(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143800
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】非金属部材の厚さ判別装置および非金属部材の厚さ判別方法。
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20220926BHJP
G01D 5/20 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01B7/00 101F
G01D5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044513
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BB05
2F063DA02
2F063DA05
2F077FF31
2F077VV02
(57)【要約】
【課題】非金属部材を破壊せず検査可能な非金属部材の厚さ判別装置および非金属部材の厚さ判別方法を提供する。
【解決手段】非金属部材の厚さ判別装置1は、金属部材Mの表面に形成された非金属部材Nの厚さ判別装置1であって、非金属部材Nの表面に接触可能であり、金属部材Mの表面までの距離を検知する検知部2と、距離の情報を通知する通知部4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材の表面に形成された非金属部材の厚さ判別装置であって、
前記非金属部材の表面に接触可能であり、前記金属部材の表面までの距離を検知する検知部と、
前記距離の情報を通知する通知部と、
を備える非金属部材の厚さ判別装置。
【請求項2】
前記検知部の感度を調整する調整部をさらに備える、
請求項1に記載の非金属部材の厚さ判別装置。
【請求項3】
前記検知部は磁力によって前記金属部材を検知するセンサであり、前記調整部は前記磁力の出力を調整することによって、前記感度を調整する、
請求項2に記載の非金属部材の厚さ判別装置。
【請求項4】
前記通知部が設けられる筐体と、
前記筐体に設けられ、ユーザが前記筐体を保持可能なグリップと、
をさらに備え、
前記検知部は、前記筐体の一方側の面に配置され、
前記グリップは、前記筐体を挟んで反対側の面に配置され、
前記グリップは、前記検知部底面の中央部に相対する位置から延びる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の非金属部材の厚さ判別装置。
【請求項5】
金属部材の表面までの距離を検知する検知部と、前記距離の情報を通知する通知部と、を備える判別装置を用意する工程と、
前記検知部を、前記金属部材の表面に形成された非金属部材のうち前記金属部材と反対側の面に対して接触させ、前記通知部からの通知を確認し、前記非金属部材の厚さを判別する工程と、
を含む非金属部材の厚さ判別方法。
【請求項6】
前記金属部材の表面に非金属部材のテストプレートをセットし、
前記テストプレートの前記金属部材と反対側に前記検知部を接触させて、前記通知部からの通知を確認し、前記検知部の感度を調整する工程を含む、
請求項5に記載の非金属部材の厚さ判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非金属部材の厚さ判別装置および非金属部材の厚さ判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピンを用いて非金属部材の厚さを判別する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の非金属部材の厚さ判別方法では、長さの異なるピンをウレタンフォームに差し込み、差し込んだピンの長さを読み取ることによって、ウレタンフォームの厚さを判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のピンを用いた非金属部材の厚さ判別方法の場合、非金属部材をピンによって破壊する破壊検査である。破壊検査は、検査後に破壊箇所の修復を要する場合もある。
【0005】
