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特開2022-143522ビードガイド及びカーブベルトコンベヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143522
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ビードガイド及びカーブベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/02 20060101AFI20220926BHJP
   B65G 21/22 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B65G15/02
B65G21/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044074
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安芸 一弘
(72)【発明者】
【氏名】吉村 佳映
(72)【発明者】
【氏名】森本 俊次
(72)【発明者】
【氏名】上田 英利
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 一幸
【テーマコード(参考)】
3F023
3F025
【Fターム(参考)】
3F023AA03
3F023AB09
3F023AB10
3F023BA02
3F023BC01
3F023DA03
3F025CA01
3F025CB01
3F025CB05
3F025CB09
(57)【要約】
【課題】コンベヤ運転時の摩耗紛の発生と摺動抵抗とを従来よりも低減することができるビードガイド及びカーブベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】ビードガイド30は、カーブベルトコンベヤにおける搬送用ベルトのビードに、少なくとも棒状部32の一部が接触することで搬送用ベルトの位置決めをして搬送用ベルトの内周への移動を抑制するビードガイド30であって、架台に対して固定される支持部31と、樹脂から形成されており、かつ、支持部31に支持され、支持部31から外周縁部に沿った方向に延伸し、少なくとも一部がビードに接触するように設けられている棒状部32とを備えた構成である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に設けられ、軸線が所定の角度で交差する2本のエンドローラと、前記2本のエンドローラの間に架け渡されて平面扇形となり、外周縁部にベルト位置決め用のビードが取り付けられた無端状の搬送用ベルトとを有するカーブベルトコンベヤにおいて、少なくとも一部が前記ビードに接触することで前記搬送用ベルトの位置決めをして前記搬送用ベルトの移動を抑制するビードガイドであって、
前記架台に対して固定される支持部と、
樹脂から形成されており、かつ、前記支持部に支持され、前記支持部から前記外周縁部に沿った方向に延伸し、少なくとも一部が前記ビードに接触するように設けられている棒状部と、
を備えた、ビードガイド。
【請求項2】
前記支持部が前記棒状部と同一の樹脂で形成されており、前記支持部と前記棒状部とが一体に成形されている
請求項1に記載のビードガイド。
【請求項3】
前記棒状部は、前記支持部に支持される根本部を有し、前記搬送用ベルトから先端部までの距離が、前記搬送用ベルトから前記根本部までの距離よりも大きくなるように傾いて構成されている
請求項1又は2に記載のビードガイド。
【請求項4】
前記棒状部が前記外周縁部に沿って湾曲している
請求項1~3のいずれか1項に記載のビードガイド。
【請求項5】
前記棒状部の湾曲の曲率が、前記搬送用ベルトの前記外周縁部の曲率よりも大きく構成されている
請求項4に記載のビードガイド。
【請求項6】
架台に設けられ、軸線が所定の角度で交差する2本のエンドローラと、
前記2本のエンドローラの間に架け渡されて平面扇形となり、外周縁部にベルト位置決め用のビードが取り付けられた無端状の搬送用ベルトと、
ビードガイドと、を備え、
前記ビードガイドは、
前記架台に対して固定された支持部と、
樹脂から形成されており、かつ、前記支持部に支持され、前記支持部から前記外周縁部に沿った方向に延伸し、少なくとも一部が前記ビードに接触するように設けられている棒状部と、を有し、
少なくとも一部が前記ビードに接触することで前記搬送用ベルトの位置決めをして前記搬送用ベルトの移動を抑制する、
カーブベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記支持部が前記棒状部と同一の樹脂で形成されており、前記支持部と前記棒状部とが一体に成形されている
