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特開2022-143688電力供給システムおよび該システムを構成する補助分電盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143688
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】電力供給システムおよび該システムを構成する補助分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220926BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20220926BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20220926BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220926BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220926BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20220926BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20220926BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J9/06 120
H02J7/34 G
H02J7/00 P
H02B1/40 A
B60L55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044339
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝本 直也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 喜一
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5G211
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G015GA02
5G015JA32
5G015JA52
5G066HA11
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JA02
5G066JB03
5G211AA05
5G211AA07
5G211DD11
5G211GG01
5G211GG04
5G211GG06
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC24
(57)【要約】
【課題】蓄電装置、V2H装置および太陽光発電装置の電力を住宅用分電盤に供給することを可能にする補助分電盤を提供する。
【解決手段】補助分電盤10は、自動経路切替器SWaおよび手動経路切替器SWbを備えている。自動経路切替器SWaは、第1固定接点aが端子T11(商用電力系統2)および端子T12(蓄電装置20の連系入出力端子T21)に接続され、第2固定接点bが端子T13(同自立出力端子T22)に接続されている。手動経路切替器SWbは、第3固定接点dが第1可動接点cおよび端子T14(V2H装置30の連系入出力端子T31)に接続され、第4固定接点eが端子T15(同自立出力端子T32)に接続され、第2可動接点fが端子T16(太陽光発電装置40の連系出力端子T41)および端子T17(住宅用分電盤3)に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統、蓄電装置、V2H装置、太陽光発電装置および住宅用分電盤に接続して使用される補助分電盤であって、
前記商用電力系統に接続される系統接続用端子と、
前記蓄電装置の連系入出力端子に接続される第1蓄電装置接続用端子と、
前記蓄電装置の自立出力端子に接続される第2蓄電装置接続用端子と、
前記V2H装置の連系入出力端子に接続される第1V2H装置接続用端子と、
前記V2H装置の自立出力端子に接続される第2V2H装置接続用端子と、
前記太陽光発電装置の連系出力端子に接続される発電装置接続用端子と、
前記住宅用分電盤に接続される分電盤接続用端子と、
状況に応じて経路を自動的に切り替える自動経路切替器と、
ユーザの操作により経路を切り替える手動経路切替器と、
