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特開2022-143886スピンドルモータおよびハードディスク駆動装置
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  • 特開-スピンドルモータおよびハードディスク駆動装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143886
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】スピンドルモータおよびハードディスク駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220926BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20220926BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20220926BHJP
   G11B 19/20 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/30
G11B33/12 313U
G11B19/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044645
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】昭和 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中嶌 大吾
(72)【発明者】
【氏名】大田 和夫
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB15
5H605BB19
5H605CC06
5H605DD05
5H605EB03
5H605EC01
5H605EC20
5H605GG02
5H611BB01
5H611BB07
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】ベース部の厚さを確保することができるとともに、コモン線と他の部品との接触を回避することができるスピンドルモータおよび剛性が向上されたハードディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】複数のコイル104から引き出された複数の導線が撚り合わされて形成された撚線部106と、撚線部106よりもベース部101の外面側に設けられ、撚線部106から延在している単一の導線からなる単線部107とを備えている。撚線部106は、少なくともベース部101に形成した貫通孔105の内部まで延在するとともに、撚線部106の一部が封止材Aにより覆われており、単線部107がベース部101の外面側に引き出されて回路基板115に接続されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在する回転軸を中心として回転する回転部と、
軸方向に直交する半径方向に延在する内面と外面とを有するベース部と、
前記ベース部に形成され、前記ベース部の内面側に内側開口部を有する貫通孔と、
前記貫通孔に配置された封止材と、
前記ベース部の内面側に設けられ、複数のコイルが巻回されているステータコアと、
前記ベース部の外面側に設けられた回路基板と、
前記複数のコイルから引き出された複数の導線が撚り合わされて形成された撚線部と、
前記撚線部よりもベース部の外面側に設けられ、前記撚線部から延在している単一の前記導線からなる単線部と、
を備え、
前記撚線部は、少なくとも前記貫通孔の内部まで延在するとともに、該撚線部の一部が前記封止材により覆われており、
前記単線部が前記ベース部の外面側に引き出されて前記回路基板に接続されているスピンドルモータ。
【請求項2】
前記単線部は、前記貫通孔の内部で前記撚線部から延在している請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記単線部と、前記撚線部の前記単線部側の端部を含む少なくとも一部が第1半田により覆われ、前記単線部が第2半田により前記回路基板に接続されている請求項1または2に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記撚線部の少なくとも前記封止材と接触する部分が前記第1半田により覆われている請求項3に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記ベース部の外面側に引き出された単線部と前記第2半田とを前記封止材で覆った請求項3または4に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のスピンドルモータに、複数のハードディスクを備え、前記ベース部に、前記ハードディスクに対するデータの書込みと読取りを行う読書き機構を備えたハードディスク駆動装置。
