(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143644
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 7/17 20060101AFI20220926BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20220926BHJP
B24B 7/16 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
B24B7/17 Z
B24B49/04 Z
B24B7/16 H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044273
(22)【出願日】2021-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116976
【氏名又は名称】旭精機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】大林 栄次
(72)【発明者】
【氏名】高松 淳一
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB75
3C034BB76
3C034BB82
3C034BB84
3C034BB92
3C034CA13
3C034CB01
3C034DD20
3C043BC03
3C043CC04
3C043CC11
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD14
(57)【要約】
【課題】従来の研削装置より製造コストの低い研削装置の提供を目的とする。
【解決手段】本開示の研削装置10は、上記動作を行うための1対の第2モータ52が回転ベース40に固定されていて、それらが固定ベース18に固定されていた従来のものとは異なり、複数のギヤを必要としないので製造コストが抑えられる。また、1対の第2モータ52とコントローラ70とは、スリップリング60で導電接続されているので、回転ベース40の回転が第2モータ52の電力ケーブル52Lによって規制されることもない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向で対向する1対の回転砥石の間にワークを通過させて、前記ワークの上下の端部を研削する研削装置であって、
上下方向と平行な第1回転軸を中心に回転駆動される回転ベースと、
前記回転ベースに含まれ、下側の前記回転砥石の上面と面一の上面を有する回転テーブルと、
前記回転ベースを回転可能に支持する固定ベースと、
前記固定ベースに含まれ、前記回転テーブルを包囲しかつ前記下側の回転砥石の一部を受容する切欠部を有し、前記下側の回転砥石の上面と面一の上面を有する固定テーブルと、
前記回転ベースにおける前記第1回転軸周りの複数位置に支持されて、前記第1回転軸と平行な複数の第2回転軸を中心に回転駆動されると共に、前記中心が前記第1回転軸と前記1対の回転砥石との間に位置したときに外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置される複数のワーク支持テーブルと、
各前記ワーク支持テーブルの外縁部を上下に貫通し、複数の前記ワークの上下方向の中間部分を受容する複数のワーク受容孔と、
前記固定ベースに固定されて前記回転テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有する第1モータと、
前記回転ベースに固定されて前記ワーク支持テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有しない複数の第2モータと、
前記第1モータと前記複数の第2モータとを駆動するコントローラと、
前記回転ベースと前記固定ベースとの間に設けられ、前記コントローラと前記複数の第2モータとの間を導電接続するスリップリングと、を備える研削装置。
【請求項2】
前記複数の第2モータは、交流モータであり、
前記コントローラには、外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置された前記ワーク支持テーブルの前記第2モータの回転速度を制御する速度制御部が備えられている請求項1に記載の研削装置。
【請求項3】
前記複数の第2モータは、交流モータであり、
前記固定テーブルに設けられ、前記1対の回転砥石の間から離れたワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルの外縁部の一部に対向し、前記複数のワーク受容孔からワークを受容する排出口と、
前記排出口を開閉する扉部材と、
前記扉部材を駆動して前記排出口を開状態と閉状態とに切り替える扉用アクチュエータと、
前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルを一定角度ずつ回転させる動作を繰り返して、前記複数のワーク受容孔を一部ずつ前記開状態の前記排出口の上方で停止させるように前記第2モータを制御する位置制御部と、が備えられている請求項1又は2に記載の研削装置。
【請求項4】
前記ワーク支持テーブルと一体回転しかつ前記第2回転軸回りの位置によって形状が異なる被検出回転体と、
前記固定ベースに固定されて、前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルの前記被検出回転体の一部と対向し、その対向する一部が前記被検出回転体に設けられた特定形状部であるか否かを検出する検出スイッチと、を有し、
前記位置制御部は、前記ワーク支持テーブルを、前記検出スイッチの検出結果に基づいて特定される原点位置を基準にして一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返す請求項3に記載の研削装置。
【請求項5】
前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルにおける前記複数のワーク受容孔の1つに上方から対向し、1つずつワークを下方に排出するワーク供給装置を備え、
前記位置制御部は、前記排出口が前記閉状態で、前記ワーク受容孔が1つずつ前記ワーク供給装置の真下に移動して停止するように、前記ワーク支持テーブルを、前記原点位置を基準にして一定角度ずつ回転させて停止する動作を繰り返す請求項4に記載の研削装置。
【請求項6】
前記複数の第2モータは、交流モータであり、
前記1対の回転砥石の間から離れたワーク充填位置に位置する前記ワーク支持テーブルにおける前記複数のワーク受容孔の1つに上方から対向し、1つずつワークを下方に排出するワーク供給装置と、
前記ワーク支持テーブルと一体回転しかつ前記第2回転軸回りの位置によって形状が異なる被検出回転体と、
前記固定ベースに固定されて、前記ワーク充填位置の前記ワーク支持テーブルの前記被検出回転体の一部と対向し、その対向する一部が前記被検出回転体に設けられた特定形状部であるか否かを検出する検出スイッチと、
前記ワーク受容孔が1つずつ前記ワーク供給装置の真下に移動して停止するように、前記ワーク支持テーブルを、前記検出スイッチの検出結果に基づいて特定される原点位置を基準にして一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返す位置制御部と、を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載の研削装置。
