(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143661
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】基板塗布装置および基板塗布方法
(51)【国際特許分類】
B05C 9/10 20060101AFI20220926BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20220926BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220926BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20220926BHJP
B05C 13/00 20060101ALI20220926BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20220926BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20220926BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20220926BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B05C9/10
B05C5/02
B05C11/10
B05C11/00
B05C13/00
B05D7/00 K
B05D1/26 Z
B05D3/00 C
B05D3/00 D
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044303
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】安陪 裕滋
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
5F131
【Fターム(参考)】
4D075AC02
4D075AC62
4D075AC64
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4F042DH09
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(57)【要約】
【課題】スリットノズルを用いて切欠部を有する基板に処理液を供給する基板塗布装置および基板塗布方法において、処理液が均一に塗布される有効領域を広げ、処理液による処理の生産性を高める。
【解決手段】この発明は、基板の切欠部が移動方向における終端位置に位置した状態のまま、基板に対してスリットノズルが相対的に移動する。これにより、処理液が基板に塗布される。その後で、スリットノズルが基板から相対的に離間する。このとき、終端位置に形成されていた液溜りが切れ、当該液溜りを構成していた処理液の多くは切欠部に残って膜厚不良が発生する。このように膜厚不良の発生箇所は切欠部に限定され、それ以外の領域では処理液を均一に塗布することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液による処理の対象となる有効領域の外側に位置して前記処理の対象とならない非有効領域に切欠部が設けられた、基板に前記処理液を塗布する基板塗布装置であって、
スリット状の吐出口から前記処理液を供給するスリットノズルと、
前記スリットノズルを前記基板に対して相対的に移動させる移動部と、
前記スリットノズルに対する前記基板の姿勢を調整する姿勢調整機構と、
前記基板に向けて前記吐出口から前記処理液を供給しつつ前記吐出口の延設方向と直交する移動方向に前記スリットノズルを前記基板に対して相対的に移動させて塗布処理を行い、前記移動方向における前記基板の終端位置に前記吐出口が到着した後、前記スリットノズルを前記基板から相対的に離間させる塗布制御部と、
前記切欠部の位置情報を取得する切欠位置取得部と、
前記切欠位置取得部により取得された前記位置情報に基づき、前記塗布処理の開始前に、前記姿勢調整機構を制御して前記切欠部を前記終端位置に位置させる姿勢制御部と、
を備えることを特徴とする基板塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板塗布装置であって、
前記塗布処理の間、前記基板を保持する基板保持部を備え、
前記姿勢調整機構は、前記基板の回転中心軸まわりに前記基板を回転自在に保持するハンドを有し、前記ハンドで保持した前記塗布処理を受ける前の前記基板を前記基板保持部に搬送する搬送ロボットを有し、
前記姿勢制御部は、前記基板保持部への前記基板の搬送中に、前記基板と平行な面内で前記ハンドを回転させることで前記切欠部を前記終端位置に位置させる基板塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板塗布装置であって、
前記塗布処理の間、前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板を前記基板保持部に搬送する搬送部と、を備え、
