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特開2022-143832光ファイバ接続システム、光ファイバ接続制御装置及び光ファイバ接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143832
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】光ファイバ接続システム、光ファイバ接続制御装置及び光ファイバ接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
G02B6/30
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044557
(22)【出願日】2021-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日比野 善典
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 幹寛
(72)【発明者】
【氏名】張 祺
(72)【発明者】
【氏名】石井 元速
(72)【発明者】
【氏名】山田 智之
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB09
2H137BA15
2H137BA31
2H137CA12A
2H137CB02
2H137CB05
2H137CB06
2H137CB18
2H137CB22
2H137CB23
2H137CB24
2H137CC03
2H137CC31
2H137GA01
(57)【要約】
【課題】ファイバ部品と光学部品との接続について、より多くの工程を自動化することによって調芯に係る作業をいっそう効率化することができる光ファイバ接続システムを提供する。
【解決手段】光の入力または出力が可能な導波路チップ3に光ファイバ25を接続する光ファイバ接続システム1を、複数の光ファイバを有するファイバ部品2が保持されるトレー26と、トレー26に保持された光ファイバ25の一部であるファイバアレイ21を導波路チップ3または光入力ファイバ91若しくは光出力ファイバ92に向かって移動させるロボット8のアーム部81と、アーム部81によりファイバアレイ21が移動中の光ファイバ25の形状を撮像するカメラ41、42と、カメラ41、42により撮像された撮像画像に基づいて、アーム部81によるファイバアレイ21の移動を制御する移動制御部50と、により構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入力または出力が可能な光学部品に光ファイバを接続する光ファイバ接続システムであって、
複数の前記光ファイバを有するファイバ部品が保持される部品保持部材と、
前記部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を前記光学部品に向かって移動させるファイバ移動部と、
前記ファイバ移動部により前記一部が移動中の前記光ファイバの形状を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記ファイバ移動部による前記一部の移動を制御する移動制御部と、を含む、光ファイバ接続システム。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記撮像画像における前記光ファイバの曲がり状態に応じて前記ファイバ移動部の移動の経路を決定する、請求項1に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項3】
前記移動制御部は、前記光ファイバの曲げ半径が、予め定められた閾値よりも小さくなっているか否かを判断し、前記光ファイバの曲げ半径が前記閾値よりも小さくなっていると判断した場合に前記光ファイバの曲げ半径が大きくなるように前記ファイバ移動部の移動経路を決定する、請求項2に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項4】
前記ファイバ移動部は、前記光ファイバの端部を束ねて形成されるファイバアレイを前記光学部品としての導波路チップに向けて移動させ、前記ファイバアレイと反対側の端部を前記光学部品としての光入力ファイバまたは光出力ファイバに向けて移動させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項5】
前記部品保持部材は、前記ファイバ部品が載置される板状部材と、前記板状部材にあって前記光ファイバが巻き回される巻き芯と、を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項6】
前記部品保持部材は、前記ファイバアレイ、または前記光ファイバの前記端部と異なる他方の端部を保持する凹部を備える、請求項4に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項7】
複数の光ファイバを有するファイバ部品が保持される部品保持部材と、前記部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を光の入力または出力が可能な光学部品に向かって移動させるファイバ移動部と、前記ファイバ移動部により前記一部が移動中の前記光ファイバの形状を撮像する撮像部と、備える光ファイバ接続システムを制御する光ファイバ接続制御装置であって、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記ファイバ移動部による前記一部の移動を制御する移動制御部を含む、光ファイバ接続制御装置。
【請求項8】
光の入力または出力が可能な光学部品に光ファイバを接続する光ファイバ接続方法であって、
部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を前記光学部品に向かって移動させる工程と、
前記一部が移動中の前記光ファイバの形状を撮像する工程と、
