(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143501
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】広告提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044036
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】高木 晋作
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋昭
(72)【発明者】
【氏名】須藤 浩司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】店舗設置のATMの利用者に有用な店舗の広告・クーポンをATMに表示させ、利用者がクーポンを利用できる広告提供システムを提供する。
【解決手段】広告提供システムにおいて、ATM10のカード読取部12にキャッシュカードが挿入されると利用者の顔を撮影するカメラ部11、撮影した画像データから利用者の顔の表情などの生体情報を取得する上位制御装置30の生体情報取得部31、利用者のステータスを判定するステータス判定部32、利用者のステータスに一致した広告・クーポンを発行する広告・クーポン発行部33、広告・クーポンを表示するATM10の表示操作部14、クーポンを取得するクーポン取得部15及び取得されたクーポンを読み取りクーポンの利用を可能とするPOS端末20のクーポン情報取得部21を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATM、POS端末および上位制御装置を備えた広告提供システムであって、
前記ATMは、キャッシュカードの情報を読み取るカード読取部、前記カード読取部へ前記キャッシュカードが挿入されることを契機に利用者の顔を撮影して画像データを前記上位制御装置に送信するカメラ部および前記上位制御装置から受信した広告に設定されているクーポンの情報を取得するクーポン取得部を有し、
前記POS端末は、レジ会計時に前記クーポン取得部が取得したクーポンの情報を読み取るクーポン情報取得部および前記クーポン情報取得部が読み取ったクーポンが利用されたことを示すクーポン利用情報を前記上位制御装置に通知するクーポン利用情報送信部を有し、
前記上位制御装置は、前記画像データから利用者の生体情報を取得する生体情報取得部、前記生体情報から利用者のステータスを判定するステータス判定部、利用者の前記ステータスに関連付けて広告・クーポンを設定する広告・クーポン設定部、前記ステータスに一致した広告・クーポンを発行して前記ATMに送る広告・クーポン発行部および前記広告・クーポン発行部が発行したクーポンの発行回数と前記クーポン利用情報送信部から受けた前記クーポン利用情報を積算した利用回数とからクーポン利用率を算出し、前記クーポン利用率に応じて前記広告・クーポン発行部が発行する広告・クーポンを差し替えるクーポン利用情報処理部を有する、
広告提供システム。
【請求項2】
前記ATMの前記クーポン取得部は、表示操作部の表示画面であり、前記表示画面に表示されたクーポンは、利用者によって撮影されることにより取得される、請求項1記載の広告提供システム。
【請求項3】
前記POS端末の前記クーポン情報取得部は、利用者が撮影したクーポンを読み取ることでクーポンの情報を読み取る、請求項2記載の広告提供システム。
【請求項4】
前記ATMの前記クーポン取得部は、レシート発行部であり、前記レシート発行部からクーポンが印刷されたレシートを取得することでクーポンが取得される、請求項1記載の広告提供システム。
【請求項5】
前記POS端末の前記クーポン情報取得部は、レシートに印刷されたクーポンを読み取ることでクーポンの情報を読み取る、請求項4記載の広告提供システム。
【請求項6】
前記クーポンは、バーコードまたは二次元コードである、請求項1から5のいずれか1項に記載の広告提供システム。
【請求項7】
前記ATMの前記クーポン取得部および前記POS端末の前記クーポン情報取得部は、生体認証装置である、請求項1記載の広告提供システム。
【請求項8】
前記生体認証装置は、手のひら静脈認証装置である、請求項7記載の広告提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATM(Automated Teller Machine:現金自動預払機)の利用者にATM設置店舗の広告を提供する広告提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ATMは、金融機関の店舗のみならず、百貨店、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの立地条件のよい店舗内に設置されていることが多い。そのような店舗に置かれたATMは、現金の引き出しなどの行動により利用者に消費行動を起こさせる契機になっている。
