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特開2022-143558信号解析装置、及び信号解析結果表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143558
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】信号解析装置、及び信号解析結果表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20220926BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20220926BHJP
   H04J 1/00 20060101ALI20220926BHJP
   H04L 27/34 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H04L27/26 100
H04B17/29
H04J1/00
H04L27/34
H04L27/26 113
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044117
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】新妻 祐希
(72)【発明者】
【氏名】上沢 貴秋
(57)【要約】
【課題】入力変調信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握でき、異常個所も時間領域単位に特定可能な信号解析装置、及び信号解析結果表示方法を提供する。
【解決手段】信号解析装置である基地局シミュレータ10は、UE70との間で基地局を模擬した通信を行ってUE70の通信機能の動作を試験するものであって、UE70から送信されたOFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信部21aと、受信部21aで受信した被測定信号の信号データを算出するアナログ信号処理部22と、信号データを所定の解析項目についてOFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析項目の解析結果を算出するデータ解析部27cと、複数の解析項目の解析結果が並べて表示される解析結果表示部28cと、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信部 (21a)と、
前記受信部で受信した前記被測定信号の信号データを算出する信号データ算出部(22)と、
前記信号データを所定の解析項目について前記OFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出する解析部(27c)と、
前記複数の解析結果が並べて表示される表示部(28c)と、を備えたことを特徴とする信号解析装置。
【請求項2】
前記表示部には、前記所定の解析項目(43b)がさらに表示され、
前記表示部に表示された前記所定の解析項目を選択すると、前記表示部に当該所定の解析項目の前記それぞれの時間領域に対応した前記複数の解析結果(43c、44、45、46)を表示するように制御する表示制御部(20d)を、さらに備えることを特徴とする請求項1の信号解析装置。
【請求項3】
前記時間領域は、所定のスロットを形成するシンボルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の信号解析装置。
【請求項4】
前記解析部は、所定のスロットを形成するシンボルのコードブロック(CB)単位に前記被測定信号を復号化する処理機能を有し、
前記所定の解析項目は、前記復号化が成功か失敗かの復号結果(43b)であり、
前記表示部は、前記復号結果を前記コードブロックごとに表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の信号解析装置。
【請求項5】
前記所定の解析項目は、コンスタレーション(41c)であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の信号解析装置。
【請求項6】
前記所定の解析項目は、周波数スペクトラム(41b)であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の信号解析装置。
【請求項7】
前記時間領域は、スロットであり、
前記表示制御部は、前記スロットに含まれるシンボルの長さを表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の信号解析装置。
【請求項8】
前記被測定信号の通信規格におけるサブキャリアの周波数間隔を設定するサブキャリア間隔設定部(20e)をさらに有し、
前記通信規格は、5G NRであり、
前記サブキャリア間隔設定部は、前記サブキャリアの周波数間隔として15KHz、30KHz、60KHz、120KHzのいずれかの値を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の信号解析装置。
【請求項9】
所定のトリガー条件を満たす場合に所定のタイミングでトリガー信号を出力するトリガー信号出力部(25)と、
前記トリガー信号を受けて、前記信号データから前記所定のタイミングに応じた所定区間のIQデータを抽出する信号抽出部(26)と、をさらに備え、
前記解析部は、前記信号抽出部にて抽出された前記所定区間の信号データを解析することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の信号解析装置。
【請求項10】
OFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信ステップ(S12)と、
前記受信ステップで受信した前記被測定信号の信号データを算出する信号データ算出ステップ(S13)と、
前記信号データを所定の解析項目について前記OFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出する解析ステップ(S19)と、
前記複数の解析結果を表示部(28c)に並べて表示する表示ステップ(S20)と、
を含むことを特徴とする信号解析結果表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局を模擬して移動端末の試験を行う際、移動信端末から送信される被測定信号を受信して解析し、その解析結果を表示する機能を有する信号解析装置、及び信号解析結果表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話システムにおいては、携帯端末の多機能化に伴い、無線基地局(以下、基地局)との間の無線による通信速度が高速化されており、近年では、例えば、LTE-Advanced方式等を採用している4G(第4世代)のサービスから5G(第5世代)のサービスへ移行するための技術開発が進展しつつある。
【0003】
こうした背景から、携帯電話等の移動体通信端末(以下、移動端末)の新機種が次々と開発されることになるが、新規に開発された移動端末については、当該移動端末が正常に動作するか否かを試験する必要がある。
【0004】
移動端末の試験に用いる装置として、例えば、模擬基地局から信号解析対象の変調信号を被試験対象である移動端末に入力し、操作者が予め指定した各解析項目の信号解析を実行し、当該各解析項目の解析結果を表示部に表示する機能を有する変調信号解析装置が従来から知られている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-104294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された変調信号解析装置では、解析項目として、例えば、変調精度(EVM)が指定された場合には、EVMの解析結果と、EVMに関する正常異常判定の判定結果が同時に表示されるようになっている(段落0056)。一例として、「EVM測定結果」として、EVMの最大値及び平均値と、正常異常判定結果が異常判定であったことを示す「エラー」とが同時に表示された例(図9参照)が挙げられている。
【0007】
特許文献1に記載された変調信号解析装置における信号解析結果の表示制御によれば、操作者は、指定した解析項目の測定値と、当該解析項目が正常か異常かを認識することが可能となる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された変調信号解析装置では、入力された変調信号(入力変調信号)の信号データを時間領域ごとに解析してその解析結果を時間領域に対応付けて表示する機能については何等考慮されていなかった。このため、特許文献1に記載された変調信号解析装置では、指定した解析項目が全体として正常か異常かを把握できるにとどまり、入力変調信号の信号データを時間領域ごとに、しかも複数の解析結果を指標に問題個所を細かく特定することが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、入力変調信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握でき、異常個所も時間領域単位に特定可能な信号解析装置、及び信号解析結果表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る信号解析装置は、OFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信部(21a)と、前記受信部で受信した前記被測定信号の信号データを算出する信号データ算出部(22)と、前記信号データを所定の解析項目について前記OFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出する解析部(27c)と、前記複数の解析結果が並べて表示される表示部(28c)と、を備える構成を有する。
【0011】
この構成により、本発明の請求項1に係る信号解析装置は、表示部に並べて表示された複数の解析結果から、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握することができる。また、異常があった場合には、その異常箇所を時間領域ごとに特定することが可能となる。
【0012】
本発明の請求項2に係る信号解析装置は、前記表示部には、前記所定の解析項目(43b)がさらに表示され、前記表示部に表示された前記所定の解析項目を選択すると、前記表示部に当該所定の解析項目の前記それぞれの時間領域に対応した前記複数の解析結果(43c、44、45、46)を表示するように制御する表示制御部(20d)を、さらに備える構成であってもよい。
【0013】
