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特開2022-143911提供装置、提供方法および提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143911
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】提供装置、提供方法および提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20220926BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20220926BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20220926BHJP
【FI】
G16H10/60
G06F21/62 345
G06F21/60 320
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044694
(22)【出願日】2021-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 陽一
(72)【発明者】
【氏名】泉 博明
(72)【発明者】
【氏名】梅田 建
(72)【発明者】
【氏名】小久保 龍太
(72)【発明者】
【氏名】太田 光憲
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】収集された個人情報を含む電子データを解析用に安全に提供する。
【解決手段】記憶部14が、各患者に関する患者情報14aと、各患者の診療に関する診療情報14bとを分散して記憶する。取得部15aが、各患者から患者情報14aと診療情報14bとの第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、記憶部14の患者情報14aに追加する。生成部15bが、同意情報を含む患者情報14aと診療情報14bとを患者ごとに結合した提供情報を生成する。提供部15cが、第三者機関からの要求に応じて、生成された提供情報14cを該第三者機関に提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各患者に関する患者情報と、各患者の診療に関する診療情報とを分散して記憶する記憶部と、
各患者から患者情報と診療情報との第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、前記記憶部の患者情報に追加する取得部と、
前記同意情報を含む患者情報と前記診療情報とを患者ごとに結合した提供情報を生成する生成部と、
前記第三者機関からの要求に応じて、生成された前記提供情報を該第三者機関に提供する提供部と、
を有することを特徴とする提供装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記患者情報と前記診療情報とを、暗号化された秘密分散の状態で記憶することを特徴とする請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記取得部は、さらに、各患者の前記同意の撤回を示す同意撤回情報を取得して、前記記憶部の患者情報に追加し、
前記生成部は、前記同意撤回情報を含む患者情報に対応する前記診療情報との結合を止める
ことを特徴とする請求項1に記載の提供装置。
【請求項4】
前記生成部は、生成した前記提供情報を前記記憶部に記憶させ、前記同意撤回情報を含む患者情報に対応する提供情報を前記記憶部から削除する
ことを特徴とする請求項3に記載の提供装置。
【請求項5】
提供装置が実行する提供方法であって、
各患者に関する患者情報と、各患者の診療に関する診療情報とを分散して記憶する記憶部を参照し、各患者から患者情報と診療情報との第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、前記記憶部の患者情報に追加する取得工程と、
前記同意情報を含む患者情報と前記診療情報とを患者ごとに結合した提供情報を生成する生成工程と、
前記第三者機関からの要求に応じて、生成された前記提供情報を該第三者機関に提供する提供工程と、
を含んだことを特徴とする提供方法。
【請求項6】
各患者に関する患者情報と、各患者の診療に関する診療情報とを分散して記憶する記憶部を参照し、各患者から患者情報と診療情報との第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、前記記憶部の患者情報に追加する取得ステップと、
前記同意情報を含む患者情報と前記診療情報とを患者ごとに結合した提供情報を生成する生成ステップと、
前記第三者機関からの要求に応じて、生成された前記提供情報を該第三者機関に提供する提供ステップと、
