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特開2022-143598移動体制御装置、移動体制御方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143598
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20220926BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220926BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220926BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220926BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220926BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 D
G06Q50/10
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044206
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石川 秀水
(72)【発明者】
【氏名】金田 真和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB08
5H181BB13
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF27
5H181FF32
5H181MB01
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 複数のユーザが別々の依頼を指示する場合であっても、効率的に制御することができる。
【解決手段】 本発明の移動体制御装置は、移動体の作業情報及び位置情報を記憶する、移動体記憶手段と、複数のユーザからの作業内容の入力を受付する、入力受付手段と、移動体記憶手段に記憶された移動体の作業情報及び位置情報、並びに、入力受付手段において受付された複数のユーザからの複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する、動作決定手段と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の作業情報及び位置情報を記憶する、移動体記憶手段と、
複数のユーザからの複数の作業内容の入力を受付する、入力受付手段と、
前記移動体記憶手段に記憶された前記移動体の前記作業情報及び前記位置情報、並びに、前記入力受付手段において受付された前記複数のユーザからの前記複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする前記移動体の動作を決定する、動作決定手段と、
を備える、移動体制御装置。
【請求項2】
前記動作決定手段は、前記移動体のリソース消費量が最小となる前記移動体の動作を決定する、請求項1に記載の移動体制御装置。
【請求項3】
前記入力受付手段は、前記複数のユーザからの前記複数の作業内容に加え、前記複数の作業内容に対して希望する終了時刻の入力を受付し、前記動作決定手段は、前記終了時刻までに前記作業内容が終了可能な前記移動体の前記動作を決定する、請求項1又は2に記載の移動体制御装置。
【請求項4】
前記動作決定手段により決定された前記移動体の前記動作に基づいて、前記複数のユーザに請求する費用を算出する、費用算出手段を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の移動体制御装置。
【請求項5】
前記入力受付手段は、前記複数のユーザからの前記複数の作業内容に加え、前記複数の作業内容に対して希望する費用の入力を受付し、前記動作決定手段は、受付した前記希望する費用を満たすことが可能な前記移動体の前記動作を決定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の移動体制御装置。
【請求項6】
前記入力受付手段は、更に、前記希望する作業終了時刻と前記希望する費用のいずれか一方を優先するかの優先情報の入力を受付し、前記動作決定手段は、前記優先情報の要件を満たすことが可能な前記移動体の前記動作を決定する、請求項5に記載の移動体制御装置。
【請求項7】
前記入力受付手段は、前記複数のユーザからの前記複数の作業内容として、前記複数のユーザに応じて前記移動体の利用が見込まれる地点での作業内容の入力を予め受付する、請求項1~6のいずれか一項に記載の移動体制御装置。
【請求項8】
前記動作決定手段が決定した前記移動体の前記動作に関し、デジタルツイン技術による仮想空間上でのシミュレーションを実行するシミュレーション手段を更に備え、
前記シミュレーション手段で実行した結果が正常と判断された場合に、前記動作に基づいて前記移動体を制御する、請求項1~7のいずれか一項に記載の移動体制御装置。
【請求項9】
移動体の作業情報及び位置情報を記憶し、
複数のユーザからの複数の作業内容の入力を受付し、
前記移動体の前記作業情報及び前記位置情報、並びに、前記複数のユーザからの前記複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする前記移動体の動作を決定する、移動体制御方法。
【請求項10】
移動体の作業情報及び位置情報を記憶し、
複数のユーザからの複数の作業内容の入力を受付し、