撮像された撮像画像に基づいて、前記光ファイバの前記一部の移動を制御する工程と、を含む、光ファイバ接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを他の光学部品と接続する、光ファイバ接続システム、光ファイバ接続制御装置及び光ファイバ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光デバイスの製造においては、光ファイバと導波路チップとを接続することが必要となる。光ファイバと導波路チップとの接続の際には、光ファイバと導波路チップとの調芯(位置合わせ)が行われる。調芯の作業に係る時間を短縮することを目的とした発明は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の光導波路・光ファイバ接続方法では、予め設定された光ファイバ・アレイ・ブロックのポートと、予め設定された平面光導波路のコアとの配列位置の誤差から各ポートの光損失を理論計算し、調芯に最適なポートを複数設定する。そして、ピークサーチを実行して設定された各ポートの光損失を実際に測定し、実測値と計算値とが一致するか否かを判断する。
【0003】
なお、特許文献1に記載のピークサーチとは、光源を備えるチャネルセレクタに光ファイバの光ファイバ・アレイ・ブロックの側と異なる他端を接続し、光ファイバの出力をモニタしながら光ファイバの位置を微動して最大出力位置を探索する動作をいう。特許文献1に記載の構成によれば、調芯の作業のうち、調芯開始ポートの決定と、計測用ポートの切り替えとを自動的に行うことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-248427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、実装装置上の調芯作業の時間を短縮するために予め計算機上の処理を必要とし、このために光ファイバ・アレイ・ブロックのポート位置や平面光導波路のコアの位置を計算機に入力する作業が必要となる。また、特許文献1に記載の構成は、各ポートの出力値が妥当でないと判断した場合、光ファイバ・アレイ・ブロックの併進座標及び回転座標を微動させて上記の理論計算を行うため、計算機上での処理に比較的長い時間を要する。さらに、特許文献1に記載の構成は、チャネルセレクタを使って調芯作業に使用される調芯ポートの切り替えを自動化するため、調芯から光ファイバと導波路チップとの接続に至る、実装全体に係る処理の時間を十分短縮するには改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ファイバ部品と光学部品との接続について、より多くの工程を自動化することによって調芯に係る作業をいっそう効率化することができる光ファイバ接続システム、光ファイバ接続制御装置及び光ファイバ接続方法に係る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の光ファイバ接続システムは、光の入力または出力が可能な光学部品に光ファイバを接続する光ファイバ接続システムであって、前記光ファイバを有するファイバ部品が保持される部品保持部材と、前記部品保持部材に保持された複数の前記光ファイバの一部を前記光学部品に向かって移動させるファイバ移動部と、前記ファイバ移動部により前記一部が移動中の前記光ファイバの形状を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記ファイバ移動部による前記一部の移動を制御する移動制御部と、を含む。
【0008】
本発明の光ファイバ接続制御装置は、複数の光ファイバを有するファイバ部品が保持される部品保持部材と、前記部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を光の入力または出力が可能な光学部品に向かって移動させるファイバ移動部と、前記ファイバ移動部により前記一部が移動中の前記光ファイバの形状を撮像する撮像部と、備える光ファイバ接続システムを制御する光ファイバ接続制御装置であって、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記ファイバ移動部による前記一部の移動を制御する移動制御部を含む。
【0009】
本発明の光ファイバ接続方法は、光の入力または出力が可能な光学部品に光ファイバを接続する光ファイバ接続方法であって、部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を前記光学部品に向かって移動させる工程と、前記一部が移動中の前記光ファイバの形状を撮像する工程と、撮像された撮像画像に基づいて、前記光ファイバの前記一部による前記一部の移動を制御する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ファイバ部品と光学部品との接続について、より多くの工程を自動化することによって調芯に係る作業をいっそう効率化することができる光ファイバ接続システム、光ファイバ接続制御装置及び光ファイバ接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の光ファイバ接続システムを説明するための模式的な斜視図である。
図2図1に示すトレーユニットを説明するための上面図である。
図3図2に示すトレーユニットからファイバ部品を除いた状態を示す図である。
図4図1に示すコントローラの移動制御部を説明する模式的なブロック図である。
図5図1に示す光ファイバ接続システムにおいて行われる光ファイバ接続方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明に使用する図面は、本実施形態の技術思想、構成、動作等を説明することを目的にする模式的なものであり、図面に示す構成の寸法形状や縦、横、幅及び厚さの比は、本実施形態の構成を限定することがない。
【0013】
[概要]