前記姿勢調整機構は、前記塗布処理を受ける前の前記基板を回転自在に保持するステージと、前記ステージを保持された前記基板を回転させる回転部と、前記回転部により前記基板が回転される間に前記切欠部を検出して前記位置情報に関する信号を前記切欠位置取得部に出力する検出部と、を有し、前記検出部による前記切欠部の検出後に前記姿勢制御部からの指令に応じて前記ステージを回転させて前記切欠部を前記終端位置に位置させ、
前記搬送部は、前記姿勢調整機構により調整された姿勢のまま前記基板を前記基板保持部に搬送する基板塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板塗布装置であって、
前記姿勢調整機構は、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板を回転させる回転部と、を備え、
前記姿勢調整機構は、
前記塗布処理の前に、前記姿勢制御部からの指令に応じて前記基板保持部を回転させて前記切欠部を前記終端位置に位置させ、
前記塗布処理の間、前記切欠部を前記終端位置に位置させたまま前記基板を保持する
基板塗布装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板塗布装置であって、
前記基板は半導体ウエハであり、
前記切欠部は前記半導体ウエハに設けられるオリエンテーション・フラットまたはノッチである基板塗布装置。
【請求項6】
処理液による処理の対象となる有効領域の外側に位置して前記処理の対象とならない非有効領域に切欠部が設けられた、基板を、先端部にスリット状の吐出口を有するスリットノズルに対して位置決める第1工程と、
位置決めされた前記基板に向けて前記吐出口から処理液を供給しつつ前記吐出口の延設方向と直交する移動方向に前記スリットノズルを前記基板に対して相対的に移動させる第2工程と、
前記移動方向における前記基板の終端位置に前記吐出口が到着した後、前記スリットノズルを前記基板から相対的に離間させる第3工程と、
前記第2工程を開始するまでに、前記切欠部が前記終端位置に位置するように、前記スリットノズルに対する前記基板の姿勢を調整する第4工程と、
を備えることを特徴とする基板塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置等のFPD用ガラス基板、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、カラーフィルター用基板、記録ディスク用基板、太陽電池用基板、電子ペーパー用基板等の精密電子装置用基板、半導体パッケージ用基板(以下、単に「基板」と称する)にスリットノズルから処理液を供給して塗布する基板塗布技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スリットノズルを基板に対して相対移動させつつスリットノズルから処理液を吐出することで、基板に処理液を塗布する基板塗布装置が知られている。その中でも、塗布対象を矩形形状の基板に限定せず、例えば円形形状の半導体ウエハにも処理液を塗布可能な基板塗布装置が提案されている。その代表的なものとして、キャピラリー方式の基板塗布装置(特許文献1参照)やスリット幅調整方式の基板塗布装置(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-148769号公報
【特許文献2】特開2017-164700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来装置により、例えば半導体ウエハに処理液を塗布する場合、次のような問題が発生する。これらの装置では、基板の上面に沿って移動しているスリットノズルの位置に応じて吐出口から供給される処理液の接液範囲が連続的に変化する。後で説明する
図4に示すように、塗布開始直後から接液範囲は徐々に広がり、基板の中央部に差し掛かったところで最大となる。それを通過すると、接液範囲は徐々に狭まっていく。そして、スリットノズルの移動方向における半導体ウエハの終端位置にスリットノズルが到達した段階で塗布処理が完了し、スリットノズルが基板から離れる。このとき、終端位置では処理液がスリットノズルの吐出口と最後まで接液しており、液溜りが形成されている。この状態でスリットノズルが基板から離れる際に、最後の液溜りが切れ、当該液溜りを構成していた処理液の多くが基板側に残る。その結果、終端位置で膜厚不良が発生し、塗布処理後に実行される処理液による処理において悪影響を及ぼすことがある。
【0005】
