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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143663
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】圧送配管
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20220926BHJP
   E21D 11/10 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E04G21/04
E21D11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044305
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】紺野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴士
(72)【発明者】
【氏名】加藤 優志
【テーマコード(参考)】
2D155
2E172
【Fターム(参考)】
2D155KC03
2E172CA31
2E172CA33
2E172CA41
2E172CA58
2E172CA61
(57)【要約】
【課題】 狭小な設置スペースでコンクリートの圧送試験を行うことが可能であり、容易に保守管理作業等を行うことが可能となるコンクリートの圧送配管を提供する。
【解決手段】 2体以上である複数体の圧送部(下側圧送部10及び上側圧送部20)を備え、圧送部は鉛直方向に並設され、鉛直方向に隣接する圧送部同士が接続されており、各圧送部は、水平方向に並列配置される複数本の直線管11,21と、隣接する直線11,21管の一方の端部同士を接続する複数本の連結管12,22とから構成されており、つづら折り状に形成されている圧送配管Hとした。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に並設されている、2体以上である複数体の圧送部を備え、
前記鉛直方向に隣接する前記圧送部同士が接続されているコンクリ―トの圧送配管であって、
前記各圧送部は、水平方向に設けられる渦巻部又は複数個所の屈曲部を備えていることを特徴とする圧送配管。
【請求項2】
鉛直方向に並設されている、2体以上である複数体の圧送部を備え、
前記鉛直方向に隣接する前記圧送部同士が接続されているコンクリ―トの圧送配管であって、
前記各圧送部は、水平方向に並列配置される複数本の直線管と、隣接する前記直線管の一方の端部同士を接続する複数本の連結管とから構成されており、つづら折り状に形成されていることを特徴とする圧送配管。
【請求項3】
前記圧送部を構成する各直線管は、
前記鉛直方向に隣接する各圧送部を構成する各直線管が、平面視において、互いに重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧送配管。
【請求項4】
複数本の前記直線管のうち、コンクリートの送出口とされる直線管の端部と、
複数本の前記直線管のうち、コンクリートの吐出口とされる直線管の端部とが、平行に配置されており、
コンクリートの送出口とされる前記直線管の端部とコンクリートの吐出口とされる前記直線管の端部が、同一側に配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の圧送配管。
【請求項5】
前記鉛直方向に隣接する前記圧送部同士を接続する接続部を備え、
前記接続部は、複数本のベンド管と複数本の接続直線管とから構成されるとともに、一定勾配となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の圧送配管。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置構造に特徴を有するコンクリートを圧送するための圧送配管に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、トンネル工事等の土木分野における大規模構造物の構築時において、工事を実施する前に、フレッシュコンクリート(以下、「生コンクリート」という。)を長距離で水平圧送する試験圧送が実施されてきた。また、上記土木分野のみならず、建築工事においても、工事条件によって長距離の水平圧送が想定される場合には、試験圧送が実施されてきた。