本実施形態の説明に先立って、本実施形態の概要を説明する。本実施形態は、複数の光ファイバを有するファイバ部品と、ファイバ部品との間で光の入出力が可能な光学部品とを接続して光デバイスを形成することに適用される。ここで、光ファイバは、光信号の伝送に使用される線状の伝送路をいい、コアと呼ばれる中心部分を、このコアよりも屈折率の低いクラッドで覆うように構成されたものを指す。光学部品としては、例えば、光導波路型や光ファイバ型が挙げられる。光導波路型は同じくコアと呼ばれる中心部分を、このコアよりも屈折率の低いクラッドで覆うように構成されたもので、本実施形態では板状のものを指すものとする。また、本実施形態では、光導波路と共に電気素子や光路を分岐または結合する構成を1チップ化したものを光導波路チップとも記す。
【0014】
複数の光ファイバは、少なくとも一方の端部を含む部分が束ねられて光学部品と接続される。光ファイバの束ねられた端部は、光学部品とのインターフェースとなるファイバアレイ(FA : Fiber Array)を構成する。また、光ファイバの接続にあっては、接続に先立って調芯が行われる。調芯をアクティブ調芯で行う場合、光ファイバに光を入出力する他のファイバと調芯の対象となる光ファイバとを接続する必要がある。
【0015】
ところで、光ファイバには、許容される曲げの程度が定められている。曲げの程度は、例えば、曲率半径で表される「最小曲げ半径」により表される。曲げ半径は、線状部材の曲がっている部分に沿う円弧の半径により表され、値が小さいほど曲がりが大きい、つまり急峻な曲げを表している。一般的な光ファイバの最小曲げ半径は30mmであり、最小曲げ半径以下の曲率半径に光ファイバを折り曲げて使用すると、光ファイバからなる光ファイバケーブル内の光信号の屈折が大きくなってクラッドから漏れる虞がある。また、使用中以外でも光ファイバケーブルを最小曲げ半径以下に折り曲げると、微小亀裂が生じて最終的に光ファイバが破損することになる。このため、光ファイバを光学部品や他のファイバに接続する工程では光ファイバのハンドリングが複雑になり、この点が光ファイバと光学部品とを接続する工程の自動化を困難にしていた。
【0016】
本実施形態は、ファイバ部品を光学部品と接続する工程において、光ファイバの曲がりを画像観察し、光ファイバが最小曲げ半径以下に折れ曲がる、あるいはその可能性を検出する。そして、本実施形態は、光ファイバの最小曲げ半径以下の曲がりを解消、または回避するように、光学部品に向かう光ファイバの移動経路を制御する。
【0017】
[光ファイバ接続システム]
図1は、本実施形態の光ファイバ接続システム1を説明するための模式的な斜視図である。本実施形態においては、図1に示す座標系のz軸の値が相対的に小さい側が「下」として空間の上下を定めている。図1に示す光ファイバ接続システムは、ファイバ部品2と導波路チップ3とを接続するシステムであり、接続と、接続のために行われるファイバ部品2と導波路チップ3との調芯とを一連の処理として自動的に行う。なお、ファイバ部品2は、導波路チップ3の両側にそれぞれ一つずつ接続される。図1は、光ファイバ接続システム1のうち、導波路チップ3の片側にファイバ部品2を接続する部分を示している。すなわち、光ファイバ接続システム1は、導波路チップ3の他方の側にファイバ部品を接続するため、図1に示した構成と同様の構成をさらに含んでいる。このような構成において、他方の側におけるファイバ部品の接続は、図1に示す構成において行われるファイバ部品2の接続と同様な手順及び動作により行われる。
【0018】
本実施形態の光ファイバ接続システム1は、二つのローダ11、12及びコレクタ13を含み、ローダ11は、トレーユニット10を複数収容するための複数の棚111を備えている。トレーユニット10は、トレー26が複数の光ファイバを有するファイバ部品2を保持して構成される。ローダ12は、導波路チップ3を複数収容するための複数の棚121を備えている。コレクタ13は、ファイバアレイ21を介して接続されたファイバ部品2と導波路チップ3とにより構成されるサブアッシー20を収容する。
【0019】
また、ローダ11の棚111が開放されている側(以下、「開放側」)にはトレーユニット10を搬出するためのユニットコンベヤ61が設置されている。コレクタ13の棚131の開放側にはサブアッシー20をコレクタ13に向かって搬送するアッシーコンベヤ62が設置されている。ユニットコンベヤ61は、矢線F1が示す方向に回転し、トレーユニット10を矢線F1が示す方向に搬送する。アッシーコンベヤ62は、矢線F2が示す方向に回転し、サブアッシー20を矢線F2が示す方向に搬送する。
【0020】
ローダ12の開放側には、導波路チップ3を固定するためのステージ71が設置されている。導波路チップ3のローダ12からステージ71への移動は、例えば、ロボット8のアーム部81によって行うものであってもよい。ステージ71は、後述するように、調芯時に駆動することによってファイバ部品2に対する導波路チップ3の位置をわずかずつ変化させる。このため、光ファイバ接続システム1は、図示しないステージ駆動ドライバを含んでいる。さらに、ステージ71は、導波路チップ3が置かれたときに導波路チップ3を吸引(チャック)して固定してもよい。
【0021】
ファイバ部品2と導波路チップ3との接続は、図1中に示す接続エリアAにおいて行われる。本実施形態の接続エリアAは、ユニットコンベヤ61の一部とステージ71とを含む領域である。さらに、光ファイバ接続システム1は、トレー26に保持された複数の光ファイバ25の一部を光の入力または出力が可能な光学部品に向かって移動させるアーム部81を有している。本実施形態は、ロボット8がアーム部81を有し、アーム部81が光ファイバ25の端部を結束するファイバアレイ21を保持して導波路チップ3に向かって移動させる。また、本実施形態は、ファイバアレイ21がアーム部81に保持された状態の光ファイバ25の形状を撮像するカメラ41、42と、カメラ41、42により撮像された撮像画像に基づいて、ロボット8によるアーム部81によるファイバアレイ21の移動を制御するコントローラ5と、を含んでいる。カメラ41、42は接続エリアAまたは接続エリアAの少なくとも一部を撮像可能な領域に設けられる。