請求項6に記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項8】
前記ビードは、板状部及び肉厚部を有しており、
前記棒状部が少なくとも前記肉厚部の側面に接触するように、前記ビードガイドが設けられている
請求項6又は7に記載のカーブベルトコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビードガイド及びカーブベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤでは、前後の搬送方向の異なるコンベヤへの乗り移りのために、それらのコンベヤの間にカーブベルトコンベヤを介在させることが多い。その際、搬送物が、例えば小粒のチョコレートなどの食品や小さな電子部品などの場合、円滑な受け渡しのために、カーブベルトコンベヤの両端のエンドローラは小径のものが用いられることが多い。すなわち、これらのエンドローラをそれらの軸線が所定の角度で交差するように配置し、両エンドローラ間に無端状の搬送用ベルトを張り渡して搬送面を平面扇形に形成している。
【0003】
そのため、従来から、搬送用ベルトと、この搬送用ベルトを駆動させる駆動体とを分離し、それらの間を接続金具などで連結する方式が採用されており、これによって、小径のエンドローラを用いる小物搬送を可能にしている。
【0004】
特許文献1には、コンベア本体と、コンベア本体に張設されるビード付きコンベアベルトと、ビード付きコンベアベルトの内側への移動を阻止する移動阻止部材と、ビード付きコンベアベルトを回転駆動する駆動部と、駆動部の減速機付きモータ、上面側の移動阻止部材及びビード付きコンベアベルトの内外周部を覆うカバーと、コンベア本体を適正高さに配置させる脚体とを備えたカーブベルトコンベヤが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、軸線が所定の角度で交差する2本のエンドローラと、これらのエンドローラ間に架け渡され平面扇形となる無端状の搬送用ベルトと、2本のエンドローラの軸方向外側にそれぞれ設けられ、2本のエンドローラと軸線が同じ向きであるドライブローラ及びテールローラと、これらドライブローラ及びテールローラ間に架け渡され、搬送用ベルトに対して半径方向外側に該搬送用ベルトから離隔して位置した無端状の駆動用平ベルトと、この平ベルトと搬送用ベルトとを連結する複数の弾性体とを備え、駆動用平ベルトの外周縁部には、この外周縁部に沿って連続的にビードが取り付けられているカーブベルトコンベヤが開示されている。
【0006】
カーブベルトコンベヤでは、コンベヤ運転時にコンベアベルトが内側に移動してしまう。これを阻止するために、コンベアベルトの外周側の端部近傍に樹脂製でなるビードを設けるとともに、ビードに接触してコンベアベルトの内側への移動を阻止するビードガイドを設けることが知られている。ビードガイドのうちのビードに当接する部材としては、両端が丸められた金属製の棒状部材をフッ化炭素樹脂で被覆したものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-338022号公報
【特許文献2】特開2009-234766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コンベアベルトの外周部に設けられたビードとビードガイドとは、互いに常時接触するように構成されている。このようにビードとビードガイドとが常時接触する場合には、コンベヤ運転時にビードとビードガイドとが擦れて摩耗粉が発生してしまう恐れがある。また、ビードとビードガイドとが常時接触する場合には、コンベヤ運転時にビードとビードガイドとの摩擦による摺動抵抗が大きくなってしまい、その分、モータへの負荷が大きく、モータの消費電力が大きくなってしまう。
【0009】
このため、ビードにグリスを塗布し、ビードとビードガイドとの摩擦による摩耗紛の発生と摺動抵抗とを低減することが考えられているが、グリスを塗布する作業が必要となってしまうとともに、グリスを使用する分だけコストが生じてしまうという問題があった。そこで、グリスを使用せずに、ビードとビードガイドとの接触箇所での摩耗紛の発生と摺動抵抗とを低減することが望まれている。
【0010】
