(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143770
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】システム開発方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/30 20180101AFI20220926BHJP
【FI】
G06F8/30
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044463
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】395011562
【氏名又は名称】三菱電機ITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 和久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕幸
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BC02
5B376BC32
(57)【要約】
【課題】開発工数の削減を実現するシステム開発方法を提供する。
【解決手段】システム開発方法は、設計情報が記載された設計書を作成する工程と、フレームワークが設計情報を設計書から読み込む工程と、を備え、設計情報は、複数の設計項目のうち、任意の設計項目の設定を行うことで、画面項目を定義する画面項目定義情報、複数の設計項目のうち、任意の設計項目の設定を行うことで、帳票項目を定義する帳票項目定義情報、画面項目の入力候補として表示されるリストを定義するリストデータ情報、画面項目を表示する際の編集処理を定義する画面項目転送情報、帳票項目を表示する際の編集処理を定義する帳票項目転送情報、又はイベントの発生タイミングごとに、画面項目のアクションを定義するアクション仕様情報、及びアクションとして、画面項目の表示形態を定義するオブジェクト制御情報、の少なくとも1つを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計情報が記載された設計書を作成する工程と、
フレームワークが前記設計情報を前記設計書から読み込む工程と、を備え、
前記設計情報は、
複数の設計項目のうち、任意の前記設計項目の設定を行うことで、画面項目を定義する画面項目定義情報、
複数の設計項目のうち、任意の前記設計項目の設定を行うことで、帳票項目を定義する帳票項目定義情報、
前記画面項目の入力候補として表示されるリストを定義するリストデータ情報、
前記画面項目を表示する際の編集処理を定義する画面項目転送情報、
前記帳票項目を表示する際の編集処理を定義する帳票項目転送情報、又は
イベントの発生タイミングごとに、前記画面項目のアクションを定義するアクション仕様情報、及び前記アクションとして、前記画面項目の表示形態を定義するオブジェクト制御情報、の少なくとも1つを含む
システム開発方法。
【請求項2】
前記設計情報は、
前記アクション仕様情報、及び前記アクション仕様情報で定義された前記アクションとしての前記リストデータ情報を含む
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項3】
前記設計情報は、
前記アクション仕様情報、及び前記アクション仕様情報で定義された前記アクションとしての前記画面項目転送情報を含む
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項4】
前記設計情報は、
前記画面項目定義情報、及び前記リストデータ情報を含み、
初期画面のレイアウトは、前記画面項目定義情報、及び前記リストデータ情報に基づいて自由に設計される
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項5】
前記設計情報は、
前記画面項目定義情報、及び前記画面項目転送情報を含み、
初期画面のレイアウトは、前記画面項目定義情報、及び前記画面項目転送情報に基づいて自由に設計される
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項6】
前記設計書から前記設計情報を設計情報DBに登録する工程を更に備え、
前記フレームワークは前記設計情報DBを介して、前記設計情報を読み込む
