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特開2022-143670半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143670
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220926BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L21/02 A
H01L21/88 Q
H01L21/88 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044319
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 勝博
(72)【発明者】
【氏名】山口 伸仁
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 健一
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH04
5F033HH05
5F033HH09
5F033LL01
5F033LL09
5F033MM17
5F033PP15
5F033QQ08
5F033QQ11
5F033QQ19
5F033RR04
5F033SS11
5F033SS27
5F033VV12
5F033WW02
5F033WW04
(57)【要約】
【課題】半導体装置の製造において、工程数を削減することが好ましい。
【解決手段】半導体基板と、半導体基板上に設けられた絶縁膜と、絶縁膜上に設けられ、シリコン元素を含む金属配線と、絶縁膜上に設けられ、シリコン元素が主成分であるチップ識別部とを備える半導体装置を提供する。チップ識別部は、シリコン粒子の集合であってよい。チップ識別部において、それぞれのシリコン粒子が離れていてよい。シリコン粒子は、絶縁膜の上面に入りこんでいてよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられ、シリコン元素を含む金属配線と、
前記絶縁膜上に設けられ、シリコン元素が主成分であるチップ識別部と
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記チップ識別部は、シリコン粒子の集合である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記チップ識別部において、それぞれの前記シリコン粒子が離れている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記シリコン粒子は、前記絶縁膜の上面に入りこんでいる
請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記チップ識別部は、前記金属配線に含まれる金属元素を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記チップ識別部の高さは、前記金属配線の高さの60%以下である
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属配線に隣接して設けられ、シリコン元素が主成分である隣接部を更に備え、
前記隣接部の高さは、前記チップ識別部の高さと同一である
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記チップ識別部は、多結晶シリコンを含む
請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記チップ識別部は、アモルファスシリコンを含む
請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記チップ識別部を覆う保護膜を更に備える
請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記金属配線の高さは、0.5μm以上でかつ5μm以下である
請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記金属配線に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度は、0.5%以上でかつ10%以下である
請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
半導体基板上に絶縁膜を形成する段階と、
前記絶縁膜上にシリコン元素を含む金属膜を形成する段階と、
前記金属膜をエッチングし、金属配線を形成する段階と、
前記金属配線を形成する段階において生じたシリコン残渣をエッチングし、チップ識別部を形成する段階と