本開示の課題は、非金属部材を破壊せず検査可能な非金属部材の厚さ判別装置および非金属部材の厚さ判別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る非金属部材の厚さ判別装置は、金属部材の表面に形成された非金属部材の厚さ判別装置であって、非金属部材の表面に接触可能であり、金属部材の表面までの距離を検知する検知部と、距離の情報を通知する通知部と、を備える。
【0007】
本開示に係る非金属部材の厚さ判別方法は、金属部材の表面までの距離を検知する検知部と、距離の情報を通知する通知部と、を備える判別装置を用意する工程と、検知部を、金属部材の表面に形成された非金属部材のうち金属部材と反対側の面に対して接触させ、通知部からの通知を確認し、非金属部材の厚さを判別する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、非金属部材を破壊せず検査可能な非金属部材の厚さ判別装置および非金属部材の厚さ判別方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a) 本開示の実施形態による判別装置の外観前面図。
【
図1】(b) 本開示の実施形態による判別装置の外観側面図。
【
図1】(c) 本開示の実施形態による判別装置の外観後面図。
【
図2】本開示の実施形態による判別装置のシステム図。
【
図3】本開示の実施形態による判別方法を使用するタンクの図。
【
図4】本開示の実施形態による判別方法の手順の一例を示すフローチャート。
【
図5】本開示の実施形態によるテストプレートの図。
【
図6】本開示の実施形態による検知部と金属部材の距離に応じた発振波形の振幅、および制御信号の発信タイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る非金属部材Nの厚さ判別装置1について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1および
図2に示すように、判別装置1は、検知部2と、通知部4と、調整部6と、筐体8と、グリップ10と、バッテリ12と、コイル14と、主回路16と、を備える。本実施形態の判別装置1は、
図3に示す、液化天然ガスを貯蔵するタンクGに使用されるウレタンフォームの厚さを測定する際に用いる。タンクGは、金属部材Mで形成される内壁20と、内壁20と間隔をあけて設けられる金属部材Mで形成される外壁22と、を有する。外壁22の内側表面には、非金属部材Nであるウレタンフォームによって形成されたウレタンフォーム層24が設けられる。ウレタンフォーム層24は、液化天然ガスが内壁20から漏液した場合に、外壁22などの構造物をサーマルショックから保護する冷熱抵抗緩和部として機能する。
【0012】
このようなウレタンフォーム層24は、冷熱抵抗緩和効果を維持するために厚さが所定以下とならないように管理することが好ましい。さらに、このようなウレタンフォーム層24は、亀裂等が発生しないように管理することが好ましい。したがって、ピンを用いてウレタンフォーム層24の厚さを管理した場合、破壊部分の修復を要する場合もある。
【0013】
図2の判別装置1のシステム図は、金属部材Mの表面に非金属部材Nを積層した構造物に対して、検知部2を接触させた状態である。
図2に示すように、検知部2は、非金属部材に接触可能であり、金属部材Mの表面までの距離を検知する。検知部2は磁力によって金属部材Mを検知するセンサであってもよい。本実施形態では、検知部2は、高周波磁界を利用し、金属部材Mまでの距離を測定する渦電流式変位センサである。このような渦電流式変位センサでは、センサヘッドハウジング2a(
図1参照)の内部にコイル14を含む。コイル14は、主回路16と電気的に接続される。主回路16は、バッテリ12に電気的に接続される。本実施形態では、バッテリ12は、筐体8から延びる接続コードによって接続され筐体8の外部に設けられる。しかし、バッテリ12は、筐体8と一体であってもよい。
【0014】
主回路16は、発振回路と、検波回路と、制御出力回路と、を含む。発振回路は電流をコイル14に流すことによって、高周波磁界を発生させる。コイル14が高周波磁界を発生すると、検知部2に近づく金属部材Mの表面に渦電流を発生させる。この渦電流によって、コイル14のインピーダンスが変化する。インピーダンスは、検知部2が金属部材Mに近づくほど小さくなる。検波回路は、発振回路の発振波形の振幅が、予め設定されている発振波形の振幅(以下、所定の振幅と明細書に記す)となったことを検出する。本実施形態では、所定の振幅は、発振が停止する振幅である。具体的には、
