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特開2022-143576動的構築実行装置、動的構築実行方法、および、動的構築実行プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143576
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】動的構築実行装置、動的構築実行方法、および、動的構築実行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q30/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044160
(22)【出願日】2021-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011562
【氏名又は名称】三菱電機ITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 潤哉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB11
(57)【要約】
【課題】使用しない機能への費用負担を削減するとともに、機能の処理順を変更した場合でもデータに矛盾なく実行することを目的とする。
【解決手段】ベースデータ55には、業務の案件ごとに、予め用意された機能モジュールのうち業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報56と、N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報57とが設定される。機能実行部130は、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、基本情報56を設定するとともに第1の個別情報を設定する。また、機能実行部130は、2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、基本情報56を更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務を実現するシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置において、
前記業務の案件ごとに、予め用意された機能モジュールのうち前記業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータと、
前記N個の機能モジュールを処理順に実行する機能実行部であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定する機能実行部と
を備え、
前記機能実行部は、
2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、前記基本情報を更新する動的構築実行装置。
【請求項2】
前記第mの機能モジュールは、他の機能モジュールの個別情報について参照のみ可能である請求項1に記載の動的構築実行装置。
【請求項3】
前記動的構築実行装置は、
前記基本情報に設定されている情報と前記個別情報に設定されている情報とに基づいて、前記N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報として表示する進捗表示部を備える請求項1または請求項2に記載の動的構築実行装置。
【請求項4】
前記動的構築実行装置は、前記業務として商品の販売業務を実現するシステムを動的に構築し、
前記基本情報は、前記商品の数量を含み、
前記進捗表示部は、
前記基本情報に含まれる前記商品の数量と前記第mの個別情報に含まれる前記商品の数量とを比較することにより前記第mの機能モジュールの進捗を判定し、判定結果に基づいて前記進捗一覧情報を表示する請求項3に記載の動的構築実行装置。
【請求項5】
前記動的構築実行装置は、予め用意された機能モジュールの一覧が設定された処理定義マスタから前記N個の機能モジュールの選択と処理順を受け付ける初期設定画面を表示し、前記初期設定画面を介して前記N個の機能モジュールの選択と処理順を受け付けると、選択された前記N個の機能モジュールの処理順を処理順定義マスタとして設定する初期設定部を備え、
前記機能実行部は、
前記処理順定義マスタを用いて、前記N個の機能モジュールを処理順に実行する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の動的構築実行装置。
【請求項6】
前記処理定義マスタには、前記機能モジュールの一覧の各機能モジュールと、各機能モジュールを取得するための前記各機能モジュールの格納先とが対応付けられており、
前記動的構築実行装置は、
前記処理定義マスタを用いて前記N個の機能モジュールを取得するモジュール取得部を備えた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の動的構築実行装置。
【請求項7】
前記初期設定部は、さらに、
前記初期設定画面を介して、前記システムを利用するユーザの人数を受け付け、選択された前記N個の機能モジュールと前記人数とに基づいて、前記システムの利用料金を算出し、算出した利用料金を前記初期設定画面に表示する請求項5に記載の動的構築実行装置。
【請求項8】
業務を実現するシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置に用いられる動的構築実行方法において、
コンピュータが、前記業務の案件ごとに、予め用意された機能モジュールのうち前記業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータを備え、
コンピュータが、前記N個の機能モジュールを処理順に実行する機能実行部であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定し、
コンピュータが、2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、前記基本情報を更新する動的構築実行方法。
【請求項9】
業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールから成るシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置に用いられる動的構築実行プログラムにおいて、