【0003】
このようなATMにおいては、利用者に対して、取引の待ち時間などに広告を表示することができる(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1では、ATMで入出金を行う際に使用されるキャッシュカードまたは通帳のような媒体に当該媒体の所有者を特定するための情報が書き込まれていることを利用して広告を表示させている。すなわち、ATMにキャッシュカード、通帳などの媒体が挿入され、その媒体に記録されている情報を基に金融機関のホストコンピュータにアクセスして照会すると、媒体の所有者を特定することができる。そのとき、特定された所有者に関する情報を取得することができるので、その情報に基づいて、当該所有者の属性情報に応じた広告を選択し、その広告をATMに表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ATMにて入出金などを行う利用者は、キャッシュカードなどの媒体の所有者ではなくて媒体の所有者の家族などの場合があり、ATMに表示される広告が必ずしも適切でないことがある。また、個人を識別する情報は、金融機関のホストコンピュータで管理されていて金融機関でしか利用できない情報であるため、金融機関の個人情報を使ってATMを設置している店舗の広告をATMに表示させることは、個人情報保護の観点などからもできない。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、店舗に設置されたATMを利用する利用者にとって有用な店舗の広告をATMに表示させ、さらに、広告に設定されたクーポンを店舗で利用可能にする広告提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記の課題を解決するために、1つの案では、ATM、POS端末および上位制御装置を備えた広告提供システムが提供される。この広告提供システムにおいて、ATMは、キャッシュカードの情報を読み取るカード読取部、カード読取部へキャッシュカードが挿入されることを契機に利用者の顔を撮影して画像データを上位制御装置に送信するカメラ部および上位制御装置から受信した広告に設定されているクーポンの情報を取得するクーポン取得部を有している。POS端末は、レジ会計時にクーポン取得部が取得したクーポンの情報を読み取るクーポン情報取得部およびクーポン情報取得部が読み取ったクーポンが利用されたことを示すクーポン利用情報を上位制御装置に通知するクーポン利用情報送信部を有している。上位制御装置は、画像データから利用者の生体情報を取得する生体情報取得部、生体情報から利用者のステータスを判定するステータス判定部、利用者のステータスに関連付けて広告・クーポンを設定する広告・クーポン設定部、ステータスに一致した広告・クーポンを発行してATMに送る広告・クーポン発行部および広告・クーポン発行部が発行したクーポンの発行回数とクーポン利用情報送信部から受けたクーポン利用情報を積算した利用回数とからクーポン利用率を算出し、クーポン利用率に応じて広告・クーポン発行部が発行する広告・クーポンを差し替えるクーポン利用情報処理部を有している。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の広告提供システムは、金融機関へ照会することなく、独自にATM利用者の生体情報から利用者のステータスを判定し、ステータスに一致した広告を利用者に提供するので、ATM設置店舗に特化したサービスが可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る広告提供システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】第2の実施形態の広告提供システムの一例を示す図である。
【
図3】第2の実施形態のATMのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態のPOS端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態の店舗サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】第2の実施形態の広告提供システムの店舗サーバにて設定される広告・クーポン設定テーブルの例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態の広告提供システムの店舗サーバでの設定例を示す図であって、(A)は広告・クーポン設定テーブルの具体例、(B)は二次元コードの一例を示している。
