(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143891
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】中皿付き食品用包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044654
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】593215829
【氏名又は名称】アテナ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079050
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 憲秋
(74)【代理人】
【識別番号】100201879
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 謙二
(72)【発明者】
【氏名】見尾谷 篤
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067BA02C
3E067BA10B
3E067BB01C
3E067BB08C
3E067BB11C
3E067BB13C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067BC02B
3E067BC02C
3E067BC07C
3E067CA17
3E067EA06
3E067EA32
3E067EB11
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】容器本体から中皿を極力分離させずに簡易かつ確実に副食材の移し替えを行うことが可能な中皿付き食品用包装容器を提供する。
【解決手段】
主食材を収容し上部開口15に外周鍔部20を有する容器本体10と、副食材を収容し容器本体の外周鍔部に保持される中皿保持鍔部40を有する中皿30と、容器本体の上部開口と中皿とを被覆する上面部材50とを備えた食品用包装容器1であって、上面部材は、一側に開封部となるつまみ部56を有し、容器本体の外周鍔部及び中皿の開封側の中皿保持鍔部40aに接合されており、上面部材のつまみ部を介して開封する際に、上面部材が中皿の開封側の中皿保持鍔部との接合を維持したまま容器本体の開封側の外周鍔部20aから剥離され、つまみ部とともに中皿の開封側が持ち上げられて、中皿に収容された副食材が容器本体内へ導入されるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主食材を収容し上部開口に外周鍔部を有する容器本体と、
副食材を収容し、前記容器本体の前記外周鍔部に保持される中皿保持鍔部を有する中皿と、
前記容器本体の前記上部開口と前記中皿とを被覆する上面部材とを備えた食品用包装容器であって、
前記上面部材は、一側に開封部となるつまみ部を有し、前記容器本体の前記外周鍔部及び前記中皿の開封側の中皿保持鍔部に接合されており、
前記上面部材の前記つまみ部を介して開封する際に、前記上面部材が前記中皿の開封側の中皿保持鍔部との接合を維持したまま前記容器本体の開封側の外周鍔部から剥離され、前記つまみ部とともに前記中皿の開封側が持ち上げられて、前記中皿に収容された副食材が前記容器本体内へ導入されるようにした
ことを特徴とする中皿付き食品用包装容器。
【請求項2】
前記中皿が、前記中皿保持鍔部の両端部間に連設されて前記容器本体の上部開口上方に位置する中皿導入鍔部を有し、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封した際に、前記中皿に収容された副食材が前記中皿導入鍔部側から前記容器本体内へ導入される請求項1に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項3】
前記中皿の前記中皿導入鍔部が切欠部を介して前記中皿保持鍔部の両端部に連設されている請求項2に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項4】
前記中皿の導入側中皿側壁部が前記中皿導入鍔部側に傾斜するように構成されている請求項2又は3に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項5】
前記導入側中皿側壁部に一部を外側へ膨出させた誘導部が形成されている請求項4に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項6】