その一方で、オリエンテーション・フラットまたはノッチなどの切欠部が終端位置に存在している場合、切欠部およびその周囲で膜厚不良が発生したとしても、上記悪影響は事実上発生しない。というのも、切欠部は非有効領域に形成されているからである。この「非有効領域」とは、処理液による処理の対象となる有効領域の外側に位置し、上記処理の対象とならない領域を意味している。したがって、スリットノズルを用いて切欠部を有する基板に対して処理液を塗布する場合、切欠部の位置を考慮した上で塗布処理を行うのが望ましいが、従来では上記考慮を行うことなく、上記基板塗布装置により塗布処理を行っていた。その結果、有効領域の一部が終端位置に位置したまま塗布処理を行うことで、塗布処理後に実行される処理によって上記有効領域の一部(終端位置となった部位)を良好に処理することができず、有効領域が狭まってしまうと問題があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、スリットノズルを用いて切欠部を有する基板に処理液を供給する基板塗布装置および基板塗布方法において、処理液が均一に塗布される有効領域を広げ、処理液による処理の生産性を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様は、処理液による処理の対象となる有効領域の外側に位置して処理の対象とならない非有効領域に切欠部が設けられた、基板に処理液を塗布する基板塗布装置であって、スリット状の吐出口から処理液を供給するスリットノズルと、スリットノズルを基板に対して相対的に移動させる移動部と、スリットノズルに対する基板の姿勢を調整する姿勢調整機構と、基板に向けて吐出口から処理液を供給しつつ吐出口の延設方向と直交する移動方向にスリットノズルを基板に対して相対的に移動させて塗布処理を行い、移動方向における基板の終端位置に吐出口が到着した後、スリットノズルを基板から相対的に離間させる塗布制御部と、切欠部の位置情報を取得する切欠位置取得部と、切欠位置取得部により取得された位置情報に基づき、塗布処理の開始前に、姿勢調整機構を制御して切欠部を終端位置に位置させる姿勢制御部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の他の態様は、基板塗布方法であって、処理液による処理の対象となる有効領域の外側に位置して処理の対象とならない非有効領域に切欠部が設けられた、基板を、先端部にスリット状の吐出口を有するスリットノズルに対して位置決める第1工程と、位置決めされた基板に向けて吐出口から処理液を供給しつつ吐出口の延設方向と直交する移動方向にスリットノズルを基板に対して相対的に移動させる第2工程と、移動方向における基板の終端位置に吐出口が到着した後、スリットノズルを基板から相対的に離間させる第3工程と、第2工程を開始するまでに、切欠部が終端位置に位置するように、スリットノズルに対する基板の姿勢を調整する第4工程と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、基板の切欠部がスリットノズルの移動方向における終端位置に位置した状態のまま、基板に対してスリットノズルが相対的に移動する。これにより、処理液が基板に塗布される。この塗布処理の終了時点では、スリットノズルは終端位置の上方に位置しているが、その後でスリットノズルが基板から相対的に離間する。このとき、終端位置に形成されていた液溜りが切れ、当該液溜りを構成していた処理液の多くは切欠部に残って膜厚不良が発生する。このように膜厚不良の発生箇所は切欠部に限定され、それ以外の領域では処理液を均一に塗布することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、有効領域に膜厚不良が発生するのを回避し、処理液による処理の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る基板塗布装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【
図2】
図1の基板塗布装置に装備される塗布ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す基板塗布装置の全体動作を示す模式図である。
【
図4】塗布ユニットによる塗布処理の経過状況を示す図である。
【
図5】本発明に係る基板塗布装置の第3実施形態の構成を示す図である。
【
図6】
図5に示す基板塗布装置で実行される動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係る基板塗布装置の第1実施形態の構成を示す図である。また、
図2は
図1の基板塗布装置に装備される塗布ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
図2には、塗布ユニットの各部の方向関係を明確にするためZ方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。この基板塗布装置1は、周縁部の一部に切欠部(本実施形態では、ノッチ)Wnが形成された基板Wの上面に処理液を塗布する装置である。この基板塗布装置1では、切欠部Wnを検出する切欠検出ユニット2と、基板Wの上面に処理液を塗布する塗布ユニット3と、切欠検出ユニット2から塗布ユニット3に基板Wを搬送する搬送ロボット4と、装置全体を制御する制御ユニット5とを有している。
【0013】