【請求項7】
前記第1回転軸を中心軸とする筒形の出力軸部と、前記第1回転軸に対して直交するか又はオフセットする中心軸を有し、前記第1モータのロータが連結される入力軸部とを有する第1減速機と、
前記スリップリングに設けられて前記第1減速機の出力軸部から下方に延長され、外周面に複数の導電リングを有する電路支持スリーブと、
前記スリップリングに設けられて前記複数の導電リングと摺動する複数のブラシと、
前記第1回転軸に沿って延び、前記第1減速機の前記出力軸部と前記回転テーブルとの間を連結するセンターシャフトと、
前記センターシャフトに形成されて、下端部が前記第1減速機の前記力軸部内に連通し、上端部が前記センターシャフトの外側面に開口するケーブル挿通部と、
一端部が前記電路支持スリーブの内側から前記複数の導電リングに接続され、前記第1減速機の前記出力軸部内と前記ケーブル挿通部内とを通過して前記センターシャフトから側方に延び、他端部が前記複数の第2モータに接続される複数の中継ケーブルと、を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、上下方向で対向する1対の回転砥石の間にワークを通過させて、ワークの上下の端部を研削する研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の研削装置として、複数のワーク収容孔を外縁部に備える1対のワーク支持テーブルが回転ベースに支持されたものが知られている。この研削装置では、回転ベースを第1モータで回転させて任意のワーク支持テーブルを1対の回転砥石の間に配置し、そのワーク支持テーブルを第2モータで回転駆動することで、複数のワーク収容孔内のワークが1対の回転砥石の間を通過して研削される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-34253号公報(
図1,2,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の研削装置に対して製造コストの低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、上下方向で対向する1対の回転砥石の間にワークを通過させて、前記ワークの上下の端部を研削する研削装置であって、上下方向と平行な第1回転軸を中心に回転駆動される回転ベースと、前記回転ベースに含まれ、下側の前記回転砥石の上面と面一の上面を有する回転テーブルと、前記回転ベースを回転可能に支持する固定ベースと、前記固定ベースに含まれ、前記回転テーブルを包囲しかつ前記下側の回転砥石の一部を受容する切欠部を有し、前記下側の回転砥石の上面と面一の上面を有する固定テーブルと、前記回転ベースにおける前記第1回転軸周りの複数位置に支持されて、前記第1回転軸と平行な複数の第2回転軸を中心に回転駆動されると共に、前記中心が前記第1回転軸と前記1対の回転砥石との間に位置したときに外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置される複数のワーク支持テーブルと、各前記ワーク支持テーブルの外縁部を上下に貫通し、複数の前記ワークの上下方向の中間部分を受容する複数のワーク受容孔と、前記固定ベースに固定されて前記回転テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有する第1モータと、前記回転ベースに固定されて前記ワーク支持テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有しない複数の第2モータと、前記第1モータと前記複数の第2モータとを駆動するコントローラと、前記回転ベースと前記固定ベースとの間に設けられ、前記コントローラと前記複数の第2モータとの間を導電接続するスリップリングと、を備える研削装置である。
【0006】
請求項2の発明は、前記複数の第2モータは、交流モータであり、前記コントローラには、外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置された前記ワーク支持テーブルの前記第2モータの回転速度を制御する速度制御部が備えられている請求項1に記載の研削装置である。
【0007】
請求項3の発明は、前記複数の第2モータは、交流モータであり、前記固定テーブルに設けられ、前記1対の回転砥石の間から離れたワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルの外縁部の一部に対向し、前記複数のワーク受容孔からワークを受容する排出口と、前記排出口を開閉する扉部材と、前記扉部材を駆動して前記排出口を開状態と閉状態とに切り替える扉用アクチュエータと、前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルを一定角度ずつ回転させる動作を繰り返して、前記複数のワーク受容孔を一部ずつ前記開状態の前記排出口の上方で停止させるように前記第2モータを制御する位置制御部と、が備えられている請求項1又は2に記載の研削装置である。
【0008】
請求項4の発明は、前記ワーク支持テーブルと一体回転しかつ前記第2回転軸回りの位置によって形状が異なる被検出回転体と、前記固定ベースに固定されて、前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルの前記被検出回転体の一部と対向し、その対向する一部が前記被検出回転体に設けられた特定形状部であるか否かを検出する検出スイッチと、を有し、前記位置制御部は、前記ワーク支持テーブルを、前記検出スイッチの検出結果に基づいて特定される原点位置を基準にして一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返す請求項3に記載の研削装置である。
【0009】
請求項5の発明は、前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルにおける前記複数のワーク受容孔の1つに上方から対向し、1つずつワークを下方に排出するワーク供給装置を備え、前記位置制御部は、前記排出口が前記閉状態で、前記ワーク受容孔が1つずつ前記ワーク供給装置の真下に移動して停止するように、前記ワーク支持テーブルを、前記原点位置を基準にして一定角度ずつ回転させて停止する動作を繰り返す請求項4に記載の研削装置である。
【0010】
請求項6の発明は、前記複数の第2モータは、交流モータであり、前記1対の回転砥石の間から離れたワーク充填位置に位置する前記ワーク支持テーブルにおける前記複数のワーク受容孔の1つに上方から対向し、1つずつワークを下方に排出するワーク供給装置と、前記ワーク支持テーブルと一体回転しかつ前記第2回転軸回りの位置によって形状が異なる被検出回転体と、前記固定ベースに固定されて、前記ワーク充填位置の前記ワーク支持テーブルの前記被検出回転体の一部と対向し、その対向する一部が前記被検出回転体に設けられた特定形状部であるか否かを検出する検出スイッチと、前記ワーク受容孔が1つずつ前記ワーク供給装置の真下に移動して停止するように、前記ワーク支持テーブルを、前記検出スイッチの検出結果に基づいて特定される原点位置を基準にして一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返す位置制御部と、を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載の研削装置である。