【
図8】第2の実施形態の広告提供システムにおけるカード挿入から広告が表示されるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】広告提供システムの処理の流れを示す図であって、(A)はキャッシュカードの読み取り段階を示し、(B)は撮影段階を示している。
【
図10】広告提供システムの処理の流れを示す図であって、(A)はステータス判定段階を示し、(B)は広告表示段階を示している。
【
図11】第2の実施形態の広告提供システムにおけるクーポン利用時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】広告提供システムの処理のクーポン利用段階を示す図である。
【
図13】第2の実施形態の広告提供システムの店舗サーバにおけるクーポン利用率に応じた広告差し替え処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】広告差し替えによる広告・クーポン設定テーブルの設定例を示す図である。
【
図15】第3の実施形態の広告提供システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図中、同一の符号で示される部分は、同一の構成要素を示している。また、各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を部分的に組み合わせて実施することができる。
【0011】
図1は第1の実施の形態に係る広告提供システムの一例を示す機能ブロック図である。
第1の実施の形態に係る広告提供システムは、ATM10と、POS端末20と、上位制御装置30とをLAN(Local Area Network)40で接続して構成されている。ATM10は、金融機関によりコンビニエンスストアなどの店舗に設置されて、現金の預け払いや振込などのサービスを提供する。POS端末20は、店舗に設置されてレジ会計業務を行う。上位制御装置30は、ATM10およびPOS端末20が設置された店舗のバックヤード業務を支援する。
【0012】
ATM10は、顔認証などに用いられるカメラ部11、キャッシュカードの情報を読み取るカード読取部12、利用明細を発行するレシート発行部13および利用者が操作する表示操作部14を備えている。
【0013】
POS端末20は、ATM10の利用者に提供されたクーポン情報をレジ会計時に読み取るクーポン情報取得部21およびレジ会計時に利用したクーポン利用情報を上位制御装置30に通知するクーポン利用情報送信部22を備えている。
【0014】
上位制御装置30は、生体情報取得部31、ステータス判定部32、広告・クーポン発行部33、広告・クーポン設定部34およびクーポン利用情報処理部35を備えている。生体情報取得部31は、ATM10からカメラ部11が撮影した画像データを受けて利用者の顔の表情などの生体情報を取得する。ステータス判定部32は、利用者の生体情報から利用者のステータスを判定する。広告・クーポン発行部33は、利用者のステータスに一致した広告・クーポンを発行する。広告・クーポン設定部34は、ATM10の表示操作部14に提供する広告・クーポンの内容を利用者のステータスと関連付けて設定する。クーポン利用情報処理部35は、POS端末20で利用されたクーポンの利用率を求め、利用率に応じてATM10に提供する広告内容の更新処理を行う。
【0015】
この広告提供システムは、利用者がATM10のカード読取部12にキャッシュカードを挿入してATM10による取引を開始したことを契機に処理を開始する。カード読取部12にキャッシュカードが挿入されると、カメラ部11が利用者を撮影し、その利用者の画像データを上位制御装置30に送る。上位制御装置30では、生体情報取得部31が画像データを処理して利用者の生体情報を取得する。ステータス判定部32では、利用者の生体情報から利用者のステータスを判定する。広告・クーポン発行部33は、広告・クーポン設定部34によって設定された広告の中から利用者のステータスに一致した広告・クーポンを発行し、ATM10に送る。
【0016】
ATM10では、上位制御装置30から送られた広告・クーポンを表示操作部14の画面に表示し、利用者に提供する。利用者は、表示操作部14の画面に表示されたクーポンを携帯端末などで撮影するかレシート発行部13よりクーポンが印刷されたレシートを受け取ることによって、広告に設定されたクーポンを取得することができる。このため、表示操作部14およびレシート発行部13は、クーポン取得部15を構成する。
【0017】