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記チップ識別部を形成する段階において、前記金属配線をレジストにより保護した状態で前記チップ識別部を形成する
請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記金属配線を形成する段階において、前記金属膜をウェットエッチングする
請求項13または14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記チップ識別部を形成する段階において、前記シリコン残渣をドライエッチングする
請求項13から15のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、チップを識別するためのチップ識別部を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開平9-45593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体装置の製造において、工程数を削減することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、半導体基板を備えてよい。半導体装置は、絶縁膜を備えてよい。絶縁膜は、半導体基板上に設けられてよい。半導体装置は、金属配線を備えてよい。金属配線は、絶縁膜上に設けられてよい。金属配線は、シリコン元素を含んでよい。半導体装置は、チップ識別部を備えてよい。チップ識別部は、絶縁膜上に設けられてよい。チップ識別部は、シリコン元素が主成分であってよい。
【0005】
チップ識別部は、シリコン粒子の集合であってよい。チップ識別部において、それぞれのシリコン粒子が離れていてよい。シリコン粒子は、絶縁膜の上面に入りこんでいてよい。
【0006】
チップ識別部は、金属配線に含まれる金属元素を含んでよい。チップ識別部の高さは、金属配線の高さの60%以下であってよい。
【0007】
半導体装置は、隣接部を備えてよい。隣接部は、金属配線に隣接して設けられてよい。隣接部は、シリコン元素が主成分であってよい。隣接部の高さは、チップ識別部の高さと同一であってよい。
【0008】
チップ識別部は、多結晶シリコンを含んでよい。チップ識別部は、アモルファスシリコンを含んでよい。
【0009】
半導体装置は、保護膜を備えてよい。保護膜は、チップ識別部を覆ってよい。
【0010】
金属配線の高さは、0.5μm以上でかつ5μm以下であってよい。金属配線に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度は、0.5%以上でかつ10%以下であってよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、半導体装置の製造方法を提供する。半導体装置の製造方法は、半導体基板上に絶縁膜を形成する段階を備えてよい。半導体装置の製造方法は、絶縁膜上にシリコン元素を含む金属膜を形成する段階を備えてよい。半導体装置の製造方法は、金属膜をエッチングし、金属配線を形成する段階を備えてよい。半導体装置の製造方法は、金属配線を形成する段階において生じたシリコン残渣をエッチングし、チップ識別部を形成する段階を備えてよい。
【0012】
チップ識別部を形成する段階において、金属配線をレジストにより保護した状態でチップ識別部を形成してよい。
【0013】
金属配線を形成する段階において、金属膜をウェットエッチングしてよい。チップ識別部を形成する段階において、シリコン残渣をドライエッチングしてよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す図である。
図2】半導体装置100の製造方法の一部を説明する図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る半導体装置200の一例を示す図である。
図4】半導体装置200の製造方法の一部を説明する図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る半導体装置300の一例を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る半導体装置400の一例を示す図である。
図7】比較例にかかる半導体装置500の一例を示す図である。
図8】半導体装置500の製造方法の一部を説明する図である。
図9】半導体装置500の製造方法の一部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、又、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。また、1つの図面において、同一の機能、構成を有する要素については、代表して符合を付し、その他については符合を省略する場合がある。
【0017】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体モジュールの実装時における方向に限定されない。
