(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143720
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】遠心送風機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/18 20060101AFI20220926BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20220926BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20220926BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20220926BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H02K3/18 J
F04D29/60 J
F04D29/42 M
H02K11/33
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044393
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和彦
【テーマコード(参考)】
3H130
5H603
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC01
3H130AC11
3H130AC13
3H130AC19
3H130BA88A
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3H130BA95A
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3H130DD01X
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5H603AA03
5H603BB10
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5H603CA05
5H603CB00
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5H603CC05
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5H603CD21
5H607BB01
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5H607CC01
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5H607FF04
5H611BB01
5H611BB07
5H611TT01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コモン線結合部を他の部材から容易に絶縁することができるとともに、コモン線結合部の絶縁状態を確実に維持することができる遠心送風機を提供する。
【解決手段】下ケーシングの内側にインペラと、インペラを回転するモータと、モータを駆動制御する回路基板144とを収容した遠心送風機である。回路基板144の軸方向一端部側にモータを配置し、回路基板144の軸方向他端部側にエンドキャップ160を設け、エンドキャップ160は、軸方向に延在する内側環状部162と、内側環状部162の内周面から径方向内側に突出するポケット部163を備えている。モータは3相ブラシレスモータであり、3相のコイルがスター結線で巻回されてコモン線結合部143aを有し、コモン線結合部143aは回路基板144から軸方向他端部側に突出して、エンドキャップ160のポケット部163に収容されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内側にインペラと、前記インペラを回転するためのモータと、前記モータを駆動制御するための回路を搭載した回路基板と、を収容した遠心送風機であって、
前記回路基板の軸方向一端部側に前記モータを配置し、前記回路基板の軸方向他端部側にエンドキャップを設け、
前記エンドキャップは、軸方向に延在する環状部と、前記環状部の内周面から径方向内側に突出する筒状部を備え、
前記モータはステータを有する3相ブラシレスモータであり、前記ステータには3相のコイルがスター結線で巻回されてコモン線結合部を有し、
前記コモン線結合部は前記回路基板から前記軸方向他端部側に突出して、前記エンドキャップ の前記筒状部に収容されている遠心送風機。
【請求項2】
前記筒状部は軸方向に延在し、前記コモン線結合部は軸方向に延在して収容されている請求項1に記載の遠心送風機。
【請求項3】
前記ケーシングは上ケーシングと下ケーシングを有し、
