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特開2022-143595案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法、及びコンピュータプログラム
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  • 特開-案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法、及びコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143595
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220926BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06Q50/10
B25J5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044198
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石川 秀水
(72)【発明者】
【氏名】川津 哲司
(72)【発明者】
【氏名】馬場 友貴
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
【テーマコード(参考)】
3C707
5L049
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707WA11
3C707WL05
3C707WL14
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数人のグループ対して施設を案内する場合であっても、グループ全体に適切な案内サービスができる案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】施設の案内ロボット制御装置100は、案内対象のグループに関するグループ情報を取得する情報取得部と、情報取得部で取得した情報に基づいて、グループの種類を判別するグループ判別部と、グループ判別部によって判別されたグループの種類に応じた方法でグループを案内する案内実行部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内対象のグループに関するグループ情報を取得する、情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した前記グループ情報に基づいて、前記グループの種類を判別する、グループ判別手段と、
前記グループ判別手段によって判別された前記グループの前記種類に応じた方法で前記グループを案内する案内実行手段と、を備える、案内ロボット制御装置。
【請求項2】
前記グループ判別手段によって判別される、前記グループの前記種類は、車いすの人と付添者、親子、恋人、子供又はお年寄のうち少なくとも一以上を含む、請求項1に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項3】
前記グループ判別手段は、該当する前記グループの前記種類が複数存在し、そのうち一つが車いすの人と付添者であった場合、前記グループの前記種類を車いすの人と付添者のグループと判別する、請求項1又は2に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項4】
前記グループ判別手段は、該当する前記グループの前記種類が複数存在し、そのうち一つが子供であった場合、前記グループの前記種類を子供のグループと判別する、請求項1又は2に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項5】
前記グループ判別手段は、該当する前記グループの前記種類が複数存在し、そのうち一つがお年寄であった場合、前記グループの前記種類をお年寄のグループと判別する、請求項1又は2に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項6】
前記グループ判別手段によって前記グループの前記種類を判別された前記グループの中で、注目すべき特定者を決定する、特定対象者決定手段を更に備え、前記案内実行手段は、前記特定者に応じた方法で前記グループを案内する、請求項1~5のいずれか一項に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項7】
前記グループ判別手段によって判別された前記グループの前記種類が車いすの人と付添者のグループであった場合、前記特定対象者決定手段は、前記車いすの人を注目すべき特定者として決定する、請求項6に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項8】
前記案内実行手段が前記グループを案内する前に、デジタルツイン技術による仮想空間上でのシミュレーションを実行するシミュレーション手段を更に備え、