試験圧送は、実際の工事現場において配管を並べて実施される場合が多い。しかし、トンネル工事においてまだ掘削作業が終了していない場合など、現地での実際の工事で実施する圧送距離での試験が困難な場合も存在する。このような場合には、別途試験場所を確保し、実際の工事を模擬した試験圧送が実施されてきた。
【0003】
試験圧送により、生コンクリートの圧送性評価(以下、「圧送性評価」という。)を行うにあたり、評価指標の一つとして、圧送時の水平配管1mあたりの管内圧力損失(配管内の圧力損失)を把握する必要がある。
上記管内圧力損失は、調合(配合)、生コンクリートの流動性及び配管径等の種々の要因に基づいて変化するが、特に軽量コンクリートの場合は、生コンクリートに与えられる圧力により、軽量骨材が吸水し、流動性が著しく低下することが一般的に知られている。さらに、軽量コンクリートに限らず、生コンクリートが想定外の高圧力を受けた場合の管内圧力損失は、旧来の各種施工指針及びガイドライン等に示されるものとは大きく乖離する可能性がある。したがって、前例のない長距離の水平圧送を行う場合には、施工時の最大圧送圧力を試験圧送で再現して管内圧力損失を把握する必要があり、各種施工指針等においてもその旨が定められている。
【0004】
また、圧送性評価の他の評価指標として、圧送前後の生コンクリートの流動性(例えばスランプやスランプフロー等)の変化、について検討することも、現場施工時の課題を抽出するために重要である。特に、軽量コンクリートは、高い圧力を受けた場合に流動性が大きく低下するため、施工時に想定される最大圧力を試験圧送で再現し、各種試験により検証する必要がある。
なお、上記説明は、主として軽量コンクリートについての記述であるが、普通強度コンクリート及び高強度コンクリート等についても、従来と比較して高圧力を受けた場合における圧送性評価については未解明な部分が多く、試験圧送で最大圧力を再現する必要がある。
従来、このような試験圧送は、平面的に水平配置されている圧送配管(以下、「水平管」という。)を用いて行なわれていた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】寺内利恵子、早川光敬、陣内浩、黒岩秀介、超高強度コンクリートのポンプ圧送性に関する基礎的研究、日本建築学会構造系論文集、第622号、第25頁~第31頁、2007年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、コンパクトな都市の形成を目的とし、都市交通を地下に集約する工事が増加している。地下にトンネルを構築する場合、工事期間や費用を抑えるために、可能な限り断面を小さくする計画となる。このような場合、アジテータトラックでは走行困難な断面となり、長距離ポンプ圧送によりコンクリート施工を実施することとなる。さらに、近年では工事規模が拡大し、1500m以上の超長距離ポンプ圧送が要求されている。このような場合、事前に試験圧送を実施するためには、現地での検証は困難であるため、別途試験を実施する場所を用意する必要がある。しかし、1500m以上の圧送試験を可能とする場所という条件を満たすことは難しく、満たすことができる場合でも相当の費用がかかるという問題があった。
さらに、水平管の設置状況あるいは生コンクリートの性状によっては、試験圧送時において、当該水平管が閉塞する等の不具合が生じることがある。その際、水平管が広大な設置スペースに設置されていた場合には、閉塞箇所の特定が難しく、当該閉塞箇所の特定後における閉塞したコンクリートの処理及び運搬等の対応作業も非常に煩雑となっていた。
上記問題点は、圧送距離が長くなるほど顕著になってしまう。
【0007】
本発明は、上記各問題点を解決するためになされたものであり、狭小な設置スペースで生コンクリートの圧送試験を行うことが可能であり、容易に保守管理作業等を行うことが可能となるコンクリートの圧送配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために用いられる本発明の圧送配管(以下、「本圧送配管」という場合がある。)は、鉛直方向に並設されている、2体以上である複数体の圧送部を備え、上記鉛直方向に隣接する上記圧送部同士が連通するように接続されているコンクリ―トの圧送配管であって、上記各圧送部は、水平方向に設けられる渦巻部又は複数個所の屈曲部を備えていることを特徴としている。