前記容器本体の前記外周鍔部に容器内側に凹陥する案内凹所が形成されており、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封した際に、前記中皿の前記中皿保持鍔部の両端部を前記容器本体の前記案内凹所に陥入させて前記中皿を傾動させる請求項2ないし5のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項7】
前記案内凹所の開封側上部に開封側へ傾斜させた傾斜案内部が形成されている請求項6に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項8】
前記容器本体の前記外周鍔部の内周側に段差部が形成され、前記段差部に前記中皿の前記中皿保持鍔部が載置される請求項1ないし7のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項9】
前記容器本体の側壁部に容器内部側へ突出した中皿載置段部を有し、前記中皿載置段部に嵌合凸部が形成されるとともに、前記中皿の中皿底部に嵌合凹部が形成されていて、前記中皿載置段部の前記嵌合凸部と前記中皿底部の前記嵌合凹部とが嵌合されて前記中皿底部が前記中皿載置段部に載置される請求項1ないし8のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器。
【請求項10】
前記上面部材がトップシールである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中皿付き食品用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストア等で販売される飲食物の種類は極めて多彩であり、惣菜や弁当やサンドイッチ等に加えてサラダ、デザート、または麺類、その他の加工食品類と広がりを見せている。このような食品を販売する場合、合成樹脂シート製の容器本体に蓋体を重ね合わせた形態の食品用包装容器が多用されている。
【0003】
列記の食品のうち、弁当類では1個の容器内に全ての食材を盛りつける包装、販売が一般的である。これは、詰め合わされる食材同士の味がよくなじみ、全体として美味しさを呈する加工、調理法によるためである。また、使用される食材の水分含有率も比較的そろっているためである。これに対し、主に蕎麦、うどん、パスタ等の麺類の場合、製造時点で麺類とその上に載せる具材とを一緒とすることもある。しかし、麺類とその上に載せる具材の水分含有率との間に差があることもある。このことから、喫食時にすでにふやけた状態となり食味が悪くなりやすい。近年、食味に対する要望が高まっているとともに、各小売店、販売者にとって、他業者との差別化、顧客満足度を得るために看過できない問題である。
【0004】
そこで、比較的簡便な対応として、容器本体及び蓋体からなる容器の中に、さらに中皿(中蓋)を使用した容器がある(例えば、特許文献1参照。)。この中皿付き食品用包装容器によると、例えば、容器本体の最下部に麺類等の主食材を収容し、容器本体の開口部に中皿を置き、この中皿に適宜の具材等の副食材を載せ、最後に蓋体を被せることとなる。この容器の場合、喫食前の食材同士の混合を抑えて、できたての食味に近づけることは可能である。また、トッピングされる具材が中皿上に並べられるため、見た目の華やかさも演出される。
【0005】
この容器に収容された食品を食す場合、容器本体の開口部に載置された中皿が容器本体から一旦持上げられた後、箸等の道具を用いたり、中皿を傾けて落としたりする等によって中皿上の具材等の副食材が容器本体側へ移されて、容器本体内で主食材と副食材とが混合される。しかしながら、これらの移し替え作業は、使用者に煩わしさを与えるおそれがあるとともに、副食材を誤ってこぼしてしまう可能性が排除できない。
【0006】
そこで出願人は、左右2つの分割体が合着面の重合により一体化されている中皿を提案した(例えば、特許文献2参照)。この中皿では、容器本体の上方で各分割体をそれぞれ外方に引張って合着面の重合を解除することにより、分割体を分離さて中皿に載置された副食材を容器本体内へ落下させる。そのため、箸等の道具を使用せずに簡易な手順で副食材を容器本体へ移すことができる。この種の中皿付き食品用包装容器にあっては、中皿上の副食材の移し替えをより簡易にかつ確実に行うことを可能とするために、構造のさらなる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3133098号公報