【請求項7】
前記ベース部の内部に、空気よりも密度の小さい気体を封入した請求項6に記載のハードディスク駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルモータおよびハードディスク駆動装置に係り、特に、コモン線の回路基板への固定方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータは、一般に、3相のコイルを備え、コイルを構成する各相(U,V,W相)の巻き線の一端は引出線として、ベース部のそれぞれ別々の貫通孔を通ってモータ外部へ引き出される。巻き線の他端も中性点の役割を持つコモン線としてモータ外部へ引き出されるとき、コモン線は、3本のコモン線を撚り合わせた状態で1つの貫通孔から引き出される場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-127699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3本のコモン線を撚り合わせた撚線は、ベース部の貫通孔を通してモータ外部でフレキシブルプリント基板(FPC)に固定される。3本のコモン線を撚り合わせているため、撚線は他の引出線よりも太い。FPCへ接続されるリード線等は、ベースプレートの下端よりもはみ出ないことが要求される。したがって、撚線は他のリード線よりも太いことを考慮すると、FPCが配置されるベース部の凹部の深さを大きくする必要がある。凹部を深くすると、その箇所のベース部の厚さが薄くなる。ハードディスク駆動装置の大容量化に伴いディスク枚数が増えると、内部空間を確保するためにベース部の厚さをより薄くする必要性が生じる。さらに、特許文献1に記載の技術では、撚線がベース部の貫通孔に接触してショートする虞がある。
【0005】
しなしながら、ベース部が薄くなるとハードディスク駆動装置の剛性が低くなってしまう。さらに、ヘリウムを封入したハードディスク駆動装置においては、密封性を確保するため、ベース部の厚さをなるべく厚くすることが望ましい。加えて、撚線が他の部品と接触してショートする危険性を回避する措置を講じる必要がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、FPCに固定するコモン線の太さを制限することにより、FPCを収容するベース部の凹部の深さを浅くすることができ、よってベース部の厚さを確保することができるとともに、コモン線と他の部品との接触を回避することができるスピンドルモータおよび剛性が向上されたハードディスク駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、軸方向に延在する回転軸を中心として回転する回転部と、軸方向に直交する半径方向に延在する内面と外面とを有するベース部と、前記ベース部に形成され、前記ベース部の内面側に内側開口部を有する貫通孔と、前記貫通孔に配置された封止材と、前記ベース部の内面側に設けられ、複数のコイルが巻回されているステータコアと、前記ベース部の外面側に設けられた回路基板と、前記複数のコイルから引き出された複数の導線が撚り合わされて形成された撚線部と、前記撚線部よりもベース部の外面側に設けられ、前記撚線部から延在している単一の前記導線からなる単線部とを備え、前記撚線部は、少なくとも前記貫通孔の内部まで延在するとともに、該撚線部の一部が前記封止材により覆われており、前記単線部が前記ベース部の外面側に引き出されて前記回路基板に接続されているスピンドルモータである。
【0008】
本発明は、複数のコイルから引き出された複数の導線が撚り合わされて形成された撚線部と、撚線部よりもベース部の外面側に設けられ、撚線部から延在している単一の導線からなる単線部とを備えている。そして、撚線部は、少なくとも貫通孔の内部まで延在するとともに、撚線部の一部が封止材により覆われているから貫通孔と接触してショートすることがない。さらに、単線部がベース部の外面側に引き出されて回路基板に接続されているから、単線部が固定された回路基板および単線部の総厚さは撚線部が固定される場合と比較して薄い。したがって、本発明によれば、回路基板を配置するためのベース部の凹部を浅くすることができるので、ベース部の厚さが確保されたスピンドルモータ、および剛性が向上されるとともに内部に封入する低密度気体の密閉性が確保されたハードディスク駆動装置を提供することができる。
【0009】
ここで、本発明では、単線部が貫通孔の内部で撚線部から延在していることが好ましい。このような態様では、単線部が貫通孔を出たところで回路基板側へ屈曲するので、撚線部が単線部に切り替わる箇所を避けて単線部を屈曲させることができ、屈曲箇所での応力集中を避けることができる。
【0010】