前記エンドキャップは前記下ケーシングに取り付けられている請求項1または2に記載の遠心送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インペラを回転させるモータにおけるコモン線結合部を容易に絶縁することができる遠心送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心送風機は、家電機器、OA機器、産業用や車両用の空気調和装置における送風、換気、冷却等に広く用いられている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示されている遠心送風機は、
図10に示すように、ケーシング10を備え、ケーシング10の内側には、複数の羽根21を備えたインペラ20と、インペラ20を回転させるモータ30が収容されている。
【0003】
ここで、モータ30としては3相のブラシレスモータを使用する場合がある。ブラシレスモータのコイルの結線方式として、デルタ結線とスター結線(Y結線)の方式が知られており、3相のブラシレスモータでのU相、V相、およびW相の各コイルをスター結線した場合、中性点であるコモン線で各コイルを接続しており、このコモン線を他の部材から絶縁する必要がある。
【0004】
コモン線を他の部材から絶縁するために、一般にはコモン線の結合部に絶縁チューブを被せているが、例えば特許文献2では、絶縁チューブを用いない方式が提案されている。
図11および
図12は、そのようなコモン線結合部を有するブラシレスモータを示すもので、絶縁カバー2Bと一体的に形成された絶縁壁部6Cに、コモン線結合部固定溝6Dを形成し、コモン線結合部固定溝6Dにコモン線結合部4を押し込んで固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-016152号公報
【特許文献2】特開平4-317534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたブラシレスモータを特許文献1に記載された遠心送風機のモータとして適用した場合、コモン線結合部固定溝6Dにコモン線結合部4を押し込むために、コモン線結合部4を複数回折り曲げる作業が必要となる。また、コモン線結合部4のコモン線結合部固定溝6Dへの押し込みが不充分な場合、コモン線結合部4がコモン線結合部固定溝6Dから軸方向に飛び出し、他の部材との絶縁が確保できなくなる虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、インペラを回転させるためのモータにおけるコモン線結合部に絶縁チューブを被せる必要がないことは勿論のこと、コモン線結合部を他の部材から容易に絶縁することができるとともに、コモン線結合部の絶縁状態を確実に維持することができる遠心送風機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ケーシングの内側にインペラと、前記インペラを回転するためのモータと、前記モータを駆動制御するための回路を搭載した回路基板とを収容した遠心送風機であって、前記回路基板の軸方向一端部側に前記モータを配置し、前記回路基板の軸方向他端部側にエンドキャップを設け、前記エンドキャップは、軸方向に延在する環状部と、前記環状部の内周面から径方向内側に突出する筒状部を備え、前記モータはステータを有する3相ブラシレスモータであり、前記ステータには3相のコイルがスター結線で巻回されてコモン線結合部を有し、前記コモン線結合部は前記回路基板から前記軸方向他端部側に突出して、前記エンドキャップの前記筒状部に収容されている遠心送風機である。
【0009】
本発明によれば、コモン線結合部が回路基板から軸方向他端部側に突出して、エンドキャップの筒状部に収容されているから、コモン線結合部を筒状部に挿入するだけでコモン線結合部を他の部材から絶縁することができ、作業性を向上させることができる。したがって、コモン線結合部を他の部材から容易に絶縁することができる。また、コモン線結合部の周囲が筒状部によって囲まれるので、絶縁状態を確実に維持することができる。
【0010】
ここで、筒状部の向きは任意であるが、軸方向に延在していることが好ましい。このような態様では、コイルから引き出されたコモン線結合部を折り曲げることなく筒状部と相対的に軸方向へ移動させて筒状部に挿入することができ、作業性をさらに向上させることができる。
【0011】