【特許文献2】特開2019-89567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、容器本体から中皿を極力分離させずに簡易かつ確実に副食材の移し替えを行うことが可能な中皿付き食品用包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、主食材を収容し上部開口に外周鍔部を有する容器本体と、副食材を収容し、前記容器本体の前記外周鍔部に保持される中皿保持鍔部を有する中皿と、前記容器本体の前記上部開口と前記中皿とを被覆する上面部材とを備えた食品用包装容器であって、前記上面部材は、一側に開封部となるつまみ部を有し、前記容器本体の前記外周鍔部及び前記中皿の開封側の中皿保持鍔部に接合されており、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封する際に、前記上面部材が前記中皿の開封側の中皿保持鍔部との接合を維持したまま前記容器本体の開封側の外周鍔部から剥離され、前記つまみ部とともに前記中皿の開封側が持ち上げられて、前記中皿に収容された副食材が前記容器本体内へ導入されるようにしたことを特徴とする中皿付き食品用包装容器に係る。
【0010】
請求項2の発明は、前記中皿が、前記中皿保持鍔部の両端部間に連設されて前記容器本体の上部開口上方に位置する中皿導入鍔部を有し、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封した際に、前記中皿に収容された副食材が前記中皿導入鍔部側から前記容器本体内へ導入される請求項1に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0011】
請求項3の発明は、前記中皿の前記中皿導入鍔部が切欠部を介して前記中皿保持鍔部の両端部に連設されている請求項2に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0012】
請求項4の発明は、前記中皿の導入側中皿側壁部が前記中皿導入鍔部側に傾斜するように構成されている請求項2又は3に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0013】
請求項5の発明は、前記導入側中皿側壁部に一部を外側へ膨出させた誘導部が形成されている請求項4に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0014】
請求項6の発明は、前記容器本体の前記外周鍔部に容器内側に凹陥する案内凹所が形成されており、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封した際に、前記中皿の前記中皿保持鍔部の両端部を前記容器本体の前記案内凹所に陥入させて前記中皿を傾動させる請求項2ないし5のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0015】
請求項7の発明は、前記案内凹所の開封側上部に開封側へ傾斜させた傾斜案内部が形成されている請求項6に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0016】
請求項8の発明は、前記容器本体の前記外周鍔部の内周側に段差部が形成され、前記段差部に前記中皿の前記中皿保持鍔部が載置される請求項1ないし7のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0017】
請求項9の発明は、前記容器本体の側壁部に容器内部側へ突出した中皿載置段部を有し、前記中皿載置段部に嵌合凸部が形成されるとともに、前記中皿の中皿底部に嵌合凹部が形成されていて、前記中皿載置段部の前記嵌合凸部と前記中皿底部の前記嵌合凹部とが嵌合されて前記中皿底部が前記中皿載置段部に載置される請求項1ないし8のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【0018】
請求項10の発明は、前記上面部材がトップシールである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の中皿付き食品用包装容器に係る。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、主食材を収容し上部開口に外周鍔部を有する容器本体と、副食材を収容し、前記容器本体の前記外周鍔部に保持される中皿保持鍔部を有する中皿と、前記容器本体の前記上部開口と前記中皿とを被覆する上面部材とを備えた食品用包装容器であって、前記上面部材は、一側に開封部となるつまみ部を有し、前記容器本体の前記外周鍔部及び前記中皿の開封側の中皿保持鍔部に接合されており、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封する際に、前記上面部材が前記中皿の開封側の中皿保持鍔部との接合を維持したまま前記容器本体の開封側の外周鍔部から剥離され、前記つまみ部とともに前記中皿の開封側が持ち上げられて、前記中皿に収容された副食材が前記容器本体内へ導入されるようにしたため、従来と比較してより的確に副食材を移し替えることができるとともに、開封後の手順を従来より省略することができてより簡便で効率的な手順で食品を食すことができる。