をコンピュータに実行させるための提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供装置、提供方法および提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の場で、患者自身が痛みや睡眠の質等の日々の情報を電子データとして登録するePRO(electric Patient-Reported Outcome)技術が期待されている。この技術では、患者が所定の形式のアンケートに回答することにより、システムに電子データを登録する。また、このようにして収集された電子データは、患者の同意を得て医療機関や製薬会社等の第三者機関が集計したり解析したりして、新薬の開発や先進医療に活用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“ePRO(患者報告アウトカムシステム)”、[online]、2021年1月6日、株式会社アクセライト、[2021年1月6日検索]、インターネット<URL:https://accelight.co.jp/works/product/product-epro/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、収集された電子データを解析用に安全に提供することが困難な場合がある。例えば、収集する前に患者の同意を得た回答の電子データについて、提供に際して改めて同意を取り直す。その際に、第三者機関での利用目的が変わったり患者の意思が変化したりして同意を得られない場合に、電子データの提供を止める方法が具体的に確立していない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、収集された個人情報を含む電子データを解析用に安全に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る提供装置は、各患者に関する患者情報と、各患者の診療に関する診療情報とを分散して記憶する記憶部と、各患者から患者情報と診療情報との第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、前記記憶部の患者情報に追加する取得部と、前記同意情報を含む患者情報と前記診療情報とを患者ごとに結合した提供情報を生成する生成部と、前記第三者機関からの要求に応じて、生成された前記提供情報を該第三者機関に提供する提供部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収集された個人情報を含む電子データを解析用に安全に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、提供装置の概要を説明するための図である。
図2図2は、提供装置の概略構成を例示する模式図である。
図3図3は、取得部の処理を説明するための図である。
図4図4は、取得部の処理を説明するための図である。
図5図5は、生成部の処理を説明するための図である。
図6図6は、生成部の処理を説明するための図である。
図7図7は、提供処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、提供処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、提供プログラムを実行するコンピュータを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0010】
[提供装置の概要]
図1は、提供装置の概要を説明するための図である。図1に例示するように、提供装置10を含むシステムは、他に患者情報管理SV(サーバ)1、診療情報管理SV2、および回答SV3を含んで構成される。
【0011】
患者情報管理SV1は、患者を識別する患者番号、氏名、生年月日、性別の他に、連絡先等を含む患者情報を管理する。例えば、医療機関において、医療者から説明を受けて診療情報等を解析に利用することに同意した患者について、患者番号、氏名、生年月日、性別、連絡先の携帯電話番号等を含む同意書データの初期データが生成され、患者情報として患者情報管理SV1に登録される。
【0012】
診療情報管理SV2は、患者番号、氏名、生年月日、性別の他に、治療の内容や投薬の種類や方法等の診療データ等を含む診療情報を管理する。例えば、医療機関において、医療者により、患者番号に対応付けて、氏名、生年月日、性別、診療データを含む診療情報が診療情報管理SV2に登録される。
【0013】
回答SV3は、患者のアンケートに対する回答や、診療情報等を第三者機関に提供することに対する同意を改めて確認する同意情報を管理する。例えば、自宅での経過観察のためのアンケートへの患者の回答と、アンケートの回答や診療情報を解析用に第三者機関に提供することに対する同意を示す同意情報とが、患者により回答SV3に登録される。図1に示す例では、患者が自身の先の同意内容を確認したことを示す同意情報が、患者の回答に含まれている。
【0014】
ここで、回答SV3は、日常的に患者からアンケートの回答を受信して蓄積している。このアンケートの回答には、治療にまつわる生活等の患者の個人情報が含まれる。患者は、自身の過去の回答の内容を確認し、第三者機関への提供についての同意を確認することができる。すなわち、同意情報とは、診療情報に加え、アンケートの回答を第三者機関に提供することに対する同意を示す。
【0015】
また、この回答SV3には、患者により、回答や診療情報を第三者機関に提供することに対する同意を撤回する旨の同意撤回情報が登録される場合がある。例えば、第三者機関での当初の利用目的が変わったり患者自身の意思が変化したりした場合等に、患者は同意撤回情報を登録することが可能である。例えば、図1に示す例において、患者が自身の過去の回答や同意情報を確認した後に、回答および同意情報の登録と同様の手順により、同意撤回情報を回答SV3に登録できる。