前記動的構築実行装置が、前記業務の案件ごとに、前記N個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータを備え、
前記N個の機能モジュールを設定された処理順に実行する機能実行処理であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定する機能実行処理と、
2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、前記基本情報を更新する処理と
をコンピュータに実行させる動的構築実行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動的構築実行装置、動的構築実行方法、および、動的構築実行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパッケージシステムの処理フローは固定されていることが多い。ユーザの業務とパッケージの各処理の処理順が異なる場合、パッケージが適用できない場合がある。あるいは、カスタマイズを行って各処理の処理順をユーザの業務にあわせる必要がある。また、ユーザ業務に必要のない機能もパッケージに含まれるため、使わない機能に対しても費用負担が発生する。
【0003】
特許文献1には、利用者が必要な機能を選択すると、選択した機能の利用料金を算出し、利用料金を利用者に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-196624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ユーザの業務に合わせて機能の処理順を変更した場合でも、矛盾なく実行できるようにする仕組みについては開示されていない。また、使用する機能あるいは処理順の組み合わせを簡単に設定・変更する仕組みについても開示されていない。
【0006】
本開示では、ユーザの業務に合わせて使用する機能と機能の処理順を選択し、機能の処理順を変更した場合でもデータに矛盾なく実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る動的構築実行装置は、業務を実現するシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置において、
前記業務の案件ごとに、予め用意された機能モジュールのうち前記業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータと、
前記N個の機能モジュールを処理順に実行する機能実行部であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定する機能実行部と
を備え、
前記機能実行部は、
2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、前記基本情報を更新する。
【0008】
前記第mの機能モジュールは、他の機能モジュールの個別情報について参照のみ可能である。
【0009】
前記動的構築実行装置は、
前記基本情報に設定されている情報と前記個別情報に設定されている情報とに基づいて、前記N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報として表示する進捗表示部を備える。
【0010】
前記動的構築実行装置は、前記業務として商品の販売業務を実現するシステムを動的に構築し、
前記基本情報は、前記商品の数量を含み、
前記進捗表示部は、
前記基本情報に含まれる前記商品の数量と前記第mの個別情報に含まれる前記商品の数量とを比較することにより前記第mの機能モジュールの進捗を判定し、判定結果に基づいて前記進捗一覧情報を表示する。
【0011】
前記動的構築実行装置は、予め用意された機能モジュールの一覧が設定された処理定義マスタから前記N個の機能モジュールの選択と処理順を受け付ける初期設定画面を表示し、前記初期設定画面を介して前記N個の機能モジュールの選択と処理順を受け付けると、選択された前記N個の機能モジュールの処理順を処理順定義マスタとして設定する初期設定部を備え、
前記機能実行部は、
前記処理順定義マスタを用いて、前記N個の機能モジュールを処理順に実行する。
【0012】
前記処理定義マスタには、前記機能モジュールの一覧の各機能モジュールと、各機能モジュールを取得するための前記各機能モジュールの格納先とが対応付けられており、
前記動的構築実行装置は、
前記処理定義マスタを用いて前記N個の機能モジュールを取得するモジュール取得部を備えた。
【0013】
前記初期設定部は、さらに、
前記初期設定画面を介して、前記システムを利用するユーザの人数を受け付け、選択された前記N個の機能モジュールと前記人数とに基づいて、前記システムの利用料金を算出し、算出した利用料金を前記初期設定画面に表示する。
【0014】
本開示に係る動的構築実行方法は、業務を実現するシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置に用いられる動的構築実行方法において、
コンピュータが、前記業務の案件ごとに、予め用意された機能モジュールのうち前記業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータを備え、
コンピュータが、前記N個の機能モジュールを処理順に実行する機能実行部であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定し、
コンピュータが、2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、前記基本情報を更新する。
【0015】
本開示に係る動的構築実行プログラムは、業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールから成るシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置に用いられる動的構築実行プログラムにおいて、
前記動的構築実行装置が、前記業務の案件ごとに、前記N個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータを備え、
前記N個の機能モジュールを設定された処理順に実行する機能実行処理であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定する機能実行処理と、