ここで、渦巻部及び複数個所の屈曲部は、管路長を確保するために設けられるものであり、渦巻部は円形を基準とした場合の他、四角形等の多角形を基準とした場合であってもよい。また、屈曲部は、ジグザグ状、波形状等、適宜な形状とすることができる。さらに、渦巻部又は屈曲部は、部分的に設けられているものであってもよい。
【0009】
また、本圧送配管は、鉛直方向に並設されている、2体以上である複数体の圧送部を備え、上記鉛直方向に隣接する上記圧送部同士が連通するように接続されているコンクリ―トの圧送配管であって、上記各圧送部は、水平方向に並列配置される複数本の直線管と、隣接する上記直線管の一方の端部同士を接続する複数本の連結管とから構成されており、つづら折り状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
本圧送配管によれば、複数体の圧送部を備える構成とすることにより、管路長を確保し、平面視における専有面積を小さくすることが可能となるため、設置スペースを小さくすることができる。
【0011】
また、本圧送配管において、上記鉛直方向に隣接する上記圧送部同士を接続する接続部を備え、上記接続部は、複数本のベンド管と複数本の接続直線管とから構成されるとともに、所定角度である一定勾配となるように形成するものであってもよい。
【0012】
本圧送配管によれば、複数本のベンド管と複数本の接続直線管とを用いて、一定勾配である接続部を構成することが可能となるため、各圧送部を接続するために、特殊形状である配管や煩雑な取り付け作業を行うことなく、複数体の圧送部を鉛直方向に配設することができる。
【0013】
また、本圧送配管において、上記圧送部を構成する各直線管は、上記鉛直方向に隣接する各圧送部を構成する各直線管が、平面視において、互いに重ならない位置に配置されているものであってもよい。
ここで、互いに重ならない位置とは、平面視において、正射影が重ならない(交差しない)位置関係であることを意味している。
【0014】
本圧送配管によれば、各圧送部における各直線管は、平面視において、互いに重ならない位置に配置されているため、管内の所定箇所においてコンクリートの閉塞等の不具合が発生した場合であっても、鉛直方向の直線管が障害になることなく、対応作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、本圧送配管において、複数本の上記直線管のうち、コンクリートの送出口とされる直線管の端部と、複数本の上記直線管のうち、コンクリートの吐出口とされる直線管の端部とが、平行に配置されており、コンクリートの送出口とされる上記直線管の端部とコンクリートの吐出口とされる上記直線管の端部が、同一側に配置されていることとするものであってもよい。
なお、上記「平行」とは、厳密に平行であることを意味するのではなく、略平行上であることを意味するものである。
【0016】
生コンクリートの圧送性評価試験は、生コンクリートの圧送前と圧送後のスランプ、スランプフロー及び空気量等の値を比較することにより行うことになる。
本圧送配管は、直線管の始端部であるコンクリートの送出口と、直線管の終端部である他の直線管のコンクリートの吐出口が同一側に配置されているため、圧送性評価試験を同一箇所で行うことが可能となり、機材の集約化を図ることが可能となる等、利便性に資することとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、狭小な設置スペースでコンクリートの圧送試験を行うことが可能であり、容易に保守管理作業等を行うことが可能となる試験用のコンクリートの圧送配管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の圧送配管を模式的に示す平面図である。
図2図1におけるX-X断面図である。
図3図1におけるA部の拡大図である。
図4図1におけるB部の拡大図である。
図5】ブラケットを示す斜視図である。
図6図1におけるC部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本圧送配管Hの実施形態の一例について詳細に説明する。図面に基づく説明では、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、図面の表記の都合上、図1(本圧送配管を模式的に示す平面図)において、下記下側圧送部10を点線、上側圧送部20を実線、接続部30を二点鎖線で表記する。また、図1において、矢印の向きは、生コンクリートの圧送される向きを示している。