請求項1~5の何れか1項に記載のシステム開発方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソフトウェアアプリケーション等のシステム開発方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ソフトウェアアプリケーション等のシステム開発では、システムの設計後、プログラムの設計が行われ、このプログラムの設計工程での成果物である設計書に基づいてコーディングが実施される。従来、システム開発においては、プログラムの設計とコーディングとを効率的に行うため、設計書に記載された情報に基づいて、自動生成が可能な部分のソースを自動生成する方法が知られている。特許文献1には、このような自動生成ソースを複数の開発者の間で共有し、自動生成ソースと類似の機能を有するソースを実装する際に、自動生成ソースをサンプルソースとして提供するソフトウェア開発支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の開発支援システムは、ソースコード自体の必要な生産量を減少させるものではない。また、自動生成ソース、及び手動生成ソースの単体テスト、並びに自動生成ソースと、手動生成ソースとを結合した際の動作を検証する結合テストを行う必要がある。更に、設計書の変更に応じて、ソースの自動生成と、手動生成ソースの修正が必要となり、これらのテストを再び行わなければならない。加えて、自動生成ソースの一部を手動で修正している場合に、設計書の変更に応じてソースの自動生成を再度実施すると、この手動の修正も再度行う必要がある等、自動生成の再実施には種々の配慮が必要となる。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、開発工数を削減させるシステム開発方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るシステム開発方法は、設計情報が記載された設計書を作成する工程と、フレームワークが設計情報を設計書から読み込む工程と、を備え、設計情報は、複数の設計項目のうち、任意の設計項目の設定を行うことで、画面項目を定義する画面項目定義情報、複数の設計項目のうち、任意の設計項目の設定を行うことで、帳票項目を定義する帳票項目定義情報、画面項目の入力候補として表示されるリストを定義するリストデータ情報、画面項目を表示する際の編集処理を定義する画面項目転送情報、帳票項目を表示する際の編集処理を定義する帳票項目転送情報、又はイベントの発生タイミングごとに、画面項目のアクションを定義するアクション仕様情報、及びアクションとして、画面項目の表示形態を定義するオブジェクト制御情報、の少なくとも1つを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示のシステム開発方法によれば、フレームワークが設計情報を設計書から読み込むことで、ノンコーディングでのシステムの実装ができ、開発工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るシステム開発方法を説明するための図である。
【
図2】実施の形態1に係る設計書の画面項目定義シート21を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る設計書のリストデータシート22を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る設計書のアクション仕様シート23を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る設計書のオブジェクト制御シート24を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る設計書2の画面項目転送シート25を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る設計書の帳票項目定義シート31を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る設計書の帳票項目転送シート32を示すである。
【
図9】実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
【
図10】実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
【
図11】実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
【
図12】実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
【
図13】実施の形態1に係る開発対象のシステムで出力される帳票50を示す図である。
【
