(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143847
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネスのヒンジ構造
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20220926BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B60R7/04 S
B60R16/02 620Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044588
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(72)【発明者】
【氏名】汐月 隆仁
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CC11
3D022CC25
3D022CD12
3D022CD18
3D022CD21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、自動車等の車両のコンソールボックスに回動可能に取り付けられたアームレストに、電装部品を設置する際に、ワイヤーハーネスをねじれや振動を少なく支持することができ、さらに、簡単・容易にヒンジ構造を形成でき、ワイヤーハーネスが脱落することがなく、さらに、アームレストを簡単・容易に脱着することもできるワイヤーハーネスのヒンジ構造を提供する。
【解決手段】ワイヤーハーネスを、アームレストの回転軸の中心部を通して貫通して支持することにより、ワイヤーハーネスをねじれや振動を少なく支持することができる。さらに、コンソールボックスおよびアームレストに、アームレストの回転軸に直交する方向から中心部にワイヤーハーネスを挿入可能とする切り欠き部を設け、スリーブ4、フランジ等の構成部材にワイヤーハーネスを跨いで装着可能とする切り欠き部を設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車等の車両のコンソールボックスに回動可能に取り付けられたアームレストに、電装部品を設置する際の、ワイヤーハーネスのヒンジ構造であって、
前記ワイヤーハーネスを、前記アームレストの回転軸の中心部を通して貫通して支持することを特徴とする、ワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項2】
前記ワイヤーハーネスを、前記アームレストの回転軸と同一の中心軸を有する、中空円筒形のスリーブにより覆うことを特徴とする、請求項1に記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項3】
前記コンソールボックスと前記アームレストとの間に、両者を離間するように付勢するスプリングを設けると共に、前記スリーブの前記コンソールボックス側および前記アームレスト側の端部に、前記スリーブの抜けを防止するフランジをそれぞれ圧入して設けることを特徴とする、請求項2に記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項4】
前記フランジと、前記コンソールボックスおよび前記アームレストとの間に、それぞれストッパーを設けることを特徴とする、請求項3に記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項5】
前記スリーブに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記ワイヤーハーネスを跨いで前記スリーブを前記ワイヤーハーネスに装着可能とする切り欠き部を設けることを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項6】
前記フランジに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記ワイヤーハーネスを跨いで前記フランジを前記スリーブの両端に装着可能とする切り欠き部を設けることを特徴とする、請求項3または4に記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項7】
前記ストッパーに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記ワイヤーハーネスを跨いで前記ストッパーを、前記フランジと、前記コンソールボックスおよび前記アームレストとの間に装着可能とする切り欠き部を設けることを特徴とする、請求項4に記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項8】