本発明は、コンベヤ運転時の摩耗紛の発生と摺動抵抗とを従来よりも低減することができるビードガイド及びカーブベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のビードガイドは、架台に設けられ、軸線が所定の角度で交差する2本のエンドローラと、前記2本のエンドローラの間に架け渡されて平面扇形となり、外周縁部にベルト位置決め用のビードが取り付けられた無端状の搬送用ベルトとを有するカーブベルトコンベヤにおいて、少なくとも一部が前記ビードに接触することで前記搬送用ベルトの位置決めをして前記搬送用ベルトの移動を抑制するビードガイドであって、前記架台に対して固定される支持部と、樹脂から形成されており、かつ、前記支持部に支持され、前記支持部から前記外周縁部に沿った方向に延伸し、少なくとも一部が前記ビードに接触するように設けられている棒状部と、を備える。
【0012】
本発明のカーブベルトコンベヤは、架台に設けられ、軸線が所定の角度で交差する2本のエンドローラと、前記2本のエンドローラの間に架け渡されて平面扇形となり、外周縁部にベルト位置決め用のビードが取り付けられた無端状の搬送用ベルトと、ビードガイドと、を備え、前記ビードガイドは、前記架台に対して固定された支持部と、樹脂から形成されており、かつ、前記支持部に支持され、前記支持部から前記外周縁部に沿った方向に延伸し、少なくとも一部が前記ビードに接触するように設けられている棒状部と、を有し、少なくとも一部が前記ビードに接触することで前記搬送用ベルトの位置決めをして前記搬送用ベルトの移動を抑制する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のビードガイド及びカーブベルトコンベアによれば、コンベヤ運転時の摩耗紛の発生と摺動抵抗とを従来よりも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るカーブベルトコンベヤの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るビードガイドの斜視図である。
図3図2のビードガイドの図2とは異なる方向からの斜視図である。
図4図1のカーブベルトコンベヤのビードガイド近傍を横切る断面図である。
図5図1のカーブベルトコンベヤのビードガイドの側面図である。
図6図1のカーブベルトコンベヤのビードガイドの平面図である。
図7】実施例に係る動摩擦係数を示すグラフである。
図8】実施例に係る累計摩耗量を示すグラフである。
図9】実施例に係る摩耗量の時間変化を示すグラフである。
図10】実施例に係る電流値の時間変化を示すグラフである。
図11】他の実施形態に係るビードガイドの斜視図である。
図12】他の実施形態に係るビードガイドの支持部の斜視図である。
図13】他の実施形態に係るビードガイドの棒状部の斜視図である。
図14】他の実施形態に係るビードガイドの高さ調整部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。しかしながら、以下説明する形態は、あくまで例示であって、当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
【0016】
<実施形態>
(カーブベルトコンベヤ及びビードガイドの構成)
図1は、本実施形態に係るカーブベルトコンベヤ1の斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るカーブベルトコンベヤ1は、架台10と、2本のエンドローラ11,11と、搬送用ベルト12と、ビードガイド30とを含んで構成されている。カーブベルトコンベヤ1は、図示しない上流側のコンベヤと下流側のコンベヤとの間に設置され、上流側のコンベヤから搬送用ベルト12上に搬送物が送られ、当該搬送物を下流側のコンベヤへと円滑に受け渡す。
【0017】
架台10は、2本のエンドローラ11,11、搬送用ベルト12、及びビードガイド30などのカーブベルトコンベヤ1を構成する部材が取り付けられる台である。
【0018】
2本のエンドローラ11,11は、長手方向に沿って延びる軸線が所定の角度で交差するように配置され、不図示の軸受けによって回転自在に保持されながら架台10に設置されている。2本のエンドローラ11,11は、例えばいずれも直径が6~20mmの範囲内にある小径ローラである。エンドローラ11,11は、例えばそれぞれ周方向に分割された複数のローラからなる分割式の構成であり、この場合、エンドローラ11,11によって搬送用ベルトの外周側の周速と内周側の周速の差である周速差が吸収され、周速差を緩和することができる。エンドローラ11,11の軸線が交差する角度は特に限定されないが、図1に示すカーブベルトコンベヤ1ではエンドローラ11,11の軸線が交差する角度は約90°である。
【0019】
搬送用ベルト12は無端状のベルトであり、不図示の張力調整部によって適切な張力がかけられた状態で2本のエンドローラ11,11間に架け渡され、一部は架台10に対して固定された後述のコンベヤ基台14(図4)に支持されるようにして配置され、平面扇形の形状となっている。搬送用ベルト12には、モータが接続された駆動ローラなどの駆動部が設けられている。駆動部により、搬送用ベルト12は平面扇状の形状の周方向に移動可能である。搬送用ベルト12は、その外周縁部に沿って、後述のようにビード12b(図4)が搬送用ベルト12の表面に取り付けられている。