この構成により、本発明の請求項2に係る信号解析装置は、選択した解析項目について、表示された複数の解析結果をさらに確認することで、被測定信号の時間領域ごとの通信状況をより正確に把握することが可能になる。
【0014】
本発明の請求項3に係る信号解析装置において、前記時間領域は、所定のスロットを形成するシンボルである構成としてもよい。
【0015】
この構成により、本発明の請求項3に係る信号解析装置は、被測定信号の信号データのシンボルごとの受信状況を把握することができ、異常があった場合の異常箇所についてもシンボル単位に把握することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る信号解析装置において、前記解析部は、所定のスロットを形成するシンボルのコードブロック(CB)単位に前記被測定信号を復号化する処理機能を有し、前記所定の解析項目は、前記復号化が成功か失敗かの復号結果(43b)であり、前記表示部は、前記復号結果を前記コードブロックごとに表示する構成としてもよい。
【0017】
この構成により、本発明の請求項4に係る信号解析装置は、並べて表示された複数の解析結果から、被測定信号の信号データについて、シンボルのコードブロック単位に復号化が成功したかを把握することができ、異常箇所についてもシンボルのコードブロック単位に特定可能となる。
【0018】
本発明の請求項5に係る信号解析装置において、前記所定の解析項目は、コンスタレーション(41c)である構成とすることもできる。
【0019】
この構成により、本発明の請求項5に係る信号解析装置は、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を大まかに把握したうえで、さらに所望の時間領域のコンスタレーションを表示して通信状況をより細やかに検証することができる。
【0020】
本発明の請求項6に係る信号解析装置において、前記所定の解析項目は、周波数スペクトラム(41b)である構成としてもよい。
【0021】
この構成により、本発明の請求項6に係る信号解析装置は、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を大まかに把握したうえで、さらに所望の時間領域の周波数スペクトラムを表示して通信状況をより細やかに検証することができる。
【0022】
本発明の請求項7に係る信号解析装置において、前記時間領域は、スロットであり、前記表示制御部は、前記スロットに含まれるシンボルの長さを表示する構成であってもよい。
【0023】
この構成により、本発明の請求項7に係る信号解析装置は、被測定信号の信号データを構成するシンボルの長さ(個数)が分かり、シンボルごとの通信状況も容易に把握することができる。
【0024】
本発明の請求項8に係る信号解析装置は、前記被測定信号の通信規格におけるサブキャリアの周波数間隔を設定するサブキャリア間隔設定部(20e)をさらに有し、前記通信規格は、5G NRであり、前記サブキャリア間隔設定部は、前記サブキャリアの周波数間隔として15KHz、30KHz、60KHz、120KHzのいずれかの値を設定する構成としてもよい。
【0025】
この構成により、本発明の請求項8に係る信号解析装置は、5G NRの被測定信号の信号データの時間領域ごとの解析にも対応でき、サブキャリアの周波数間隔が15KHz、30KHz、60KHz、120KHzのいずれである場合においても、被測定信号の信号データの時間領域ごとの受信状況を把握することが可能となる。
【0026】
本発明の請求項9に係る信号解析装置は、所定のトリガー条件を満たす場合に所定のタイミングでトリガー信号を出力するトリガー信号出力部(25)と、前記トリガー信号を受けて、前記信号データから前記所定のタイミングに応じた所定区間のIQデータを抽出する信号抽出部(26)と、をさらに備え、前記解析部は、前記信号抽出部にて抽出された前記所定区間の信号データを解析する構成としてもよい。
【0027】
この構成により、本発明の請求項9に係る信号解析装置は、トリガー条件を満たす所定区間の信号データのみを対象に時間領域ごとにかつ複数の解析項目について解析を行っての解析結果を並べて表示することができ、並べて表示された複数の解析結果から、トリガー条件を満たす信号データの時間領域ごとの通信状況を把握することができるとともに、異常があった場合の異常箇所の特定も時間領域ごとに行うことが可能となる。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明の請求項10に係る信号解析結果表示方法は、OFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信ステップ(S12)と、前記受信ステップで受信した前記被測定信号の信号データを算出する信号データ算出ステップ(S13)と、前記信号データを所定の解析項目について前記OFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出する解析ステップ(S19)と、前記複数の解析結果を表示部(28c)に並べて表示する表示ステップ(S20)と、を含む構成を有する。
【0029】
この構成により、本発明の請求項10に係る信号解析結果表示方法は、表示部に並べて表示された複数の解析結果から、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握でき、異常がある場合には、その異常箇所を時間領域ごとに特定可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、入力変調信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握でき、異常個所も時間領域単位に特定可能な信号解析装置、及び信号解析結果表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータのブロック構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおけるトリガー条件の設定画面の構成例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおけるトリガー条件の設定処理動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおけるIQデータの解析処理動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータのリングバッファメモリを用いたIQデータの取得イメージを説明するための概念図であり、(a)はリングバッファメモリにおけるIQデータの格納開始および格納終了とトリガー信号とのタイミングの関係を示し、(b)はIQデータの格納範囲におけるトリガー信号のタイミングを示す。
図6】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータの解析対象となる被測定信号のフレーム構成を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおけるIQデータの解析結果表示処理動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおける被測定信号の解析結果表示画面の一構成例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおける被測定信号の解析結果表示画面の他の構成例を示す図である。
図10図9における他の構成例に係る解析結果表示画面から遷移可能な遷移先解析結果表示画面の構成例を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る基地局シミュレータにおける被測定信号の解析結果表示画面のさらに別の構成例を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る信号解析装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る信号解析装置、及び信号解析結果表示方法の実施形態について図面を用いて説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、本発明の信号解析装置を、基地局を模擬して移動端末を試験する基地局シミュレータに適用した例を挙げて説明する。まず、第1の実施形態における基地局シミュレータの構成について説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態における基地局シミュレータ10は、移動端末(User Equipment:UE)70との間で無線周波数信号の送受信を行うことにより、UE70の通信機能を試験するものである。UE70は、所定の通信規格、例えば5G NRと呼ばれる通信規格に対応して無線周波数信号を送受信する携帯電話やモバイル端末等の端末である。
【0035】
基地局シミュレータ10は、制御部20、送受信部21、アナログ信号処理部22、アップリンク(Uplink)レイヤー処理部23、ログデータ生成部24、トリガー検出部25、IQデータメモリ部26、IQデータ解析部27、表示部28、操作部29を備えている。この基地局シミュレータ10は、図示しないCPU、ROM、RAM、FPGA、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。すなわち、基地局シミュレータ10は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、マイクロコンピュータを、UE70を試験する基地局シミュレータとして機能させるようになっている。この基地局シミュレータ10は、本発明に係る信号解析装置を構成する。
【0036】
制御部20は、基地局シミュレータ10全体を制御する機能部であり、擬似基地局制御部20a、トリガー設定部20b、解析制御部20c、表示制御部20d、サブキャリア間隔設定部20eを有している。擬似基地局制御部20aは、複数の擬似基地局を管理し、予め設定した試験シナリオに従って各擬似基地局を模擬する無線周波数信号をUE70に送信するとともに、該無線周波数信号を受信したUE70から送信される無線周波数信号(被測定信号)を受信し、該被測定信号に含まれる信号データをIQデータ解析部27で解析させてUE70の通信機能を評価する試験を実行させる制御手段である。この試験に際し、UE70は、例えば、直交周波数多重化(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:OFDM)方式で変調された被測定信号を送信し、基地局シミュレータ10は、この被測定信号を受信部21aで受信し、IQデータ解析部27によりその解析処理を実施するようになっている。
【0037】