【0018】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
【0019】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0020】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す図である。本例において、半導体装置100は、半導体基板10、絶縁膜20、金属配線30およびチップ識別部40を備える。図1において、半導体基板10、絶縁膜20、金属配線30およびチップ識別部40以外の半導体装置100の構成を省略している。
【0021】
半導体装置100は、一例として、インバータ等の電力変換装置として機能する。半導体装置100は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、FWD(Free Wheel Diode)等のダイオードおよびこれらを組み合わせたRC(Reverse Conducting)-IGBT、並びにMOSトランジスタ等を備えてもよい。また、半導体装置100は、一例として、圧力センサとして機能する。半導体装置100は、これらの例に限定されなくてよい。
【0022】
半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。一例として半導体基板10はシリコン基板であるが、半導体基板10の材料はシリコンに限定されない。
【0023】
絶縁膜20は、半導体基板10上に設けられている。絶縁膜20は、いわゆる層間絶縁膜であってよい。絶縁膜20は、一例として、シリコン酸化膜である。絶縁膜20は、ホウ素元素やリン元素を含んでいてもよい。なお、絶縁膜20には、半導体基板10と金属配線30を接続するコンタクトホールを有していてもよい。また、絶縁膜20の上面を上面21とする。
【0024】
金属配線30は、半導体基板10と接続する配線である。金属配線30は、絶縁膜20上に設けられている。本例において、金属配線30は、アルミニウムシリコン合金(AlSi)である。つまり、金属配線30は、シリコン元素を含む。金属配線30に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度は、一例として、0.5%以上でかつ1.5%以下である。なお、本明細書において、金属配線30および金属膜は、ハッチングで示している。また、金属配線30の上面を上面31とする。
【0025】
チップ識別部40は、上面視において識別可能な文字、記号等がパターニングされてよい。識別可能な文字、記号等とは、例えば、文字、規則的な形状、直線、曲線を含む。具体的には、チップ識別部40には、複数の半導体装置100を識別できるように半導体装置100毎に割り振られた数字等がパターニングされている。例えば、チップ識別部40には、半導体装置100毎にナンバリングされた数字がパターニングされていてよい。また、チップ識別部40には、複数の半導体装置100の種類毎に割り振られた数字がパターニングされていてもよい。チップ識別部40には、複数の半導体装置100の性能毎に割り振られた数字がパターニングされていてもよい。チップ識別部40を設けることにより、複数の半導体装置100を識別可能である。
【0026】
チップ識別部40は、絶縁膜20上に設けられる。チップ識別部40は、金属配線30が設けられない領域に設けられてよい。チップ識別部40は、金属配線30と離れて設けられてよい。チップ識別部40は、後述するシリコン粒子44で構成されている。
【0027】
図2は、半導体装置100の製造方法の一部を説明する図である。半導体装置100の製造方法は、絶縁膜形成段階S101、金属膜形成段階S102、金属配線用レジスト形成段階S103、金属配線形成段階S104、チップ識別部用レジスト形成段階S105およびチップ識別部形成段階S106を備える。
【0028】
まず絶縁膜形成段階S101において、半導体基板10上に絶縁膜20を形成する。絶縁膜20は、湿式化学酸化により形成されてよい。絶縁膜20は、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition)により形成されてよい。絶縁膜20は、シリコンの熱酸化により形成されてよい。絶縁膜20は、その他公知の方法により形成されてよい。なお、絶縁膜形成段階S101より前に、IGBT、MOSトランジスタ等が半導体基板10に形成されてよい。
【0029】
次に金属膜形成段階S102において、絶縁膜20の上面21に金属膜32を形成する。本例において、金属膜32は、スパッタリングにより形成される。金属膜32は、一例として、アルミニウムシリコン合金(AlSi)である。つまり、金属膜32は、金属配線30と同一の材料で形成されている。金属膜32は、シリコン元素を含んでよい。金属配線30は、金属膜32を加工することにより形成される。形成される金属膜32の厚みは、1.0μm以下であってよい。金属膜32の高さ(厚み)は、一例として、0.5μmである。