図14】実施の形態1に係るシステム開発方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るシステム開発方法を説明するための図である。本システム開発方法は、所謂ウォーターフォール型開発を踏襲しつつ、設計書2に含まれる設計情報を解析するフレームワーク1を利用することで、開発対象のシステムの機能をノンコーディングで実装するものである。
図1に示すように、フレームワーク1は、所定のフォーマットで記載された設計書2から設計情報を読み込んで、画面40及び帳票50を生成し、PC又はサーバー等のコンピュータ10が備えるディスプレイ13上に表示する。なお、フレームワーク1は、帳票50をプリンタに出力し、紙面に印刷してもよい。フレームワーク1は、開発対象のシステムに先立って開発が完了しており、異なる複数の開発対象のシステムに対して利用することができる。開発対象のシステムは、例えば、従業員の保険労務の管理を行うシステムである。
【0010】
フレームワーク1及び設計書2は、コンピュータ10が備えるROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のPROM(Programmable ROM)、又はHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置11に記憶されている。また、フレームワーク1は、コンピュータ10が備えるCPU(Central Processing Unit)等の処理装置12によってプログラムとして実行される。以下において、従来のウォーターフォール型開発と共通する部分の説明は適宜省略し、本システム開発方法の特徴を中心に説明する。
【0011】
開発対象のシステムの画面40及び帳票50の設計情報及び設計方法について、説明する。先ず、画面40の場合について説明する。画面40に対しては、画面項目定義、リストデータ、アクション仕様、オブジェクト制御、チェックルール、及び画面項目転送についての設計が行われる。設計書2には、例えば、表計算ソフトが使用される。そして、上述の各設計が表計算ソフトの1シートに対応するようにまとめられている。以下の説明では、各シートを例えば、画面項目定義シート21のように、設計の種別を付して呼称する。また、各シートで定義される情報を例えば、画面項目定義情報のように、設計の種別を付して呼称する。つまり、設計情報は、各シートで定義される情報の総称、即ち設計書2全体で定義される情報に相当する。各シートは、最上部の行に見出しとして設計項目が記載され、画面項目ごとに設計項目に具体的な値が設計される形式をとっている。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る設計書2の画面項目定義シート21を示す図である。
図2に示すように、画面項目定義シート21には、画面項目定義情報として、画面項目のそれぞれに対して、「入出力」~「説明」までの複数の設計項目のうち、任意の設計項目に対して設定が記載されている。これにより、初期画面に配置されるそれぞれの画面項目の定義が行われる。ここで、初期画面とは、後述する何れのアクション仕様情報による制御もかけられていない画面40である。また、画面項目定義シート21では、複数の画面項目のグルーピング、及び非表示の項目の定義等を行うことができる。このように、画面項目の仕様は、所定のレイアウトに限定されず、自由に定義することができる。
【0013】
画面項目定義シート21の「『リストデータ』《項目転送》」は、他のシートを参照する設計項目である。「『リストデータ』《項目転送》」は、該当する画面項目に対して、リストデータ情報、又は画面項目転送情報による制御をかける場合に記載される。P1で示すように「『』」で囲まれた場合はリストデータシート22を参照する。P1は、後述するリストデータシート22のP4と対応している。また、P2で示すように「《》」で囲まれた場合は後述する画面項目転送シート25を参照する。P2は、画面項目転送シート25のP11と対応している。
【0014】
図3は、実施の形態1に係る設計書2のリストデータシート22を示す図である。
図3に示すように、リストデータシート22には、リストデータ情報として、画面項目の入力候補となるリストが記載される。P3には「帳票種別」というコンボボックスの入力候補のリストとして「空白」「2:氏名変更届」「3:資格喪失届・区分変更届」及び「4:転出届」が記載されている。また、P4及びP5では、「喪失原因・被保険者区分変更表示」というコンボボックスにおいて、入力候補の表示を分けられるように設計されている。入力候補の表示を分ける条件については、後述するアクション仕様シート23で設計される。
【0015】
図4は、実施の形態1に係る設計書2のアクション仕様シート23を示す図である。