2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、前記基本情報を更新する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る動的構築実行装置によれば、ユーザの業務に合わせて使用する機能と機能の処理順を選択し、機能の処理順を変更した場合でもデータに矛盾なく実行することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1に係る動的構築実行装置100の構成例について説明する。
図2】実施の形態1に係る動的構築実行装置100の動作を示すフロー図である。
図3】実施の形態1に係る処理定義マスタ51および処理順定義マスタ52の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る初期設定画面の例を示す図。
図5】実施の形態1に係るモジュール取得処理の例を示すフロー図。
図6】実施の形態1に係る商品マスタおよび得意先マスタの例を示す図。
図7】実施の形態1に係るベースデータのうちの基本情報の例を示す図。
図8】実施の形態1に係るベースデータのうちの個別情報の例を示す図。
図9】実施の形態1に係る見積個別データの例を示す図。
図10】実施の形態1に係る具体例1の概要を示す図。
図11】実施の形態1に係る進捗一覧画面および見積画面の例を示す図。
図12】実施の形態1に係る出荷画面および売上画面の例を示す図。
図13】実施の形態1に係る請求画面および入金画面の例を示す図。
図14】実施の形態1に係る機能実行処理の具体例2における処理順定義マスタおよび基本情報を示す図。
図15】実施の形態1に係る機能実行処理の具体例2における個別情報を示す図。
図16】実施の形態1に係る機能実行処理の具体例2の概要を示す図。
図17】実施の形態1に係る機能実行処理の具体例3における処理順定義マスタおよび基本情報を示す図。
図18】実施の形態1に係る機能実行処理の具体例3における個別情報を示す図。
図19】実施の形態1に係る機能実行処理の具体例3の概要を示す図。
図20】実施の形態1に係る基本情報と各個別情報の生成タイミングを示す図。
図21】実施の形態1の変形例1に係る動的構築実行装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0019】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を用いて、本実施の形態に係る動的構築実行装置100の構成例について説明する。
【0020】
動的構築実行装置100は、業務を実現するための一連の機能モジュールから成るシステムを動的に構築し実行する。動的構築実行装置100は、例えば、クラウド上のWebアプリケーションで利用できる機能モジュールとその機能モジュールの処理順をユーザが選択・設定することで、必要に応じた処理を必要な処理順で組み込んだシステムを動的に構築することができる。
本実施の形態では、動的構築実行装置100が業務として商品の販売業務を実現する販売管理システムを動的に構築する例を用いて説明する。
【0021】
動的構築実行装置100は、コンピュータである。動的構築実行装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0022】
動的構築実行装置100は、機能要素として、初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140と記憶部150を備える。記憶部150には、処理定義マスタ51と処理順定義マスタ52と商品マスタ53と得意先マスタ54とベースデータ55と見積個別データ58が記憶される。ベースデータ55には、基本情報56と個別情報57が含まれる。
【0023】
初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部150は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部150は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0024】
プロセッサ910は、動的構築実行プログラムを実行する装置である。動的構築実行プログラムは、初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0025】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0026】
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0027】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示機器941のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0028】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0029】
動的構築実行プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、動的構築実行プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、動的構築実行プログラムを実行する。動的構築実行プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている動的構築実行プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、動的構築実行プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0030】
動的構築実行装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、動的構築実行プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、動的構築実行プログラムを実行する装置である。
【0031】
動的構築実行プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0032】