また、ケーシングは上ケーシングと下ケーシングを有し、エンドキャップを下ケーシングに取り付けることができる。この場合、エンドキャップの縁部に径方向外側に突出するフランジ部を形成し、フランジ部に形成した貫通孔に下ケーシングのボス部を貫通させてかしめ固定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インペラを回転させるためのモータにおけるコモン線結合部に絶縁チューブを被せる必要がないことは勿論のこと、コモン線結合部を他の部材から容易に絶縁することができるとともに、コモン線の絶縁状態を確実に維持することができる遠心送風機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)は本発明の実施形態の遠心送風機の裏面図であり、(B)は(A)の矢印Bで示す部分の拡大図である。
【
図4】
図3の矢印IVで示す部分を拡大した図である。
【
図5】実施形態の下ケーシングを示す斜視図である。
【
図7】(A)は
図5の矢印VIIで示す部分の拡大図であり、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図8】実施形態におけるエンドキャップを示す斜視図である。
【
図9】実施形態におけるエンドキャップを示す裏面図である。
【
図10】従来の遠心ファン(特許文献1)を示す断面図である。
【
図11】従来のブラシレスモータ(特許文献2)のステータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.遠心送風機の構成
図1は実施例1の遠心送風機100の裏面図、
図2は
図1のII-II線断面図、
図3は
図2の要部拡大図である。遠心送風機100は、軸中心側の内側空間と該内側空間の周囲の環状の部分に配置された複数の羽根121を備え、回転することで前記内側空間から複数の羽根121の間を介して遠心方向に排気を行うインペラ120と、インペラ120を回転自在な状態で内側に納めた渦巻き形状のケーシング110と、インペラ120の内側空間を臨む位置に設けられた開口であり、インペラ120の内側空間に空気を導く吸込口114とを備えている。
【0015】
遠心送風機100は、ケーシング110を備えている。ケーシング110は、
図2に示すように、樹脂で成形した上ケーシング111と、樹脂で成形した下ケーシング112とから構成されている。
図5に示すように、下ケーシング112の外周の下縁部には、半径方向外側へ向けて突出する爪部112aが円周方向に等間隔に形成されている。一方、上ケーシング111の外周には、
図1に示すように、矩形枠状の係合部111aが形成され、係合部111aに爪部112aが挿入されて係合することにより、上ケーシング111と下ケーシング112とが結合している。ケーシング110の内側には、
図2に示すように、複数の羽根121を備えたインペラ120が回転可能な状態で収容されている。
【0016】
なお、本実施形態では、下ケーシング112に主たる構成が含まれているので、
図2および
図3は上下を逆にして示している。したがって、以下の説明において「上」や「下」等の方向を示す用語は、
図2および
図3における方向を示すものとして用いている。
【0017】
ケーシング110の内側には、渦巻き状の流路113(
図2参照)が形成されている。流路113は、インペラ120とケーシング110の間の隙間が最小となる部分を始端とし、そこから時計回りの周方向に進むに従って断面積が徐々に大きくなる構造を有している。流路113の終端には、吐出口115が形成されている。すなわち、渦巻き状の流路113は、吐出口115に向かって徐々に断面積が拡大する構造を有している。
【0018】
上ケーシング111は、軸方向に開口する吸込口114を備えている。ここで、軸とは、インペラ120のシャフト151であり、軸方向とはその延在方向のことである。下ケーシング112は他の装置や筐体に取り付けて固定するための固定脚116を備えていると共に、インペラ120を回転させるためのモータ130(
図2参照)が取り付けられている。なお、
図1(A)において符号116aは金属製のカラーである。
【0019】
図2に示すように、モータ130のシャフト151にインペラ120が固定され、モータ130が回転すると、インペラ120が回転する。インペラ120が回転すると、空気が吸込口114から吸い込まれ、インペラ120の内側(軸中心側の内部空間)に導かれる。この空気が羽根121の作用により、インペラ120の内側から遠心方向に吹き出される。インペラ120から吹き出された空気は、渦巻き状の流路113を
図1の吐出口115に向かって流れ、吐出口115から排気される。
【0020】
インペラ120は、頂面を構成するカップ状のハブ122と、ハブ122の外側の環状の部分に軸方向に立てた状態で配置された複数の羽根121と、複数の羽根121のハブ122と反対側の端部を連結する環状の連結リング123とを有している。羽根121はすべて同じ形状で、インペラ120の回転方向に対して凹んだ前向き羽根形状を有し、周方向に均等配置されている。複数の羽根121の内側(軸中心側)には内側空間が設けられ、インペラ120が回転すると、この内側空間から羽根121を介して遠心方向に空気が吹き出される。
【0021】