また、本発明では、単線部と撚線部の単線部側の端部を含む少なくとも一部が第1半田により覆われ、単線部が第2半田により回路基板に接続されることが好ましい。このような態様では、単線部が第1半田で覆われているので、単線部を第2半田により回路基板に接続する際に第2半田の付着性が向上する。また、単線部から撚線部まで第1半田で覆うことにより、各導線同士の導通を容易に確保することができる。
【0011】
さらに、撚線部を構成する導線同士の隙間には空気が滞留しており、撚線部を封止材で覆うと滞留した空気が気泡となって封止材に残る可能性がある。封止材に気泡が残っていると、温度変化に伴う膨張や収縮に起因して封止材に亀裂を生じさせる虞がある。この点、上記のような態様では、撚線部を第1半田で覆うことにより、第1半田が撚線部を構成する導線同士の隙間に浸透し、滞留している空気を放散するので、封止材で撚線部を覆った際に封止材の内部に気泡が残るのを抑制することができる。
【0012】
上記のような観点からすると、撚線部の少なくとも封止材と接触する部分が第1半田により覆われていることが好ましい。また、ベース部の外面側に引き出された単線部と第2半田とを封止材で覆うことができる。
【0013】
本発明は、上記構成のスピンドルモータに、複数のハードディスクを備え、ベース部に、ハードディスクに対するデータの書込みと読取りを行う読書き機構を備えたハードディスク駆動装置である。この場合、ベース部の内部に、空気よりも密度の小さい気体を封入することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回路基板を配置するためのベースプレートの凹部を浅くすることができるので、ベースプレートの厚さが確保されるとともに、コモン線と他の部品との接触を回避することができるスピンドルモータと、剛性が向上されるとともに内部に封入する低密度気体の密閉性が確保されたハードディスク駆動装置提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態のハードディスク駆動装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるコイルの結線図である。
図3】本発明の実施形態のハードディスク駆動装置を示す断面図である。
図4】(A)は本発明の実施形態のスピンドルモータを示す断面図であり、(B)は(A)の矢印Bで示す部分の拡大図である。
図5】(A)は比較例のスピンドルモータを示す断面図であり、(B)は(A)の矢印Bで示す部分の拡大図である。
図6】(A)は他の比較例のスピンドルモータを示す断面図であり、(B)は(A)の矢印Bで示す部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.ハードディスク駆動装置
図1は、本発明の実施形態に係るスピンドルモータを用いたハードディスク駆動装置10の全体構成を示す斜視図であり、図3は回転軸を含む面で切断した断面図である。これらの図に示すように、ハードディスク駆動装置10は、凹部117を有するベース部101にカバー部19を装着してハウジング118を形成し、ハウジング118内に、スピンドルモータ100と、スピンドルモータ100に取り付けられて回転する複数のハードディスク13とを備えている。また、ハードディスク駆動装置10は、ハードディスク13にそれぞれ対向する複数の磁気ヘッド12を支持するスイングアーム11と、スイングアーム11を駆動するアクチュエータ14と、これらの機器を制御する制御部15とを備えている。
【0017】
2.スピンドルモータ
図4(A)は、回転軸を含む面で切断した実施形態のスピンドルモータ100の断面図である。スピンドルモータ100は、ベース部101と、ベース部101に固定されたシャフト102を備え、シャフト102には、軸方向に互いに離間して円錐軸受部材201,301が固定され、軸受200,300を構成している。また、ベース部101には、シャフト102の軸方向上方に向けて延在する円筒部101aが形成され、円筒部101aの外周にはステータコア103が固定されている。ステータコア103は、環形状を有する薄板状の軟磁性材料(例えば、電磁鋼板)を軸方向で複数枚積層したものであり、径方向外側に突出した複数の極歯を備えている。複数の極歯は、周方向に沿って等間隔に設けられ、それぞれにコイル104が巻回されている。
【0018】
スピンドルモータ100の回転部は、ロータ110を備えている。ロータ110は、円筒部111を備え、円筒部111の内周面側に円環状のロータマグネット113が固定されている。ロータマグネット113は、周方向に沿ってSNSN・・と隣接する部分が交互に異極性となるように着磁されている。ロータマグネット113の内周は、隙間を有した状態でステータコア103の極歯の外周に対向している。そして、コイル104に駆動電流を供給することで、ロータマグネット113を回転させようとする駆動力が生じ、ロータ110がシャフト102を軸として、シャフト102およびベース部101に対して回転する。この原理は、通常のスピンドルモータと同様である。
