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  • 特開-提灯のフード 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143622
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】提灯のフード
(51)【国際特許分類】
   F21V 1/00 20060101AFI20220926BHJP
   F21S 6/00 20060101ALI20220926BHJP
   F21V 1/22 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F21V1/00 100
F21S6/00 520
F21V1/22
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044240
(22)【出願日】2021-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】521114228
【氏名又は名称】株式会社ユウキ
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】井村 有希
(57)【要約】
【課題】長時間太陽光などに暴露されても火袋の劣化を抑制することができる提灯のフードを提供する。
【解決手段】提灯の上部曲げ輪に嵌める穴部を有する傘状のフード本体からなる提灯のフードである。穴部には間欠的に突出片が形成される。傘状のフード本体は、全体が下向きに対して正曲面の屋根面であり、屋根面には同心状に溝が形成される。フード本体は、耐紫外線素材を有するシート成形品である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
提灯の上側曲げ輪の周囲に装着するフードであって、提灯の上部曲げ輪に嵌める穴部を有する傘状のフード本体からなることを特徴とする提灯のフード。
【請求項2】
穴部は、間欠的に突出片が形成された請求項1記載の提灯のフード。
【請求項3】
傘状のフード本体は、全体が下向きに対して正曲面の屋根面である請求項1または2記載の提灯のフード。
【請求項4】
屋根面には、同心状に溝が形成された請求項3記載の提灯のフード。
【請求項5】
フード本体は、耐紫外線素材を有するシート成形品である請求項1~4のいずれか記載の提灯のフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、提灯の上側の肩部に傘様に装着するフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から提灯は多種の形態が公知である。その基本的な構造は、円形に曲げた竹ひごを筒状に多数組み合わせ、その外側に障子紙などを張って火袋として内部にろうそくや電球などの光源を収容できるようにし、その火袋の上下には曲げ輪と呼ばれる木製やプラスチック製の皿を取り付けている。また、全体の形状は多種にわたり、祭事に供されるものであれば六長と呼ばれる名古屋型、尺四堂島と呼ばれる九州型が代表的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-104462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、提灯の基本的構造を備えたものの一例であるが、神社などの祭事では背景技術に示した名古屋型や九州型などと同様に屋外に祭事の期間の前後を通じて献灯されるのが通常である。しかしながら、提灯はその内部の光源を外部に対して照明するという基本的な機能から、火袋に用いられる障子紙やその代替材料であるプラスチックシートは比較的薄いものである。
【0005】
この場合、特許文献1に示した提灯であっても、従来例として引用した名古屋型や九州型の提灯であっても、いずれもその形状は上側の曲げ輪に対して火袋の肩部が張り出しているため、屋外で長時間にわたって太陽光に暴露されれば紫外線の影響を受けて肩部付近の障子紙やプラスチックシートがボロボロになって破れてしまうという問題がある。このような火袋の劣化という問題は、雨風によってさらに助長される。したがって、屋外で利用される提灯は長年の使用に耐えないものが多い。
【0006】
本発明は、このような特に屋外に献灯する提灯において、長時間太陽光などに暴露されても火袋の劣化を抑制することができる提灯のフードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では提灯の上側曲げ輪の周囲に装着し、提灯の上部曲げ輪に嵌める穴部を有する傘状のフード本体からなる提灯のフードを構成した。このフードを提灯に装着すると、提灯の火袋の特に上側肩部が保護される。また、穴部には間欠的に突出片を形成するという手段を用いた。この突出片は、提灯の火袋と上側の曲げ輪の間に嵌め合わせ、フードが容易に脱落しないように機能する。
【0008】
また、傘状のフード本体は、全体が下向きに対して正曲面の屋根面としており、火袋の上側肩部の形状に沿うように構成している。そして、屋根面には同心状に溝を形成しており、雨水などが直線的に滴下することを回避する。
