(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143550
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
A63C 17/01 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A63C17/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044108
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕美
(57)【要約】
【課題】ハンドルのロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にする技術を提供する。
【解決手段】持ち運びが可能な移動体は、ステップ部と、ハンドル部と、ハンドル軸部と、ハンドルロック装置と、を備える。ハンドル軸部は、ハンドル部の操作と前輪の動きが連動するようにハンドル部と前輪とを連結し、ステップ部に対して相対的に回転するようにステップ部に連結される。ハンドルロック装置は、当該回転が自在な状態であるアンロック状態と、当該回転が抑制された状態であるロック状態と、をハンドル軸部の中心軸方向に沿ってステップ部に掛かる荷重に基づき切り替え可能に構成される。また、ハンドルロック装置は、ハンドル軸部の中心軸方向に沿って前輪側に向かう方向である下方向への荷重がステップ部に掛かる場合、ハンドル軸部をアンロック状態とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運びが可能な移動体であって、
当該移動体の使用者が走行時に乗る部分であり、後輪が連結されるステップ部と、
前記使用者が走行時の操作のために用いるハンドル部と、
前記ハンドル部の操作と前輪の動きが連動するように前記ハンドル部と前記前輪とを連結し、前記ステップ部に対して相対的に回転するように前記ステップ部に連結されるハンドル軸部と、
前記回転が自在な状態であるアンロック状態と、前記回転が抑制された状態であるロック状態と、を前記ハンドル軸部の中心軸方向に沿って前記ステップ部に掛かる荷重に基づき切り替え可能に構成されるハンドルロック装置と、
を備え、
前記ハンドルロック装置は、前記中心軸方向に沿って前記前輪側に向かう方向である下方向への荷重が前記ステップ部に掛かる場合、前記ハンドル軸部を前記アンロック状態とする、移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体であって、
前記ステップ部は、前記下方向に荷重が掛かる場合、当該ステップ部の少なくとも一部が前記下方向に移動するように構成され、
前記ハンドルロック装置は、
前記ハンドル軸部に回転可能に取り付けられ、前記ステップ部の前記下方向への移動に連動して前記下方向へ移動するように構成される取付部を有し、
前記取付部が前記下方向に移動した場合、前記ハンドル軸部を前記アンロック状態とする、移動体。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体であって、
前記ハンドルロック装置は、
前記中心軸方向に沿って前記下方向とは反対向きの方向である上方向に向かう付勢力を有する付勢部材を有し、
前記下方向への荷重が前記ステップ部に掛からず、前記付勢部材の前記付勢力により前記取付部が前記上方向に移動した場合、前記ハンドル軸部を前記ロック状態とする、移動体。
【請求項4】
持ち運びが可能な移動体であって、
当該移動体の使用者が走行時に乗る部分であり、後輪が連結されるステップ部と、
前記使用者が走行時の操作のために用いるハンドル部と、
前記ハンドル部の操作と前輪の動きが連動するように前記ハンドル部と前記前輪とを連結し、前記ステップ部に対して相対的に回転するように前記ステップ部に連結されるハンドル軸部と、
前記回転が自在な状態であるアンロック状態と、前記回転が抑制された状態であるロック状態と、を前記ハンドル軸部の中心軸方向に沿って前記ステップ部に掛かる荷重に基づき切り替え可能に構成されるハンドルロック装置と、
を備え、
前記ハンドルロック装置は、前記中心軸方向に沿って前記前輪側に向かう方向である下方向への荷重が前記ステップ部に掛からない場合、前記ハンドル軸部を前記ロック状態とする、移動体。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体であって、
前記ステップ部は、当該ステップ部の少なくとも一部が上下方向の所定の範囲において移動するように構成され、
前記ハンドルロック装置は、
前記ハンドル軸部に回転可能に取り付けられ、前記ステップ部の前記上下方向のうち上方向への移動に連動して前記上方向へ移動するように構成される取付部と、
前記上方向に向かう付勢力を有する付勢部材と、を有し、
前記下方向への荷重が前記ステップ部に掛からず、前記付勢部材の前記付勢力により前記取付部が前記上方向に移動した場合、前記ハンドル軸部を前記ロック状態とする、移動体。
【請求項6】
請求項2、請求項3及び請求項5のいずれか1項に記載の移動体であって、
前記ハンドルロック装置は、
前記ハンドル軸部に設けられる第1係合部と、前記取付部に設けられる第2係合部と、を有し、
第1位置に前記取付部が位置し、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合する場合、前記ハンドル軸部を前記ロック状態とし、
前記第1位置よりも低い位置である第2位置に前記取付部が位置し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合が外れる場合、前記ハンドル軸部を前記アンロック状態とする、移動体。
【請求項7】
請求項6に記載の移動体であって、
前記第1係合部は、前記ハンドル軸部の外周面から突出する少なくとも1つの凸部であり、
前記取付部は、筒状の形状を有し、
前記ハンドル軸部は、前記取付部の内部を貫通し、
前記第2係合部は、前記取付部の前記ハンドル軸部と対向する内周面に設けられる少なくとも1つの凹部であり、
前記少なくとも1つの凸部は、前記取付部が前記第1位置にあるときに前記少なくとも1つの凹部に挿入され、前記取付部が前記第2位置にあるときに前記少なくとも1つの凹部から外れるように構成される、移動体。