POS端末20では、レジ会計時にクーポン情報取得部21がATM10の利用者に発行したクーポン情報を取得するとクーポン情報を反映したレジ会計が行われる。クーポン利用情報送信部22は、レジ会計時にクーポンが利用されるたびに、利用したクーポン利用情報を上位制御装置30に通知する。
【0018】
上位制御装置30では、POS端末20からクーポン利用情報を受けると、クーポン利用情報処理部35がクーポン利用情報を積算したクーポン利用回数とクーポン発行回数とからクーポン利用率を算出する。クーポン利用情報処理部35は、一定期間において利用率の悪いクーポンについては、広告・クーポン設定部34で設定される広告に対して、広告の差し替えなどを行う。広告・クーポン設定部34は、利用者のステータスに関連付けて設定される広告・クーポンを複数設定しておき、広告の差し替えが必要なときは、複数設定された広告・クーポンを優先順位に従って発行する。
【0019】
図2は第2の実施形態の広告提供システムの一例を示す図である。
第2の実施形態の広告提供システムは、ATM50、POS端末60、店舗サーバ70およびLAN80を備えている。なお、店舗サーバ70は、広告提供システムの上位制御装置である。広告・クーポンの設定などの操作は、店舗サーバ70で行うが、図示しないパーソナルコンピュータ、タブレットなどを使用して行うこともできる。
【0020】
ATM10は、顔認証などに使用されるカメラ部51、通帳を挿入する通帳挿入口52、キャッシュカードを挿入するカード挿入口53、レシートを発行するレシート発行部54、硬貨を預け払いする硬貨処理部55、紙幣を預け払いする紙幣処理部56、表示部およびタッチセンサで構成される表示操作部57を備えている。
【0021】
POS端末60は、レジを担当する店員に向けて表示するディスプレイ61、顧客に向けて表示する顧客ディスプレイ62、商品のバーコードおよび二次元コードを読み取るバーコードリーダー63、レシートプリンタ64などを備えている。
【0022】
店舗サーバ70は、ATM50にて撮影された利用者の顔の画像データから利用者の生体情報を取得し、その生体情報を用いて利用者のステータス(たとえば、性別、年齢、喜怒哀楽、疲労感など)を判断する。この利用者のステータスは、キャッシュカードから特定される金融機関の個人情報とは異なり、ATM50が設置される店舗ごとに得られる個人情報であり、店舗は、利用者のステータスに関連付けて独自の広告およびクーポンを設定することができる。
【0023】
図3は第2の実施形態のATMのハードウェア構成の一例を示す図である。
第2の実施形態のATM50は、ATM50の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)50aを有している。CPU50aは、バス50kを介してRAM(Random Access Memory)50bと複数の周辺機器とが接続されている。RAM50bは、ATM50の主記憶装置として使用される。RAM50bには、CPU50aに実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM50bには、CPU50aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0024】
バス50kに接続されている周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)50c、入出金処理部50d、顧客画像処理部50e、表示操作制御部50f、記帳処理部50g、レシート発行部50h、カード処理部50iおよび通信インタフェース50jがある。
【0025】
HDD50cは、ATM50の補助記憶装置として使用される。HDD50cには、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。入出金処理部50dは、紙幣および硬貨を預け払いするときの入出金処理を行う。顧客画像処理部50eは、顔認証のために利用者の顔を撮影して認証処理を行う。本発明の広告提供システムでは、利用者の顔を撮影したときの画像データが生体情報を取得するのに使用される。表示操作制御部50fは、利用者が操作するためのGUI(Graphical User Interface)を表示し、操作入力を受け付ける制御を行う。表示操作制御部50fは、本発明の広告提供システムでは、利用者のステータスに合った広告・クーポンを表示する。記帳処理部50gは、通帳への記帳処理を行う。レシート発行部50hは、利用明細を印刷したレシートを発行する。本発明の広告提供システムでは、レシート発行部50hは、レシートに、広告に設定されたクーポンを印刷する。カード処理部50iは、キャッシュカードが挿入されたときに金融機関の口座の情報を読み取る処理を行う。通信インタフェース50jは、LAN80に接続されている。通信インタフェース50jは、LAN80を介してPOS端末60および店舗サーバ70との間でデータの送受信を行う。なお、このLAN80は、金融機関のホストコンピュータに接続されるネットワークとは別のネットワークである。