【0020】
ビードガイド30は、少なくとも一部がビード12bに接触することで搬送用ベルト12の位置決めをして搬送用ベルト12の内周への移動を抑制する。
【0021】
図2は、本実施形態に係るビードガイド30の斜視図であり、図1に示されたビードガイド30を詳細に示す。図3は、図2のビードガイド30の図2とは異なる方向からの斜視図である。本実施形態のビードガイド30は、支持部31と、棒状部32と、高さ調整部33とを含んで構成されている。
【0022】
また、本実施形態のビードガイド30は、支持部31が棒状部32と同一の樹脂で形成されており、支持部31及び棒状部32が一体に形成されている。さらに、高さ調整部33も支持部31及び棒状部32と同一の樹脂で形成されており、支持部31及び棒状部32と一体に形成されていている。
【0023】
なお、図2及び図3におけるZは、ビードガイド30の高さ方向を示す。Xは、ビードガイド30の支持部31における幅方向を示す。Yは、高さ方向Z及び幅方向Xと直交する方向であり、ビードガイド30をコンベヤ基台14に設置した際に、搬送用ベルト12の半径方向となる。
【0024】
支持部31は、コンベヤ基台14に固定される。支持部31は、コンベヤ基台14に固定される固定部31aを一端側に有し、固定部31aと一体成形された枠部31cを他端側に有する。枠部31cには、固定部31aと端部が一体成形されて対向配置された対の側板部31e,31fと、側板部31e,31fの先端を連接させる先端板部31gと、が設けられている。
【0025】
枠部31cは、これら側板部31e,31f及び先端板部31gが平面視でコ字状に配置され、固定部31aと側板部31e,31fと先端板部31gとで囲まれた領域に、厚みを貫通した開口部31bが設けられている。
【0026】
支持部31のコンベヤ基台14に固定される固定部31aには、コンベヤ基台14に固定するための凹状部などが設けられていても良い。支持部31は、コンベヤ基台14に固定される固定部31aから、搬送用ベルト12の外周縁部の上部に枠部31cが乗り出して搬送用ベルト12の外周縁部側から内周側へと枠部31cが延伸するように構成されている。
【0027】
ここで、本実施形態に係る支持部31は、全体が樹脂により一体成形され、かつ開口部31bが設けられていることから、例えば、棒状部32に与えられた外力が、当該棒状部32を介して枠部31cに与えられると、枠部31c及び開口部31bの形状が適宜変形し得、搬送用ベルト12のビード12bに対して棒状部32を均一に当接させ得る。
【0028】
高さ調整部33は、支持部31及び棒状部32と同じ樹脂により板状に形成されており、支持部31の先端板部31g及び棒状部32に一体成形されている。なお、高さ調整部33は、外側カバーを支持するために設けられている。図2に示すように、本実施形態に係る高さ調整部33は、高さ方向Z及び幅方向Xを含む、平面状の壁面33aを有し、当該壁面33aから棒状部32の周面までが連接部33bを介して平坦に形成されている。連接部33bは、壁面33aと棒状部32の周面との間に設けられ、壁面33aと棒状部32の周面との間の段差をなくして、壁面33aと棒状部32の周面とを平坦にしている。
【0029】
棒状部32は、丸棒状に形成され、支持部30に一体成形されており、支持部31に支持されている。棒状部32は、支持部31のコンベヤ基台14に固定される固定部31aから遠い側(枠部31c)から、搬送用ベルト12の外周縁部に沿って外周縁部の一方の方向に延伸するように形成された第1棒状部32aと、同じく搬送用ベルト12の外周縁部に沿って一方の方向とは逆方向である他方の方向に延伸するように形成された第2棒状部32bとを含んで構成されている。
【0030】
図4は、図1のカーブベルトコンベヤ1のビードガイド30近傍を横切る断面図である。コンベヤ基台14上に搬送用ベルト12が支持されている。搬送用ベルト12は、ベルト本体12aとビード12bとを含んで構成されている。ベルト本体12aは、例えばポリエステルなどの帆布を芯体とし、熱可塑性のポリウレタンなどを搬送面の表面材としたシートから無端状のベルトに加工して形成されたものである。ビード12bは、板状部21aと、壁状の肉厚部21bとを有する。ビード12bは、例えばポリアミド樹脂などの合成樹脂材などからなる。ビード12bは、搬送用ベルト12の外周縁部に沿って縫い付けられることなどにより取り付けられている。
【0031】
