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  • 特開-軒先構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143784
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】軒先構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/064 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
E04D13/064 501M
E04D13/064 502B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044483
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(57)【要約】
【課題】軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる軒先構造を提供する。
【解決手段】本発明は、建築物の軒先(外壁6B)に固定される樋受け金具2に、建築物側の側面33が取り付けられる軒樋3と、該軒樋3の建築物側の側面33から軒先側の側面32まで架け渡される上面部11及び軒樋3の建築物側の側面33に沿わせて固定される基端面部12を備える補強材1と、軒樋3の開放上面を覆うカバー材4と、からなる軒先構造であって、カバー材4は、その上端が建築物の軒先(軒先唐草5)に固定され、その下端が軒樋3の軒先端に設けた係合部321に連絡され、補強材1は、その基端面部12及びその上面部11がそれぞれ両側端(112,122)を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の軒先に固定される樋受け金具に、建築物側の側面が取り付けられる軒樋と、該軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される上面部及び前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される基端面部を備える補強材と、前記軒樋の開放上面を覆うカバー材と、からなる軒先構造であって、
前記カバー材は、その上端が前記建築物の軒先に固定され、その下端が前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡され、
前記補強材は、その基端面部及びその上面部がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続していることを特徴とする軒先構造。
【請求項2】
前記軒樋の前記係合部は、前記補強材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる軒先構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根の樋としては、軒先に設ける軒樋が一般的に広く知られている。
この軒樋を固定する構造(機構)としては、例えば特許文献1~3等に示されるものが広く知られている。
特許文献1には、軒樋と軒先前面との間隔をその下方において閉塞するカバー材を取り付け、該カバー材に設けた支持片(係止部)にて軒樋の一方の側面の上端(耳部)を係止する構造が記載されている。
特許文献2には、建物の外壁に固定する軒樋支持装置6に対し、多孔体5を含む上側部材3を上面側に、軒体本体1である下側部材4を吊り保持する構造が記載されている。
特許文献3には、外壁等に固定する軒樋カバー固定具1の基端側に軒樋Nの軒先側の側面の上端を吊り保持し、軒樋Nの他方側の側面の上端を上方からくわえ込むように固定する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-38153号公報
【特許文献2】特開2000-291213号公報
【特許文献3】特許第5234278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、軒樋自身の重量や雨水等による荷重も取付部である耳部に集中するため、軒先としての意匠性が乏しく、雨水を受けるためだけの機能のみを採用したものであり、見栄えが悪く、意匠性に乏しいものであった。
また、前記特許文献2の構造では、軒樋吊り具6に軒樋本体1等の下側部材4を吊り保持するので、この軒樋吊り具6の固定部分に、軒樋本体1の自重や全ての荷重が集中するため、片持ち状となって、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。
さらに、前記特許文献3の構造でも、軒樋カバー固定具1の固定部4に、軒樋Nの自重や全ての荷重が集中するため、片持ち状となって、降雪時等に破損する恐れのあるものであった。
