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  • 特開-マンホール胴枠支持装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143915
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】マンホール胴枠支持装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
E02D29/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044700
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014649
【氏名又は名称】日本地工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 正和
(72)【発明者】
【氏名】川村 伸恵
(72)【発明者】
【氏名】阿部 広明
(72)【発明者】
【氏名】吉本 洋希
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 光彦
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】木村 尭
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】舗装塊を引き抜く際の反力をとるための部材の交換を不要とすることで、マンホール胴枠撤去作業の効率化を図ることができるマンホール胴枠支持装置を提供する。
【解決手段】マンホール胴枠支持装置1は、マンホール胴枠の径方向に進退可能で、マンホール胴枠の下に挿入されてマンホール胴枠を持ち上げることが可能な爪71と、爪71を上下動させる引抜シリンダ63と、引抜シリンダ63に設けられ、引抜シリンダ63よりも径方向外側の位置で地面と接触可能な接地面F1を有する反力板61を備える。接地面F1は、引抜シリンダ63からの距離が変わるように、引抜シリンダ63に対して移動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されたマンホール胴枠を撤去するためのマンホール胴枠支持装置であって、
前記マンホール胴枠の径方向に進退可能な爪であって、前記マンホール胴枠の下に挿入されて前記マンホール胴枠を持ち上げることが可能な爪と、
前記爪を上下動させる引抜シリンダと、
前記引抜シリンダに設けられ、前記引抜シリンダよりも前記径方向外側の位置で地面と接触可能な接地面を有する反力部材と、を備え、
前記接地面は、前記引抜シリンダからの距離が変わるように、前記引抜シリンダに対して移動可能であることを特徴とするマンホール胴枠支持装置。
【請求項2】
前記引抜シリンダの下端は、前記反力部材の前記接地面より下に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のマンホール胴枠支持装置。
【請求項3】
前記爪は、3つ以上であり、前記引抜シリンダの中心軸を中心とした円周上に間隔を空けて配置されるとともに、同一の油圧源によって進退可能であり、
前記爪によって、前記マンホール胴枠と当該マンホール胴枠の下の構造物との縁切りが可能であるとともに、
前記爪および前記引抜シリンダによって、前記マンホール胴枠と当該マンホール胴枠周りの舗装塊を引き上げることが可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマンホール胴枠支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたマンホール胴枠を周辺固定部材から破断・縁切りして支持するためのマンホール胴枠支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されたマンホール胴枠を撤去する技術として、マンホール胴枠を内包する舗装を、その切断中心線の回りに路面から所要深さに円形に切断し、マンホール胴枠を内包した舗装塊を、それらと部分的に連結または密着した状態にある周辺固定部材から破断・縁切り・引抜きを行う胴枠撤去装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来技術では、周辺固定部材にくさび部材を押圧することで破断・縁切りを行い、胴枠撤去装置の中心ロッドに配設された引抜きシリンダによってマンホール胴枠を内包した舗装塊を引き上げることが可能である。また、胴枠撤去装置は、舗装塊を引き上げる際において地面から反力をとるためのフレームを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5368616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、異なる径のマンホール胴枠を撤去する際において、円形切断ビットを交換する必要があり、また舗装塊を引き抜く際の反力をとるためのフレームも交換する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、舗装塊を引き抜く際の反力をとるための部材の交換を不要とすることで、マンホール胴枠撤去作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るマンホール胴枠支持装置は、地中に埋設されたマンホール胴枠を撤去するための装置である。