図5は、図1のカーブベルトコンベヤ1のビードガイド30の側面図である。図5は、XY平面に平行に設けられた搬送用ベルト12に対して取り付けられたビードガイド30をY方向から見たときの側面図である。搬送用ベルト12の上面に垂直な方向がZ方向である。図5では、搬送用ベルト12の上面のZ方向の位置(高さ)に対して、第1棒状部32aの支持部31に支持される根本部32aAのZ方向の位置(高さ)をH1、及び第1棒状部32aの先端部32aBのZ方向の位置(高さ)をH2とそれぞれ示している。第1棒状部32aは、搬送用ベルト12の高さを基準に、先端部32aBの高さが根本部32aAの高さよりも高くなるように根本部32aAから先端部32aBに向かうに従って搬送用ベルト12から次第に離れるように傾いている。即ち、第1棒状部は、搬送用ベルト12から先端部32aBのまでの距離が、搬送用ベルト12から根本部32aAまでの距離よりも大きくなるように傾いて構成されていることが好ましい。これにより搬送用ベルト12の周方向の移動の安定性を高めることができる。図5では第1棒状部32aを示しているが、第2棒状部32bも同様である。
【0032】
図6は、図1のカーブベルトコンベヤ1のビードガイド30の平面図である。図6は、XY平面に平行に設けられた搬送用ベルト12に対して取り付けられたビードガイド30をZ方向から見たときの平面図である。棒状部32は、例えば、搬送用ベルト12の外周縁部に沿って湾曲(外周縁部に沿った形状の曲率を有して湾曲)している。図6に示すように、棒状部32の湾曲の曲率32Rは、搬送用ベルト12の外周縁部の曲率12Rよりも大きい、即ち、棒状部32の湾曲の曲率半径は、搬送用ベルト12の外周縁部の曲率半径よりも小さいことが好ましい。これにより搬送用ベルト12の周方向の移動の安定性を高めることができる。
【0033】
棒状部32は、少なくとも一部がビード12bの内周側の側面に接触するように設けられている。棒状部32は、例えば端部の短い範囲のみをテーパ状に形成した丸棒の形状を有すると共に、肉厚部21bの内周側の傾斜面に当接する曲率半径で円弧状に形成されている。
【0034】
本実施形態のビードガイド30において、支持部31、高さ調整部33及び棒状部32(第1棒状部32a、第2棒状部32b)は樹脂からなる。支持部31、高さ調整部33及び棒状部32を構成する樹脂としては、フッ素含有ポリアセタール(ポリオキシメチレン:POM)、シリコン含有POM、ポリフェニレンスルファイド、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸からなるポリアミド等のポリアミドなどを用いることができ、耐摩耗性の観点から、特にフッ素含有POMを用いることが好ましい。
【0035】
なお、このようなビードガイド30は、例えば、射出成形によって製造することができるため、部品を組み立てる作業が不要となり、その分、製造時の作業工程を削減できるとともに、コスト低減を図ることができる。
【0036】
(作用及び効果)
本実施形態のビードガイド30は、ビード12bに接触する棒状部32を樹脂で形成したことによって、コンベヤ運転時、棒状部32がビード12bに接触して摺動している際に、ビード12bから与えられた外力に応じて棒状部32が従来よりも一段と柔軟に可動できることから、ビード12bから与えられる負荷を棒状部32において低減でき、その分、ビード12bとの接触箇所における摩耗紛の発生と摺動抵抗とを低減することができる。
【0037】
また、ビードガイド30は、ビード12bから与えられた外力に応じて樹脂の棒状部32が柔軟に可動することから、棒状部32をビード12bに均一に接触させることができ、搬送用ベルト12の内側への移動を確実に防止することができる。
【0038】
ところで、従来のビードガイドとしては、ステンレス鋼などの金属製でなる丸棒状の棒状部基体の表面に、テフロン(登録商標)コーティングを施工し、棒状部基体の表面に樹脂層が形成された棒状部を有するビードガイドが考えられてきた。この従来のビードガイドでは、グリスを塗布した棒状部の樹脂層をビード12bに接触させて摺動させ、コンベア運転時における搬送用ベルト12の内側への移動を抑制している。また、従来のビードガイドは、棒状部と、金属製プレートの高さ調整部と、樹脂製の支持部とがそれぞれ別体で構成されており、これら棒状部と高さ調整部と支持部とを組み立てる作業が必要であった。
【0039】
これに対して、本実施形態に係るビードガイド30は、棒状部32の内部全体が樹脂により形成されていることから、内部に金属製の棒状部基体が設けられた、従来の棒状部に比して柔軟性があり、コンベア運転時、ビード12bから与えられる外力に応じて棒状部32が可動することでビード12bから与えられる負荷を低減させることができる。これにより、本実施形態に係るビードガイド30は、ビード12bとの接触箇所における摩耗紛の発生と摺動抵抗とを従来よりも一段と低減することができる。