前記コンソールボックスおよび前記アームレストに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記中心部に前記ワイヤーハーネスを挿入可能とする切り欠き部を設けることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【請求項9】
前記スリーブに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記ワイヤーハーネスを跨いで前記スリーブを前記ワイヤーハーネスに装着可能とする切り欠き部を設け、前記フランジに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記ワイヤーハーネスを跨いで前記フランジを前記スリーブの両端に装着可能とする切り欠き部を設け、前記ストッパーに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記ワイヤーハーネスを跨いで前記ストッパーを、前記フランジと、前記コンソールボックスおよび前記アームレストとの間に装着可能とする切り欠き部を設け、前記コンソールボックスおよび前記アームレストに、前記アームレストの回転軸に直交する方向から前記中心部に前記ワイヤーハーネスを挿入可能とする切り欠き部を設けることを特徴とする、請求項4に記載のワイヤーハーネスのヒンジ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両のコンソールボックスに回動可能に取り付けられたアームレストに、電装部品を設置する際の、ワイヤーハーネスのヒンジ構造(以下、「ヒンジ構造」ともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両(以下、「車両」ともいう。)においては、オーディオ装置、空調装置(エアコン)等の付属機器を操作するために、機器毎に各種機能を調整するための複数の操作スイッチが配備されている。例えば、オーディオ装置については、電源オン/オフスイッチ、バンド選択スイッチ、音量調整スイッチ等の操作スイッチが配備され、空調装置については、電源オン/オフスイッチ、設定温度調整スイッチ、風量調整スイッチ等の操作スイッチが配備されており、運転者は、各操作スイッチを操作する必要がある。
【0003】
このように、各付属機器の機能毎に操作スイッチを設けた場合、機器や機能の数が増加するにつれて操作スイッチの数が増加し、これらの操作スイッチを配備するために大きなスペースが必要となるばかりでなく、運転者は多数の操作スイッチの中から必要なスイッチを探し出して操作せねばならないため、操作の負担が過大となって、運転の安全性に支障をきたすおそれがある。そこで、特許文献1および2に開示されているように、これらの操作スイッチを備えた電装部品を、コンソールボックスの本体やリッド(蓋)に設置することが行われている。
【0004】
一方、操作スイッチの操作性の観点からは、電装部品を運転席の側方に配備されたコンソールボックスに設置するよりも、コンソールボックスに回動可能に取り付けられたアームレストに設置する方が好ましいといえるが、この場合、電装部材を各機器の制御装置に接続するために用いられるワイヤーハーネス(電源および電気信号の入出力に用いられる複数の電線を束にして集合部品としたもの)の配置が難しいものとなる。すなわち、一端が電装部品に接続されたワイヤーハーネスを車両の床方向に導き接続する必要があるが、アームレストはコンソールボックスのように固定されたものではなく、運転者が腕や肘を載せて使用する閉じた位置(以下、「閉位置」ともいう。)と、コンソールボックスに物を出し入れする開いた位置(以下、「開位置」ともいう。)との間で回動して用いられるため、これに伴い、ワイヤーハーネスがねじれや振動を受けて断線するおそれがあること等から、実施するのが難しい状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61-195716号公報