を備え、
前記自動経路切替器は、第1固定接点、第2固定接点および第1可動接点を有し、前記第1固定接点は、前記系統接続用端子および前記第1蓄電装置接続用端子に接続され、前記第2固定接点は、前記第2蓄電装置接続用端子に接続され、
前記手動経路切替器は、第3固定接点、第4固定接点および第2可動接点を有し、前記第3固定接点は、前記第1可動接点および前記第1V2H装置接続用端子に接続され、前記第4固定接点は、前記第2V2H装置接続用端子に接続され、前記第2可動接点は、前記発電装置接続用端子および前記分電盤接続用端子に接続され、
前記自動経路切替器の前記第1可動接点は、前記商用電力系統が正常なときは前記第1固定接点に接続され、前記商用電力系統に停電が発生して前記蓄電装置が自立運転を行っているときは前記第2固定接点に接続されるよう構成されている
ことを特徴とする補助分電盤。
【請求項2】
商用電力系統および住宅用分電盤に接続して使用される、蓄電装置、V2H装置、太陽光発電装置および補助分電盤を備えた電力供給システムであって、
前記補助分電盤は、
前記商用電力系統に接続される系統接続用端子と、
前記蓄電装置の連系入出力端子に接続された第1蓄電装置接続用端子と、
前記蓄電装置の自立出力端子に接続された第2蓄電装置接続用端子と、
前記V2H装置の連系入出力端子に接続された第1V2H装置接続用端子と、
前記V2H装置の自立出力端子に接続された第2V2H装置接続用端子と、
前記太陽光発電装置の連系出力端子に接続された発電装置接続用端子と、
前記住宅用分電盤に接続される分電盤接続用端子と、
状況に応じて経路を自動的に切り替える自動経路切替器と、
ユーザの操作により経路を切り替える手動経路切替器と、
を含み、
前記自動経路切替器は、第1固定接点、第2固定接点および第1可動接点を有し、前記第1固定接点は、前記系統接続用端子および前記第1蓄電装置接続用端子に接続され、前記第2固定接点は、前記第2蓄電装置接続用端子に接続され、
前記手動経路切替器は、第3固定接点、第4固定接点および第2可動接点を有し、前記第3固定接点は、前記第1可動接点および前記第1V2H装置接続用端子に接続され、前記第4固定接点は、前記第2V2H装置接続用端子に接続され、前記第2可動接点は、前記発電装置接続用端子および前記分電盤接続用端子に接続され、
前記自動経路切替器の前記第1可動接点は、前記商用電力系統が正常なときは前記第1固定接点に接続され、前記商用電力系統に停電が発生して前記蓄電装置が自立運転を行っているときは前記第2固定接点に接続されるよう構成されている
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
前記蓄電装置は、前記商用電力系統に連系することができ、
前記V2H装置は、前記蓄電装置の自立出力または前記商用電力系統に連系することができ、
前記太陽光発電装置は、前記V2H装置の自立出力、前記蓄電装置の自立出力または前記商用電力系統に連系することができる
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記太陽光発電装置の自立出力端子が前記蓄電装置の補助入力端子に接続され、前記接続を介して前記太陽光発電装置から前記蓄電装置への電力の供給が可能となっている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電力系統、住宅用分電盤および電動車に接続して使用される電力供給システムおよび該システムを構成する補助分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電力系統(以下、単に「系統」ともいう)に停電が発生したときに系統に代わって住宅内の各種負荷に必要な電力を供給するために、一般的な分電盤(以下、「住宅用分電盤」という)とは別に補助分電盤を設けることが提案されている。例えば、特許文献1,2には、停電が発生したときに蓄電システムに蓄えられた電力を住宅負荷に供給することを可能にする補助分電盤(全負荷対応型分電盤)が記載されている。また、特許文献3には、停電が発生したときにハイブリッド車に蓄えられた電力を住宅負荷に供給することを可能にする補助分電盤(拡張分電盤)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-198203号公報
【特許文献2】特開2019-198204号公報