前記マンホール胴枠支持装置は、前記マンホール胴枠の径方向に進退可能な爪であって、前記マンホール胴枠の下に挿入されて前記マンホール胴枠を持ち上げることが可能な爪と、前記爪を上下動させる引抜シリンダと、前記引抜シリンダに設けられ、前記引抜シリンダよりも前記径方向外側の位置で地面と接触可能な接地面を有する反力部材と、を備える。
前記接地面は、前記引抜シリンダからの距離が変わるように、前記引抜シリンダに対して移動可能である。
【0008】
この構成によれば、異なる径のマンホール胴枠を撤去する際に、切断半径よりも外側に反力部材の接地面を移動させることができるので、反力部材を交換することなく、反力部材から良好に反力をとることができ、マンホール胴枠撤去作業の効率化を図ることができる。
【0009】
また、前記引抜シリンダの下端は、前記反力部材の前記接地面より下に配置されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、引抜シリンダの下端が反力部材の地面と接触する接地面より下に配置されていることで、引抜シリンダによる舗装塊の引抜きの際に効率よく力を伝達することができ、且つマンホール胴枠支持装置の小型化が可能である。
【0011】
また、前記爪は、3つ以上であり、前記引抜シリンダの中心軸を中心とした円周上に間隔を空けて配置されるとともに、同一の油圧源によって進退可能であり、前記爪によって、前記マンホール胴枠と当該マンホール胴枠の下の構造物との縁切りが可能であるとともに、前記爪および前記引抜シリンダによって、前記マンホール胴枠と当該マンホール胴枠周りの舗装塊を引き上げることが可能であってもよい。
【0012】
この構成によれば、マンホール胴枠の撤去に際して、引抜シリンダによって爪をマンホール胴枠の下に移動・挿入・押圧することで、マンホール胴枠の縁切りが可能であり、且つ縁切りされた舗装塊を引き上げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、舗装塊を引き抜く際の反力をとるための部材の交換が不要となるので、マンホール胴枠撤去作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るマンホール胴枠支持装置を示す斜視図である。
図2】マンホール胴枠の周囲の地面に環状の穴を開ける工程を示す断面図である。
図3】マンホール胴枠支持装置をマンホール胴枠に設置する工程を示す断面図(a)と、爪をマンホール胴枠の下に挿入する工程を示す断面図(b)と、引抜シリンダにより舗装塊を引き抜く工程を示す断面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、マンホール胴枠支持装置1は、地中に埋設されたマンホール胴枠MB(図3参照)を撤去するための装置である。マンホール胴枠支持装置1は、引抜ユニット60と、グリッパ70とを備えている。
【0016】
引抜ユニット60は、反力部材の一例としての4つの反力板61と、各反力板61を移動可能に支持する支持部材62と、引抜シリンダ63とを備えている。
【0017】
引抜シリンダ63は、グリッパ70が固定されるピストン63Aを内部に備えている。引抜シリンダ63は、油圧源80から供給される油圧によってピストン63Aを上下動させることで、引抜シリンダ63に対してグリッパ70を上下動させる。
【0018】
支持部材62は、引抜シリンダ63の外周面に設けられている。支持部材62は、各反力板61を水平方向に移動可能に支持する矩形の筒状部62Aを4つ有している。
【0019】
反力板61は、支持部材62を介して引抜シリンダ63に設けられている。
反力板61は、水平方向に長い板状の第1部位61Aと、第1部位61Aの先端部(引抜シリンダ63から遠い側の端部)から下に向けて延びる板状の第2部位61Bとを有する。第1部位61Aは、その短手方向が上下方向に沿った向きで筒状部62A内に入っており、筒状部62Aによって水平方向に移動可能に支持されている。
【0020】
第1部位61Aの長手方向(反力板61の移動方向)から見て、第1部位61Aは、引抜シリンダ63とは重ならない位置に配置されている。各第1部位61Aは、各筒状部62A内に最も深く入り込んだ状態において、引抜シリンダ63を囲うように配置されている。
【0021】
第2部位61Bの下端面は、引抜シリンダ63よりも径方向外側の位置で地面と接触可能な接地面F1となっている。接地面F1は、引抜シリンダ63からの距離が変わるように、引抜シリンダ63に対して移動可能となっている。
【0022】
筒状部62Aには、反力板61を位置決めするためのピンP2が設けられている。ピンP2は、第1部位61Aと筒状部62Aとに形成された各孔に嵌合することで、筒状部62Aに対する反力板61の位置を位置決めしている。なお、第1部位61Aには孔が複数形成されており、これにより、筒状部62Aに対する反力板61の位置を、複数の位置に位置決めすることが可能となっている。