【0020】
[本圧送配管]
本圧送配管Hは、下側圧送部10と上側圧送部20から構成される2体の圧送部と、当該下側圧送部10と上側圧送部20とを接続する接続部30を備えている(図1図2)。
下側圧送部10は、同一長さである7本の直線管11と、各隣接する直線管11の端部同士を接続するために設けられる合計6本(各端部は3本)の連結管12から構成されている。各直線管11は、隣接する直線管11との間に、所定の一定間隔となるように略平行に並設されている。そして、隣接する直線管11の各端部間には、同一形状であるU字形状の連結管12が設けられている。このように、下側圧送部10は、複数本の直線管11と複数本の連結管12が連続的に組み合わせられることにより、つづら折り状(端部が一定幅(コ字状)となるように連続して屈曲する形状)に形成されている。
また、上側圧送部20は、同一長さである7本の直線管21と、各隣接する直線管21の端部を接続するために設けられる合計6本の同一形状である連結管22から構成されており、下側圧送部10と略同一形態のつづら折り状に形成されている。
なお、下側圧送部10及び上側圧送部20の各直線管11,22は、それぞれ所定長の複数本の管体を接続することにより形成されている。
【0021】
下側圧送部10及び上側圧送部20は、ブラケット50を介して配設架台40に略水平となるように支持されている(図3図4)。
配設架台40は、上部フランジ41の所定箇所に取付孔41aが形成されているH形鋼であり、各直線管11,21と直交する向きとなるように、所定間隔で並設されている。また、配設架台40の上部フランジ41における上側圧送部20と交差する位置には、補助架台42が設けられている(図5)。
補助架台42は、箱型断面形状の鋼材であり、上面及び下面に取付孔42a(上部の取付孔は図示せず)が形成されている。補助架台42は、配設架台40の所望の取付孔41aの位置において、下部の取付孔42aを合致させ、ボルト56及びナット(図示せず)により取り付けられている(図5)。
下側圧送部10の直線管11及び連結管12は、配設架台40と交差する位置において、ブラケット50により支持されている。また、上側圧送部20の直線管21及び連結管22は、補助架台42に取り付けられているブラケット50により支持されている。
【0022】
ブラケット50は、H形鋼である基体部51と、下側圧送部10及び上側圧送部20を固定するためのU字金具54と、基体部51の長手方向の中間部におけるウェブ51cの両側に介設されている鉛直板53とを備えている。
上側フランジ51aにおけるウェブ51cの位置を挟んだ片側の長手方向であり、鉛直板51の両側の2箇所には、上部長孔52aが形成されている。また、下側フランジ51bにおけるウェブ51cの位置を挟んだ両側の長手方向及び補助板53の両側の合計4か所には、下部長孔52bが形成されている。
U字金具54は、上側フランジ51aの幅方向に開口部が形成されるように、鉛直板53の両側における2つの上部長孔52aの間に架設されている。
また、ブラケット50は、配設架台40の所望の取付孔41aの位置、又は、補助架台42の所望の取付孔42aの位置において、下側フランジ51bの下部長孔52bを合致させ、ボルト56及びナット(図示せず)により取り付けられている。なお、符号55は、直線管11,21等の間に設けられる介装板である。
【0023】
下側圧送部10及び上側圧送部20を構成する各直線管11,21及び連結管12,22、並びに接続部30の構成部材は、ブラケット50のU字金具54の中央における開口部に挿通され、U字金具54の両端部が上側フランジ51aの各上部長孔52aに挿通されたボルト56及びナット(図示せず)により、挟持されている。
なお、ブラケット50に形成されている下部長孔52bの存在により、ブラケット50を配設架台40及び補助架台42の取付位置を適切な位置に調整することが可能となっているとともに、上部長孔52aの存在により、各直線管11,21及び連結管12,22等のブラケット50への取付位置を適切な位置に調整することが可能となっている。
【0024】
接続部30は、下側圧送部接続直線管31と、2箇所の90度の屈曲部32,38(以下、「90度屈曲部」という。なお、区別をする場合には、第一及び第二を付す。)と、2箇所の180度の屈曲部34,36(以下、「180度屈曲部」という。なお、区別をする場合には、第一及び第二を付す。)と、3本の中間直線管33,35,37(区別をする場合には、第一~第三を付す。)と、から形成されている(図1図6)。