【0030】
金属配線用レジスト形成段階S103において、フォトリソグラフィーを実施する。つまり、金属膜32の上面33にレジスト60のパターンを形成する。本例の金属配線用レジスト形成段階S103のフォトリソグラフィーでは、縮小マスクが用いられる。本明細書において、マスクパターンを縮小して露光するマスクを、縮小マスクとする。具体的には、レンズ縮小率が5倍で、縮小マスクを露光する。つまり、マスクパターンを1/5に縮小し、露光することができる。縮小マスクを用いることにより、微細な金属配線30を形成することができる。縮小マスクを用いる場合は、ウェハ状の半導体基板10に対して複数回露光してよい。
【0031】
金属配線形成段階S104において、金属配線30を形成する。本例において、金属膜32をエッチングすることにより、金属配線30を形成する。本例では、金属配線形成段階S104において、金属膜32をウェットエッチングする。本例において、ウェットエッチングに用いられる溶液は、酢酸である。ウェットエッチングに用いられる溶液は、酢酸に限定されない。なお、金属配線30を形成した後、レジスト60を除去する。
【0032】
金属膜32は、シリコン元素を含む。したがって、金属膜32をウェットエッチングすることにより、絶縁膜20の上面21にシリコン残渣42が形成される。シリコン残渣42は、シリコン粒子44の集合である。絶縁膜20の上面21にシリコン残渣42が残った状態であると、金属配線30間を接続し、金属配線30間がショートしてしまう恐れがある。したがって、シリコン残渣42は、除去することが好ましい。なお、金属配線30の近傍に形成されたシリコン残渣42をシリコン残渣42-1、チップ識別部40が設けられる領域におけるシリコン残渣42をシリコン残渣42-2とする。
【0033】
チップ識別部用レジスト形成段階S105において、フォトリソグラフィーを実施する。つまり、シリコン残渣42-2上にレジスト62のパターンを形成する。本例のチップ識別部用レジスト形成段階S105のフォトリソグラフィーでは、通常マスクが用いられる。本明細書において、レンズ縮小率を1倍にして露光するマスクを、通常マスクとする。具体的には、レンズ縮小率が1倍で、通常マスクを露光する。つまり、マスクパターンを縮小せず、露光する。通常マスクを用いる場合は、ウェハ状の半導体基板10に対して1回の露光としてよい。縮小マスクを使用した場合は、露光毎にチップ認識部が繰り返されて形成されるため、チップ識別ができない。通常マスクを用いることで、複数の半導体装置100に対して1回の露光で個別のチップ認識部を形成することができる。また、金属配線30を保護するため、金属配線30の上面31にも、レジスト62のパターンが形成される。一方、シリコン残渣42-1を除去するため、シリコン残渣42-1上には、レジスト62のパターンは形成されない。
【0034】
そして、チップ識別部形成段階S106において、チップ識別部40を形成する。本例において、金属配線形成段階S104において生じたシリコン残渣42-2をエッチングすることにより、チップ識別部40を形成する。本例では、チップ識別部形成段階S106において、シリコン残渣42-2をドライエッチングする。ドライエッチングは、例えば、フッ素や塩素を含むガス、プラズマ等を用いて実施される。ドライエッチングは、公知の方法で実施されてよい。なお、チップ識別部40を形成した後、レジスト62を除去する。
【0035】
チップ識別部形成段階S106において、金属配線30をレジスト62により保護した状態でチップ識別部40を形成する。金属配線30をレジスト62により保護することにより、ドライエッチングによる金属配線30へのダメージを抑制することができる。また、シリコン残渣42-1上には、レジスト62のパターンは形成されないため、シリコン残渣42-1を除去することができる。
【0036】
本例において、チップ識別部形成段階S106において、シリコン残渣42-2により、チップ識別部40を形成する。したがって、チップ識別部40の形成と金属膜32間のシリコン残渣42-1の除去を同一の工程で実施することができる。そのため、工程数を削減することができる。つまり、金属配線30間のシリコン残渣42-1を除去する工程において、シリコン残渣42-2を使ってチップ識別部40を形成することができる。
【0037】
チップ識別部形成段階S106の後、熱処理により、金属配線30を活性化させてよい。また、別途金属配線30上に、層間絶縁膜、金属膜、ポリイミド膜等のパッシベーション膜を設けてもよい。
【0038】