図4に示すように、アクション仕様シート23では、アクション仕様情報として、イベントの発生タイミングごとに「処理内容」「オブジェクト制御」又は「『リストデータ』《項目転送》」等の設計項目が記載されている。イベントは、画面項目を特定の「値」の「項目」に変更(「Change」)すること、又は画面項目をクリック(「Click」)すること等のふるまいを意味する。「処理内容」、「オブジェクト制御」又は「『リストデータ』《項目転送》」は、アクションに相当する。
【0016】
フレームワーク1にノンコーディングでの処理を行わせる場合「処理内容」を「-」と記載し、且つ「オブジェクト制御」又は「『リストデータ』《項目転送》」を記載する。「オブジェクト制御」は「名称」及び「制御詳細」の組み合わせが一致するオブジェクト制御シート24の制御内容を参照する。P6では「帳票種別」を「2:氏名変更届」に変更した場合の「オブジェクト制御」の「名称」及び「制御詳細」の組み合わせとして「帳票種別」且つ「氏名変更届」が記載されている。P6は、後述するオブジェクト制御シート24のP10と対応している。
【0017】
また、画面項目定義シート21での説明と同様にアクション仕様シート23の「『リストデータ』《項目転送》」は、他のシートを参照する設計項目である。「『リストデータ』《項目転送》」は、該当する画面項目に対して、リストデータ情報、又は画面項目転送情報による制御をかける場合に記載される。P7及びP8で示すように「『』」で囲まれた場合はリストデータシート22を参照する。P7では「帳票種別」を「2:氏名変更届」に変更した場合の「『リストデータ』」として「『喪失原因・被保険者区分変更表示(氏名変更)』」が記載されている。また、P8では「帳票種別」を「3:資格喪失届・区分変更届」に変更した場合の「『リストデータ』」として「『喪失原因・被保険者区分変更表示(資格喪失届・区分変更)』」が記載されている。P7及びP8は、リストデータシート22のP4及びP5に対応している。また、P9で示すように「《》」で囲まれた場合は画面項目転送シート25を参照する。P9では「帳票種別」を「3:資格喪失届・区分変更届」に変更した場合の「《項目転送》」として「《職業安定所》」が記載されている。
【0018】
図5は、実施の形態1に係る設計書2のオブジェクト制御シート24を示す図である。
図5に示すように、オフジェクト制御シートでは、オブジェクト制御情報として、アクション仕様シート23の「オブジェクト制御」の「名称」及び「制御詳細」の組み合わせごとに、それぞれの画面項目の表示形態が記載される。表示形態としては、画面項目が表示状態の際の活性又は非活性、及び非表示状態を設定する。また、表示形態が無変換であることも設定することができる。無変換は、該当のオブジェクト制御がかけられる直前の表示形態から変更を行わないことを意味する。P10には、アクション仕様シート23の「オブジェクト制御」において「名称」が「帳票種別」であり、且つ「制御詳細」が「氏名変更届」である場合の画面項目の表示形態が記載されている。この場合、例えば「離職年月日、転勤の年月日等」が非活性となり「被保険者氏名」、「喪失原因・被保険者区分変更表示」及び「変更後氏名」等が活性となっている。
【0019】
図6は、実施の形態1に係る設計書2の画面項目転送シート25を示す図である。
図6に示すように、画面項目転送シート25では、データベース(以下は、DBと称する)のマッピングに関する設計が上部の表25aに記載されている。なお、このDBは、開発対象における業務処理に関する情報が登録されたものである。また、下部の表25bには、転送元の画面項目、DB又はファイルから転送先の画面項目、DB、又はファイルへ情報が転送される際に行なわれる編集処理について記載されている。つまり、画面項目転送シート25には、画面項目、DB項目、及びファイル項目(XMLファイル、EXCELファイル)を相互で転送するための情報が記載されている。画面項目転送シート25では、これらの組み合わせのうち、転送先が画面項目である場合の画面項目転送情報が記載されている。画面項目転送情報として、P11には、「雇用保険事業者番号」という画面項目の入力内容として「事業者雇用保険番号」及び「関連NO.」に対して、所定の桁数ごとに「-」及び「:」といった記号を付す編集処理が示されている。P12には「職業安定所」という画面項目の入力内容として「職業安定所コード」の左から2文字目までを抽出する編集処理が示されている。
【0020】
次に、帳票50の場合について説明する。帳票50の設計情報には、帳票項目定義、及び帳票項目転送が含まれる。設計書2としての記載方式は、画面40の場合と同様である。また、各シートを例えば、帳票項目定義シート31のように、設計の種別を付して呼称し、各シートで定義される情報を例えば、帳票項目定義情報のように、設計の種別を付して呼称する点も画面40の場合と同様である。