【0022】
光ファイバ接続システム1は、複数(二つ)のカメラ41、42を備えている。カメラ41は、ユニットコンベヤ61とステージ71とに渡って設置された基台75の天板73の裏面に固定され、トレーユニット10に保持されているファイバ部品2の上面を撮像する。カメラ42は、カメラ41よりも下方に設けられ、光ファイバ等を側方から撮像する。このような構成により、光ファイバ接続システム1は、光ファイバ等を複数の異なる方向から撮像することが可能になる。このようなカメラ41、42としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。
【0023】
コントローラ5は、複数の異なる方向から撮像された撮像画像から情報を取得し、光ファイバ等の複数の方向の曲がりの程度を検出することが可能になる。また、コントローラ5は、AI(Artificial Intelligence)技術を用いることにより、例えば、カメラ41、42の設置位置の間にある位置から見た光ファイバ等の形状を推測して曲がりの程度を判定するようにしてもよい。このようなコントローラ5は、上記処理に特化した専用の装置であってもよいし、上記処理を行うためのプログラムを実行する汎用のコンピュータ装置であってもよい。さらに、コントローラ5は、ファイバ部品2及び導波路チップ3の搬送から調芯、さらには接続の一連の処理を統括的に制御してもよい。
【0024】
さらに、光ファイバ接続システム1は、ファイバ部品2と導波路チップ3との間に接着剤を供給する図示しないシリンジを備えている。本実施形態では接着剤に紫外線硬化型の接着剤を用い、接着剤を硬化させるために紫外線を照射するUV(Ultra Violet)照射部72が接着剤供給用のシリンジに近接して配置されている。
【0025】
また、光ファイバ接続システム1は、接続エリアAに設置されるパッチパネル9を含んでいる。パッチパネル9は、光ファイバのファイバアレイと反対側の端部に設けられたコネクタ24(図2)と、光学部品としての光入力ファイバ91または光出力ファイバ92との接続を補助する。コネクタ24(図2)と光入力ファイバ91または光出力ファイバ92との接続は、ファイバ部品2と導波路チップ3との接続に先立って行われる調芯において行われる。コネクタ24(図2)と、光入力ファイバ91、光出力ファイバ92とを接続する際、コネクタ24の光入力ファイバ91、光出力ファイバ92への移動は、アーム部81によって行われる。
【0026】
上記の光ファイバ接続システム1においては、トレー26が部品保持部材、ロボット8のアーム部81がファイバ移動部、導波路チップ3及び光入力ファイバ91、光出力ファイバ92が光学部品、カメラ41、42が撮像部、移動制御部50が移動制御部(図4)としてそれぞれ機能する。また、ファイバアレイ21は、アーム部81により移動される光ファイバ25の一部を構成する。
【0027】
図2は、トレー26に保持されたファイバ部品2により構成されるトレーユニット10を説明するための上面図である。図2に示すように、ファイバ部品2に用いられる複数の光ファイバ25は、一部で結束されてテープファイバ部22を構成する。テープファイバ部22は、樹脂等で被覆された光ファイバ25を複数平行に配列し、さらに樹脂等で被覆して形成される。テープファイバ部22は光ファイバ25の一部であるから、本実施形態の説明においては、光ファイバ25の分岐部分とテープファイバ部22の結束部分とを合わせた全体を光ファイバ25とも記す。
【0028】
光ファイバ25の一方の端部はファイバアレイ21により結束されていて、他方はファンアウト部23により分離される。分離された側の光ファイバ25の端部にはそれぞれコネクタ24が取り付けられる。なお、図示を略しているが、テープファイバ部22は、40本から90本の光ファイバ25により構成される。
【0029】
また、図2に示すように、トレー26は、ファイバ部品2が載置される板状部材261と、板状部材261上にあって、光ファイバ25のテープファイバ部22が巻き回される巻き芯271、272と、を備えている。巻き芯271、272は、テープファイバ部22の二点において、それぞれテープファイバ部22を保持することができる。テープファイバ部22の二点に加わる力は、それぞれトレー26の外側に向かい、かつ反対方向に作用する。このような構成によれば、テープファイバ部22がトレー26上で絡まることを防ぐことができる。また、このような構成は、巻き芯271、272の径を光ファイバ25の最小曲げ半径よりも充分大きくすることにより、光ファイバ25がトレー26上で最小曲げ半径以下に曲がることを防ぐことができる。
【0030】
ロボット8のアーム部81は、光ファイバ25のファイバアレイ21を光学部品としての導波路チップ3に向けて移動させる。すなわち、アーム部81は、トレー26上のファイバアレイ21をチャッキングすることにより保持し、導波路チップ3に向かい、例えば矢線Mで示す方向に移動させる。このとき、巻き芯271に巻き回されているテープファイバ部22は、ファイバアレイ21の移動に合わせて容易に移動される。ファイバアレイ21の移動に連れて移動する光ファイバ25が絡まる、あるいは折れ曲がることを防ぐため、トレーユニット10と、ファイバアレイ21と導波路チップ3との接続位置との距離は極力短いことが好ましい。
【0031】
また、本実施形態は、アーム部81に不図示の荷重センサを設け、光ファイバ25にかかる荷重をモニタするようにしてもよい。このような構成によれば、光ファイバ25に過度の荷重がかかることを防ぎ、光ファイバ25をより確実に保護することができる。
【0032】