【0011】
請求項7の発明は、前記第1回転軸を中心軸とする筒形の出力軸部と、前記第1回転軸に対して直交するか又はオフセットする中心軸を有し、前記第1モータのロータが連結される入力軸部とを有する第1減速機と、前記スリップリングに設けられて前記第1減速機の出力軸部から下方に延長され、外周面に複数の導電リングを有する電路支持スリーブと、前記スリップリングに設けられて前記複数の導電リングと摺動する複数のブラシと、前記第1回転軸に沿って延び、前記第1減速機の前記出力軸部と前記回転テーブルとの間を連結するセンターシャフトと、前記センターシャフトに形成されて、下端部が前記第1減速機の前記力軸部内に連通し、上端部が前記センターシャフトの外側面に開口するケーブル挿通部と、一端部が前記電路支持スリーブの内側から前記複数の導電リングに接続され、前記第1減速機の前記出力軸部内と前記ケーブル挿通部内とを通過して前記センターシャフトから側方に延び、他端部が前記複数の第2モータに接続される複数の中継ケーブルと、を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の研削装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の研削装置は、複数のワーク支持テーブルを駆動する複数の第2モータが回転ベースに固定され、それら固定ベースに固定されていた従来のものと異なりギヤを必要としないので、製造コストが抑えられる。また、1対の第2モータとコントローラとはスリップリングで導電接続されているので、回転ベースの回転が第2モータの電力ケーブルによって規制されることもない。しかも、1対の第2モータは回転位置センサを有しないモータであるので導電ライン数が少なく、スリップリングを小型にすることができる。
【0013】
ここで、第2モータは、直流モータでもよいが、請求項2のように交流モータとすることでブラシを有しない分、小型化が図られると共に、第2モータに付与する交流電流の周波数を変更することで回転速度を容易に変更することができ、ワークの研削量の調整が容易になる。また、第2モータは、交流モータであるので、ワーク支持テーブルを任意の角度だけ回転させることもできるし、任意の位置に停止することもできる。これを利用して、請求項3の研削装置では、ワーク支持テーブルを一定角度ずつ回転させる動作を繰り返して、複数のワーク受容孔を一部ずつ開状態の排出口の上方で停止させて研削を終えたワークを回収することができる。
【0014】
また、請求項4の研削装置では、固定ベースに固定された検出スイッチが、ワーク支持テーブルと一体回転する特定形状部に対向したか否かに応じてワーク支持テーブルの回転の原点位置を特定することができる。そして、原点位置を基準にして位置制御部がワーク支持テーブルを一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返すから、位置制御の精度が向上し、排出口へのワークの排出が安定する。
【0015】
請求項5及び6の研削装置では、原点位置を基準にして位置制御部がワーク支持テーブルを一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返し、ワーク支持テーブルの複数のワーク受容孔を1つずつワーク供給装置の真下に移動して停止するので、複数のワーク受容孔に対するワークの充填が安定する。
【0016】
スリップリングは、第1モータに接続される第1減速機の上方に配置されていてもよいが、請求項7の研削装置のように、スリップリングを第1減速機の下方に配置することで、第2モータの旋回領域の内側がスリムになり研削装置の小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1のA-A切断面におけるワーク搬送装置の平断面図
【
図3】
図1のB-B切断面における研削装置の平断面図
【
図6】回転砥石とワーク支持テーブルの一部拡大側断面図
【
図11】コントローラの電気的構成を示すブロック図
【
図12】コントローラの制御的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一実施形態に係る研削装置10を
図1~
図12に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の研削装置10は、研削装置本体11の前面にワーク搬送装置16を備える。
【0019】
研削装置本体11は、縦長筐体構造のメインフレーム12を有し、そのメインフレーム12内の上下方向の中央部分に1対の回転砥石13,14を上下に対向配置して備える。1対の回転砥石13,14は、共に円盤状をなし、それらの回転軸は略同軸上に配置されている。そして、両回転砥石13,14が、1対の砥石用モータ13M,14M(
図11参照)にて例えば、同一方向に同一回転速度で回転駆動されると共に、昇降用モータ13N,14N(
図11参照)にて上下方向の任意の位置に移動可能になっている。これら砥石用モータ13M,14M、昇降用モータ13N,14Nは、サーボモータであって、コントローラ70のサーボアンプ13D,14D,13E,14E(
図11参照)に接続されている。
【0020】
なお、回転砥石13,14は、同一方向に異なる回転速度で回転駆動されてもよいし、互いに逆向きで同一回転速度又は異なる回転速度で回転駆動されてもよい。
【0021】
メインフレーム12の前面における上下方向の中央部分には、前面開口15が形成されて、研削装置本体11の前面のうち前面開口15より下側部分にワーク搬送装置16が取り付けられている。以下、ワーク搬送装置16のうち研削装置本体11側を「後側」、その反対側を「前側」ということとする。
【0022】
ワーク搬送装置16には、メインフレーム12に固定される固定ベース18と、固定ベース18に回転可能に支持される回転ベース40とを有する。固定ベース18には、直方体状のサブフレーム17が含まれている。サブフレーム17の横幅は、メインフレーム12と横幅と略同一になっていて、メインフレーム12の前面における上下方向の途中位置に固定されて地面から浮いている。また、サブフレーム17の前端部には、両側面の下端部から1対の補助脚17K(
図1には一方の補助脚17Kのみが示されている)が垂下されて地面に当接すると共に、メインフレーム12の前面の下端部から傾動防止脚12Kが前方に張り出して地面に当接している。
【0023】
サブフレーム17の平面形状は、
図2に示すように、略正方形をなし、上面が開口している。また、サブフレーム17の上端部の外側面からは、前方と両側方とに複数の張出板19Aが張り出すと共に、サブフレーム17内の四隅で隣合う内側面の上端部の間に複数の連絡板19Bが差し渡されている。そして、それら張出板19A及び連絡板19Bの上に
図3に示した固定テーブル20が重ねて固定されている。
【0024】
固定テーブル20は、複数の扇形プレート20Aを円環状に並べてなり、研削装置本体11側に、回転砥石14との干渉を回避するための円弧状の切欠部20Bを備える。そして、
