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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143751
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】フィラーパイプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20220926BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F02M37/00 301M
B60K15/04 C
F02M37/00 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044436
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 紘之
(72)【発明者】
【氏名】多田 智記
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA04
3D038CC03
3D038CC13
3D038CD14
(57)【要約】
【課題】フィラーパイプ本体部とブリーザパイプの分岐部近傍で肉厚のバラツキ発生を防止した、ブロー成形方法により成形されるフィラーパイプを提供する。
【解決手段】フィラーネック本体部5、分岐部6、フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4がブロー成形方法によって、一体に形成されるフィラーパイプ1であって、フィラーパイプ本体部2は、断面において、接続部4の一方の端部と連結する略直線状のフィラーパイプ本体部縦辺部7を有し、ブリーザパイプ3は、断面において、接続部4の他方の端部と連結する略直線状のブリーザパイプ縦辺部8を有し、分岐部6、分岐部6の燃料タンク側のフィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4は、フィラーネック本体部5側から見た時に、フィラーネック本体部5の外形の内側に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラーネック本体部と、前記フィラーネック本体部の燃料タンク側でフィラーパイプ本体部とブリーザパイプが分岐部で分岐されて前記フィラーネック本体部と連通し、前記フィラーパイプ本体部と前記ブリーザパイプは、接続部で連結され、前記フィラーネック本体部、前記分岐部、前記フィラーパイプ本体部、前記ブリーザパイプ及び前記接続部がブロー成形方法によって、一体に形成されるフィラーパイプであって、
前記フィラーパイプ本体部は、断面において、前記接続部の一方の端部と連結する略直線状のフィラーパイプ本体部縦辺部を有し、
前記ブリーザパイプは、断面において、前記接続部の他方の端部と連結する略直線状のブリーザパイプ縦辺部を有し、
前記分岐部、前記分岐部の燃料タンク接続側の前記フィラーパイプ本体部、前記ブリーザパイプ及び前記接続部は、
前記フィラーネック本体部側から見た時に、前記フィラーネック本体部の外形の内側に形成されていることを特徴とするフィラーパイプ。
【請求項2】
前記フィラーパイプ本体部縦辺部と前記ブリーザパイプ縦辺部は、前記接続部と略垂直に接続されている請求項1に記載のフィラーパイプ。
【請求項3】
前記接続部は、両端部において、前記フィラーパイプ本体部縦辺部の中央部近傍、前記ブリーザパイプ縦辺部の中央部近傍で接続する請求項1又は請求項2項に記載のフィラーパイプ。
【請求項4】
前記フィラーネック本体部は断面が円形の筒状であり、前記フィラーパイプ本体部と前記ブリーザパイプの前記接続部と反対側は、断面において、弧形状に形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフィラーパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形方法により、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプが、接続部で一体に連結されて成形されるフィラーパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロー成形方法により、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプが、接続部によって連結されて一体に成形されるフィラーパイプに関する成形方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のフィラーパイプ1は、図5に示すように、中空状のフィラーパイプ本体部2と、フィラーパイプ本体部2に沿って形成される中空状のブリーザパイプ3と、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3を接続する板状の接続部4を有し、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3は、その先端部分で相互に連通している。
【0004】
又、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3が連通した給油口側のフィラーパイプ本体部2には、中空状のフィラーネック本体部5が連結され、フィラーネック本体部5、フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4は、ブロー成形方法により一体に成形されている。フィラーネック本体部5は、断面が円形の筒状であり、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3のフィラーネック本体部5近傍の断面も円形である。
【0005】
又、フィラーネック本体部5とフィラーパイプ本体部2の円は、略同心になっている。又、フィラーパイプ本体部2の内径は、フィラーネック本体部5の内径より小さく、ブリーザパイプ3の内径は、フィラーパイプ本体部2の内径より小さい。
【0006】
図6(a)は、図5のA-A線に沿った断面図であり、図6(b)は、図5のB-B線に沿った断面図である。又、図7は、図5をフィラーネック本体部5側から、すなわち、E方向から見た時の、図6(a)と図6(b)の位置関係を示す図である。図7から明らかなように、ブリーザパイプ3がフィラーネック本体部5からはみ出している。
【0007】