また、ロボット8のアーム部81は、ファイバアレイ21と反対側の端部を光学部品としての光入力ファイバ91または光出力ファイバ92に向けて移動させる。すなわち、アーム部81は、トレー26上の光ファイバ25のコネクタ24の部分をトレー26から取り出し(ピックアップ)、保持しながら移動させる。アーム部81は、パッチパネル9に形成されている不図示のポートにコネクタ24を差し込むことによって光ファイバ25を光入力ファイバ91、光出力ファイバ92と接続する。光入力ファイバ91は、不図示の光源が発した光を光ファイバ25に伝送するための光ファイバである。光源としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子やレーザーダイオード等が用いられる。
【0033】
光出力ファイバ92は、不図示のパワーメータに接続され、接続された光ファイバ25から出力される光をパワーメータに伝送する。光出力ファイバ92は、導波路チップ3の他方の側に接続される不図示の他のファイバ部品の調芯に使用することができる。すなわち、導波路チップ3の他方の側に先に他のファイバ部品が接続されている場合、他のファイバ部品に接続される光入力ファイバから光が入力される。光は、他のファイバ部品のファイバアレイを通って導波路チップ3に伝送され、図2に示すファイバ部品2のファイバアレイ21から光ファイバ25に伝送され、コネクタ24に接続された光出力ファイバ92から出力される。このため、光出力ファイバ92は、導波路チップ3の他方に接続された他のファイバ部品の調芯に使用することができる。
【0034】
上記のアーム部81によるファイバアレイ21のチャッキング、またはコネクタ24のピックアップは、カメラ41、42によりファイバアレイ21またはコネクタ24を撮像しながら行われる。このような処理は、例えば、撮像画像上で設定される座標とトレー26上の実際の位置の座標とを対応付けておき、撮像画像からファイバアレイ21またはコネクタ24の位置を判定することによって実現できる。ロボット8をコントローラ5が制御する場合、コントローラ5は、判定によって得られたファイバアレイ21またはコネクタ24の位置にアーム部81が移動するようにロボットドライバ85(図4)に制御信号を送信する。そして、アーム部81の位置に合わせてアーム部81の例えばチャック爪を駆動させ、ファイバアレイ21やコネクタ24を保持するようにロボット8を制御する。
【0035】
図3は、トレー26を説明するための図であって、図2に示すトレーユニット10からファイバ部品2を除いた状態を示す上面図である。上記の動作において、ロボット8がファイバアレイ21をトレー26から取り出し易くするため、トレー26は、ファイバアレイ21を保持する凹部211を備えている。凹部211は、底面212と、底面212の三方に形成された壁面213とにより形成される。本実施形態では、壁面213を斜面とし、凹部211の仮想的な上面を底面212より大きくしている。このような構成は、作業者がファイバアレイ21を凹部211に合わせてセットし易くし、しかも、より小さい領域の底面212にファイバアレイ21を正確に位置決めすることができる。さらに、ファイバアレイ21の一部は、凹部211に入り、半固定される。このような構成は、トレーユニット10の搬送中のファイバ部品2の位置ずれを防ぐことができる。
【0036】
また、トレー26は、光ファイバ25のファイバアレイ21によって結束される一方の端部と異なる他方の端部を保持する凹部251を備えている。なお、本実施形態では、光ファイバ25のファイバアレイ21の側と異なる端部にはコネクタ24が接続されていて、凹部251は、複数の光ファイバ25及びコネクタ24を置くことに適した形状を有している。凹部251は、底面252と、底面252の三方に形成された壁面253とにより形成される。また、本実施形態では、凹部251においても壁面253を斜面とし、凹部251の仮想的な上面を底面252より大きくしている。このような構成は、作業者が光ファイバ25及びコネクタ24を凹部251に合わせてセットし易く、また、より小さい領域の底面252に光ファイバ25及びコネクタ24を正確に位置決めすることができる。さらに、光ファイバ25及びコネクタ24の一部は、凹部251に入って半固定される。このような凹部251は、上記した凹部211と共に、トレーユニット10の搬送中のファイバ部品2の位置ずれを防ぐことに有効である。
【0037】
また、本実施形態では、光ファイバ25に接続するファンアウト部23を位置決めするための凹部231をトレー26に設けている。凹部231は、底面232及び壁面233により形成される。凹部231を設けることにより、本実施形態は、コネクタ24、光ファイバ25及びファンアウト部23を一体的に保持し、トレーユニット10の搬送中のファイバ部品2の位置ずれを効果的に防ぐことができる。
【0038】
以上説明したように、トレー26上でファイバアレイ21やコネクタ24を位置決めし、位置のばらつきを抑えることは、ファイバ部品2の取り付けを容易にする他、撮像画像からファイバアレイ21やコネクタ24の位置を特定する処理を簡易化することが可能になる。つまり、コントローラ5は、撮像画像を構成する画素を画像処理し、エッジや色彩等を判別してファイバアレイ21、あるいはコネクタ24の位置を特定する。このような処理において、ファイバアレイ21やコネクタ24の位置のばらつきを小さくすることは、撮像画像の処理範囲を制限して処理量を少なくし、処理に係る時間を短縮することができる。
【0039】
また、本実施形態では、複数のコネクタ24のうち、導波路チップ3との調芯に使用されるコネクタ(調芯用コネクタ)が予め決められている。本実施形態は、撮像画像から調芯用コネクタを容易に特定できるように、調芯用コネクタが置かれる位置にマーク241、242を付している。また、本実施形態は、マーク241、242に代えて、調芯用コネクタのキャップを外し、調芯用コネクタに対応する位置に置くようにしてもよい。
【0040】
さらに、本実施形態の部品保持部材は、トレー26の構成に限定されない。例えば、ファイバアレイ21を接続位置まで移動させる際に光ファイバ25に「遊び」を持たせるため、トレー26は、ファイバアレイ21の移動中に縮小する機構を備えるものであってもよい。このような機構としては、例えば、板状部材261のうちのファイバアレイ21がセットされている領域を他の部分にスライドして収容可能にし、アーム部81によるチャッキングの後、この部分をスライドさせて他の部分に重ねることが考えられる。