前記移動体の前記作業情報及び前記位置情報、並びに、前記複数のユーザからの前記複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする前記移動体の動作を決定することをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体制御装置、移動体制御方法、及びコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザから依頼された作業内容を受付、作業可能なロボットに作業の実行を指示するシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、サポートを必要とする被支援者の存在を探索し、この被支援者が必要とするサポート動作を自律的に実行するサポートロボットを派遣可能なサポートシステムが開示されている。特許文献2には、作業命令とロボットの移動経路から、対象物品を移動先に移動させるためのロボット制御を行うシステムが開示されている。特許文献3には、サービス実績データに基づいてサービス場所におけるサービスの実施計画を策するロボットシステムが開示されている。特許文献4には、依頼されたサービスを終了するために最適なロボットの最適な組み合わせを決定した、依頼されたサービスを実行するロボット派遣依頼システムが開示されている。特許文献5には、倉庫制御システムにおいて、パレット上に配置された品物を一つのパレットにまとめさせるためのロボット装置の制御方法が開示されている。特許文献6には、複数の利用者により共用される1以上のリソースの少なくとも1つに関する予約を管理する管理装置開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-029908 号公報
【特許文献2】特開2007-111854 号公報
【特許文献3】特開2019-148864 号公報
【特許文献4】特開2019-530034 号公報
【特許文献5】特開2019-531990 号公報
【特許文献6】特開2020-024731 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1~5に記載された発明は、複数ユーザが別々の依頼を指示した場合に、それぞれのロボットが個別に制御される。このため、それぞれの指示内容に対して連続して作業した方が効率的であっても実行することができない。また、特許文献6に記載された発明は、複数ユーザで共有されるリソースに対する予約を管理する発明であって、複数ユーザからの別々の依頼を効率的に制御できない。
【0006】
本開示の目的の一例は、複数のユーザが別々の依頼を指示する場合であっても、効率的に制御が可能な移動体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における移動体制御装置は、移動体の作業情報及び位置情報を記憶する、移動体記憶手段と、複数のユーザからの複数の作業内容の入力を受付する、入力受付手段と、移動体記憶手段に記憶された移動体の作業情報及び位置情報、並びに、入力受付手段において受付された複数のユーザからの複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する、動作決定手段とを備える。
【0008】
本開示の一態様における移動体制御方法は、複数の作業内容で共有とする移動体の作業内容を決定する移動体制御方法であって、移動体の作業情報及び位置情報を記憶し、複数のユーザからの複数の作業内容の入力を受付し、移動体の作業情報及び位置情報、並びに、複数のユーザからの複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する。
【0009】
本開示の一態様におけるプログラムは、コンピュータに、移動体の作業情報及び位置情報を記憶し、複数のユーザからの複数の作業内容の入力を受付し、移動体の作業情報及び位置情報、並びに、複数のユーザからの複数の作業内容に基づき、当該複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定することを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による効果の一例は、複数のユーザが別々の依頼を指示する場合であっても、効率的に制御することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第一の実施形態における移動体制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、第一の実施形態における移動体制御装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、複数のユーザから依頼された作業内容を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。
図4図4は、第一の実施形態における移動体制御の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、第二の実施形態における移動体制御装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、第二の実施形態におけるシミュレーション部のハードウェア構成を示す図である。
図7図7は、第二の実施形態における複数のユーザから依頼された作業内容を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。
図8図8は、ユーザの作業内容の受付順が異なる場合における、各ユーザの費用の分担を示す図である。
図9図9は、第二の実施形態における移動体制御の動作を示すフローチャートである。
図10図10は、第二の実施形態の変形例おける複数のユーザから依頼された作業内容を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。
図11図11は、第二の実施形態の変形例おいて、複数のユーザの作業内容の共有の有無における経路のリソース消費量の比較を説明するための図である。
図12図12は、第三の実施形態において、3人のユーザから依頼された作業内容を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第一の実施形態における移動体制御装置100の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、移動体制御装置100は、移動体記憶部101と入力受付部102と動作決定部103と作業実行部104を備える。次に、第一の実施形態における移動体制御装置100の構成について詳しく説明する。
【0014】