前記案内実行手段は、前記シミュレーション手段で実行した結果が正常と判断された場合に、前記シミュレーションの内容に基づいて案内するよう制御する、請求項1~7のいずれか一項に記載の案内ロボット制御装置。
【請求項9】
案内対象のグループに関するグループ情報を取得し、
前記グループ情報に基づいて、前記グループの種類を判別し、
前記グループの前記種類に応じた方法で前記グループを案内する、案内ロボット制御方法。
【請求項10】
案内対象のグループに関するグループ情報を取得し、
前記グループ情報に基づいて、前記グループの種類を判別し、
前記グループの前記種類に応じた方法で前記グループを案内することをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、案内ロボット制御装置、案内ロボット制御方法、及びコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットが案内をする際に、シチュエーションに合わせて案内を行うシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ロボットに施設の案内を実行させるためのシナリオを作成し、作成したシナリオに基づいて案内をする案内ロボットシステムが開示されている。特許文献2には、不特定多数の人間を目的地まで案内するとき、体の向きを後ろ方向に向けた状態で移動するように制御する、人間型の案内ロボットが開示されている。特許文献3には、顧客の高さをもとに大人、小人、幼児などに対応した複数のモードに決定し、決定したモードをもとにロボットの紹介内容、発声、ジェスチャー、移動を実行させる情報提供ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-098462号公報
【特許文献2】特開2011-000656号公報
【特許文献3】特開2008-055578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、案内対象が異なっても、同じ方法で案内を行っており、案内対象に応じて適切な案内ができない。また、特許文献3に記載された発明は、案内対象として特定の個人に限定した上で、ロボットの案内方法を変えている。しかし、特許文献3に記載された発明では、案内対象者が複数人のグループである場合、グループ内の特定された個人以外に対して必要な案内ができず、グループ全体に対して適切な案内が行うことができない。
【0006】
本開示の目的の一例は、複数人のグループ対して案内する場合であっても、グループ全体に適切な案内サービスが可能な案内ロボット制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における案内ロボット制御装置は、案内対象のグループに関するグループ情報を取得する、情報取得手段と、情報取得手段で取得したグループ情報に基づいて、グループの種類を判別する、グループ判別手段と、グループ判別手段によって判別されたグループに応じた方法でグループを案内する案内実行手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様における案内ロボット制御方法は、案内対象のグループに関するグループ情報を取得し、取得したグループ情報に基づいて、グループの種類を判別し、判別したグループの種類に応じた方法でグループを案内する。
【0009】
本開示の一態様におけるプログラムは、コンピュータに、案内対象のグループに関するグループ情報を取得し、取得したグループ情報に基づいて、グループの種類を判別し、判別したグループの種類に応じた方法でグループを案内することを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による効果の一例は、複数人のグループ対して案内する場合であっても、グループ全体に適切な案内サービスができることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第一の実施形態における案内ロボット制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、第一の実施形態における案内ロボット制御装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、第一の実施形態における案内ロボット制御の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、第二の実施形態における案内ロボット制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、第二の実施形態におけるシミュレーション部のハードウェア構成を示す図である。
図6図6は、第二の実施形態における案内ロボット制御の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第一の実施形態における案内ロボット制御装置100の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、案内ロボット制御装置100は、情報取得部101とグループ判別部102と案内実行部103を備える。次に、第一の実施形態における案内ロボット制御装置100の構成について詳しく説明する。