【0005】
そこで、本発明は、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる軒先構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、建築物の軒先に固定される樋受け金具に、建築物側の側面が取り付けられる軒樋と、該軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される上面部及び前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される基端面部を備える補強材と、前記軒樋の開放上面を覆うカバー材と、からなる軒先構造であって、前記カバー材は、その上端が前記建築物の軒先に固定され、その下端が前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡され、前記補強材は、その基端面部及びその上面部がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続していることを特徴とする軒先構造を提案するものである。
【0007】
また、本発明は、前記軒先構造において、前記軒樋の前記係合部は、前記補強材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されていることを特徴とする軒先構造をも提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の軒先構造は、軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される上面部及び前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される基端面部を備える補強材を用いた構造であって、用いる補強材は、その基端面部及びその上面部がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続しているため、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、特に上面部は上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる。
【0009】
また、軒樋の係合部は、補強材の軒先端に係合され、更にカバー材の下端と連絡されている場合、カバー材は軒樋ばかりでなく補強材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。また、軒樋と補強材との一体性が向上するので、カバー材を含めた三部材の一体性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明の実施例1の軒先構造を示す側面図、(b)それに用いた補強材を示す斜視図、(c)それに用いた樋受け金具を示す側面図である。
図2】(a)本発明の実施例2の軒先構造を示す側面図、(b)それに用いた補強材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の軒先構造は、建築物の軒先に固定される樋受け金具に、建築物側の側面が取り付けられる軒樋と、該軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される上面部及び前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される基端面部を備える補強材と、前記軒樋の開放上面を覆うカバー材と、からなる軒先構造であって、前記カバー材は、その上端が建築物の軒先に固定され、その下端が前記軒樋の軒先端に設けた係合部に連絡され、前記補強材は、その基端面部及びその上面部がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続していることを特徴とする。
【0012】
この軒先構造の最も大きな特徴は、軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される上面部及び前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される基端面部を備える補強材を用いることであり、用いる補強材は、その基端面部及びその上面部がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続しているため、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、特に上面部は上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる。