トリガー設定部20bは、受信した被測定信号から算出された信号データ(IQデータ)のうちの解析対象となる信号データの取得(記憶)タイミングを指示する条件を設定する制御を行う。この条件を満たす通信状態が整うと、後述するトリガー検出部25からトリガー信号が出力される。トリガー設定部20bにより設定される上記条件を以下においてはトリガー条件と称する。
【0038】
解析制御部20cは、トリガー信号を受け取ることによりIQデータメモリ部26に記憶されたIQデータ(アナログ信号処理部22により算出されたもの)を解析させる解析制御を実行する。表示制御部20dは、表示部28に対し、IQデータの解析結果等、各種情報を表示させる表示制御を行う。
【0039】
サブキャリア間隔設定部20eは、被測定信号が属する通信規格、例えば、5G NRのフレーム構成(図6参照)におけるサブキャリア間隔の設定制御を行う機能部である。サブキャリア間隔設定部20eは、例えば、15kHz、30kHz、60kHz、120kHz、240kHzの間隔(図6参照)でサブキャリア間隔を設定できるようになっている。
【0040】
受信部21aは、UE70が基地局シミュレータ10に対して信号(被測定信号)を送信するアップリンク(Uplink)経路に対応して設けられ、該信号(アップリンクデータ)である無線周波数信号を受信する機能部である。
【0041】
UE70が基地局シミュレータ10から信号を受信するダウンリンク(Downlink)経路に対応して送信部21bが設けられる。送信部21bは、制御部20の擬似基地局制御部20aの制御下で後述する基地局模擬演算部(図示せず)が生成したダウンリンクデータであるI相成分(同相成分)及びQ相成分(直交成分)のベースバンドデータ(以下、単に「IQデータ」という)をUE70に対して送信する。UE70は、送信部21bから送信されたベースバンドデータを受信すると、該受信に対する応答信号としてのベースバンドデータを基地局シミュレータ10に対して上述した被測定信号として送信する。
【0042】
送信部21bと受信部21aとによって送受信部21が構成されている。送受信部21は、RF(Radio Frequency)信号を介してUE70と通信するようになっている。
【0043】
アナログ信号処理部22は、受信部21aで受信したUE70からのアップリンクデータが含まれるRF信号を被測定信号として入力し、該被測定信号をアナログ信号からデジタル信号に変換したIQデータを算出する演算処理機能部である。アナログ信号処理部22は、後述のアップリンクレイヤー処理部23とともに、本発明の信号データ算出部を構成する。
【0044】
アップリンクレイヤー処理部23は、アナログ信号処理部22により算出された信号データの各レイヤーの信号処理を行う部分である。アップリンクレイヤー処理部23は、PHY層(Physical Layer、物理層)の処理を行うPHY処理部23a、その上位のMAC層(Medium Access Control Layer、媒体アクセス制御層)の処理を行うMAC処理部23b、その上位のRLC層(Radio Link Control Layer、無線リンク制御層)の処理を行うRLC処理部23c、その上位のPDCP層(Packet Data Convergence Protocol Layer、パケットデータ収束層)の処理を行うPDCP処理部23d、その上位のRRC層(Radio Resource Control Layer、無線リソース制御層)の処理を行うRRC処理部23eを備えている。
【0045】
アップリンクレイヤー処理部23において、PHY処理部23aは、アナログ信号処理部22から入力する信号データに対してPHY層の信号処理を施して該信号データをMAC処理部23bに入力する。PHY層の信号処理に係る物理層レベルのチャネル、制御情報、受信ステータス情報については例えば以下に示すものがある。
【0046】
まず、チャネルとしては、UL-RACH(UpLink-Random Access CHannel:アップリンク用ランダムアクセスチャネル)、UL-SCH(UpLink Shared CHannel:アップリンク用データチャネル)、PRACH(Physical Random Access CHannel:ランダムアクセス用物理チャネル)、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel:アップリンク用物理データチャネル)、PUCCH(Physical Uplink Control CHannel:アップリンク用物理制御チャネル)などが挙げられる。
【0047】
また、制御情報としては、UCI(Uplink Control Information:アップリンク用制御情報)、SR(Scheduling Request:スケジュール要求信号)、CSI(Channel State Information:チャネルステータス情報)、HARQ-ACK(Hybrid Automatic Repeat reQuest ACKnowledgement:要求応答信号)、SRS(Sounding Reference Signal:サウンディング参照信号)等が用いられる。さらには、SRが挿入されたUCIであるUCI(SR)、CSIが挿入されたUCIであるUCI(CSI)、HARQ-ACKが挿入されたUCIであるUCI(HARQ-ACK)も用いられる。
【0048】
また、受信ステータス情報としては、DTX(Discontinuous Transmission:信号無入力状態情報)、CRC NG(CRC(Cyclic Redundancy Check:誤り検出用の冗長巡回符号)失敗情報)、CRC OK(CRC成功情報)、Decode NG(復号化失敗情報)、Decode OK(復号化成功情報)等が挙げられる。
【0049】
図1に示すPHY処理部23aについては、上述したチャネル、制御情報、受信ステータス情報の処理に対応できる構成であることが開示されている。また、PHY処理部23aがデマルチプレクサ(DEMUX)を有し、PUSCHからのアップリンクデータをUL-SCHとUCIの2つに分離して送出する構成についても開示されている。
【0050】
PHY処理部23aが上述したチャネル、制御情報、受信ステータス情報の処理に対応可能な構成を有することで、基地局シミュレータ10では以下に示す試験シナリオ1~3等の種々の試験シナリオによる試験を行うことが可能である。
試験シナリオ1:
擬似基地局から試験用の信号をダウンリンクデータとしてUE70の送信し、UE70から、例えば、UCI(SR)、UCI(CSI)、UCI(HARQ-ACK)の応答があったことを確認する。
試験シナリオ2:
擬似基地局から試験用の信号をダウンリンクデータとしてUE70の送信し、UE70から、例えば、DTX、CRC NG、CRC OK、あるいはDecode NG、Decode OKのうちのいずれの応答があったにより受信ステータスを把握する。
試験シナリオ3:
試験シナリオ1、2に基づく試験をそれぞれのチャネルレベルで実行する。
【0051】
MAC処理部23bは、PHY処理部23aから入力するPHY層の各処理信号をMAC層の信号として処理し、RLC処理部23cに渡す。RLC処理部23cは、MAC処理部23bから入力するMAC層の各処理信号をRLC層の信号として処理し、PDCP処理部23dに渡す。PDCP処理部23dは、RLC処理部23cから入力するPLC層の各処理信号をPDCP層の信号として処理し、RRC処理部23eに渡す。RRC処理部23eは、PDCP処理部23dから入力するPDCP層の各処理信号をPRC層の信号として処理する。
【0052】
アップリンクレイヤー処理部23において、PHY処理部23a、MAC処理部23b、RLC処理部23c、PDCP処理部23d、RRC処理部23eにより処理された各レイヤーの信号は、ログデータ生成部24に送られる。このうちのPHY処理部23a、MAC処理部23bにより処理された各レイヤーの信号は、トリガー検出部25にも送られる。
【0053】
このようにアップリンクレイヤー処理部23は、所定の通信規格に対応して各レイヤーの通信プロトコル処理を行うよう構成され、アナログ信号処理部22からの信号データを処理してログデータ生成部24に出力するとともに、PHY層、MAC層の信号データについてはトリガー検出部25にも出力するようになっている。
【0054】
ログデータ生成部24は、アップリンクレイヤー処理部23より出力された信号データからログデータを生成するようになっている。ログデータ生成部24が生成したログデータには、時刻情報、及び識別子情報を含んでいる。ログデータ生成部24が生成したログデータは、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリ等の大容量記憶媒体で構成されるログデータ記憶部(図示せず)に記憶されるようになっている。
【0055】
ログデータ生成部24は、IQ解析パラメータ生成部24aを有している。IQ解析パラメータ生成部24aは、上記の如く生成された信号データに基づいてIQ解析パラメータを生成し、該生成したIQ解析パラメータを後述するログデータ表示部28aに送る。
【0056】
トリガー検出部25は、アップリンクレイヤー処理部23のPHY処理部23a、及びMAC処理部23bから入力されるPHY層、MAC層の信号データに基づいて当該PHY層、MAC層の上述したチャネル、制御情報、受信ステータス情報が関与する通信状態を監視し、予め設定されているトリガー条件を満たす通信状態が発生したか否かを判定(検出)する機能を有している。トリガー条件は、例えば、解析対象とすべきチャネル、信号(例えば、PHY層、MAC層に限る)種別、及び受信ステータスとにより構成されている。トリガー条件は、例えば、制御部20に設けられている擬似基地局制御部20aの管理下にある複数の擬似基地局(セル)を対象にセルごとに設定可能である。トリガー条件は、制御部20を構成するトリガー設定部20bの制御により、後述する表示部28のトリガー設定表示部28bに表示される設定画面を用いて設定するようになっている。
【0057】
トリガー条件を構成する情報のうち、解析対象とするセルは、擬似基地局制御部20aの管理下にある複数の擬似基地局(セル)の中から選択的に指定することができる。解析対象とする信号若しくはチャネルは、PHY処理部23aの構成の説明に際して挙げたチャネルあるいは制御情報の中から、ULSCH、UCI(SR)、UCI(CSI)、UCI(HARQ-ACK)、PRACHあるいはSRSのいずれかを選択的に指定することができる。さらに受信ステータスについても、前述したDTX、CRC NG、CRC OK、もしくはDecode NG、Decode OKの中から選択的に指定することができる。トリガー条件には、解析対象とすべき信号の受信トータル電力(total Power)をさらに含む構成としてもよい。
【0058】