【0023】
図3に示すように、引抜シリンダ63の下端は、反力板61の接地面F1より下に配置されている。
【0024】
図1に示すように、グリッパ70は、3つの爪71と、引抜シリンダ63の径方向に爪71を進退させる3つの爪用シリンダ72と、各爪用シリンダ72を支持する支持台73とを備えている。爪71は、先が尖った円錐状に形成されており、爪用シリンダ72から進退するピストン72Aの先端(図3参照)に固定されている。
【0025】
3つの爪71は、引抜シリンダ63の中心軸を中心とした円周上に間隔を空けて配置されている。詳しくは、3つの爪71は、それぞれ120度ずつ位相をずらして配置されている。3つの爪用シリンダ72には、油圧源80から油圧が供給されている。これにより、3つの爪71は、同一の油圧源80によって進退可能となっている。
【0026】
次に、マンホール胴枠MBの撤去方法について詳細に説明する。
図2に示すように、マンホール胴枠MBを撤去する場合には、まず、マンホール胴枠支持装置1とは別の切断装置によって、マンホール胴枠MBの周囲の地面に、マンホール胴枠MBを中心とした円状の穴H1(図3も参照)を掘削する。
【0027】
掘削作業の終了後、図3(a)に示すように、作業者は、マンホール胴枠支持装置1の中心軸がマンホール胴枠MBの中心軸とおおよそ合うように、図示せぬ重機によってマンホール胴枠支持装置1の上に移動させる。その後、図示せぬ重機によってマンホール胴枠支持装置1を下降させ、各爪71の先端の位置を、マンホール胴枠MBと当該マンホール胴枠MBの下の構造物との間に配置する。その後、油圧源80によって各爪用シリンダ72に油圧を供給することで、3つの爪71をマンホール胴枠MBの径方向に前進させ、3つの爪71をマンホール胴枠MBの下の構造物に押し当てる。これにより、引抜シリンダ63の中心軸がマンホール胴枠MBの中心に合うとともに、マンホール胴枠支持装置1がマンホール胴枠MBの下の構造物に固定される。
【0028】
なお、本実施形態では、マンホール胴枠支持装置1をマンホール胴枠MBの下の構造物に固定した状態において、反力板61の接地面F1が地面に接触していることとするが、本発明はこれに限定されず、マンホール胴枠支持装置1の固定時において反力板61の接地面F1は地面に接触していなくてもよい。なお、この場合には、マンホール胴枠支持装置1を固定した後に、引抜シリンダ63を作動させて、反力板61の接地面F1を地面に接触させればよい。
【0029】
次いで、作業者は、反力板61の接地面F1を、円状の穴H1よりも外側に移動させる。その後、油圧源80によって各爪用シリンダ72に油圧を供給することで、図3(b)に示すように、各爪71を再び前進させて、各爪71をマンホール胴枠MBの下に挿入する。これにより、各爪71によって、マンホール胴枠MBと当該マンホール胴枠MBの下の構造物との縁切りが行われる。
【0030】
その後、引抜シリンダ63内の油圧を制御してピストン63Aを上げることで、図3(c)に示すように、各爪71でマンホール胴枠MBを周囲の舗装塊BLとともに持ち上げる。この際、反力板61よりも下に引抜シリンダ63の下端が位置することにより、引抜シリンダ63による舗装塊BLの引き抜きの際に効率よく力を伝達することができる。
【0031】
その後、作業者は、図示せぬ重機によってマンホール胴枠支持装置1を移動させ、マンホール胴枠支持装置1をマンホール胴枠MBおよび舗装塊BLごとトラックの荷台に積み込む。
【0032】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
異なる径のマンホール胴枠MBを撤去する際に、切断半径よりも外側に反力板61の接地面F1を移動させることができるので、反力板61を交換することなく、反力板61から良好に反力をとることができ、マンホール胴枠MBの撤去作業の効率化を図ることができる。
【0033】
引抜シリンダ63の下端が反力板61の接地面F1より下に配置されていることで、引抜シリンダ63による舗装塊BLの引抜きの際に効率よく力を伝達することができ、且つマンホール胴枠支持装置1の小型化が可能である。
【0034】
引抜シリンダ63によって爪71をマンホール胴枠MBの下に移動・挿入・押圧することで、マンホール胴枠MBの縁切りが可能であり、且つ縁切りされた舗装塊BLを引き上げることができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0036】
前記実施形態では、爪71の数を3つとしたが、本発明はこれに限定されず、爪の数は、4つ以上であってもよい。
【0037】
前記実施形態では、反力部材として板状の反力板61を例示したが、本発明はこれに限定されず、反力部材は、例えば棒状の部材であってもよい。
【0038】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 マンホール胴枠支持装置
61 反力板
63 引抜シリンダ
71 爪
F1 接地面
MB マンホール胴枠
図1
図2
図3