【0009】
さらに、フード本体は、耐紫外線素材を含有する合成樹脂を用いたシート成形品とした。これによって、屋外に献灯する場合でも火袋が紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記の手段を用いたので、特に提灯において強度が弱い部分である火袋の肩部を保護することができる。また、フード本体の素材として耐紫外線素材を含有する合成樹脂とした場合には、屋外において長時間太陽光に暴露した場合でも紫外線による火袋の劣化を抑制できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の提灯のフードを示す平面図。
図2】同、側面図。
図3】同、提灯に装着したところを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に従って説明する。図1は本発明の提灯のフードを示した平面図、図2は側面図である。また、図3は本実施形態のフードを提灯に装着したところを示す側面図である。図中、1は提灯本体を構成する火袋、2は上部曲げ輪、3は下部曲げ輪であり、その他の提灯そのものの具体的な構造は簡略して表現している。4は図1および図2に示した本実施形態のフードであり、上部曲げ輪2の周囲に対して上側から装着している。本発明のフードを適用する提灯の火袋1の形態は、図示したように、少なくとも肩部を有しているものであり、この肩部をフード4によって覆うことを前提としている。
【0013】
フード4の具体的な構成は、全体として傘状のフード本体5と、このフード本体5の中央に設けられた、曲げ輪2に嵌めることができる程度の径を有する穴部6とからなっている。フード本体5は、側面視において下向きに対して正曲面の屋根面7を有し、この屋根面7には雨水などが直線的に滴下しないように適宜同心状に溝8が形成されている。本実施形態では溝8は4つの同心円としているが、その数は特に限定するものではない。また、穴部6は曲げ輪2に合致した径を有する円形でもよいが、さらに好適には図示したように間欠的に突出片9が複数個所に形成される。突出片9は、曲げ輪2の径にある程度の誤差があっても適合できるようにするためであって、火袋1と曲げ輪2の継ぎ目に嵌まり込むように装着することができれば、数ミリ程度の突出で十分である。
【0014】
ところで、フード本体の素材は、雨風に対する暴露を防止することを主目的とするのであれば特に問わず、例えば一般的なシート成形による合成樹脂であっても、さらにはアルミニウムの成形品であってもよい。しかしながら、意匠的な見地からは提灯の意匠を損なわないような透明、もしくは半透明の合成樹脂が好ましい。さらに、提灯が屋外に長時間晒されることによる紫外線からの劣化を軽減するために、耐紫外線の素材を採用することが好ましい。合成樹脂の素材は特に限定しないが、シート成形に適した素材としてA-PETやポリエチレンなど、広く採用することが可能である。
【0015】
本実施形態の提灯のフードは、祭事などにおいて利用するものであり、屋根面7の一部に形成された平面部10に例えば「悪疫退散祈願」などのような文字をエンボスで表現することもある。このような形態は金型に設けておけば成形時に同時に完成することができる。
【0016】
なお、本実施形態の提灯のフードが対象とする提灯は、上記のような名古屋型や九州型のように、火袋の上部に肩部を有するものを前提としており、例えば小田原提灯のような火袋が円筒状のものや屋内において使用するものは構造上で基本的には対象としていないが、積極的に排除するものではない。
【符号の説明】
【0017】
1 火袋
2 上部曲げ輪
4 フード
5 フード本体
6 穴部
7 屋根面
8 溝
9 突出片
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火袋の上側に取り付ける上部曲げ輪に対して前記火袋の肩部が張り出している提灯に装着するフードであって、中央に前記上部曲げ輪に嵌める穴部を有して、前記火袋の肩部を覆う傘状のフード本体からなることを特徴とする提灯のフード。
【請求項2】
穴部は、間欠的に突出片が形成された請求項1記載の提灯のフード。
【請求項3】
傘状のフード本体は、全体が下向きに対して正曲面の屋根面である請求項1または2記載の提灯のフード。
【請求項4】
屋根面には、同心状に溝が形成された請求項3記載の提灯のフード。
【請求項5】
フード本体は、耐紫外線素材を有するシート成形品である請求項1~4のいずれか記載の提灯のフード。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では火袋の上側に取り付ける上部曲げ輪に対して前記火袋の肩部が張り出している提灯に装着するフードであって、中央に前記上部曲げ輪に嵌める穴部を有して、前記火袋の肩部を覆う傘状のフード本体からなる提灯のフードを構成した。このフードを提灯に装着すると、提灯の火袋の特に上側肩部が保護される。また、穴部には間欠的に突出片を形成するという手段を用いた。この突出片は、提灯の火袋と上側の曲げ輪の間に嵌め合わせ、フードが容易に脱落しないように機能する。