【0021】
図7は、実施の形態1に係る設計書2の帳票項目定義シート31を示す図である。
図7に示すように、帳票項目定義シート31には、帳票項目定義情報として、帳票項目のそれぞれに対して、複数の設計項目のうち、任意の設計項目に対する設定が記載されている。これにより、それぞれの帳票項目の定義が行われる。また、帳票項目定義シート31では、複数の帳票項目のグルーピングを行うことができる。このように、帳票項目の仕様は、所定のレイアウトに限定されず、自由に定義することができる。
【0022】
図8は、実施の形態1に係る設計書2の帳票項目転送シート32を示すである。
図8に示すように、帳票項目転送シート32では、DBのマッピングに関する設計が上部の表32aに記載されている。また、下部の表32bには、転送元の画面項目、DB、又はファイルから転送先の帳票項目、DB、又はファイルへの転送の際に行なわれる編集処理について記載されている。つまり、帳票項目転送シート32には、画面項目、帳票項目、DB項目、及びファイル項目(XMLファイル、EXCELファイル)を相互で転送するための情報が記載されている。帳票項目転送シート32では、これらの組み合わせのうち、転送先が帳票項目である場合の帳票項目転送情報が記載されている。帳票項目転送情報として、P13には、「被保険者氏名」という帳票項目の表示内容として「被保険者の氏名(姓)」と「被保険者の氏名(名)」との間に、空白(□)を付す編集処理が示されている。
【0023】
ここで、フレームワーク1の機能について説明する。フレームワーク1は、設計書2から抽出した設計情報を解析することで、画面40及び帳票50を出力する。フレームワーク1が設計情報を抽出及び解析する方法自体は、特に限定されるものではない。上述のように、設計書2の各シートは所定のフォーマットで記載されている。このため、フレームワーク1は、各シートのフォーマットに従って記載された設計情報を参照することで動作する。ここで、設計情報に基づく画面40及び帳票50の表示内容を説明する。先ず、画面40の場合について、説明する。なお、以下の説明では、フレームワーク1は、
図2~
図6で示された設計書2に基づいて、画面40を出力する場合を例としている。
【0024】
図9は、実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
図9で示された画面40は、フレームワーク1が
図2の画面項目定義シート21に記載された画面項目定義情報を取得し、取得した画面項目定義情報に基づき、各画面項目を初期画面に表示する。
【0025】
図10は、実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
図10は、初期画面において「帳票種別」という画面項目にリストデータが表示された状態を拡大して示している。
図10の「帳票種別」を例にして、初期画面におけるリストデータの実装について説明する。
【0026】
先ず、フレームワーク1は、
図2の画面項目定義シート21を読み込んだ結果「帳票種別」の「『リストデータ』《項目転送》」として『帳票種別』(P1)を取得する。次に、フレームワーク1は、「帳票種別」に『リストデータ』が設定されていることから、
図3のリストデータシート22を参照する。そして、フレームワーク1は、リストデータシート22の「帳票種別」(P3)に記載された「空白」「2:氏名変更届」「3:資格喪失届・区分変更届」及び「4:転出届」というリストデータを取得し、これらのリストデータを「帳票種別」の入力候補として表示する。このように、フレームワーク1が画面項目定義情報、及びリストデータ情報を処理することで、初期画面におけるレイアウトの自由度が向上している。
【0027】
図11は、実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
図11は、初期画面において「雇用保険事業者番号」という画面項目に画面項目転送の結果が表示された状態を拡大して示している。
図11の「雇用保険事業者番号」を例にして、初期画面における画面項目転送の実装について説明する。
【0028】
先ず、フレームワーク1は、
図2の画面項目定義シート21を読み込んだ結果「雇用保険事業者番号」の「『リストデータ』《項目転送》」として《雇用保険事業者番号》』(P2)を取得する。次に、フレームワーク1は「雇用保険事業者番号」に《項目転送》が設定されていることから、
図6の画面項目転送シート25を参照する。そして、フレームワーク1は、