【0026】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示したATM10も、
図3に示したATM50と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0027】
図4は第2の実施形態のPOS端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
第2の実施形態のPOS端末60は、POS端末60の全体を制御するCPU60aを有している。CPU60aは、バス60gを介してRAM60bと複数の周辺機器とが接続されている。RAM60bは、POS端末60の主記憶装置として使用される。RAM60bには、CPU60aに実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM60bには、CPU60aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0028】
バス60gに接続されている周辺機器としては、HDD60c、GPU60d、入出力インタフェース60eおよび通信インタフェース60fがある。HDD60cは、POS端末60の補助記憶装置として使用される。HDD60cには、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。
【0029】
GPU60dは、店員向けのディスプレイ61および顧客向けの顧客ディスプレイ62が接続されている。GPU60dは、CPU60aからの命令に従って、画像をディスプレイ61、顧客ディスプレイ62の画面に表示させる。
【0030】
入出力インタフェース60eは、タッチパネル65、ICカードリーダ66、バーコードリーダー63、レシートプリンタ64、釣札機67、釣銭機68が接続されている。タッチパネル65は、ディスプレイ61および顧客ディスプレイ62に表示されているボタンの押下操作を検出し、検出した押下情報は、CPU60aに送信される。ICカードリーダ66は、クレジットカードなどの情報を読み取るのに使用され、読み取ったクレジットカードの情報をCPU60aに送信する。バーコードリーダー63は、購入商品を登録するために商品に付されたバーコードを読み取り、読み取ったバーコードは、CPU60aに送信される。本発明の広告提供システムでは、バーコードリーダー63は、クーポン情報を読み取るのに使用される。レシートプリンタ64は、CPU60aからの命令に従って、会計情報を印刷したレシートを発行する。釣札機67および釣銭機68は、紙幣および硬貨による入金をしたときにCPU60aからの命令に従って釣札および釣銭を出金する。
【0031】
通信インタフェース60fは、LAN80に接続され、LAN80を介して店舗サーバ70との間でデータの送受信を行う。本発明の広告提供システムでは、通信インタフェース60fは、LAN80を介して店舗サーバ70にクーポン利用情報の送信を行う。
【0032】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示したPOS端末20も、
図4に示したPOS端末60と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0033】
図5は第2の実施形態の店舗サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
第2の実施形態の店舗サーバ70は、店舗サーバ70の全体を制御するCPU70aを有している。CPU70aは、バス70gを介してRAM70bと複数の周辺機器とが接続されている。RAM70bは、店舗サーバ70の主記憶装置として使用される。RAM70bには、CPU70aに実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM70bには、CPU70aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0034】
バス70gに接続されている周辺機器としては、HDD70c、GPU70d、入出力インタフェース70eおよび通信インタフェース70fがある。HDD70cは、店舗サーバ70の補助記憶装置として使用される。HDD70cには、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。GPU70dは、ディスプレイ71が接続されている。GPU70dは、CPU70aからの命令に従って、画像をディスプレイ71の画面に表示させる。