【0014】
図2は、本開示の第一の実施形態における案内ロボット制御装置100を、プロセッサを含むコンピュータ装置500で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、案内ロボット制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503等のメモリ、プログラム504を格納するハードディスク等の記憶装置505、ネットワーク接続用の通信I/F(Interface)508、データの入出力を行う入出力インタフェース511を含む。第一の実施形態において、情報取得部101において取得されるグループ情報はネットワーク接続用の通信I/F508を介して案内ロボット制御装置100に入力される。第一の実施形態において、記憶装置505には、グループの種類名とその判断基準及びグループの種類に応じた案内方法が紐づけられて格納されている。また、案内ロボット制御装置100は、バス512を介して入力装置509および出力装置510に接続されている。
【0015】
CPU501は、オペレーティングシステムを動作させて本発明の第一の実施の形態に係る案内ロボット制御装置100の全体を制御する。また、CPU501は、例えばドライブ装置507などに装着された記録媒体506からメモリにプログラムやデータを読み出す。また、CPU501は、第一の実施の形態における情報取得部101とグループ判別部102と案内実行部103と、情報配信部104およびこの一部として機能し、プログラムに基づいて後述する図3に示すフローチャートにおける処理または命令を実行する。
【0016】
記録媒体506は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等である。記録媒体の一部である半導体メモリ等は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。
【0017】
入力装置509は、例えば、マウスやキーボード、内蔵のキーボタンなどで実現され、入力操作に用いられる。入力装置509は、マウスやキーボード、内蔵のキーボタンに限らず、例えばタッチパネルや音声入力用のマイクでもよい。第一の実施形態において出力装置510は、例えばディスプレイで実現され、出力を確認するために用いられる。
【0018】
以上のように、図1に示す第一の実施形態は、図2に示されるコンピュータ・ハードウェアによって実現される。ただし、図1の案内ロボット制御装置100が備える各部の実現手段は、以上説明した構成に限定されない。また案内ロボット制御装置100は、物理的に結合した一つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した二つ以上の装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。たとえば、入力装置509及び出力装置510は、コンピュータ装置500とネットワークを経由して接続されていてもよい。
【0019】
情報取得部101は、案内対象のグループ情報を取得する手段である。本実施形態において、案内とは、例えば、タッチパネル等の入力装置509を通じて案内対象のグループから目的地点の入力を受付し、受付した目的地点までの経路について、音声や画像を用いて説明する案内ロボットによる一連の動作である。案内には、案内対象のグループに同行して目的地点まで移動することも含まれる。案内対象のグループとは、例えば、案内ロボットのタッチパネル画面を操作した者又はタッチパネル画面に顔を近づけていると検知された者とそれらの者の同行者と判断された複数人のグループを意味する。また、同行者と判断する基準としては、例えば、タッチパネル画面を操作した者との会話の有無や人同士の距離の検出データを用いて判断される。情報取得部101は、例えば、人を検出するセンサや人の周囲を撮像するカメラ等の信号を取得する手段を用いることにより、対象グループの存在を検知する。
【0020】
情報取得部101は、対象グループの存在を検知すると、グループを構成するそれぞれの者について属性情報及び付帯情報を取得し、取得した属性情報及び付帯情報の中から、グループを構成する者同士の関係を推測可能とする、グループに関する情報(グループ情報)を抽出する。属性情報とは、例えば、年齢、性別、又は外見に係る情報である。付帯情報とは、車いす、杖(白杖を含む)又はベビーカー等の用具の利用や所持品、行動に関する情報である。グループ情報とは、例えば、車いすに乗っている人とその車いすを押している人、外見が似ている大人と子供、同じ年齢同士、男女二人組、複数の子供又は複数のお年寄といった情報が挙げられる。情報取得部101は、前述のセンサからの信号を検出すること、またはカメラの画像を分析することにより、各人について属性情報及び付帯情報を取得する。情報取得部101は、グループ情報を取得すると、それらの情報をグループ判別部102に出力する。
【0021】