チップ識別部40は、シリコン残渣42-2によって形成される。したがって、チップ識別部40は、シリコン元素が主成分である。チップ識別部40の主成分がシリコン元素であるとは、チップ識別部40の質量パーセント濃度の50%以上がシリコン元素であることであってよい。チップ識別部40の主成分がシリコン元素であるとは、チップ識別部40の質量パーセント濃度の90%以上がシリコン元素であることであってよい。また、チップ識別部40の主成分がシリコン元素であるとは、チップ識別部40の質量パーセント濃度の95%以上がシリコン元素であることであってよい。本例において、チップ識別部40は、シリコン粒子44の集合である。つまり、チップ識別部40は、略全部がシリコン元素で形成されている。図1で示すように、それぞれのシリコン粒子44は、離れている。一部のシリコン粒子44は、他のシリコン粒子44と接していてもよい。
【0039】
また、チップ識別部40は、金属配線30に含まれる金属元素を含んでよい。本例において、チップ識別部40は、アルミニウム元素を含んでもよい。他の例として、チップ識別部40は、銅元素等、その他金属配線を構成する金属元素を含んでよい。チップ識別部40は、シリコン残渣42-2から形成されるため、金属配線30に含まれる金属元素を含む。
【0040】
チップ識別部40は、多結晶シリコン(ポリシリコン)を含んでよい。つまり、シリコン残渣42は、多結晶シリコンを含んでよい。チップ識別部40は、アモルファスシリコン(非晶質シリコン)を含んでよい。つまり、シリコン残渣42は、アモルファスシリコンを含んでよい。シリコン残渣42が多結晶シリコンやアモルファスシリコンの場合でも、適宜エッチングすることによりチップ識別部40を形成することができる。また、形成されたシリコン残渣42が後の工程で酸化される、または常温で酸化することにより酸素を含んでもよい。
【0041】
また、図1で示すようにシリコン残渣42の高さT1は、金属配線30の高さT2と比べて小さい。つまり、チップ識別部40の高さT1は、金属配線30の高さT2と比べて小さくてよい。ここで、チップ識別部40の高さT1は、チップ識別部40の最大の高さであってよい。また、金属配線30の高さT2は、金属配線30の最大の高さであってよい。チップ識別部40の高さT1は、金属配線30の高さT2の60%以下であってよい。チップ識別部40の高さT1は、金属配線30の高さT2の10%以下であってよい。チップ識別部40の高さT1は、金属配線30の高さT2の5%以下であってよい。チップ識別部40の高さT1は、金属配線30の高さT2の1%以下であってよい。チップ識別部40がシリコン残渣42で形成されているため、チップ識別部の高さT1は、金属配線30の高さT2と比べて小さい。
【0042】
本例では金属膜32(つまり、金属配線30)の高さT2は0.5μmであると説明したが、金属配線30の高さは、1μm以上であってよい。金属配線30の高さT2を大きくすることにより、形成されるシリコン残渣42の高さT1を大きくすることができる。シリコン残渣42の高さT1を大きくすることで、チップ識別部40を認識しやすくなる。またこの場合、金属配線30の高さT2は、5μm以下にすることが好ましい。
【0043】
本例では金属配線30に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度は、0.5%以上でかつ1.5%以下であると説明したが、金属配線30に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度は、2%以上であってよい。金属配線30に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度を大きくすることで、形成されるシリコン残渣42の高さT1を大きくすることができる。したがって、チップ識別部40を認識しやすくなる。また、金属配線30に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度を大きくしすぎると、金属配線30の特性が劣化する可能性がある。したがって、金属配線30に含まれるシリコン元素の質量パーセント濃度は、10%以下にすることが好ましい。
【0044】
図3は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置200の一例を示す図である。図3の半導体装置200は、隣接部50を備える点で、図1の半導体装置100とは異なる。図3の半導体装置200のそれ以外の構成は、図1の半導体装置100と同一であってよい。なお、図3の半導体装置200では、説明のため、図1の半導体装置100から金属配線30の一部を省略している。
【0045】
図2のチップ識別部用レジスト形成段階S105において、金属配線30の上面31にレジスト62のパターンが形成され、シリコン残渣42-1上には、レジスト62のパターンは形成されないと説明した。金属配線30は、縮小マスクで形成された微細なパターンであり、チップ識別部用レジスト形成段階S105の通常マスクを使用し金属配線30の上面31にのみレジスト62のパターンを設けた場合、レジスト62のパターンにずれが生じる可能性がある。レジスト62のパターンにずれが生じた場合、エッチングの際、金属配線30にダメージを与えてしまう。したがって、金属配線30に隣接したシリコン残渣42-1上にも、レジスト62が設けられることが好ましい。