【0041】
[光ファイバ接続制御装置]
図4は、コントローラ5の移動制御部50を説明する模式的なブロック図である。移動制御部50は、撮像画像における光ファイバの曲がり状態に応じてアーム部81の移動の経路を決定する。このような制御を行うため、移動制御部50は、画像処理部51、曲がり判定部52、移動経路決定部53及びロボット制御部54を有している。なお、以上の構成は、いずれもコントローラ5で実行されるプログラムと、プログラムの実行に使用されるコントローラ5のCPU(Central Processing Unit)やメモリ等のハードウェアとが協働することにより実現される。
【0042】
画像処理部51は、カメラ41、42から撮像画像を示すデジタルデータである撮像画像データを入力する。そして、撮像画像データに対し、必要に応じてコントラスト補正や色補正等の前処理を行う。このような前処理は、例えば、ヒストグラム変換や二値化処理によって行われる。また、画像処理部51は、補正後の撮像画像データに対し、ノイズ除去やエッジ強調等の加工処理をする。このような処理は、例えば、フィルタ処理やアフィン変換等によって行われる。次に、画像処理部51は、加工後の撮像画像データから画像特徴を抽出し、画像認識によりファイバアレイ21等の移動対象物を特定する。移動対象物の特定処理は、例えば、パターン認識、差分画像演算、テンプレートマッチング等によって行われる。ファイバアレイ21やコネクタ24を移動させる場合、移動制御部50は、ロボット8のアーム部81を含む構成を駆動するロボットドライバ85にファイバアレイ21やコネクタ24の位置を指示する制御信号S1を出力する。
【0043】
また、画像処理部51は、パターン認識の処理等により光ファイバ25の形状を特定する。曲がり判定部52は、光ファイバ25が予め定められた閾値よりも大きく曲がるか否かを判断する。本実施形態では、この閾値を光ファイバの最小曲げ半径とする。大きく曲がるか否かの判断は、光ファイバ25の形状を、例えば、予め設定されている最小曲げ半径以下の部分円等のパターン画像と比較し、光ファイバ25に最小曲げ半径以下に曲がった部分があるか否か判定することによって行われる。このような処理は、例えば、パターン認識、差分画像演算、テンプレートマッチング等によって行われる。
【0044】
さらに、上記判定は、例えば、光ファイバ25の曲がりが許容される閾値を最小曲げ半径に対して余裕を持って設定することにより、光ファイバ25が最小曲げ半径以下に曲がる以前に閾値以下の曲げを解消することができる。このようにすると、本実施形態は、光ファイバ25に最小曲げ半径以下の曲がりが発生することを予測し、曲がりの発生を未然に防ぐことができる。
【0045】
また、上記処理において、曲がり判定部52は、例えば、カメラ41から入力された撮像画像データと、カメラ42から入力された撮像画像データとを使ってAI技術等により三次元画像のデータを生成するようにしてもよい。このようにすれば、本実施形態は、光ファイバ25の曲がりの程度を二つ以上の方向について判定することができる。なお、曲がりの程度の指標は、曲率半径に限定されず、曲率を使用してもよい。このような処理によれば、光ファイバ接続システム1が備えるカメラの数を制限しながら光ファイバ25の曲がりを高い精度で判定することができる。なお、本実施形態は、カメラ41、42から入力された撮像画像データを使って三次元の画像を生成する構成に限定されず、さらに多数のカメラを備えてもよいし、一つのカメラが位置を変更しながら複数の方向から光ファイバ25を撮像してもよい。また、本実施形態は、カメラ41、42から入力された撮像画像データを個々に処理してもよい。
【0046】
曲がり判定部52が光ファイバ25に最小曲げ半径以下の曲がりが発生していると判定すると、移動経路決定部53は、光ファイバ25の曲がりが小さくなるように(最小曲げ半径が大きくなるように)以降のアーム部81の移動経路を決定する。移動経路の決定は、光ファイバ25の最小曲げ半径以下の曲がりが解消するように行われるが、このような移動経路は、例えば、最小曲げ半径以下の曲がりの発生を判定すると、移動経路決定部53が、最小曲げ半径以下の曲がりが解消する位置までファイバアレイ21を戻すように移動経路を決定してもよい。このとき、本実施形態は、ステージ71の不図示の制御部が、ステージ71をファイバアレイ21に近づけるように制御してもよい。最終調心はファイバアレイ21で行われるが、移動経路決定部53は、ステージ71の不図示の制御部と連携しながらファイバアレイ21の曲がりが最小曲げ半径以下にならないように制御するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態は、例えば、併せてアーム部81の移動距離を条件にして移動経路を決定するようにしてもよい。アーム部81の移動距離を移動経路決定の条件に含める場合、移動経路決定部53は、例えば、最小曲げ半径以下の曲がりが解消する位置のうち、現在の位置から最小の移動距離でアーム部81が移動可能な位置を次の移動位置とする。そして、現在の位置から次の移動位置までの経路を移動経路に決定してもよい。このとき、移動距離は、例えば、アーム部81がx,y,zの各方向に移動する距離を足し合わせたものであってもよいし、x,y,zの各方向の合成ベクトルの長さであってもよい。
【0048】
また、曲がり判定部52は、決定した移動位置に移動した後、引き続き光ファイバ25に最小曲げ半径以下の曲がりが発生しているか否かを判定する。最小曲げ半径以下の曲がりが発生していないと判定された場合、移動経路決定部53は、導波路チップ3の接続位置にファイバアレイ21を移動させる移動経路のうち、例えば、アーム部81の移動距離が最短になる経路をアーム部81の移動経路に決定する。
【0049】