グループ判別部102は、情報取得部101で取得したグループ情報に基づいて、グループの種類を判別する手段である。グループ判別部102は、情報取得部101からグループ情報が入力されると、記憶装置505を参照してグループの種類の判断基準に基づきグループの種類を判別する。グループの種類としては、例えば、車いすの人と付添者、親子、恋人、子供又はお年寄等のグループが挙げられる。グループ判別部102は、例えば、入力装置509を操作した者との会話の有無の情報、人の距離の情報、及び画像データの分析により車いすを検出した情報が、情報取得部101からグループ情報として入力される場合、グループ判別部102は、車いすの人と付添者のグループと判別する。またはタッチパネル等の入力装置509を通じて情報取得部101から車いすに乗っている人とその車いすを押している人との情報が入力された場合、グループ判別部102は、車いすの人と付添者のグループと判別する。グループ判別部102は、情報取得部101のタッチパネル等の入力装置509から大人1人と子供1人であるとの情報が入力される場合、あるいはカメラの画像の分析データから画像に映る人物の外見が似ているとの情報が情報取得部101から入力されると、グループの種類が親子であると判別する。グループ判別部102は、男女二人組であるとの情報が入力される場合、あるいはカメラの画像の分析データから二人の人物の距離の近さや表情を特定する情報が入力される場合に、恋人と判断する。更に、グループ判別部102は、子供のみ又はお年寄のみで構成されているとの情報が入力されるグループは、それぞれ、子供、お年寄りのグループと判別する。ただし、グループ判別部102によるグループの種類の判断基準は、これらに限られない。グループ判別部102は、グループの種類を判別すると、その判別したグループの種類の情報を案内実行部103に出力する。
【0022】
案内実行部103は、グループ判別部102によって判別されたグループの種類に応じた方法でグループを案内する案内実行手段である。グループの種類に応じた方法とは、目的地までの案内経路、案内ロボットの移動速度、音声案内の速度又は言語、案内ロボットのタッチパネル画面の高さ、案内対象のグループとの距離、若しくは、案内中に再生する楽曲の種類等の案内ロボットが案内中に行う動作について、案内対象のグループに応じて合わせることである。例えば、車いすやベビーカー等の用具を利用しているグループに対しては、車いすやベビーカーに乗っている人とその付添者の視線の高さの中間程度の高さにタッチパネル画面の位置を調整すること、人が密集する場所や障害物を避けるような経路で案内したりすることが挙げられる。また、子供同士のグループの場合は、案内対象のグループとの距離がより近くになるように制御したり、人が密集する場所や障害物に近づかないような経路で案内したり、音声案内や移動の速度をゆっくりする、わかりやすい言葉を使用する等が挙げられる。お年寄同士のグループの場合は、音声案内や移動速度をゆっくりする、タッチパネル画面に表示する文字を大きくするといった案内が挙げられる。具体的に、案内実行部103は、グループ判別部102からグループの種類に関する情報が入力されると、記憶装置505を参照し、グループの種類に紐づけられ案内方法の情報を取得し、その案内方法に基づいて、案内を実行するように案内ロボットを制御する。
【0023】
以上のように構成された案内ロボット制御装置100の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
図3は、第一の実施形態における案内ロボット制御装置100の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0025】
図3に示すように、まず情報取得部101は、案内対象のグループ情報を取得し、グループ判別部102に出力する。(ステップS101)。
次に、グループ判別部102は、入力されたグループ情報に基づいて、グループの種類を判別し、判別したグループの種類の情報を案内実行部103に出力する(ステップS102)。
最後に、案内実行部103は、入力されたグループの種類に基づいて、グループに対し案内を実行する(ステップS103)。以上で、案内ロボット制御装置100は、案内制御の動作を終了する。
【0026】
次に、本開示の第一の実施形態の効果について説明する。上述した本実施形態における案内ロボット制御装置100は、複数人のグループ対して案内する場合、グループ全体に適切な案内サービスができる。その理由は、案内実行部103が、案内対象のグループの種類に基づいて、グループに対し案内を実行するからである。これにより、例えば、グループの種類として、車いすの人と付添者のグループに判別された場合、車いすに乗っている人だけではなく、その付添者に対しても考慮して必要な案内提供できる。よって、複数人のグループ対して案内する場合であっても、グループ全体に適切な案内サービスができる。
【0027】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第二の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。本開示の各実施形態における各構成要素は、図2に示すコンピュータ装置と同様に、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアで実現することができる。
【0028】