【特許文献2】特開2011-234561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出願人の知る限り、停電が発生したときに系統に代わる電力供給源となる蓄電装置、V2H(Vehicle to Home)装置および太陽光発電装置の全部を利用可能にする補助分電盤は、これまで提案されていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、蓄電装置、V2H装置および太陽光発電装置の電力を住宅用分電盤に供給することを可能にする補助分電盤、およびこのような補助分電盤を備えた電力供給システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る補助分電盤は、商用電力系統、蓄電装置、V2H装置、太陽光発電装置および住宅用分電盤に接続して使用されるものであって、商用電力系統に接続される系統接続用端子と、蓄電装置の連系入出力端子に接続される第1蓄電装置接続用端子と、蓄電装置の自立出力端子に接続される第2蓄電装置接続用端子と、V2H装置の連系入出力端子に接続される第1V2H装置接続用端子と、V2H装置の自立出力端子に接続される第2V2H装置接続用端子と、太陽光発電装置の連系出力端子に接続される発電装置接続用端子と、住宅用分電盤に接続される分電盤接続用端子と、状況に応じて経路を自動的に切り替える自動経路切替器と、ユーザの操作により経路を切り替える手動経路切替器とを備え、自動経路切替器は、第1固定接点、第2固定接点および第1可動接点を有し、第1固定接点は、系統接続用端子および第1蓄電装置接続用端子に接続され、第2固定接点は、第2蓄電装置接続用端子に接続され、手動経路切替器は、第3固定接点、第4固定接点および第2可動接点を有し、第3固定接点は、第1可動接点および第1V2H装置接続用端子に接続され、第4固定接点は、第2V2H装置接続用端子に接続され、第2可動接点は、発電装置接続用端子および分電盤接続用端子に接続され、自動経路切替器の第1可動接点は、商用電力系統が正常なときは第1固定接点に接続され、商用電力系統に停電が発生して蓄電装置が自立運転を行っているときは第2固定接点に接続されるよう構成されている、ことを特徴としている。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電力供給システムは、商用電力系統および住宅用分電盤に接続して使用される、蓄電装置、V2H装置、太陽光発電装置および補助分電盤を備えたものであって、補助分電盤は、商用電力系統に接続される系統接続用端子と、蓄電装置の連系入出力端子に接続された第1蓄電装置接続用端子と、蓄電装置の自立出力端子に接続された第2蓄電装置接続用端子と、V2H装置の連系入出力端子に接続された第1V2H装置接続用端子と、V2H装置の自立出力端子に接続された第2V2H装置接続用端子と、太陽光発電装置の連系出力端子に接続された発電装置接続用端子と、住宅用分電盤に接続される分電盤接続用端子と、状況に応じて経路を自動的に切り替える自動経路切替器と、ユーザの操作により経路を切り替える手動経路切替器とを含み、自動経路切替器は、第1固定接点、第2固定接点および第1可動接点を有し、第1固定接点は、系統接続用端子および第1蓄電装置接続用端子に接続され、第2固定接点は、第2蓄電装置接続用端子に接続され、手動経路切替器は、第3固定接点、第4固定接点および第2可動接点を有し、第3固定接点は、第1可動接点および第1V2H装置接続用端子に接続され、第4固定接点は、第2V2H装置接続用端子に接続され、第2可動接点は、発電装置接続用端子および分電盤接続用端子に接続され、自動経路切替器の第1可動接点は、商用電力系統が正常なときは第1固定接点に接続され、商用電力系統に停電が発生して蓄電装置が自立運転を行っているときは第2固定接点に接続されるよう構成されている、ことを特徴としている。
【0008】
これらの構成によれば、蓄電装置、V2H装置および太陽光発電装置の電力を住宅用分電盤に供給することができる。また、これらの構成によれば、商用電力系統に停電が発生したときに自動経路切替器が系統側から蓄電装置側へと自動的に切り替わるので、V2H装置および太陽光発電装置を蓄電装置の自立出力に連系させることが可能となる。
【0009】
上記電力供給システムは、蓄電装置が商用電力系統に連系することができ、V2H装置が蓄電装置の自立出力または商用電力系統に連系することができ、太陽光発電装置がV2H装置の自立出力、蓄電装置の自立出力または商用電力系統に連系することができることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、商用電力系統に停電が発生したときにV2H装置および太陽光発電装置を蓄電装置の自立出力に連系させることだけでなく、太陽光発電装置をV2H装置の自立出力に連系させることもできるので、蓄電装置が残量不足に陥った後も住宅用分電盤に電力を供給し続けることができる。