【0020】
請求項2の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項1の発明において、前記中皿が、前記中皿保持鍔部の両端部間に連設されて前記容器本体の上部開口上方に位置する中皿導入鍔部を有し、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封した際に、前記中皿に収容された副食材が前記中皿導入鍔部側から前記容器本体内へ導入されるため、副食材が中皿導入鍔部側へ集められて容器本体内部へ適切に導入することができる。
【0021】
請求項3の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項2の発明において、前記中皿の前記中皿導入鍔部が切欠部を介して前記中皿保持鍔部の両端部に連設されているため、開封時に中皿導入鍔部が容器本体内へ進入して中皿内の副食材が容器本体内へ導入しやすくなる。
【0022】
請求項4の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項2又は3の発明において、前記中皿の導入側中皿側壁部が前記中皿導入鍔部側に傾斜するように構成されているため、副食材の容器本体内側への導入時に副食材を中皿から落下させやすくなる。
【0023】
請求項5の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項4の発明において、前記導入側中皿側壁部に一部を外側へ膨出させた誘導部が形成されているため、中皿の傾動時に副食材を所定位置により集中させやすくなり、副食材をより的確に容器本体内側への導入することができる。
【0024】
請求項6の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項2ないし5の発明において、前記容器本体の前記外周鍔部に容器内側に凹陥する案内凹所が形成されており、前記上面部材の前記つまみ部を介して開封した際に、前記中皿の前記中皿保持鍔部の両端部を前記容器本体の前記案内凹所に陥入させて前記中皿を傾動させるため、中皿保持鍔部の端部側と容器本体の外周鍔部との干渉を低減させることができて、中皿を傾動させやすくすることができる。
【0025】
請求項7の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項6の発明において、前記案内凹所の開封側上部に開封側へ傾斜させた傾斜案内部が形成されているため、中皿の中皿導入鍔部を容器本体内へ安定して陥落させることができる。
【0026】
請求項8の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項1ないし7の発明において、前記容器本体の前記外周鍔部の内周側に段差部が形成され、前記段差部に前記中皿の前記中皿保持鍔部が載置されるため、外周鍔部と中皿保持鍔部とが略面一となって、上面部材を容器本体と中皿の双方と同時に接合させやすくなる。
【0027】
請求項9の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項1ないし8の発明において、前記容器本体の側壁部に容器内部側へ突出した中皿載置段部を有し、前記中皿載置段部に嵌合凸部が形成されるとともに、前記中皿の中皿底部に嵌合凹部が形成されていて、前記中皿載置段部の前記嵌合凸部と前記中皿底部の前記嵌合凹部とが嵌合されて前記中皿底部が前記中皿載置段部に載置されるため、中皿を所定位置に位置決めすることができるとともに、中皿の横滑りを防止することができる。
【0028】
請求項10の発明に係る中皿付き食品用包装容器によると、請求項1ないし9の発明において、前記上面部材がトップシールであるため、容器内部を視認することができるとともに、容器本体の外周鍔部と中皿の中皿保持鍔部の双方と容易に接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例に係る中皿付き食品用包装容器の分解断面図である。
【
図2】中皿付き食品用包装容器の全体断面図である。
【
図3】中皿付き食品用包装容器の全体平面図である。
【
図6】上面部材封止時の容器本体と中皿の関係を表す要部の拡大断面図である。
【
図7】上面部材開封直後の容器本体と中皿の関係を表す要部の拡大断面図である。
【
図8】上面部材開封時の容器本体と中皿の関係を表す要部の第1拡大断面図である。
【
図9】上面部材開封時の容器本体と中皿の関係を表す要部の第2拡大断面図である。
【
図10】他の実施例に係る平面視円形状の中皿付き食品用包装容器の全体平面図である。
【