図2は、本開示の第一の実施形態における移動体制御装置100を、プロセッサを含むコンピュータ装置500で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、移動体制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503等のメモリ、プログラム504を格納するハードディスク等の記憶装置505、ネットワーク接続用の通信I/F(Interface)508、データの入出力を行う入出力インターフェース511を含む。第一の実施形態において、移動体記憶部101において記憶される移動体の作業情報及び位置情報は入出力インターフェース511を介して移動体制御装置100に入力される。また、移動体制御装置100は、バス512を介して入力装置509及び出力装置510に接続されている。
【0015】
CPU501は、オペレーティングシステムを動作させて本発明の第一の実施の形態に係る移動体制御装置100の全体を制御する。また、CPU501は、例えばドライブ装置507等に装着された記録媒体506からメモリにプログラムやデータを読み出す。また、CPU501は、第一の実施の形態における移動体記憶部101と入力受付部102と動作決定部103と作業実行部104及びこの一部として機能し、プログラムに基づいて後述する図4に示すフローチャートにおける処理又は命令を実行する。
【0016】
記録媒体506は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、又は半導体メモリ等である。一部の記録媒体は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。
【0017】
入力装置509は、例えば、マウスやキーボード、内蔵のキーボタン等で実現され、入力操作に用いられる。入力装置509は、マウスやキーボード、内蔵のキーボタンに限らず、例えばタッチパネルでもよい。第一の実施形態において、入力受付部102は、入力装置509により実現される。出力装置510は、例えばディスプレイで実現され、出力を確認するために用いられる。
【0018】
以上のように、図1に示す第一の実施形態は、図2に示されるコンピュータ・ハードウェアによって実現される。ただし、図1の移動体制御装置100が備える各部の実現手段は、以上説明した構成に限定されない。また移動体制御装置100は、物理的に結合した一つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した二つ以上の装置を有線又は無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。例えば、入力装置509及び出力装置510は、コンピュータ装置500とネットワークを経由して接続されていてもよい。
【0019】
図1において、移動体記憶部101は、移動体の作業情報及び位置情報を記憶する手段である。移動体記憶部101には、移動体制御装置100によって制御される全ての移動体の作業情報及び位置情報が記憶されている。移動体とは、例えば、ロボット、ドローン又は自動運転車等の制御により動作させることが可能な機器である。移動体の作業情報とは、例えば、移動体の作業スケジュール、作業能力(移動速度、作業効率)又はバッテリ残量等が挙げられる。作業スケジュールとは、予め移動体に対して設定された作業内容であり、作業を実施する時間帯や移動経路の情報が紐づけられている。移動体記憶部101は、ネットワークを通じて、移動体に設定されている作業情報及び位置情報を所定期間(例えば、5分)ごとに取得して更新する。
【0020】
入力受付部102は、複数のユーザからの作業内容の入力を受付する手段である。複数のユーザとは、移動体制御装置100によって制御される1つ又は複数の移動体に対して、別々に作業を依頼するユーザである。また、複数のユーザから依頼された作業内容であれば、作業内容が同一であっても(例えば、P地点の写真撮影)、別の作業とみなし、複数の作業内容であるとする。ここで、ユーザが移動体に依頼する作業内容には、例えば、動画や写真撮影、撮影した画像に基づく状況確認、人の移送、モノの運搬、清掃又は警備/点検等が挙げられる。撮影した画像に基づく状況確認とは、例えば、撮影した写真に基づき、ある地点の状況や人又はモノの有無等を報告することである。入力受付部102は、これらの作業内容の入力を、例えば、移動体制御装置100を制御する操作パネルやユーザの端末にダウンロードされた移動体制御装置100を制御するためのソフトウエアの操作画面を通じて受付する。入力受付部102は、ユーザから作業内容の入力を受付すると、受付された作業内容に関する情報を受付した時刻と共に動作決定部103に出力する。
【0021】
動作決定部103は、移動体記憶部101に記憶された移動体の作業情報及び位置情報、並びに、入力受付部102において受付された複数のユーザからの複数の作業内容に基づき、複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する手段である。具体的に、動作決定部103は、入力受付部102から複数の作業内容に関する情報が入力されると、移動体記憶部101を参照し、移動体制御装置100内で制御している1つ又は複数の移動体(第1の移動体とも称する)の作業情報及び位置情報を取得する。次いで、動作決定部103は、移動体制御装置100内で稼働している第1の移動体の中から、移動体のスケジュール、移動体の性能、バッテリ残量又は移動体の位置等に基づいて、入力された作業内容を実施可能な移動体(第2の移動体とも称する)を選択し、選択した移動体(第2の移動体)について作業を行う時間帯や移動経路を含む動作を決定する。次いで、動作決定部103は、決定した移動体の動作の情報を作業実行部104に出力する。
【0022】
作業実行部104は、動作決定部103によって決定された移動体の動作を実行する手段である。作業実行部104は、動作決定部103から決定された移動体の動作の情報についての情報が入力されると、移動体(第2の移動体)に対して入力された動作を実行するよう制御する。
【0023】
図3は、複数のユーザから依頼された作業内容を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。図3の例は、まずユーザAからP地点の写真撮影の依頼が入力され、作業実行部104が移動体であるロボットRにP地点での写真撮影をするように指示した後に、他のユーザBからP地点の写真撮影の依頼が入力された例である。ユーザBからP地点の写真撮影の依頼が入力されると、動作決定部103は、移動体記憶部101から移動体制御装置100で制御されているロボットの作業内容を参照し、近い時間帯に、P地点に近づくロボットRを選択する。なお、この時点でロボットRの作業情報として、P地点の写真撮影、移動経路が経路Aと記憶されている。次いで、作業実行部104は、選択したロボットRにユーザBに対してもP地点の写真撮影を実行するよう指示をする。すなわち、P地点の写真撮影、移動経路が経路Bとの動作を指示する。作業実行部104は、ロボットRがP地点の写真撮影を終了すると、移動体制御装置100を操作する操作パネルやユーザA及びユーザBの端末に作業が終了したことを通知すると共に、P地点の写真を送信する。