特許文献1のブロー成形方法では、上下に開く金型を使用し、下型の上に中空状のパリソンを載置し、金型を閉じた後、パリソン内に空気を吹き込み、パリソンを膨らませ、金型形状に沿って成形を行う。又、図6(b)のフィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3と接続部4を形成する部分の金型には、スライドコアが配設され、接続部4とその近傍の成形に関与している。
【0008】
ところで、図5のフィラーパイプ1をブロー成形するには、フィラーネック本体部5、フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4が図7のように配置されているので、フィラーネック本体部5からフィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3の分岐部6、分岐部6からフィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3と接続部4に渡り、所定の形状と肉厚で成形するためには、押し出されたパリソンの重心を、図8に示すように、Z方向について、中心軸からX方向にずらしながらブロー成形金型の下型上に載置し、その後に、上型を閉じてブロー成形を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-107488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このフィラーネック本体部5からフィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3の分岐部6、分岐部6からフィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3と接続部4に至る部分では、図8から明らかなように、パリソンの重心をずらして金型上に載置する、すなわち、X方向のオフセット(位置のずれ量)を大きくする必要があるので、成形後のフィラーパイプ1の分岐部6近傍領域において肉厚のバラツキが発生する。
【0011】
そのため、本発明は、ブロー成形時に、上記の肉厚のバラツキの発生を防止するフィラーパイプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、フィラーネック本体部と、フィラーネック本体部の燃料タンク側でフィラーパイプ本体部とブリーザパイプが分岐部で分岐されてフィラーネック本体部と連通し、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプは、接続部で連結され、フィラーネック本体部、分岐部、フィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部がブロー成形方法によって、一体に形成されるフィラーパイプであって、フィラーパイプ本体部は、断面において、接続部の一方の端部と連結する略直線状のフィラーパイプ本体部縦辺部を有し、ブリーザパイプは、断面において、接続部の他方の端部と連結する略直線状のブリーザパイプ縦辺部を有し、分岐部、分岐部の燃料タンク接続側のフィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部は、フィラーネック本体部側から見た時に、フィラーネック本体部の外形の内側に形成されていることを特徴とするフィラーパイプである。
【0013】
請求項1の本発明では、フィラーパイプ本体部は、断面において、接続部の一方の端部と連結する略直線状のフィラーパイプ本体部縦辺部を有し、ブリーザパイプは、断面において、接続部の他方の端部と連結する略直線状のブリーザパイプ縦辺部を有し、分岐部、分岐部の燃料タンク接続側のフィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部は、フィラーネック本体部側から見た時に、フィラーネック本体部の外形の内側に形成されている、すなわち、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプが潰れた形状で接続部と接続されるので、従来のフィラーパイプ本体部とブリーザパイプの断面積を維持しつつ、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプを接近させて形成することができる。
【0014】
そのため、分岐部、分岐部の燃料タンク側のフィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部を、フィラーネック本体部側から見た時に、フィラーネック本体部の外形の内側に形成することができ、分岐部、分岐部からフィラーパイプ本体部とブリーザパイプと接続部に至る部分において、パリソンの重心をずらさず、すなわち、パリソンの重心のX方向のオフセット(位置のずれ量)をゼロ、又は、極めて小さくして成形することができる。その結果、成形後のフィラーパイプの分岐部近傍において肉厚のバラツキの発生を防止することができる。
【0015】
なお、略直線は、直線のみならず若干の弧形状を含むものであり、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部が共に直線、一方が直線で他方が若干の弧形状、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部が共に若干の弧形状の場合を含む。
【0016】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部は、接続部と略垂直に接続されているフィラーパイプである。
【0017】
接続部の両端に接続する略直線のフィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部を有するフィラーパイプをブロー成形する場合、フィラーパイプ本体部縦辺部、ブリーザパイプ縦辺部及び接続部の成形はスライドコアを使用して行うと均等な肉厚で成形することができる。
【0018】
請求項2の本発明では、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部は、接続部と略垂直に接続されているので、斜めに形成した場合に比較して、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部を短く形成することができる。又、スライドコアを金型に対して垂直方向に前進、後退させて成形するので、スライドコアの移動量(スライド量)を少なくすることができる。その結果、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部及びフィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部の形成に伴って形成される潰れ部分の角部の肉厚を均一に成形することができる。なお、略垂直は、成形後に金型を開く時の抜き勾配を考慮するものである。