切欠検出ユニット2は、装置外部から基板塗布装置1に搬入されてくる未処理の基板Wを保持するステージ21と、当該ステージ21を鉛直方向Zに延びる回転軸RXまわりに回転させるステージ回転機構22と、基板Wの切欠部Wnを検出する切欠検出部23とを有している。ステージ21は略円盤状の外形を有している。ステージ21の上面には、図示しない複数の吸着孔が分散して設けられている。これらの吸着孔は、真空ポンプ等に接続されている。そして、真空ポンプの動作により吸着孔内の雰囲気が排気される。これによって、ステージ21は水平姿勢でステージ21の上面に載置された基板Wを保持する。ステージ回転機構22は、ステージ21の中央下面から鉛直下方に延びる回転シャフト221と、回転シャフト221の下端部に接続されたモータ222とを有している。そして、制御ユニット5からの回転指令に応じたモータ222の作動により、ステージ21およびステージ21に保持された基板Wが鉛直方向Zに平行な回転軸RXまわりに回転される。なお、このステージ回転は基板Wの回転中心軸CXを回転軸RXに一致させた状態で実行される。
【0014】
切欠検出部23は、ステージ21に保持された基板Wよりも高い位置に配置される投光器231と、同基板Wよりも低い位置に配置される受光器232とを有している。この切欠検出部23は、図示を省略する検出移動機構によりステージ21に対して水平移動可能となっている。例えば
図1に示すように、切欠検出部23がステージ21に近接移動されると、投光器231および受光器232が基板Wの周縁部を上下から挟み込むように配置される。そして、この状態で制御ユニット5からの回転指令に応じたモータ作動により基板Wが1回転する間に切欠部Wnが検出される。つまり、切欠部Wnが投光器231および受光器232の間に位置したタイミングで切欠部Wnの位置を示す信号が切欠部Wnの位置情報として制御ユニット5に出力される。
【0015】
搬送ロボット4は切欠検出ユニット2と塗布ユニット3との間に配置されている。搬送ロボット4は、装置筐体に固定されたベース部41と、ベース部41に対し鉛直軸まわりに回動可能に設けられた多関節アーム42と、多関節アーム42の先端に取り付けられたハンド43とを備える。ハンド43はその上面に基板Wを載置して保持することができる構造となっている。このため、多関節アーム42が切欠検出ユニット2に伸びてハンド43でステージ21から基板Wを受取可能となっている。また、搬送ロボット4は基板Wを保持するハンド43を塗布ユニット3に移動させ、塗布ユニット3に受け渡すことが可能となっている。こうした受取動作、搬送動作および受渡動作中に、搬送ロボット4は基板Wの回転中心軸CXまわりにハンド43の向きを変更することで、上方からの平面視における切欠部Wnの位置を任意に調整する。この点については、後で詳述する。なお、このような多関節アームおよび基板保持用のハンドを有する搬送ロボットは公知であるので詳しい説明を省略する。
【0016】
塗布ユニット3は、スリットノズル32を用いて基板Wの上面Wuに処理液を塗布するスリットコータと呼ばれる装置である。処理液としては、例えばレジスト液、カラーフィルター用液、ポリイミド、シリコン、ナノメタルインク、導電性材料を含むスラリー等が含まれる。この塗布ユニット3は、基板Wを水平姿勢で吸着保持可能なステージ31と、ステージ31に保持される基板Wに処理液を吐出するスリットノズル32と、スリットノズル32に処理液を供給する処理液供給部33と、基板Wに対してスリットノズル32をY方向に移動させるノズル移動機構34とを備えている。
【0017】
ステージ31は略直方体の形状を有する花崗岩等の石材で構成されており、その上面(+Z側)のうち(+Y)側には、略水平な平坦面に加工されて基板Wを保持する保持面311を有する。保持面311には図示しない多数の真空吸着口が分散して形成されている。これらの真空吸着口により基板Wが吸着されることで、塗布処理の際に基板Wが所定の位置に略水平に保持される。なお、基板Wの保持態様はこれに限定されるものではなく、例えば機械的に基板Wを保持するように構成してもよい。
【0018】
スリットノズル32はX方向に延びるスリット状の吐出口321(
図1)を有している。このスリットノズル32には、処理液供給部33が接続されている。本実施形態では、基板Wが略円形の半導体ウエハであることから、特許文献1に記載の装置と同様に、キャピラリー方式を採用している。つまり、吐出口321を基板Wの上面Wuに近接させながらノズル移動機構34によりスリットノズル32を基板Wに対して相対的に(-Y)方向側から(+Y)方向側に移動させる。この移動時に吐出口321と基板Wとの間で発生する処理液(処理液のビード)の表面張力により吐出口321から処理液が吐出される。このため、X方向に延設された吐出口321のうち基板Wが対向する部位では処理液が吐出されるのに対し、基板Wが存在しない部位では処理液は吐出されない。このような吐出状態の変化がノズル移動機構34による基板Wに対するスリットノズル32のY方向移動に伴って発生する。こうして基板Wへの処理液の塗布が完了すると、スリットノズル32が基板Wから上方に離れた後で(+Y)方向側から(-Y)方向側に戻る。
【0019】
ノズル移動機構34は、ステージ31の上方をX方向に横断しスリットノズル32を支持するブリッジ構造のノズル支持体341と、ノズル支持体341をY方向に水平移動させるノズル移動部342とを有する。したがって、ノズル支持体341に支持されたスリットノズル32をノズル移動部342によってY方向に水平移動させることができる。
【0020】