【請求項8】
請求項7に記載の移動体であって、
前記少なくとも1つの凹部は、前記中心軸方向に沿って前記下方向ほど、前記取付部の周方向に沿った幅が狭くなる形状を有する、移動体。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の移動体であって、
前記少なくとも1つの凹部の数は、前記少なくとも1つの凸部の数と異なる、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
移動手段として、足で路面を蹴って走行するキックスケータなどと呼ばれる移動体が知られている。
引用文献1には、使用者が乗る部分であるデッキの前端に設けられるハンドル支持体によって、前輪を操舵するためのハンドルが回転自在に支持されるスケータが開示されている。このスケータは、ハンドル支持体とデッキとが近接するように折り畳んだ状態で安定して持ち運べるように、ハンドルとそれ以外の部材とを回転不能に保持するためのハンドルロック装置を有する。このハンドルロック装置は、使用者が手指にて上下方向に旋回させることで、ハンドルのロック状態とアンロック状態とを切替可能な旋回プレートを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したスケータでは、ハンドルをアンロック状態からロック状態、又は、ロック状態からアンロック状態に切り替えるために、旋回プレートを使用者が手指で上下させる操作が必要であった。
【0005】
本開示の一局面は、ハンドルのロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、持ち運びが可能な移動体であって、ステップ部と、ハンドル部と、ハンドル軸部と、ハンドルロック装置と、を備える。ステップ部は、当該移動体の使用者が走行時に乗る部分であり、後輪が連結される。ハンドル部は、使用者が走行時の操作のために用いる。ハンドル軸部は、ハンドル部の操作と前輪の動きが連動するようにハンドル部と前輪とを連結し、ステップ部に対して相対的に回転するようにステップ部に連結される。ハンドルロック装置は、回転が自在な状態であるアンロック状態と、回転が抑制された状態であるロック状態と、をハンドル軸部の中心軸方向に沿ってステップ部に掛かる荷重に基づき切り替え可能に構成される。また、ハンドルロック装置は、ハンドル軸部の中心軸方向に沿って前輪側に向かう方向である下方向への荷重がステップ部に掛かる場合、ハンドル軸部をアンロック状態とする。
【0007】
このような構成では、ステップ部に下方向への荷重が掛かると、ハンドルロック装置によってハンドル軸部がアンロック状態となる。つまり、移動体の使用者がステップ部に乗ることで、ハンドル軸部がロック状態からアンロック状態に切り替わるため、ロック状態とアンロック状態とを切り替えるための構成部品を移動体の使用者が手指で操作しなくてもよい。換言すると、移動体の使用者がステップ部に乗ることで、ハンドル部のロックが容易に解除される。したがって、ハンドル軸部及びハンドル軸部と連結するハンドル部のロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にすることができる。
【0008】
本開示の一態様では、ステップ部は、下方向に荷重が掛かる場合、当該ステップ部の少なくとも一部が下方向に移動するように構成されてもよい。ハンドルロック装置は、取付部を有してもよい。取付部は、ハンドル軸部に回転可能に取り付けられ、ステップ部の下方向への移動に連動して下方向へ移動するように構成される。ハンドルロック装置は、取付部が下方向に移動した場合、ハンドル軸部をアンロック状態としてもよい。このような構成によれば、ステップ部の下方向への移動と連動して取付部を下方向に移動させるという簡易な構成によって、ハンドル軸部をアンロック状態とするハンドルロック装置を構成することができる。
【0009】
本開示の一態様では、ハンドルロック装置は、付勢部材を有してもよい。付勢部材は、ハンドル軸部の中心軸方向に沿って下方向とは反対向きの方向である上方向に向かう付勢力を有する。ハンドルロック装置は、下方向への荷重がステップ部に掛からず、付勢部材の付勢力により取付部が上方向に移動した場合、ハンドル軸部をロック状態としてもよい。このような構成では、ステップ部に掛かっていた下方向への荷重が掛からなくなると、付勢部材の付勢力によって、ステップ部の上方向への移動と連動して取付部が上方向に移動し、ハンドル軸部がロック状態となる。つまり、使用者がステップ部から降りることで、ハンドル軸部がアンロック状態からロック状態に切り替わるため、ロック状態とアンロック状態とを切り替えるための構成部品を移動体の使用者が手指で操作しなくてもよい。換言すると、使用者がステップ部から降りることで、ステップ部の上方向への移動と連動して取付部を上方向に移動させるという簡易な構成によって、ハンドル部のロックが容易に掛かる。したがって、ハンドル軸部及びハンドル軸部と連結するハンドル部のロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にすることができる。
【0010】
本開示の一態様は、持ち運びが可能な移動体であって、ステップ部と、ハンドル部と、ハンドル軸部と、ハンドルロック装置と、を備える。ステップ部は、当該移動体の使用者が走行時に乗る部分であり、後輪が連結される。ハンドル部は、使用者が走行時の操作のために用いる。ハンドル軸部は、ハンドル部の操作と前輪の動きが連動するようにハンドル部と前輪とを連結し、ステップ部に対して相対的に回転するようにステップ部に連結される。ハンドルロック装置は、回転が自在な状態であるアンロック状態と、回転が抑制された状態であるロック状態と、をハンドル軸部の中心軸方向に沿ってステップ部に掛かる荷重に基づき切り替え可能に構成される。また、ハンドルロック装置は、ハンドル軸部の中心軸方向に沿って前輪側に向かう方向である下方向への荷重がステップ部に掛からない場合、ハンドル軸部をロック状態とする。