図4は、本開示の第二の実施形態に係る案内ロボット制御装置110の構成を示すブロック図である。図4を参照して、第一の実施形態に係る案内ロボット制御装置100と異なる部分を中心に、第二の実施形態に係る案内ロボット制御装置110を説明する。第二の実施形態に係る案内ロボット制御装置110は、情報取得部111とグループ判別部112と特定対象者決定部113とシミュレーション部114と案内実行部115を備える。すなわち、第二の実施形態は、特定対象者決定部113とシミュレーション部114を備えている点で第一の実施形態と異なる。なお、本実施形態においては、予め、記憶装置505に、グループの種類名とその判断基準及びグループの種類に応じた案内方法が紐づけられて格納されていることに加え、複数の判断基準を満たす場合に優先されるグループの種類の情報が格納されている。
【0029】
第二の実施形態において、グループ判別部112は、第一の実施形態のグループ判別部102の機能に加えて、該当するグループの種類が複数存在したとき、そのうちの一つのグループが特に特別な案内を必要とするグループである場合、そのグループの種類を優先して判別する機能を有する。特に特別な案内を必要とするグループとは、例えば、車いすの人と付添者、子供又はお年寄のグループが挙げられる。また、第二の実施形態におけるグループ判別部112は、判別したグループの種類に関する情報を案内実行部ではなく、特定対象者決定部113に出力する。なお、第二の実施形態の情報取得部111は、第一の実施形態の情報取得部101と構成や機能が基本的に同じであるため、説明を省略する。
【0030】
特定対象者決定部113は、グループ内で、注目すべき特定者を決定する手段である。注目すべき特定者とは、特別な案内を必要とする者であり、例えば、車いすや杖等の用具を利用している人、子供、お年寄等が挙げられる。更に、特定対象者決定部113は、グループ内で複数の子供が検知された場合は、より年齢が低い子供のいずれかを、注目すべき特定者としてもよい。また、複数のお年寄りが検知された場合は、より年齢が高いお年寄のいずれかを、注目すべき特定者としてもよい。これらの者に対する案内は、移動速度や音声速度を通常よりも更にゆっくりすること又は案内ロボットのタッチパネルの画面の位置を低くするといった対応がなされるように制御される。グループ判別部112からグループの種類に関する情報が入力されると、情報取得部111が、取得したグループを構成するそれぞれの者についての属性情報及び付帯情報に基づき、グループの中で特別な対応が必要とされる特定者を決定する。特定対象者決定部113は、決定した注目すべき特定者についての情報をシミュレーション部114に入力する。
【0031】
シミュレーション部114は、特定対象者決定部113が決定した特定者に対する案内を実行する前に、仮想空間上でデジタルツイン技術を用いて案内ロボットによる案内のシミュレーションを実行するシミュレーション手段である。
【0032】
ここで、デジタルツインとは、リアルタイムに取得した情報を集め、AR(Augmented Reality)やAI(Artificial intelligence)などの技術を用いて実際に起こりうる状況をコンピュータ等の仮想空間上で再現してシミュレーションを実行し、現実世界で起こることを予測するためのソリューションである。仮想空間上でシミュレーションする際に、地図情報を示すデータ上に、様々な場所に設置されたセンサ端末等を通じて取得した時系列情報及び今後のイベント情報や周辺状況の予測情報等を重ねあわせてダイナミックマップを作成し、実際の状況を仮想空間上にそのままツインとして再現する。センサ端末等を通じて取得した時系列情報には、例えば、案内ロボットのカメラが撮影した画像を解析することにより取得した周囲の人の密集度、赤外線センサの反射光により検出した障害物の位置や大きさに関する情報等が挙げられる。また、センサ端末を通じて取得した時系列情報には、温度センサや湿度センサから取得された温度や湿度、ガスセンサから取得した匂い、照度センサから取得した周囲の明るさ及びマイクから取得した周囲の騒音等の周辺環境に関する情報が含まれる。これらの情報は、ダイナミックマップ上で現実世界の事象を表現するために、シミュレーションの目的ごとに分類した層(レイヤ)の状態で蓄積される。なお、本実施形態では、現実世界で案内ロボットが目的地点まで案内する状況を仮想空間で再現したシミュレーションを実行する。
【0033】
図5は、本開示の第二の実施形態におけるシミュレーション部114による、デジタルツイン用いたシミュレーションを実行する際のハードウェア構成の一例を示す図である。図5示されるように、入出力インタフェース601は、案内ロボットに備えられたセンサ等から取得された信号情報や周囲で予定されているイベント情報又は混雑状況等の予測情報を情報蓄積部602に入力する。情報蓄積部602には、入出力インタフェース601からの情報、シミュレーションに用いるシミュレーションのモデルや過去のシミュレーション結果に加え、特定者に対する案内方法の選択肢が格納されている。入出力装置603は、ユーザにより現実空間の状況に対応する設定が入力される。シミュレーション実行部604は、情報蓄積部602からシミュレーションに用いるモデルを選択すると共に、特定対象者決定部113から入力された特定者に関する情報に基づき、情報蓄積部602に格納されている特定者に対する案内方法の選択肢から特定者に対する案内方法を選択し、仮想空間上で現実空間の状況を再現しながらシミュレーションを実行する。