【0016】
提供装置10は、患者情報管理SV1から、各患者の連絡先を含む患者情報を取得して、記憶部に記憶させる。また、提供装置10は、診療情報管理SV2から、各患者の診療情報を取得して、記憶部に記憶させる。また、提供装置10は、回答SV3から、患者の回答や同意情報、または同意撤回情報を取得して、記憶部の患者情報に登録する。
【0017】
そして、提供装置10は、患者情報に同意情報が含まれていれば、患者情報とこの患者の診療情報とを結合して提供情報を生成し、記憶部に記憶させる。また、提供装置10は、患者情報に同意撤回情報が含まれる場合には、提供情報の生成は行わず、または、記憶部に記憶された提供情報を削除する。
【0018】
また、提供装置10は、第三者機関から解析用のデータを要求された場合に、記憶部の提供情報を提供する。このようにして、提供装置10は、患者の同意を得た電子データのみを第三者機関に提供することにより、収集された個人情報を含む電子データを解析用に安全に提供することが可能となる。
【0019】
[提供装置の構成]
図2は、提供装置の概略構成を例示する模式図である。図2に例示するように、提供装置10は、パソコン等の汎用コンピュータで実現され、入力部11、出力部12、通信制御部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0020】
入力部11は、キーボードやマウス等の入力デバイスを用いて実現され、操作者による入力操作に対応して、制御部15に対して処理開始などの各種指示情報を入力する。出力部12は、液晶ディスプレイなどの表示装置、プリンター等の印刷装置等によって実現される。
【0021】
通信制御部13は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、ネットワークを介したサーバ等の外部の装置と制御部15との通信を制御する。例えば、通信制御部13は、患者情報管理SV1、診療情報管理SV2、および回答SV3等と制御部15との通信を制御する。
【0022】
記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。本実施形態において、記憶部14には、例えば、後述する提供処理に用いられる患者情報14a、診療情報14b、および提供処理において生成された提供情報14cや、提供処理の結果等が記憶される。なお、記憶部14は、通信制御部13を介して制御部15と通信する構成でもよい。
【0023】
患者情報14aは、各患者に関する情報である。具体的には、上述したように、患者情報14aは、患者番号、氏名、生年月日、性別、連絡先等を含む。後述する取得部15aが、同意書データの初期データとして、予め、患者情報管理SV1から患者情報を取得して、記憶部14に記憶させる。また、患者情報14aには、取得部15aが回答SV3から取得した同意情報を含む回答データが追加される。このように、患者情報14aには、上記したように、日常的に患者から受信した個人情報を含むアンケートの回答が含まれる場合がある。また、患者番号には、医療機関を識別する医療機関Noが含まれていてもよい。
【0024】
また、診療情報14bは、各患者の診療に関する情報である。具体的には、上述したように、診療情報14bは、患者番号、氏名、生年月日、性別、治療の内容や投薬情報等の診療データ等を含む。取得部15aが、同様に予め、診療情報管理SV2から診療情報を取得して、記憶部14に記憶させる。診療情報においても、患者番号には、医療機関を識別する医療機関Noが含まれていてもよい。
【0025】
このように、記憶部14は、患者情報14aと、診療情報14bとを分散して記憶する。具体的には、記憶部14は、患者情報14aと、診療情報14bとをそれぞれ暗号化された秘密分散の状態で記憶する。これにより、提供装置10は、連絡先やアンケートの回答等の個人情報を含む患者情報14aと診療データ等の個人情報を含む診療情報14bとを、分散して安全に管理している。
【0026】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。これにより、制御部15は、図2に例示するように、取得部15a、生成部15bおよび提供部15cとして機能する。なお、これらの機能部は、それぞれあるいは一部が異なるハードウェアに実装されてもよい。例えば、提供部15cは、取得部15aおよび生成部15bとは別の装置に実装されてもよい。また、制御部15は、その他の機能部を備えてもよい。
【0027】
次に、図3および図4は、取得部の処理を説明するための図である。図3に示すように、取得部15aは、同意書データの初期データとして、予め、患者情報管理SV1から患者情報を取得して、記憶部14に記憶させる。また、取得部15aは、同様に予め、診療情報管理SV2から診療情報を取得して、記憶部14に記憶させる。
【0028】
また、取得部15aは、各患者から患者情報14aと診療情報14bとの第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、記憶部14の患者情報14aに追加する。具体的には、取得部15aは、回答SV3から、自宅での経過観察のためのアンケートへの患者の回答と、アンケートの回答や診療情報を解析用に第三者機関に提供することに対する自身の先の同意を確認したことを示す同意情報とを取得する。図3に示す例では、同意情報は回答データに含まれる。