【0024】
以上のように構成された移動体制御装置100の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0025】
図4は、第一の実施形態における移動体制御装置100の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0026】
図4に示すように、まず移動体記憶部101は、移動体の作業情報及び位置情報を記憶する。(ステップS101)。
次に、入力受付部102は、複数ユーザからの作業内容の入力を受付する(ステップS102)。
次に、動作決定部103は、複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する(ステップS103)。
最後に、作業実行部104は、決定した動作を実行し、移動体の制御を開始する(ステップS104)。
以上で、移動体制御装置100は、移動体制御の動作を終了する。
【0027】
次に、本開示の第一の実施形態の効果について説明する。上述した本実施形態における移動体制御装置100は、複数のユーザが別々の依頼を指示する場合であっても、効率的に制御ができる。移動体制御装置100は、動作決定部103が、移動体記憶部101に記憶された移動体の作業情報及び位置情報、並びに、入力受付部102において受付された複数のユーザからの複数の作業内容に基づき、複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する。これにより、図3においてSで示す部分の移動体の動作が複数のユーザにより共有される。既存の移動体制御システムでは、複数のユーザからの作業内容に対して連続して作業する等、作業を共有した方が効率的であっても、移動体が個別に実行しており、実現できなかった。
【0028】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第二の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。本開示の各実施形態における各構成要素は、図2に示すコンピュータ装置と同様に、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアで実現することができる。
【0029】
図5は、本開示の第二の実施形態に係る移動体制御装置110の構成を示すブロック図である。図5を参照して、第一の実施形態に係る移動体制御装置100と異なる部分を中心に、第二の実施形態に係る移動体制御装置110を説明する。第二の実施形態に係る移動体制御装置110は、移動体記憶部111と入力受付部112と動作決定部113と費用算出部114とシミュレーション部115と作業実行部116を備える。
【0030】
第一の実施形態において、動作決定部103は、選択した移動体と決定した動作の情報を作業実行部104に出力していた。第二の実施形態においては、動作決定部113は、選択した移動体と決定した動作の情報を費用算出部114に出力する。なお、第二の実施形態の移動体記憶部111及び入力受付部112は、第一の実施形態の移動体記憶部101及び入力受付部102と構成や機能が基本的に同じであるため、説明を省略する。
【0031】
動作決定部113は、複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する際に、移動体のリソース消費量が最小となる移動体の動作を決定する。ここで、リソースとは、移動体が動作する際に必要なエネルギー源であり、例えば、移動体の移動可能な経路の長さ、移動体の電力等の値で示される。第二の実施形態では、各移動体の一定作業当たりのリソース消費量である燃費が等しいと仮定し、ユーザから受付した作業内容を実行可能な移動体が複数存在した場合、同じ作業を実行する際の移動経路が最も短くなる移動体を、リソース消費量が最小の移動体として選択し、複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する。動作決定部113は、決定した移動体の動作の情報を費用算出部114及びシミュレーション部115に出力する。
【0032】
費用算出部114は、動作決定部113により決定された移動体の動作に基づいて、ユーザに請求する費用を算出する手段である。費用算出部114は、動作決定部113から決定した移動体の動作の情報が入力されると、複数のユーザから依頼された作業内容を行うにあたり、例えば、移動体が消費するリソース消費量に、リソース消費量当たりの単価を乗じた金額を、ユーザに請求する費用として算出する。費用算出部114は、算出したユーザに請求する費用をシミュレーション部115に出力する。
【0033】
シミュレーション部115は、ユーザに対して想定費用を通知する前に、動作決定部113が決定した動作と費用算出部114が算出した費用について、仮想空間上でデジタルツイン技術を用いて構築するシステムのシミュレーションを実行するシミュレーション手段である。
【0034】
ここで、デジタルツインとは、リアルタイムに取得した情報を集め、AR(Augmented Reality)やAI(Artificial intelligence)等の技術を用いて実際に起こりうる状況をコンピュータ等の仮想空間上で再現してシミュレーションを実行し、現実世界で起こることを予測するためのソリューションである。仮想空間上でシミュレーションする際に、地図情報を示すデータ上に、様々な場所に設置されたセンサ端末等を通じて取得した時系列情報や将来の予測情報等を重ねあわせてダイナミックマップを作成し、実際の状況を仮想空間上にそのままツインとして再現する。ダイナミックマップ上で現実世界の事象を表現するために、シミュレーションで用いる情報は目的ごとに分類した層(レイヤ)の状態で蓄積される。なお、本実施形態では、現実世界で移動体制御を実行する際に起こりうることを仮想空間で再現してシミュレーションを実行する。