図6に示すように、検知部2が金属部材Mに近づくにつれて、インピーダンスが小さくなり、発振回路の発振波形の振幅が小さくなる。制御出力回路は、最終的に検波回路によって発振回路の発振波形が、所定の振幅となる距離まで(本実施形態では、発振が停止する距離まで)検知部2と金属部材Mが近づいた場合(
図6の2点鎖線参照)、制御信号を発信する。
【0015】
通知部4は、検知部2から金属部材Mまでの距離の情報を、判別装置1を使用するユーザに通知する。通知部4は、主回路16と電気的に接続される。本実施形態では、通知部4は、例えば赤色のランプである。通知部4は、金属部材Mと検知部2の距離が所定距離よりも近づき制御信号が発信された場合、制御信号を受信し点灯する。これによって、通知部4は、金属部材Mが検知部2に対して所定距離よりも近づいたときに点灯し、判別装置1を使用するユーザに距離の情報を通知する。なお、通知部4は、検波回路によって検出される発振回路の発振波形が、所定の振幅となった場合(本実施形態では発振が継続している場合)に点灯するランプであってもよい。すなわち、制御出力回路は、発振回路の発振波形が所定の振幅となった場合(本実施形態では発振が継続している場合)、制御信号を出力してもよい。これによって、金属部材Mが検知部2に対して所定距離以上の場合にランプを点灯できる。その他、通知部4は、検知部2から金属部材Mまでの距離を、ランプ以外の通知方法によって判別装置1を使用するユーザに通知してもよい。例えば、通知部4は、音や、振動などによって判別装置1を使用するユーザに距離の情報を通知してもよい。
【0016】
調整部6は、検知部2の感度を調整する。調整部6はコイル14に流れる電流値を調整することによって高周波磁界(磁力)の出力を調整し、感度を調整してもよい。具体的には、調整部6は、主回路16と接続され、コイル14に流れる電流を増幅する増幅器であってもよい。本実施形態では、調整部6は、例えばダイヤル式の増幅器である。
図6に示すように、調整部6は、ダイヤルを一方に回転させるとコイル14に流れる電流を大きくしてもよい。調整部6は、ダイヤルを他方に回転させるとコイル14に流れる電流を小さくしてもよい。
【0017】
図1(a)から
図1(c)に示すように、筐体8には、少なくとも、電源スイッチPと、通知部4と、が設けられる。本実施形態では、筐体8には、さらに調整部6が設けられる。筐体8は、前面8a、側面8b、および後面8c、を含む内部が空洞の直方体形状である。筐体8は、樹脂材料またはアルミニウム、鉄などの金属材料によって形成される。しかし、筐体8の形状や材料は、他のものであってもよい。また、本実施形態では、電源スイッチPは、電源がオンされるとランプが点灯するランプ付スイッチである。
【0018】
図1(a)に示すように、筐体8の前面8aには、検知部2のセンサヘッドハウジング2aが配置される。本実施形態では、センサヘッドハウジング2aは円柱形状である。しかし、センサヘッドハウジング2aは、非金属部材Nと接触可能であれば直方体形状などの他の形状であってもよい。筐体8の側面8bには、電源スイッチPと、通知部4と、調整部6が並んで配置されてもよい。筐体8の後面8cには、グリップ10が配置される。
【0019】
図1(b)および
図1(c)に示すように、グリップ10は、判別装置1のユーザが筐体8を保持するための部材である。例えば、
図3のタンクGのウレタンフォーム層24の厚さを判別する場合、判別装置1のユーザはグリップ10を握り、ウレタンフォーム層24に検知部2のセンサヘッドハウジング2aを接触させることによって検査をする。したがって、グリップ10は検知部2の位置を操作しやすい方が好ましい。
【0020】
本実施形態では、検知部2のセンサヘッドハウジング2aが筐体8の一方面に配置され、グリップ10は、筐体8を挟んで反対側の面である後面8cに配置される。グリップ10は、検知部2のセンサヘッドハウジング2aの底面(後面8c側の面)の中央部に相対する位置から延びる。例えば、センサヘッドハウジング2aが円柱形状の場合、グリップ10は後面8cのうち、円柱形状の底面の中心近傍に対応する位置から延びる。例えば、センサヘッドハウジング2aが直方体形状の場合、グリップ10は後面8cのうち、直方体形状の底面の対角線の交点近傍に対応する位置から延びる。これによって、ユーザは検知部2の位置を操作しやすく、検査をしやすい。
【0021】
次に判別装置1を用いて非金属部材の厚さを判別する手順(工程)について、