初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。動的構築実行プログラムは、初期設定処理とモジュール取得処理と機能実行処理と進捗表示処理を、コンピュータに実行させる。また、動的構築実行方法は、動的構築実行装置100が動的構築実行プログラムを実行することにより行われる方法である。
動的構築実行プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、動的構築実行プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0033】
***動作の説明***
以下、図を用いて、本実施の形態に係る動的構築実行装置100の動作について説明する。
動的構築実行装置100の動作手順は、動的構築実行方法および動的構築実行処理に相当する。また、動的構築実行装置100の動作を実現するプログラムは、動的構築実行プログラムに相当する。
【0034】
図2は、本実施の形態に係る動的構築実行装置100の動作を示すフロー図である。
【0035】
<初期設定処理>
ステップS101において、初期設定部110は、予め用意された機能モジュールの一覧が設定された処理定義マスタ51から、業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールを選択させるとともに、N個の機能モジュールの処理順を設定する。
具体的には、初期設定部110は、ユーザからの初期設定を受け付ける初期設定画面31を表示機器941に表示する。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る処理定義マスタ51および処理順定義マスタ52の例を示す図である。
処理定義マスタ51には、機能ID(IDentifier)と、機能モジュール名と、その機能モジュールをダウンロードするためのURL(uniform resource locator)とが対応付けられている。処理定義マスタ51は、業務を実現するための機能としてあらかじめ用意された機能モジュールの一覧が設定されるマスタである。URLは、各機能モジュールを取得するための格納先を示すものであり、他の形式で格納先を示してもよい。
本実施の形態では、業務を実現するシステムとして、物の販売業務を実現する販売管理システムを想定しており、処理定義マスタ51に設定された機能モジュールの一覧には、見積、出荷、売上、請求、および、入金の機能が設定されている。見積、出荷、売上、請求、および、入金の各処理を行う機能モジュールを、見積機能モジュール、出荷機能モジュール、売上機能モジュール、請求機能モジュール、および、入金機能モジュールと呼ぶ。
【0037】
なお、本実施の形態では、動的構築実行装置100が動作するサーバと機能モジュールが置いてあるサーバは別のサーバとして説明する。よって、動的構築実行装置100は、機能モジュールを外部のサーバからダウンロードすることになる。しかし、機能モジュールを動的構築実行装置100上に置き、動的構築実行装置100は、機能モジュールをダウンロードせずに同一サーバ上から取得し、システムを構築してもよい。
【0038】
処理順定義マスタ52については後述する。
【0039】
図4は、本実施の形態に係る初期設定画面31の例を示す図である。
初期設定画面31の表示処理は初期設定部110により行われる。
初期設定画面31には、使用する機能を選択する機能選択エリア311と、処理順を設定する処理順設定エリア312が表示される。機能選択エリア311では、ユーザはチェックボックスにチェックをすることで機能の選択が可能となる。また、処理順設定エリア312では、ユーザは選択した機能の処理順を設定できる。例えば、ユーザはマウスで機能のボックスを移動させることで処理順を設定する。
【0040】
また、初期設定画面31には、構築するシステムを使用するユーザ数を、ユーザに設定させるユーザ数設定エリア313が表示される。
【0041】
初期設定部110は、機能モジュールの選択、処理順の設定、および、ユーザ数の設定を受け付けると、受け付けた情報に応じた利用料金を算出する。そして、初期設定部110は、使用する機能とユーザ数と利用料金を含むシステム情報エリア314を表示する。
【0042】
ユーザは、初期設定画面31に表示されたシステムの概要と利用料金で良ければ、システム生成ボタン315を押下する。
システム生成ボタン315の押下を受け付けると、初期設定部110は、選択された機能の処理順を処理順定義マスタ52に設定する。
【0043】
処理順定義マスタ52は、今回構築するシステムで有効とする機能と、その処理順を定義する情報である。言い換えると、処理順定義マスタ52には、処理定義マスタ51で定義された全機能のうち、今回構築するシステムで使用する機能とその処理順が定義される。
【0044】
具体例を用いて説明する。
図4の初期設定画面31では、ユーザにより、機能A(見積)、機能B(出荷)、機能C(売上)、および機能D(請求)が選択されている。
また、処理順は、ユーザにより、機能A(見積)→機能D(請求)→機能B(出荷)→機能C(売上)と設定されている。
また、ユーザ数は、ユーザにより、5と設定されている。
初期設定部110は、これらの情報から、ユーザにより選択された販売管理システムの利用料を月額50000円と算出し、システム情報エリア314に表示する。
また、初期設定部110がシステム生成ボタン315の押下を受け付けると、この内容で販売管理システムを構築するために、図3に示すように初期設定部110は選択された機能の処理順を処理順定義マスタ52に設定する。図示していないが、初期設定画面31でユーザにより指定された設定情報は、処理順定義マスタ52または他のデータファイルとして記憶部150に記憶される。
【0045】
<モジュール取得処理>
ステップS102において、モジュール取得部120は、初期設定画面31において選択されたN個の機能モジュールを取得する。
動的構築実行装置100がクラウドサーバに搭載されており、あらかじめ用意された機能モジュール群もクラウドサーバ上に存在する場合は、モジュール取得部120は選択された機能IDを用いてN個の機能モジュールを取得する。
また、動的構築実行装置100とは別のサーバに機能モジュールが存在する場合には、処理定義マスタ51を用いて、N個の機能モジュールをダウンロードする。
【0046】
図5は、本実施の形態に係るモジュール取得処理の例を示すフロー図である。
モジュール取得部120は、処理定義マスタ51に設定されている全機能モジュールについて以下の処理を繰り返す。