【0011】
上記電力供給システムは、太陽光発電装置の自立出力端子が蓄電装置の補助入力端子に接続され、この接続を介して太陽光発電装置から蓄電装置への電力の供給が可能となっていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、商用電力系統に停電が発生し、かつ蓄電装置が運転を停止しているときに、自立運転を開始するのに必要な電力をV2H装置に供給することができる。
【0013】
なお、用語「接続される(た)」には、直接的に接続される(た)場合と、閉状態をとり得る回路部品を介して間接的に接続される(た)場合とが含まれるものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蓄電装置、V2H装置および太陽光発電装置の電力を住宅用分電盤に供給することを可能にする補助分電盤、およびこのような補助分電盤を備えた電力供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る補助分電盤および電力供給システムの使用状態を示す図である。
図2】実施例に係る電力供給システムの第1動作例を示すシーケンス図である。
図3】実施例に係る電力供給システムの第2動作例を示すシーケンス図である。
図4】実施例に係る電力供給システムの第3動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る補助分電盤および電力供給システムの実施例について説明する。
【0017】
[実施例]
(電力供給システムおよび補助分電盤の構成)
図1に、本発明の実施例に係る電力供給システム1を示す。同図に示すように、本実施例に係る電力供給システム1は、商用電力系統2、住宅用分電盤3および電動車5に接続して使用されるものであって、補助分電盤10と、蓄電装置20と、V2H装置30と、太陽光発電装置40とを備えている。なお、住宅用分電盤3は、複数の住宅負荷4に電力を分配することができる。
【0018】
補助分電盤10は、不図示のブレーカを介して系統2に接続される系統接続用端子T11と、蓄電装置20の連系入出力端子T21に接続される第1蓄電装置接続用端子T12と、蓄電装置20の自立出力端子T22に接続される第2蓄電装置接続用端子T13と、V2H装置30の連系入出力端子T31に接続される第1V2H装置接続用端子T14と、V2H装置30の自立出力端子T32に接続される第2V2H装置接続用端子T15と、太陽光発電装置40の連系出力端子T41に接続される発電装置接続用端子T16と、住宅用分電盤3に接続される分電盤接続用端子T17と、切替制御部11と、切替制御部11の制御下で経路を切り替える自動経路切替器SWaと、ユーザの操作により経路を切り替える手動経路切替器SWbとを備えている。
【0019】
この他、補助分電盤10は、漏電発生時に自動的に閉状態から開状態に切り替わるスイッチSW11,SW12,SW13,SW14も備えている。ユーザは、これらのスイッチSW11,SW12,SW13,SW14を、メンテナンス時に手動で開状態に切り替えることができる。
【0020】
自動経路切替器SWaは、第1固定接点a、第2固定接点bおよび第1可動接点cを有している。第1固定接点aは、スイッチSW11を介して系統接続用端子T11に接続されるとともにスイッチSW11,SW12を介して第1蓄電装置接続用端子T12に接続されている。第2固定接点bは、スイッチSW13を介して第2蓄電装置接続用端子T13に接続されている。
【0021】
自動経路切替器SWaは、切替制御部11の制御下で、第1可動接点cが第1固定接点a(すなわち、系統2側)に接続された状態と、第1可動接点cが第2固定接点b(すなわち、蓄電装置20側)に接続された状態とをとることができる。
【0022】
切替制御部11は、系統接続用端子T11の電圧(すなわち系統電圧。第1固定接点aの電圧で代替可)が正常範囲から外れており、かつ第2固定接点bの電圧が系統電圧と同等であれば、第1可動接点cを第2固定接点b(蓄電装置20側)に接続させる。これ以外のとき、切替制御部11は、第1可動接点cを第1固定接点a(系統2側)に接続させる。
【0023】