図11】平面視角形状の中皿付き食品用包装容器の全体平面図である。
【
図12】他の実施例に係る平面視角形状の中皿付き食品用包装容器の全体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1~
図3に示す本発明の一実施例に係る容器1は、コンビニエンスストア等で販売される加工食品のうち、特に複数の食材を分離して収容するための中皿付き食品用包装容器であって、主食材を収容する容器本体10と、副食材を収容する中皿30と、上面部材50とを備える。この食品用包装容器1は、上面部材50の一側に形成されたつまみ部56を開封部として開封される。なお、以下の説明において、開封側とは上面部材50の封止時のつまみ部(開封部)56側に相当し、その反対側を封止側とする。
【0031】
容器1に収容される食品は特に限定されるものではないが、例えば蕎麦、うどん、冷やし中華、パスタサラダ等の麺類、親子丼、中華丼、牛丼等の丼物類、カレーライス、ハヤシライス等のその他の弁当類等が例示される。特にこれらの食品は、調理済みであって、電子レンジ等により温められ、あるいはそのままで、すぐに食すことが可能な食品である。また、容器本体10に収容される主食材は、麺やご飯等である。中皿に収容される副食材は、具材や加薬等の固形状の食材、カレールー等の流動状の食材等である。なお、主食材や副食材は上記列挙した例に限定されるものではなく、食品の種類等に応じて適宜の形態の食材が選択される。
【0032】
食品用包装容器1は、例えば合成樹脂シートの成形体からなる。容器1を構成する合成樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂のシート、さらにはポリ乳酸等の生分解性樹脂の熱可塑性樹脂のシート等が挙げられる。前記の合成樹脂シートは真空成形により図示をはじめとする各種形状に成形される。合成樹脂シートの厚さは適宜ではあるものの、概ね1mm以下の厚さである。
【0033】
容器1を構成する容器本体10、中皿30、上面部材50の組み合わせにおいて、それぞれ同一材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。なお、容器本体10は、合成樹脂シート等の可撓性素材に限らず、金属製、ガラス製、木製、紙製であってもよい。構成材料の種類は、用途、内容物、包装対象により適宜選択される。
【0034】
容器本体10は、
図1,4に示すように、底部12から側壁部13が立設されてその上部に上部開口15が形成された容器本体部11と、上部開口15に外方へ延設された外周鍔部20とを有する。容器本体10は、丼型、椀型、深皿型等の食品が収容可能な適宜の食器類の形状で形成され、例えば、平面視形状が四角形や八角形等の多角形状、真円や楕円、半円等の円弧形状を含む形状等、用途等に応じて適宜に形成される。図示の容器本体10は、平面視円形状の丼型である。図において、符号16は封止時の開封部(つまみ部56)に対応して開封時に手(指)を掛けて開封しやすくするための手掛部である。
【0035】
外周鍔部20は、
図4に示すように、上部開口15の全周にわたって外方へ延設されて一体に形成されている。外周鍔部20では、外周形状が上部開口15と略同形としてもよいし、異なっていてもよい。実施例では、外周鍔部20が平面視円形状の上部開口15と略同形である。
【0036】
外周鍔部20には、その内周側に段差部21が形成されることが好ましい。段差部21は、中皿30の載置部に相当し、少なくとも外周鍔部20の中皿30が載置可能な範囲に形成される。また、段差部21は、載置される中皿30が位置決め可能な適宜の深さに形成され、例えば、容器1を構成する合成樹脂シートの厚みと略等しい深さで形成される。
【0037】
容器本体10は、
図1,2,4に示すように、容器本体部11の側壁部13に容器内部側へ突出して後述の中皿30が載置される中皿載置段部17を有する。この中皿載置段部17には、嵌合凸部18が形成されている。
【0038】
また、この容器本体10では、
図1,4に示すように、外周鍔部20に容器内側に凹陥する案内凹所25,25が形成されている。案内凹所25は、
図1に示すように、外周鍔部20から容器内側に凹陥するように形成された所定長さの縦溝状の部位である。案内凹所25では、その開封側上部に開封側へ傾斜させた傾斜案内部26が形成される。
【0039】
中皿30は、
図1~
図3,5に示すように、容器本体10の外周鍔部20に保持される部材であって、中皿底部32から中皿側壁部33が立設されてその上部に上部開口35が形成された中皿本体部31と、上部開口35に外方へ延設されて容器本体10の外周鍔部20に保持される中皿保持鍔部40とを有する。
【0040】