【0013】
この補強材は、前述のように軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される(側面視が横方向に配される)上面部と、軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される(側面視が縦方向に配される)基端面部とを備え、後述する図示実施例のように側面視がL字状に成形される部材である。また、この補強材は、その両側端が裏面側へ折り曲げられた帯状であるため、断面形状はワ字状(逆U字状)に成形され、長さ方向に耐折れ性に優れており、支持強度が高い。即ち上面部の表面及び基端面部の表面は、側面視が細幅線のL字状を形成して連続しているに過ぎないが、裏面側へ折り曲げた部分は、側面視が太幅(帯)線のL字状であって連続しており、しかも前記側面視が細幅線のL字状の両側縁に形成されているため、高い折れ曲げ耐性をこの補強材自体に付与するものである。
【0014】
また、この補強材には、カバー材の裏面に当接する支持面部を備えるようにしてもよく、このカバー材の裏面への当接については、常時は当接していないが、カバー材に荷重が作用した際に当接するものでもよい。
【0015】
そして、この補強材は、軒先構造の表裏の化粧面にて形成される内部空間に配設されるものであり、軒樋やカバー材としては、専ら通し材が用いられ、複数の組み合わせであってもよく、各種の金属板材や硬質樹脂成形板等が用いられるが、この補強材は、短幅の金属加工品が所定間隔で複数用いられ、前述のように断面形状はワ字状(逆U字状)に、側面視はL字状に成形された支持強度の高い金属加工品が用いられる。
【0016】
前記軒樋は、雨水等を排水する内部空間(排水部)を有するものであり、底面と二つの側面とからなる断面略U字状に形成され、建築物側の側面が、建築物の軒先に固定される樋受け金具に取り付けられ、軒先端には、係合部が設けられる構成である。
この軒樋の排水部は、前述のように内部空間全体を指すが、通常程度の降雨であれば、底面近傍のみを雨水等が流れるようにし、その上方に補強材が配設されることが望ましい。底部近傍の上方に補強材が配置されることにより、補強材が常に雨水に浸っている状態を回避でき、特に金属板材等の成形品である場合等における腐食等を極力避けることができる。
また、この軒樋の係合部は、カバー材の下端が連絡される部位であって、この係合部が、カバー材の下端に連絡(接続)されるので、軒樋の軒先端をカバー材で引っ張るように保持することができる。
【0017】
なお、前記係合部が、後述する図示実施例(実施例1)のように上方へ折り返して形成され、補強材の軒先端に係合される場合には、補強材が軒樋をより安定に支持することができ、更にカバー材は軒樋ばかりでなく補強材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。即ち補強材は、上下何れから突発的な応力が作用した際の支持強度を向上して軒樋やカバー材の破損等を防止できることであるが、この軒樋の係合部が軒先端に係合されることで、常時軒樋を安定に支持することができる。
【0018】
前記カバー材は、その軒先端が前記軒樋の軒先端の係合部と連絡(係合)されて取り付けられ、且つ前記軒樋の開放上面を覆う部材であって、後述する図示実施例に示すようにその軒先端に下方へ更に内側へ折曲した略コ字状の包持部を設けてその裏面側に軒樋の係合部を係合させる構成が望ましい。この略コ字状の包持部は、軒樋の係合部を建築物側へ引っ張るように保持するため、カバー材が軒樋の荷重を保持するアームの作用を果たすからである。また、前記軒樋の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積することを防止する部材であり、特にその材質(材料)を限定するものではなく、前述のように通し材でもよいし複数の組み合わせでもよい。なお、このカバー材は、軒樋の開放上面の全面を覆うものでも一部のみを覆うものでもよい。
具体的にはこのカバー材の表面には、雨水を内部へ導く導水口、例えば小径のスリット孔が形成され、該導水口の存在により、降雪の堆積や落ち葉等の浸入の防止も果たされる。このカバー材としては、経年の使用により脱離や飛散しないものであれば、金属メッシュ材(金網状材)でもよい。この金属メッシュ材の開口寸法については、前記導水口と同様に広過ぎると落ち葉等の侵入が生じるため、その侵入を防止して雨水を導水できるものであればよい。
【0019】
前記樋受け金具は、建築物の軒先に固定される固定部と、前記軒樋の建築物側の側面が取り付けられる取付部とを備えるものであれば、特にその形状等を限定するものではないし、それぞれ複数設けてもよい。