図6に示すように、切欠部20Bの内面が下側の回転砥石14の外周面に対して僅かな隙間を空けて対向している。また、回転砥石14の上面は、固定テーブル20の上面と面一になるように上下方向の位置を調整されている。
【0025】
なお、固定テーブル20は、円形でなくてもよく、四角形、六角形、八角形等の多角形であってもよい。また、固定テーブル20は、1枚の板で構成されていてもよい。
【0026】
図4に示すように、サブフレーム17の底面の中央部からは支柱25が起立している。支柱25は、例えば角筒状をなして外側面の複数の補強リブ25Lを有する(
図2参照)。また、支柱25の上端部は、複数のベアリング27を上下に並べて備える回転支持部25Jになっている。そして、それらベアリング27を介して回転ベース40が固定ベース18に回転可能かつ上下に移動不能に支持されている。具体的には、回転ベース40に含まれる回転スリーブ28が回転支持部25Jの複数のベアリング27に支持されて、その回転スリーブ28の上面に回転ベース40に含まれる回転フレーム30が固定されている。
【0027】
図5に示すように、回転フレーム30は、ベアリング27の中心軸である第1回転軸J1と直交する方向に延びる筐体構造をなしている。即ち、回転フレーム30は、水平に延びる上側帯形プレート31の両側縁部から1対の側壁29が垂下されて、上側帯形プレート31の両端部に下方から対向する1対の下側帯形プレート32が1対の側壁29の下端に固定された構造をなしている。また、1対の下側帯形プレート32の先端部は、上側帯形プレート31の両端部より第1回転軸J1から離れる位置に配置され、それに対応して1対の側壁29の両端部は、段付き形状をなして下側に突片29Tを有する。そして、
図8に示すように、前述の回転スリーブ28が、上側帯形プレート31の中央部の下面に上面を重ねて固定されている。なお、
図5に示すように、1対の側壁29の中央部には、回転支持部25Jとの干渉を避けるための切り欠き29Aが形成されている。
【0028】
図4に示すように、回転フレーム30の上面は、固定テーブル20より下方に位置し、その回転フレーム30の上面には、回転テーブル21が固定されている。回転テーブル21は、固定テーブル20の内側に僅かな隙間を空けて収まる円板の一部に1対の切欠部21Aを備えた形状をなし、下面に複数の脚部21Kを有する。そして、それら脚部21Kが回転フレーム30の上面に突き当てられた状態に固定されて、固定テーブル20の上面と回転テーブル21の上面とが面一に配置されている。
【0029】
回転テーブル21の1対の切欠部21Aは、上側帯形プレート31の両端部の上方に位置する。また、上側帯形プレート31の両端部には、1対の回転支持部30Jが設けられている。各回転支持部30Jは、前述の回転支持部25Jと同様に、複数のベアリング33Bを上下に並べて備え、それらベアリング33Bにテーブル中心部材33が回転可能かつ上下に移動不能に支持されている。
【0030】
図3に示すように、各ワーク支持テーブル22は、円板状をなしてその中心部をテーブル中心部材33に固定されている。そして、ワーク支持テーブル22は、固定テーブル20及び回転テーブル21に上方から重ねられると共に、固定テーブル20及び回転テーブル21から僅かに浮いた状態になっている。また、ワーク支持テーブル22の回転軸である第2回転軸J2は、回転テーブル21の回転軸である第1回転軸J1と回転砥石13,14の回転軸である第3回転軸J3との間に位置したときに、そのワーク支持テーブル22の外縁部の一部が回転砥石13,14の間に配置される。
【0031】
各ワーク支持テーブル22には、外縁部を上下に貫通する複数のワーク受容孔22Aが備えられている。複数のワーク受容孔22Aは、第2回転軸J2から一定の距離に中心軸を有する断面円形をなし、一定間隔を開けて並んでいる。そして、
図6に示すように、複数のワーク受容孔22Aに複数のコイルばねがワークWとして収容され、それらワークWの上下の両端部がワーク支持テーブル22の上下に突出した状態にされる。その状態で、ワーク支持テーブル22の一部が1対の回転砥石13,14の間に配置されて、そのワーク支持テーブル22が回転することで、複数のワークWが回転砥石13,14の間を通過してそれらの両端部が研削される。
【0032】
なお、回転テーブル21は、固定テーブル20と協働して1対のワーク支持テーブル22の全てのワーク受容孔22Aに対して下方から対向するものであれば、円形で無くてもよい。また、ワーク支持テーブル22も、複数のワーク受容孔22Aを外縁部に備えているものであれば、円形でなくてもよい。また、以下、第3回転軸J3に対して第2回転軸J2が最も近づいたワーク支持テーブル22を「研削実行位置のワーク支持テーブル22」といい、そのワーク支持テーブル22の駆動源である第2モータ52を「研削実行位置の第2モータ52」といい、第3回転軸J3に対して第2回転軸J2が最も離れたワーク支持テーブル22を「待機位置のワーク支持テーブル22」といい、そのワーク支持テーブル22の駆動源である第2モータ52を「待機位置の第2モータ52」という。本実施形態では、この待機位置が、本開示に係る「ワーク排出位置」でありかつ「ワーク充填位置」でもある。
【0033】
図1に示すように、この研削装置10には、ワークWの軸長が規定長さであるか否かを検出するための検長装置99が備えられている。検長装置99は、研削装置本体11のメインフレーム12に固定されたポール99Pに旋回可能に取り付けられ、研削実行位置のワーク支持テーブル22の外縁部に対向配置されて使用される。そして、ワーク受容孔22A内のワークWの上端に検長装置99の下面が接触してワークWが規定長さになっているか否かが検出され、規定長さになっているときに、ワーク支持テーブル22が回転砥石13,14の間から離脱する。なお、検長装置99は、必要に応じて、待機位置のワーク支持テーブル22の外縁部に対向配置することができる。
【0034】
図3に示すように、固定テーブル20のうち研削装置本体11から最も離れた端部には、排出口36が設けられている。そして、待機位置のワーク支持テーブル22の複数のワーク受容孔22Aのうちの一部が排出口36の上方に位置する。また、排出口36には、扉部材37が備えられ、その扉部材37が
図4に示された扉用アクチュエータ38によって前端部を中心に回動されて、排出口36が閉状態と開状態とに切り替わる。これにより、ワークWの研削が完了したワーク支持テーブル22が研削実行位置から待機位置に移動し、排出口36が開状態にされてワーク支持テーブル22が回転すると、研削が完了したワークWが排出口36の下方の回収ボックス36Bに回収される。
【0035】
図1に示すように、待機位置のワーク支持テーブル22の上方には、ワーク供給装置98が備えられている。ワーク供給装置98は、例えば、排出口36からずれた位置で、待機位置のワーク支持テーブル22における1つのワーク受容孔22Aに対して真上から対向するワーク供給口と、ワーク供給口からワークWを一つずつ排出するためのワーク供給用アクチュエータ98A(
図11参照)とを備え、ワーク供給用アクチュエータ98Aが後述するコントローラ70によって駆動制御されるようになっている。
【0036】