手動経路切替器SWbは、第3固定接点d、第4固定接点eおよび第2可動接点fを有している。第3固定接点dは、自動経路切替器SWaの第1可動接点cに接続されるとともにスイッチSW14を介して第1V2H装置接続用端子T14に接続されている。第4固定接点eは、第2V2H装置接続用端子T15に接続されている。また、第2可動接点fは、発電装置接続用端子T16および分電盤接続用端子T17に接続されている。
【0024】
手動経路切替器SWbは、ユーザの操作により、第2可動接点fが第3固定接点d(すなわち、系統2側)に接続された状態と、第2可動接点fが第4固定接点e(すなわち、V2H装置30側)に接続された状態とをとることができる。
【0025】
蓄電装置20は、連系入出力端子T21と、自立出力端子T22と、補助入力端子T23と、4つのスイッチSW21,SW22,SW23,SW24と、電力変換部21と、蓄電部22と、制御部23とを備えている。図1には明示していないが、制御部23は、スイッチSW21,SW22,SW23,SW24の開閉を制御する。
【0026】
蓄電部22は、大容量の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)で構成されている。蓄電部22は、BMS(Battery Management System)等と呼ばれる、二次電池の状態を常時監視する回路を有していてもよい。
【0027】
電力変換部21は、双方向に動作するコンバータで構成されている。電力変換部21は、系統2から供給される系統電力、または太陽光発電装置40から供給される発電電力(後述する太陽電池で発電された電力を系統電力と同等の交流に変換した電力)を所望の直流電力に変換(AC-DC変換)することができる。これにより得られた直流電力は、蓄電部22を充電するために使用される。また、電力変換部21は、蓄電部22が出力する電力を系統電力と同等の交流電力に変換(DC-AC変換)することもできる。これにより得られた交流電力は、連系入出力端子T21または自立出力端子T22を介して補助分電盤10に出力される。電力変換部21は、これらの動作を制御部23の制御下で行う。
【0028】
蓄電装置20は、連系運転を行うことができる。このとき、制御部23は、スイッチSW21,SW22を閉状態にするとともにスイッチSW23,SW24を開状態にする。また、このとき、制御部23は、蓄電部22の残量等に応じて電力変換部21にAC-DC変換またはDC-AC変換を行わせる。例えば、制御部23は、蓄電部22の残量が比較的少ない場合は、電力変換部21に積極的にAC-DC変換を行わせて蓄電部22を充電する。
【0029】
蓄電装置20は、系統2に停電が発生したときに自立運転を行うことができる。このとき、制御部23は、スイッチSW21,SW22を開状態にするとともにスイッチSW23,SW24を閉状態にする。また、このとき、制御部23は、電力変換部21にDC-AC変換を行わせる。制御部23は、例えば連系入出力端子T21の電圧に基づいて、停電の発生/解消を検出することができる。
【0030】
なお、自立運転中に蓄電部22の残量が予め設定された値(例えば、ゼロ)まで減少すると、蓄電装置20は、自立運転を継続することができない。この場合、制御部23は、スイッチSW23,SW24を開状態に切り替えるとともに電力変換部21のDC-AC変換を停止させる。
【0031】
蓄電装置20が自立運転を継続することができなくなったとき、制御部23は、スイッチSW23のみを閉状態に切り替えるとともに電力変換部21にAC-DC変換を行わせることにより、太陽光発電装置40から供給された発電電力で蓄電部22を充電することができる。蓄電部22の残量がある程度まで回復すると、蓄電装置20は、自立運転を再開することが可能となる。
【0032】
V2H装置30は、連系入出力端子T31と、自立出力端子T32と、電動車5との接続のための充放電ケーブル31と、不図示の電力変換部とを備えている。
【0033】
V2H装置30は、連系運転を行うことができる。この運転において、V2H装置30は、連系入出力端子T31から供給される交流電力を所望の直流電力に変換して電動車5のバッテリを充電したり、電動車5のバッテリが出力する直流電力を系統電力と同等の交流電力に変換して連系入出力端子T31から補助分電盤10に出力したりする。V2H装置30は、電動車5のバッテリの残量等に応じていずれかの動作を行う。
【0034】
V2H装置30は、自立運転を行うことができる。この運転において、V2H装置30は、電動車5のバッテリが出力する直流電力を系統電力と同等の交流電力に変換して自立出力端子T32から補助分電盤10に出力する。
【0035】