ステップS201において、モジュール取得部120は、ステップS101で設定された処理順定義マスタ52を参照して、あるいは初期設定画面31の画面上で選択された機能IDを参照して、処理定義マスタ51の1つの機能(機能Xとする)が選択されているか否かを判定する。
選択されていれば、ステップS202に進む。選択されていなければ、処理定義マスタ51の次の機能に対して処理を繰り返す。
ステップS202において、モジュール取得部120は、処理定義マスタ51を用いて、処理対象の機能Xに該当する機能モジュールをダウンロードする。
ステップS203において、モジュール取得部120は、ダウンロードした機能モジュールをライブラリフォルダに格納する。
【0047】
<機能実行処理>
システム生成ボタン315の押下を受け付けると、動的構築実行装置100は、選択された機能を、設定された処理順で実行するシステムをクラウド上に構築し、そのシステムを実行する機能実行処理を行う。例えば、動的構築実行装置100がクラウドサーバに搭載されている場合、動的構築実行装置100は、選択された機能を、設定された処理順で実行するシステムをクラウドサーバ上に構築し、そのシステムをクラウドサーバ上で実行する。
【0048】
ステップS103において、機能実行部130は、処理順定義マスタ52を用いて、N個の機能モジュールを処理順に実行する。
【0049】
なお、ここで、N個の機能モジュールとは、処理順に並べられたN個の機能モジュールを意味するものとする。
例えば、図4の例では、選択された4つの機能モジュールである機能A(見積)、機能B(出荷)、機能C(売上)、および機能D(請求)には、機能A(見積)→機能D(請求)→機能B(出荷)→機能C(売上)の処理順が設定されている。よって、第1の機能モジュールは機能A(見積)の機能モジュール、第2の機能モジュールは機能D(請求)の機能モジュール、第3の機能モジュールは機能B(出荷)の機能モジュール、第4の機能モジュールは機能C(売上)となる。
【0050】
図6は、本実施の形態に係る商品マスタ53および得意先マスタ54の例を示す図である。
商品マスタ53は、本実施の形態で構築する販売管理システムの管理対象となる処理単位である商品を定義するマスタである。構築するシステムが修理管理システムであれば、例えば、管理対象の処理単位は現場作業となる。処理単位は構成単位ともいう。
商品マスタ53には、品番、品名、単価、購買納期、および生産納期といった情報が設定される。
【0051】
また、得意先マスタ54は、得意先を定義するマスタである。
得意先マスタ54には、得意先コード、名称、住所、および電話番号といった情報が設定されている。
【0052】
商品マスタ53および得意先マスタ54は、販売管理システムの稼働当初に、ユーザによる手入力あるいはインポートといった手段で取得される。
【0053】
図7は、本実施の形態に係るベースデータ55のうちの基本情報56の例を示す図である。
図8は、本実施の形態に係るベースデータ55のうちの個別情報57の例を示す図である。
ベースデータ55には、業務の案件ごとに、N個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報56と、N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報57とが設定される。ベースデータ55における1レコードは、商品を販売する処理単位ごとに設けられる。
【0054】
基本情報56には、処理単位キー、明細キー、処理開始日、完了日、品番、数量、得意先コード、名称(得意先)、住所(得意先)、電話番号(得意先)といった情報が設定される。業務の案件は、処理単位キーおよび明細キーにより、一意に特定されるものとする。
個別情報57は、業務の案件ごとの機能ごとのデータであり、対応する機能モジュールが実行されることにより情報が設定される。
【0055】
図8の例では、機能Aに対応する見積情報、機能Bに対応する出荷情報、機能Cに対応する売上情報、機能Dに対応する請求情報、および機能Eに対応する入金情報の欄が設定されている。図8の例では、1レコード目と2レコード目の案件では、まだ入金処理が行われていないことを示している。また、3レコード目では、まだ売上処理と入金処理が行われていないことを示している。
【0056】
図7および図8の例では、ベースデータ55に、基本情報56と個別情報57が設定されている例を示しているが、ベースデータ55には基本情報56のみが設定され、個別情報57は別のファイルとしてもよい。この場合、案件ごとに基本情報56と個別情報57とを紐づける必要がある。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る見積個別データ58の例を示す図である。
見積個別データ58は、見積機能モジュールに限って使用される個別データである。出荷機能、売上機能、請求機能等の他の機能モジュールがそれぞれ個別に個別データを有していてもよい。
【0058】
機能実行部130は、まず、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、第1の機能モジュールの実行結果として、基本情報56を設定するとともに第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定する。
機能実行部130は、2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、第mの機能モジュールの実行結果として、第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに、基本情報56を更新する。
また、第mの機能モジュールは、第1の個別情報から第(m-1)の個別情報について、参照のみ可能である。第1の個別情報から第(m-1)の個別情報とは、第mの機能モジュール以外の他の機能モジュールの個別情報を示す。仮に第(m+1以上)の機能モジュールが処理順定義マスタ52に設定されている場合、第mの機能モジュールは、他の機能モジュールである第(m+1以上)の機能モジュールの個別情報を参照することも可能であるが、第(m+1以上)の機能モジュールが実行されていないため、第(m+1以上)の個別情報には何も設定されていない。
【0059】
以下に具体例を用いて説明する。
【0060】
<<機能実行処理の具体例1>>
図10は、本実施の形態に係る具体例1の概要を示す図である。
具体例1では、見積→出荷→売上→請求→入金の処理順で機能を実行する。