【0040】
このようなビードガイド30では、従来使用していたグリスを使用しなくても、棒状部32のビード12bとの接触箇所における摩耗紛の発生と摺動抵抗とを低減することができるので、当該グリスを使用しない分だけ、グリスの塗布作業の削減とコスト低減を図ることができる。
【0041】
また、ビードガイド30では、コンベヤ運転時、棒状部32がビード12bに摺動する際の摺動抵抗を低減できる分、搬送用ベルト12を駆動させるモータへの負荷を低減でき、かくして、モータの消費電力の低減を図ることができる。
【0042】
これに加えて、本実施形態に係るビードガイド30では、樹脂により形成された枠部31cが、ビード12bから棒状部32を介して与えられる外力に応じて変形し得、これにより、ビード12bから与えられる負荷を一段と低減させることができので、その分、ビード12bとの接触箇所における摩耗紛の発生と摺動抵抗とを低減することができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係るビードガイド30は、支持部31と棒状部32と高さ調整部33とを樹脂により一体成形して一体化したことにより、その分、従来の組み立て作業も不要となり、取り付け時における作業者の負担を軽減させることができる。そして、ビードガイド30は、支持部31と棒状部32と高さ調整部33とを樹脂により一体成形して一体化したことにより、部品点数の削減を図ることができ、その分、コスト低減を図ることができる。
【0044】
<実施例>
(動摩擦係数)
次に、ビードガイド30に用いる樹脂に関して動摩擦係数を測定した。ここでは、ビードガイド30の棒状部32に相当する試験用板材を、樹脂の種類等を変えて製造し、各試験用板材の動摩擦係数について測定した。
【0045】
実施例1として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS:Poly Phenylene Sulfide Resin)(DIC株式会社製、製品名FZL-4033)からなる板状(縦50mm、横50mm、厚さ50mm)の試験用板材を用意し、実施例2として、フッ素入りPOM(ポリアセタール)(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、製品名FL2020)からなる板状(縦50mm、横50mm、厚さ50mm)の試験用板材を用意し、実施例3として、シリコン入りPOM(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、製品名FL2022)からなる板状(縦50mm、横50mm、厚さ50mm)の試験用板材を用意した。
【0046】
また、比較例1として、直径φが8mmの棒状のステンレス鋼の棒状部基体をポリテトラフルオロエチレンで被覆した、従来のビードガイドの棒状部を用意した。
【0047】
ヘイドン式表面性測定器を使用して、これら実施例1~3及び比較例1を、ナイロン(東レ株式会社製、製品名CM3003G1000)に、摺動速度5mm/s、荷重4.9Nでそれぞれ摺動させ、そのときの各動摩擦係数を測定した。
【0048】
図7は、その結果得られた動摩擦係数の測定結果を示すグラフである。図7に示すように、実施例1の動摩擦係数は、0.15であり、実施例2の動摩擦係数は、0.10であり、実施例3の動摩擦係数は、0.10であった。一方、比較例1の動摩擦係数は、0.16であった。実施例1~3の動摩擦係数は、比較例1よりも小さく、特に実施例2及び実施例3が最も小さかった。
【0049】
(累計摩耗量)
次に、ピコ摩耗試験機を使用して、上記の実施例1~3に試験機の刃物を当てて回転させたときの各累計摩耗量を測定した。ここでは、44Nの荷重を印加して60rpmの回転数で、実施例1~3を試験機の刃物を当てて回転させ、正方向及び逆方向に交互に20回転ずつ、総計で80回転を1セットとし、3セット試験を行ったときの累計の摩耗量を測定した。
【0050】
図8は、その結果得られた累計摩耗量の測定結果を示すグラフである。図8に示すように、実施例1の累計摩耗量は、18.8mgであり、実施例2の累計摩耗量は、8.8mgであり、実施例3の累計摩耗量は、18.1mgであった。実施例1~3の中では、実施例2の累計摩耗量が最も小さかった。
【0051】
(摩耗量の時間変化)
次に、上記の実施例2と同じフッ素入りPOMにより棒状部と支持部と高さ調整部とを一体成形したビードガイド(実施例4)を用意した。また、金属製の棒状部基体をポリテトラフルオロエチレンで被覆した棒状部と、樹脂製の支持部と、金属製の高さ調整部とを別体とし、これらを組み立てた従来のビードガイド(比較例2)を用意した。そして、試験用のカーブベルトコンベヤに実施例4及び比較例2のビードガイドを設定し、長時間運転したときのビード及びビードガイドの摺動部分の摩耗量の時間変化を測定した。