図11に示すように、画面項目転送シート25の「雇用保険事業者番号」(P11)に記載されたとおり、転送元のテーブルから情報を取得した情報に対して、所定の桁数ごとに「-」及び「:」といった記号を付す編集処理を行い「雇用保険事業者番号」の入力内容として表示する。このように、フレームワーク1が画面項目定義情報、及び画面項目転送情報を処理することで、初期画面において様々な種類の表示内容を表示させることができるため、初期画面におけるレイアウトの自由度が向上している。
【0029】
図12は、実施の形態1に係る開発対象のシステムで表示される画面40の一部を示す概略図である。
図12は、画面項目にオブジェクト制御が行われた状態を拡大して示している。
図12を例にして、イベント発生時におけるオブジェクト制御の実装について説明する。
【0030】
先ず、フレームワーク1は、
図4のアクション仕様シート23を読み込んだ結果「帳票種別」を「2:氏名変更届」に変更した場合の「オブジェクト制御」の「名称」及び「制御詳細」の組み合わせとして「帳票種別」且つ「氏名変更届」(P6)を取得する。次に、フレームワーク1は、「帳票種別」の「処理内容」が「-」であり「オブジェクト制御」が記載されていることから、
図5のオブジェクト制御シート24を参照する。そして、フレームワーク1は、
図12に示すように、オブジェクト制御シート24の「帳票種別」及び「氏名変更届」(P10)に記載されたとおり「離職年月日、転勤の年月日等」を非活性とし「被保険者氏名」「喪失原因・被保険者区分変更表示」及び「変更後氏名」等を活性する。
【0031】
また、画面の例は図示しないが、イベント発生時におけるリストデータの実装についても説明する。先ず、フレームワーク1は、
図4のアクション仕様シート23を読み込んだ結果「帳票種別」を「2:氏名変更届」に変更した場合の「『リストデータ』《項目転送》」として「『喪失原因・被保険者区分変更表示(氏名変更)』(P7)を取得する。次に、フレームワーク1は「帳票種別」の「処理内容」が「-」であり、『リストデータ』が記載されていることから、
図3のリストデータシート22を参照する。そして、フレームワーク1は、リストデータシート22の「喪失原因・被保険者区分変更表示(氏名変更)」(P4)に記載された「空白」、「1:婚姻による変更」、「2:離婚による変更」及び「9:その他」というリストデータを取得し、これらのリストデータを「喪失原因・被保険者区分変更表示」の入力候補として表示する。
【0032】
同様に、先ず、フレームワーク1は、
図4のアクション仕様シート23を読み込んだ結果「帳票種別」を「3:資格喪失届・区分変更届」に変更した場合の「『リストデータ』《項目転送》」として「『喪失原因・被保険者区分変更表示(資格喪失届・区分変更届)』(P8)を取得する。次に、フレームワーク1は「帳票種別」の「処理内容」が「-」であり、『リストデータ』が記載されていることから、
図3のリストデータシート22を参照する。そして、フレームワーク1は、リストデータシート22の「喪失原因・被保険者区分変更表示(資格喪失届・区分変更届)」(P5)に記載された「空白」、「1:離職以外の理由」、「2:3及び6以外の離職・被保険者区分変更」、「3:事業者の都合による離職」及び「6:65歳定年等」というリストデータを取得し、これらのリストデータを「喪失原因・被保険者区分変更表示」の入力候補として表示する。
【0033】
このように、フレームワーク1は「喪失原因・被保険者区分変更表示」というコンボボックスにおいて「帳票種別」という他の画面項目の入力内容に応じて、入力候補の表示を分けることができる。
【0034】
また、画面の例は図示しないが、イベント発生時における画面項目転送の実装についても説明する。先ず、フレームワーク1は、
図4のアクション仕様シート23を読み込んだ結果「雇用保険事業者番号」の「『リストデータ』《項目転送》」という設計項目として《職業安定所》』(P9)を取得する。次に、フレームワーク1は「処理内容」が「-」であり「雇用保険事業者番号」に《項目転送》が設定されていることから、
図6の画面項目転送シート25を参照する。そして、フレームワーク1は、画面項目転送シート25の「職業安定所」(P12)に記載されたとおり、転送元のテーブルから取得した情報に対して、左から2文字目までを抽出するように編集処理を行い「職業安定所」の入力内容として表示する。
【0035】
次に、帳票50の場合について、説明する。
図13は、実施の形態1に係る開発対象のシステムで出力される帳票50を示す図である。
図13は「雇用保険資格喪失届」という帳票50を示している。
図13に示すように、フレームワーク1は、