図8に示すように、回転ベース40には、第1回転軸J1を中心軸にして上下方向に延びるセンターシャフト39が備えられている。センターシャフト39の上端部は、回転スリーブ28を貫通して回転フレーム30の上側帯形プレート31に固定されている。また、センターシャフト39の下端部は、サブフレーム17の底壁17Bに形成された貫通孔17C内のベアリング17Dに回転可能に支持されている。そして、そのセンターシャフト39の下端部に、第1減速機53を介して第1モータ51が接続されている。
【0037】
第1減速機53は、サブフレーム17の下面に固定される減速機本体53Hに対し、第1回転軸J1を中心に回転する筒状の出力軸部53Bを備えると共に、水平方向と平行な回転軸を中心に回転する入力軸部53Aとを有する。そして、減速機本体53Hに第1モータ51のステータ51Sが固定され、第1モータ51のロータ51Rが、入力軸部53Aに一体回転可能に連結されている。また、第1減速機53の出力軸部53Bの内側に電路支持スリーブ54が嵌合されて一体回転可能に連結され、その電路支持スリーブ54の上端部がセンターシャフト39の下端部に一体回転可能に連結されている。これらにより、上述の通り、センターシャフト39と第1モータ51とが、第1減速機53を介して接続されている。
【0038】
第1モータ51は、ロータ51Rの回転位置を検出する回転位置センサ51E(例えば、レゾルバ、又は、アブソリュートエンコーダ)を備えた例えば三相の誘導型交流モータであり、U相、V相、W相の3相の電力ケーブル51Lと、回転位置センサ51Eの複数の信号ケーブル51Mとがステータ51Sから延びている。また、それら電力ケーブル51Lと信号ケーブル51Mとは、
図11に示したコントローラ70の一般的なサーボアンプ71に接続されている。そして、第1モータ51は、回転位置センサ51Eの検出結果をフィードバックして一般的な制御構成により、回転位置、回転速度、回転加速度が制御される。
【0039】
また、第1モータ51にて、任意のワーク支持テーブル22を研削実行位置に保持することは可能であるが、第1モータ51の負荷軽減のために、回転ベース40と固定ベース18との間には、任意のワーク支持テーブル22を研削実行位置に配置した状態で回転ベース40を固定ベース18に対して回転不能にロックするロック機構が設けられている。そのロック機構には、
図8に示すように、支柱25のうち研削装置本体11とは反対側を向いた側面に取り付けられたロック用アクチュエータ35と、1対の下側帯形プレート32を上下に貫通する位置決孔34Aとが備えられている。そして、第1モータ51により何れかのワーク支持テーブル22が研削実行位置に位置決めされた状態で、ロック用アクチュエータ35のプランジャー35Pが可動範囲の下端位置から上端位置に移動し、位置決孔34Aに凹凸係合して回転ベース40が回転不能にロックされ、プランジャー35Pが可動範囲の下端位置に移動すると回転ベース40のロックが解除される。
【0040】
また、
図4及び
図9に示すように、ワーク支持テーブル22の現在の回転位置を特定するために、サブフレーム17の前側内面の上部には、検出スイッチ41(具体的には、近接スイッチ)が取り付けられている。また、検出スイッチ41に対応して、
図10(A)に示すように、1対のテーブル中心部材33の外周面の一部に特定形状部42が備えられている(なお、特定形状部42を含むテーブル中心部材33が本開示の「被検出回転体」に相当する)。そして、待機位置のワーク支持テーブル22におけるテーブル中心部材33の外周面に検出スイッチ41の検出面が対向し、ワーク支持テーブル22が一回転する間に検出スイッチ41と特定形状部42とが隣接して検出スイッチ41の出力のオン・オフが切り替わる。具体的には、
図10(A)に示すように、特定形状部42は、平面形状が扇状をなしていて、ワーク支持テーブル22と共にテーブル中心部材33が一方に回転して特定形状部42が検出スイッチ41に一側方から接近すると、検出スイッチ41の出力がオフからオンに切り替わり、テーブル中心部材33が一定角を回転する間、オンが維持され、その後、オフに切り替わり、これらに基づいて、後述するようにワーク支持テーブル22の現在の回転位置が特定される。
【0041】
図4に示すように、1対のワーク支持テーブル22の駆動源である1対の第2モータ52は、回転ベース40に取り付けられている。具体的には、回転ベース40に含まれる回転フレーム30における1対の下側帯形プレート32には、前述の1対の回転支持部30Jの同軸下方に、1対の貫通孔32Aが形成されている。そして、それら1対の貫通孔32Aに1対の第2減速機55の減速機本体55Hの上部が嵌合されて回転フレーム30に固定され、それら1対の第2減速機55の出力軸部55Bが1対のテーブル中心部材33に一体回転可能に連結されている。そして、1対の第2モータ52のステータ52Sが1対の減速機本体55Hの下端面に固定され、1対の第2モータ52のロータ52Rが、第2減速機55の入力軸部55Aに一体回転可能に連結されている。即ち、1対の第2モータ52が、第2減速機55を介して1対のワーク支持テーブル22に連結されている。
【0042】
1対の第2モータ52は、ロータ52Rの回転位置を検出する回転位置センサを備えない、所謂、センサレスの三相の誘導型交流モータであり、U相、V相、W相の3相の電力ケーブル52L(
図5参照)のみがステータ52Sから延びている。そして、
図8に示すように、1対の第2モータ52の電力ケーブル52Lが、スリップリング60を介して
図11に示したコントローラ70の1対のモータ駆動装置72に接続されている。
【0043】
そのスリップリング60は、
図7に示すように、前述の電路支持スリーブ54と、その電路支持スリーブ54の下部を包囲するカバー61とを有する。電路支持スリーブ54の下部は、第1減速機53の減速機本体53Hから下方に突出し、その外周面には、複数(例えば、6つ)の導電リング62が間隔を開けて備えられている。そして、それら各導電リング62から延長された図示しない接続片が電路支持スリーブ54を貫通して電路支持スリーブ54内に露出し、それら接続片に接続された複数の中継ケーブル63が電路支持スリーブ54の上方へと延びている。
【0044】
また、センターシャフト39の下部には、電路支持スリーブ54内に連通する連通路39Aが備えられ、その連通路39Aの上端は二股に分かれてセンターシャフト39の側面に1対の側面開口39Bとして開口している。そして、複数の中継ケーブル63が2組に纏められて1対の側面開口39Bから引き出され、
図8に示すように、センターシャフト39の外面に沿って上方に延ばされ、さらには、回転スリーブ28に形成された1対のケーブル挿通孔28Aに通されて1対の下側帯形プレート32の上まで引き延ばされている。そして、それら中継ケーブル63の末端に1対のコネクタ63Cが備えられて、1対の第2モータ52の1対の電力ケーブル52Lの末端の1対のコネクタ52Cに結合されている。
【0045】
また、スリップリング60のカバー61は、第1減速機53の減速機本体53Hに固定され、そのカバー61の内側には、
図7に示すように複数の導電リング62に摺接する複数のブラシ65が備えられている。そして、複数のブラシ65に接続されたケーブルが第2モータ52の電力ケーブル52Lとしてコントローラ70のモータ駆動装置72に接続されている(
図11参照)。即ち、前述したように、1対の第2モータ52は、スリップリング60を介してコントローラ70のモータ駆動装置72に接続されている。
【0046】