【0035】
入出力インタフェース70eは、キーボード72、マウス73、光学ドライブ装置74および機器接続インタフェース75が接続されている。入出力インタフェース70eは、キーボード72およびマウス73から送られてくる信号をCPU70aに送信する。光学ドライブ装置74は、レーザ光などを利用して、光ディスクに記録されたデータの読み取りおよび書き込みを行う。機器接続インタフェース75は、店舗サーバ70に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。たとえば、機器接続インタフェース75には、メモリ装置やメモリリーダライタを接続することができる。メモリ装置は、機器接続インタフェース75との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタは、メモリカードへのデータの書き込みまたはメモリカードからのデータの読み取りを行う装置である。
【0036】
通信インタフェース70fは、LAN80に接続され、LAN80を介してATM50およびPOS端末60との間でデータの送受信を行う。本発明の広告提供システムでは、通信インタフェース70fは、LAN80を介してATM50から利用者の画像データを受信したりATM50に広告・クーポンの情報を送信したりする。また、通信インタフェース70fは、LAN80を介してPOS端末60からクーポン利用情報を受信する。
【0037】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示した上位制御装置30も、
図5に示した店舗サーバ70と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0038】
次に、広告提供システムの詳細について説明する。まず、広告提供システムの店舗サーバ70において広告およびクーポンの情報が設定されている広告・クーポン設定テーブルについて説明する。
【0039】
図6は第2の実施形態の広告提供システムの店舗サーバにて設定される広告・クーポン設定テーブルの例を示す図、
図7は第2の実施形態の広告提供システムの店舗サーバでの設定例を示す図であって、(A)は広告・クーポン設定テーブルの具体例、(B)は二次元コードの一例を示している。
【0040】
店舗サーバ70では、
図6に示すような広告・クーポン設定テーブル90があらかじめ設定されている。広告・クーポン設定テーブル90は、利用者の生体情報を基に複数の条件の組み合わせにより設定される。
【0041】
具体的には、
図7(A)に示す広告・クーポン設定テーブル90aの例では、利用者の生体情報の中から利用者の年齢および性別の属性を設定している。広告・クーポン設定テーブル90aには、さらに、年齢および性別によって決まる設定のそれぞれに、複数の広告・クーポンを設定しておくことができる。複数の広告・クーポンには、優先順位が設けられていて、年齢の条件と性別の条件とが一致する設定では、優先順位の最も高い広告・クーポンが選択される。図示の例では、利用者のステータスとして年齢が「10~20才」であって、性別が「男性」と判定された場合には、「スポーツドリンク」の広告・クーポンが選択されてATM50に送られる。店舗サーバ70では、利用者の年齢および性別の組み合わせが利用者のステータス判定の条件にしている。
【0042】
選択された広告・クーポンがATM50に送られるときには、広告・クーポンの情報とともに、
図7(B)に示した二次元コード91が該当するクーポンを特定する情報として一緒に送られる。なお、広告にクーポンが設定されていない場合には、広告の情報のみがATM50に送られる。なお、ここでは、クーポンを特定する情報として二次元コード91を使用する例を示したが、二次元コード91に代えてバーコードを使用することができる。また、POS端末60のバーコードリーダー63は、この二次元コード91の読み取りに対応しているものとする。
【0043】
次に、広告提供システムの処理の流れについて説明する。
図8は第2の実施形態の広告提供システムにおけるカード挿入から広告が表示されるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
図9は広告提供システムの処理の流れを示す図であって、(A)はキャッシュカードの読み取り段階を示し、(B)は撮影段階を示している。
図10は広告提供システムの処理の流れを示す図であって、(A)はステータス判定段階を示し、(B)は広告表示段階を示している。
【0044】
広告提供システムは、
図9(A)に示したように、利用者92がATM50のカード挿入口53にキャッシュカード93を挿入することによって処理が開始される。広告提供システムは、