ロボット制御部54は、移動経路決定部53により決定された移動経路を制御信号S2に変換し、ロボットドライバ85に出力する。ロボットドライバ85は、制御信号S2にしたがってロボット8の駆動軸を駆動する。なお、このようなロボット8としては、例えば、駆動軸が6軸のアーム部81を備えるものが好ましい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態は、アーム部81を移動させながら、並行して光ファイバ25の曲率半径を判定する。そして、光ファイバ25の曲率半径が最小曲げ半径以下になったことが検出されると、検出位置の次の移動位置として、例えば光ファイバ25の最小曲げ半径以下の曲がりが解消し、かつアーム部81の移動距離が最小になる位置をアーム部81の次の移動位置に決定する。このような構成により、本実施形態は、導波路チップ3との接続位置にファイバアレイ21を最短の移動距離で移動させながら、光ファイバ25に最小曲げ半径以下の曲がりが発生する度に移動経路を変更し、光ファイバ25の最小曲げ半径以下の曲がりを解消することができる。
【0051】
ファイバアレイ21が導波路チップ3との接続位置に達すると、ファイバ部品2と導波路チップ3との調芯が行われる。調芯は、例えば、光ファイバ25のコネクタ24を光入力ファイバ91、あるいは光出力ファイバ92に接続して行われるアクティブ調芯により行うことができる。光入力ファイバ91、または光出力ファイバ92と光ファイバ25との接続は、上記のファイバアレイ21と同様に、光ファイバ25の曲がりをカメラ41、42により撮像し、曲がり判定部52が光ファイバ25に最小曲げ半径以下の曲がりが発生しているか否かを判定しながら行われる。最小曲げ半径以下の曲がりの発生により、移動経路決定部53は、この曲がりが解消するように次の移動経路を決定する。
【0052】
光ファイバ25と光入力ファイバ91とが接続されると、本実施形態では、ファイバアレイ21の先に接続された受光素子(導波路チップ3の反対の側に接続されたファイバ部品に接続される光出力ファイバであってもよい)により光が受光される。そして、ステージ71を駆動させながら受光素子によって受光される光の強度をモニタし、強度がピークを持つ位置においてファイバアレイ21を導波路チップ3に接続する。ファイバアレイ21と導波路チップ3との接続は、ファイバアレイ21と導波路チップ3との間に接着剤が供給され、UV照射部72が接着剤にUV光を照射することによって行われる。ただし、本実施形態は、調芯をアクティブ調芯により行うものに限定されず、カメラ41、42から入力される撮像画像データを使ってパッシブ調芯を行ってもよい。
【0053】
なお、本実施形態は、以上説明した構成に限定されるものではない。例えば、本実施形態は、パッチパネル9にコネクタ24を介して光ファイバ25を接続しておき、後にロボット8を使って光入力ファイバ91、光出力ファイバ92を接続してもよい。また、本実施形態は、上記のように、コントローラ5がロボット8を制御する構成に限定されず、ロボット8が移動制御部50と一体化し、自立してファイバ部品2と導波路チップ3とを接続してもよい。
【0054】
[光ファイバ接続方法]
図5は、以上説明した光ファイバ接続システム1において行われる光ファイバ接続方法を説明するための図である。図5に示すように、光ファイバ接続方法は、ファイバ部品2の側のファイバ側処理100と、導波路チップ3の側のチップ側処理200とを含む。ファイバ側処理100では、例えば、作業者がファイバ部品2をトレー26に取り付けて、トレーユニット10が構成される(ステップS101)。トレーユニット10は、ローダ11収容される。次に、本実施形態では、ローダ11からトレーユニット10が搬出される(ステップS102)。なお、トレーユニット10の搬出は、作業者によって行われるものであってもよいし、他のロボット等により自動的に行うものであってもよい。
【0055】
搬出されたトレーユニット10は、ユニットコンベヤ61によって搬送される。カメラ41、42は、トレーユニット10のファイバ部品2のファイバアレイ21(図中ではFAと記す)の撮像画像データを連続的にコントローラ5に入力している。コントローラ5の移動制御部50は、撮像画像データを画像認識してファイバアレイ21の位置を特定する(ステップS103)。移動制御部50は、ロボット8を制御して、アーム部81によりファイバアレイ21を導波路チップ3の接続位置に向かって移動させる(ステップS104)。次に、移動制御部50は、ファイバアレイ21と同様に、コネクタ24を撮像画像データにより画像認識し、その位置を特定する(ステップS105)。移動制御部50は、ロボット8を制御し、アーム部81によりコネクタ24をパッチパネル9に接続された光入力ファイバ91、光出力ファイバ92に向けて移動させる(ステップS106)。
【0056】
ステップS104、S106の移動において、コントローラ5は、移動制御部50によって光ファイバ25の曲がりの状態を観察し、アーム部81の移動を制御する。移動の制御は、順次移動経路を決定することによって行われる。
【0057】
チップ側処理200においては、トレーユニット10の搬出と並行し、導波路チップ3をローダ12から作業者またはロボットが搬出する(ステップS201)。移動制御部50は、撮像画像データを画像認識して導波路チップ3の位置を特定する(ステップS202)。移動制御部50は、ロボット8を制御して、特定された位置にある導波路チップ3をステージ71の所定の固定位置まで移動させる(ステップS203)。次に、移動制御部50は、ファイバ部品2と導波路チップ3との調芯をアクティブ調芯により行う(ステップS204)。
【0058】
ステップS204の調芯は、例えば、アーム部81がファイバアレイ21を導波路チップ3の接続位置に保持した状態で行われる。コントローラ5は、ステージ71を駆動させながらファイバ部品2から出力される光の強度がピークを持つ導波路チップ3の位置を検出する。本実施形態においては、検出された位置に導波路チップ3を固定し、UV硬化型の接着剤をファイバアレイ21と導波路チップ3との間に供給し、UV光を照射して硬化させる。接着剤が硬化することにより、ファイバアレイ21と導波路チップ3とが接続される(ステップS205)。導波路チップ3と接続されたトレーユニット10は、導波路チップ3の一方にのみ光ファイバ25が接続されたサブアッシー20となってコレクタ13に向けて搬送される(ステップS206)。