ノズル支持体341は、スリットノズル32が固定された固定部材341aと、固定部材341aを支持しつつ昇降させる2つの昇降機構341bとを有している。固定部材341aは、X方向を長手方向とする断面矩形の棒状部材であり、カーボンファイバ補強樹脂等で構成される。2つの昇降機構341bは固定部材341aの長手方向の両端部に連結されており、それぞれACサーボモータおよびボールネジ等を有する。これらの昇降機構341bにより、固定部材341aとスリットノズル32とが一体的に鉛直方向(Z方向)に昇降され、スリットノズル32の吐出口と基板Wの上面Wuとの間隔、すなわち、基板Wの上面Wuに対する吐出口の相対的な高さが調整される。なお、スリットノズル32のZ方向の位置は、リニアエンコーダ(図示省略)により検出することができる。
【0021】
ノズル移動部342は、スリットノズル32の移動をY方向に案内する2本のガイドレール343と、駆動源である2個のリニアモータ344と、スリットノズル32の吐出口の位置を検出するための2個のリニアエンコーダ345とを備えている。
【0022】
2本のガイドレール343は、基板Wの載置範囲をX方向から挟むようにステージ31のX方向の両端に配置されるとともに、基板Wの載置範囲を含むようにY方向に延設されている。そして、2つの昇降機構341bの下端部のそれぞれが2本のガイドレール343に沿って案内されることで、スリットノズル32がステージ31上に保持される基板Wの上方をY方向へ移動する。
【0023】
2個のリニアモータ344のそれぞれは、固定子344aと移動子344bとを有するACコアレスリニアモータである。固定子344aは、ステージ31のX方向の両側面にY方向に沿って設けられている。一方、移動子344bは、昇降機構341bの外側に対して固設されている。リニアモータ344は、これら固定子344aと移動子344bとの間に生じる磁力によって、ノズル移動機構34の駆動源として機能する。
【0024】
また、2個のリニアエンコーダ345のそれぞれは、スケール部345aと検出部345bとを有している。スケール部345aはステージ31に固設されたリニアモータ344の固定子344aの下部にY方向に沿って設けられている。一方、検出部345bは、昇降機構341bに固設されたリニアモータ344の移動子344bのさらに外側に固設され、スケール部345aに対向配置される。リニアエンコーダ345は、スケール部345aと検出部345bとの相対的な位置関係に基づいて、Y方向(ノズル移動方向や相対移動方向に相当)におけるスリットノズル32の吐出口の位置を検出する。
【0025】
上記のように構成された切欠検出ユニット2、塗布ユニット3および搬送ロボット4を制御するために、制御ユニット5が設けられている。この制御ユニット5は、
図1に示すように、各種演算処理を行う演算部51(例えば、CPUなど)、基本プログラムおよび各種情報を記憶する記憶部52(例えば、ROMやRAMなど)をバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。バスラインはさらに塗布プログラムなどの記憶を行う固定ディスク53(例えば、ハードディスクドライブなど)と、各種情報を表示する表示部54(例えばディスプレイなど)、操作者からの入力を受け付ける入力部55(例えば、キーボードおよびマウスなど)が、適宜、インターフェイス(I/F)を介する等して接続される。なお、例えば表示部54と入力部55との機能が一体となったタッチパネルディスプレイなどを用いても良い。
【0026】
制御ユニット5では、予め固定ディスク53に記憶されている塗布プログラムが記憶部52(例えば、RAMなど)にコピーされるとともに演算部51が記憶部52の塗布プログラムに従って演算処理を実行することにより、切欠検出ユニット2からの切欠位置情報の取得、搬送ロボット4による基板Wの姿勢制御および塗布ユニット3による処理液の塗布を実行する。このように、制御ユニット5の演算部51は、本発明の「切欠位置取得部」、「姿勢制御部」および「塗布制御部」として機能し、装置各部を制御して次に説明する動作を実行する。
【0027】
図3は
図1に示す基板塗布装置の全体動作を示す模式図であり、
図4は塗布ユニットによる塗布処理の経過状況を示す図である。各図の上段に上方から見た平面図が図示される一方、下段に側面図が図示されている。基板塗布装置1による処理は、ステージ21への塗布対象基板Wのローディングにより開始される。すなわち、基板Wの回転中心軸CXをステージ21の回転軸RXと一致させた状態で基板Wが切欠検出ユニット2のステージ21に載置されると、真空ポンプ(図示省略)の動作により当該基板Wが上面Wuを上方に向けた、いわゆるフェースアップ姿勢でステージ21に保持される。なお、このローディング処理を行っている間、切欠検出部23はステージ21から離れた退避位置に位置している。これによって、搬入されてくる基板Wと切欠検出部23との干渉が回避される。
【0028】
ローディング処理の完了後に、切欠検出部23はステージ21の近傍に移動し、
図3の(a)欄に示すように、検出位置に位置決めされる。これにより、投光器231および受光器232が基板Wの周縁部を上下から挟み込むように配置される。それに続いて、ステージ回転機構22がステージ21の回転を開始する。そして、基板Wが1回転するまでに、切欠検出部23が切欠部Wnを検出する。つまり、切欠部Wnが投光器231および受光器232の間に位置したタイミングで切欠部Wnの位置を示す信号が切欠部Wnの位置情報(切欠位置情報)として制御ユニット5に出力される。また、ステージ21が1周以上回転した後で、当該回転が停止されるとともに、切欠検出部23がステージ21から退避する。