V2H装置30は、電動車5の電源ソケットとの接続のための給電ケーブル(不図示)をさらに備えている。V2H装置30は、この給電ケーブルを介して電動車5から補器バッテリ電圧の供給を受けることができる。給電ケーブルは、充放電ケーブル31とは別のケーブルであってもよいし、充放電ケーブル31に内蔵されていてもよい。つまり、充放電ケーブル31が、給電ケーブルの機能を有していてもよい。
【0036】
ここで、連系入出力端子T31に現れる電圧には、(i)系統接続用端子T11→スイッチSW11→第1固定接点a→第1可動接点c→スイッチSW14の経路で印加される系統電圧と、(ii)第2蓄電装置接続用端子T13→スイッチSW13→第2固定接点b→第1可動接点c→スイッチSW14の経路で印加される蓄電装置20の自立出力電圧とがある。以下、本明細書では、(ii)に連系するV2H装置30の運転を、(i)に連系する運転と区別するために「疑似連系運転」と呼ぶこととする。
【0037】
V2H装置30は、例えば連系入出力端子T31の電圧に基づいて、停電の発生を即座に検出することができる。また、V2H装置30は、例えば連系入出力端子T31の電圧に基づいて、連系運転可能な状態への復帰を即座に検出することができる。連系運転可能な状態への復帰には、停電の解消が含まれる。
【0038】
太陽光発電装置40は、連系出力端子T41と、自立出力端子T42と、不図示の太陽電池およびパワーコンディショナ(PCS)とを備えている。
【0039】
太陽光発電装置40は、連系運転を行うことができる。この運転において、太陽光発電装置40は、太陽電池で発電された電力を系統電力と同等の交流電力に変換して連系出力端子T41から補助分電盤10に出力する。
【0040】
太陽光発電装置40は、自立運転を行うことができる。この運転において、太陽光発電装置40は、太陽電池で発電された電力を交流電力に変換して自立出力端子T42から蓄電装置20に出力する。
【0041】
ここで、連系出力端子T41に現れる電圧には、(i)系統接続用端子T11→スイッチSW11→第1固定接点a→第1可動接点c→第3固定接点d→第2可動接点fの経路で印加される系統電圧と、(ii)第2蓄電装置接続用端子T13→スイッチSW13→第2固定接点b→第1可動接点c→第3固定接点d→第2可動接点fの経路で印加される蓄電装置20の自立出力電圧と、(iii)第2V2H接続用端子T15→第4固定接点e→第2可動接点fの経路で印加されるV2H装置30の自立出力電圧とがある。以下、本明細書では、(ii),(iii)に連系する太陽光発電装置40の運転を、(i)に連系する運転と区別するために「疑似連系運転」と呼ぶこととする。
【0042】
太陽光発電装置40は、例えば連系入出力端子T41の電圧に基づいて、停電の発生を即座に検出することができる。また、太陽光発電装置40は、例えば連系入出力端子T41の電圧に基づいて、連系運転可能な状態への復帰を即座に検出することができる。連系運転可能な状態への復帰には、停電の解消が含まれる。
【0043】
次に、図2~4を参照しながら、本実施例に係る電力供給システム1の第1~3動作例について説明する。なお、各動作例では、V2H装置30に電動車5が接続されているものとする。また、各図中のハッチングは、運転が停止していることを示している。
【0044】
(第1動作例)
まず、図2を参照しながら、蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40が連系運転を行っているときに系統2に停電が発生し、その後、停電が解消した場合について説明する。
【0045】
系統2に停電が発生すると、そのことを検出した蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40が連系運転を停止する。
【0046】
その後、蓄電装置20の制御部23がスイッチSW21,SW22を閉状態から開状態に、スイッチSW23,SW24を開状態から閉状態に切り替え、蓄電装置20が自立運転を開始すると、切替制御部11の制御下で自動経路切替器SWaが系統2側から蓄電装置20側へと自動的に切り替わる。これにより、V2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41に系統電圧と同等の電圧が現れ、V2H装置30および太陽光発電装置40が疑似連系運転を開始する。
【0047】