【特許文献2】特開2003-220893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、操作性を考慮して、自動車等の車両のコンソールボックスに回動可能に取り付けられたアームレストに、電装部品を設置する際に、ワイヤーハーネスをねじれや振動を少なく支持することのできるヒンジ構造を提供することにある。さらに、本発明が解決しようとする課題は、ヒンジ構造の形成、アームレストの脱着を簡単・容易に行えるヒンジ構造を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ワイヤーハーネスをねじれや振動を少なく支持するために、本発明のヒンジ構造は、ワイヤーハーネスを、アームレストの回転軸(以下「回転軸」ともいう。)の中心部(以下「中心部」ともいう。)を通して貫通して支持することを特徴とする。さらに、本発明のヒンジ構造では、ワイヤーハーネスを、アームレストの回転軸と同一の中心軸を有する、中空円筒形のスリーブにより覆うこと、スリーブのコンソールボックス側およびアームレスト側の端部に、スリーブの抜けを防止するフランジをそれぞれ設けることが好ましい。
【0008】
さらに、ヒンジ構造の形成、アームレストの脱着を簡単・容易に行えるようにするために、本発明のヒンジ構造は、コンソールボックスおよびアームレストに、回転軸に直交する方向から中心部にワイヤーハーネスを挿入可能とする切り欠き部を設け、スリーブ、フランジ等の構成部材にワイヤーハーネスを跨いで装着可能とする切り欠き部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジ構造は、ワイヤーハーネスを、中心部を通して貫通して支持することにより、ワイヤーハーネスをねじれや振動を少なく支持することができる。さらに、ワイヤーハーネスを貫通させる箇所は、従来、固定されたコンソールボックスにアームレストを回動可能に取り付ける回転軸の中心部であることから、設計を大幅に変更することなく、ヒンジ構造を形成することができる。
【0010】
さらに、本発明のヒンジ構造では、コンソールボックスおよびアームレストに、回転軸に直交する方向から中心部に、ワイヤーハーネスを挿入可能とする切り欠き部を設け、スリーブ、フランジ等の構成部材に、ワイヤーハーネスを跨いでこれらの構成部材を装着可能とする切り欠き部を設けることにより、一端が電装部品に接続され、他端に、車体側からのワイヤーハーネスと接続するためのコネクターを設けたワイヤーハーネスに対しても、ヒンジ構造の形成を簡単・容易に行うことができる。さらに、コンソールボックスからアームレストを簡単・容易に脱着できるヒンジ構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のヒンジ構造が適用されるコンソールボックスおよびアームレストを示す斜視模式図である。
【
図2】本発明のヒンジ構造の実施形態を示す断面模式図である。
【
図3】同実施形態におけるヒンジ構造を示す分解斜視模式図である。
【
図4】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図5】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図6】
図5におけるスプリングの取り付け状態を示す斜視模式図である。
【
図7】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図8】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図9】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図10】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図11】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図12】同実施形態におけるヒンジ構造の形成手順を示す斜視模式図である。
【
図13】同実施形態における、アームレストが閉位置にある時の、コンソールボックスおよびアームレストの切り欠き部の位置関係を示す斜視模式図および透視模式図である。
【
図14】同実施形態における、アームレストが通常の開位置にある時の、コンソールボックスおよびアームレストの切り欠き部の位置関係を示す斜視模式図および透視模式図である。
【
図15】同実施形態における、アームレストが最大開位置にある時の、コンソールボックスおよびアームレストの切り欠き部の位置関係を示す斜視模式図および透視模式図である。
【
図16】本発明のヒンジ構造の他の実施形態を示す分解斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のヒンジ構造が適用されるコンソールボックスおよびアームレストを示す斜視模式図である。コンソールボックス1は、自動車等の車両の運転席と助手席を隔てる高い部分にある物入れであり、アームレスト2が閉位置と開位置の間で回動できるように、回転軸2dにおいてアームレストの接続部2aがコンソールボックスの接続部1aに回転可能に接続されている。オーディオ装置、空調装置(エアコン)等の付属機器を操作するための電装部品(図示せず)は、アームレスト2の上面の運転者が操作しやすい位置に設けられる。