後述する図示実施例では、前記軒樋を支持する支持材と、軒先に取り付けられる取付部を有する取付材と、これらの支持材と取付材とを固定する固定具と、からなり、支持材及び取付材には、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片がそれぞれ形成され、固定具には、その所定間隔Hを保持する嵌合部が形成される構成を採用している。
【0020】
例えば前記支持材における軒樋の支持構成としては、後述する図示実施例のように軒樋の建築物側の側面の上端又は下端の何れか一方或いは両方を保持する構成が挙げられる。両方を保持する構成では、軒樋を建築物側及び軒先端側から、安定に保持することができる。
また、前記取付材における取付部の構成としては、前記軒先の部位形状や配設角度等に応じて適宜に設定すればよい。
【0021】
さらに、所定間隔Hを隔てて対向する前記支持材及び前記取付材のそれぞれの横片の具体的構成としては、例えば後述する図示実施例のように上下に対向させ、更に対向面の何れか一方の横片に複数段の係合歯を設け、他方の横片には、突出状の係合歯を設ければよい。
また、前記支持材の横片及び前記取付材の横片を所定間隔Hを隔てて対向させる構成として、例えば両部材の他端(横片が形成される側を一端としている)に、枢着(軸着)端を設けることで、回動や傾動の支点とできる。
そして、所定間隔Hを隔てて対向させた状態を維持させるために、これらの横片に高さHの角筒状空間を有する角筒状体とした固定具を装着させることで一体的に取り付けることができる。
【0022】
これらの各部材から形成される本発明の軒先構造は、軒樋の建築物側の側面から軒先側の側面まで架け渡される上面部及び前記軒樋の建築物側の側面に沿わせて固定される基端面部を備える補強材を用いた構造であって、用いる補強材は、その基端面部及びその上面部がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続しているため、軒樋を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、特に上面部は上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋やカバー材の破損等を防止できる。特に軒樋の長さ方向に、複数の補強材を配設することにより、より高い支持強度が得られる。
【0023】
さらに、軒樋の係合部が、補強材の軒先端に係合され、更に前記カバー材の下端と連絡されている場合には、カバー材は軒樋ばかりでなく補強材をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。また、軒樋と補強材との一体性が向上するので、カバー材を含めた三部材の一体性も向上する。
【実施例0024】
図1(a)に示す本発明の実施例1の軒先構造は、建築物の軒先に固定される樋受け金具2に、建築物側の側面33が取り付けられる軒樋3と、該軒樋3の建築物側の側面33から軒先側の側面32まで架け渡される上面部11及び軒樋3の建築物側の側面33に沿わせて固定される基端面部12を備える補強材1と、軒樋3の開放上面を覆うカバー材4と、からなる軒先構造であって、カバー材4は、その上端が建築物の軒先(軒先唐草5)に固定され、その下端が軒樋3の軒先端に設けた係合部321に連絡され、補強材1は、その基端面部12及びその上面部11がそれぞれ両側端121,111を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続していることを特徴とする。
【0025】
この実施例1における補強材1は、図1(b)に示すように軒樋3の建築物側の側面33から軒先側の側面32まで架け渡される(側面視が横方向に配される)上面部11と、軒樋3の建築物側の側面33に沿わせて固定される(側面視が縦方向に配される)基端面部12とを備え、側面視がL字状に成形される部材である。
前記基端面部12の中央には、ビス等の固定具を打ち込むための円孔120が形成され、前記上面部11の軒先端に斜め上方へ向かう係止片13が設けられている。
【0026】
また、この補強材1は、その両側端が裏面側へ折り曲げられた帯状であるため、断面形状はワ字状(逆U字状)に成形され、長さ方向に耐折れ性に優れており、支持強度が高い。即ち上面部11の表面111及び基端面部12の表面121は、表面側から帯状で、側面視が細幅線のL字状を形成して連続しているに過ぎないが、それを裏面側へ折り曲げた部分112,122は、側面視が太幅(帯)線のL字状であって連続しており、しかも前記側面視が細幅線のL字状(111,121)の両側縁に形成されているため、高い折れ曲げ耐性をこの補強材1自体に付与するものである。
【0027】
軒樋3は、雨水等を排水する内部空間(排水部)を有する通し材であり、その開放上面を覆うようにカバー材4が配設される。