その後、系統2の停電が解消すると、そのことを検出した蓄電装置20が自立運転を停止する。そして、この停止により、切替制御部11の制御下で自動経路切替器SWaが蓄電装置20側から系統2側へと切り替わる。また、この停止によりV2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41の電圧がゼロになり、V2H装置30および太陽光発電装置40が疑似連系運転を停止する。
【0048】
さらにその後、蓄電装置20の制御部23がスイッチSW21,SW22を開状態から閉状態に、スイッチSW23,SW24を閉状態から開状態に切り替え、蓄電装置20が連系運転を再開すると、V2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41に系統電圧が現れ、V2H装置30および太陽光発電装置40が連系運転を再開する。
【0049】
(第2動作例)
続いて、図3を参照しながら、蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40が連系運転を行っているときに系統2に停電が発生し、その後、蓄電部22の残量がゼロになった場合について説明する。
【0050】
系統2に停電が発生すると、そのことを検出した蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40が連系運転を停止する。
【0051】
その後、蓄電装置20の制御部23が、スイッチSW21,SW22を閉状態から開状態に、スイッチSW23,SW24を開状態から閉状態に切り替え、蓄電装置20が自立運転を開始すると、切替制御部11の制御下で自動経路切替器SWaが系統2側から蓄電装置20側へと自動的に切り替わる。これにより、V2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41に系統電圧と同等の電圧が現れ、V2H装置30および太陽光発電装置40が疑似連系運転を開始する。
【0052】
その後、蓄電部22の残量がゼロになると、蓄電装置20が自立運転を停止する。この停止によりV2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41の電圧がゼロになり、V2H装置30および太陽光発電装置40が疑似連系運転を停止する。
【0053】
その後、蓄電装置20に付随するディスプレイ等の表示を通じて蓄電装置20の自立運転が停止したことを知ったユーザが手動経路切替器SWbを系統2側からV2H装置30側へと切り替え、次いで、V2H装置30に付随するボタンを操作すると、V2H装置30が自立運転を開始する。これにより、太陽光発電装置40の連系入出力端子T41に系統電圧と同等の電圧が現れ、太陽光発電装置40が疑似連系運転を再開する。なお、V2H装置30に自立運転を開始させるためには、不図示の給電ケーブル、または給電ケーブルの機能を有する充放電ケーブル31を介してV2H装置30が電動車5から電力の供給を受けている必要がある。
【0054】
その後、系統2の停電が解消すると、切替制御部11の制御下で自動経路切替器SWaが蓄電装置20側から系統2側へと自動的に切り替わる。そして、連系入出力端子T31の電圧により連系運転可能な状態への復帰(停電の解消)を検出したV2H装置30が自立運転を停止する。この停止により太陽光発電装置40の連系入出力端子T41の電圧がゼロになり、太陽光発電装置40が疑似連系運転を停止する。
【0055】
その後、蓄電装置20の制御部23がスイッチSW21,SW22を開状態から閉状態に、スイッチSW23,SW24を閉状態から開状態に切り替え、蓄電装置20が連系運転を再開する。系統2の停電の解消によりV2H装置30の連系入出力端子T31に系統電圧が現れているので、V2H装置30も連系運転を再開する。
【0056】
さらにその後、蓄電装置20に付随するディスプレイ等の表示を通じて停電の解消を知ったユーザが手動経路切替器SWbをV2H装置30側から系統2側へと切り替えると、太陽光発電装置40の連系入出力端子T41に系統電圧が現れ、太陽光発電装置40も連系運転を再開する。
【0057】
(第3動作例)
続いて、図4を参照しながら、蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40が連系運転を行っているときに系統2に停電が発生し、その後、蓄電部22の残量がゼロになった場合について説明する。第2動作例とは、蓄電部22の残量がゼロになった後のユーザの行動が異なっている。
【0058】