図11に示すように、コントローラ70には、CPU79A、ROM79B,RAM79Cを有するメイン制御回路79が備えられている。メイン制御回路79には、研削装置本体11の各サーボモータのサーボアンプ13D,14D,13E,14Eと、ワーク搬送装置16の第1モータ51及び第2モータ52のサーボアンプ71及びモータ駆動装置72とが接続されている。また、モータ駆動装置72には、一般的な三相の誘導型交流モータのサーボアンプと同様に三相交流を生成するインバータ回路72Aが備えられている。さらに、メイン制御回路79には、ロック用アクチュエータ35、扉用アクチュエータ38、ワーク供給用アクチュエータ98Aを駆動するための各駆動回路78A,78B,78Cと検長装置99及び検出スイッチ41も接続されている。
【0047】
CPU79Aが、ROM79Bに記憶されている複数の制御プログラムをマルチタスク処理にて実行することで、コントローラ70は、
図12に示した速度制御部73、位置制御部74、PWM制御部75、砥石制御部76、統括制御部77、反転制御部78等の制御ブロックを有した構成になる。以下、研削装置10が複数のワークWを研削する動作と併せて、
図12に示した制御ブロックについて説明する。
【0048】
研削装置10の停止状態では、固定テーブル20はロック用アクチュエータ35によって回転不能にロックされている。研削装置10が起動されると、統括制御部77は、砥石制御部76に指令を付与して砥石用モータ13M,14Mを一定の回転速度で回転させると共にワーク充填処理を行う。
【0049】
ワーク充填処理では、統括制御部77は待機位置の第2モータ52に係る位置制御部74にワーク充填位置決め指令を付与する。各第2モータ52に係る位置制御部74は、研削装置10の起動直後にそれぞれ初めてワーク充填位置決め指令を受けた場合にのみ以下の基準点特定処理を実行する。
【0050】
基準点特定処理では、位置制御部74は、PWM制御部75に指令を付与して予め定められた低い周波数の三相交流をインバータ回路72Aに生成させて第2モータ52に通電する。すると、一周期分の三相交流が通電される間に、その三相交流の位相と、第2モータ52のロータ52Rの現状の電気角とが一致してロータ52Rが始動し、ロータ52Rの三相交流の周波数に応じた回転速度で回転する。その間に、位置制御部74は、検出スイッチ41の検出信号を取り込む。ここで、検出スイッチ41の検出信号は、
図10(A)に示すように検出スイッチ41に特定形状部42が接近することでターンオンし、
図10(B)に示すように検出スイッチ41から特定形状部42が離れることでターンオフする。位置制御部74は、検出スイッチ41の検出信号に基づいて第2モータ52の回転方向を特定すると共に、ワーク支持テーブル22の第2回転軸J2周りの基準点として、例えば特定形状部42の幅方向の中心位置を特定する。これにより、位置制御部74によるワーク支持テーブル22の位置制御が可能な状態になる。以上をもって基準点特定処理が完了する。
【0051】
基準点特定処理が完了したら、位置制御部74は、回転支持部30Jに予め定められた原点位置(例えば、検出スイッチ41の中心位置)にワーク支持テーブル22の基準点を一致させて停止する。つまり、ワーク支持テーブル22を原点位置に位置決めする。本実施形態の研削装置10では、ワーク支持テーブル22が原点位置に位置決めされると、複数のワーク受容孔22Aのうちの1つがワーク供給装置98のワーク供給口の真下に位置する。そうでない場合には、そのようになる位置までワーク支持テーブル22を回転させて位置決めする。
【0052】
位置制御部74は、このように何れかのワーク受容孔22Aがワーク供給装置98のワーク供給口の真下に位置決めされたワーク供給待ち状態になったら統括制御部77にそのことを通知する。すると、統括制御部77は、ワーク供給用アクチュエータ98Aを駆動してワーク供給装置98から1つのワークWを排出させてワーク受容孔22Aに充填し、次のワーク受容孔22Aを、ワーク供給装置98のワーク供給口の真下に位置決めするように位置制御部74に指令を出す。
【0053】
すると、位置制御部74は、一定角だけワーク支持テーブル22を回転させてワーク供給待ち状態にして統括制御部77にそのことを通知する。以下、この動作を全てのワーク受容孔22AにワークWが充填されるまで繰り返し、統括制御部77は、全てのワーク受容孔22AへのワークWの充填が完了したら位置制御部74に指令を出さなくなり、ワーク充填処理が完了する。
【0054】
ワーク充填処理が完了したら、待機位置の第2モータ52に係る速度制御部73に回転駆動指令を付与すると共に第1モータ51に係る反転制御部78に反転指令を付与する。すると、速度制御部73は、PWM制御部75にてインバータ回路72Aから第2モータ52に付与する三相交流の周波数を徐々に高くして予め定められた一定の周波数に保持する。これにより、ワーク支持テーブル22が一定の回転速度で回転した状態になる。
【0055】
また、反転制御部78は、ロック用アクチュエータ35を駆動して固定テーブル20のロックを解除する。そして、反転制御部78は、第1モータ51の位置制御と速度制御とを行って1対のワーク支持テーブル22の位置を入れ替えてから、ロック用アクチュエータ35にて固定テーブル20をロックさせる。これにより、ワークWを充填された一方のワーク支持テーブル22が回転した状態で研削実行位置に配置され、ワークWが1対の回転砥石13,14の間を通過して研削される。
【0056】
一方のワーク支持テーブル22の複数のワークWが研削されている間に、統括制御部77は、新たに待機位置に配置された第2モータ52に係る位置制御部74に、上記したワーク充填位置決め指令等を付与して、そのワーク支持テーブル22の複数のワーク受容孔22AにもワークWを充填させる。そして、統括制御部77は、検長装置99の検出結果が予め定められた規定長に達したら、待機位置の第2モータ52に係る速度制御部73に回転駆動指令を付与すると共に反転制御部78に反転指令を付与する。そして、統括制御部77は、ワーク排出処理を行ってから前述のワーク充填処理を行う。
【0057】
ワーク排出処理では、統括制御部77は位置制御部74にワーク排出用位置決め指令を付与する。ワーク排出位置決め指令を受けた位置制御部74は、前述の基準点特定処理を実行してから、ワーク支持テーブル22を原点位置に位置決めする。すると、
図3に示すように、ワーク支持テーブル22の全てのワーク受容孔22Aのうち一部複数(例えば、3つ)のワーク受容孔22Aが排出口36の上方に位置する。そうでない場合には、そのような位置までワーク支持テーブル22を回転させて位置決めする。
【0058】
そして、統括制御部77が、扉用アクチュエータ38にて扉部材37を駆動して排出口36を開状態にしてから、位置制御部74にワーク排出指令を付与する。すると、位置制御部74は、予め実測して求めておいたワーク受容孔22AからワークWが抜け落ちるために必要な排出時間の経過を待ってワーク支持テーブル22の停止状態を維持してから、次の一部複数のワーク受容孔22Aが、排出口36の上方に位置するようにワーク支持テーブル22を一定角度回転させて停止する。
【0059】
この動作が繰り返されて複数のワーク受容孔22AからワークWが排出されて回収ボックス36B(