この実施例1における軒樋3の排水部(内部空間)は、図1(b)に示すように略水平状の底面31の軒先側(図面では左側)に、三つの傾斜面と二つの略水平面とからなる段状の側面32が形成され、前記底面31の建築物側(図面では右側)には、略垂直状に起立する側面33が形成され、これらの底面31及び側面32,33にて断面略U字状の雨水等の排水路が形成されている。なお、軒先側の側面32の先端(上端)が、傾斜面と略水平面で形成される係合部321であり、該係合部321の上端を折り返して前記補強材1の係止片13に掛止される掛止部322が設けられている。また、建築物側の側面33は、その略L字状の下端331と折返し状の上端332が樋受け金具2に取り付けられる。
【0028】
軒樋3を取り付ける樋受け金具2は、軒樋3を支持する支持材2Aと、軒先に取り付けられる取付部(2d)を有する取付材2Bと、これらの支持材2Aと取付材2Bとを固定する固定具2Cと、からなり、支持材2A及び取付材2Bには、回動自在に固定した状態にて所定間隔Hを隔てて対向する横片25,27がそれぞれ形成され、固定具2Cには、その所定間隔Hを保持する嵌合部28が形成される。なお、前記取付材2Bの取付部(2d)は、取付材2Bの縦状片26の中程(二か所)から外壁6Bへ長ビス状の固着具2dを打ち込んだ箇所を示す。
【0029】
この樋受け金具2における支持材2Aは、図1(c)に示すように略垂直状の縦片21から軒側へ傾斜片22が延在し、その基端付近より下方へ傾斜片23が形成され、該傾斜片23と縦片21とで形成される隅部が上方保持部24Aである。また、縦片21には、コ字状の中間部分が形成され、その下片が横片25であり、該横片25の先端に縦片を介して軒先側へ延在する下方保持部24Bが設けられている。
前記縦片21の上端付近から突出する横片の先端には、小円弧状の軸部211が形成され、前記横片25には、下向き片251が形成され、この下向き片251の下端が係止凸部である。
この樋受け金具2における取付材2Bは、縦状片26の上端に、前記支持材2Aの軸部211を枢着させる軸受け部261が形成され、下端には、軒先側へ略円弧状に延在する横片27が形成されている。
前記横片27の上面側には、支持材2Aの係止凸部が当接(係止)する複数段の係合歯271が形成されている。
この樋受け金具2における固定具2Cは、前記支持材2Aと前記取付材2Bとを固定するものであって、支持材2Aの横片25と、取付材2Bの横片27との所定間隔Hを保持する嵌合部28が形成されている。当該実施例の固定具2Cは、高さHの角筒状空間を有する角筒状体であり、この角筒状空間が嵌合部28である。
【0030】
カバー材4は、前記軒樋3の開放上面を覆う部材であって、軒樋3の内部に降雪が堆積したり、落ち葉等が侵入、堆積したり、鳥類等が巣作りすることを防止する部材であり、通し材でも複数の組み合わせでもよい。
また、このカバー材4は、その表面(化粧面41)には雨水を内部へ導く導水口411として複数の小径のスリット孔が形成され、その軒先端には略コ字状に形成された係合部42が、前記軒樋3の軒先端321と係合して取り付けられ、その上端に建築物の軒先(軒先唐草5)へビス4bにて固定される固定部43が形成されている。
前記係合部42は、化粧面41の軒先端から斜め上方へ延在し、その先端を下方へ折曲し、更にその下端を内側へ折曲した略コ字状に形成されているが、化粧面41と係合部42との境界には下方へ凹む排水溝45が形成され、所定間隔で導水口451が形成されている。
【0031】
前記樋受け金具2が固定される建築物の軒先とは、図1(a)に示す軒先構造では図示しない屋根勾配に沿って配設される躯体の上面に配される野地材(木毛セメント板)等の下地材6Aや図示しない縦方向に配設される縦躯体の外側に配される外壁6Bや鼻隠しなどがそれに相当し、これらの下地材6Aと外壁6Bは直交状に配設されている。
前記下地材6Aの軒先端の上面には、下地材6Aの上面に沿う横片状の固定面部51とその下面から垂下する縦片部52と軒先側へ延在する横片状の被固定部53とからなる軒先唐草5が取り付けられている。この軒先唐草5の固定面部51と縦片部52とからなる隅部が、下地材6Aの軒先端(略直角状)に嵌合状に容易に配設でき、その被固定部53には、前記カバー材4の固定部43が載置状に沿わせられてビス4bにて固定されている。
【0032】
野地材(木毛セメント板)等の下地材6Aは、屋根勾配に沿って配設され、その上面には、複数の横葺き外装材7が吊子である保持部材8と共に取り付けられている。
この横葺き外装材7及び保持部材8は、広く利用される一般的な構成であって、横葺き外装材7の平坦状の面板部71の軒先側に設けた水下側成形部72と軒側に設けた水上側成形部73とが係合されると共に保持部材8に設けた係合部に係合されて下地材6A上に取り付けられている。
【0033】
縦方向に配設される外壁6Bの軒側の外面には、前記樋受け金具2の取付材2Bが固定されるが、前述のように取付材2Bの縦状片26の中程(二か所)から外壁6Bへ長ビス状の固着具2dを打ち込んで固定する。そのため、取付材2Bの縦状片26には、固着具2dを打ち込むための孔を予め縦状片26に形成しておくことが望ましい。