トリガー検出部25は、トリガー条件を満たす通信状態が発生したことを検出した場合、当該通信状態下の信号データを記憶することを指示するトリガー信号をIQデータメモリ部26に対して送出する機能を合わせ持っている。トリガー検出部25は、本発明のトリガー信号出力部を構成する。
【0059】
IQデータメモリ部26は、アナログ信号処理部22により算出された信号データを格納するものであり、例えば、リングバッファメモリにより構成される。IQデータメモリ部26は、トリガー検出部25からトリガー信号が入力されたときは、リングバッファメモリに対し、アナログ信号処理部22により算出された信号データ(IQデータ)が格納される。
【0060】
IQデータメモリ部26は、リングバッファメモリで構成されることにより、トリガー設定時には、例えば、図5(a)に示すように、トリガー信号が発生(入力)する前に当該バッファメモリへのIQデータの書き込みが開始され、トリガー信号発生(入力)時には、指定された範囲の事前データを上書きしない範囲でIQデータの書き込みが停止される構造となっている。かかる構造によって、IQデータメモリ部26では、トリガー信号発生時よりも前のIQデータが取得できることになる。
【0061】
ここでトリガー信号発生時のタイミングから取得するIQデータの範囲は、例えば、図5(b)に示すように、トリガー信号よりも前の時間(Trigger Offset O)とデータ取得時間(Data length L)とによって決まる。図5(b)においては、Trigger Offset OとData length Lとの比率は1対6であり、データ取得時間(Data length L)とその5倍の時間の加算時間に対応するIQデータが取得される例を挙げている。このように、IQデータメモリ部26は、トリガー信号を受けて、信号データから所定のタイミングに応じた所定区間のIQデータを抽出する機能を有しており、本発明の信号抽出部を構成する。また、IQデータメモリ部26は、アナログ信号処理部22により算出された信号データをリングバッファメモリに記憶させるものであり、本発明の記憶部を構成している。
【0062】
IQデータ解析部27は、IQデータメモリ部26に記憶されたIQデータを、解析制御部20cの制御下で解析処理する処理機能部であり、IQデータ読出し部27a、パラメータ読み込み部27b、データ解析部27cを有している。IQデータ読出し部27aは、IQデータメモリ部26に記憶されたIQデータを読み出す処理を行う。パラメータ読み込み部27bは、ログデータ生成部24のIQ解析パラメータ生成部24aが生成したIQ解析パラメータを、IQデータ読出し部27aによるIQデータの読出しに合わせて読み込む処理を実行する。データ解析部27cは、IQデータメモリ部26から読み出したIQデータをIQ解析パラメータに基づいて解析する処理を実行する。IQデータ解析部27とIQデータメモリ部26とは、有線ケーブルにより接続されていることが好ましい。データ解析部27cは、本発明の解析部を構成している。
【0063】
表示部28は、ログデータ表示部28a、トリガー設定表示部28b、解析結果表示部28cを有している。ログデータ表示部28aはログを表示するための表示画面を表示する部分であり、トリガー設定表示部28bはトリガー条件を設定するための設定画面30(図2参照)を表示する部分であり、解析結果表示部28cは、解析結果画面40(図8参照)を表示する部分である。解析結果表示部28cは、本発明の表示部を構成する。
【0064】
制御部20において、表示制御部20dは、ログを表示するための表示画面を生成し、操作部29の操作内容に従って、ログデータ記憶部からログデータを読み出し、それに含まれる情報に基づいてログをログデータ表示部28aに表示するようになっている。表示制御部20dはまた、トリガー条件を設定するための設定画面30(図2参照)を生成し、操作部29の操作内容に従って当該設定画面30を読み出してトリガー設定表示部28bに表示するようになっている。さらに表示制御部20dは、IQデータ解析部27によるIQデータの解析結果を表示するための解析結果画面40(図8参照)を生成し、操作部29の操作内容に従って当該解析結果画面40を読み出して解析結果表示部28cに表示するようになっている。
【0065】
操作部29は、キーボード、ダイヤル又はマウスのような入力デバイス、試験条件等を表示するディスプレイ、これらを制御する制御回路やソフトウェア等で構成され、各試験条件の入力や、表示部28の表示内容を設定するため、試験者が操作するものである。
【0066】
上述した構成を有する基地局シミュレータ10の動作について以下に説明する。上述したように、この基地局シミュレータ10では、擬似基地局制御部20aの制御下で試験シナリオに従って実施される試験に際し、UE70からのアップリンクデータが含まれるRF信号(被測定信号)が受信部21aにより受信され、アナログ信号処理部22での信号処理によってIQデータを含む信号データが算出される。
【0067】
アナログ信号処理部22で算出された信号データは、アップリンクレイヤー処理部23に入力されて各層の信号処理が行われ、そのうちのPHY層、及びMAC層の信号処理後信号データがトリガー検出部25に入力される。アナログ信号処理部22で算出された信号データ(IQデータ)はまた、IQデータメモリ部26に入力される。
【0068】
このようなアップリンクの信号処理機能を有する基地局シミュレータ10において、アナログ信号処理部22からIQデータメモリ部26に入力される信号データの解析処理を行うためには、IQデータメモリ部26における解析対象のIQデータの取得動作を起動するトリガー信号を発出させるトリガー条件を設定する必要がある。
【0069】
基地局シミュレータ10におけるトリガー条件の設定処理動作について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0070】
基地局シミュレータ10でトリガー条件を設定するためにはまず、操作部29で所定のトリガー設定開始操作を行う。このトリガー設定開始操作により、トリガー設定部20bは、表示部28のトリガー設定表示部28bにトリガー条件の設定画面30を表示させる(ステップS1)。
【0071】
設定画面30は、例えば、図2に示すように、セル指定ツール31、トリガータイプ指定ツール32、受信ステータス指定ツール33、OKボタン34、キャンセルボタン35を有して構成されている。セル指定ツール31は、IQデータの解析対象の擬似基地局(セル)を選択的に指定するためのものである。トリガータイプ指定ツール32は、解析対象の信号種別(トリガータイプ)を選択的に指定するためのものである。受信ステータス指定ツール33は、解析対象の信号の通信状態(受信ステータス)を選択的に指定するためのものである。OKボタン34は設定開始を指示するツールであり、キャンセルボタン35は設定のキャンセルを指示するツールである。
【0072】
ステップS1で設定画面30が表示された後、トリガー設定部20bは、当該設定画面30上でセル指定ツール31による解析対象のセルの指定を受け付ける(ステップS2)。セルの選択肢としては、擬似基地局制御部20aの管理下にある全ての擬似基地局が対象となる。
【0073】
次いで、トリガー設定部20bは、設定画面30上でトリガータイプ指定ツール32によるトリガータイプの指定を受け付ける(ステップS3)。トリガータイプの選択肢は、例えば、ULSCH、UCI(SR)、UCI(CSI)、UCI(HARQ-ACK)、PRACHあるいはSRSのいずれかが対象となる。
【0074】
引き続きトリガー設定部20bは、設定画面30上で受信ステータス指定ツール33による解析対象の信号の受信ステータスの指定を受け付ける(ステップS4)。通信状態の選択肢としては、例えば、DTX、CRC NG、CRC OK、もしくはDecode NG、Decode OKなどが存在する。
【0075】
さらにトリガー設定部20bは、設定画面30上のOKボタン34が押下されたか否かを監視し、OKボタン34が押下されることにより、上記ステップS2~S4で指定を受け付けた各項目を含むトリガー条件を設定し(ステップS5)、一連のトリガー条件設定処理を終了する。
【0076】
図2は、解析対象のセルが「CELL#1」の識別子を有するセルであり、トリガータイプが「UL-SCH」であり、受信ステータスが「CRC NG」であるトリガー条件設定時の設定画面30の表示例を示している。
【0077】
このようにして設定されたトリガー条件は、トリガー設定部20bからトリガー検出部25に渡される。トリガー検出部25は、トリガー設定部20bから取得したトリガー条件を満たす通信状態が否かを監視する。トリガー条件を満たす通信状態であることを検出すると、トリガー検出部25は、所定のタイミングでIQデータメモリ部26に対してトリガー信号を出力する。
【0078】
図2に示す設定画面30上で設定されたトリガー条件によれば、基地局シミュレータ10では、「CELL#1」の識別子を有するセルとUE70との模擬通信に際し、UE70からのアップリンクデータのうちのUL-SCHを使用する信号データがCRC NGとなったときにトリガー信号が出力される。
【0079】
IQデータメモリ部26は、トリガー信号を受け取ると、アナログ信号処理部22で算出された信号データから所定区間(上記所定のタイミングに対応する)のIQデータを解析対象として取得(記憶)するようになっている。そして、IQデータ解析部27は、IQデータメモリ部26が記憶しているIQデータの解析処理を実施する。
【0080】
次に、基地局シミュレータ10におけるIQデータの解析処理動作について図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで基地局シミュレータ10は、擬似基地局制御部20aの制御下で試験シナリオに従ってUE70の試験を実施しており、UE70との間で無線周波数信号の送受信を行っているものとする。基地局シミュレータ10におけるIQデータの解析処理は、当該試験に際し、UE70から基地局シミュレータ10に対して送出されるアップリンクデータを対象に行われることを前提としている。
【0081】
IQデータの解析処理を行うに当たって、トリガー検出部25は、トリガー設定部20bにより設定されたトリガー条件を取得し(ステップS11)、保持している。
【0082】
その後、擬似基地局制御部20aの制御によりUE70の試験が開始されると、UE70との間で無線周波数信号の送受信が行われ、UE70からのアップリンクデータが受信部21aで受信され(ステップS12)、アナログ信号処理部22に入力される。
【0083】
次いで、アナログ信号処理部22は、受信部21aから入力されるアップリンクデータを被測定信号として入力し、該被測定信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、信号データ(IQデータ)を算出する演算処理を実行する(ステップS13)。
【0084】