【0052】
試験機としてEC-I 90-20-50(無負荷)を4台準備し、うち3台に実施例4のビードガイドを取り付け、1台に比較例2のビードガイドを取り付けた。運転速度は30m/minとし、スリップトルク設定値は6.0~7.0kg・cm(定格5.5~7.0kg・cm)、電流値は定格0.45A以下とした。
【0053】
図9は、その測定結果である、摩耗量の時間変化を示すグラフである。図9において、縦軸は摩耗量(gf)を示し、横軸は運転時間(h)を示す。実施例4の結果を直線a~cで示す。比較例2の結果を直線xで示す。実施例4では、直線aで示すように0~2000hの運転で摩耗量はほぼ0であり、直線bで示すように2000~4000hの運転で摩耗量は0.7gfであり、直線cで示すように2000~6000hの運転で摩耗量は1.0gfであった。一方、比較例2では、直線xで示すように、0-6000hの運転で摩耗量は1.8gfであった。実施例4の摩耗量は、比較例2より小さくなることが確認できた。
【0054】
(電流値の時間変化)
次に、上述した実施例4及び比較例2のビードガイドについて、上記の摩耗量の時間変化の測定において、同時に電流値の時間変化についても測定したところ、図10に示すような結果が得られた。
【0055】
図10は、電流値の時間変化の測定結果を示すグラフであり、縦軸は電流値(A)を示し、横軸は運転時間(h)を示す。実施例4の結果をグラフa~cで示す。比較例2の結果をグラフxで示す。実施例4では、グラフa~cのいずれも、比較例2のグラフxより小さい電流値であった。
【0056】
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態においては、図2及び図3に示すように、棒状部32の周面と高さ調整部33の壁面33aとの間に段差がなく平面状に形成されたビードガイド30を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。他の実施形態に係るビードガイドとして、例えば、図11に示すように、棒状部32の周面と高さ調整部33の壁面33aとの間に段差が形成されたビードガイド30Xを適用してもよい。
【0057】
このビードガイド30Xは、支持部31Xと、棒状部32Xと、高さ調整部33Xとが樹脂により一体成形された構成を有する。なお、この支持部31Xにおいても、上述した実施形態と同様に、コンベヤ基台14に固定される固定部31Xaと、固定部31Xaと一体成形された枠部31Xcとを有する。枠部31Xcには、固定部31Xaと端部が一体成形されて対向配置された対の側板部31Xe、31Xfと、側板部31Xe、31Xfの先端を連接させる先端板部31Xgと、が設けられている。
【0058】
枠部31Xcは、これら側板部X31e、31Xf及び先端板部31Xgが平面視でコ字状に配置され、固定部31Xaと側板部31Xe、31Xfと先端板部31Xgとで囲まれた領域に、厚みを貫通した開口部31Xbが設けられている。
【0059】
棒状部32Xは、上記の構成の支持部31Xと一体成形されており、当該支持部31Xに支持されている。棒状部32Xは、枠部31Xcの一方の側板部31Xfから、搬送用ベルト12の外周縁部に沿った一方の方向に延伸する第1棒状部32Xaを有し、枠部31Xcの他方の側板部31Xeから、同じく搬送用ベルト12の外周縁部に沿って一方の方向とは逆方向である他方の方向に延伸する第2棒状部32Xbを有する。
【0060】
上記の実施形態では、棒状部32は支持部31の端部から、搬送用ベルト12の外周縁部に沿った一方の方向及び他方の方向に延伸する構成であったが、他の実施形態に係るビードガイド30Xでは、支持部31Xの先端板部31Xgに一体成形された高さ調整部33Xから、所定の距離を設けて棒状部32Xが形成されており、棒状部32Xと高さ調整部33Xの壁面33Xaとの間に段差が設けられている。
【0061】
以上のような構成を有したビードガイド30Xでも、上述した実施形態に係るビードガイド30と同様に、ビード12bに接触する棒状部32Xが樹脂から構成されていることによって、コンベヤ運転時の摩耗紛の発生と摺動抵抗とを従来よりも低減させることができる。
【0062】
<棒状部が別体からなるビードガイド>
上述した実施形態においては、ビードガイドとして、支持部31と棒状部32と高さ調整部33とが樹脂により一体成形されたビードガイド30を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、棒状部が樹脂からなるビードガイドであれば、種々の形状及び構成を有したビードガイドを適用してもよい。