【0019】
円筒部111の下端部周縁には、半径方向外側に延在するフランジ部114が形成されている。フランジ部114は、複数のハードディスク13を重ねて載置するためのディスク載置部として機能する。図3に示すように、フランジ部114にはハードディスク13が載置され、ハードディスク13には、スペーサ16を介してハードディスク13が次々と積層され、合計で9枚のハードディスク13が積層されている。なお、ハードディスク13は10枚以上であってもよい。そして、最上部のハードディスク13は、ロータ110の上面にねじ17で取り付けたクランプ18によってロータ110に固定されている。
【0020】
3.コモン線取付構造
図2および図4(B)を参照してコモン線の取付構造を説明する。図4(B)に示すように、ベース部101の外面には凹部101bが形成され、凹部101bには回路基板115が配置されている。また、ベース部101には、面取り105aを有する貫通孔105が形成されている。貫通孔105の内面側の開口部には、中央部に貫通孔116aを有する絶縁シート116が固定されている。
【0021】
コイル104は、図2に示すように、3相(U,V,W相)のコイルを備え、コイル104を構成する各相の巻き線の一端は引出線として、ベース部101のそれぞれ別々の貫通孔(図示略)を通ってベース部101の外面へ引き出され、回路基板115に接続されている。巻き線の他端の導線も中性点の役割を持つ3本のコモン線としてベース部101の外部へ引き出されるとき、互いに撚り合わされて撚線部106とされる。撚線部106の中の1本の導線は、撚線部106から延在して1本の単線部107とされている。
【0022】
ここで、撚線部106は、絶縁シート116の貫通孔116aを通って貫通孔105の中程まで達している。撚線部106から延在する単線部107は、貫通孔105の開口部で横方向に屈曲して回路基板115の所定の箇所に達している。
【0023】
撚線部106の絶縁シート116の手前の部分から単線部107の先端までは、第1半田108によって被覆されている。この半田108の熱により、導線表面の絶縁層が除去され、3本の導線は互いに導通している。また、単線部107の先端は、第2半田109によって回路基板115に接続されている。そして、貫通孔105には接着剤などの封止材Aが充填され、貫通孔105から出た単線部107と第2半田109は封止材Aで覆われている。
【0024】
4.効果
上記構成のスピンドルモータ100にあっては、撚線部106は、少なくとも貫通孔105の内部まで延在するとともに、撚線部106の一部が封止材Aにより覆われているから貫通孔105と接触してショートすることがない。さらに、単線部107がベース部101の外面側に引き出されて回路基板115に接続されているから、単線部107が固定された回路基板115および単線部107の総厚さは撚線部106が固定される場合と比較して薄い。したがって、上記実施形態によれば、回路基板115を配置するためのベース部101の凹部101bを浅くすることができるので、ベース部101の厚さを確保することができる。したがって、上記スピンドルモータ100を備えたハードディスク駆動装置10は、剛性が向上し、内部に封入する低密度気体の密閉性が確保されたものとなる。
【0025】
特に、上記実施形態では、単線部107が貫通孔105の内部で撚線部106から
延在しているので、単線部107が貫通孔105を出たところで回路基板115側へ屈曲する。このように、上記実施形態では、撚線部106が単線部107に切り替わる箇所を避けて単線部107を屈曲させているので、屈曲箇所での応力集中を避けることができる。
【0026】
また、上記実施形態では、単線部107と撚線部106の単線部107側の端部を含む少なくとも一部が第1半田108により覆われ、単線部107が第2半田109により回路基板115に接続されているので、単線部107を第2半田109により回路基板115に接続する際に第2半田109の付着性が向上する。また、単線部107から撚線部106まで第1半田108で覆っているので、各導線同士の導通を容易に確保することができる。
【0027】
さらに、上記実施形態では、撚線部106を第1半田108で覆っているので、第1半田108が撚線部106を構成する導線同士の隙間に浸透する。これにより、導線同士の隙間に滞留している空気を放散するので、封止材Aで撚線部106を覆った際に封止材Aの内部に気泡が残るのを抑制することができる。
【0028】
5.比較例1