第2動作例と同様、蓄電部22の残量がゼロになると、蓄電装置20が自立運転を停止する。この停止によりV2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41の電圧がゼロになり、V2H装置30および太陽光発電装置40が疑似連系運転を停止する。
【0059】
その後、蓄電装置20に付随するディスプレイ等の表示を通じて蓄電装置20の自立運転が停止したことを知ったユーザが太陽光発電装置40に付随するボタンを操作すると、太陽光発電装置40が自立運転を開始する。これにより、太陽光発電装置40の自立出力端子T42から発電電力が蓄電装置20の補助入力端子T23に供給され、蓄電装置20の蓄電部22が充電される。このとき、スイッチSW24は閉状態から開状態に切り替えらえる。
【0060】
その後、蓄電装置20に付随するディスプレイ等の表示を通じて蓄電部22の残量がある程度回復したことを知ったユーザが太陽光発電装置40のボタンを操作すると、太陽光発電装置40が自立運転を停止する。次いで、ユーザが蓄電装置20に付随するボタンを操作すると、スイッチSW24を開状態から閉状態に切り替え、蓄電装置20が自立運転を再開する。これにより、V2H装置30の連系入出力端子T31および太陽光発電装置40の連系入出力端子T41に系統電圧と同等の電圧が現れ、V2H装置30および太陽光発電装置40が疑似連系運転を再開する。
【0061】
系統2の停電が解消したときの動きは、第1動作例と同様である。
【0062】
このように、本実施例に係る電力供給システム1および補助分電盤10によれば、蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40の電力を住宅用分電盤3に供給することができる。また、本実施例に係る電力供給システム1および補助分電盤10によれば、系統2に停電が発生したときに、蓄電装置20が自動的に自立運転を開始するとともにV2H装置30および太陽光発電装置40が自動的に疑似連系運転を開始するので、ユーザの操作なしに住宅用分電盤3への電力の供給を再開することができる。さらに、本実施例に係る電力供給システム1および補助分電盤10によれば、残量不足により蓄電装置20が自立運転を継続できなくなった後も、V2H装置30または太陽光発電装置40の電力を有効に活用して住宅用分電盤3への電力の供給を再開することができる。
【0063】
しかも、本実施例に係る電力供給システム1および補助分電盤10によれば、蓄電池20、V2H装置30および太陽光発電装置40を接続するために必要な部材が補助分電盤10に集約されているので、特許文献1,2に記載されているような蓄電装置20用の専用分電盤(全負荷対応型分電盤)に対して必要な電材(電力線、通信線等)を追加取付してV2H装置30および太陽光発電装置40を接続可能にする場合に比べて、電材の準備、取付等が不要になり施工性を大幅に向上させることができる。
【0064】
[変形例]
以上、本発明の実施例に係る電力供給システム1および補助分電盤10について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0065】
例えば、漏電の検出およびメンテナンスを考慮する必要がない場合は、補助分電盤10のスイッチSW11,SW12,SW13,SW14を省略することができる。
【0066】
また、ユーザが各装置の運転状態を切り替えるための手段は、各装置に付随するボタンに限定されない。例えば、蓄電装置20に付随するディスプレイがタッチパネルディスプレイである場合は、蓄電装置20、V2H装置30および太陽光発電装置40の運転状態を切り替えるためのボタンをディスプレイに表示してもよい。あるいは、各装置とユーザの携帯端末(スマートフォン、タブレット端末)とを通信で接続し、携帯端末で各装置の運転状態を切り替える操作を行えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 電力供給システム
2 商用電力系統
3 住宅用分電盤
4 住宅負荷
5 電動車
10 補助分電盤
11 切替制御部
20 蓄電装置
21 電力変換部
22 蓄電部
23 制御部
30 V2H装置
31 充放電ケーブル
40 太陽光発電装置
SWa 自動経路切替器
SWb 手動経路切替器
T11 系統接続用端子
T12 第1蓄電装置接続用端子
T13 第2蓄電装置接続用端子
T14 第1V2H接続用端子
T15 第2V2H接続用端子
T16 発電装置接続用端子
T21 連系入出力端子
T22 自立出力端子
T23 補助入力端子
T31 連系入出力端子
T32 自立出力端子
T41 連系出力端子
T42 自立出力端子
図1
図2
図3
図4