見積機能は、品番に対して数量、金額を設定し、見積書を出力する機能である。
出荷機能は、品番に対して仕入れ方法、仕入れ済数、出荷済数を設定する機能である。なお、出荷機能が第1の機能モジュールの場合は、数量、金額も設定できる。
売上機能は、品番に対して売上総数、売上金額を設定する機能である。
請求機能は、品番に対して売上総数、売上金額を設定した請求書を作成する機能である。あるいは、複数の処理単位をまとめて請求書を作成することの可能な機能である。
入金機能は、得意先から入金された金額を品番に対して振り分ける振分金額を設定できる機能である。
【0061】
図11は、本実施の形態に係る進捗一覧画面32および見積画面33の例を示す図である。
図12は、本実施の形態に係る出荷画面34および売上画面35の例を示す図である。
図13は、本実施の形態に係る請求画面36および入金画面37の例を示す図である。
【0062】
各機能モジュールで共通して使用するデータは基本情報56に持つ。
基本情報56は、最初に起動される機能モジュールにより生成される。そのため最初に起動された機能の登録タイミングでは基本情報56とその機能の個別情報57が登録された状態になる。
なお、図11の進捗一覧画面32については後述する。
【0063】
図10に示すように、機能実行部130は、まず、1番目に実行される見積機能モジュール(第1の機能モジュール)を実行し、見積画面33を表示する。
図11の見積画面33は、品番に対して数量、単価、金額を設定し、見積書を出力するための画面である。
機能実行部130は、見積機能モジュールの実行結果として、基本情報56を設定するとともに、見積機能モジュールが読み書き可能な見積機能の個別情報57を設定する。見積機能の個別情報を見積情報571とする。
【0064】
次に、図10に示すように、機能実行部130は、出荷機能モジュールを実行し、出荷画面34を表示する。
図12の出荷画面34は、品番に対して仕入れ方法、仕入れ済数、出荷済数を設定するための画面である。なお、出荷機能が第1の機能モジュールの場合は、数量、単価、金額も設定できる。
機能実行部130は、出荷機能モジュールの実行結果として、出荷機能モジュールが読み書き可能な出荷機能の個別情報57(出荷情報572)を設定する。
【0065】
次に、図10に示すように、機能実行部130は、売上機能モジュールを実行し、売上画面35を表示する。
図12の売上画面35は、品番に対して、売上数量、売上金額を設定するための画面である。
機能実行部130は、売上機能モジュールの実行結果として、売上機能モジュールが読み書き可能な売上機能の個別情報57(売上情報573)を設定する。
【0066】
次に、図10に示すように、機能実行部130は、請求機能モジュールを実行し、請求画面36を表示する。
図13の請求画面36は、品番に対して、売上数量、売上金額を設定した請求書を作成するための画面である。あるいは、複数の処理単位をまとめて請求書を作成することの可能な画面である。
機能実行部130は、請求機能モジュールの実行結果として、請求機能モジュールが読み書き可能な請求機能の個別情報57(請求情報574)を設定する。
【0067】
次に、図10に示すように、機能実行部130は、入金機能モジュールを実行し、入金画面37を表示する。
図13の入金画面37は、得意先から入金された金額を品番に対して振り分ける振分金額を設定できる画面である。
機能実行部130は、入金機能モジュールの実行結果として、入金機能モジュールが読み書き可能な入金機能の個別情報57(入金情報575)を設定する。
【0068】
また、機能実行部130は、2番目以降の機能モジュールの実行時における個別情報57の登録処理の際、登録済の基本情報56に対して処理単位キー、明細キーを条件として更新を行う。例えば、見積→出荷→売上→請求→入金の処理順で機能を実行する具体例1の場合、入金処理が完了すると基本情報56の「処理完了日」が入金機能モジュールにより更新される。
見積情報571、出荷情報572、売上情報573、請求情報574、および入金情報575は、項目がセットされていれば別機能から参照可能とする。
【0069】
<進捗表示処理>
ここで、図11の進捗一覧画面32を表示する進捗表示処理について説明する。
本実施の形態では、販売管理対象である商品の数量が基本情報56に含まれる。
ステップS104において、進捗表示部140は、基本情報56に設定されている情報と個別情報57に設定されている情報とに基づいて、N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報321として表示する。例えば、進捗表示部140は、基本情報56に含まれる商品の数量と各個別情報57に含まれる商品の数量とを比較することにより各機能モジュールの進捗を判定する。そして、進捗表示部140は、判定結果に基づいて、N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報321として進捗一覧画面32に表示する。
【0070】
図7および図8のベースデータ55における1レコード目および2レコード目の処理単位では、請求情報574まで情報が設定されており、入金情報575が設定されていない。よって、進捗表示部140は、請求機能モジュールまで完了していると判断する。
一方、図7および図8のベースデータ55における3レコード目の処理単位では、出荷情報572まで情報が設定されており、売上情報573以降が設定されていない。よって、進捗表示部140は、出荷機能モジュールまで完了していると判断される。
【0071】
また、仕入、出荷、売上などで分納や売上分割をする際は、商品の数量で判断を行う。例えば、進捗表示部140は、図12の出荷画面34のように、商品Aを10個仕入して5個出荷している場合は分納(未出荷あり)と判断する。このとき、進捗表示部140は、図11の進捗一覧情報321の1レコード目のように請求の進捗を「未」と表示する。
【0072】
図11の進捗一覧画面32の進捗一覧情報321では、現在処理中の案件ごとに、各機能の進捗状況が対応付けられている。進捗表示部140は、ユーザにより進捗一覧情報321の各機能の欄がクリックされると、各機能画面を表示する機能を有していてもよい。
例えば、ユーザが進捗一覧情報321の1レコード目の見積の欄をクリックすると、図11の見積画面33が表示される。
【0073】
ここで、機能実行処理の他の具体例について説明する。
【0074】
<<機能実行処理の具体例2>>