図4参照)に回収される。そして、位置制御部74は、ワーク支持テーブル22を一回転させたらワーク排出処理の完了を統括制御部77に通知する。すると、統括制御部77は、扉用アクチュエータ38にて扉部材37を駆動して排出口36を閉状態に戻して前述のワーク充填処理を行う。そして、統括制御部77は、検長装置99の検出結果が規定長に達したら上述の通り反転制御部78に反転指令を付与等して1対のワーク支持テーブル22を入れ替える。
【0060】
上述の通り本実施形態の研削装置10が動作して複数のワークWの研削を行う。そして、本実施形態の研削装置10は、上記動作を行うための1対の第2モータ52が回転ベース40に固定されていて、それらが固定ベース18に固定されていた従来のものとは異なり、複数のギヤを必要としないので製造コストが抑えられる。また、1対の第2モータ52とコントローラ70とは、スリップリング60で導電接続されているので、回転ベース40の回転が第2モータ52の電力ケーブル52Lによって規制されることもない。また、スリップリング60は、第1モータ51に接続される第1減速機53の上方に配置されていてもよいが、第1減速機53の下方に配置されているので、1対の第2モータ52の旋回領域の内側がスリムになり研削装置10の小型化が図られる。しかも、1対の第2モータ52は、回転位置センサを有しないモータであるので導電ライン数が少なく、スリップリング60自体も小型になる。
【0061】
また、第2モータ52は、直流モータでもよいが、交流モータとすることでブラシを有しない分、小型化が図られると共に、第2モータ52に付与する交流電流の周波数を変更することで回転速度を容易に変更することができ、ワークWの研削量の調整が容易になる。さらに、第2モータ52は、交流モータであるのでワーク支持テーブル22を任意の角度だけ回転させることもできるし、任意の位置にワーク支持テーブル22を停止することもできる。そして、固定ベース18に固定された検出スイッチ41が、ワーク支持テーブル22と一体回転する特定形状部42に対向したか否かに応じてワーク支持テーブル22の回転の原点位置を特定し、その原点位置を基準にしてワーク支持テーブル22を回転させて停止するから位置制御の精度が向上し、ワーク受容孔22Aから排出口36へのワークWの排出や、ワーク受容孔22AへのワークWの充填を安定して行うことができる。
【0062】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の研削装置10は、ギヤを有していないが、1対の第2モータ52が回転ベース40に固定されていれば、ギヤを有していてもよい。なぜなら、本実施形態の研削装置10のように1対の第2モータ52が回転ベース40に固定されていれば、ギヤの数がゼロで無くても従来の研削装置よりギヤの数を減らして製造コストを抑えることができるからである。具体的には、第2減速機55の入力軸部55Aと第2モータ52のロータ52Rとがギヤ連結されていたり、第1減速機53の出力軸部53Bが第1回転軸J1からオフセットした位置に配置されて、その出力軸部53Bと電路支持スリーブ54とがギヤ連結されている構成としてもよい。
【0063】
(2)前記実施形態の研削装置10は、第1モータ51が回転位置センサ51Eを有する一般的な交流モータであるが、第1モータ51も第2モータ52と同様に、回転位置センサを有しない交流モータとしてもよい。
【0064】
(3)第2モータ52は、交流モータであったが、直流モータであってもよい。その場合、第2モータ52への電流値と第2モータ52の回転速度との関係を実測して求めてマップにしておき、そのマップを利用して第2モータ52の回転速度が所望の回転速度になるように第2モータ52への電流を制御すればよい。
【0065】
(4)前記実施形態の検出スイッチ41は、近接スイッチであったが、光学式センサや磁気センサ等であってもよい。また、検出スイッチは、接触型のスイッチであってもよい。
【0066】
(5)前記特定形状部42は、本開示の「被検出回転体」としてのテーブル中心部材33の周方向の1箇所から突出していたが、テーブル中心部材33の周方向の一箇所を陥没させて特定形状部42としてもよい。また、ワーク支持テーブル22と一体回転しかつ周方向の複数位置に複数の凹凸を有する検出補助回転体を設けて検出スイッチ41とは別の補助検出スイッチと対向させてもよい。そして、検出補助回転体の凹凸のどこに補助検出スイッチが対向しているかによって補助検出スイッチの出力が相違するようにしておき、ワーク支持テーブル22が原点位置からどれだけ回転したかを補助検出スイッチの出力によって検出して、それをワーク支持テーブル22の位置制御に利用してもよい。
【0067】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0068】
10 研削装置
13,14 回転砥石
18 固定ベース
20 固定テーブル
20B 切欠部
21 回転テーブル
22 ワーク支持テーブル
22A ワーク受容孔
33 テーブル中心部材(被検出回転体)
35 ロック用アクチュエータ
36 排出口
37 扉部材
38 扉用アクチュエータ
39 センターシャフト
39A 連通路
39B 側面開口
40 回転ベース
41 検出スイッチ
42 特定形状部
51 第1モータ
52 第2モータ
52L 電力ケーブル
53 第1減速機
53A 入力軸部
53B 出力軸部
54 電路支持スリーブ
60 スリップリング
62 導電リング
63 中継ケーブル
65 ブラシ
70 コントローラ
73 速度制御部
74 位置制御部
98 ワーク供給装置
J1 第1回転軸
J2 第2回転軸
W ワーク
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向で対向する1対の回転砥石の間にワークを通過させて、前記ワークの上下の端部を研削する研削装置であって、
上下方向と平行な第1回転軸を中心に回転駆動される回転ベースと、
前記回転ベースに含まれ、下側の前記回転砥石の上面と面一の上面を有する回転テーブルと、
前記回転ベースを回転可能に支持する固定ベースと、
前記固定ベースに含まれ、前記回転テーブルを包囲しかつ前記下側の回転砥石の一部を受容する切欠部を有し、前記下側の回転砥石の上面と面一の上面を有する固定テーブルと、
前記回転ベースにおける前記第1回転軸周りの複数位置に支持されて、前記第1回転軸と平行な複数の第2回転軸を中心に回転駆動されると共に、前記中心が前記第1回転軸と前記1対の回転砥石との間に位置したときに外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置される複数のワーク支持テーブルと、
各前記ワーク支持テーブルの外縁部を上下に貫通し、複数の前記ワークの上下方向の中間部分を受容する複数のワーク受容孔と、
前記固定ベースに固定されて前記回転テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有する第1モータと、
前記回転ベースに固定されて前記ワーク支持テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有しない複数の第2モータと、
前記第1モータと前記複数の第2モータとを駆動するコントローラと、
前記複数の第2モータより下方に配置され、前記回転ベース及び前記固定ベースの一方と他方とに固定されて互いに摺接する複数のブラシと複数の導電リングとを有し、前記コントローラと前記複数の第2モータとの間を導電接続するスリップリングと、を備える研削装置。