中皿保持鍔部40は、容器本体部11の外周鍔部20に載置されて保持される部位であり、特に外周鍔部20の段差部21に載置されることが好ましい。外周鍔部20の段差部21は前記したように合成樹脂シートの厚みと略等しい深さであるから、中皿保持鍔部40が載置されることによって、外周鍔部20と中皿保持鍔部40とが略面一に構成される。
【0041】
また、中皿30は、中皿保持鍔部40の両端部間に連設されて容器本体10の上部開口15上方に位置する中皿導入鍔部41を有する。この中皿導入鍔部41は、図示のように容器本体10の外周鍔部20に載置されない部位となり、封止側の外周鍔部20から離隔された位置に配置される。図において、符号33aは中皿導入鍔部41に連設される中皿側壁部33の導入側中皿側壁部である。
【0042】
上記中皿30は、中皿保持鍔部40が容器本体10の外周鍔部20上に載置され、中皿導入鍔部41が容器本体10の外周鍔部20に載置されず上部開口15上方に位置するため、容器本体10の上部開口15においてその一部(開封側)を閉塞するように配置される。そして、上部開口15の中皿30によって閉塞されない部分は、開放部15aとなる。
【0043】
中皿30では、中皿底部32に容器本体部11の中皿載置段部17の嵌合凸部18と嵌合する嵌合凹部38が形成されている。そこで、中皿30は、
図2に示すように、容器本体10の上部開口15に保持される際に、中皿載置段部17の嵌合凸部18と中皿底部32の嵌合凹部38とが嵌合されて中皿底部32が中皿載置段部17に載置されるように構成される。これにより、上部開口15の所定位置に中皿30が位置決めされるとともに、中皿30の横滑りを防止することができる。
【0044】
上面部材50は、
図1~
図3に示すように、容器本体10の上部開口15と中皿30の上部開口35とを被覆して封止する部材である。この上面部材50は、容器本体10と中皿30の上部を覆いつつ一体に封止が可能な適宜の部材からなり、例えば、トップシール50Aが好ましい。トップシール50Aは、透明の樹脂フィルムからなるため、容器内部を視認することができるとともに、ヒートシールや接着剤等の公知の接合手段によって容器本体10の外周鍔部20と中皿30の中皿保持鍔部40の双方と容易に接合させることができる。
【0045】
上面部材50は、一側に舌片状に突出された開封部となるつまみ部56を有しており、容器本体10の外周鍔部20の全周にわたって接合されて容器本体10の上部開口15を封止する。つまみ部56は、容器本体10の手掛部16に対応して配置され、つまんで持ち上げることによって容器本体10の外周鍔部20から上面部材50を剥離させて開封することができる。
【0046】
この上面部材50は、
図3に示すように、本体接合部51を介して容器本体10の外周鍔部20の全周と接合されるとともに、中皿接合部55を介して中皿30の開封側の中皿保持鍔部40aに接合される。この開封側の中皿保持鍔部40aとは、中皿保持鍔部40のうちつまみ部56に近接した所定範囲の部分である。実施例では、中皿30の中皿保持鍔部40が容器本体部11の外周鍔部20の段差部21に載置されることから、外周鍔部20と中皿保持鍔部40とが略面一に構成される。そのため、上面部材50を容器本体10と中皿30の双方と同時に接合させやすくなる。
【0047】
本発明の食品用包装容器1は、
図6~
図9に示すように、上面部材50のつまみ部56を介して開封する際に、上面部材50が中皿30の開封側の中皿保持鍔部40aとの接合を維持したまま容器本体10の開封側の外周鍔部20aから剥離され、つまみ部56とともに中皿30の開封側が持ち上げられて、中皿30に収容された副食材が容器本体10内へ導入されるように構成される。以下、上記開封操作について、
図6~
図9を用いてより具体的に説明する。なお、以下の説明では、容器本体10の外周鍔部20と上面部材50との接合部である本体接合部51のうち、当該開封操作時に剥離される部分を開封側本体接合部52、それ以外の部分を封止側本体接合部53とし、外周鍔部20のうち、開封側本体接合部52に対応する部分を開封側外周鍔部22、封止側本体接合部53に対応する部分を封止側外周鍔部23とする。
【0048】
まず、
図6に示す食品用包装容器1は、上面部材50の封止時の状態を表している。封止時の食品用包装容器1において、中皿30は、中皿保持鍔部40が容器本体10の開封側外周鍔部22(段差部21)に載置されるとともに、中皿底部32の嵌合凹部38と容器本体部11の中皿載置段部17の嵌合凸部18とを嵌合させて中皿底部32が中皿載置段部17に載置されて、容器本体10に保持される。そして、上面部材50は、容器本体10の外周鍔部20(22,23)に本体接合部51(52,53)を介して接合されるとともに、中皿30の開封側の中皿保持鍔部40aと中皿接合部55を介して接合されて、中皿本体部31の上部開口35とともに容器本体部11の上部開口15を被覆して封止している。