【0029】
そして、取得部15aは、取得した同意情報を含む回答データを、患者情報14aに追加する。その際に、取得部15aは、携帯電話番号等の連絡先をキー情報として用いて、患者情報14aを特定して、取得した回答データを追加する。
【0030】
また、取得部15aは、さらに、各患者の同意の撤回を示す同意撤回情報を取得して、記憶部14の患者情報14aに追加する。具体的には、図4に示すように、取得部15aは、回答SV3から、回答データの代わりに、同意撤回情報を取得する。例えば、第三者機関での当初の利用目的が変わったり患者自身の意思が変化したりした場合等に、患者が過去の自分の回答や同意情報を確認した後に、回答および同意情報の登録と同様の手順で回答SV3に登録した同意撤回情報を、取得部15aが取得する。
【0031】
そして、取得部15aは、取得した同意撤回情報を、患者情報14aに追加する。その際にも、取得部15aは、携帯電話番号等の連絡先をキー情報として用いて、患者情報14aを特定して、取得した同意撤回情報を追加する。
【0032】
次に、図5および図6は、生成部の処理を説明するための図である。生成部15bは、同意情報を含む患者情報14aと診療情報14bとを患者ごとに結合した提供情報14cを生成する。例えば、図5に示すように、生成部15bは、患者情報14aに同意情報を含む回答データが含まれている場合に、患者番号をキー情報として用いて、患者情報14aに対応する診療情報14bとを特定し、提供情報14cを生成する。
【0033】
なお、上記したように、患者情報14aと診療情報14bとは、それぞれ暗号化された秘密分散の状態で安全に記憶されている。したがって、確実かつ安全に患者の同意を得た場合にのみ、個人情報を含む提供情報14cが生成される。
【0034】
また、生成部15bは、生成した提供情報14cから携帯電話番号等の連絡先を削除する。これにより、解析には不要な患者の連絡先が第三者機関に流出することを防止することが可能となる。
【0035】
また、生成部15bは、生成した提供情報14cを記憶部14に記憶させてもよい。または、生成部15bは、生成した提供情報14cを記憶部14に記憶させずに、後段の提供部15cに出力してもよい。この場合には、例えば、生成部15bは、第三者機関からの要求を検知した際に提供情報14cを生成し、提供部15cに出力する。
【0036】
また、生成部15bは、同意撤回情報を含む患者情報に対応する診療情報14bとの結合を止める。具体的には、図6に示すように、生成部15bは、生成した提供情報14cを記憶部14に記憶させ、同意撤回情報を含む患者情報14aに対応する提供情報14cを記憶部14から削除する。図6に示す例では、生成部15bは、患者情報14aに同意撤回情報が含まれている場合に、患者番号をキー情報として用いて、患者情報14aに対応する提供情報14cを特定し、記憶部14から削除している。
【0037】
図2の説明に戻る。提供部15cは、第三者機関からの要求に応じて、生成された提供情報14cを該第三者機関に提供する。例えば、提供部15cは、記憶部14に記憶されている各患者の同意を得た提供情報14cのうち、年代や投薬の種類等といった解析対象の要件を満たす患者の提供情報14cを、要求した第三者機関に提供する。
【0038】
このようにして、提供装置10は、患者情報14aと診療情報14bとを分散して管理して、患者の同意を得た場合にのみ結合して提供情報14cを生成し、第三者機関に提供することが可能となる。
【0039】
[提供処理手順]
次に、図7および図8を参照して、本実施形態に係る提供装置10による提供処理について説明する。図7および図8は、提供処理手順を示すフローチャートである。本実施形態の提供処理は、生成処理と削除処理とを含む。まず、図7は、生成処理手順を示す。図7のフローチャートは、例えば、生成処理の開始を指示する入力があったタイミングで開始される。
【0040】
まず、取得部15aが、各患者から患者情報14aと診療情報14bとの第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、記憶部14の患者情報14aに追加する(ステップS1)。具体的には、取得部15aが、回答SV3から、自宅での経過観察のためのアンケートへの患者の回答に加え、このアンケートの回答や診療情報を、解析用に第三者機関に提供することに対する自身の先の同意を確認したことを示す同意情報を取得する。
【0041】
次に、生成部15bが、同意情報を含む患者情報14aと診療情報14bとを患者ごとに結合した提供情報14cを生成する(ステップS2)。例えば、生成部15bは、患者情報14aに同意情報を含む回答データが含まれている場合に、患者番号をキー情報として用いて、患者情報14aに対応する診療情報14bとを特定し、提供情報14cを生成する。
【0042】
そして、第三者機関からの要求に応じて、提供部15cが、生成された提供情報14cを該第三者機関に提供する(ステップS3)。これにより、一連の生成処理が終了する。
【0043】
次に、図8は、削除処理手順を示す。図8のフローチャートは、例えば、解除処理の開始を指示する入力があったタイミングで開始される。
【0044】
まず、取得部15aが、各患者の同意の撤回を示す同意撤回情報を取得して、記憶部14の患者情報14aに追加する(ステップS11)。例えば、取得部15aは、回答SV3から、第三者機関での当初の利用目的が変わったり患者自身の意思が変化したりした場合等に、患者が回答SV3に登録した同意撤回情報を取得する。