【0019】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、接続部は、両端部において、フィラーパイプ本体部縦辺部の中央部近傍、ブリーザパイプ縦辺部の中央部近傍で接続するフィラーパイプである。
【0020】
請求項3の本発明では、接続部は、両端部において、フィラーパイプ本体部縦辺部の中央部近傍、ブリーザパイプ縦辺部の中央部近傍で接続するフィラーパイプであるので、スライドコアの進入量を上下、又は、左右に開閉する金型の両方に、ほぼ均等に受け持ちさせることができる。
【0021】
その結果、フィラーパイプ本体部縦辺部とブリーザパイプ縦辺部の形成に伴って形成される潰れ部分の角部の肉厚をより均一に形成することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、請求項1から請求項3の発明において、フィラーネック本体部は断面が円形の筒状であり、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプの接続部と反対側は、断面において、弧形状に形成されているフィラーパイプである。
【0023】
請求項4の本発明では、フィラーネック本体部は断面が円形の筒状であり、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプの接続部と反対側は、断面において、弧形状に形成されているので、フィラーネック本体部の外形内にフィラーパイプ本体部とブリーザパイプを、接続部を挟んで形成する時に、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプの断面積を大きく形成することができる。
【0024】
その結果、分岐部、分岐部からフィラーパイプ本体部とブリーザパイプと接続部に至る部分において、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプの断面積を十分に確保しつつ、パリソンの重心をずらさず、すなわち、パリソン重心のX方向のオフセット(位置のずれ量)をゼロ、又は、極めて小さくして成形することができ、成形後のフィラーパイプの分岐部近傍において肉厚のバラツキの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
フィラーネック本体部と、フィラーネック本体部の燃料タンク接続側でフィラーパイプ本体部とブリーザパイプが分岐部で分岐されてフィラーネック本体部と連通し、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプは、接続部で連結し、フィラーネック本体部、分岐部、フィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部がブロー成形方法によって、一体に形成されるフィラーパイプであって、フィラーパイプ本体部は、断面において、接続部の一方の端部と連結する略直線状のフィラーパイプ本体部縦辺部を有し、ブリーザパイプは、断面において、接続部の他方の端部と連結する略直線状のブリーザパイプ縦辺部を有し、分岐部、分岐部の燃料タンク接続側のフィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部は、フィラーネック本体部側から見た時に、フィラーネック本体部の外形の内側に形成されている、すなわち、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプが潰れた形状で接続部と接続されるので、従来のフィラーパイプ本体部とブリーザパイプの断面積を維持しつつ、フィラーパイプ本体部とブリーザパイプを接近させて形成することができる。
【0026】
そのため、分岐部、分岐部の燃料タンク側のフィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ及び接続部を、フィラーネック本体部側から見た時に、フィラーネック本体部の外形の内側に形成することができるので、分岐部、分岐部からフィラーパイプ本体部とブリーザパイプと接続部に至る部分において、パリソンの重心をずらさず、すなわち、パリソンのX方向のオフセット(位置のずれ量)をゼロ、又は、極めて小さくして成形することができる。その結果、成形後のフィラーパイプの分岐部近傍において肉厚のバラツキの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態で成形したフィラーパイプの正面図である。
図2】(a)は、図1のA-A線に沿った断面図であり、(b)は、図1のB-B線に沿った断面図である。
図3図1を方向Eから見た時の、図2(a)と図2(b)との関係を示すと共に、フィラーパイプ本体部、ブリーザパイプ、接続部の成形部の金型内のパリソンの重心の位置を示した断面図である。
図4】本発明の実施形態の効果を示す、パリソンの重心の位置のオフセットに関するグラフである。
図5】従来のフィラーパイプの正面図である(特許文献1)。
図6】(a)は、図5のA-A線に沿った断面図であり、(b)は、図5のB-B線に沿った断面図である。
図7図5を方向Eから見た時の、図6(a)と図6(b)との関係を示した断面図である。
図8図5のフィラーパイプを成形する時のパリソンの重心の位置のオフセットに関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について、図1から図4基づき説明する。本発明のフィラーパイプ1は、自動車の車体の給油口から燃料タンクに燃料を給油するため樹脂製のパイプであり、図1に示すように、フィラーネック本体部5と、フィラーネック本体部5の燃料タンク側でフィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3が分岐部6で分岐されてフィラーネック本体部5と連結している。フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3は、板状の接続部4で連結されており、特に燃料タンク側で三次元に屈曲した形状を有している。又、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3は、先端部分で相互に連通している。
【0029】
フィラーパイプ1は、ブロー成形方法によって一体に形成される。なお、給油口側端部9と燃料タンク側端部10は、成形後に除去されるので、フィラーパイプ1の両端部には、共に断面円形の開口部が現れる。