図4を用いて説明する。以下の手順を行うユーザは共通してもよく、異なってもよい。なお、本実施形態では、
図3に示すタンクGのウレタンフォーム層24の厚さ判別を行う例を用いて説明する。
【0022】
まず、ユーザは、第1テストプレートを用意する(ステップS1)。
図5に示すように、本実施形態ではテストプレートは、例えば、非金属部材Nであるポリアセタールなどの樹脂と、鉄などの金属部材Mを積層したプレートを樹脂ボルト26によって締結したプレートである。本実施形態では、第1テストプレートの非金属部材Nの厚さは、例えば、50mmである。テストプレートに使用する非金属部材Nは、例えばタンクGのウレタンフォーム層24の厚さと材料を模擬する材料であればよい。
【0023】
次に、ユーザは、判別装置1の電源をいれ(ステップS2)、電源スイッチPのランプが点灯したことを確認し、判別装置1が作動する状態であることを確認する。ユーザは、第1テストプレートの非金属部材Nの表面に検知部2のセンサヘッドハウジング2aの頂面2b(
図1(b)参照)を接触させることによって金属部材Mまでの距離を測定する(ステップS3)。ユーザは、通知部4のランプが点灯したか否か確認する(ステップS4)。ユーザは、通知部4のランプが点灯した場合(ステップS4 YES)、第2テストプレートを用意する(ステップS5)。
【0024】
第2テストプレートの金属部材Mおよび非金属部材Nの材料は、第1テストプレートと同じである。しかし、第2テストプレートの非金属部材Nの厚さは、第1テストプレートの非金属部材Nの厚さよりもわずかに大きい。例えば、第1テストプレートの非金属部材Nの厚さが50mmの場合、第1テストプレートの非金属部材Nの厚さは51mm以上かつ52mm以下である。ユーザは、第2テストプレートの非金属部材Nの表面に検知部2のセンサヘッドハウジング2aの頂面2bを接触させることによって金属部材Mまでの距離を測定する(ステップS7)。
【0025】
ユーザは、このような第2テストプレートを用いて、判別装置1が金属部材Mから所定距離以内の場合にランプが点灯するか否か確認する。例えば、第1テストプレートにおける測定と第2テストプレートにおける測定の両方において、ランプが点灯したとする。このような場合、判別装置1は、タンクGのウレタンフォーム層24の厚さの測定においても50mmであっても51mmであってもランプが点灯する。このような状況は、ウレタンフォーム層24が50mm以下の厚さ以下の箇所があるか否かという判別をする場合には、好ましくない。
【0026】
一方、第1テストプレートにおける測定時はランプが点灯したが、第2テストプレートにおける測定時にはランプが点灯しないとする。このような場合、判別装置1は、例えばタンクGのウレタンフォーム層24の厚さの測定においても、少なくとも51mm未満の場合のみランプを点灯させることができる。このため、ウレタンフォーム層24の厚さの判別作業の効率が高くなる。
【0027】
このため、ユーザは、第2テストプレートを用いた測定においてランプが点灯しない場合(ステップS7 NO)、設定を完了し(ステップS8)、判別装置1を用いたウレタンフォーム層24の厚さ判別作業に進む(ステップS9)。ユーザは、金属部材Mである外壁22の表面に形成されたウレタンフォーム層24のうち外壁22と反対側の面に対して接触させ、通知部4からの通知を確認し、ウレタンフォーム層24の厚さを判別する。
【0028】
一方、ユーザは、第1テストプレートを用いた測定において通知部4のランプが点灯しない場合(ステップS4 NO)、ランプが点灯するように感度を調整する(ステップS10)。具体的には、ランプが点灯しない場合、
図6に示すように、金属部材Mと検知部2との距離A(本実施形態では50mm)であっても、発振回路の発振波形が所定の振幅となっていないこと、または所定の振幅よりも大きいこと(本実施形態では発振が継続していること)が検波回路によって検出されている。このような状態では、金属部材M中に電磁誘導現象による渦電流が流れていない、もしくは、渦電流が流れていても発振回路の発振波形が所定の振幅となっていない(本実施形態では発振が停止していない)ことが考えられる。このため、ユーザは、調整部6のダイヤルを一方に回してコイル14に流れる電流が大きくなるように感度を調整する。これによって、高周波磁界が大きくなり、金属部材M中に電磁誘導現象による渦電流が流れ、その渦電流が発振回路の発振波形の振幅に影響を与え、発振回路の発振波形が、所定の振幅となり(本実施形態では発振が停止し)、ランプが点灯するようになる。