【0049】
封止時の食品用包装容器1では、中皿底部32の嵌合凹部38と中皿載置段部17の嵌合凸部18とが嵌合され、さらに容器本体10に接合された上面部材50に対して中皿30が中皿接合部55を介して接合されていることにより、中皿30の横滑りを防止することができる。そのため、輸送時や保管時等に容器本体10に収容された主食材と中皿30に収容された副食材とを適切に分離することができる。
【0050】
次に、上面部材50を開封する場合、
図7に示すように、上面部材50のつまみ部56が上方に引き上げられて、容器本体10の外周鍔部20の開封側(手掛部16側、つまみ部56側)において開封側本体接合部52の接合が解除されて、上面部材50の剥離が開始される。この時、中皿30と上面部材50とは、中皿接合部55によって開封時においてもその接合が維持されている。そのため、上面部材50のつまみ部56が上方に引き上げられることに伴って、中皿30が上面部材50とともに持ち上げられる。
【0051】
上面部材50とともに持ち上げられた中皿30は、図示のようにその開封側が上方となるように傾動される。すなわち、中皿保持鍔部40の開封側(つまみ部56側)が容器本体10の開封側外周鍔部22から離隔され、さらに中皿底部32の嵌合凹部38と中皿載置段部17の嵌合凸部18との嵌合が解除されかつ中皿底部32が中皿載置段部17から離隔される。一方、中皿30の開封側の反対側(導入側)においては、容器本体10の開封側外周鍔部22の端部22a側と上面部材50との接合が維持されていることにより、中皿保持鍔部40の端部43側が容器本体10の開封側外周鍔部22の端部22a側から離隔されない。
【0052】
ここで、外周鍔部20に案内凹所25が形成されている場合、その開封側頂点27を支点として、中皿30の中皿保持鍔部40の端部42を案内凹所25内へ陥入させることができる。すなわち、中皿30の傾動時に下方となる中皿保持鍔部40の端部42側(中皿導入鍔部41側)と容器本体10の外周鍔部20との干渉を低減させることができて、中皿30が傾動させやすくなる。
【0053】
図8に示すように、上面部材50のつまみ部56がさらに引き上げられると、上面部材50の開封側外周鍔部22からの剥離がさらに進行され、それに伴って中皿30の開封側がさらに持ち上げられて傾動される。このように中皿30が傾動されることにより、収容された副食材が中皿本体部31の導入側中皿側壁部33a側へ集められる。
【0054】
開封側外周鍔部22に案内凹所25が形成されている場合には、中皿30が案内凹所25の開封側頂点27を支点として傾斜案内部26まで傾動して案内凹所25内へさらに進入される。そのため、中皿30を緩やかに傾動させることができる。その後、
図9に示すように、中皿保持鍔部40の端部42が案内凹所25の下端方向へさらに陥入されて中皿30が傾動され、中皿30の中皿導入鍔部41が容器本体部11内へ陥落される。その際、中皿保持鍔部40の端部42が傾斜案内部26に沿って案内凹所25の下端方向へ移動されるため、中皿30の中皿導入鍔部41を容器本体部11内へ安定して陥落させることができる。
【0055】
このように、中皿30は上面部材50のつまみ部56ともに引き上げられて中皿導入鍔部41が下端となるように傾倒されるため、中皿本体部31の導入側中皿側壁部33a側へ集められた副食材が中皿導入鍔部41側から落下する。その際、中皿30の傾動が容器本体10の上部開口15の内側で行われているため、中皿30から落下する副食材は、直下の容器本体10内部へ適切に導入することができる。
【0056】
また、中皿30では、
図1に示すように、中皿本体部31の中皿側壁部33のうち、導入側中皿側壁部33aが前部側に傾斜するように構成することが好ましい。導入側中皿側壁部33aが中皿導入鍔部41側に傾斜していることにより、副食材の容器本体部内への導入時(
図9参照)に副食材を中皿から落下させやすくなる。加えて、導入側中皿側壁部33aに一部を外側へさらに膨出させた誘導部34を形成することがより好ましい。誘導部34により、中皿30の傾動時(
図8,9参照)に副食材を所定位置(導入側中皿側壁部33aの中央側)により集中させやすくなり、副食材をより的確に容器本体部内へ導入することができる。特に、流動状の副食材の導入に好適である。
【0057】
以上図示し説明したように、本発明の中皿付き食品用包装容器は、上面部材が容器本体の外周鍔部及び中皿の開封側の中皿保持鍔部に接合され、上面部材のつまみ部を介して開封する際に、上面部材が中皿の開封側の中皿保持鍔部との接合を維持したまま容器本体の開封側の外周鍔部から剥離され、つまみ部とともに中皿の開封側が持ち上げられて、中皿に収容された副食材が前記容器本体内へ導入されるようにしたため、従来のように中皿を容器本体から分離させることなく容器本体の上部開口位置において中皿に収容された副食材を容器本体部内へ導入させることができる。そのため、従来と比較してより的確に副食材を移し替えることができる。