図8に示したステップに従って処理を進める。
【0045】
[ステップS1]ATM50のCPU50aは、カメラ部51を起動して利用者92の顔を撮影し(
図9(B)参照)、カメラ部51から出力された画像データを店舗サーバ70に送信する。
【0046】
[ステップS2]店舗サーバ70のCPU70aは、受信した画像データから生体情報を取得する(
図10(A)参照)。ここでは、CPU70aは、画像データから利用者92の年齢および性別を取得し、利用者92のステータスを判定する。
【0047】
[ステップS3]店舗サーバ70のCPU70aは、広告・クーポン設定テーブル90を参照し、利用者92の年齢および性別に応じた広告を決定し、その広告をATM50に送信する。
【0048】
[ステップS4]店舗サーバ70のCPU70aは、広告にクーポンが設定されているかどうかを判定する。広告にクーポンが設定されている場合、処理はステップS5に進む。広告にクーポンが設定されていない場合、処理はステップS6に進む。
【0049】
[ステップS5]店舗サーバ70のCPU70aは、広告にクーポンが設定されている場合、該当する年齢、性別条件のクーポン発行数をインクリメントする。
[ステップS6]ATM50のCPU50aは、広告を受信すると、表示操作部57に広告94を表示する(
図10(B)参照)。
【0050】
[ステップS7]ATM50のCPU50aは、広告にクーポンが設定されているかどうかを判定する。広告にクーポンが設定されている場合、処理はステップS8に進む。広告にクーポンが設定されていない場合、CPU50aは、
図10(B)に示すクーポンの二次元コード91を表示することなく、このフローの処理を終了する。
【0051】
[ステップS8]ATM50のCPU50aは、広告にクーポンが設定されている場合、クーポンの二次元コード91を表示操作部57に表示する。ATM50のCPU50aは、また、レシート発行部54によってクーポンの二次元コード91を印刷したレシート95を発行する。ここで、表示操作部57に表示されたクーポンの二次元コード91を取得するには、表示されたクーポンの二次元コード91を利用者がスマートフォンなどの携帯端末を用いて読み取ることになる。利用者は、また、レシート発行部54から発行されたレシート95を受け取ることによって、クーポンを取得することができる。
【0052】
図11は第2の実施形態の広告提供システムにおけるクーポン利用時の処理の流れを示すフローチャート、
図12は広告提供システムの処理のクーポン利用段階を示す図である。
【0053】
POS端末60において、店舗でのレジ会計時に、携帯端末で読み取ったクーポンの二次元コード91またはレシートに印刷されたクーポンの二次元コード91をバーコードリーダー63で読み取らせることによって、クーポンの利用が可能になる。広告提供システムは、
図11に示したステップに従って処理を進める。
【0054】
[ステップS11]POS端末60のCPU60aは、店員がバーコードリーダー63をクーポンの二次元コード91にかざすことによりクーポンの読み込みが行われる。POS端末60にクーポンが読み込まれると、POS端末60のCPU60aは、POS端末60にてクーポンが利用されたと判断し、
図12に示したように、クーポン利用情報を店舗サーバ70に送信する。
【0055】
[ステップS12]店舗サーバ70のCPU70aは、POS端末60からクーポン利用情報を受信すると、該当する年齢および性別の条件のクーポン利用数をインクリメントする。
【0056】
[ステップS13]店舗サーバ70のCPU70aは、クーポンを発行したときのクーポン発行数とクーポン利用数とからクーポン利用率を算出する。クーポン利用率は、(クーポン利用数)/(クーポン発行数)によって定義される。
【0057】
図13は第2の実施形態の広告提供システムの店舗サーバにおけるクーポン利用率に応じた広告差し替え処理の流れを示すフローチャート、
図14は広告差し替えによる広告・クーポン設定テーブルの設定例を示す図である。
【0058】
店舗サーバ70で管理される広告・クーポン設定テーブルは、広告・クーポンを登録するときに、登録日、期間および目標のクーポン利用率(閾値)が設定されていて、クーポン利用率に応じて設定される広告・クーポンを差し替えるようにしている。広告・クーポンの登録日から設定された期間を経過すると、広告提供システムは、
図13に示したステップに従って処理を進める。
【0059】
[ステップS21]店舗サーバ70のCPU70aは、クーポンの利用率が設定した閾値を下回っているかどうかを判断する。クーポンの利用率が設定した閾値を下回っている場合、処理はステップS22に進む。クーポンの利用率が設定した閾値を下回っていない場合、CPU70aは、このフローの処理を終了する。