図7の帳票項目定義シート31に記載された帳票項目定義情報を取得し、取得した帳票項目定義情報に基づき、各帳票項目を帳票50上に表示する。
【0036】
また、フレームワーク1は、
図8の帳票項目転送シート32を読み込んだ結果、転送元のテーブルから取得した情報に編集処理を行い、帳票50に表示する。
図13のP14に示すように、帳票項目転送シート32の「被保険者氏名」(P13)に記載されたとおり、転送元のテーブルから情報を取得した「被保険者の氏名(姓)」と「被保険者の氏名(名)」との間に、空白(□)を付す編集処理が行われている。
【0037】
図14は、実施の形態1に係るシステム開発方法を示すフローチャートである。従来の開発方法において、例えば、オブジェクト制御の実装にあたっては、プログラム設計、及びプログラム開発・試験の実施という工程が必要であった。また、他のプログラム、及びシステムとの結合試験を行う必要がある。これに対し、本システム開発方法では、
図14に示すように、システム基本設計工程において、設計書2に設計情報を記載した後(S1)、設計書2の設計情報をフレームワーク1に読み込ませる(S2)。これにより、フレームワーク1が駆動し、開発対象のシステムが動作する。そして、システム基本設計に対応するシステムテストを行う(S3)ことで、開発対象のシステムの品質を担保することができる。このように、本システム開発方法によれば、上記の設計内容に対応するソースの生産を行わないため、プログラム設計、プログラム開発・試験、及び結合試験を省略することができる。
【0038】
以上説明したように、実施の形態1のシステム開発方法によれば、フレームワーク1が設計情報を設計書2から読み込むことで、ノンコーディングでのシステムの実装ができ、開発工数を削減することができる。また、品質を維持しつつ、テスト工数を削減することができる。更に、設計情報の変更を即座にシステムに反映させ、システム開発の生産性を向上させることができる。
【0039】
以上が本開示の実施の形態の説明であるが、本開示は、上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形または組み合わせが可能である。例えば、フレームワーク1は、設計情報を設計書2から直接読み込む構成でなくてもよい。この場合、例えば、設計情報を設計情報DBに登録し、フレームワーク1が設計情報DBから設計情報を読み込むようにしてもよい。設計情報DBへの登録は、例えば、専用の定義ツールが使用される。定義ツールは、所定のフォーマットで記載された設計書2から設計情報を抽出し、設計情報DBに登録するものである。
【0040】
また、実施の形態1において、フレームワーク1が解析して、ノンコーディングでの制御を行う対象としている設計情報の一部を省略するようにしてもよい。フレームワーク1は、画面項目定義、帳票項目定義、リストデータ、画面項目転送、帳票項目転送、又はアクション仕様及びオブジェクト制御の少なくとも1つを設計情報として、解析すればよい。いずれの設計情報を解析するようにした場合でも、システムの一部をノンコーディングで実装でき、開発工数の削減を実現することができる。
【0041】
また、設計書2上の記載だけでなく、設計の補助として種々のツールを用いるようにしてもよい。例えば、画面項目定義の設計にあたり、専用の画面ビジュアルエディタを用いるようにしてもよい。画面ビジュアルエディタは、要件定義、システム基本設計において、実際の画面イメージを確認しつつ、画面レイアウトの設計を行うことができるWYSIWYGエディタである。帳票50の場合も、同様に、専用のエディタを用いるようにしてもよい。
【0042】
もっとも、フレームワーク1の解析対象は、設計書2に含まれる設計情報のみとしなくてもよい。例えば、画面項目の表示位置等の情報を設計書2以外のファイルからフレームワーク1に読み込ませるようにしてもよい。また、例えば、アクション仕様シート23の処理内容が「-」以外の処理については、処理内容をコメントとしたスケルトンのソースコードを作成するようにしてもよい。スケルトンのソースコードは、開発者によって必要部分がコーディングされ、フレームワーク1に読み込まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 フレームワーク、2 設計書、10 コンピュータ、11 記憶装置、12 処理装置、13 ディスプレイ、21 画面項目定義シート、22 リストデータシート、23 アクション仕様シート、24 オブジェクト制御シート、25 画面項目転送シート、25a 表、25b 表、31 帳票項目定義シート、32 帳票項目転送シート、32a 表、32b 表、40 画面、50 帳票。