【0058】
また、この食品用包装容器では、上面部材の開封操作と連動して中皿からの副食材の移し替え操作を行うことができる。そのため、開封後の手順を従来より省略することができ、より簡便で効率的な手順で食品を食すことができる。
【0059】
次に、他の実施例に係る食品用包装容器について、
図10~12を用いて説明する。なお、以下の実施例において、同一符号は同一の構成を表すものとして説明を省略する。
【0060】
図10に示す食品用包装容器1Aは、案内凹所が形成されていない平面視略円形状の容器本体10Aと、中皿導入鍔部41が切欠部43を介して中皿保持鍔部40の両端部42,42に連設されている中皿30Aとを有する例である。この中皿30Aは、開封操作に際して、切欠部43が連設される中皿保持鍔部40の端部42を支点として傾動される。その際、中皿導入鍔部41が切欠部43を介して中皿保持鍔部40から外側(導入側)へ突出するように構成されることから、中皿30Aの傾動時に中皿導入鍔部41が容器本体10A内へ進入するため、中皿30A内の副食材が容器本体10A内へ導入しやすくなる。
【0061】
図11に示す食品用包装容器1Bは、平面視略四角形状の容器本体10Bと、容器本体10Bの一側に保持される平面視略四角形状の中皿30Bとを有し、容器本体10Bの一辺側を開封部として上面部材50のつまみ部56が配置された例である。食品用包装容器1Bでは、容器本体10Bの開封側の辺部とそれに連設する両辺部の一部にわたって段差部21が略コ字状に形成されている。また、食品用包装容器1Bでは、中皿30Bが載置される側の開封側外周鍔部22に開封側本体接合部52、その反対側の封止側外周鍔部23に封止側本体接合部53が形成され、つまみ部56に近接する中皿保持鍔部40に中皿接合部55が形成される。この食品用包装容器1Bにおいても、つまみ部56を介して開封操作をすることにより、開封側となる一辺側からつまみ部56とともに中皿30Bを傾動させて、中皿30B内の副食材を容器本体10B側へ導入することができる。
【0062】
図12に示す食品用包装容器1Cは、平面視略四角形状の容器本体10Cと、容器本体10Cの一の角部側に保持される平面視略三角形状の中皿30Cとを有し、容器本体10Cの一の角部側を開封部として上面部材50のつまみ部56が配置された例である。食品用包装容器1Cでは、容器本体10Cの開封側の一の角部を含む各辺部に段差部21が略L字状に形成されている。また、食品用包装容器1Cでは、中皿30Cが載置される一の角部側の開封側外周鍔部22に開封側本体接合部52、その反対側の封止側外周鍔部23に封止側本体接合部53が形成され、つまみ部56に近接する中皿保持鍔部40の角部側に中皿接合部55が形成される。この食品用包装容器1Cも、開封側となる一の角部側からつまみ部56とともに中皿30Cを傾動させて、中皿30C内の副食材を容器本体10C側へ導入することができる。
【0063】
なお、本発明の中皿付き食品用包装容器は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、図示しないが、食品用包装容器1A~1Cに案内凹所を適宜形成することも可能である。また、開封部となるつまみ部の位置は、容器本体の形状に関わらず任意に設けることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上の通り、本発明の中皿付き食品用包装容器は、上面部材の開封操作と連動して中皿を開封側から持ち上げ傾動させて副食材の移し替え操作を行うことができるため、従来より的確に副食材を移し替えることができ、しかもより簡便で効率的な手順で食品を食すことができる。そのため、従来の中皿付き食品用包装容器の代替として有望である。
【符号の説明】
【0065】
1,1A~1C 中皿付き食品用包装容器
10,10A~10C 容器本体
11 容器本体部
12 底部
13 側壁部
15 上部開口
15a 開放部
16 手掛部
17 中皿載置段部
18 嵌合凸部
20 外周鍔部
20a 開封側の外周鍔部
21 段差部
22 開封側外周鍔部
22a 開封側外周鍔部の端部
23 封止側外周鍔部
25 案内凹所
26 傾斜案内部
27 案内凹所の開封側頂点
30,30A~30C 中皿
31 中皿本体部
32 中皿底部
33 中皿側壁部
33a 導入側中皿側壁部
34 誘導部
35 上部開口
38 嵌合凹部
40 中皿保持鍔部
40a 開封側の中皿保持鍔部
41 中皿導入鍔部
42 中皿保持鍔部の端部
43 切欠部
50 上面部材
50A トップシール
51 本体接合部
52 開封側本体接合部
53 封止側本体接合部
55 中皿接合部
56 つまみ部