cが形成される。
【0038】
図5及び図7(c)に示すように、保持部42の下端には、幅方向D2に延在する回動軸42dが設けられる。保持部42は、回動軸42dの周りに回動可能に、ホルダ41に支持される。
【0039】
(付勢手段)
図5に示すように、付勢手段43は、トーションばねとすることができる。付勢手段43は、ホルダ41と保持部42との間に設けられる。図3及び図7(b)に示すように、付勢手段43は、回動軸42dの周りに回動可能に設けられた保持部42を、第1収容部31又は第2収容部32に収容されたロール紙Rに近づく第1方向Fに付勢する。
【0040】
(ストッパ部)
図3及び図4に示すように、保持部42に設けられた突起部42cは、カバー20に取り付けられたリブ22に形成された開口23に挿入される。開口23は、第1面23aと、第2面23bと、第3面23cとで、側面視において、略三角形に形成される。
【0041】
第1面23aは、第1方向Fに対して、略直交方向に延在して形成される。第1面23aは、突起部42cが第1方向Fに移動することを停止するストッパ部として構成される。すなわち、第1面23aは、保持部42に取り付けられた突起部42cに当接して、保持部42の第1方向Fへの回動を停止させる。
【0042】
ストッパ部としての第1面23aと、突起部42cとは、保持部42の第1方向Fへの回動を停止させるストッパ機構を構成する。ストッパ機構は、保持部42に対し、第1方向Fへの回動を、所定の回動範囲に規制するとともに、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、両者を係合した状態で連動させる。
【0043】
また、ストッパ部としての第1面23aと、突起部42cとは、カバー20と保持部42とが互いに係合した状態で連動させる連動機構を構成する。連動機構は、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、カバー20の回動に連動して、保持部42を回動させる。
【0044】
第2面23bは、第1面23aの一端から第1方向Fに延在して形成される。第3面23cは、第1面23aの他端と、第2面23bの端部とを接続するように形成される。
【0045】
[ロール紙残量検出センサの構成]
図3に示すように、ケース10の側壁面には、ロール紙残量検出センサ(ペーパーニアエンドセンサ)50を備える。ロール紙残量検出センサ50は、ケース10の側壁面に形成された開口部11を介して、ロール紙Rの側面に向かって光を照射し、ロール紙Rの側面で反射した反射光を受光する光反射型のセンサである。
【0046】
ロール紙残量検出センサ50は、ロール紙Rの残量が設定量に達したことを検出する。すなわち、ロール紙残量検出センサ50は、ロール紙Rの側面からの反射光に基づいてロール紙Rの残量を検出する。
【0047】
ロール紙残量検出センサ50は、側面視において、第1収容部31又は第2収容部32に収容された最大径のロール紙Rの中心軸RPと、第1収容部31の断面V字状の頂点である第1頂点31Pと、第2収容部32の断面V字状の頂点である第2頂点32Pと、で囲まれた領域Qに配置される。
【0048】
ロール紙残量検出センサ50は、操作レバー51に取り付けられる。操作レバー51は、回転軸51bを中心として、第1収容部31又は第2収容部32に収容されたロール紙Rの側面と平行な平面上において、回転可能になっている。
【0049】
操作レバー51によって、ロール紙残量検出センサ50は、第1収容部31又は第2収容部32に収容される、最大径のロール紙Rの外径に沿うように、円弧状に移動可能になっている。開口部11は、略扇状に形成され、操作レバー51の移動範囲を規制する。
【0050】
操作レバー51には、先端に向かって突出する凸部51aが形成される。凸部51aは、開口部11に設けられた第1溝部11aと第2溝部11bとに嵌合するようになっている。
【0051】
第1溝部11aは、開口部11の第1収容部31側に、例えば4つ形成される。第2溝部11bは、開口部11の第2収容部32側に、例えば4つ形成される。
【0052】
凸部51aが、第1溝部11a又は第2溝部11bに嵌合することで、ロール紙残量検出センサ50が位置決めされる。凸部51aが第1溝部11aに嵌合することで、ロール紙残量検出センサ50は、第1収容部31に収容されたロール紙Rの残量を検出する。凸部51aが第2溝部11bに嵌合することで、ロール紙残量検出センサ50は、第2収容部32に収容されたロール紙Rの残量を検出する。
【0053】
[プリンタの動作]
図8は、実施例1のプリンタ1の第2収容部32に最大径のロール紙が収容されている状態を示す断面図である。図9は、実施例1のプリンタ1の第2収容部32に中径のロール紙が収容されている状態を示す断面図である。図10は、実施例1のプリンタ1の第2収容部32に小径のロール紙が収容されている状態を示す断面図である。図11は、実施例1のプリンタ1のカバー20が閉位置E1から開位置E2に移動する途中の状態を示す断面図である。図12は、実施例1のプリンタ1のカバー20が開位置E2にある状態を示す断面図である。以下、実施例1のプリンタ1の動作を説明する。なお、以下では、プリンタ1を縦置きした場合について説明する。
