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  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図1
  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図2
  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図3
  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図4
  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図5
  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図6A
  • 特開-絞り板及びこれを備えた撮像装置 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143848
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】絞り板及びこれを備えた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220926BHJP
   G03B 9/02 20210101ALI20220926BHJP
【FI】
G02B7/02 H
G02B7/02 A
G03B9/02 A
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044589
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
【テーマコード(参考)】
2H044
2H080
【Fターム(参考)】
2H044AA04
2H044AA17
2H044AD01
2H044AG01
2H044AJ06
2H080AA10
2H080AA30
(57)【要約】
【課題】画質の劣化を抑えつつレンズ鏡筒の短尺化を実現する絞り板を提供する。
【解決手段】絞り板50は、柔軟性を有し、光を遮断する材料から構成される。絞り板50は、中央に開口51が形成された環状部52と、環状部52から半径方向外側に向かって放射状に延びる複数の延出片53とを備える。延出片53は、互いに周方向に離間している。互いに隣接する延出片53の間には、円弧状に湾曲する第1の湾曲部54が形成されている。それぞれの延出片53の外縁部53Aの両側には、円弧状に湾曲する第2の湾曲部55が形成されている。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有し、光を遮断する材料から構成され、
中央に開口が形成された環状部と、
前記環状部から半径方向外側に向かって放射状に延びる複数の延出片であって、互いに周方向に離間した複数の延出片と
を備える、絞り板。
【請求項2】
互いに隣接する前記延出片の間には、円弧状に湾曲する第1の湾曲部が形成される、請求項1に記載の絞り板。
【請求項3】
前記複数の延出片のそれぞれの外縁部の両側には、円弧状に湾曲する第2の湾曲部が形成される、請求項1又は2に記載の絞り板。
【請求項4】
少なくとも1つのレンズと、請求項1から3のいずれか一項に記載の絞り板とを含むレンズ鏡筒と、
前記少なくとも1つのレンズ及び前記絞り板の前記開口を通過した光が結像する面に配置された撮像素子と
を備え、
前記絞り板の前記環状部は、前記レンズ鏡筒を構成する部品のうち隣接する2つの部品の間に挟み込まれる、
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り板及びこれを備えた撮像装置に係り、特に撮像装置に用いられる絞り板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラに強い光が入射した場合などには、一部の光が内部の構成要素に反射してフレアやゴーストが生じることがある。このようなフレアやゴーストの発生を抑えるために、中央に開口が形成された絞り板をカメラの内部に配置することが多い(例えば、特許文献1参照)。このような絞り板によって所望の光学特性を得るためには、絞り板を平板状にしたままレンズとレンズの間に配置することが最も簡単であるが、その場合にはレンズ鏡筒の全長が長くなってしまう。このため、絞り板をレンズ曲面の間の狭い隙間に挟み込み、絞り板をレンズの曲面に沿って変形させることでレンズ鏡筒を短くすることも考えられる。