図14は、本実施の形態に係る機能実行処理の具体例2における処理順定義マスタ52および基本情報56を示す図である。
図15は、本実施の形態に係る機能実行処理の具体例2における個別情報57を示す図である。
図16は、本実施の形態に係る機能実行処理の具体例2の概要を示す図である。
【0075】
具体例2は、見積→売上→請求の処理順で機能を実行する例である。この例では、見積→売上→請求まで完了すると処理単位が完了となる。売上機能モジュールは、出荷情報572ではなく見積情報571を引き継いで画面表示を行う。図14および図15の例では、請求機能まで完了しているので、処理完了日がセットされる。また、処理順定義マスタ52に処理が設定されていないため、出荷情報572と入金情報575には情報が設定されない。
【0076】
<<機能実行処理の具体例3>>
図17は、本実施の形態に係る機能実行処理の具体例3における処理順定義マスタ52および基本情報56を示す図である。
図18は、本実施の形態に係る機能実行処理の具体例3における個別情報57を示す図である。
図19は、本実施の形態に係る機能実行処理の具体例3の概要を示す図である。
【0077】
具体例3は、見積→入金→売上の処理順で機能を実行する例である。この例では、前払いで入金があった後に売り上げ登録を行うことが想定されている。
図17および図18のベースデータ55における1レコードおよび2レコード目の処理単位では、売上機能まで完了しており処理単位が完了となっている。
一方、図17および図18のベースデータ55における3レコード目の処理単位では、入金機能まで完了しているが売上機能は完了していない。よって、3レコード目の基本情報56には処理完了日が設定されておらず、売上情報573も設定されていない。また、処理順定義マスタ52に処理が設定されていないため、出荷情報572と請求情報574には情報が設定されない。
【0078】
図20は、本実施の形態に係る基本情報56と各個別情報57の設定タイミングを示す図である。
図20では、各機能モジュールによるベースデータ55への設定処理における基本情報56と各個別情報57の設定タイミングを示している。
【0079】
図20の上段では、見積→出荷→売上の順で処理された場合である。
初めに、見積機能モジュールが実行された時点で、基本情報56と見積情報571が設定される。
次に、出荷機能モジュールが実行された時点で、出荷情報572が設定される。
最後に、売上機能モジュールが実行された時点で、売上情報573が設定される。
【0080】
図20の中段では、出荷→売上→請求の順で処理された場合である。
初めに、出荷機能モジュールが実行された時点で、基本情報56と出荷情報572が設定される。
次に、売上機能モジュールが実行された時点で、売上情報573が設定される。
最後に、請求機能モジュールが実行された時点で、請求情報574が設定される。
【0081】
図20の下段では、売上→入金→出荷の順で処理された場合である。
初めに、売上機能モジュールが実行された時点で、基本情報56と売上情報573が設定される。
次に、入金機能モジュールが実行された時点で、入金情報575が設定される。
最後に、出荷機能モジュールが実行された時点で、出荷情報572が設定される。
【0082】
***他の構成***
<変形例1>
図21は、本実施の形態の変形例1に係る動的構築実行装置100の構成例である。
本実施の形態では、動的構築実行装置100における、初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0083】
すなわち、図21に示すように、図1におけるプロセッサ910を電子回路909に置き換えてもよい。
電子回路909は、初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated
Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0084】
別の変形例として、初期設定部110とモジュール取得部120と機能実行部130と進捗表示部140の一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0085】
プロセッサ910と、メモリ921と、電子回路909とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、動的構築実行装置100の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0086】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る動的構築実行装置100では、クラウドサーバ上で動作するアプリケーションである機能モジュールについて、機能と機能の処理順を任意に選択できる。また、処理順が選択された時点で、クラウドサーバ上に選択された機能モジュールから成るシステムを動的に構築する。さらに、処理順を任意に選択できるように、ベースデータを用いて、各機能モジュールからの入力を統合的に受け付けるように構築し、必要に応じて、各機能モジュール用の個別情報を生成する。
【0087】
本実施の形態に係る動的構築実行装置100によれば、使用しない機能への費用負担を削減するとともに、ユーザの業務に合わせて機能の処理順を変更した場合でもデータに矛盾なく実行することができるという効果がある。また、使用する機能あるいは処理順の組み合わせを簡単に設定・変更することで、自社業務への適合が可能かどうか短期間で繰り返し検証することができるという効果がある。よって、実際の稼働に必要なシステム・リソース(ディスク容量、メモリ使用量、CPU使用量)を最小限に抑えることが出来る。
【0088】
以上の実施の形態1では、動的構築実行装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、動的構築実行装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。動的構築実行装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、動的構築実行装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0089】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