このような構成では、ステップ部に下方向への荷重が掛からないと、ハンドルロック装置によってハンドル軸部はロック状態にある。つまり、移動体の使用者がステップ部に乗っていない状態では、ハンドル軸部がロック状態であるため、ロック状態とアンロック状態とを切り替えるための構成部品を移動体の使用者が手指で操作しなくてもよい。したがって、ハンドル軸部及びハンドル軸部と連結するハンドル部のロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、ステップ部は、当該ステップ部の少なくとも一部が上下方向の所定の範囲において移動するように構成されてもよい。ハンドルロック装置は、取付部と、付勢部材と、を有してもよい。取付部は、ハンドル軸部に回転可能に取り付けられ、ステップ部の上下方向のうち上方向への移動に連動して上方向へ移動するように構成される。付勢部材は、ハンドル軸部の中心軸方向に沿ってハンドル部側に向かう方向である上方向に向かう付勢力を有する。ハンドルロック装置は、下方向への荷重がステップ部に掛からず、付勢部材の付勢力により取付部が上方向に移動した場合、ハンドル軸部をロック状態としてもよい。このような構成では、ステップ部に下方向への荷重が掛からなくなると、付勢部材の付勢力によって、ステップ部の上方向への移動と連動して取付部が上方向に移動し、ハンドル軸部がロック状態となる。つまり、使用者がステップ部から降りることで、ステップ部の上方向への移動と連動して取付部を上方向に移動させるという簡易な構成によって、ハンドル部のロックが容易に掛かる。したがって、ハンドル軸部及びハンドル軸部と連結するハンドル部のロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にすることができる。
【0012】
本開示の一態様では、ハンドルロック装置は、第1係合部と、第2係合部と、を有してもよい。第1係合部は、ハンドル軸部に設けられる。第2係合部は、取付部に設けられる。ハンドルロック装置は、第1位置に取付部が位置し、第1係合部と第2係合部とが係合する場合、ハンドル軸部をロック状態としてもよい。ハンドルロック装置は、第1位置よりも低い位置である第2位置に取付部が位置し、第1係合部と第2係合部との係合が外れる場合、ハンドル軸部をアンロック状態としてもよい。このような構成によれば、取付部が第1位置に位置するときに、第1係合部と第2係合部との係合によって、ハンドル軸部の取付部に対する相対的な回転を抑制することができる。また、取付部が第2位置に位置するときに、第1係合部と第2係合部との係合が外れることによって、当該回転を自在とすることができる。つまり、第1係合部と第2係合部とを係合させる、又は、第1係合部と第2係合部との係合を外すという簡易な構成によって、ハンドル軸部のロック状態とアンロック状態とを切り替え可能なハンドルロック装置を構成することができる。
【0013】
本開示の一態様では、第1係合部は、ハンドル軸部の外周面から突出する少なくとも1つの凸部であってもよい。取付部は、筒状の形状を有してもよい。ハンドル軸部は、取付部の内部を貫通してもよい。第2係合部は、取付部のハンドル軸部と対向する内周面に設けられる少なくとも1つの凹部であってもよい。少なくとも1つの凸部は、取付部が第1位置にあるときに少なくとも1つの凹部に挿入され、取付部が第2位置にあるときに少なくとも1つの凹部から外れるように構成されてもよい。このような構成によれば、凸部が凹部に挿入、又は、凸部が凹部から外れるという簡易な構成によって、ハンドル軸部のロック状態とアンロック状態とを切り替え可能なハンドルロック装置を構成することができる。
【0014】
本開示の一態様では、少なくとも1つの凹部は、ハンドル軸部の中心軸方向に沿って下方向ほど、取付部の周方向に沿った幅が狭くなる形状を有してもよい。このような構成では、取付部が付勢部材の付勢力によって上方向へ移動する際に、凸部がまず凹部の幅が広い部分に挿入される。凹部の幅が広い部分では、凸部が凹部内を中心軸を中心とした回転方向へ移動し得る。このため、ステップ部に対してハンドル軸部が当該回転方向において広い角度範囲を取り得る。その後、取付部が上方向へ更に移動する際に、凹部の幅が狭い部分へ誘導される。このように、凹部の幅が徐々に狭くなることで、ステップ部に対してハンドル軸部が当該回転方向において取り得る角度範囲が狭くなる。このため、移動体の使用者がステップ部から降りる際に、ステップ部に対してハンドル軸部が所定の角度となる位置からズレている場合でも、ステップ部に対してハンドル軸部が所定の角度となる位置でハンドル部をロックさせることができる。
【0015】
本開示の一態様では、少なくとも1つの凹部の数は、少なくとも1つの凸部の数と異なってもよい。このような構成では、凸部よりも多く凹部が複数、又は、凹部よりも多く凸部が複数設けられる。このため、移動体の使用者がステップ部から降りる際に、ステップ部に対してハンドル軸部が所定の角度となる位置からズレている場合にも、ステップ部に対してハンドル軸部が当該ズレた位置で、ハンドル部をロックさせることができる。また、当該ズレた位置から使用者がハンドル軸部を回転させることで、ステップ部に対してハンドル軸部が所定の角度となる位置でハンドル部をロックさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ハンドル軸部がロック状態にあるキックスケータを示す側面図である。
【
図2】ハンドル軸部がロック状態にあるキックスケータを上方から見た模式図である。
【
図3】ハンドル軸部がアンロック状態にあるキックスケータを示す側面図である。
【
図4】ハンドル軸部がアンロック状態にあるキックスケータを上方から見た模式図である。
【
図5】
図2におけるハンドルロック装置のV-V断面を示す模式図である。
【
図6】
図5におけるハンドルロック装置のVI-VI断面を示す模式図である。
【
図7】
図4におけるハンドルロック装置のVII-VII断面を示す模式図である。
【
図8】
図7におけるハンドルロック装置のVIII-VIII断面を示す模式図である。
【
図9】軸受部に設けられる凹部の形状の変形例を示す図である。
【
図10】
図9に示す形状の凹部を有する軸受部を備えるキックスケータにおいて、軸受部の上方向への移動に伴い、正位置以外の位置から正位置へステップ部が誘導される状態を示す図である。
【
図11】ハンドル軸部に複数の第1係受部が設けられ、軸受部に複数の凹部が設けられる構成を示す図である。
【
図12】
図11に示す複数の第1係受部を有するハンドル軸部及び複数の凹部を有する軸受部を備えるキックスケータにおいて、正位置以外の位置で固定されたステップ部を正位置へ回転させる状態を示す図である。
【