【0029】
一方、この信号を受け取った制御ユニット5の演算部51は、回転軸RXを回転中心とする回転方向Rにおける切欠部Wnの位置を取得する。これにより基板Wの切欠部Wnが向いている方向を正確には把握することができる。例えば同図の(a)欄では、切欠部Wnがスリットノズル32の移動方向Yにおいて(-Y)方向側(後で説明するように塗布の開始側)に位置した姿勢でステージ21に保持されていることを演算部51は把握する。
【0030】
こうして切欠位置情報の取得が完了すると、搬送ロボット4が多関節アーム42を切欠検出ユニット2のステージ21に伸ばしてハンド43で基板Wを受け取る。それに続いて、同図の(b)欄に示すように、搬送ロボット4は多関節アーム42をベース部41の上方を経由して塗布ユニット3のステージ31に伸ばして基板Wを支持しているハンド43をステージ31の上方に位置させる。すなわち、搬送ロボット4による基板Wの搬送が実行される。このとき、
図3に示す例では、演算部51は、ステージ21の上方位置からステージ31の上方位置にハンド43を移動させる間に、ハンド43の向きが(+Y)方向から(-Y)方向に変わるように、搬送ロボット4を制御する。これにより、切欠部Wnが(+Y)方向に位置するように、基板Wの姿勢が調整される(第4工程)。そして、この状態でステージ31の中央部からリフトピン(図示省略)が上昇して基板Wの下面を支持する。これに続いて、ハンド43が(+Y)方向に後退する。これにより、ハンド43からリフトピンへの基板Wの受渡しが行われる。その後で、リフトピンがステージ31の内部に下降して基板Wがステージ31に載置されるとともに、図示を省略する吸着機構により塗布ユニット3のステージ31に保持される。
【0031】
塗布ユニット3では、スリットノズル32が塗布処理に適した位置まで移動され、
図4の(a)欄に示すように塗布前位置にスリットノズル32が位置決めされる(第1工程)。そして、スリットノズル32が(+Y)方向に移動しながら処理液供給部33から供給される処理液を吐出口321から吐出して処理液を基板Wの上面Wuに塗布する。すなわち、本実施形態では、上記したように塗布処理の前に基板Wの姿勢が調整され、切欠部Wnはスリットノズル32の移動方向Y、つまり(+Y)方向において基板Wの終端位置Peに位置している。このような基板姿勢のまま、
図4の(b)欄に示すように、基板Wの回転中心軸CXに対して切欠部Wnの反対側の周縁部と吐出口321との間で発生する処理液(処理液のビード)の表面張力により吐出口321から処理液が吐出される。そして、スリットノズル32の(+Y)方向の移動に伴って処理液の吐出幅(接液範囲)は徐々に広がる(第2工程)。そして、スリットノズル32が基板Wの中央部に差し掛かった時点で最大となる(同図の(d)欄参照)。なお、同図では、処理液が塗布された領域をハッチングにより模式的に示している。
【0032】
スリットノズル32が基板Wの中央部を通過し、さらに(+Y)方向に移動すると、処理液の吐出幅は徐々に狭まり、切欠部Wnで処理液の最後の塗布が行われる。このように、切欠部Wnが基板Wの終端位置Peに位置しており、当該終端位置Peの上方にスリットノズル32が到着した後、処理液の供給を停止するとともに、同図の(f)欄に示すように、スリットノズル32が基板Wから(+Y)方向に離れて塗布処理を完了する(第3工程)。このとき、終端位置Peに形成されていた液溜りが切れ、当該液溜りを構成していた処理液の多くが基板側、つまり切欠部Wnに残り、膜厚不良が発生する(同図の(f)欄中の太線部分参照)。ただし、切欠部Wnは、いわゆる非有効領域である。このように塗布処理の最終段階で発生する膜厚不良個所は基板Wの非有効領域に限定される。したがって、基板Wのうち切欠部Wn以外の領域を有効領域とし、当該有効領域において均一に処理液を塗布することができる。換言すると、上記限定により、基板Wのうちデバイスなどを作り込むことができる、いわゆる面取りエリア(有効領域)を拡大することができる。
【0033】
上記実施形態では、ノズル移動機構34が本発明の「移動部」の一例に相当している。搬送ロボット4が本発明の「姿勢調整機構」の一例に相当している。X方向およびY方向がそれぞれ本発明の「延設方向」および「移動方向」に相当するとともに、XY平面内が本発明の「基板と平行な面内」に相当している。ステージ31が本発明の「基板保持部」の一例に相当している。
【0034】