【0054】
図8に示すように、プリンタ1を縦置きにして、カバー20が閉位置E1にある場合であって、最大径のロール紙Rが第2収容部32に収容される場合、保持部42は、ロール紙Rの外周面に押され、付勢手段43の第1方向Fへの付勢力に抗して、第3面23cの手前の位置に移動する。この際、保持部42は、ロール紙Rを第1方向Fに付勢する。
【0055】
図9に示すように、プリンタ1を縦置きにして、カバー20が閉位置E1にある場合であって、最大径より小さい中径のロール紙Rが第2収容部32に収容される場合、保持部42は、ロール紙Rの外周面に押され、付勢手段43の第1方向Fへの付勢力に抗して、第1面23aと第3面23cとの中間程の位置に移動する。この際、保持部42は、ロール紙Rを第1方向Fに付勢する。
【0056】
図10に示すように、プリンタ1を縦置きにして、カバー20が閉位置E1にある場合であって、中径より小さい小径のロール紙Rが第2収容部32に収容される場合、保持部42の突起部42cは、第1面23aに当接して、保持部42の第1方向Fへの回動が停止される。この際、保持部42は、ロール紙Rの外周面から離間する。
【0057】
すなわち、カバー20が閉位置E1にある場合、保持部42は、付勢手段43による付勢力によって、ロール紙Rの外径に合わせて第1方向Fに回動する。
【0058】
図11に示すように、プリンタ1を縦置きにして、カバー20が閉位置E1から開位置E2に向けて移動すると、保持部42の突起部42cは、第1面23aに当接して、保持部42の第1方向Fへの回動が停止される。すなわち、プリンタ1を縦置きにして、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、保持部42は、付勢手段43の付勢力に抗して、カバー20とともに回動する。
【0059】
図12に示すように、プリンタ1を縦置きにして、カバー20が開位置E2にある状態では、保持部42の突起部42cは、第1面23aに当接して、保持部42の第1方向Fへの回動が停止される。
【0060】
[プリンタの作用]
実施例1のプリンタ1の作用を説明する。実施例1のプリンタ1は、ロール紙Rを収容する収容部(第1収容部31,第2収容部32)に対して、ロール紙Rを投入可能な投入口Gを有するケース10と、投入口Gを閉じた閉位置E1と、投入口Gを開けた開位置E2との間を回動可能に設けられたカバー20と、ケース10に回動可能に取り付けられた、投入口Gに向かって延在する、ロール紙Rを保持する保持部42と、保持部42を、収容部(第1収容部31,第2収容部32)に収容されたロール紙Rに近づく第1方向Fに付勢する付勢手段43と、保持部42の第1方向Fへの回動を停止させるストッパ機構(第1面23a,突起部42c)と、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、カバー20の回動に連動して、保持部42を回動させる連動機構(第1面23a,突起部42c)と、を備え、カバー20が閉位置E1にある場合、保持部42は、付勢手段43による付勢力によって、ロール紙Rの外径に合わせて第1方向Fに回動し、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、保持部42は、付勢手段43の付勢力に抗して、カバー20とともに回動する(図8)。
【0061】
これにより、カバー20が閉位置E1にある状態では、保持部42は、ロール紙Rの大きさに合わせて回動し、ロール紙Rを第1方向Fに付勢することができる。そのため、保持部42は、ロール紙Rの大きさによらず、ロール紙Rを保持することができる。特に、ロール紙RからシートSが繰り出される際、ロール紙Rの紙面と接触するシートSの内面と、収容部(第1収容部31,第2収容部32)と接触するシートSの外面との摩擦力の違いにより、ロール紙Rがゆるんだ状態となることを抑制することができる。また、ロール紙RからシートSが繰り出される場合、シートSが繰り出された際に作用する慣性力によってロール紙Rがバタつくことを抑制することができる。
【0062】
また、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、保持部42をカバー20ともに回動させることができる。そのため、ロール紙Rの投入口Gを塞ぐように保持部42を設けた場合でも、ロール紙Rを収容部(第1収容部31,第2収容部32)から取り出したり、最大径のロール紙Rを収容部(第1収容部31,第2収容部32)に設置したりする際に、保持部42を手で退けなくても済む。
【0063】
すなわち、投入口G側からロール紙Rを付勢して保持する機能を持たせつつ、ロール紙Rの投入を阻害しないようにすることができる。その結果、収容したロール紙Rを所望の位置に維持するとともに、ロール紙Rを交換し易いプリンタ1とすることができる。