図13】第1係受部が凹部よりも多く設けられる構成を示す図である。
【
図14】凹部が第1係受部よりも多く設けられる構成を示す図である。
【
図15】ハンドル軸部がロック状態にあるハンドルロック装置の変形例の断面を示す模式図である。
【
図16】
図15におけるハンドルロック装置のXVI-XVI断面を示す模式図である。
【
図17】ハンドル軸部がアンロック状態にあるハンドルロック装置の変形例の断面を示す模式図である。
【
図18】
図17におけるハンドルロック装置のXVIII-XVIII断面を示す模式図である。
【
図19】
図16のハンドルロック装置の変形例の構成において、凸部が凹部よりも多く設けられる構成を示す図である。
【
図20】
図16のハンドルロック装置の変形例の構成において、凹部が凸部よりも多く設けられる構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1-1.構成]
図1~
図4に示すキックスケータ100は、当該キックスケータ100の使用者等による持ち運びが可能な移動体である。キックスケータ100は、
図1及び
図3に示すように、キックスケータ100の使用者が乗車して走行可能な展開した状態で用いられる。以下の説明では、ハンドル部1の中心軸Bに対してステップ部3の中心軸Cが垂直となる位置である正位置にあるキックスケータ100に正常に乗車した使用者を基準に、上下方向、前後方向及び左右方向を表現する。なお、説明の便宜上、以下の説明において、
図1及び
図3における中心軸A方向も上下方向として説明する。
【0018】
図1~
図4に示すように、キックスケータ100は、ハンドル部1と、ハンドル軸部2と、ステップ部3と、リンク機構4と、ハンドルロック装置5と、軸受部55と、前輪6と、後輪7と、を備える。なお、
図2及び
図4では、説明の便宜上、ハンドル部1を仮想線で示し、前輪6及び後輪7の図示を省略する。キックスケータは、前輪及び後輪を1つずつ備えてもよく、前輪及び後輪を複数ずつ、例えば、2つずつ備えてもよい。また、キックスケータが備える前輪と後輪との数は、同じ数でなくてもよい。例えば、2つの前輪及び1つの後輪を有してもよく、1つの前輪及び2つの後輪を有してもよい。
【0019】
<ハンドル部>
ハンドル部1は、キックスケータ100の使用者が走行時の操作のために手で把持して用いる。ハンドル部1は、左右方向に長さを有する棒状の部材である。
【0020】
<ハンドル軸部>
ハンドル軸部2は、ハンドル部1の操作と前輪6の動きが連動するように、ハンドル部1と前輪6とを連結する。ハンドル軸部2は、ハンドル部1から下方へ延びるように上下方向に長さを有する。ハンドル軸部2は、管状のパイプである。ハンドル軸部2は、当該ハンドル軸部2の中心軸Aを回転軸として、ステップ部3に対して相対的に回転するように、後述する軸受部55及びリンク機構4を介して、ステップ部3に連結される。なお、ハンドル軸部は、1つの部品により構成されていてもよく、複数の部品により構成されていてもよい。
【0021】
<ステップ部>
ステップ部3は、キックスケータ100の使用者が走行時に足を置いて乗る部分である。ステップ部3は、当該ステップ部3の後方側端部に取り付けられるサポート部31を介して後輪7が連結される。ステップ部3は、前後方向に長さ有する板状の部材である。なお、ステップ部3の後方側端部には、後輪7の上方を覆うように、湾曲して、泥除けとなるような湾曲部材32が取り付けられていてもよい。
【0022】
図3に示すように、ステップ部3は、下方向に荷重F1が掛かる場合、下方向に移動するように構成されている。なお、ステップ部3は、下方向への荷重F1により下方向に移動する際、全体が移動してもよいし、一部が移動してもよい。ステップ部3の一部が下方向に移動する場合、例えば、ステップ部3の前方側端部が移動してもよい。
【0023】
<軸受部>
軸受部55は、ハンドル軸部2を支持する。軸受部55は、ハンドル軸部2が内部を貫通する円筒状の形状を有する。軸受部55は、前輪6よりも上方であって、ハンドル軸部2の下方側端部寄りに回転可能に取り付けられる。軸受部55は、ステップ部3の下方向への移動に連動して中心軸A方向に沿って下方向へ移動するように、後述するリンク機構4によりステップ部3と連結されている。
【0024】
<リンク機構>
リンク機構4は、ハンドル軸部2及びステップ部3の間に配置され、軸受部55と、ステップ部3の前方側端部と、を連結する。リンク機構4は、キックスケータ100の形態が、走行形態から搬送形態へ遷移するような折り畳みを可能に構成されている。走行形態は、ハンドル軸部2からステップ部3と後輪7とが離れるように展開された状態である。搬送形態は、ステップ部3と後輪7とがハンドル軸部2に近接するように折り畳まれた状態である。リンク機構4は、折り畳みのため上下方向への回転が可能に軸受部55に固定される第1リンク部材41と、第1リンク部材41とステップ部3とを連結する第2リンク部材42と、を有する。なお、リンク機構は、上述したような折り畳みの機能を有しなくてもよい。
【0025】
<ハンドルロック装置>
ハンドルロック装置5は、ハンドル部1及びハンドル軸部2のステップ部3に対する相対的な回転を抑制可能に構成されている。具体的には、ハンドルロック装置5は、ハンドル軸部2のアンロック状態とロック状態とを、ハンドル軸部2の中心軸A方向に沿ってステップ部3に掛かる荷重F1に基づき切り替え可能に構成されている。
【0026】
アンロック状態とは、
図4及び
図8に示すように、ハンドル軸部2のステップ部3に対する相対的な回転が自在な状態である。ロック状態とは、
図2及び
図6に示すように、ハンドル軸部2のステップ部3に対する相対的な回転が抑制された状態である。なお、本実施形態では、ハンドル部1及びステップ部3の位置が正位置にある場合、ハンドル軸部2がロック状態となることが可能となる。
【0027】
図5~
図8に示すように、本実施形態では、ハンドルロック装置5は、第1係合部51と、第1ストッパ52と、第2ストッパ53と、第2バネ54と、軸受部55と、軸受部55に設けられる凹部551と、により構成されている。
【0028】