【0030】
フィラーネック本体部5の給油口側の開口部には、図示しないが、例えば、注入通路を有し、燃料キャップを開閉自在に取付ける溝が形成された取付金具が装着され、給油時は、燃料キャップを外し、注入通路に燃料供給ガンのノズルを差し込んで給油を行う。
【0031】
一般的に、ブロー成形は、熱により柔らかくした樹脂(熱可塑性樹脂)をパイプ状に押出し(パリソン)、樹脂が柔らかい状態でパリソン内に圧縮エアーを吹き込み、樹脂を金型に押し当て、その後に冷却・固化させ成形する技術である。
【0032】
本実施形態では、三次元形状に成形するため、横置きの成形金型(上下開閉タイプ)を使用し、パリソンを押出すダイヘッドを移動することにより、金型内に中空のパリソンを収納して成形した。なお、ダイヘッドを固定し、成形金型を移動させてもよく、ダイヘッドと成形金型を共に移動させてもよい。フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4の成形方法については、例えば、特許文献1を参照されたい。
【0033】
フィラーパイプ1は、複数の樹脂材料を積層することにより構成されており、内層が耐燃料透過性に優れた高密度ポリエチレン(HDPE)から形成され、外層がカーボンなどの材料を添加することで導電性を付与したポリエチレンから形成されている。
【0034】
図2(a)は、図1におけるA-A断面図である。フィラーネック本体部5は、断面が円形の筒状である。図2(b)は、図1のB-B線に沿った断面図であり、分岐部6より燃料タンク側のフィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4の断面図である。図2(b)において、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3の断面積は、従来(図6)と同様である。なお、図2(a)、図2(b)は、共に断面より奥の部分を省略した図である。
【0035】
図2(b)に示すように、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3は、楕円Dに接し、上下方向に少し潰れた形状になっている。又、フィラーパイプ本体部2には、接続部4の一方の端部と接続するフィラーパイプ縦辺部7が、ブリーザパイプ3には、接続部4の他方の端部と接続するブリーザパイプ縦辺部8が形成され、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3は、共に横方向にも潰れた形状になっている。
【0036】
接続部4は、その両端が、フィラーパイプ縦辺部7とブリーザパイプ縦辺部8の中央部近傍で、垂直に接続されている。特に、この上下、左右方向に少し潰れ、接続部4の両端にフィラーパイプ縦辺部7とブリーザパイプ縦辺部8が垂直に接続する形状にすることにより、ブロー成形金型に使用されるスライドコアの幅を狭く、且つ進入量を小さくすることができるので、特に楕円Dとフィラーパイプ縦辺部7、楕円Dとブリーザパイプ縦辺部8との接続部における肉厚の均一化を図ることができると共に接続部4の幅を狭く成形することができる。
【0037】
又、フィラーネック本体部5は、断面が円形の筒状であり、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3の接続部4と反対側は、楕円Dの弧形状に形成されているので、潰し形状において、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3の中空部分の断面積を大きく形成することができ、従来と同様な断面積を確保することができる。
【0038】
図3は、図1をフィラーネック本体部5側から、すなわち、E方向から見た時の図2(a)と図2(b)の位置関係を示す図である。図3から明らかなように、上記のフィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3を潰し形状とすることにより、フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4は、フィラーネック本体部5の外形の内側に形成される。
【0039】
図3には、フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3及び接続部4の成形部の金型内のパリソンの重心の位置(O’)を併せて示した。図3において、パリソン15の重心位置O’は、X方向においてフィラーネック本体部5の中心点Oを通るY軸に一致している。
【0040】
図4は、図1におけるZ方向(フィラーネック本体部5から燃料タンク方向)を横軸とし、パリソン15の重心の位置(X方向)を縦軸とした図である。図4から明らかなように、本実施形態では、パリソン15の重心位置は変化していない。
【0041】
その結果、X方向において、フィラーネック本体部5から分岐部6、分岐部6からフィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3、接続部4に至る領域(図1の枠内)において、パリソン15の重心の位置を変化させることなく載置してブロー成形を行うことができるので、成形後のフィラーパイプ1の分岐部6近傍において肉厚のバラツキの発生を防止することができる。
【0042】
なお、図3において、フィラーネック本体部5成形時の金型内のパリソン15の位置は、X方向では、フィラーパイプ本体部2、ブリーザパイプ3、接続部4の成形部の金型内のパリソン15の位置と同じであるが、Y方向では、フィラーネック本体部5の外形線の位置になり、若干下がることになる。
【0043】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、本実施形態では、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3は、楕円Dに接するように形成したが、フィラーパイプ本体部2とブリーザパイプ3の断面積が、従来(図6)と同様であり、X方向において、パリソン15の重心位置がフィラーネック本体部5成形時と同じであれば、楕円でなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 フィラーパイプ
2 フィラーパイプ本体部
3 ブリーザパイプ
4 接続部
5 フィラーネック本体部
6 分岐部
7 フィラーパイプ縦辺部
8 ブリーザパイプ縦辺部
15 パリソン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8