図3に示すように、ハブ122は、その中央に凸形状に下方に向けて突出するボス部124を有し、ボス部124には貫通孔124aが形成されている。この貫通孔124aの内周には筒状をなす金属製(例えば真鍮)のブッシュ125がインサート成形により固定され、ブッシュ125にモータ130のシャフト151が圧入され、これにより、インペラ120がシャフト151に結合されている。シャフト151は、モータ130の回転軸であり、インペラ120と結合されることで、インペラ120の回転軸も兼ねている。ハブ122と複数の羽根121と連結リング123は樹脂で一体的に形成されている。
【0022】
2.モータの構成
モータ130は、インナーロータ型の3相ブラシレスモータで、磁性の金属材料からなるカップ状のハウジング131を備えている。ハウジング131の内周面には、ステータ140が配置されている。ステータ140は、電磁鋼板からなるコアを所定枚数積層したステータコア141と、ステータコア141に装着したインシュレータ142と、インシュレータ142を介してステータコア141に巻回したコイル143と、インシュレータ142の上方に配置された回路基板144とを備えている。ステータコア141は環状のコアバック部から径方向内側に延在する複数のティースを有し、ティースにはインシュレータ142を介して3相(U相、V相、W相)のコイル143がスター結線(Y結線)にて巻回されている。
【0023】
ステータコア141の内側には、ロータ150が配置されている。ロータ150は、金属製のシャフト151と、シャフト151の上端部に結合されたカップ状のロータヨーク152と、ロータヨーク152の外周面に固着されたリング状のロータマグネット153とを備えている。磁性の金属材からなるロータヨーク152の中央には、例えば、バーリング加工にてボス部152aが形成され、ボス部152aにシャフト151が圧入されることでシャフト151とロータヨーク152が結合されている。
【0024】
ハウジング131の中央にはボス部131aが形成され、ボス部131aには、金属製(例えば、真鍮)の軸受ホルダー132が圧入されている。軸受ホルダー132には、一対のボールベアリング133が装着され、シャフト151は、一対のボールベアリング133によって回転可能に支持されている。一対のボールベアリング133の間には、圧縮コイルバネ134が介装され、ボールベアリング133の外輪へ付勢することにより、ボールベアリング133に予圧を付与している。
【0025】
図4に示すように、ハウジング131の開口部の周縁には、径方向外側に延在する複数のフランジ部131bが円周方向に等間隔に形成されている。各フランジ部131bには円周方向に沿って長い貫通孔131cが形成されている。この貫通孔131cは、後述する下ケーシング112との接合に利用される。
【0026】
図3に示すように、ステータコア141の軸方向の上側には、モータ130を駆動制御するための回路を搭載した回路基板144が配置されている。ステータコア141に巻回されたU相、V相、W相の各相のコイルの端末は、回路基板144の実装面に形成された配線パターンに接続する貫通孔(図示略)に挿入されて半田145にて接続されている(
図5参照)。
【0027】
なお、
図5に現れている面が回路基板144の実装面である。また、U相、V相、W相の各コイル143の他方の端末は束ねて撚り合わせて半田で接続されてコモン線結合部143aとされ(
図7参照)、コモン線結合部143aは、ハウジング131の軸方向上側に配置されたエンドキャップ160に形成されたポケット部(筒状部)163の中に収容されている。
【0028】
3.エンドキャップの構成
ハウジング131の軸方向上側には、樹脂製のエンドキャップ160が装着されている。
図7および
図8はエンドキャップ160を示す図である。エンドキャップ160は、外側環状部161と、外側環状部161の内側に隙間161aを空けて配置された内側環状部162とを備えている。内側環状部162の内周面には、半径方向内側に突出するポケット部163が形成されている。
【0029】
ポケット部163は、
図7および
図9に示すように、断面形状が略半円弧状をなす両端が開口した筒状のものである。なお、
図9はエンドキャップ160の裏面図である。
図7(B)に示すように、回路基板144の外周縁には、ポケット部163の形状に合わせた略半円状の切欠144aが形成され、ポケット部163の下端部は、切欠き144aの中に収容されている。各相のコイルのコモン結合部143aは、回路基板144の切欠144aから軸方向に突出してポケット部163に挿入されている。そして、各コイル端末の先端はコモン結合部143aにおいて互いに半田接合されている。
【0030】