ステップS13での演算処理により算出された信号データは、アップリンクレイヤー処理部23、及びIQデータメモリ部26に送出される(ステップS14)。
【0085】
アップリンクレイヤー処理部23は、アナログ信号処理部22からの信号データを対象にPHY層、MAC層、RLC層、PDCP層、RRC層の処理を順次行なう(ステップS15)。そして、処理後の信号データをログデータ生成部24に送出するとともに、そのうちのPHY層、MAC層の信号データについてはトリガー検出部25に送出する。
【0086】
トリガー検出部25は、入力するPHY層、MAC層の信号データと既に取得(ステップS11参照)しているトリガー条件とを照合しつつ、信号データの通信状態が該トリガー条件を満たすか否かを判定する(ステップS16)。ここで信号データの通信状態がトリガー条件を満たしていないと判定された場合(ステップ16でNO)、ステップS12以降の処理を続行する。
【0087】
これに対し、信号データの通信状態がトリガー条件を満たしていると判定された場合(ステップ16でYES)、トリガー検出部25は、IQデータメモリ部26に対し、所定のタイミングでトリガー信号を出力する(ステップS17)。
【0088】
IQデータメモリ部26は、所定の記憶容量を有するリングバッファメモリで構成され、アナログ信号処理部22から入力する信号データのうちの上記記憶容量分の最新の信号データを常に記憶(確保)するようになっている。IQデータメモリ部26は、トリガー検出部25が出力するトリガー信号を受け取ると、確保してある信号データから上述した所定のタイミングに対応する所定区間のIQデータを抽出する(ステップS18)。
【0089】
次いで、IQデータ解析部27では、IQデータ読出し部27aが、IQデータメモリ部26から所定区間のIQデータを読み出し、データ解析部27cが、読み出したIQデータの解析処理を実行する(ステップS19)。ここでデータ解析部27cは、読み出したIQデータを、パラメータ読み込み部27bがログデータから読み込んだIQ解析パラメータに基づいて解析するようになっている。
【0090】
ステップS19におけるIQデータの解析処理の終了後、表示制御部20dは、当該IQデータの解析結果を表示部28に表示する解析結果表示処理を実行する(ステップS20)。具体的に、この信号解析装置1では、上記ステップS19において、データ解析部27cは、所定の解析項目についてOFDM方式で定められた被測定信号のフレーム構成(図6参照)における時間領域ごとに解析を行ってそれぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出するようになっている。
【0091】
本実施形態に係る基地局シミュレータ10が解析対象とする、例えば、5G NR規格での信号データのフレーム構成を図6に示している。図6に示すように、5G NRにおいては、複数のOFDMシンボルにより、スロット、サブフレーム、フレームが構成される。スロットは、サブキャリア間隔にかかわらず14個のOFDMシンボルで構成され、サブフレームは1ms区間として、フレームはサブフレーム10個で定義される。図6のフレーム構成において、OFDM方式で定められた時間領域であるシンボルは、番号0(#0)~番号13(#13)の符号で識別されている。
【0092】
かかるフレーム構成を有する被測定信号を対象として、データ解析部27cが上記ステップS19において所定の解析項目についてOFDM方式で定められた時間領域(シンボル)に対応した複数の解析結果を算出した後、ステップS20において、表示制御部20dは、これら複数の解析項目を並べて表示部28の解析結果表示部28cに解析結果画面40(図8参照)として表示させる制御を行う。ここで本実施形態に係る基地局シミュレータ10では、データ解析部27cは、所定のスロットを形成するシンボルのCB単位に被測定信号を復号化する処理機能を有するとともに、復号化が成功(OK)したか、あるいは失敗(NG)したかの復号結果についてCBごとに解析を行うことができる構成を有している。
【0093】
ステップS20におけるIQデータの解析結果の表示中、所定の表示終了操作が行われることにより、表示制御部20dは解析結果画面40の表示処理を終了し、擬似基地局制御部20aは上記一連のIQデータ解析処理を終了させるように制御する。
【0094】
図2に示す設定画面30を用いてトリガー条件を設定し、図4に示すフローチャートに沿ったIQデータ解析処理を実行する基地局シミュレータ10によれば、UE70からのアップリンクデータのPHY層の信号処理について上述した試験シナリオ1~3等によるIQデータの解析を行うことが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では、IQデータメモリ部26で抽出される信号データ(トリガー信号の出力に対応して記憶される信号)は物理層(PHY層)の信号データであり、トリガー設定部20bで設定するトリガー条件はトリガータイプ、受信ステータスを含む内容である例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリガー条件については、擬似基地局制御部20aが配下の各擬似基地局に対応して管理している情報、例えば、アクトタイム(当該擬似基地局の通信動作を起動するための期間を示す)を含む情報形態であってもよい。
【0096】
次に、被測定信号の解析結果の表示処理動作について説明する。
本実施形態に係る基地局シミュレータ10では、図4のステップS20における解析結果表示処理において、例えば、図8に示す表示形態を有する解析結果画面40を解析結果表示部28cに表示させるようになっている。
【0097】
図8に示すように、解析結果画面40は、解析項目選択タブ41と、複数の解析項目の解析結果を表示する解析結果表示領域42とを有して構成されている。解析項目選択タブ41は、複数の解析項目にそれぞれ対応して複数個設けられ、各解析項目を選択することを目的として押下操作するものである。この例において、解析項目選択タブ41は、解析項目として、予め設定した解析条件での解析結果を選択するための「Result」タブ41a、スペクトラムを選択するための「Spectrum_Rx0」タブ41b、コンスタレーションを選択するための「Conste_L0」タブ41cを少なくとも含んでいる。
【0098】
解析結果表示領域42は、メイン解析結果表示領域43と、サブ解析結果表示領域であるスペクトラム表示領域44、時間領域信号表示領域45、及びコンスタレーション表示領域46を有している。
【0099】
メイン解析結果表示領域43は、「Freqe st result」表示領域43a、「Decode result」表示領域43b、「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cを有する。「Freqe st result」表示領域43aは、事前に設定した周波数からのずれ量を「Freqe st :Frequency error_estimation」として表示する機能を有している。この例では、受信中の被測定信号が設定値から29.0Hzだけずれているときの表示形態を示している。なお、Freqe stは、本発明の解析項目を構成するものでない。
【0100】
「Decode result」表示領域43bは、被測定信号の種別とその復号処理が成功(OK)したか否か(失敗:NG)に関連付けて信号解析条件を設定する機能を有している。この例では、信号解析条件として、PUSCHという種別の信号の復号処理が失敗(NG)したことを条件に信号解析を行うことが設定されたときの表示形態を示している。
【0101】
「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cは、信号種別PUSCHを対象としてコードブロック(CB)ごとのエラーの発生または未発生の状況を一覧表示する機能を有している。ここで被測定信号は、番号0から番号13までの14の番号によって識別される14個のCBからなり、各CBはそれぞれ例えば2つのシンボルで構成されている。この例では、CB番号0、1、2、3、4、5、6が、それぞれ、シンボル番号0と1、2と3、4と5、6と7、8と9、10と11、12と13の2つずつのシンボルを含んでいるときの例を挙げている。このように、基地局シミュレータ10において、表示制御部20dは、上述したフレーム構成(図6参照)においてスロットに含まれるシンボルの長さを表示する制御機能を有している。
【0102】
「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cにおいては、CB番号とシンボル番号とが紐づけされており、互いに紐づけされたCB番号及びシンボル番号に対応して、「Decode result」表示領域43bによって設定された解析条件下でのエラーの発生または被発生状況が表示されている。特に、図8においては、CB番号6及びシンボル番号12及び13に対応して被測定信号の復号化がNGであり、その他のCB番号及びシンボル番号に対応して被測定信号の復号化がOKである旨の解析結果が表示された例が挙げられている。
【0103】
「Freqe st result」表示領域43a、「Decode result」表示領域43b、及び「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cは、例えば、解析項目選択タブ41中の「Result」タブ41aの押下操作に応じて当該解析結果画面40上に開かれるものであり、通常は、閉じた状態となっている。
【0104】
サブ解析結果表示領域において、スペクトラム表示領域44は、例えば、解析項目選択タブ41中の「Spectrum_Rx0」タブ41b押下操作に応じて、各CBの各シンボル番号に対応してスペクトラム波形を表示する機能を有している。
【0105】
時間領域信号表示領域45は、例えば、「Spectrum_Rx0」タブ41bに関連して設けられるプルダウンメニューから「表示形態の変更」を選択する操作を行うことによって、当該「Spectrum_Rx0」タブ41bのプルダウンメニューが利用されなかったときと異なる態様で各CBの各シンボル番号に対応して時間領域信号波形を表示する機能を有している。
【0106】
コンスタレーション表示領域46は、例えば、解析項目選択タブ41中の「Conste_L0」タブ41cの押下操作に応じて、各CBの各シンボル番号に対応してコンスタレーショングラフを表示する機能を有している。
【0107】
図8においては、メイン解析結果表示領域43、スペクトラム表示領域44、時間領域信号表示領域45、コンスタレーション表示領域46が、例えば、解析項目選択タブ41中の、「Result」タブ41a、「Spectrum_Rx0」タブ41b、「Spectrum_Rx0」タブ41b(プルダウンメニュー)、「Conste_L0」タブ41cの押下操作に応じて当該解析結果画面40上にそれぞれ開かれる構成を例示しているが、これらメイン解析結果表示領域43、スペクトラム表示領域44、時間領域信号表示領域45、コンスタレーション表示領域46は常時開かれた状態で表示される構成であってもよい。