【0064】
実施例1のプリンタ1では、連動機構(第1面23a,突起部42c)は、カバー20と保持部42とが互いに係合した状態で連動させる機構である(図8図12)。
【0065】
これにより、簡易な構成で、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、カバー20の回動に連動して、保持部42を回動させることができる。
【0066】
実施例1のプリンタ1では、ストッパ機構は、カバー20と保持部42とに設けられ、ストッパ機構(第1面23a,突起部42c)は、保持部42に対し、第1方向Fへの回動を、所定の回動範囲に規制するとともに、カバー20が閉位置E1から開位置E2に回動する際に、両者を係合した状態で連動させる(図8図12)。
【0067】
これにより、簡易な構成で、保持部42の第1方向Fへの回動を停止させることができる。
【0068】
実施例1のプリンタ1では、カバー20が上面となるように、ケース10が横を向いた姿勢で設置した横置きの際に、ロール紙Rを収容する第1収容部31と、カバー20が側面となるように、ケース10が縦を向いた姿勢で設置した縦置きの際に、ロール紙Rが収容される、保持部42とともに形成される第2収容部32と、を備え、横置きの際に、最大径のロール紙Rが第1収容部31に収容される位置と、縦置きの際に、最大径のロール紙Rが第2収容部32に収容される位置とが、略同じである(図3及び図8)。
【0069】
これにより、縦置きと横置きとで、最大径のロール紙Rが収容される位置を同じ位置とすることができる。そのため、収容部(第1収容部31,第2収容部32)の大きさを極力小さく形成することができる。その結果、プリンタ1の小型化を図ることができる。
【0070】
実施例1のプリンタ1では、第1収容部31と第2収容部32とは、それぞれ、断面V字状に形成される(図3)。
【0071】
これにより、縦置きでも、横置きでも、ロール紙RをV字状の形状で支持することができる。そのため、ロール紙Rの回転軸直交方向への移動を抑制して、ロール紙Rを収容することができる。その結果、収容したロール紙Rを所望の位置に維持することができる。その結果、ロール紙残量検出センサ50による検出精度を向上させることができる。
【0072】
また、縦置きの際には、保持部42とともにV字状に形成される第2収容部32は、ロール紙Rの直径が小さくなるにしたがって、V字の角度を急にすることができる。そのため、小さい直径のロール紙Rが、V字状の第2収容部32を駆け上がるようなことを防止することができる。その結果、収容したロール紙Rを所望の位置に維持することができる。その結果、ロール紙残量検出センサ50による検出精度を向上させることができる。
【0073】
実施例1のプリンタ1では、ケース10の側壁面に設けられた、ロール紙Rの側面からの反射光に基づいてロール紙Rの残量を検出するロール紙残量検出センサ50を備え、ロール紙残量検出センサ50は、側面視において、第1収容部31又は第2収容部32に収容された最大径のロール紙Rの中心軸RPと、第1収容部31の断面V字状の頂点である第1頂点31Pと、第2収容部32の断面V字状の頂点である第2頂点32Pと、で囲まれた領域Qに配置される(図3)。
【0074】
これにより、縦置きと横置きとで、共通のロール紙残量検出センサ50を使用することができる。そのため、縦置きと横置きの個別のロール紙残量検出センサを設けなくて済む。その結果、部品費を削減することができる。
【0075】
実施例1のプリンタ1では、ロール紙残量検出センサ50は、第1収容部31又は第2収容部32に収容される最大径のロール紙Rの外径に沿うように、円弧状に移動可能に構成される(図3)。
【0076】
これにより、ロール紙残量検出センサ50を、第1収容部31及び第2収容部32に収容されたロール紙Rの径に合わせて移動させることができる。そのため、縦置きと横置きとで、共通のロール紙残量検出センサ50を使用して、縦置き及び横置きのロール紙Rの径に合わせて、ロール紙残量検出センサ50の位置を調整することができる。
【0077】
実施例1のプリンタ1では、ロール紙Rは、保持部42が設けられた側とは反対側からシートSが繰り出される(図3)。
【0078】
これにより、ロール紙RからシートSが繰り出される際に、繰り出されるシートSに引っ張られて、ロール紙Rが移動しようとする方向に対向して、保持部42がロール紙Rを付勢することができる。そのため、ロール紙RからシートSが繰り出される場合、シートSが繰り出された際に作用する慣性力によってロール紙Rがバタつくことを抑制することができる。その結果、収容したロール紙Rを所望の位置に維持することができる。
【0079】
さらに、プリンタ1を横置きにした場合にも、保持部42が、上方のやや後方側からロール紙Rを付勢するため、ロール紙RからシートSの安定した供給にも寄与する。
【0080】
以上、本発明のプリンタを実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加等は許容される。