【0014】
このように電装部品をアームレスト2の上面に設けた場合、一端を電装部品に接続したワイヤーハーネスを車両の床方向に導き配線する必要があるが、アームレスト2は閉位置と開位置との間で回動して用いられるため、これに伴い、ワイヤーハーネスがねじれや振動を受けにくいように支持する必要がある。
【0015】
本発明のヒンジ構造の実施形態について、
図2および
図3を用いて説明する。
図2はヒンジ構造を示す断面模式図であり、
図3はこのヒンジ構造を分解した状態を示す斜視模式図である。
【0016】
本発明のヒンジ構造の主要な特徴は、
図2に示すように、アームレスト2の上面に設けた電装部品に接続したワイヤーハーネス3を、回転軸2dの中心部(回転軸の中心線2eの周囲)を通して貫通して支持することである。これにより、ワイヤーハーネス3をねじれや振動を少なく支持することができ、さらに、コンソールボックス1やアームレスト2の設計を大幅に変更することなく、ヒンジ構造を形成することができる。
【0017】
また、ワイヤーハーネス3を、アームレスト2の回転軸と同一の中心軸を有する、中空円筒形のスリーブ4により覆うことが好ましい。これにより、ワイヤーハーネス3を中心部に保持できると共に、アームレスト2の回動に応じてスリーブ4が摺動しワイヤーハーネス3に加わるねじりモーメントを吸収させることができる。
【0018】
本発明のヒンジ構造の好ましい形態としては、
図2および
図3に示すものが挙げられる。このヒンジ構造では、コンソールボックスの接続部1aからアームレストの接続部2aを離間するように付勢するスプリング5が設けられると共に、スリーブ4のコンソールボックスの接続部1a側、アームレストの接続部2a側の端部には、スリーブ4の抜けを防止するフランジ6、フランジ7がそれぞれ圧入して設けられている。このような形態とすることにより、アームレストの接続部2aに加わる回転軸2d方向の荷重やねじりモーメントによるスリーブ4の抜けを防止できる。さらに、フランジ6とコンソールボックスの接続部1aとの間、フランジ7とアームレストの接続部2aとの間には、それぞれ、ストッパー8、ストッパー9を設けることが好ましい。これにより、ヒンジ構造のねじりモーメント耐性を一層向上することができる。
【0019】
さらに、本発明のヒンジ構造では、一端が電装部品に接続され、他端に、車体側からのワイヤーハーネスと接続するためのコネクターを設けたワイヤーハーネス3に対しても、簡単・容易にヒンジ構造を形成でき、さらに、アームレストを簡単に脱着できるようにするため、
図3に示す次のような構造を採用することが好ましい。
【0020】
ア)ワイヤーハーネス3を、回転軸2d(回転軸の中心線2e)に直交する方向から中心部に挿入できるように、コンソールボックスの接続部1a、アームレストの接続部2aに、それぞれ、切り欠き部1b、切り欠き部2bを設ける。
【0021】
イ)スリーブ4を、回転軸2d(回転軸の中心線2e)に直交する方向からワイヤーハーネス3を跨いでワイヤーハーネス3に装着できるように、スリーブ4に切り欠き部4aを設ける。
【0022】
ウ)フランジ6、フランジ7を、回転軸2d(回転軸の中心線2e)に直交する方向からワイヤーハーネス3を跨いでスリーブ4の両端に装着できるように、フランジ6に切り欠き部6aを設け、フランジ7に切り欠き部7aを設ける。
【0023】
エ)ストッパー8、ストッパー9を、回転軸2d(回転軸の中心線2e)に直交する方向からワイヤーハーネス3を跨いでそれぞれ、フランジ6とコンソールボックスの接続部1aとの間、フランジ7とアームレストの接続部2aの間に装着できるように、ストッパー8に切り欠き部8aを設け、ストッパー9に切り欠き部9aを設ける。
【0024】
次に、上記ア)~エ)のような切り欠き部を設けたヒンジ構造の形成手順を、
図4~
図12を用いて説明する。通常、ヒンジ構造は、一端が電装部品に接続され、他端に、車体側からのワイヤーハーネスと接続するためのコネクターを設けたワイヤーハーネス3に対して形成されるが、下記の形成手順により、このようなワイヤーハーネス3に対しても、簡単・容易にヒンジ構造が形成できる。
【0025】
1)コネクター部5aおよび5bを有するスプリング5に、矢印方向に、コネクター(図示せず)を設けたワイヤーハーネス3の下端を通して、ワイヤーハーネス3にスプリング5を組み付ける。(
図4)
【0026】
2)ワイヤーハーネス3を、コンソールボックスの接続部1aの切り欠き部1bを通して中心部に組み入れ(