【0035】
図6は、本開示の第二の実施形態におけるシミュレーション部115による、デジタルツインを用いたシミュレーションを実行する際のハードウェア構成の一例を示す図である。入出力インターフェース601は、動作決定部113から入力された動作の情報や費用算出部114が算出したユーザに請求する費用に関する情報を情報蓄積部602に入力する。情報蓄積部602には、入出力インターフェース601からの情報の他、シミュレーションに用いるシミュレーションのモデルや過去のシミュレーション結果が格納されている。入出力装置603は、ユーザにより現実空間の状況に対応する設定が入力される。シミュレーション実行部604は、情報蓄積部602からシミュレーションに用いるモデルを選択し、動作決定部113から入力された動作の情報や費用算出部114から入力されたユーザに請求する費用に関する情報及び入出力装置603から入力された設定条件に基づいて仮想空間上で現実空間の状況を再現しながらシミュレーションを実行する。評価部605は、シミュレーション実行部604から出力された結果に基づいてシミュレーション結果が正常かどうかの評価を行う。評価部605によってシミュレーション結果が正常ではないと評価された場合、シミュレーション実行部604は、シミュレーションモデルや設定条件の変更し、評価部605によってシミュレーション結果が正常と評価されるまでシミュレーションを繰り返す。シミュレーション適用部606は、評価部605で正常と判断され場合、作業実行部116にその判断結果を出力する。
【0036】
作業実行部116は、シミュレーション部115によってシミュレーション結果が正常と評価されると、シミュレーションのとおりに動作を実行する手段である。作業実行部116は、シミュレーション部115からシミュレーション結果が正常と評価されたことが入力されると、ユーザに対して、費用算出部114によって決定された、作業の実施に伴う想定費用をユーザに通知する。次いで、ユーザから想定費用にて作業を承認したことの入力を受付すると、移動体に対して動作を実行するよう指示をする。
【0037】
図7は、複数のユーザから別の場所での作業内容が入力され、入力された作業を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。図7の例は、まずユーザAからP地点の写真撮影の依頼が入力され、作業実行部116が移動体であるロボットR1がP地点で写真撮影するよう制御した後、他のユーザBからP地点とは離れているQ地点の店の混雑状況の確認の依頼が入力された例である。ユーザAからのP地点の写真撮影の依頼が入力されると、動作決定部113は、移動体記憶部111を参照し、リソース消費量が最小となるロボットを選択し、ロボットの動作を決定する。図7の例では、ロボットR1及びロボットR2がP地点まで移動可能な位置に存在する。ロボットR1とロボットR2の燃費が等しいとすると、動作決定部113はP地点までの距離がより近いロボットR1をリソース消費量が最小となるロボットとして選択し、作業時間や移動経路を含む動作を決定する。図7の例において、動作決定部113は、P地点まで直接向かう移動経路Aを移動経路として決定する。次いで、費用算出部114は、動作決定部103が決定したロボットR1の動作の情報からユーザに請求する費用を算出し、シミュレーション部115に入力する。シミュレーション部115は、動作決定部103によって選択されたロボットR1がユーザAから依頼された作業内容を実行する際のシミュレーションを行い、シミュレーション結果が正常かどうか判定する。作業実行部116は、シミュレーション部115からシミュレーション結果が正常であると入力されると、ユーザAに対して、作業に対する想定費用が1000円であることを通知する。次いで、作業実行部116は、ユーザAから想定費用に対して承諾したとの入力を受付すると、ロボットR1にユーザAの作業内容を紐づけて移動体記憶部101に格納し、ロボットR1に作業を実行するよう指示する。
【0038】
図7の例において、作業実行部116がロボットR1にP地点での写真撮影を指示した後、ユーザBからQ地点の店の混雑状況の確認の依頼が入力されると、動作決定部113は、移動体記憶部111を参照し、実行可能なロボットを選択する。この際、動作決定部113は、近い時間帯に、Q地点付近に近づくことが予定されているロボットR1を選択し、作業時間や移動経路等を含む動作を決定する。図7の例において、動作決定部113は、移動経路Aの途中からQ地点まで向かい(移動経路B)、再び移動経路Aに戻ってP地点に向かう移動経路を決定する。次いで、費用算出部114は、動作決定部113が決定したロボットR1の動作の情報からユーザに請求する費用を算出し、シミュレーション部115に入力する。シミュレーション部115は、動作決定部113によって選択されたロボットR1がユーザA及びユーザBから依頼された作業内容を実行する際のシミュレーションを行い、シミュレーション結果が正常かどうか判定する。作業実行部116は、シミュレーション部115からシミュレーション結果が正常であると入力されると、ユーザBに対して、作業に対する想定費用が600円であると通知する。作業実行部116によるユーザBに対する想定費用の通知及びユーザBから承諾したとの入力の受付を検知すると、ロボットR1にユーザA及びユーザBの作業内容を紐づけて移動体記憶部101に格納し、ロボットR1に対してP地点の写真撮影の前に、Q地点の店の混雑状況を確認するように制御する。なお、移動体記憶部101に既に格納されていた、ユーザAから依頼された作業内容は上書きされる。ロボットR1による動作が終了すると、ユーザA及びユーザBに対してそれぞれのユーザから依頼された作業が終了した時点で、終了したことを通知すると共に、実際の請求金額が通知される。ユーザAに対しては、想定料金よりも安くなった理由として、他のユーザとの移動体の共有がされたことを通知する。
【0039】