評価部605は、シミュレーション実行部604から出力された結果に基づいてシミュレーション結果が正常かどうかの評価を行う。評価部605によってシミュレーション結果が正常ではないと評価された場合、シミュレーション実行部604は、シミュレーションモデルや設定条件の変更し、評価部605によってシミュレーション結果が正常と評価されるまでシミュレーションを繰り返す。シミュレーション適用部606は、評価部605で正常と判断され場合、案内実行部115にその判断結果を出力すると共に、シミュレーション条件に基づいて実際のシステムに反映させるアクチュエータ等の機器の制御を開始する。
【0034】
案内実行部115は、シミュレーション部114によってシミュレーション結果が正常と評価されると、案内ロボットの制御を実行する手段である。案内実行部115は、シミュレーション部114からシミュレーション結果が正常と評価されたことが入力されると、シミュレーションで設定された条件で案内ロボットの制御を開始する。
【0035】
次に、案内ロボット制御装置110の動作について図6に示すフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPUによるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
【0036】
図6に示すように、まず情報取得部111は、案内対象のグループ情報を取得し、グループ判別部112に出力する。(ステップS201)。
次に、グループ判別部112は、入力されたグループ情報に基づいて、グループの種類を判別し、判別したグループの種類の情報を特定対象者決定部113に出力する(ステップS202)。
次に、特定対象者決定部113は、グループ内で、注目すべき特定者を決定し、決定した特定者に関する情報をシミュレーション部114に出力する(ステップS203)。
【0037】
次に、シミュレーション部114は、特定者に対する案内ロボットの制御内容について、仮想空間上でシミュレーションを実行する(ステップS204)。シミュレーション部114は、シミュレーション結果が正常と評価された場合(ステップS205;Yes)、その結果と制御内容に関する情報を案内実行部115に出力すると共に、シミュレーションどおりにシステムを制御開始する。シミュレーション結果が正常と評価されなかった場合(ステップS205;No)、シミュレーション結果が正常と評価されるまでシミュレーションを繰り返す。
次に、案内実行部115は、シミュレーション部114からシミュレーション結果が正常との入力を受け付けると、シミュレーションの条件で案内の制御を開始する(ステップS206)。
以上で、案内ロボット制御装置110は、案内制御の動作を終了する。
【0038】
次に、本開示の第二の実施形態の効果について説明する。上述した第二の実施形態における案内ロボット制御装置110は、特定対象者決定部113が、グループ内で、注目すべき特定者を決定し、決定した特定者に応じた方法で案内を実行する。よって、特別な案内を必要とする者に、特に優先して合わせるように案内をすることができる。
【0039】
本実施形態におけるシミュレーション部114によるデジタルツインを利用したシミュレーションによれば、リアルタイムで取得した情報を現実空間での状況を再現した上でシミュレーションを実行できるので、高精度のシミュレーション結果を現実空間に適用することができる。
【0040】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0041】
例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0042】
第二の実施形態において、グループ判別部112は、該当するグループの種類が複数存在した場合、そのうち一つが車いすの人と付添者であった場合、グループの種類を車いすの人と付添者と優先して判別していたが、該当するグループの種類が複数存在した場合の判別方法はこれに限られない。例えば、グループ判別部112は、該当するグループの種類の候補として、車いすの人と付添者及び親子が該当した場合、親子のグループをグループの種類として判別しても構わない。この場合、ロボットが案内する場所やシチュエーションに応じて、優先するグループの種類を変えることができる。
【0043】
第二の実施形態において、特定者に対する案内方法の選択肢がシミュレーション部114の情報蓄積部602に格納されていたが、特定者に対する案内方法の選択肢は、記憶装置505に格納されていても構わない。この場合、シミュレーション部114で特定者に対する案内方法の情報を利用して案内ロボットによるシミュレーションを実行するため、入出力インタフェース601を通じてシミュレーション実行部604に入力する必要がある。
【符号の説明】
【0044】
100、110 案内ロボット制御装置
101、111 情報取得部
102、112 グループ判別部
103、115 案内実行部
113 特定対象者決定部
114 シミュレーション部
図1
図2
図3
図4
図5
図6