【0108】
本実施形態に係る基地局シミュレータ10における上記構成を有する解析結果画面40の表示処理(図4におけるステップS20の処理に相当)動作について、図7に示すフローチャートを参照してさらに詳しく説明する。
【0109】
この解析結果画面40の表示処理においては、基地局シミュレータ10が解析対象とする信号(UE70から送出される被測定信号)は、例えば、5G NR規格の信号であって、LDPC(Low Density Parity Check)符号を用いた符号/復号化方式が適用される信号であるものとする。この信号は、例えば、CB番号0、1、2、3、4、5、6によって識別される7個のCBで構成されている。7個のCBは、それぞれ、シンボル番号0と1、2と3、4と5、6と7、8と9、10と11、12と13で識別される2つずつのシンボルから構成されているものとする。
【0110】
本実施形態に係る基地局シミュレータ10においてデータ解析部27cは、例えば、図4のステップS19において、上述した構成を有する被測定信号をCB、若しくはシンボルの時間領域ごとに解析し、それぞれの時間領域に対応した複数の解析項目の解析結果を算出するようになっている。複数の解析項目としては、例えば、信号解析開始前に設定された解析条件に基づく解析結果(この例では、CBあるいはシンボルごとの復号化処理に関するエラー発生状況)、スペクトラム、コンスタレーション等が挙げられる。算出された各解析項目の解析結果データは、例えば、上述したマイクロコンピュータの記憶媒体(メモリ)に記憶される。
【0111】
引き続き表示制御部20dは、図4のステップS20において、上述した複数の解析項目を含む解析結果画面40(基本画面)を解析結果表示部28cに表示させるとともに、所望の解析項目の選択を受け付けつつ当該選択された解析項目の解析結果を含む表示形態の解析結果画面40へと更新表示する表示制御を実施する。このときの表示制御は、図7に示すフローチャートにしたがって実施される。
【0112】
図7に示す表示制御が開始されると、表示制御部20dはまず、図4のステップS19で算出された複数の解析項目を含む基本画面データ(画像データ)を例えばメモリから読み出し、該基本画面データに基づいて基本画面としての解析結果画面40を表示させる制御を実施する(ステップS21)。基本画面は、例えば、図8に示す解析結果画面40において、解析項目選択タブ41が表示され、解析結果表示領域42の各解析項目に対応する表示領域のいずれもが開かれていない状態の画面構成を有するものである。
【0113】
上記ステップS21での解析結果画面(基本画面)40の表示中、表示制御部20dは、操作者による所望の解析項目の選択操作を受け付ける(ステップS22)。ここで操作者は、解析結果画面40上で解析項目選択タブ41、特に、例えば、「Result」タブ41a、「Spectrum_Rx0」タブ41b(プルダウンメニューを含む)、「Conste_L0」タブ41c等を用いて所望の解析項目の選択操作を行うことができ、表示制御部20dは、これら各タブの選択操作を受け付ける。
【0114】
次いで表示制御部20dは、上記ステップS22で選択を受け付けた解析項目の解析結果データをメモリから読み出し、該解析結果データに基づいて解析結果画面40における当該解析項目に対応する表示領域にその解析結果を表示させる制御を実施する(ステップS23)。
【0115】
具体例として、表示制御部20dは、解析結果画面40上において、例えば、「Result」タブ41aの押下操作を受け付けた場合には、例えば、図8に示すように、メイン解析結果表示領域43を構成する「Freqe st result」表示領域43a、「Decode result」表示領域43b、及び「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cのみが開かれ、他の表示領域(スペクトラム表示領域44、時間領域信号表示領域45、コンスタレーション表示領域46)が閉じられている表示形態を有する解析結果画面40を表示させる。
【0116】
このときに表示される解析結果画面40において、「Decode result」表示領域43bには、PUSCHの信号の復号化が失敗であるときを条件として解析を実行することを示す「PUSCH NG」なる解析条件が表示される。また、PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cには、被測定信号のCB番号に対応して該CB番号で識別されるCBを構成するシンボル番号に対応付けて復号化に関するエラー発生の有無、すなわち、復号化成功または失敗に関する情報が、それぞれに対応する「OK」または「NG」という文字で表示される。
【0117】
上記ステップS21における解析結果画面40の表示中、操作者は、「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cの表示内容から、被測定信号のCB番号が6であるCBにおいて復号化失敗(NG)が生じたことを認識することができる。合わせて、操作者は、復号化失敗(NG)のシンボルが、シンボル番号12、13で識別されるシンボルであることも把握することができる。これ以後、操作者は、解析結果画面40上で所望の解析項目の選択操作を行うことで、該選択した解析項目に関する詳細な解析結果を選択的に表示させるモードへと移行が行えるようになっている。
【0118】
操作者により選択された解析項目の解析結果の表示動作の一例として、解析結果画面40上において、例えば、「Spectrum_Rx0」タブ41bの押下操作を受け付けた場合には、表示制御部20dは、スペクトラム表示領域44が開かれ、当該スペクトラム表示領域44に、被測定信号の各シンボルに対応したスペクトラムの表示が行われる表示形態を有する解析結果画面40を表示させる。
【0119】
また、解析結果画面40上において、例えば、「Spectrum_Rx0」タブ41bのプルダウンメニューから「表示形態の変更」を選択する操作を受け付けた場合には、表示制御部20dは、時間領域信号表示領域45が開かれ、当該時間領域信号表示領域45に、被測定信号の各シンボルに対応した別の形態のスペクトラムの表示が行われる表示形態を有する解析結果画面40を表示させる。
【0120】
さらに、解析結果画面40上において、例えば、Conste_L0」タブ41cの選択操作を受け付けた場合には、表示制御部20dは、コンスタレーション表示領域46が開かれ、当該コンスタレーション表示領域46に、被測定信号の各シンボルに対応したコンスタレーションの表示が行われる表示形態を有する解析結果画面40を表示させる。
【0121】
上記ステップS22、ステップS23の処理を繰り返し実施しながら、表示制御部20dは、例えば、操作部29で表示終了操作が行われたか否かを監視する(ステップS24)。ここで表示終了操作が行われていないと判定された場合(ステップS24でNO)、表示制御部20dは、ステップS22以降の表示制御を実施する一方、表示終了操作が行われたと判定された場合(ステップS24でYES)、上記一連の表示制御を終了する。
【0122】
次に、メイン解析結果、及びサブ解析結果(スペクトラム1、時間領域信号、コンスタレーション)の具体的表示形態について、図8図11を参照してさらに詳しく説明する。
【0123】
上述したように、図7に示す表示制御によれば、ステップS22、S23において、以下に示すような解析項目の選択及び解析結果表示制御が実施される。
【0124】
(解析結果の選択)
解析結果画面40上で解析項目選択タブ41における「Result」タブ41aの押下操作が受け付けられると、「Freqe st result」表示領域43a、「Decode result」表示領域43b、及び「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cを有するメイン解析結果表示領域43が開かれ、当該「Freqe st result」表示領域43a、「Decode result」表示領域43b、及び「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cにそれぞれ対応する情報の表示が行われる。このときの解析結果画面40の表示例を図8に示している。
【0125】
図8に示すように、このときの解析結果画面40の「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cにおいては、「Decode result」表示領域43bで事前に設定されたPUSCHの符号化失敗(NG)という解析条件に基づく解析結果として、当該PUSCHの符号化が失敗(NG)したかまたは成功(OK)したかについて被測定信号のCB単位に表示されるようになっている。さらには、被測定信号のCBに対応するシンボル番号も併せ表示されている。これにより、操作者は、被測定信号のどの時間領域(この例では、CB番号6に相当するCBの時間領域)においてデコードが失敗したかを容易に把握可能となる。
【0126】
さらに言及すれば、デコードが失敗した時間領域を把握したうえで、当該時間領域に限定して、他の解析項目の観点からデコードエラーのさらに詳しい原因究明を進めることができるようになる。本実施形態によれば、他の解析項目として、スペクトラム1、時間領域信号、コンステレーションを選択することができる。
【0127】
(スペクトラム1の選択)
解析結果画面40上で解析項目選択タブ41における「Spectrum_Rx0」タブ41bの押下操作が受け付けられると、スペクトラム表示領域44が開かれ、当該スペクトラム表示領域44に、被測定信号の各シンボルに対応したスペクトラムの表示が行われる。このときの解析結果画面40の表示例を図9に示している。
【0128】
図9に示すように、このときの解析結果画面40のスペクトラム表示領域44においては、CB番号0~6で識別される各CBにそれぞれ対応するスペクトラム1の解析結果がCB番号0~6に対応して表示されるようになっている。さらには、このときの解析結果画面40にCB番号6に対応して表示されるスペクトラム1の解析結果については、CB番号のCBを構成する各シンボル(シンボル番号12、13に対応する)にてデコードエラーが発生していることを示す赤枠44a、44bで囲まれる形態で表示されている。この赤枠44a、44bで囲む表示形態は、このときの解析結果画面40へ移行する前の「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cに表示されていた、CB番号6に相当するCBの時間領域でのデコード失敗の解析結果を反映したものである。なおここでは、デコードエラーが発生していることを示す赤枠44a、44bを表示する例を挙げているが、これに限らず、当該デコードエラーが発生していることを強調できるものであれば、例えば、特定の色で表示する、あるいはハイライト表示する等、他の表示形態で表示するようにしてもよい。