90度屈曲部32,38は、曲げ半径が90度であるベンド管により形成されている。また、180度屈曲部34,36は、曲げ半径が90度である2本のベンド管を接合具6
2を用いて接合することにより、半円形状に形成されている。なお、符号63は、第二中間直線管35及び第二180度屈曲部36、並びに、第二180度屈曲部36及び第三中間直線管37を接合する接合具である。
【0025】
下側圧送部接続管31は、一端が下側圧送部30における直線管11の終端部11bと接続され、長手方向に延設されているとともに、他端が第一90度屈曲部32と接続されることにより、90度向きを変えている。第一90度屈曲部32は、第一中間直線管33を介して、第一180度屈曲部34と接続されており、当該第一180度屈曲部34は、第二中間直線管35を介して、第二180度屈曲部36と接続されている。さらに、第二180度屈曲部36は、第三中間直線管37を介して、第二90度屈曲部38と接続されており、当該第二90度屈曲部38は、上側圧送部20側に90度向きを変え、上側圧送部20における直線管21の始端部21aと接続されている。
接続部30は、中間直線管33,35,37と直交する向きに配置されている配設架台40及び補助架台42に取り付けられている各ブラケット50により、適宜位置を支持されている。そして、接続部30は、下側圧送部接続管31の始点から、第二90度屈曲部38の終点に至る各部を通して、緩やかな一定勾配となるように形成されている。
【0026】
上記のとおり、上部圧送部20と下部圧送部10とは、略同一形状で形成されているが、上部圧送部20は、下部圧送部10の配置向きに対して、裏返した向きとなるように配置されている。そして、上側圧送部20は、下側圧送部10の直上部において、当該下側圧送部10と上側圧送部20を構成する各直線管11がそれぞれ平行となる向きであって、所定間隔を隔てる位置関係となっており、上側圧送部20と下側圧送部10とが、平面視で互いに重ならないように位置がずらされた状態で、それぞれ略水平に配置されている。すなわち、平面視で、先端部が下側圧送部10の始端部11aとなる下側圧送部10の直線管11(符号11Aを付して区別する)に対して、上側圧送部20の一方の縁部を構成する直線管21(符号21Aを付して区別する)を所定の間隔で離間させるとともに、上側圧送部20におけるコンクリートの吐出口である直線管21(上側圧送部20における、他方の縁部を構成する直線管(符号21Bを付して区別する))を、下側圧送管10の他方の縁部を構成する直線管11(符号11Bを付して区別する)から所定の間隔で張り出させるようにして配設されている。
さらに、下側圧送部10におけるコンクリートの送出口となる縁部の直線管11Aの始端部11aと、上側圧送部20におけるコンクリートの吐出口である縁部の直線管21Bの終端部21bとが、同一側に配置されている。
【0027】
なお、本圧送配管Hを構成する直線管11の始端部11aは、連結管61を介して、生コンクリートを圧送するためのコンクリートポンプPと接続されている。そして、アジテータトラック(符号T1を付す)のシュートから供給された生コンクリートを、コンクリートポンプPにより、本圧送配管Hに供給できるようになっている(図1)。
このように、下側圧送部10と上側圧送部20は、鉛直方向に2段となるように並設され、接続部30によって接続されており、下部圧送部10の直線管11Aの始端部11aに供給された生コンクリートが、接続部30を通り、上部圧送部20の直線管21Bの終端部21bから吐出されるように構成されている。
なお、図1の上部圧送部20の直線管21Bの終端部21bの下流におけるアジテータトラック(符号T2を付す)は、当該上部圧送部20から吐出された生コンクリートを廃棄するために使用される。
【0028】
[本圧送配管の使用方法]
まず、アジテータトラックT1により運搬されてきた、圧送配管Hに供給される前の生コンクリートを使用して、圧送前の圧送性評価試験(スランプ試験、空気量試験等)(以下、「圧送前試験」という。)を行う。
続いて、コンクリートポンプPを稼働させ、生コンクリートを下側圧送部10における直線管11Aの始端部11aであるコンクリートの送出口に供給する。供給された生コンクリートは、下側圧送部10の管路内、接続部30及び上側圧送部20の管路内を通過し、上側圧送部20における直線管21Bの終端部21bであるコンクリートの吐出口から排出される。