図8に示すように、エンドキャップ160の外側環状部161の外周面には半径方向外側に突出する複数(この例では4個)のフランジ部164が円周方向に等間隔に形成され、フランジ部164には、円周方向に沿って長い貫通孔164aが形成されている。また、エンドキャップ160の外側環状部161の外周面には半径方向外側に突出する複数(この例では5個)のフレーム165が形成されている。フレーム165は平面視で矩形状をなし、軸方向に貫通している。フレーム165は、後述するカバー170を取り付けるためのものである。
【0031】
エンドキャップ160にはコネクタハウジング166が一体的に形成されている。コネクタハウジング166には、コネクタピン167がインサート成形によってコネクタハウジング166と一体的に形成されている。コネクタピン167はクランク状をなし、その一端部は、回路基板144に形成した貫通孔(図示略)に通され、反実装面(
図7(A)における回路基板144の裏面)で半田接合されている。コネクタピン167の他端部は、コネクタハウジング166の内部空間に突出し、コネクタハウジング166に挿入されるソケットに接続される。
【0032】
エンドキャップ160には、複数(この例では2個)の接続端子168がフランジ部164の位置にインサート成形によってエンドキャップ160と一体的に形成されている。接続端子168はL字状をなし、その断面角状をなす一端部(
図8参照)は、回路基板144に形成した貫通孔(図示略)に通され、反実装面で半田接合されている。貫通孔は、回路基板144に形成したGNDパターン(ベタパターン)に接続されている。
【0033】
図4に示すように、接続端子168の他端部は、エンドキャップ160のフランジ部164の下面に露出しており、フランジ部164の下面と、ハウジング131のフランジ部131bの上面によって挟まれている。これにより、回路基板144のGNDパターンが基準電位(例えばゼロボルト)に設定される。
【0034】
ここで、
図4を参照してエンドキャップ160の取り付け構造について説明する。
図4に示すように、下ケーシング112には、図中上方へ突出するボス部112bが形成されている。ボス部112bは、ハウジング131のフランジ部131bに形成した貫通孔131cと、エンドキャップ160のフランジ部164に形成した貫通孔164aを貫通して上方へ突出し、その上端部が熱カシメされてフランジ部164を押圧する頭部112cが形成されている。この構成により、下ケーシング112にエンドキャップ160が結合されている。
【0035】
エンドキャップ160には、モータ130内部への塵や異物等の侵入を防止するため、樹脂製のカバー170が装着されている。カバー170は、略円形のカップ状をなし、その周縁部171は軸方向に延在している。周縁部171の端部は、下方へ向かうに従って厚さが漸次減少するテーパ部171aとされている。
【0036】
そして、エンドキャップ160の外側環状部161と外側環状部161の間の隙間161aにテーパ部171aを押し込むことにより、カバー170はエンドキャップ160に着脱可能に取り付けられている。また、カバー170の周縁部171の外周面には、半径方向外側に突出する複数(この例では5個)の突起172が形成されている(
図1参照)。突起172は、エンドキャップ160に形成したフレーム165に嵌合することにより、カバー170の回り止めとなっている。
【0037】
4.遠心送風機の組立方法
i)回路基板とエンドキャップの結合
図8に示す複数のコネクタピン167の角状の下端部をそれぞれ回路基板144の実装面側から貫通孔に挿入し、回路基板144の反実装面から突出したそれぞれのコネクタピン167の先端を半田で接続する。また、接続端子168の角状の下端部を回路基板144に形成されGNDパターンに接続されている貫通孔に挿入し、回路基板144の反実装面から突出した接続端子の先端を半田で接続する。これにより、エンドキャップ160と回路基板144とが結合される。
【0038】
ii)モータと回路基板との結合
モータ130のステータ140に巻回した3相コイルのU相、V相、W相それぞれの端末を束ねて撚り合わせてコモン線結合部143aとする。このコモン線結合部143aを互いに半田接合し、所定の長さに切断する。この半田接合したコモン線結合部143aを軸方向に平行になるように折り曲げて直立させる。また、各相のコイルの端末も、軸方向に平行になるように折り曲げて直立させる。
【0039】
U相、V相、W相それぞれの端末を、回路基板144の反実装面側から所定の貫通孔に挿入すると共に、コモン線結合部143aは、回路基板144の外周縁に形成した切欠144aから実装面側に突出させてエンドキャップ160の内周面に形成したポケット部163内に収容する。以上の操作は、回路基板144が結合されたエンドキャップ160とモータ130のハウジング131とを互いに接近させることにより行う。そして、実装面側に突出したU相、V相、W相それぞれの端末の先端を半田145(
図5および