図8は、複数ユーザ間の経路間の移動について、費用の分担を示した図である。ここで、図8を用いて複数のユーザ間で作業を共有する場合、どちらのユーザが費用を負担するかについて説明する。図8の例は、先に受付されたユーザの作業の移動経路上に後から受付されたユーザの作業場所が存在しない場所において、移動体の作業を共有する例である。この場合、後から受付されたユーザの作業場所から、先に作業を受付したユーザの移動経路に戻る(破線で囲った箇所)ために発生する費用は、基本的に後から作業を受付し、先に受付したユーザの移動経路へ戻る移動を発生させたユーザが負担する。図8で示すように、入力受付部112がユーザA→Bの順で作業を受付した場合は、ユーザBは、ユーザBの作業場所からユーザAの移動経路に戻る費用を負担する。入力受付部112がユーザB→Aの順で作業を受付した場合はユーザAがユーザBの作業場所からAの移動経路に戻る費用する。但し、複数ユーザ間の経路間の移動時の費用の分担する方法は、これに限られない。
【0040】
次に、移動体制御装置110の動作について図9に示すフローチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートによる処理も、前述したCPUによるプログラム制御に基づいて、実行されても良い。
【0041】
図9に示すように、まず移動体記憶部111は、移動体の作業情報及び位置情報を記憶する。(ステップS201)。
次に、入力受付部112は、複数ユーザからの作業内容の入力を受付する(ステップS202)。
次に、動作決定部113は、複数の作業内容で共有する移動体の動作を決定し、費用算出部114及びシミュレーション部115に入力する(ステップS203)。
次に、費用算出部114は、動作決定部113により入力された移動体の動作の情報に基づいて、ユーザに請求する費用を算出し、算出した費用をシミュレーション部115に出力する(ステップS204)。
次に、シミュレーション部115は、動作決定部113が入力した動作の情報及び費用算出部114が入力した費用に関する情報を、仮想空間上でシミュレーションを実行する(ステップS205)。シミュレーション部115は、シミュレーション結果が正常と評価された場合(ステップS206;Yes)、その結果と移動体の動作の情報及び費用の情報を作業実行部116に出力する。シミュレーション結果が正常と評価されなかった場合(ステップS206;No)、シミュレーション結果が正常と評価されるまでシミュレーションを繰り返す。
次に、作業実行部116は、シミュレーション部115から入力された費用をユーザに通知し、ユーザからの承諾の入力を受付すると、シミュレーションの条件で移動体の制御を開始する(ステップS207)。
【0042】
以上で、移動体制御装置110は、移動体制御の動作を終了する。
【0043】
次に、本開示の第二の実施形態の効果について説明する。上述した第二の実施形態における移動体制御装置110は、リソース消費量が最小となるロボットR1の動作を決定する。これにより、図7においてSで示す部分の移動体の動作が複数のユーザにより共有される。よって、ロボットR1のリソース消費量を抑えられるため、ロボットR1のリソース消費量に基づいて、費用を算出する場合にユーザに請求する費用を抑えることができる。また、第二の実施形態では、予め、後から作業内容を受付したユーザに対して、他のユーザから依頼された作業を共有するとした安価な想定料金をユーザに提示できる。よって、ユーザに対し、ロボットによる作業サービスの利用を促すことができる。
【0044】
本実施形態におけるシミュレーション部115によるデジタルツインを利用したシミュレーションによれば、リアルタイムで取得した情報を現実空間での状況を再現した上でシミュレーションを実行できるので、高精度のシミュレーション結果を現実空間に適用することができる。
【0045】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0046】
例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0047】
図10は、第二の実施形態における変形例を示す図である。図10を用いて、ユーザBの作業内容の入力がユーザAの作業内容の入力よりも先にあった場合の変形例を説明する。図10の例において、移動体制御装置110がロボットR1に対して、ユーザBから依頼されたQ地点にある店の混雑状況を確認するよう制御した後、ユーザAからP地点の写真撮影の依頼が受付されると、動作決定部113は、移動体記憶部111に格納されている、移動体の作業スケジュールを参照し、ユーザAから依頼された作業内容を実行可能なロボットを選択する。この場合、動作決定部113は、最も近い時間帯に、P地点付近に近づくことが予定されているロボットR1を選択し、移動経路も含めたロボットR1の動作を決定する。図10の例では、動作決定部113は、ユーザBから依頼されたQ地点の店の混雑状況確認の作業が終了してから、P地点に移動し、写真撮影を行うことを決定する。
【0048】
次いで、費用算出部114は、動作決定部113が決定したロボットR1の動作の情報からユーザAに請求する費用を算出し、シミュレーション部115に入力する。シミュレーション部115は、動作決定部113から入力されたロボットR1の動作の情報及び費用算出部114から入力されたユーザAに請求する費用の情報に基づいて、P地点の写真撮影を実行するにあたりシミュレーションを行い、シミュレーション結果が正常かどうか判定する。作業実行部116は、シミュレーション部115からシミュレーション結果が正常であると入力されると、ユーザAに対して、作業に対する想定費用が700円であることを通知する。作業実行部116によるユーザAに対する想定費用の通知及びユーザAから承諾したとの入力の受付を検知すると、ロボットR1に対してQ地点の店の混雑状況を確認した後、P地点の写真撮影するように制御する。ロボットR1による作業が終了すると、ユーザA及びユーザBに対してそれぞれの依頼した作業が終了した時点で、終了したことを通知すると共に、実際の請求金額が通知される。ユーザBに請求する費用は、想定料金750円よりも安く550円になっている。作業実行部116は、想定料金よりも安くなった理由として、他のユーザとの移動体の動作が共有されたことを通知する。図10の例においても、Sで示す部分のロボットR1の動作がユーザA及びユーザBにより共有される。
【0049】