ところで、上記第1実施形態では、切欠部Wnの位置情報を取得する工程を切欠検出ユニット2で行う一方、その位置情報に基づいて切欠部Wnが終端位置Peに位置するように基板Wの姿勢を調整する工程を搬送ロボット4で行っている。しかしながら、上記した2つの工程を切欠検出ユニット2で行ってもよい(第2実施形態)。つまり、切欠検出ユニット2は、第1実施形態と同様にして切欠部Wnを検出するのみならず、それに続いてステージ21を回転方向Rに回転させて切欠部Wnが終端位置Peに位置するように基板Wの姿勢を調整してもよい。この第2実施形態では、ステージ回転機構22が本発明の「回転部」として機能している。また、第2実施形態においては、搬送ロボット4は切欠検出ユニット2で調整された姿勢のまま当該基板Wを塗布ユニット3のステージ31に向けて搬送する。このように第2実施形態では、搬送ロボット4が本発明の「搬送部」として機能する。ただし、搬送中に基板Wの姿勢を変更しないため、搬送ロボット4の代わりに、ローラ搬送方式やシャトル方式の搬送機構を本発明の「搬送部」として用いてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、切欠検出および姿勢調整を、塗布ユニット3以外のユニットで実行しているが、塗布ユニット3において切欠検出、姿勢調整および塗布処理を一括して行ってもよい(第3実施形態)。
【0036】
図5は本発明に係る基板塗布装置の第3実施形態の構成を示す図である。第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、ステージ31の代わりに第1実施形態のスピンチャック機構が採用されている点と、第1実施形態の切欠検出部が塗布ユニット3に装備されている点と、上記構成に伴い切欠検出ユニット2および搬送ロボット4が削除されている点とであり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。したがって、以下においては、相違点を中心に説明しつつ、同一構成については同一符号を付して構成説明を省略する。
【0037】
第3実施形態に係る基板塗布装置1では、基板Wを保持する基板保持部としてステージ35が設けられている。このステージ35は、第1実施形態のステージ21と同様に構成されており、基板Wの上面Wuを上方に向けた状態で保持可能となっている。このステージ35に対してステージ回転機構36が接続されている。ステージ回転機構36は、ステージ35の中央下面から鉛直下方に延びる回転シャフト361と、回転シャフト361の下端部に接続されたモータ362とを有している。そして、制御ユニット5からの回転指令に応じたモータ362の作動により、ステージ35およびステージ35に保持された基板Wが鉛直方向Zに平行な回転軸RXまわりに回転される。
【0038】
切欠検出部37は、ステージ35に保持された基板Wよりも高い位置に配置される投光器371と、同基板Wよりも低い位置に配置される受光器372とを有している。この切欠検出部37は、図示を省略する検出移動機構によりステージ35に対して水平移動可能となっている。例えば
図5に示すように、切欠検出部37がステージ35に近接移動されると、投光器371および受光器372が基板Wの周縁部を上下から挟み込むように配置される。そして、この状態で制御ユニット5からの回転指令に応じたモータ作動により基板Wが1回転する間に切欠部Wnが検出される。つまり、切欠部Wnが投光器371および受光器372の間に位置したタイミングで切欠部Wnの位置を示す信号が切欠部Wnの位置情報として制御ユニット5に出力される。
【0039】
次に、
図6を参照しつつ、第3実施形態における切欠検出、姿勢調整および塗布処理について説明する。
図6は
図5に示す基板塗布装置で実行される動作を模式的に示す図である。なお、同図の上段に上方から見た平面図が図示される一方、下段に側面図が図示されている。
【0040】
第3実施形態では、基板塗布装置1による処理は、ステージ35への塗布対象基板Wのローディングにより開始される。すなわち、基板Wの回転中心軸CXをステージ21の回転軸RXと一致させた状態で基板Wがステージ35に載置されると、真空ポンプ(図示省略)が動作することで当該基板Wが上面Wuを上方に向けた、いわゆるフェースアップ姿勢でステージ35に保持される。なお、このローディング処理を行っている間、スリットノズル32および切欠検出部37はステージ35から離れた退避位置に位置している。これによって、搬入されてくる基板Wと切欠検出部37との干渉が回避される。
【0041】
ローディング処理の完了後に、切欠検出部37はステージ35の近傍に移動し、同図の(a)欄に示すように、検出位置に位置決めされる。これにより、投光器371および受光器372が基板Wの周縁部を上下から挟み込むように配置される。それに続いて、ステージ回転機構36がステージ35の回転を開始する。そして、基板Wが1回転するまでに、切欠検出部37が切欠部Wnを検出する。つまり、切欠部Wnが投光器371および受光器372の間に位置したタイミングで切欠部Wnの位置を示す信号が切欠部Wnの位置情報(切欠位置情報)として制御ユニット5に出力される。また、切欠部Wnの検出後に、切欠検出部37がステージ35から退避する。
【0042】
一方、この信号を受け取った制御ユニット5の演算部51は、回転軸RXを回転中心とする回転方向Rにおける切欠部Wnの位置を取得する。これにより基板Wの切欠部Wnが向いている方向を正確には把握することができる。例えば同図の(a)欄では、切欠部Wnの検出のために基板Wを1周以上回転させた後で回転停止した状態の一例を示している。そして、切欠検出部37からの信号に基づき演算部51は、切欠部Wnが基板Wの回転方向において終端位置Peからずれた位置でステージ35に保持されていることを把握する。
【0043】