【0046】
本例において、隣接部50は、金属配線30に隣接して設けられる。隣接部50は、金属配線30からの距離が5μm以下である範囲に設けられることが好ましい。つまり、隣接部50と隣接部50と最も近い金属配線30との最長距離D1は、5μm以下である。この場合、例えば金属配線30間の距離D2が10μmの場合でも、それぞれの隣接部50が接続することがなく、金属配線30間がショートするのを防ぐことができる。
【0047】
隣接部50は、チップ識別部40と同一の工程により形成されてよい。つまり、隣接部50も、シリコン残渣42により形成されてよい。したがって、隣接部50は、シリコン元素が主成分であってよい。つまり、隣接部50は、シリコン粒子44の集合であってよい。
【0048】
また、隣接部50の高さT3は、チップ識別部の高さT1と同一であってよい。隣接部50の高さT3は、隣接部50の最大の高さであってよい。また、隣接部50の高さT3とチップ識別部の高さT1が同一であるとは、50%以上の誤差を含んでよい。
【0049】
図4は、半導体装置200の製造方法の一部を説明する図である。図4において、図2のチップ識別部用レジスト形成段階S105の他の例を示している。
【0050】
本例において、図2のチップ識別部用レジスト形成段階S105と異なり、レジスト62は、金属配線30に隣接したシリコン残渣42-1上にも形成されている。このようにレジスト62を形成することにより、隣接部50を設けることができる。
【0051】
図5は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置300の一例を示す図である。図5の半導体装置300は、シリコン粒子44が絶縁膜20の上面21に入りこんでいる点で、図1の半導体装置100とは異なる。図5の半導体装置300のそれ以外の構成は、図1の半導体装置100と同一であってよい。
【0052】
本例では、シリコン粒子44が絶縁膜20の上面21に入りこんでいる。本例のように、チップ識別部40を形成するすべてのシリコン粒子44が絶縁膜20の上面21に入り込んでもよい。チップ識別部40を形成する一部のシリコン粒子44が絶縁膜20の上面21に入り込み、他の一部のシリコン粒子44が図1のように絶縁膜20の上面21に設けられてもよい。
【0053】
図6は、本発明の他の実施形態に係る半導体装置400の一例を示す図である。図6の半導体装置400は、チップ識別部40を覆う保護膜70を備える点で、図1の半導体装置100とは異なる。図6の半導体装置400のそれ以外の構成は、図1の半導体装置100と同一であってよい。
【0054】
本例では、半導体装置400は、チップ識別部40を覆う保護膜70を備える。保護膜70は、絶縁膜20および金属配線30を覆っていてよい。保護膜70は、金属配線30と電気的に接続するボンディングパット部(不図示)を露出する開口を備えていてよい。保護膜70は、ポリイミド膜等であってよい。保護膜70を備えることで、チップ識別部40を保護することができる。保護膜70は、チップ識別部40の形状に沿った凹凸を有してよい。また、保護膜70を備えることで、チップ識別部40の視認性を向上することができる。
【0055】
図7は、比較例にかかる半導体装置500の一例を示す図である。図7の半導体装置500は、チップ識別部80が金属膜32で形成されている(チップ識別部80がハッチングで示されている)点で、図1の半導体装置100とは異なる。図7の半導体装置500のそれ以外の構成は、図1の半導体装置100と同一であってよい。
【0056】
図8図9は半導体装置500の製造方法の一部を説明する図である。半導体装置500の製造方法は、絶縁膜形成段階S201、金属膜形成段階S202、金属配線用レジスト形成段階S203、金属配線形成段階S204、チップ識別部用レジスト形成段階S205、チップ識別部形成段階S206、シリコン残渣除去用レジスト形成段階S207およびシリコン残渣除去段階S208を備える。図8では、絶縁膜形成段階S201、金属膜形成段階S202、金属配線用レジスト形成段階S203および金属配線形成段階S204を示している。また、図9では、チップ識別部用レジスト形成段階S205、チップ識別部形成段階S206、シリコン残渣除去用レジスト形成段階S207およびシリコン残渣除去段階S208を示している。
【0057】
図8の絶縁膜形成段階S201は、図2の絶縁膜形成段階S101と同一であってよい。図8の金属膜形成段階S202は、図2の金属膜形成段階S102と同一であってよい。
【0058】
図8の金属配線用レジスト形成段階S203において、フォトリソグラフィーを実施する。つまり、金属膜32の上面33にレジスト60のパターンを作成する。本例の金属配線用レジスト形成段階S203のフォトリソグラフィーでは、縮小マスクが用いられる。縮小マスクを用いることにより、微細な金属配線30を形成することができる。また、本例において、図2の金属配線用レジスト形成段階S103と異なり、チップ識別部80が形成される領域もレジスト60で覆われる。