図5を参照して上記実施形態との対比となる比較例1を説明する。比較例1のスピンドルモータ100は、コモン線の取付構造のみが上記実施形態と異なっている。そこで、以下の説明においては、上記実施形態と同等の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図5(B)に示すように、コイル104は、3相(U,V,W相)のコイルを備え、コイル104を構成する各相の巻き線の一端は引出線として、ベース部101のそれぞれ別々の貫通孔(図示略)を通ってベース部101の外面へ引き出され、回路基板115に接続されている。巻き線の他端の導線は、中性点の役割を持つ3本のコモン線であり、互いに撚り合わされて撚線部106とされる。撚線部106は、絶縁シート116の貫通孔116aとベース部101の貫通孔105に挿通され、貫通孔105の開口部で横方向に屈曲して回路基板115の所定の箇所に達している。そして、撚線部106の先端は、第2半田109によって回路基板115に接続されている。また、貫通孔105には接着剤などの封止材Aが充填され、貫通孔105から出た撚線部106と第2半田109は封止材Aで覆われている。
【0030】
以上のように、比較例1に係るスピンドルモータ100は、単線部107を有していない点と、撚線部106に第1半田108が設けられていない点で上記実施形態と異なっている。そのため、図5(B)に示すように、ベース部101の外面には第2半田109と封止材Aがベース部101の外面から突出しないように深い凹部101bが形成されている。このため、ベース部101の剛性が不充分となる。また、撚線部106に第1半田108で被覆されていないため、撚線部106の内部に滞留している空気により封止材Aに気泡が残る虞がある。
【0031】
6.比較例2
図6は比較例2のスピンドルモータ100を示す図である。比較例2は、撚線部106が絶縁シート116の上側から撚線部106の先端まで第1半田108で覆われている点で前記比較例1と異なっている。上記構成の比較例2では、撚線部106の封止材Aに覆われた部分が第1半田108で被覆されているため、撚線部106の内部に滞留している空気により封止材Aに気泡が残るとの不具合は解消される。しかしながら、比較例2においてもベース部101の外面に深い凹部101bを必要とし、ベース部101の剛性が不充分となる。
【0032】
7.変更例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように種々の変更が可能である。
【0033】
i)第1半田108および第2半田109は、本発明の目的を達成する上で必ずしも必須ではなく、設けないことも可能である。その場合、撚線部106で3相のコイル104の導線を互いに導通させるために、熱を加える等により各導線表面の絶縁層を除去することが望ましい。また、単線部107を回路基板115に接続するには、例えば単線部107の先端の絶縁層を除去して上方へ向けて屈曲させておき、その先端を回路基板115に形成した貫通孔に圧入してもよい。その場合には、貫通孔の内周面に、回路基板115に形成した回路と導通する金属製の被覆ないしスリーブを設けてもよく、あるいは、単線部107を回路と非導通状態で保持するようにしてもよい。
【0034】
ii)上記実施形態では、撚線部106を貫通孔105の全長の中程まで形成しているが、撚線部106を貫通孔105から突出させてもよい。ただし、その場合でも撚線部106から単線部107を延在させる。
【0035】
iii)上記実施形態では単線部107と第2半田109を封止材Aで覆っているが、封止材Aに代えて絶縁性のシールを貼着してもよい。あるいは、単線部107と第2半田109を被覆せず露出させた状態であってもよい。
【0036】
iv)上記実施形態では、封止材Aとして接着剤を用いているが、封止材として絶縁性の樹脂製チューブを用い、チューブに撚線部106および単線部107を挿通させてもよい。その場合、チューブは、貫通孔の少なくとも全長に亘って延在させることができ、第2半田109の手前まで延在させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、スピンドルモータおよびハードディスク駆動装置に利用することができ、特に、多くのハードディスクを装着し、内部に低密度気体を封入したハードディスクに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10…ハードディスク駆動装置、11…スイングアーム、12…磁気ヘッド、13…ハードディスク、14…アクチュエータ、15…制御部、16…スペーサ、17…ねじ、18…クランプ、19…カバー部、100…スピンドルモータ、101…ベース部、101a…円筒部、102…シャフト、103…ステータコア、104…コイル、105…貫通孔、105a…座刳り穴、106…撚線部、107…単線部、108…第1半田、109…第2半田、110…ロータ、111…円筒部、113…ロータマグネット、114…フランジ部、101b…凹部、115…回路基板、116…絶縁シート、117…凹部、118…ハウジング、116a…貫通孔、200,300…軸受、201,301…円錐軸受部材、A…封止材。


図1
図2
図3
図4
図5
図6