しかしながら、絞り板をレンズの曲面に沿って変形させる際に絞り板に皺が生じる場合があり、絞り板に皺が生じた状態でレンズ及び絞り板が固定されると、所望の精度で光学系を構成することができず、得られる画像の品質の劣化が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-133141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、画質の劣化を抑えつつレンズ鏡筒の短尺化を実現する絞り板及びこれを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、画質の劣化を抑えつつレンズ鏡筒の短尺化を実現する絞り板が提供される。この絞り板は、柔軟性を有し、光を遮断する材料から構成される。上記絞り板は、中央に開口が形成された環状部と、上記環状部から半径方向外側に向かって放射状に延びる複数の延出片とを備える。上記複数の延出片は、互いに周方向に離間している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一実施形態における絞り板を備えた撮像装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す撮像装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す撮像装置の縦断面図である。
図4図4は、図1に示す撮像装置のレンズ鏡筒に組み込まれる前の絞り板を示す正面図である。
図5図5は、図3の部分拡大図である。
図6A図6Aは、図3の状態の絞り板を示す側面図である。
図6B図6Bは、図3の状態の絞り板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る絞り板を備えた撮像装置の実施形態について図1から図6Bを参照して詳細に説明する。図1から図6Bにおいて、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図6Bにおいては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態における絞り板を備えた撮像装置1を示す斜視図、図2はその分解斜視図、図3はその縦断面図である。図1から図3に示すように、この撮像装置1は、撮像素子10及びコネクタ12が実装された基板14と、基板14に取り付けられるレンズ鏡筒20とを含んでいる。撮像素子10は、レンズ鏡筒20内の光学系を通過した光が結像する面に配置されている。なお、本実施形態では、便宜的に、図1における+Z方向を「前」又は「前方」といい、-Z方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0009】
レンズ鏡筒20は、ネジ16により基板14に固定されるホルダ21と、ホルダ21に取り付けられるレンズバレル24とを含んでいる。ホルダ21は、基部22と、基部22から+Z方向に延びる円筒部23とを有しており、円筒部23の内周面にはネジ部23Aが形成されている。レンズバレル24は、外周部にネジ部25Aを有する大径部25と、大径部25から前方に延びる小径部26とを有しており、小径部26の前面のフランジ部27には開口28が形成されている。レンズバレル24のネジ部25Aをホルダ21のネジ部23Aに螺合させることにより、レンズバレル24がホルダ21に取り付けられる。
【0010】
レンズバレル24内にはレンズ鏡筒20の構成要素が収容されている。すなわち、レンズバレル24の大径部25と小径部26の半径方向内側には、被写体側から撮像素子10に向かって順番に、第1レンズ31、スペーサ41、第2レンズ32、絞り板50、第3レンズ33、レンズ押さえ42、及びフィルタ43が収容されている。図3に示すように、レンズバレル24の大径部25の内周部にはネジ部25Bが形成されており、レンズ押さえ42の外周部にはこれに対応してネジ部42Aが形成されている。レンズ押さえ42のネジ部42Aをレンズバレル24のネジ部25Bに螺合させることにより、レンズ押さえ42とレンズバレル24のフランジ部27との間に第1レンズ31、スペーサ41、第2レンズ32、絞り板50、及び第3レンズ33が挟み込まれて、これらの構成要素がレンズバレル24の内側に固定される。
【0011】
ここで、絞り板50についてより詳細に説明する。図4は、撮像装置1のレンズ鏡筒20に組み込まれる前の絞り板50を示す正面図である。この絞り板50は、柔軟性を有し、光を遮断する材料、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂からなるシートから構成されており、レンズ鏡筒20に組み込まれる前の図4に示す状態では平坦な形状を有している。例えば、絞り板50の厚さは30μm~40μmである。
【0012】
図4に示すように、絞り板50は、中央に開口51が形成された環状部52と、環状部52から半径方向外側に向かって放射状に延びる複数の延出片53とを有している。本実施形態では、8つの延出片53が周方向に45度の間隔で配置されているが、延出片53の数や間隔はこれに限られるものではない。
【0013】