図11は、ロボットR1により複数のユーザから依頼された作業内容を共有する場合と共有しない場合とで、経路のリソース消費量の比較を説明するための図である。図11の例では、入力受付部112が、ユーザA→ユーザBの順で作業を受付し、ユーザAからP地点での作業内容を受付し、ユーザBからQ地点での作業が受付されている。図11の表は、順路が異なる場合におけるユーザAからP地点での作業内容が入力され、ユーザBからQ地点での作業内容が入力されている。入力受付部112が、ユーザA→ユーザBの順で作業内容を受付している。この場合、ロボットR1は、a1→a2(P)→a2→b2(Q)の順路で移動する場合と、a1→b1(Q)→b2→a2(P)の順路で移動するように場合とが考えられる。図11の表は、ロボットR1がそれぞれの順路で移動した場合における、他のユーザとの作業の共有の有無で、各ユーザが負担する経路リソース消費量を示している。表に示すように、例えば、順路Q→Pで移動する場合、ユーザA及びユーザBで作業を共有しないときは、Aの経路リソース消費量は、a2+bと表され、Bの経路リソース消費量は、a1+bと表される。一方、ロボットR1の作業をユーザA及びBで共有する場合は、Aの経路リソース消費量は、a1/2+a2と表され、Bの経路リソース消費量は、a1/2+2bと表される。
【0050】
ここで、ユーザA→ユーザBの順で依頼を受付し、かつ、ロボットR1が順路Q→Pで移動する場合において、ユーザA及びユーザBで経路リソース消費量を共有した方が経路リソース消費量を抑えられる条件を考える。この場合、動作決定部113は、複数のユーザのうち、最も経路リソース消費量が高いユーザのリソース消費量が他のユーザと経路を共有することで経路リソース消費量を最も抑えられる経路を選択する。図11において、このような経路を選択する条件として、例えば、以下のような条件を適用することができる。(1)作業を共有する場合における、ユーザA又はユーザBのうち経路リソース消費量が多い方のユーザの経路リソース消費量が、(2)作業を共有しない場合における、ユーザA又はユーザBのうち経路リソース消費量が多い方のユーザの経路リソース消費量より、小さい場合にロボットR1の作業を共有する。ここで、前提として、a2>a1>bの順番でリソース消費量が多く、b1=b2=bと仮定する。
【0051】
上述の条件の(1)については、ロボットR1の作業を共有する場合において、ユーザAの経路のリソース消費量(a1/2+a2)がユーザBの経路リソース消費量(a1/2+2b)より大きい場合は、(i)a1/2+a2>a1/2+2b(∴a2/2>b)となり、(ii)ユーザBの経路リソース消費量がユーザAの経路リソース消費量以上の場合は、a1/2+a2<=a1/2+2b(∴a2/2<=b)となる。(2)については、(i)及び(ii)の2通りのケースそれぞれについて、作業を共有しない場合におけるユーザA及びユーザBの経路リソース消費量よりも小さくなる場合を考える。なお、前提条件であるa2>a1より、作業を共有しない場合においては、ユーザAの経路リソース消費量が、ユーザBの経路リソース消費量より多くなる。よって、(i)及び(ii)の2通りの場合(作業共有する場合において、経路リソース消費量がユーザA>Bのケース及びA<=Bのケース)のそれぞれについて、作業を共有しない場合のユーザA(a2+b)よりも経路リソース消費量が少なくなる条件を求めることで算出される。
【0052】
すなわち、図11の例において、(iii)作業を共有する場合のユーザAの経路リソース消費量(a1/2+a2)が、作業を共有しないユーザAの経路リソース消費量(a2+b)より少なくなる場合の条件は、a1/2+a2<a2+b(∴a1/2<b)となる。また、(iV)作業を共有する場合のユーザBの経路リソース消費量(a1/2+2b)が、作業を共有しないユーザAの経路リソース消費量(a2+b)より少なくなる場合の条件は、a1/2+2b<a2+b(∴a1/2+b<a2)となる。以上より、(i)かつ(iii)の場合、又は(ii)かつ(iV)の場合、すなわち、a2/2>bかつa1/2<bの場合、又はa2/2<=bかつa1/2+b<a2の場合、動作決定部113は、作業を共有することを決定する。一方、a2/2>bかつa1/2>=bの場合、又はa2/2<=bかつa1/2+b>=a2の場合、動作決定部113は、作業を共有しないことを決定する。ただし、動作決定部113がロボットの作業を共有の有無を決定する場合おいて、経路リソース消費量を比較する方法は、これに限られない。
【0053】
また、第二の実施形態では、ユーザが入力した作業を実行可能な移動体が複数存在した場合、移動体の一定作業当たりのリソース消費量である燃費が等しいと仮定した。しかし、各移動体の燃費が異なっていても構わない。この場合、動作決定部113は、移動体の移動経路に加え、移動体の燃費を加味して各移動体のリソース消費量を算出する。そして、動作決定部113は、算出したリソース消費量を比較し、よりリソース消費量が少ない移動体を優先して選択し、複数の作業内容で共有とする移動体の動作を決定する。
【0054】
[第3の実施形態]
次に、本開示の第三の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。本開示の各実施形態における各構成要素は、第二の実施形態における図2に示すコンピュータ装置と同様に、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアで実現することができる。
【0055】
第三の実施形態においては、入力受付部112が、複数ユーザからの作業内容の入力を受付すると共に、作業終了時間とユーザに請求する費用のどちらの条件を優先するかの優先情報を受付する点で、第二の実施形態と異なる。具体的には、第三の実施形態における入力受付部112は、第二の実施形態における入力受付部112の機能に加えて、ユーザに対して表示する入力受付部112の操作画面において、ユーザが希望する作業終了時刻及び費用の入力を受付すると共に、両方の条件を満たせない場合に、どちらの条件を優先させるかの入力を受付する。なお、本実施形態において、ユーザに請求する費用は、移動体の移動経路の長さに基づき算出されるものとする。
【0056】
第三の実施形態では、第二の実施形態におけるステップS202において、複数ユーザからの作業内容の入力と共に、希望する作業終了時刻及び費用の入力を受付する(ステップS202)。
次に、動作決定部113は、ユーザから入力された、作業の終了時刻及び費用の条件を満たすように、複数の作業内容で共有する移動体の動作を決定し、費用算出部114及びシミュレーション部115に入力する(ステップS203)。
次に、費用算出部114は、動作決定部113により入力された移動体の動作に基づいて、ユーザに請求する費用を算出し、決定した移動体の動作と算出した費用をシミュレーション部115に出力する(ステップS204)。