【0034】
このような構成を備える本発明の軒先構造は、軒樋3の建築物側の側面33を、建築物の外壁6Bに固定した樋受け金具2に取り付け、軒先端に設けた係合部321を、建築物の下地材6Aに取り付けた軒先唐草5に固定したカバー材4にて抱持状に(引っ張るように)保持している構造であって、軒樋3の左右端を安定に保持できる。
この軒先構造は、その施工順を特定するものではないが、補強材1や軒樋3、及びカバー材4の施工以前に、それら以外の樋受け金具2や軒先唐草5などの取付を完了していることが望ましい。
なお、樋受け金具2は、軸受け部261に軸部211を挿着することにより容易に回動可能に組み合わせることができ、対向させた横片25,27に対して固定具2Cの嵌合部28を容易に嵌合させて一体化させることができる。そして、図示された所定の角度において、固定具2Cを横片25,27に深く嵌合させて一体化(固定)する。
【0035】
この実施例1の軒先構造を施工する手順を簡単に説明すると、まず、建築物の外壁6Bに固定した樋受け金具2の支持材2Aに、軒樋3の建築物側の側面33を沿わせて保持させると共に、補強材1の基端面部12を側面33に沿わせてビス1bにて一体に固定する。なお、軒樋3の建築物側の側面33については、前述のようにその下端331と上端332が樋受け金具2の上方保持部24Aと下方保持部24Bに取り付けられて安定に保持される。
次に、カバー材4を軒樋3の開放上面を覆うように配設し、その軒先側の端縁に設けた係合部42が、軒樋3の軒先端(係合部321)に係合させると共に、その建築物側の端縁である固定部43が、軒先唐草5の被固定部53に沿わせてビス4bにて固定される。そして、このカバー材4が、軒樋3を引っ張るように保持するので、軒樋3は安定に支持される。
【0036】
このように施工される実施例1の軒先構造は、軒樋3の建築物側の側面33から軒先側の側面32まで架け渡される上面部11及び軒樋3の建築物側の側面33に沿わせて固定される基端面部12を備える補強材1を用いた構造であって、用いる補強材1は、その基端面部12及びその上面部11がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続しているため、軒樋3を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、特に上面部11は上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋3やカバー材4の破損等を防止できる。
【0037】
特にこの実施例1では、軒樋3の係合部321に設けた掛止部322が、補強材1の軒先端に設けた係止片13に係合されているので、カバー材4は軒樋3ばかりでなく補強材1をも引っ張るように保持するので、支持強度は更に高くなる。また、軒樋3と補強材1との一体性が向上するので、カバー材4を含めた三部材の一体性も向上する。
【実施例0038】
この実施例2における補強材1'は、図2(b)に示すように係止片13が存在しない以外は、実施例1における補強材1とほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、軒樋3'についても、図2(a)に示すように係合部321の先端に掛止部322が存在しない以外は、実施例1における軒樋3とほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。なお、軒樋3'の建築物側の側面33'の上端332'は、折返し状ではない。
【0039】
この実施例2の軒先構造でも、軒樋3'の建築物側の側面33'から軒先側の側面32まで架け渡される上面部11及び軒樋3'の建築物側の側面33'に沿わせて固定される基端面部12を備える補強材1'を用いた構造であって、用いる補強材1'は、その基端面部12及びその上面部11がそれぞれ両側端を裏面側へ折り曲げられた帯状であって連続しているため、軒樋3'を安定に且つ高い支持強度にて保持でき、特に上面部11は上下何れから突発的な応力が加えられても軒樋3'やカバー材4の破損等を防止できる。
【符号の説明】
【0040】
1 補強材
11 上面部
112 折り曲げた部分
12 基端面部
122 折り曲げた部分
13 係止片
2 樋受け金具
2A 支持材
2B 取付材
2C 固定具
2d ビス(固着具)
3 軒樋
31 底面
32 (軒先側の)側面
321 係合部
33 (建築物側の)側面
4 カバー材
4b ビス(固着具)
41 化粧面
42,32' 軒先端
43 上端部
5 軒先唐草
6A 下地材(木毛セメント板)
6B 外壁
7 横葺き外装材
71 面板部
72 水下側成形部
73 水上側成形部
図1
図2