【0045】
次に、生成部15bが、同意撤回情報を含む患者情報14aに対応する提供情報14cを記憶部14から削除する(ステップS12)。例えば、生成部15bは、患者情報14aに同意撤回情報が含まれている場合に、患者番号をキー情報として用いて、患者情報14aに対応する提供情報14cを特定し、記憶部14から削除する。これにより、一連の削除処理が終了する。
【0046】
以上、説明したように、上記実施形態の提供装置10では、記憶部14が、各患者に関する患者情報14aと、各患者の診療に関する診療情報14bとを分散して記憶する。取得部15aが、各患者から患者情報14aと診療情報14bとの第三者機関への提供に対する同意を示す同意情報を取得して、記憶部14の患者情報14aに追加する。生成部15bが、同意情報を含む患者情報14aと診療情報14bとを患者ごとに結合した提供情報を生成する。提供部15cが、第三者機関からの要求に応じて、生成された提供情報14cを該第三者機関に提供する。
【0047】
このように、提供装置10は、患者情報と診療情報とを分散して管理して、患者の同意を得た場合にのみ結合して提供情報を生成して、解析用に第三者機関に提供することができる。これにより、提供装置10は、収集された個人情報を含む電子データを解析用に安全に提供することが可能となる。
【0048】
また、記憶部14は、患者情報14aと診療情報14bとを、暗号化された秘密分散の状態で記憶する。これにより、患者の同意を得る前の電子データをより安全に管理することが可能となる。したがって、提供装置10により、より確実かつ安全に患者の同意を得た場合にのみ、個人情報を含む提供情報14cが生成される。
【0049】
また、取得部15aは、さらに、各患者の同意の撤回を示す同意撤回情報を取得して、記憶部14の患者情報に追加する。この場合に、生成部15bは、同意撤回情報を含む患者情報14aに対応する診療情報14bとの結合を止める。例えば、生成部15b、生成した提供情報14cを記憶部14に記憶させ、同意撤回情報を含む患者情報14aに対応する提供情報14cを記憶部14から削除する。これにより、提供装置10は、さらに確実に、患者の同意を得た電子データのみを解析用に提供情報14cを生成することが可能となる。
【0050】
[システム構成等]
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPUおよび当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0051】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0052】
[プログラム]
上記実施形態において説明した提供装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態に係る提供装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0053】
図9は、提供プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0054】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。ディスクドライブ1100には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1110およびキーボード1120が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1130が接続される。
【0055】
ここで、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。上記実施形態で説明した各情報は、例えばハードディスクドライブ1090やメモリ1010に記憶される。
【0056】
また、提供プログラムは、例えば、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュール1093として、ハードディスクドライブ1090に記憶される。具体的には、上記実施形態で説明した提供装置10が実行する各処理が記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0057】
また、提供プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータ1094として、例えば、ハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0058】
なお、提供プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、提供プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 患者情報管理SV
2 診療情報管理SV
3 回答SV
10 提供装置
11 入力部
12 出力部
13 通信制御部
14 記憶部
14a 患者情報
14b 診療情報
14c 提供情報
15 制御部
15a 取得部
15b 生成部
15c 提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9