そして、圧送前試験と同一場所において、排出された生コンクリートを使用して圧送後の圧送性評価試験を行い、圧送前後における生コンクリートの性状評価を行うことになる。
【0029】
[本圧送配管造の作用効果]
本圧送配管Hによれば、下側圧送部10及び上側圧送部20を備える構成とすることにより、平面視における専有面積を小さくすることが可能となるため、設置スペースを小さくすることができる。そのため、万一、本圧送配管Hの一部が閉塞等した場合であっても、閉塞箇所の特定が容易となり、閉塞箇所の特定後における閉塞したコンクリートの処理及び運搬等の対応作業を容易に行うことができる。
また、本圧送配管Hによれば、下側圧送部10及び上側圧送部20を構成する各直線管11,21は、平面視において、互いに重ならない位置に配置されている。そのため、所定箇所においてコンクリートの閉塞等の不具合が発生した場合であっても、上下に配管されている各直線管11,21が邪魔にならず、無用な箇所の解体等が不必要となることから、対応作業を容易に行うことができる。
【0030】
また、本圧送配管Hによれば、複数本のベンド管を用いた屈曲部32,34,36,38と、下側圧送部接続直線管31及び複数本の中間直線管33、35,37を用いて、一定勾配である接続部30を構成することが可能となるため、特殊形状である配管や煩雑な取り付け作業を行うことなく、下側圧送部10及び上側圧送部20を鉛直方向に配設することができる。
また、本圧送配管Hは、下側圧送部10を構成する直線管11Aの始端部11aであるコンクリートの送出口と、上側圧送部20を構成する直線管21Bの終端部21bであるコンクリートの吐出口が同一側に配置されているため、圧送性評価試験を同一箇所で行うことが可能となり、機材の集約化を図ることが可能となる等、利便性に資することとなる。
【0031】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各要素に関して適宜設計変更が可能である。また、本圧送配管は、必要最小限の構成要素を例示したものであり、本発明の作用効果を阻害しない限り、必要となる他の構成要素を付加するものであってもよい。
さらに、本圧送配管は、圧送性評価試験を実施されるコンクリートの種類、圧送圧力及び水平換算距離の長さに限定されず、任意の種類及び調合のコンクリート及び試験方法を問わずに対応することができる。
【0032】
特に、圧送部は、2体以上である複数体を鉛直方向に並設するものであれば、その数及び形状等に制限はない。各圧送部の寸法及び形状は同一である必要はなく、その配置態様に関しても、本発明の作用効果を阻害しない限り、必要に応じて定めることが可能である。
また、圧送部及び接続部を構成する直線管、連結管及びベンド管の長さ寸法、管径及び本数、並びに、連結管及びベンド管の形状及び曲げ半径等は、圧送性評価試験の態様に応じて、最適な構成要素を採用することができる。
また、直線管、連結管及びベンド管は、単一の管体であっても、複数本の管体を適宜に接合等することにより形成するものであってもよい。
また、接続部等の勾配は、圧送されるコンクリートの流動性を阻害しないよう、適切に定めることができる。
【0033】
さらに、上記実施形態では、複数本のベンド管と複数本の接続直線管とを用いて、一定勾配である接続部を構成し、鉛直方向に並設されている隣接する圧送部が接続されている。しかし、各圧送部の接続は、特別の接続部を設けることなく、各圧送部を構成する直線管及び連結管に、緩やかな一定の所定勾配を設け、始点部と終端部の高低差を確保し、下方の圧送部の終端部と、上方の圧送部の始端部とを接続するものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
H 圧送配管(本圧送配管)
10 下側圧送部
20 上側圧送部
11,21 直線管
11a,21a 始端部
11b,21b 終端部
12,22 連結管
30 接続部
31 下側圧送部接続直線管
32 第一90度屈曲部
33 第一中間直線管
34 第一180度屈曲部
35 第二中間直線管
36 第二180度屈曲部
37 第三中間直線管
38 第二90度屈曲部
40 配設架台
42 補助架台
50 ブラケット
51 基体部
52a 上部長孔
52b 下部長孔
54 U字金具


図1
図2
図3
図4
図5
図6