【0063】
棒状部が樹脂からなるビードガイドであれば、例えば、図12図13及び図14に示すように、支持部31Yと棒状部32Yと高さ調整部33Yとが別体に形成されたビードガイドであってもよい。
【0064】
ビードガイドとして、支持部31Yと、棒状部32Yと、高さ調整部33Yとを全て樹脂で形成してもよく、例えば、高さ調整部33Yを金属で形成し、支持部31Y及び棒状部32Yを樹脂で形成してもよい。
【0065】
支持部31Yと、棒状部32Yと、高さ調整部33Yとは同一の樹脂で形成されていてもよく、異なる樹脂で形成されていてもよい。支持部31Y及び高さ調整部33Yとは樹脂で形成されていなくてもよい。
【0066】
なお、支持部31Yは、コンベヤ基台14に固定される固定部31Yaと、固定部31Yaと一体成形された枠部31Ycとを有する。枠部31Ycには、固定部31Yaと端部が一体成形されて対向配置された対の側板部31Ye、31Yfと、側板部31Ye、31Yfの先端を連接させる先端板部31Ygと、が設けられている。
【0067】
枠部31Ycは、これら側板部Y31e、31Yf及び先端板部31Ygが平面視でコ字状に配置され、固定部31Yaと側板部31Ye、31Yfと先端板部31Ygとで囲まれた領域に、厚みを貫通した開口部31Ybが設けられている。
【0068】
この場合、上記の構成の支持部31Yの取り付け部31Ydに、棒状部32Yが取り付けられる。この実施形態では、支持部31Yと、棒状部32Yと、高さ調整部33Yとは互いにネジなどを用いて固定されていてもよく、接着剤などを用いて固定されていてもよい。
【0069】
このように、他の実施形態に係るビードガイドのように、少なくともビード12bに接触する棒状部32X,32Yが樹脂から構成されていることによって、コンベヤ運転時、棒状部32X,32Yがビード12bに接触して摺動している際、上述した実施形態と同様に、ビード12bから与えられた外力に応じて棒状部32X,32Yが従来よりも一段と柔軟に可動できることから、ビード12bから与えられる負荷を棒状部32X,32Yにおいて低減でき、その分、ビード12bとの接触箇所における摩耗紛の発生と摺動抵抗とを低減することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態においては、支持部として、開口部31b,31Xb,31Ybを形成する枠部31c,31Xc,31Ycを設けた支持部31,31X,31Yを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、開口部31b,31Xb,31Ybを設けずに開口部31b,31Xb,31Yb内を中実状に形成した支持部を適用してもよい。
【0071】
また、上述した本実施形態においては、支持部31を中心に第1棒状部32a及び第2棒状部32bが左右対称に形成されている棒状部32について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、一方の第1棒状部32aが他方の第2棒状部32bよりも短くなった棒状部や、第1棒状部の曲率と第2棒状部の曲率とを変えた棒状部など、支持部31を中心に第1棒状部及び第2棒状部が左右非対称に形成されている棒状部であってもよい。なお、図11に示すビードガイド30Xも同様に、第1棒状部32Xa及び第2棒状部32Xbを支持部31Xに対して左右非対称に形成してもよい。また、図12に示す支持部31Yと、図13に示す棒状部32Yと、図14に示す高さ調整部33Yとを組み立てることにより形成されるビードガイドも同様に、第1棒状部32Ya及び第2棒状部32Ybを支持部31Yに対して左右非対称に形成してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態においては、例えば、高さ調整部33を設けたビードガイド30を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、高さ調整部33を設けずに、支持部31と棒状部32とからなるビードガイドを適用してもよい。この場合、棒状部32は支持部31の先端板部31gに一体成形されることが望ましい。
【符号の説明】
【0073】
1 カーブベルトコンベヤ
10 架台
11 エンドローラ
12 搬送用ベルト
12a ベルト本体
12b ビード
14 コンベヤ基台
21a 板状部
21b 肉厚部
30 ビードガイド
31 支持部
31a 支持部本体
31b 開口部
32 棒状部
32a 第1棒状部
32b 第2棒状部
33 高さ調整部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14