また、隣接する延出片53の間には、円弧状に湾曲する第1の湾曲部54が形成されている。このような第1の湾曲部54を形成することにより、隣接する延出片53の間から亀裂が入って絞り板50が破れてしまうことを抑制することができる。
【0014】
また、それぞれの延出片53の外縁部53Aの両側には、円弧状に湾曲する第2の湾曲部55が形成されている。このような第2の湾曲部55を形成することにより、後述するように絞り板50を第2レンズ32と第3レンズ33の間に挟み込んで固定する際に、絞り板50がレンズバレル24の大径部25の内周面に引っ掛かりにくくなるため、レンズ鏡筒20の組立がしやすくなる。
【0015】
図5は、図3の部分拡大図である。図5に示すように、絞り板50がレンズ鏡筒20に組み込まれた状態においては、絞り板50の環状部52が第2レンズ32のレンズ曲面32Aと第3レンズ33のレンズ曲面33Aとの間に挟まれ、絞り板50全体が変形する。図6A及び図6Bは、この変形した状態の絞り板50をそれぞれ示す側面図及び斜視図である。
【0016】
このように絞り板50を第2レンズ32と第3レンズ33との間に挟み込むと、絞り板50全体が図6A及び図6Bに示すように変形するが、上述したように環状部52の外側には延出片53が周方向に離間した状態で延びているため、第2レンズ32と第3レンズ33との間に挟まれている環状部52の外側に皺が形成されにくい。したがって、第2レンズ32と第3レンズ33との間に絞り板50を高い精度で挟み込むことができ、画質の劣化を抑えつつレンズ鏡筒20の短尺化を実現することができる。
【0017】
上述の例では、絞り板50が第2レンズ32と第3レンズ33との間に配置されているが、絞り板50の位置はこれに限られるものではなく、レンズ鏡筒20を構成する部品のうち隣接する2つの部品の間に絞り板50を配置することができる。例えば、第3レンズ33とレンズ押さえ42との間や第1レンズ31とレンズバレル24のフランジ部27との間などに絞り板50を配置してもよい。換言すれば、所望の光学特性が得られる限り、撮像素子10の前方に位置する任意の2つの部品の間に絞り板50を配置することができる。
【0018】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、画質の劣化を抑えつつレンズ鏡筒の短尺化を実現する絞り板が提供される。この絞り板は、柔軟性を有し、光を遮断する材料から構成される。上記絞り板は、中央に開口が形成された環状部と、上記環状部から半径方向外側に向かって放射状に延びる複数の延出片とを備える。上記複数の延出片は、互いに周方向に離間している。
【0019】
このような構成によれば、レンズ鏡筒を構成する部品のうち2つの部品の間に絞り板の環状部を挟み込んで変形させたとしても、環状部の外側には延出片が周方向に離間した状態で延びているため、環状部の外側に皺が形成されにくい。したがって、レンズ鏡筒を構成する部品の間に絞り板を高い精度で挟み込むことが可能となり、画質の劣化を抑えつつレンズ鏡筒の短尺化を実現することができる。
【0020】
互いに隣接する上記延出片の間には、円弧状に湾曲する第1の湾曲部が形成されていることが好ましい。このような第1の湾曲部を形成することにより、隣接する延出片の間から亀裂が入って絞り板が破れてしまうことを抑制することができる。
【0021】
また、上記複数の延出片のそれぞれの外縁部の両側には、円弧状に湾曲する第2の湾曲部が形成されていることが好ましい。このような第2の湾曲部を形成することにより、レンズ鏡筒を構成する部品の間に絞り板を挟み込んで固定する際に、絞り板がレンズ鏡筒の他の部品の内周面に引っ掛かりにくくなるため、レンズ鏡筒の組立がしやすくなる。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、画質の劣化を伴うことなく短尺化が実現されたレンズ鏡筒を有する撮像装置が提供される。この撮像装置は、少なくとも1つのレンズと、上述した絞り板とを含むレンズ鏡筒と、上記少なくとも1つのレンズ及び上記絞り板の上記開口を通過した光が結像する面に配置された撮像素子とを備える。上記絞り板の上記環状部は、上記レンズ鏡筒を構成する部品のうち隣接する2つの部品の間に挟み込まれる。
【0023】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0024】
1 撮像装置
10 撮像素子
12 コネクタ
14 基板
20 レンズ鏡筒
21 ホルダ
22 基部
23 円筒部
24 レンズバレル
31 第1レンズ
32 第2レンズ
33 第3レンズ
41 スペーサ
42 レンズ押さえ
43 フィルタ
50 絞り板
51 開口
52 環状部
53 延出片
53A 外縁部
54 第1の湾曲部
55 第2の湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B