【0060】
[ステップS22]店舗サーバ70のCPU70aは、広告・クーポン設定テーブルにおいて、同じ広告・クーポン設定の中で優先順位の最も高い広告・クーポンを優先順位下位の広告・クーポンに差し替える。
【0061】
たとえば、広告・クーポン設定テーブルが
図7(A)に示す広告・クーポン設定テーブルであったとする。ここで、年齢が「10~20才」で性別が「男性」の設定に対して優先順位が「1」のクーポンの利用率が設定した閾値を下回っているとする。すると、
図14に示したように、更新された広告・クーポン設定テーブル90bでは、該当する年齢および性別の条件の広告・クーポンは、優先順位が「2」であった広告・クーポンである「氷菓子」90cに差し替えられる。これにより、使用率の低いクーポンがあれば、別のクーポンに変更することができる。なお、広告・クーポン設定テーブルにおける広告・クーポンの差し替えは、手動ですることも可能であり、設定された期間を経過する前に、差し替えを実施することができるようにしている。
【0062】
図15は第3の実施形態の広告提供システムの一例を示す図である。
第3の実施形態の広告提供システムでは、POS端末20で使用されるクーポンがATM利用者に発行したクーポンであることを、二次元コードを使用することなく、容易に確認できるようにしたものである。
【0063】
このために、ATM50は、生体認証装置58を備えたものが使用され、POS端末20にも、生体認証装置69を備えている。生体認証装置58および生体認証装置69は、たとえば、手のひら静脈認証装置とすることができる。
【0064】
ATM50にて、クーポンが設定された広告が表示されているときに、ATM50の生体認証装置58に利用者が自身の手のひらをかざすと、利用者固有の静脈のパターンが読み取られ、店舗サーバ70に送信される。店舗サーバ70では、その静脈のパターンのデータは、ATM50の表示操作部57に表示されている広告のクーポンと紐付けされて登録される。
【0065】
次に、店舗でのレジ会計時に、POS端末20の生体認証装置69に利用者が自身の手のひらをかざすと、利用者の静脈のパターンが読み取られ、店舗サーバ70に送信される。店舗サーバ70では、その静脈のパターンのデータは、登録されている静脈のパターンのデータと照合される。POS端末20の生体認証装置69で読み取られた静脈のパターンのデータが登録されている静脈のパターンのデータと一致すると、その登録されている静脈のパターンのデータに紐付けされている広告のクーポンが特定され、POS端末20に通知される。
【0066】
POS端末20は、店舗サーバ70からクーポンが通知されると、そのクーポンを適用したレジ会計が可能になる。このため、ATM50の利用者とPOS端末20でのクーポン利用者とを確認するのに、携帯端末を使用したり、クーポンが印刷されたレシートを使用したりする必要がなくなる。これにより、利用者は、携帯端末を操作しなければならない煩わしさやレシート紛失時にクーポンを使用できなくなる不便さから解放されることになる。
【符号の説明】
【0067】
10 ATM
11 カメラ部
12 カード読取部
13 レシート発行部
14 表示操作部
15 クーポン取得部
20 POS端末
21 クーポン情報取得部
22 クーポン利用情報送信部
30 上位制御装置
31 生体情報取得部
32 ステータス判定部
33 広告・クーポン発行部
34 広告・クーポン設定部
35 クーポン利用情報処理部
40 LAN
50 ATM
50a CPU
50b RAM
50c HDD
50d 入出金処理部
50e 顧客画像処理部
50f 表示操作制御部
50g 記帳処理部
50h レシート発行部
50i カード処理部
50j 通信インタフェース
50k バス
51 カメラ部
52 通帳挿入口
53 カード挿入口
54 レシート発行部
55 硬貨処理部
56 紙幣処理部
57 表示操作部
58 生体認証装置
60 POS端末
60a CPU
60b RAM
60c HDD
60d GPU
60e 入出力インタフェース
60f 通信インタフェース
60g バス
61 ディスプレイ
62 顧客ディスプレイ
63 バーコードリーダー
64 レシートプリンタ
65 タッチパネル
66 ICカードリーダ
67 釣札機
68 釣銭機
69 生体認証装置
70 店舗サーバ
70a CPU
70b RAM
70c HDD
70d GPU
70e 入出力インタフェース
70f 通信インタフェース
70g バス
71 ディスプレイ
72 キーボード
73 マウス
74 光学ドライブ装置
75 機器接続インタフェース
80 LAN
90,90a,90b 広告・クーポン設定テーブル
91 二次元コード
92 利用者
93 キャッシュカード
94 広告
95 レシート