【0059】
図8の金属配線形成段階S204において、金属配線30を形成する。本例において、金属膜32をエッチングすることにより、金属配線30を形成する。本例では、金属配線形成段階S204において、金属膜32をウェットエッチングする。本例において、ウェットエッチングに用いられる溶液は、酢酸である。ウェットエッチングに用いられる溶液は、酢酸に限定されない。また、本例において、図2の金属配線形成段階S104と異なり、チップ識別部80が形成される領域にも金属膜32が設けられている。本例では、チップ識別部80が形成される領域の金属膜32を金属膜32-1とする。なお、金属配線30を形成した後、レジスト60を除去する。
【0060】
図9のチップ識別部用レジスト形成段階S205において、フォトリソグラフィーを実施する。本例では、金属膜32-1の上面33にレジスト62のパターンを形成する。本例のチップ識別部用レジスト形成段階S205のフォトリソグラフィーでは、通常マスクが用いられる。また、金属配線30を保護するため、金属配線30の上面31にも、レジスト62のパターンが作成される。
【0061】
そして、図9のチップ識別部形成段階S206において、チップ識別部80を形成する。本例において、金属配線形成段階S204と同様に、金属膜32-1をエッチングすることにより、金属配線30を形成する。本例では、金属配線形成段階S206において、金属膜32-1をウェットエッチングする。本例において、ウェットエッチングに用いられる溶液は、酢酸である。ウェットエッチングに用いられる溶液は、酢酸に限定されない。なお、チップ識別部80を形成した後、レジスト62を除去する。
【0062】
図9のチップ識別部用レジスト形成段階S207において、フォトリソグラフィーを実施する。本例では、金属配線30の上面31およびチップ識別部80の上面41にレジスト64のパターンを形成する。本例のチップ識別部用レジスト形成段階S207のフォトリソグラフィーでは、通常マスクまたは縮小マスクが用いられる。
【0063】
シリコン残渣除去段階S208において、金属配線形成段階S204およびチップ識別部形成段階S206において生じたシリコン残渣42をエッチングする。本例では、シリコン残渣除去段階S208において、シリコン残渣42をドライエッチングする。ドライエッチングは、例えば、フッ素や塩素を含むガス、プラズマ等を用いて実施される。ドライエッチングは、公知の方法で実施されてよい。
【0064】
半導体装置100の製造方法と半導体装置500の製造方法を比較すると、半導体装置500の製造方法は、工程数が多い。これは、半導体装置500の製造方法ではチップ識別部形成段階S206およびシリコン残渣除去段階S208を実施するために、2回のフォトリソグラフィー工程を実施しているためである。一方、半導体装置100の製造方法では、チップ識別部形成段階S106において、チップ識別部40の形成とシリコン残渣42の除去を同一の工程で実施している。したがって、フォトリソグラフィー工程を少なくすることができ、工程数を削減することが可能である。
【0065】
なお、金属配線用レジスト形成段階S203とチップ識別部用レジスト形成段階S205を同一の工程で実施すれば、工程数を削減できるが、レジスト60のパターンは複数の半導体装置100で共通なのに対し、レジスト62のパターンは半導体装置100毎に異なる。このため、レジスト60のマスクと、レジスト62のマスクをそれぞれ用意して、それぞれフォトリソグラフィーを行わなければならない。また、金属配線用レジスト形成段階S203において使用される縮小マスクとチップ識別部用レジスト形成段階S205において使用される通常マスクで、露光する場合のレンズ縮小率がそれぞれ異なる。したがって、金属配線用レジスト形成段階S203とチップ識別部用レジスト形成段階S205を通常マスクを用いて同一の工程で実施すると、金属配線30の加工精度が落ちてしまう。本例の半導体装置100の製造方法では、金属配線30の加工精度を低下させずに工程数の削減が可能である。
【0066】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0067】
10・・半導体基板、20・・絶縁膜、21・・上面、30・・金属配線、31・・上面、32・・金属膜、33・・上面、40、80・・チップ識別部、41・・上面、42・・シリコン残渣、44・・シリコン粒子、50・・隣接部、60・・レジスト、62・・レジスト、64・・レジスト、70・・保護膜、100・・半導体装置、200・・半導体装置、300・・半導体装置、400・・半導体装置、500・・半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9