【請求項2】
前記複数の第2モータは、交流モータであり、
前記コントローラには、外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置された前記ワーク支持テーブルの前記第2モータの回転速度を制御する速度制御部が備えられている請求項1に記載の研削装置。
【請求項3】
前記複数の第2モータは、交流モータであり、
前記固定テーブルに設けられ、前記1対の回転砥石の間から離れたワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルの外縁部の一部に対向し、前記複数のワーク受容孔からワークを受容する排出口と、
前記排出口を開閉する扉部材と、
前記扉部材を駆動して前記排出口を開状態と閉状態とに切り替える扉用アクチュエータと、
前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルを一定角度ずつ回転させる動作を繰り返して、前記複数のワーク受容孔を一部ずつ前記開状態の前記排出口の上方で停止させるように前記第2モータを制御する位置制御部と、が備えられている請求項1又は2に記載の研削装置。
【請求項4】
前記ワーク支持テーブルと一体回転しかつ前記第2回転軸回りの位置によって形状が異なる被検出回転体と、
前記固定ベースに固定されて、前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルの前記被検出回転体の一部と対向し、その対向する一部が前記被検出回転体に設けられた特定形状部であるか否かを検出する検出スイッチと、を有し、
前記位置制御部は、前記ワーク支持テーブルを、前記検出スイッチの検出結果に基づいて特定される原点位置を基準にして一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返す請求項3に記載の研削装置。
【請求項5】
前記ワーク排出位置の前記ワーク支持テーブルにおける前記複数のワーク受容孔の1つに上方から対向し、1つずつワークを下方に排出するワーク供給装置を備え、
前記位置制御部は、前記排出口が前記閉状態で、前記ワーク受容孔が1つずつ前記ワーク供給装置の真下に移動して停止するように、前記ワーク支持テーブルを、前記原点位置を基準にして一定角度ずつ回転させて停止する動作を繰り返す請求項4に記載の研削装置。
【請求項6】
前記複数の第2モータは、交流モータであり、
前記1対の回転砥石の間から離れたワーク充填位置に位置する前記ワーク支持テーブルにおける前記複数のワーク受容孔の1つに上方から対向し、1つずつワークを下方に排出するワーク供給装置と、
前記ワーク支持テーブルと一体回転しかつ前記第2回転軸回りの位置によって形状が異なる被検出回転体と、
前記固定ベースに固定されて、前記ワーク充填位置の前記ワーク支持テーブルの前記被検出回転体の一部と対向し、その対向する一部が前記被検出回転体に設けられた特定形状部であるか否かを検出する検出スイッチと、
前記ワーク受容孔が1つずつ前記ワーク供給装置の真下に移動して停止するように、前記ワーク支持テーブルを、前記検出スイッチの検出結果に基づいて特定される原点位置を基準にして一定角ずつ回転させて停止する動作を繰り返す位置制御部と、を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載の研削装置。
【請求項7】
前記第1回転軸を中心軸とする筒形の出力軸部と、前記第1回転軸に対して直交するか又はオフセットする中心軸を有し、前記第1モータのロータが連結される入力軸部とを有する第1減速機と、
前記スリップリングに設けられて前記第1減速機の出力軸部から下方に延長され、外周面に前記複数の導電リングを有する電路支持スリーブと、
前記第1回転軸に沿って延び、前記第1減速機の前記出力軸部と前記回転テーブルとの間を連結するセンターシャフトと、
前記センターシャフトに形成されて、下端部が前記第1減速機の前記力軸部内に連通し、上端部が前記センターシャフトの外側面に開口するケーブル挿通部と、
一端部が前記電路支持スリーブの内側から前記複数の導電リングに接続され、前記第1減速機の前記出力軸部内と前記ケーブル挿通部内とを通過して前記センターシャフトから側方に延び、他端部が前記複数の第2モータに接続される複数の中継ケーブルと、を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の研削装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、上下方向で対向する1対の回転砥石の間にワークを通過させて、前記ワークの上下の端部を研削する研削装置であって、上下方向と平行な第1回転軸を中心に回転駆動される回転ベースと、前記回転ベースに含まれ、下側の前記回転砥石の上面と面一の上面を有する回転テーブルと、前記回転ベースを回転可能に支持する固定ベースと、前記固定ベースに含まれ、前記回転テーブルを包囲しかつ前記下側の回転砥石の一部を受容する切欠部を有し、前記下側の回転砥石の上面と面一の上面を有する固定テーブルと、前記回転ベースにおける前記第1回転軸周りの複数位置に支持されて、前記第1回転軸と平行な複数の第2回転軸を中心に回転駆動されると共に、前記中心が前記第1回転軸と前記1対の回転砥石との間に位置したときに外縁部の一部が前記1対の回転砥石の間に配置される複数のワーク支持テーブルと、各前記ワーク支持テーブルの外縁部を上下に貫通し、複数の前記ワークの上下方向の中間部分を受容する複数のワーク受容孔と、前記固定ベースに固定されて前記回転テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有する第1モータと、前記回転ベースに固定されて前記ワーク支持テーブルを回転駆動しかつ回転位置センサを有しない複数の第2モータと、前記第1モータと前記複数の第2モータとを駆動するコントローラと、前記複数の第2モータより下方に配置され、前記回転ベース及び前記固定ベースの一方と他方とに固定されて互いに摺接する複数のブラシと複数の導電リングとを有し、前記コントローラと前記複数の第2モータとの間を導電接続するスリップリングと、を備える研削装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項7の発明は、前記第1回転軸を中心軸とする筒形の出力軸部と、前記第1回転軸に対して直交するか又はオフセットする中心軸を有し、前記第1モータのロータが連結される入力軸部とを有する第1減速機と、前記スリップリングに設けられて前記第1減速機の出力軸部から下方に延長され、外周面に前記複数の導電リングを有する電路支持スリーブと、前記第1回転軸に沿って延び、前記第1減速機の前記出力軸部と前記回転テーブルとの間を連結するセンターシャフトと、前記センターシャフトに形成されて、下端部が前記第1減速機の前記力軸部内に連通し、上端部が前記センターシャフトの外側面に開口するケーブル挿通部と、一端部が前記電路支持スリーブの内側から前記複数の導電リングに接続され、前記第1減速機の前記出力軸部内と前記ケーブル挿通部内とを通過して前記センターシャフトから側方に延び、他端部が前記複数の第2モータに接続される複数の中継ケーブルと、を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の研削装置である。