図5)、スプリング5のコネクター部5bを、コンソールボックスの接続部1aのスプリング固定孔1cに差し込んで(
図6)、上記1)で組み付けたものをコンソールボックスの接続部1aに仮固定する。
【0027】
3)ワイヤーハーネス3を、アームレストの接続部2aの切り欠き部2bを通して中心部に組み入れ、アームレストの接続部2aをコンソールボックスの接続部1aに組み付け、スプリング5のコネクター部5aを、アームレストの接続部2aのスプリング支持部2cに引っ掛けて、上記2)で組み付けたものをアームレストの接続部2aに仮固定する。(
図7)
【0028】
4)切り欠き部4aを通してワイヤーハーネス3を跨がせ、スリーブ4を、ワイヤーハーネス3に装着する。(
図8)
【0029】
5)切り欠き部9aを通してワイヤーハーネス3を跨がせ、ストッパー9を、スリーブ4のアームレストの接続部2a側に取り付ける。(
図9)
【0030】
6)切り欠き部8aを通してワイヤーハーネス3を跨がせ、ストッパー8をスリーブ4のコンソールボックスの接続部1a側に取り付ける。(
図10)
【0031】
7)切り欠き部7aを通してワイヤーハーネス3を跨がせ、フランジ7をスリーブ4のアームレストの接続部2a側に取り付け(
図11)、切り欠き部6aを通してワイヤーハーネス3を跨がせ、フランジ6をスリーブ4のコンソールボックスの接続部1a側に取り付け(
図12)、その後、スリーブ4に対してフランジ6および7を圧入する。
【0032】
なお、スリーブ4が脱落しないように、ストッパー9の切り欠き部9aと、ストッパー8の切り欠き部8aは、回転軸の中心線2e方向から見て、重なりが生じないように配置する。
【0033】
このように、アームレストの接続部2a、コンソールボックスの接続部1a、スリーブ4、ストッパー9、ストッパー8、フランジ7およびフランジ6に切り欠き部を設けることにより、一端が電装部品に接続され、他端に、車体側からのワイヤーハーネスと接続するためのコネクターを設けたワイヤーハーネス3に対しても、ワイヤーハーネス3が脱落することがないヒンジ構造を簡単・容易に形成することができる。
【0034】
さらに、
図15に示すように、アームレスト2を通常は使用しない、最も大きく開いた位置(以下、「最大開位置」ともいう。)において、回転軸の中心線2e方向から見た、コンソールボックスの接続部の切り欠き部1bと、アームレストの接続部の切り欠き部2bの成す角度が180度となるように、両切り欠き部1bおよび2bの位置を設定するのが好ましい。このように両切り欠き部1bおよび2bの位置を設定することにより、閉位置(
図13)から通常の開位置(
図14)では、両切り欠き部1bおよび2bが互い違いになっているので、スリーブ4によりワイヤーハーネス3が脱落するおそれはない。一方、最大開位置(
図15)では、コンソールボックスの接続部の切り欠き部1bと、アームレストの接続部の切り欠き部2bとが、スリーブ4の中心線を含む面上に並び、スリーブ4を傾けることにより、ワイヤーハーネス3を通した状態で、アームレスト2を、コンソールボックス1から取り外したり、コンソールボックス1に取り付けたりできる。
【0035】
さらに、
図2~3に示すような、スリーブ4ならびにこれに圧入されるフランジ6および7に代えて、
図16に示すような、両端にフランジ部10bを有すると共に切り欠き部10aを設けたフランジ付きスリーブ10を用いることもできる。これにより、部品数を減じることができ経済的にヒンジ構造を形成することができるが、脱落に対する強度が低くなることから、強度要件が比較的低いヒンジ構造に適する。
【符号の説明】
【0036】
1 コンソールボックス
1a コンソールボックスの接続部
1b (コンソールボックスの接続部の)切り欠き部
1c (コンソールボックスの接続部の)スプリング固定孔
2 アームレスト
2a アームレストの接続部
2b (アームレストの接続部の)切り欠き部
2c (アームレストの接続部の)スプリング支持部
2d (アームレストの)回転軸
2e (アームレストの回転軸の)中心線
3 ワイヤーハーネス
4 スリーブ
4a (スリーブの)切り欠き部
5 スプリング
5a (アームレスト側)コネクター部
5b (コンソールボックス側)コネクター部
6 (コンソールボックス側)フランジ
6a (コンソールボックス側フランジの)切り欠き部
7 (アームレスト側)フランジ
7a (アームレスト側フランジの)切り欠き部
8 (コンソールボックス側)ストッパー
8a (コンソールボックス側ストッパーの)切り欠き部
9 (アームレスト側)ストッパー
9a (アームレスト側ストッパーの)切り欠き部
10 フランジ付きスリーブ
10a 切り欠き部
10b フランジ部