本実施形態では、第1係合部51は、第1バネ511の一方の端部にピン512が取り付けられた部材であり、ハンドル軸部2に1つ設けられる。具体的には、第1係合部51は、ハンドル軸部2の内周面に第1バネ511が固定され、ハンドル軸部2に形成される貫通孔513を通じてハンドル軸部2の外周面からピン512が突出するように、ハンドル軸部2の内部に取り付けられる。本実施形態では、第1係合部51は、ハンドル部1の中心軸Bに垂直な方向に沿って配置される。換言すると、ハンドル軸部2が正位置にあり、かつ、後述する第1位置に軸受部55が移動してロック状態となったときには、上方から見てステップ部3の中心軸Cに沿うように、ピン512がハンドル軸部2の後方向側から突出する。
【0029】
第1バネ511は、ピン512が貫通孔513を通じてハンドル軸部2から突出するように、中心軸Aに垂直な方向に沿って、ハンドル軸部2の内部から外部へ向かう付勢力F2を有する。第1バネ511が垂直な方向に弾性変形するから、第1係合部51は、ピン512をハンドル軸部2の内部に押し込む力が掛かると、第1バネ511が縮んで、
図7に示すように、ハンドル軸部2の内部に収容される。そして、第1係合部51は、ピン512をハンドル軸部2の内部に押し込む力が掛からないと、第1バネ511の付勢力F2により、
図5に示すように、ハンドル軸部2の外部に排出される。
【0030】
第1ストッパ52及び第2ストッパ53は、ハンドル軸部2の外周面に互いに上下方向に間隔を空けて設けられる環状部材である。第1ストッパ52と、第1ストッパ52よりも下方側に位置する第2ストッパ53と、の間には、軸受部55が配置される。
【0031】
軸受部55は、ハンドル軸部2と対向する内周面に、凹部551を有する。本実施形態では、凹部551は、軸受部55の内周面に1つ設けられ、正面視において略円状の穴である。凹部551は、ハンドル軸部2が正位置にあるとき、上方から見て、ハンドル軸部2の貫通孔513と対向する位置に設けられる。換言すると、凹部551は、ハンドル軸部2が正位置にあり、かつ、後述する第1位置に軸受部55が移動してロック状態となったときには、第1係合部51のピン512と係合可能に、軸受部55の内周面のうち後方側の面に設けられ、上方から見てステップ部3の中心軸Cに沿った線上に配置される。
図5及び
図7に示すように、凹部551は、第1傾斜部552と、底面553と、第2傾斜部554と、を有する。底面553は、中心軸Aに対する軸受部55の内周面よりも外側において、中心軸A方向に沿って平行に延びる部分である。第1傾斜部552は、軸受部55の内周面と底面553との間に設けられる面のうち、軸受部55の内周面から底面553の上方側端部へ中心軸A方向に沿って下方向に向かうほど徐々に拡径するように傾斜する部分である。第2傾斜部554は、軸受部55の内周面と底面553との間に設けられる面のうち、底面553の下方側端部から軸受部55の内周面へ中心軸A方向に沿って下方向に向かうほど徐々に縮径するように傾斜する部分である。なお、凹部551において、軸受部55の内周面及び第1傾斜部552、第1傾斜部552及び底面553、底面553及び第2傾斜部554、及び、第2傾斜部554及び軸受部55の内周面は、角を有しないように湾曲して滑らかに繋がっていてもよい。
【0032】
本実施形態では、第2ストッパ53と軸受部55の下方側端部との間に、第2バネ54が配置される。第2バネ54は、中心軸A方向に沿って上方向に向かう付勢力F3を有する。第2バネ54が上下方向に弾性変形するから、軸受部55は、当該軸受部55に下方向に移動する力が掛かると、第2バネ54が縮んで、
図7に示すように、上下方向の位置が、第1位置から下方向へ下がった位置である第2位置へ移動する。
図7において、実線で示す位置が第2位置であり、軸受部55の上端が破線の位置となるのが第1位置である。そして、軸受部55は、当該軸受部55に下方向に移動する力が掛からないと、第2バネ54の付勢力F3により、
図5に示すように、第2位置から上方向へ上がって第1位置へ移動する。
【0033】
[1-2.ハンドルロック装置によるロック状態とアンロック状態との切り替えについて]
本実施形態では、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かっていない場合、
図5に示すように、軸受部55は、第2バネ54の付勢力F3により第1位置に位置する。そして、軸受部55が第1位置にあるとき、第1係合部51の第1バネ511の付勢力F2によりハンドル軸部2の外周面から突出したピン512は、凹部551に挿入される。このように、ピン512が凹部551に挿入されることで、第1係合部51によりハンドル軸部2のステップ部3に対する中心軸Aを中心とした回転が抑制され、ハンドル軸部2がロック状態となる。
【0034】
また、本実施形態では、
図7に示すように、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かる場合、軸受部55は、ステップ部3の下方向への移動に連動して中心軸A方向に沿って下方向へ移動する。具体的には、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かる場合、第2バネ54が縮んで、軸受部55は、第1位置から第2位置へ移動する。そして、軸受部55が第1位置から第2位置へ移動するとき、第1係合部51のピン512が凹部551の第1傾斜部552を経て軸受部55の内周面と接触することで、ピン512をハンドル軸部2の内部に押し込む力が掛かり、第1バネ511が縮み、ピン512がハンドル軸部2の内部に押し込まれる。このように、ピン512がハンドル軸部2の内部に押し込まれて、ピン512が凹部551から外れることで、第1係合部51によるハンドル軸部2のステップ部3に対する中心軸Aを中心とした回転の抑制が解除され、当該回転が自在となり、ハンドル軸部2がアンロック状態となる。
【0035】
また、本実施形態では、ステップ部3に掛かっていた下方向への荷重F1がステップ部3に掛からなくなった場合、軸受部55は、ステップ部3の上方向への移動に連動して中心軸A方向に沿って上方向へ移動する。具体的には、ステップ部3に掛かっていた下方向への荷重F1が掛からなくなった場合、軸受部55は、第2バネ54の付勢力F3により第2位置から第1位置へ移動する。そして、軸受部55が第2位置から第1位置へ移動すると、第1係合部51のピン512が凹部551の軸受部55の内周面と接触しなくなることで、ピン512をハンドル軸部2の内部に押し込む力が掛からなくなり、第1バネ511の付勢力F2によりハンドル軸部2の外周面からピン512が突出し、凹部551に挿入される。このように、凹部551から外れていたピン512が凹部551に再び挿入されることで、第1係合部51によりハンドル軸部2のステップ部3に対する中心軸Aを中心とした回転が抑制され、ハンドル軸部2が再びロック状態となる。