【0081】
実施例1では、ロール紙残量検出センサ50は、円弧状に移動可能に構成される例を示した。しかし、ロール紙残量検出センサは、直線状に移動可能に構成されてもよい。
【0082】
実施例1では、第1収容部31及び第2収容部32に収容されたロール紙Rからは、保持部42が設けられた側とは反対側からシートSが繰り出されるようになっている例を示した。しかし、ロール紙からは、保持部が設けられた側からシートが繰り出されるようにしてもよい。
【0083】
実施例1では、プリンタ1は、横置きの際にロール紙Rが収容される第1収容部31と、縦置きの際にロール紙Rが収容される第2収容部32とを備える例を示した。しかし、プリンタは、第1収容部及び第2収容部の少なくとも一方を備えるようにしてもよい。
【0084】
実施例1では、カバー20に取り付けられたリブ22に開口23を設け、保持部42に突起部42cを設け、これらが係合するように構成する例を示した。しかし、開口23に相当する部位や部品を保持部42に設け、突起部42cに相当する部位や部品をカバー20に設けて、これらによって連動機構を構成してもよい。
【0085】
実施例1では、カバー20に取り付けられたリブ22における開口23の第1面23aを、突起部42cの第1方向Fへの移動を所定の回動位置で停止させるストッパ部として構成する例を示した。しかし、ストッパ部は、カバー20とは独立して、カバー20以外に設けてもよい。例えば、開口23に相当する部位や部品を、ケース10に設けた場合、保持部42に設けられた突起部42cとは別に、ケース10に設けたストッパ部に当接する突起を保持部42に設け、これらによってストッパ機構を構成してもよい。
【0086】
実施例1では、本発明のプリンタを、感熱紙に印刷を行う感熱式のサーマルプリンタに適用する例を示した。しかし、本発明のプリンタは、感熱式に限らず、ロール紙を収容する収容部を有するプリンタに適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 プリンタ
10 ケース
20 カバー
22a 第1面(ストッパ部)
31 第1収容部(収容部の一例)
31P 第1頂点
32 第2収容部(収容部の一例)
32P 第2頂点
32 第2収容部
42 保持部
42c 突起部
43 付勢手段
50 ロール紙残量検出センサ
E1 閉位置
E2 開位置
F 第1方向
G 投入口
Q 領域
R ロール紙
RP 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を収容する収容部に対して、前記ロール紙を投入可能な投入口を有するケースと、
前記投入口を閉じた閉位置と、前記投入口を開けた開位置との間を回動可能に設けられたカバーと、
前記ケースに回動可能に取り付けられた、前記投入口に向かって延在する、前記ロール紙を保持する保持部と、
前記保持部を、前記収容部に収容された前記ロール紙に近づく第1方向に付勢する付勢手段と、
前記保持部の前記第1方向への回動を停止させるストッパ機構と、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記カバーの回動に連動して、前記保持部を回動させる連動機構と、を備え、
前記カバーが前記閉位置にある場合、前記保持部は、前記付勢手段による付勢力によって、前記ロール紙の外径に合わせて前記第1方向に回動し、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記保持部は、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記カバーとともに回動する
ことを特徴とする、プリンタ。
【請求項2】
前記連動機構は、前記カバーと前記保持部とが互いに係合した状態で連動させる機構である
ことを特徴とする、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ストッパ機構は、前記カバーと前記保持部とに設けられ、
前記ストッパ機構は、前記保持部に対し、前記第1方向への回動を、所定の回動範囲に規制するとともに、前記カバーが前記閉位置から前記開位置に回動する際に、前記カバーと前記保持部とを係合した状態で連動させる
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記カバーが上面となるように、前記ケースが横を向いた姿勢で設置した横置きの際に、前記ロール紙を収容する第1収容部と、
前記カバーが側面となるように、前記ケースが縦を向いた姿勢で設置した縦置きの際に、前記ロール紙が収容される、前記保持部とともに形成される第2収容部と、を備え、
前記横置きの際に、最大径の前記ロール紙が前記第1収容部に収容される位置と、前記縦置きの際に、最大径の前記ロール紙が前記第2収容部に収容される位置とが同じである
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のプリンタ。