【0029】
また、ユーザは、第2テストプレートを用いた測定においてランプが点灯する場合(ステップS7 YES)、ランプが点灯しないように感度を調整する。具体的には、ランプが点灯する場合、
図6に示す金属部材Mと検知部2との距離B(本実施形態では51mm)であっても、発振回路の発振波形が所定の振幅となっている(本実施形態では、発振が停止している)ことが検波回路によって検出されている。このような状態では、金属部材M中に電磁誘導現象による渦電流が流れ、発振回路の発振波形が所定の振幅となっている(本実施形態では、発振が停止している)ことが考えられる。このため、ユーザは、調整部6のダイヤルを他方に回して電流を小さくするように感度を調整する。これによって、高周波磁界が小さくなり、金属部材M中に電磁誘導現象による渦電流が流れなくなり、その渦電流が発振回路の発振波形の振幅に与える影響が消え、発振回路の発振波形が、所定の振幅より大きくなり(本実施形態では発振が継続し)、ランプが点灯しないようになる。ユーザは、最終的に
図6に示すように、距離Aではランプが点灯し、距離Bではランプが点灯しなくなるように感度を調整する。
【0030】
以上説明した通り、本開示によれば、例えばタンクGにおけるウレタンフォーム層24のような非金属部材Nを破壊せず検査可能な非金属部材Nの厚さ判別装置1および非金属部材Nの厚さ判別方法を提供できる。
【0031】
<他の実施形態>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0032】
(a)上記実施形態では、タンクGのウレタンフォーム層24の厚さ判別を行う例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。判別装置1を用いて非金属部材の厚さを判別する構造物は、金属部材Mの表面に樹脂、発泡樹脂などの非金属材料を含む非金属部材Nを積層する構造物であれば、いかなる構造物であってもよい。
【0033】
(b)上記実施形態では、第1テストピースとして厚さ50mmの樹脂材料、および第2テストピースとして厚さ51mmから52mmの樹脂材料を用いる例を説明したが、本開示はこれに限定されない。テストピースの非金属部材Nの厚さは、厚さを判別する構造物に合わせて適宜設定すればよい。
【0034】
(c)上記実施形態では、発振回路の発振波形が所定の振幅となったこと(発振が停止したこと)を検波回路が検出した場合に制御信号を発信する渦電流式変位センサの例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。判別装置1は、主回路16がインピーダンスの変化を電圧変化に変換し、電圧が所定電圧値以下の場合に制御信号を発信する渦電流式変位センサであってもよい。具体的には、判別装置1は、検知部2と金属部材Mまでの距離(測定距離)が遠いほど主回路16が電圧を大きく出力し、近いほど電圧を小さく出力するようにしてもよい。このような判別装置1によれば、所定電圧値よりも小さい場合に通知部4が判別装置1のユーザに通知する。これによって、通知部4は、金属部材Mが検知部2に対して所定距離よりも近づいたときに判別装置1のユーザに距離の情報を通知することができる。
【0035】
(d)上記実施形態では、発振回路の発振波形が所定の振幅となったこと(発振が停止したこと)を検波回路が検出する渦電流式変位センサを例に説明したが、本開示はこれに限定されない。判別装置1は、金属部材Mを近づけると発振波形の周波数が変化する高周波発振型近接センサであってもよい。このような高周波発振型近接センサは、金属部材Mが検知部2に近づくにつれて周波数が高くなる。このような判別装置1によれば、所定周波数よりも高い場合に通知部4が判別装置1のユーザに通知する。これによって、通知部4は、金属部材Mが検知部2に対して所定距離よりも近づいたときに判別装置1のユーザに距離の情報を通知することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 :厚さ判別装置
2 :検知部
2a :センサヘッドハウジング
4 :通知部
6 :調整部
8 :筐体
8a :前面
8b :側面
8c :後面
10 :グリップ
24 :ウレタンフォーム層
M :金属部材
N :非金属部材