次に、シミュレーション部115は、動作決定部113から入力された作業内容及び費用算出部114から入力された費用に関する情報に基づいて、仮想空間上でシミュレーションを実行する(ステップS205)。シミュレーション部115は、シミュレーション結果がユーザから入力された希望する作業終了時刻及び費用の両方を満たし、正常と評価された場合(ステップS206;Yes)、その結果と移動体の作業及び費用の情報を作業実行部116に出力すると共に、シミュレーションどおりに移動体制御装置110の制御を開始する。シミュレーション結果がユーザから入力された希望する作業終了時刻又は費用、若しくは両方を満たさず、正常と評価されなかった場合(ステップS206;No)、入力受付部112から入力された作業終了時刻と費用のどちらの要件を優先するか示す優先情報に基づいてシミュレーションを再度実行し、シミュレーション結果が正常と評価されるまでシミュレーションを繰り返す。
次に、作業実行部116は、シミュレーション部115から入力された費用をユーザに通知し、ユーザからの承諾の入力を受付すると、シミュレーションの条件で移動体の制御を開始する(ステップS207)。
【0057】
以上で、移動体制御装置110は、移動体制御の動作を終了する。
【0058】
図12は、第三の実施形態における、3人のユーザから入力された作業内容を移動体に実行させるまでの一連の流れを説明するための図である。図12の例は、入力受付部112において、ユーザAからは、費用条件を優先させる、ユーザCからは、作業終了時刻を優先させるとの優先情報の入力を受付している。なお、入力受付部112は、ユーザBからは、希望する作業終了時刻や費用の入力がされなかったとする。図12の例では、まず、ユーザAからのP地点の写真撮影が受付され、作業実行部116がロボットR1に対して指示した後、ユーザBからP地点とは離れているQ地点の店の混雑状況の確認、ユーザCからR地点の掃除の作業内容がそれぞれ受付されている。ここでは、第二の実施形態と異なる、ユーザCからの作業内容を受付してからの流れを説明する。動作決定部113は、ロボットR1に対してQ地点の店の混雑状況の確認の作業を指示した後、ユーザCからのR地点の掃除の作業及び作業完了時刻を優先するとの優先情報が受付されると、移動体記憶部111を参照し、より近い時間帯にR地点までの移動経路が短くなる、ロボットR1を選択し、ロボットR1の作業時間及び移動経路を含めた動作を決定する。
【0059】
次いで、費用算出部114は、動作決定部113が決定したロボットR1の動作の情報からユーザCに請求する費用を算出し、シミュレーション部115に入力する。シミュレーション部115は、動作決定部113によって決定されたロボットR1がユーザCからの依頼された作業内容を実行する際のシミュレーションを行い、シミュレーション結果が正常かどうか判定する。作業実行部116は、シミュレーション部115からシミュレーション結果が正常であると入力されると、ユーザCに対して、作業に対する想定費用が1000円であることを通知する。次いで、作業実行部116は、ユーザCから想定費用に対して承諾したとの入力を受付したことを検知すると、ロボットR1にユーザCの作業内容を紐づけて移動体記憶部111に格納し、ロボットR1に対して、Q地点の店の混雑状況を確認する前に、R地点の掃除をするように指示する。ロボットR1によるユーザCから依頼された作業が終了すると、作業実行部116は、ロボットR1に対して、Q地点の店の混雑状況を確認するように指示する。最後に、作業実行部116は、Q地点の店の混雑状況の確認作業が終了すると、ユーザAから依頼されたP地点の写真撮影をするように指示する。また、作業実行部116は、ユーザC、ユーザB及びユーザAに対してそれぞれから依頼された作業が終了した時点で、各ユーザに終了したことを通知すると共に、実際の請求金額が通知される。ユーザA及びユーザBに対しては、想定料金よりも安くなった理由として、他のユーザとの移動体の共有がされたことを通知する。この場合においても、図12においてSで示す部分のロボットR1の動作がユーザA、ユーザB及びユーザCにより共有される。第三の実施形態では、より多くのユーザから依頼された作業を共有することができるので、より効率的に移動体を制御することができる。
【0060】
第三の実施形態では、動作決定部113がユーザからの作業内容に対する条件の優先情報に基づいて移動体の作業順序と移動経路を決定する。このため、ユーザのサービスの必要度に応じた、移動体サービスを提供することができる。また、作業の終了時刻が遅くても構わないユーザから依頼された作業については、実行する時間帯に余裕ができるため、移動体の移動経路が短くなるようなタイミングで、その作業を実行するように指示することができる。
【0061】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。例えば、第三の実施形態において、それぞれのユーザから作業依頼があった後に、一連のステップを実行し、移動体のスケジュールを決定していた。しかし、入力受付部112は、ユーザからの作業依頼が入力される前に、ユーザからの作業内容として、予めユーザの移動体の利用が見込まれる地点での作業内容の入力を受付しても構わない。
【0062】
例えば、図12の例において、E地点で大規模なイベントが予定されており、イベント終了後にユーザの移動体サービスの利用が見込まれる場合、予め、移動体に対し、イベントが終了する時間帯にE地点の作業(又はE地点から開始する作業)をスケジュールに組み入れていても構わない。この場合、例えば、移動体のスケジュールにイベントが紐づけられた段階で本実施形態のステップを開始する。これにより、作業終了時刻を優先しないユーザから依頼された作業に対しては、E地点の作業の終了後に、作業を実行するようにスケジュールを立てることができる。このように、ユーザからの入力を待たずに、スケジュールに組み入れることで、よりサービスの提供を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
100、110 移動体制御装置
101、111 移動体記憶部
102、112 入力受付部
103、113 動作決定部
104、116 作業実行部
114 費用算出部
115 シミュレーション部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12