【0129】
このように、デコードエラーが発生したCBについての赤枠表示(強調表示)によれば、操作者は、赤枠44a、44bが付されたCBを主体に当該赤枠によって囲まれたスペクトラム波形をより詳細に見直すことによって、CB番号6に相当するCBの時間領域においてデコードが失敗した原因をより突き詰めていくことができる。必要であれば、他の形態を有する時間領域信号を読み出してより詳しい検討を加えることができる。
【0130】
(時間領域信号の選択)
解析結果画面40上で解析項目選択タブ41における「Spectrum_Rx0」タブ41bが押下操作され、かつ、そのプルダウンメニューによって「表示形態の変更」を選択する操作が受け付けられると、時間領域信号表示領域45が開かれ、当該時間領域信号表示領域45に、被測定信号の各シンボルに対応した時間領域信号の表示が行われる。このときの解析結果画面40の表示例を図10に示している。
【0131】
図10に示すように、このときの解析結果画面40の時間領域信号表示領域45においては、CB番号0~6で識別される各CBにそれぞれ対応する時間領域信号の解析結果がCB番号0~6に対応して表示されるようになっている。さらには、このときの解析結果画面40にCB番号6に対応して表示される時間領域信号の解析結果については、CB番号6のCBを構成する各シンボル(シンボル番号12、13に対応する)にてデコードエラーが発生していることを示す赤枠45a、45bによって囲まれる形態で表示されている。この赤枠で囲む表示形態は、このときの解析結果画面40へ移行する前の「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cに表示されていた、CB番号6に相当するCBの時間領域でのデコード失敗の解析結果を反映したものである。
【0132】
このように、デコードエラーが発生したCBについての赤枠表示(他の強調表示であってもよい)によれば、操作者は、赤枠45a、45bが付されたCBを主体に当該赤枠45a、45bによって囲まれた時間領域信号波形をより詳細に見直すことによって、CB番号6に相当するCBの時間領域においてデコードが失敗した原因をより突き詰めていくことができる。必要であれば、他の形態を有する時間領域信号を読み出してより詳しい検討を加えることができる。ここで操作者は、他の解析項目を指定して当該他の解析項目の観点からデコードエラーに関するさらに詳しい検討を加えることもできる。
【0133】
(コンスタレーションの選択)
解析結果画面40上で解析項目選択タブ41における「Conste_L0」タブ41cの押下操作が受け付けられると、コンスタレーション表示領域46が開かれ、当該コンスタレーション表示領域46に、被測定信号の各シンボルに対応したコンスタレーションの表示が行われる。このときの解析結果画面40の表示例を図11に示している。
【0134】
図11に示すように、このときの解析結果画面40のコンスタレーション表示領域46においては、CB番号0~6で識別される各CBにそれぞれ対応するコンスタレーションの解析結果がCB番号0~6に対応して表示されるようになっている。
【0135】
図11に示す解析結果画面40のコンスタレーション表示領域46においては、IQ座標平面上に被測定信号(多値直交変調信号)の各測定値に対応する点を配置した、いわゆるコンスタレーションとしての表示形態を採用している。このときのコンスタレーション表示領域46におけるコンスタレーションの表示形態によれば、CB番号6に相当するCBの時間領域(シンボル番号12、13に対応する)において、IQ座標平面上の各測定値に対応する点が、当該多値直交変調信号の理想とする測定点から著しくずれた位置に点在していることを観察できる。
【0136】
しかも、このときの解析結果画面40にCB番号6に対応して表示されるコンスタレーションの解析結果については、シンボル番号12、13に対応するコンスタレーションが、デコードエラーが発生していることを示す赤枠46a、46bによって囲まれる形態で表示されている。この赤枠46a、46bで囲む表示形態は、このときの解析結果画面40へ移行する前の「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43cに表示されていた、CB番号6に相当するCBの時間領域でのデコード失敗の解析結果を反映したものである。
【0137】
このように、コンスタレーションをキーとして、デコードエラーが発生したCBのコンタレーション画像に対する赤枠表示(他の強調表示であってもよい)によれば、操作者は、赤枠で囲まれたCBを主体に当該赤枠によって囲まれたコンスタレーション画像をより詳細に見直すことによって、CB番号6に相当するCBの時間領域においてデコードが失敗した原因究明のための作業をより突き詰めていくことができる。
【0138】
上述したように、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、OFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信部21aと、受信部21aで受信した被測定信号の信号データを算出するアナログ信号処理部22と、信号データを所定の解析項目についてOFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出するデータ解析部27cと、複数の解析結果が並べて表示される解析結果表示部28cと、を備える構成である。
【0139】
この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、解析結果表示部28cに並べて表示された複数の解析結果から、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握することができる。また、異常があった場合には、その異常箇所を時間領域ごとに特定することが可能となる。
【0140】
より具体的には、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、解析結果表示部28cには、所定の解析項目を選択する、例えば、「解析結果」、「周波数スペクトラム」、「コンスタレーション」などの項目がそれぞれ対応するタブを用いてさらに表示される。そして、基地局シミュレータ10は、解析結果表示部28cに表示された所定の解析項目(タブ)を選択(押下)すると、解析結果表示部28cにおける、例えば、「Decode result」表示領域43b及び「PUSCH Code Black CRC result」表示領域43c、スペクトラム表示領域44及び時間領域信号表示領域45、コンスタレーション表示領域46に、当該所定の解析項目のそれぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を表示するように制御する表示制御部20dを、さらに備えている。
【0141】
この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、選択した解析項目について、表示された、例えば、復号化NGまたはOK、周波数スペクトラム、コンスタレーション等の複数の解析結果をさらに確認することで、被測定信号の時間領域ごとの通信状況をより正確に把握することが可能になる。
【0142】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10において、時間領域は、被測定信号のフレーム構成における所定のスロットを形成する、例えば、14個のシンボルである。この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、被測定信号の信号データのシンボルごとの受信状況を把握することができ、異常があった場合の異常箇所についてもシンボル単位に把握することができる。
【0143】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10において、データ解析部27cは、上記シンボルのコードブロック(CB)単位に被測定信号を復号化する処理機能を有し、データ解析部27cが解析する所定の解析項目は、復号化が成功か失敗かの復号結果であり、解析結果表示部28cには上記復号結果をCBごとに表示する構成を有する。
【0144】
この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、並べて表示された複数の解析結果から、被測定信号の信号データについて、シンボルのCB単位に復号化が成功したかを把握することができ、異常箇所についてもシンボルのCB単位に特定できるようになる。
【0145】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10において、上記所定の解析項目は、コンスタレーションである。この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を大まかに把握したうえで、さらに所望の時間領域のコンスタレーションを表示して通信状況をより細やかに検証することができる。
【0146】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10において、上記所定の解析項目は、周波数スペクトラムである。この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を大まかに把握したうえで、さらに所望の時間領域の信号を表示して通信状況をより細やかに検証することができる。
【0147】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10において、時間領域は、スロットであり、表示制御部20dは、上記スロットに含まれるシンボルの長さを表示する構成を有している。この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、被測定信号の信号データを構成するシンボルの長さ(個数)が分かり、シンボルごとの通信状況も容易に把握することができる。
【0148】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、被測定信号の通信規格におけるサブキャリアの周波数間隔を設定するサブキャリア間隔設定部20eをさらに有する。ここで被測定信号の通信規格は、5G NRであり、サブキャリア間隔設定部20eは、サブキャリアの周波数間隔として15KHz、30KHz、60KHz、120KHzのいずれかの値を設定する構成である。
【0149】