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示に係るシステム開発方法は、メモリが、設計情報が記載された設計書を記憶する工程と、フレームワークが設計情報をメモリに記憶された設計書から読み込む工程と、フレームワークが設計情報に基づいてテストのために開発対象のシステムの画面または帳票を生成する工程と、を備え、設計情報は、複数の設計項目のうち、任意の設計項目の設定を行うことで、画面項目を定義する画面項目定義情報、複数の設計項目のうち、任意の設計項目の設定を行うことで、帳票項目を定義する帳票項目定義情報、画面項目の入力候補として表示されるリストを定義するリストデータ情報、画面項目を表示する際の編集処理を定義する画面項目転送情報、帳票項目を表示する際の編集処理を定義する帳票項目転送情報、又はイベントの発生タイミングごとに、画面項目のアクションを定義するアクション仕様情報、及びアクションとして、画面項目の表示形態を定義するオブジェクト制御情報、の少なくとも1つを含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリが、設計情報が記載された設計書を記憶する工程と、
フレームワークが前記設計情報を前記メモリに記憶された前記設計書から読み込む工程と、
前記フレームワークが前記設計情報に基づいてテストのために開発対象のシステムの画面または帳票を生成する工程と、を備え、
前記設計情報は、
複数の設計項目のうち、任意の前記設計項目の設定を行うことで、画面項目を定義する画面項目定義情報、
複数の設計項目のうち、任意の前記設計項目の設定を行うことで、帳票項目を定義する帳票項目定義情報、
前記画面項目の入力候補として表示されるリストを定義するリストデータ情報、
前記画面項目を表示する際の編集処理を定義する画面項目転送情報、
前記帳票項目を表示する際の編集処理を定義する帳票項目転送情報、又は
イベントの発生タイミングごとに、前記画面項目のアクションを定義するアクション仕様情報、及び前記アクションとして、前記画面項目の表示形態を定義するオブジェクト制御情報、の少なくとも1つを含む
システム開発方法。
【請求項2】
前記設計情報は、
前記アクション仕様情報、及び前記アクション仕様情報で定義された前記アクションとしての前記リストデータ情報を含み、
前記生成する工程において、前記フレームワークは、前記アクション仕様情報、及び前記リストデータ情報を読み込み、読み込んだ前記アクション仕様情報、及び前記リストデータ情報に基づいて、イベントの発生時に各画面項目の入力候補を表示する
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項3】
前記設計情報は、
前記アクション仕様情報、及び前記アクション仕様情報で定義された前記アクションとしての前記画面項目転送情報を含み、
前記生成する工程において、前記フレームワークは、前記アクション仕様情報、及び前記画面項目転送情報を読み込み、読み込んだ前記アクション仕様情報、及び前記画面項目転送情報に基づいて、イベントの発生時に各画面項目に編集処理を行う
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項4】
前記設計情報は、
前記画面項目定義情報、及び前記リストデータ情報を含み、
初期画面のレイアウトは、前記画面項目定義情報、及び前記リストデータ情報に基づいて自由に設計されるものであり、
前記生成する工程において、前記フレームワークは、前記画面項目定義情報、及び前記リストデータ情報を読み込み、読み込んだ前記画面項目定義情報、及び前記リストデータ情報に基づいて、初期画面における各画面項目の入力候補を表示する
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項5】
前記設計情報は、
前記画面項目定義情報、及び前記画面項目転送情報を含み、
初期画面のレイアウトは、前記画面項目定義情報、及び前記画面項目転送情報に基づいて自由に設計されるものであり、
前記生成する工程において、前記フレームワークは、前記画面項目定義情報、及び前記画面項目転送情報を読み込み、読み込んだ前記画面項目定義情報、及び前記画面項目転送情報に基づいて、初期画面における各画面項目に編集処理を行う
請求項1に記載のシステム開発方法。
【請求項6】
前記設計書から前記設計情報を設計情報DBに登録する工程を更に備え、
前記フレームワークは前記設計情報DBを介して、前記設計情報を読み込む
請求項1~5の何れか1項に記載のシステム開発方法。
【請求項7】
前記画面項目の前記表示形態は、前記画面項目が表示状態及び非表示状態、並びに前記表示状態である場合の活性又は非活性を設定するものである
請求項1~6の何れか1項に記載のシステム開発方法。