【0036】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、ハンドルロック装置5は、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かり、軸受部55が第1位置から第2位置へステップ部3と共に下向きに移動した場合、ハンドル軸部2をアンロック状態とする。このように、例えば、キックスケータ100の使用者がステップ部3に乗ることで荷重F1が加わると、ハンドルロック装置5によってハンドル軸部2がロック状態からアンロック状態へ切り替えられ、ハンドル部1のロックが容易に解除される。また、ハンドルロック装置5は、下方向への荷重F1がステップ部3に掛からず、第2バネ54の付勢力F3により軸受部55が第2位置から第1位置へステップ部3と共に上向きに移動した場合、ハンドル軸部2をロック状態とする。このように、キックスケータ100の使用者がステップ部3から降りることで、ハンドルロック装置5によってハンドル軸部2がアンロック状態からロック状態に切り替えられ、ハンドル部1のロックが容易に掛けられる。したがって、ハンドル軸部2及びハンドル軸部2と連結するハンドル部1のロック状態とアンロック状態との切り替えを容易にすることができる。
【0037】
また、ステップ部3に下方向への荷重F1が掛からない状態では、ハンドル軸部2はロック状態にあるため、例えばハンドル部1又はハンドル軸部2を持ってキックスケータ100を持ち運ぶ際に、ステップ部3のハンドル軸部2に対する回転が抑制でき、安定性を容易に得ることもできる。その結果、キックスケータ100の持ち運びの際にバランスが取りやすくなったり、持ち運びのためにハンドル部1を持ち上げた際に、ステップ部3が回転して周りの人や物に衝突させてしまったりすることを抑制することができる。
【0038】
(2b)本実施形態では、ハンドル軸部2に設けられる第1係合部51のピン512は、軸受部55が第1位置にあるときに凹部551に挿入され、軸受部55が第2位置にあるときに凹部551から外れる。このため、ピン512が凹部551に挿入、又は、ピン512が凹部551から外れるという簡易な構成によって、ハンドル軸部2のロック状態とアンロック状態とを切り替え可能なハンドルロック装置5を構成することができる。
【0039】
(2c)本実施形態では、ハンドルロック装置5は、第2バネ54を有する。軸受部55は、第2バネ54により支えられているため、サスペンションとしての機能も発揮する。このため、別部材としてサスペンションを追加で設けなくても、第2バネ54によって、キックスケータ100への乗車時の地面からの振動による影響を低減することができ、乗り心地をよくすることができる。
【0040】
(2d)本実施形態では、凹部551が第1傾斜部552を有する。このため、第1位置から第2位置への軸受部55の下向きの移動をスムーズに行うことができる。また、軸受部55の内周面及び第1傾斜部552、及び、第1傾斜部552及び底面553が、角を有しないように湾曲して滑らかに繋がっている場合、第1位置から第2位置への軸受部55の下向きへの移動を更にスムーズに行うことができる。
【0041】
なお、軸受部55が取付部の一例に相当し、ピン512が凸部の一例に相当し、第2バネ54が付勢部材の一例に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0042】
(3a)上記実施形態では、凹部551が正面視において略円状の穴である構成を例示したが、凹部551の形状はこれに限定されるものではない。例えば、凹部は、正面視において、略楕円状であってもよい。
【0043】
また、例えば、
図9に示す凹部551aのように、正面視において、中心軸A方向に沿って下方向ほど幅が狭くなるような形状の穴であってもよい。換言すると、凹部551aは、上方部555の周方向における穴の一方の縁から他方の縁までの長さが、下方部556の周方向における穴の一方の縁から他方の縁までの長さよりも長い形状であってもよい。上方部555及び下方部556は、角を有しないように湾曲して滑らかに繋がる。
【0044】
このような凹部551aを有する軸受部55aを有するキックスケータ100aでは、軸受部55aがハンドル軸部2に対して相対的に上方向へ移動する際に、第1係合部51がまず凹部551aの幅が広い上方部555に挿入される。上方部555では、中心軸Aを中心とした回転方向、すなわち周方向に、凹部551a内を第1係合部51が移動し得る。このため、第1係合部51の可動範囲とハンドル軸部2の可動範囲とは対応するから、ステップ部3に対してハンドル軸部2が広い角度範囲を取り得る。その後、軸受部55aが上方向へ更に移動する際に、第1係合部51は凹部551aの壁面に当接することにより、周方向の幅が狭い下方部556へ誘導される。このように、凹部551aの幅が上方向から下方向へ向かって徐々に狭くなることで、ステップ部3に対してハンドル軸部2が取り得る角度範囲が狭くなる。このため、キックスケータ100aの使用者がステップ部3から降りる際に、ステップ部3に対してハンドル軸部2が所定の角度となる位置からズレている場合でも、ステップ部3に対してハンドル軸部が所定の角度となる位置でハンドル部1をロックさせることができる。つまり、本実施形態では、
図10に示すように、キックスケータ100aの使用者がステップ部3から降りる際に、ハンドル部1及びステップ部3の位置が正位置からズレている場合にも、正位置でハンドル部1をロックさせることができる。なお、凹部551aのように上方部555及び下方部556が角を有しないように湾曲して滑らかに繋がる場合、上方部555から下方部556への誘導がスムーズに行うことができる。
【0045】
(3b)上記実施形態では、凹部551が第1傾斜部552と、底面553と、第2傾斜部554と、を有する構成を例示したが、凹部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、凹部は第2傾斜部554を有しない構成であってもよい。すなわち、凹部は、少なくとも第1傾斜部と底面とを有する構成であってもよい。また、凹部の底面は、曲面となるように湾曲していてもよい。また、軸受部の