この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、5G NRの被測定信号の信号データの時間領域ごとの解析にも対応でき、サブキャリアの周波数間隔が15KHz、30KHz、60KHz、120KHzのいずれである場合においても、被測定信号の信号データの時間領域ごとの受信状況を把握することが可能となる。
【0150】
また、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、所定のトリガー条件を満たす場合に所定のタイミングでトリガー信号を出力するトリガー検出部25と、トリガー信号を受けて、信号データから所定のタイミングに応じた所定区間のIQデータを抽出するIQデータメモリ部26と、をさらに備え、データ解析部27cは、IQデータメモリ部26にて抽出された所定区間の信号データを解析する構成を有している。
【0151】
この構成により、本実施形態に係る基地局シミュレータ10は、トリガー条件を満たす所定区間の信号データのみを対象に時間領域ごとにかつ複数の解析項目について解析を行っての解析結果を並べて表示することができ、並べて表示された複数の解析結果から、トリガー条件を満たす信号データの時間領域ごとの通信状況を把握することができるとともに、異常があった場合の異常箇所の特定も時間領域ごとに行うことが可能となる。
【0152】
また、本実施形態に係る信号解析結果表示方法は、OFDM方式で変調された被測定信号を受信する受信ステップ(S12)と、受信ステップで受信した被測定信号の信号データを算出する信号データ算出ステップ(S13)と、信号データを所定の解析項目についてOFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析結果を算出する解析ステップ(S19)と、複数の解析結果を解析結果表示部28cに並べて表示する表示ステップ(S20)と、を含む構成を有する。
【0153】
この構成により、本実施形態に係る信号解析結果表示方法は、解析結果表示部28cに並べて表示された複数の解析結果から、被測定信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握でき、異常がある場合には、その異常箇所を時間領域ごとに特定可能となる。
【0154】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る信号解析装置1の構成について図12を参照して説明する。
【0155】
図12に示すように、本実施形態に係る信号解析装置1は、基地局シミュレータ10Aと制御装置50とをハブ60を介して通信可能に接続したシステム構成を有している。制御装置50はハブ60に対して、例えば、イーサネット(登録商標)を用いたネットワーク65によって接続されている。
【0156】
基地局シミュレータ10Aは、一部の機能ブロックを除いて、概念上の構成が、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10(図1参照)と同等のものである。本実施形態に係る基地局シミュレータ10Aは、制御装置50の制御により基地局シミュレータとして作動するものであり、基地局を擬似した通信をUE70(第1の実施形態のものと同等)の間で行わせる擬似基地局制御機能部、IQデータの解析を制御する機能部、IQデータの解析結果を表示する機能部等が制御装置50の制御機能に委ねられている。
【0157】
図12に示すように、基地局シミュレータ10Aは、受信部11a、送信部11bを有する送受信部11、信号データ算出部12、トリガー信号出力部13、信号抽出部14、記憶部15、外部インタフェース(I/F)部16を備えて構成されている。
【0158】
基地局シミュレータ10Aにおいて、受信部11aは、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10の受信部21aに相当する。信号データ算出部12は、同じくアナログ信号処理部22、及びアップリンクレイヤー処理部23に相当する。トリガー信号出力部13は、同じくトリガー検出部25に相当する。信号抽出部14、及び記憶部15は、同じくIQデータメモリ部26に相当する。外部インタフェース(I/F)部16は、ハブ60との間で信号を送受信するためのインタフェース手段である。
【0159】
制御装置50は、例えば、パーソナル・コンピュータ(PC)等のコンピュータ装置により構成され、UE70の試験のための基地局シミュレータ10Aの各種制御動作を統括的に制御する制御PCとして機能する。図12に示すように、制御装置50は、制御部51、IQデータ解析部52、外部インタフェース(I/F)部53、表示部54、操作部55を有している。
【0160】
制御装置50において、制御部51は、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10の制御部20と同等の制御機能を有するものである。すなわち、制御部51は、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10の制御部20における擬似基地局制御部20a、トリガー設定部20b、解析制御部20c、表示制御部20d、サブキャリア間隔設定部20eとそれぞれ同等の擬似基地局制御部51a、トリガー設定部51b、解析制御部51c、表示制御部51d、サブキャリア間隔設定部50eを有している。また、制御装置50において、IQデータ解析部52は、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10のIQデータ解析部27と同等のものであり、本発明の解析部を構成している。表示部54、操作部55は、同じく表示部28、操作部29とそれぞれ同等のものである。外部インタフェース(I/F)部53は、ネットワーク65を介してハブ60との間で信号を送受信するためのインタフェース手段である。
【0161】
図12に示すシステム構成を有する信号解析装置1において、基地局シミュレータ10A、及び制御装置50は、それぞれ、以下のように動作する。受信部11aは、UE70から送信された被測定信号を受信する(図4のステップS12参照)。信号データ算出部12は、被測定信号をデジタル信号に変換し、信号データを算出する処理を実行する(同、ステップS13参照)。トリガー信号出力部13は、所定のトリガー条件を満たす場合に所定のタイミングでトリガー信号を出力する(同、ステップS17参照)。信号抽出部14は、トリガー信号を受けて、信号データ算出部12によって算出された信号データから所定のタイミングに応じた所定区間のIQデータを抽出する(同、ステップS18参照)。具体的には、リングバッファメモリで構成される記憶部15に所定区間のIQデータを格納する。そして、制御装置50では、IQデータ解析部52が、リングバッファメモリに格納された所定区間のIQデータの解析処理を実行する(同、ステップS19参照)。さらに表示制御部51dは、IQデータ解析部52によるIQデータの解析結果を表示部54に表示させる制御を行う(同、ステップS20参照)。
【0162】
特に、この信号解析装置1では、上記ステップS19の処理については、IQデータ解析部52が、リングバッファメモリに格納された所定区間の信号データを所定の解析項目についてOFDM方式で定められた時間領域ごとに解析して、それぞれの時間領域に対応した複数の解析項目の解析結果を算出する。また、上記ステップS20の処理において、表示制御部51dは、表示部54に対し、複数の解析項目の解析結果を並べて表示させるように制御する(図7のステップS23参照)。この信号解析及び解析結果表示の処理は、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10と同様に実施されるものである。
【0163】
このように、第2の実施形態に係る信号解析装置1は、基地局シミュレータ10Aと制御装置50とがシステムとして協働して、第1の実施形態に係る単体の基地局シミュレータ10と同様のIQデータ解析処理機能、及び解析結果表示処理機能を実現している。すなわち、本実施形態に係る信号解析装置1において、トリガー条件を設定し、該トリガー条件を満たす通信状態でトリガー信号を出力してPHY層における所定範囲のIQデータを取得してその解析を行うとともに、その際にOFDM方式で定められた時間領域ごとにそれぞれの時間領域に対応した複数の解析項目の解析結果を算出する信号解析機能、及び該複数の解析項目の解析結果を並べて表示部54に表示させる表示制御機能は、それぞれ、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10と同様である。これにより、第2の実施形態に係る信号解析装置1においては、第1の実施形態に係る基地局シミュレータ10と同様の作用効果が期待できる。
【0164】
また、本実施形態に係る信号解析装置1は、信号抽出部14(IQデータメモリ部)とIQデータ解析部52は有線ケーブルで接続されている構成を有する。この構成により、本実施形態に係る信号解析装置1は、さらに基地局数が増加した場合には同種の信号解析装置を並列に接続して、送受信する信号が増加した場合にも対応することが可能になる。
【0165】
上記各実施形態では、5GNRの運用形態を例示したが、5GNRとLTEが混在した運用形態、あるいは将来5GNRと次の通信規格との運用形態となった場合にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上のように、本発明に係る信号解析装置、及び信号解析結果表示方法は、入力変調信号の信号データの時間領域ごとの通信状況を把握でき、異常個所も時間領域単位に特定可能であるという効果を奏し、移動端末から送られてくる被測定信号の解析を行う信号解析装置、及び信号解析結果表示方法全般に有用である。
【符号の説明】
【0167】
1 信号解析装置
10、10A 基地局シミュレータ
11a 受信部
12 信号データ算出部
13 トリガー信号出力部
14 信号抽出部
20d 表示制御部
20e サブキャリア間隔設定部
21a 受信部
22 アナログ信号処理部(信号データ算出部)
25 トリガー検出部(トリガー信号出力部)
26 IQデータメモリ部(信号抽出部)
27c データ解析部(解析部)
28c 解析結果表示部(表示部)
41b 「Spectrum_Rx0」タブ(周波数スペクトラム)
41c 「Conste_L0」タブ(コンスタレーション)
43b 「Decode result」表示領域(解析項目、復号結果)
43c 「PUSCH Code Black CRC result」表示領域(解析結果)
44 スペクトラム表示領域(解析結果)
45 時間領域信号表示領域(解析結果)
46 「Constelation」表示領域(解析結果)
51e サブキャリア間隔設定部
52 IQデータ解析部(解析部)
54 表示部
70 UE(User Equipment:移動端末)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12