こうして切欠位置情報の取得が完了すると、演算部51は、切欠部Wnが終端位置Peからずれている量に相当する角度だけ回転させる旨の回転指令をステージ回転機構36に与える。この回転指令を受けてモータ362が作動し、ステージ35を回転軸RXまわりに回転させる。これにより、同図の(b)欄に示すように、切欠部Wnが終端位置Peに位置するように、基板Wの姿勢が調整される(第4工程)。なお、本実施形態では、切欠検出部37による切欠部Wnの検出位置を終端位置Peと一致させているため、切欠部Wnの検出と同時に基板Wの回転を停止させてもよい。この場合、切欠検出と姿勢調整とを一括して行うことができる。
【0044】
こうして姿勢調整が完了すると、ステージ35の回転が停止され、切欠部Wnを終端位置Peに位置させたまま、スリットノズル32がステージ35の(-Y)方向側の待機位置から塗布処理に適した位置まで移動される。こうして、塗布前位置にスリットノズル32が位置決めされる(第1工程)。そして、第1実施形態と同様に、スリットノズル32が(+Y)方向に移動しながら処理液供給部33から供給される処理液を吐出口321から吐出して処理液を基板Wの上面Wuに塗布する(同図の(c)参照)。また、切欠部Wnで処理液の最後の塗布を行うのに続いて、処理液の供給停止とともにスリットノズル32が基板Wから(+Y)方向に離れて塗布処理を完了する(第3工程)。このとき、終端位置Peに形成されていた液溜りが切れ、当該液溜りを構成していた処理液の多くが基板側、つまり切欠部Wnに残り、膜厚不良が発生する(
図4の(f)欄中の太線部分参照)。しかしながら、切欠部Wnは、いわゆる非有効領域であり、基板Wのうち切欠部Wn以外の領域を有効領域とし、当該有効領域において均一に処理液を塗布することができる。このように、第3実施形態は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0045】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えばノッチが形成された半導体ウエハに対して本発明を適用しているが、ノッチ以外の切欠部、例えばオリエンテーション・フラットが形成された基板に対しても本発明を適用することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、キャピラリー方式で基板Wに処理液を塗布しているが、その他の方式、例えば特許文献2に記載された方式で基板Wに処理液を塗布する基板塗布技術に対しても本発明を適用することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、基板Wを固定しつつ、スリットノズル32を移動方向Yに移動させながら処理液の塗布を行っているが、塗布態様はこれに限定されない。例えばスリットノズル32を固定させつつ基板Wを移動させてもよい。また、スリットノズル32および基板Wの両方を移動させて処理液を塗布してもよい。要は、基板Wに対してスリットノズル32を相対的に移動させて塗布処理を行う基板塗布技術全般に本発明を適用することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、スリットノズル32が終端位置Peに到達した時点で、処理液の供給停止と基板Wからのスリットノズル32の離間による液切りとを同時に行っているが、液切りの直前で処理液の供給停止を実行してもよい。すなわち、終端位置Peの近傍に形成される液溜りを利用して終端位置Peへの処理液の供給を行ってもよい。この場合、終端位置Peでの処理液の残留量を抑制することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、切欠検出部23、37における切欠部Wnの検出方式は、上記透過方式に限定されるものでなく、任意であり、例えば反射方式で切欠部Wnを検出してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、切欠部Wnを切欠検出部23、37で検出し、その検出結果を切欠位置情報として制御ユニット5に送っているが、これ以外の方法で制御ユニット5が切欠位置情報を取得してもよい。例えば基板塗布装置1以外の外部装置により既に切欠位置情報が既に取得されている場合、制御ユニット5が通信回線などを経由して切欠位置情報を外部装置から受け取ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、非有効領域に切欠部が形成された基板に対してスリットノズルから処理液を供給して塗布する基板塗布技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…基板塗布装置
2…切欠検出ユニット
3…塗布ユニット
4…搬送ロボット(姿勢調整機構)
5…制御ユニット(切欠位置取得部、姿勢制御部、塗布制御部)
21…ステージ
22,36…ステージ回転機構(回転部)
23,37…切欠検出部
32…スリットノズル
34…ノズル移動機構(移動部)
51…演算部(切欠位置取得部、姿勢制御部、塗布制御部)
321…(スリットノズルの)吐出口
CX…回転中心軸
Pe…終端位置
RX…回転軸
W…基板
Wn…(基板の)切欠部
Y…移動方向