【0059】
以上説明したように、本実施形態は、複数の光ファイバを有するファイバ部品をトレー(部品保持部材)により保持するので、光ファイバの調芯及び接続においてファイバ部品を所定の位置に所定の状態でセットすることができる。また、アレイ保持部を導波路チップ(光学部品)に向かって移動させるロボット及びアーム部(ファイバ移動部)を備えるため、ファイバアレイを自動的に導波路チップの近くに移動させることができる。そして、本実施形態は、ファイバアレイがアーム部に保持された状態の光ファイバの形状を撮像し、撮像された撮像画像に基づいてアーム部の移動を制御するため、アーム部の移動中に光ファイバが絡まる、あるいは許容範囲を超えて折れ曲がることを自動的に回避することができる。このような本実施形態は、光ファイバを光学部品に接続する処理に際し、光ファイバを人手によって引き回す必要がなく、より多くの工程を自動化し、調芯に係る作業をいっそう効率化することができる。
【0060】
また、本実施形態は、調芯前及び調芯中に光ファイバが最小曲げ半径以下に折れ曲がることを防ぐことができる。このため、光ファイバに微小亀裂が入ることを防ぐとともに、調芯中に光が漏れることをなくしてアクティブ調芯における光強度のピークを正確に検出することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 光ファイバ接続システム
2 ファイバ部品
3 導波路チップ
5 コントローラ
8 ロボット
9 パッチパネル
10 トレーユニット
11、12 ローダ
13 コレクタ
20 サブアッシー
21 ファイバアレイ
22 テープファイバ部
23 ファンアウト部
24 コネクタ
25 光ファイバ
26 トレー
41,42 カメラ
50 移動制御部
51 画像処理部
52 曲がり判定部
53 移動経路決定部
54 ロボット制御部
61 ユニットコンベヤ
62 アッシーコンベヤ
271,272 巻き芯
71 ステージ
72 UV照射部
73 天板
75 基台
81 アーム部
85 ロボットドライバ
91 光入力ファイバ
92 光出力ファイバ
100 ファイバ側処理
200 チップ側処理
211,231,251 凹部
212,232,252 底面
213,233,253 壁面
241,242 マーク
261 板状部材
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入力または出力が可能な光学部品に光ファイバを接続する光ファイバ接続システムであって、
複数の前記光ファイバを有するファイバ部品が保持される部品保持部材と、
前記部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を前記光学部品に向かって移動させるファイバ移動部と、
前記ファイバ移動部により前記一部が移動中の前記光ファイバを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像から得られる前記光ファイバの曲がり状態に基づいて、前記ファイバ移動部による前記一部の移動を制御する移動制御部と、を含み、
前記移動制御部は、前記撮像画像における前記光ファイバの曲がり状態に応じて前記ファイバ移動部の移動の経路を決定する、光ファイバ接続システム。
【請求項2】
前記移動制御部は、前記光ファイバの曲げ半径が、予め定められた閾値よりも小さくなっているか否かを判断し、前記光ファイバの曲げ半径が前記閾値よりも小さくなっていると判断した場合に前記光ファイバの曲げ半径が大きくなるように前記ファイバ移動部の移動経路を決定する、請求項に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項3】
前記ファイバ移動部は、前記光ファイバの端部を束ねて形成されるファイバアレイを前記光学部品としての導波路チップに向けて移動させ、前記ファイバアレイと反対側の端部を前記光学部品としての光入力ファイバまたは光出力ファイバに向けて移動させる、請求項1または2に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項4】
前記部品保持部材は、前記ファイバ部品が載置される板状部材と、前記板状部材にあって前記光ファイバが巻き回される巻き芯と、を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項5】
前記部品保持部材は、前記ファイバアレイ、または前記光ファイバの前記端部と異なる他方の端部を保持する凹部を備える、請求項に記載の光ファイバ接続システム。
【請求項6】
複数の光ファイバを有するファイバ部品が保持される部品保持部材と、前記部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を光の入力または出力が可能な光学部品に向かって移動させるファイバ移動部と、前記ファイバ移動部により前記一部が移動中の前記光ファイバを撮像する撮像部と、備える光ファイバ接続システムを制御する光ファイバ接続制御装置であって、
前記撮像部により撮像された撮像画像から得られる前記光ファイバの曲がり状態に基づいて、前記ファイバ移動部による前記一部の移動を制御する移動制御部を含み、
前記移動制御部は、前記撮像画像における前記光ファイバの曲がり状態に応じて前記ファイバ移動部の移動の経路を決定する、光ファイバ接続制御装置。
【請求項7】
光の入力または出力が可能な光学部品に光ファイバを接続する光ファイバ接続方法であって、
部品保持部材に保持された前記光ファイバの一部を前記光学部品に向かって移動させる工程と、
前記一部が移動中の前記光ファイバを撮像する工程と、
撮像された撮像画像から得られる前記光ファイバの曲がり状態に基づいて、前記光ファイバの前記一部の移動を制御する工程と、を含み、
前記移動制御を制御する工程は、前記撮像画像における前記光ファイバの曲がり状態に応じて前記ファイバ移動部の移動の経路を決定する、光ファイバ接続方法。