31 初期設定画面、311 機能選択エリア、312 処理順設定エリア、313 ユーザ数設定エリア、314 システム情報エリア、315 システム生成ボタン、32 進捗一覧画面、321 進捗一覧情報、33 見積画面、34 出荷画面、35 売上画面、36 請求画面、37 入金画面、100 動的構築実行装置、110 初期設定部、120 モジュール取得部、130 機能実行部、140 進捗表示部、150 記憶部、51 処理定義マスタ、52 処理順定義マスタ、53 商品マスタ、54 得意先マスタ、55 ベースデータ、56 基本情報、57 個別情報、571 見積情報、572 出荷情報、573 売上情報、574 請求情報、575 入金情報、58 見積個別データ、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、941 表示機器、950 通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務を実現するシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置において、
前記業務の案件ごとに、数量を含む情報が設定され、予め用意された機能モジュールのうち前記業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々の実行結果が設定され、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータと、
前記N個の機能モジュールを処理順に実行する機能実行部であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定し、2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに前記基本情報を更新する機能実行部と、
前記基本情報に設定されている前記数量と、前記第mの個別情報に含まれる前記数量とを比較することにより前記第mの機能モジュールの進捗を判定し、判定結果に基づいて、前記N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報として表示する進捗表示部とを備える動的構築実行装置。
【請求項2】
前記動的構築実行装置は、業務として商品の販売業務を実現するシステムを動的に構築し、
前記数量は、販売する商品の数量である請求項1に記載の動的構築実行装置。
【請求項3】
前記第mの機能モジュールは、他の機能モジュールの個別情報について参照のみ可能である請求項1または請求項2に記載の動的構築実行装置。
【請求項4】
前記動的構築実行装置は、予め用意された機能モジュールの一覧が設定された処理定義マスタから前記N個の機能モジュールの選択と処理順を受け付ける初期設定画面を表示し、前記初期設定画面を介して前記N個の機能モジュールの選択と処理順を受け付けると、選択された前記N個の機能モジュールの処理順を処理順定義マスタとして設定する初期設定部を備え、
前記機能実行部は、
前記処理順定義マスタを用いて、前記N個の機能モジュールを処理順に実行する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の動的構築実行装置。
【請求項5】
前記処理定義マスタには、前記機能モジュールの一覧の各機能モジュールと、各機能モジュールを取得するための前記各機能モジュールの格納先とが対応付けられており、
前記動的構築実行装置は、
前記処理定義マスタを用いて前記N個の機能モジュールを取得するモジュール取得部を備えた請求項1から請求項のいずれか1項に記載の動的構築実行装置。
【請求項6】
前記初期設定部は、さらに、
前記初期設定画面を介して、前記システムを利用するユーザの人数を受け付け、選択された前記N個の機能モジュールと前記人数とに基づいて、前記システムの利用料金を算出し、算出した利用料金を前記初期設定画面に表示する請求項に記載の動的構築実行装置。
【請求項7】
業務を実現するシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置に用いられる動的構築実行方法において、
コンピュータが、前記業務の案件ごとに、数量を含む情報が設定され、予め用意された機能モジュールのうち前記業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々実行結果が設定され、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータを備え、
コンピュータが、前記N個の機能モジュールを処理順に実行し、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定し2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに前記基本情報を更新し、
コンピュータが、前記基本情報に設定されている前記数量と、前記第mの個別情報に含まれる前記数量とを比較することにより前記第mの機能モジュールの進捗を判定し、判定結果に基づいて、前記N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報として表示する動的構築実行方法。
【請求項8】
業務の実現に用いるN(Nは2以上の自然数)個の機能モジュールから成るシステムを動的に構築し実行する動的構築実行装置に用いられる動的構築実行プログラムにおいて、
前記動的構築実行装置が、前記業務の案件ごとに、数量を含む情報が設定され、前記N個の機能モジュールが共通で読み書き可能な基本情報と、前記N個の機能モジュールの各々の実行結果が設定され、前記N個の機能モジュールの各々が読み書き可能な個別情報とが設定されるベースデータを備え、
前記N個の機能モジュールを設定された処理順に実行する機能実行処理であって、1番目に実行される第1の機能モジュールを実行し、前記第1の機能モジュールの実行結果として、前記基本情報を設定するとともに前記第1の機能モジュールが読み書き可能な第1の個別情報を設定し、2番目以降に実行される第m(mは2以上のN以下の整数)の機能モジュールを実行し、前記第mの機能モジュールの実行結果として、前記第mの機能モジュールが読み書き可能な第mの個別情報を設定するとともに前記基本情報を更新する機能実行処理と
前記基本情報に設定されている前記数量と、前記第mの個別情報に含まれる前記数量とを比較することにより前記第mの機能モジュールの進捗を判定し、判定結果に基づいて、前記N個の機能モジュールの進捗状況を進捗一覧情報として表示する進捗表示処理と
をコンピュータに実行させる動的構築実行プログラム。