図5で示す中心軸Aに沿った断面と同一の断面による凹部の断面形状は、U字状、V字状であってもよい。
【0046】
(3c)上記実施形態では、第1係合部51がハンドル軸部2に1つ設けられ、凹部551が軸受部55に1つ設けられる構成を例示したが、第1係合部51及び凹部551の数はこれに限定されるものではない。例えば、複数の第1係合部51が所定の間隔を空けてハンドル軸部に設けられていてもよく、複数の凹部551が所定の間隔を空けて軸受部に設けられてもよい。
【0047】
また、例えば、
図11に示すハンドルロック装置5bのように、ハンドル軸部2bに第1係合部51が8つ設けられ、軸受部55bに凹部551が8つ設けられていてもよい。8つの第1係合部51は、ハンドル軸部2bの内部に配置される中心部材514に第1バネ511の一方の端部がそれぞれ固定され、ハンドル軸部2bに形成される8つの貫通孔513からピン512がそれぞれハンドル軸部2bの外部へ突出するように、ハンドル軸部2bに取り付けられる。ハンドル軸部2bのロック状態では、貫通孔513から突出した8つのピン512が8つの凹部551にそれぞれ挿入される。
【0048】
このように、ハンドルロック装置5bが複数の第1係合部51と複数の凹部551とを有する構成では、キックスケータ100bの使用者がステップ部3から降りる際に、ステップ部3に対してハンドル軸部2bが所定の角度となる位置からズレている場合にも、
図12に示すように、ステップ部3に対してハンドル軸部2bが当該ズレた位置で、ハンドル部1をロックさせることができる。また、当該ズレた位置からキックスケータ100bの使用者がハンドル軸部2bを回転させることで、ステップ部3に対してハンドル軸部2bが所定の角度となる位置、例えば正位置でハンドル部1をロックさせることができる。
【0049】
(3d)ハンドルロック装置では、第1係合部51と凹部551とは、同じ数設けられていなくてもよく、例えば、第1係合部51が2つ以上設けられる、又は、凹部551が2つ以上設けられてもよい。換言すると、例えば、凹部551の数は、第1係合部51の数と異なるように設けられていてもよい。
【0050】
また、例えば、第1係合部51は、凹部551よりも多く設けられていてもよい。
図13に示すハンドルロック装置5cのように、ハンドル軸部2bに第1係合部51が8つ設けられ、軸受部55cに凹部551が2つ設けられていてもよい。
【0051】
また、例えば、凹部551は、第1係合部51よりも多く設けられていてもよい。
図14に示すハンドルロック装置5dのように、ハンドル軸部2dに第1係合部51が2つ設けられ、軸受部55bに凹部551が8つ設けられていてもよい。
【0052】
図13及び
図14に示すハンドルロック装置5c、5dの構成でも、キックスケータの使用者がステップ部3から降りる際に、ステップ部3に対してハンドル軸部2b,2dが所定の角度となる位置からズレている場合にも、ステップ部3に対してハンドル軸部2b,2dが当該ズレた位置で、ハンドル部1をロックさせることができる。また、当該ズレた位置からキックスケータの使用者がハンドル軸部2b,2dを回転させることで、ステップ部3に対してハンドル軸部2b,2dが所定の角度となる位置でハンドル部1をロックさせることができる。
【0053】
(3e)上記実施形態では、第2バネ54が第2ストッパ53と軸受部55の下方端部との間に配置される構成を例示したが、第2バネ54は、例えば、第1ストッパ52と軸受部55の上方端部との間に配置されていてもよい。
【0054】
(3f)上記実施形態では、第1係合部51、第1ストッパ52、第2ストッパ53、第2バネ54、軸受部55及び軸受部55に設けられる凹部551によりハンドルロック装置5が構成されていたが、ハンドルロック装置の構成はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、
図15~
図18に示すように、ハンドルロック装置5eは、第1係合部51eと、第2バネ54と、軸受部55eと、軸受部55eに設けられる第2係合部551eと、により構成されていてもよい。
【0056】
第1係合部51eは、上下方向に長さを有する棒状のハンドル軸部2eに設けられる。第1係合部51eは、ハンドル軸部2eの外周面からハンドル軸部2eの中心軸Aに垂直に突出する複数の凸部を有し、当該複数の凸部は、ハンドル軸部2eの周方向に沿って配置される。第1係合部51eの複数の凸部は、上下方向に長さを有する。第1係合部51eの外周面515は、下方向へ向かうほど中心軸Aに徐々に近づくような傾斜を有する。
【0057】
軸受部55eは、ハンドル軸部2eを支持する。軸受部55eは、略円錐状の形状を有し、底部557が上方側を向いて、頂点部558が下方側を向いて配置される。軸受部55eは、当該軸受部55eの内部に略円錐状の空間を有する。軸受部55eの内周面は、頂点部558から上方向に向かって中心軸Aから徐々に離れるような傾斜を有する。軸受部55eは、底部557及び頂点部558をハンドル軸部2eが貫通可能に構成されている。軸受部55eは、ハンドル軸部2eに回転可能に取り付けられている。
【0058】
第2係合部551eは、軸受部55eに設けられる。第2係合部551eは、軸受部55eの内周面に設けられる複数の凹部を有し、当該複数の凹部は、ハンドル軸部2eの周方向に沿って並ぶように配置される。第2係合部551eの複数の凹部は、上下方向に長さを有する。第2係合部551eの内周面559は、下方向へ向かうほど中心軸Aに徐々に近づくような傾斜を有する。なお、第1係合部51eの外周面515と、第2係合部551eの内周面559と、の傾斜の角度はほぼ同じである。
【0059】
第1係合部51eの複数の凸部及び第2係合部551eの複数の凹部は、それぞれ周方向において角を有しないように設けられていてもよい。
第2バネ54は、軸受部55eの内部において、第1係合部51eと底部557との間に配置される。なお、ハンドル軸部2eにおける軸受部55eの頂点部558よりも下方側の位置に第2ストッパが設けられる場合、第2バネ54は、頂点部558と第2ストッパとの間に配置されてもよい。
【0060】
このハンドルロック装置5eでは、第1係合部51eの複数の凸部と第2係合部551eの複数の凹部とが係合可能に構成されている。具体的には、