図7参照)で接続する。これによって、エンドキャップ160にインサート形成した接続端子168は、モータ130のハウジング131のフランジ部131bに当接する。
【0040】
iii)モータと下ケーシングとの結合
エンドキャップ160及び回路基板144が結合されたモータ130を、下ケーシング112の上側の開口に上方から挿入する。このとき、下ケーシング112の開口の周囲に形成したボス部112bをモータ130のハウジング131のフランジ部131bに形成した貫通孔131cとエンドキャップ160のフランジ部164に形成した貫通孔164aに挿通する。
【0041】
そして、エンドキャップ160のフランジ部164の貫通孔164aから突出したボス部112bの先端を加熱して押し広げて塑性変形させて頭部112cを成形する。この頭部112cの成形によって、接続端子168は、エンドキャップ160とモータ130のハウジング131のフランジ部131bとの間に挟持され、かつモータ130のハウジング131のフランジ部131bに当接して密着される。
【0042】
iv)インペラのモータへの結合
下ケーシング112の下側の開口にインペラ120を挿入し、インペラ120のブロック125にシャフト151の下端部を圧入する。
【0043】
V)その他
エンドキャップ160の外側環状部161および内側環状部162の間の隙間161aにカバー170の周縁部171のテーパ部171aを圧入し、カバー170をエンドキャップ160に取り付ける。また、下ケーシング112の爪部112aを上ケーシング111の係合部111aに挿入して係合し、上ケーシング111と下ケーシング112とを結合する。
【0044】
5.効果
上記構成の遠心送風機100によれば、コモン線結合部143aが回路基板144から軸方向上側に突出して、エンドキャップ160のポケット部163に収容されているから、コモン線結合部143aにチューブを被せる必要がないことは勿論のこと、コモン線結合部143aをポケット部163に挿入するだけでコモン線結合部143aを他の部材から絶縁することができ、作業性を向上させることができる。したがって、コモン線結合部143aを他の部材から容易に絶縁することができる。また、コモン線結合部143aの周囲がポケット部163によって囲まれるので、絶縁状態を確実に維持することができる。
【0045】
特に、上記実施形態では、ポケット部163が軸方向に延在しているから、コモン線結合部143aを折り曲げることなく軸方向に延在させ、コモン線結合部143aをポケット部163と相対的に軸方向へ移動させてポケット部163に挿入することができ、作業性をさらに向上させることができる。
【0046】
6.変更例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく以下のように種々の変更が可能である。
i)エンドキャップ160のフランジ部164に下方へ突出するボス部を形成し、モータ130のハウジング131のフランジ部131bに形成した貫通孔131cにボス部を挿入し、貫通孔131cから突出したボス部の先端を加熱して塑性変形させてカシメ固着することができる。
ii)ハウジング131のフランジ部131bをエンドキャップ160の内周面に圧入して嵌着させることができる。
iii)ポケット部163は軸方向に対して傾斜ないし直交していてもよい。
iv)ポケット部163の上端開口を蓋で閉塞することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、家電機器、OA機器、産業用や車両用の空気調和装置における送風、換気、冷却等に用いられる遠心送風機に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
100…遠心送風機、110…ケーシング、111…上ケーシング、111a…係合部、112…下ケーシング、112a…爪部、112b…ボス部、112c…頭部、113…流路、114…吸込口、115…吐出口、116…固定脚、116a…カラー、120…インペラ、121…羽根、122…ハブ、123…連結リング、124…ボス部、124a…貫通孔、125…ブッシュ、130…モータ、131…ハウジング、131a…ボス部、131b…フランジ部、131c…貫通孔、132…軸受ホルダー、133…ボールベアリング、134…圧縮コイルバネ、140…ステータ、141…ステータコア、142…インシュレータ、143…コイル、143a…コモン線結合部、144…回路基板、144a…切欠、145…半田、150…ロータ、152…ロータヨーク、152a…ボス部、153…ロータマグネット、151…シャフト、160…エンドキャップ、161…外側環状部、161a…隙間、162…内側環状部、163…ポケット部(筒状部)、164…フランジ部、164a…貫通孔、165…フレーム、166…コネクタハウジング、167…コネクタピン、168…接続端子、170…カバー、171…周縁部、171a…テーパ部、172…突起。