図15に示すように、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かっていない場合、軸受部55eは、第2バネ54の付勢力F3により第1位置に位置する。そして、軸受部55eが第1位置にあるとき、
図16に示すように、第1係合部51eの複数の凸部と、第2係合部551eの複数の凹部と、が係合することによって、ハンドル軸部2eのステップ部3に対する中心軸Aを中心とした回転が抑制され、ハンドル軸部2eがロック状態となる。
【0061】
また、
図17に示すように、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かる場合、軸受部55eは、ステップ部3の下方向への移動に連動して中心軸A方向に沿って下方向へ移動する。具体的には、下方向への荷重F1がステップ部3に掛かる場合、第2バネ54が縮んで、軸受部55eは、第1位置から第2位置へ移動する。
図17において、実線で示す位置が第2位置であり、破線で示す位置が第1位置である。そして、軸受部55eが第1位置から第2位置へ移動するとき、
図18に示すように、第1係合部51eの複数の凹部と、第2係合部551eの複数の凹部と、の間に隙間が生じて係合が外れることによって、ハンドル軸部2eのステップ部3に対する中心軸Aを中心とした回転の抑制が解除され、当該回転が自在となり、ハンドル軸部2eがアンロック状態となる。
【0062】
また、ステップ部3に掛かっていた下方向への荷重F1がステップ部3に掛からなくなった場合、軸受部55eは、第2バネ54の付勢力F3により第2位置から第1位置へ、ステップ部3の上方向への移動に連動して中心軸A方向に沿って上方向へ移動する。そして、軸受部55eが第2位置から第1位置へ移動すると、第1係合部51eの複数の凸部と、第2係合部551eの複数の凹部と、が係合することによって、ハンドル軸部2eのステップ部3に対する中心軸Aを中心とした回転が抑制され、ハンドル軸部2eが再びロック状態となる。
【0063】
このようなハンドルロック装置5eの構成では、上記実施形態の構成の上述した(2a)及び(2c)と同様の効果を得ることができる。また、第1係合部51eと第2係合部551eとを係合させる、又は、第1係合部51eと第2係合部551eとの係合を外すという簡易な構成によって、ハンドル軸部2eのロック状態とアンロック状態とを切り替え可能なハンドルロック装置5eを構成することができる。また、第1係合部51eと第2係合部551eとが複数設けられる。このため、キックスケータの使用者がステップ部3から降りる際に、ステップ部3に対してハンドル軸部2eが所定の角度となる位置からズレている場合にも、ステップ部3に対してハンドル軸部2eが当該ズレた位置で、ハンドル部1をロックさせることができる。つまり、正位置とは異なる様々な位置でハンドル部1をロックさせることができる。また、当該ズレた位置からキックスケータの使用者がハンドル部1を中心軸Aを中心として回転させる力を加えることで、ハンドル軸部2eを回転させ、ステップ部3に対してハンドル軸部2eが所定の角度となる位置でハンドル部1をロックさせることができる。
【0064】
(3g)
図16及び
図18に示すハンドルロック装置5eでは、第1係合部51eが凸部を12個有し、第2係合部551eが凹部を12個有する構成を例示したが、第1係合部51eの凸部及び第2係合部551eの凹部の数はこれに限定されるものではない。例えば、第1係合部51eの凸部及び第2係合部551eの凹部は、1~11個又は13個以上であってもよい。また、例えば、第1係合部51eの凸部及び第2係合部551eの凹部は、同じ数設けられていなくてもよい。換言すると、例えば、第2係合部551eの凹部の数は、第1係合部51eの凸部の数と異なるように設けられていてもよい。
【0065】
例えば、第1係合部51eの凸部は、第2係合部551eの凹部よりも多く設けられていてもよい。
図19に示すハンドルロック装置5fのように、ハンドル軸部2eに12個の凸部を有する第1係合部51eが設けられ、軸受部55fに周方向に長さを有する2つの凹部を有する第2係合部551fが設けられていてもよい。
【0066】
また、例えば、第2係合部551eの凹部は、第1係合部51eの凸部よりも多く設けられていてもよい。
図20に示すハンドルロック装置5gのように、ハンドル軸部2gに2つの凸部を有する第1係合部51gが設けられ、軸受部55eに12個の凹部を有する第2係合部551eが設けられていてもよい。
【0067】
(3h)上記実施形態では、軸受部55,55a~55c,55e,55fがステップ部の下方向への移動に連動して下方向へ移動する構成を例示したが、例えば、軸受部とは別にステップ部の下方向への移動に連動して下方向へ移動する取付部を有していてもよい。つまり、取付部は、ハンドル軸部に回転可能に取り付けられる筒状の取付部であって、少なくともステップ部の下方向への移動に連動して下方向へ移動する機能を有していればよい。その場合、ハンドル軸部を支持する軸受部は、別に設けられていてもよい。
【0068】
(3i)上記実施形態では、下方向への荷重がステップ部に掛からない場合、ステップ部の上方向への移動に連動して軸受部を上方向へ移動させる付勢力を有する付勢部材として、第2バネ54を有する構成を例示したが、付勢部材はコイルバネに限定されるものではない。
【0069】
(3j)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0070】
1…ハンドル部、2,2b,2d,2e,2g…ハンドル軸部、3…ステップ部、4…リンク機構、5,5b~5g…ハンドルロック装置、6…前輪、7…後輪、31…サポート部、32…湾曲部材、41…第1リンク部材、42…第2リンク部材、55,55a~55c,55e,55f…軸受部、51,51e,51g…第1係合部、52…第1ストッパ、53…第2ストッパ、54…第2バネ、100,100a,100b…キックスケータ、511…第1バネ、551,551a…凹部、512…ピン、513…貫通孔、514…中心部材、515…外周面、551e,551f…第2係合部、552…第1傾斜部、553…底面、554…第2傾斜部、555…上方部、556…下方部、557…底部、558…頂点部、559…内周面、A,B,C…中心軸、F1…荷重、F2,F3…付勢力。