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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143941
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】マイクロ波処理用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044741
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】節田 征矢
(72)【発明者】
【氏名】巽 衣理奈
(72)【発明者】
【氏名】榎谷 幸敏
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA24
3E013BB06
3E013BC04
3E013BC05
3E013BC14
3E013BC15
3E013BD02
3E013BD06
3E013BD13
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF05
3E013BF08
3E013BF22
3E013BF36
3E013BF42
3E013BF52
(57)【要約】
【課題】 マイクロ波照射によって発熱する発熱部を有する粘着ラベルがシート蓋から剥がれ難いマイクロ波処理用包装体を提供する。
【解決手段】 開口部24を有する凹状の容器本体21と容器本体21の開口部24を密封状に塞ぐシート蓋22とを有し且つ内部に内容物4が収容されている容器2と、マイクロ波照射によって発熱する発熱部3Aを有する基材31と基材31の裏面に設けられた粘着剤層32とを有する粘着ラベル3と、を有し、粘着ラベル3が、粘着剤層32を介してシート蓋22の表面に貼り付けられているマイクロ波処理用包装体1であって、粘着ラベル3の基材31が、発熱部3Aと、マイクロ波照射によって実質的に発熱しない非発熱部3Bと、を有し、粘着剤層32の、温度60℃におけるシート蓋に対する接着強度が、5N/25mm以上である。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する凹状の容器本体と前記容器本体の開口部を密封状に塞ぐシート蓋とを有し且つ内部に内容物が収容されている容器と、マイクロ波照射によって発熱する発熱部を有する基材と前記基材の裏面に設けられた粘着剤層とを有する粘着ラベルと、を有し、前記粘着ラベルが、前記粘着剤層を介して前記シート蓋の表面に貼り付けられているマイクロ波処理用包装体であって、
前記粘着ラベルの基材が、前記発熱部と、前記マイクロ波照射によって実質的に発熱しない非発熱部と、を有し、
前記粘着剤層の、温度60℃におけるシート蓋に対する接着強度が、5N/25mm以上である、マイクロ波処理用包装体。
【請求項2】
前記容器本体には、前記開口部を取り囲むフランジ部が形成されており、
前記シート蓋が、前記フランジ部に接合されており、
前記粘着ラベルの発熱部の一部又は全部が前記フランジ部とシール蓋の接合部分に重なり且つ前記粘着ラベルの非発熱部の一部又は全部が前記開口部に重なるように、前記粘着ラベルが前記粘着剤層を介して前記シート蓋に貼り付けられている、請求項1に記載のマイクロ波処理用包装体。
【請求項3】
前記発熱部が、非金属剤を含み、
前記発熱部の、周波数2.45GHzにおける複素比誘電率の虚数部が350以上である、請求項1または2に記載のマイクロ波処理用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波処理時に容器内から生じる蒸気を外部へ良好に逃がすことができるマイクロ波処理用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジなどのマイクロ波処理を行うことにより、内容物(食品など)を加熱するマイクロ波処理用包装体が知られている。
例えば、特許文献1には、容器のフランジ部にシート蓋が熱シールされ、前記シート蓋の表面に、全面に導電性発熱層が設けられた粘着ラベルが貼り付けられているマイクロ波処理用の包装体が開示されている。この粘着ラベルは、前記シート蓋の表面のうちフランジ部に重なる範囲内に貼り付けられている。
かかる包装体をマイクロ波処理すると、シート蓋に蒸通口(穴)が開口され、そこから容器内の蒸気を逃がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5236172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイクロ波処理用包装体をマイクロ波処理した際、蒸通口が生じる前(以下、「蒸通前」という場合がある)に、発熱部を有する粘着ラベルがシート蓋から剥がれることがある。蒸通前に、発熱部を有する粘着ラベルがシート蓋から剥がれると、その粘着ラベルによってシート蓋に蒸通口を形成できない。
【0005】
特に、本発明者らの研究によれば、フランジ部からはみ出して粘着ラベルをシート蓋に貼り付けると、マイクロ波処理時の蒸通前に、粘着ラベルがシート蓋から剥がれ易いことが判ってきた。
具体的には、フランジ部は、容器本体の開口部を取り囲むように形成されているので、粘着ラベルをフランジ部からはみ出して貼り付けると、粘着ラベルは、フランジ部から開口部に跨がるようにシート蓋に配置される。シート蓋は、フランジ部に接合されているが、容器本体の開口部においてはフリーであるため、マイクロ波処理時に容器内から発生する蒸気によって、シート蓋のうち開口部に対応する領域が膨らむようになる。シート蓋が膨らむ上、蒸気によって粘着剤層が昇温するので、蒸通前に粘着ラベルがシート蓋から剥がれるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、マイクロ波照射した際に、粘着ラベルがシート蓋から剥がれ難く、蒸気を外部へ良好に逃がすことができるマイクロ波処理用包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロ波処理用包装体は、開口部を有する凹状の容器本体と前記容器本体の開口部を密封状に塞ぐシート蓋とを有し且つ内部に内容物が収容されている容器と、マイクロ波照射によって発熱する発熱部を有する基材と前記基材の裏面に設けられた粘着剤層とを有する粘着ラベルと、を有し、前記粘着ラベルが、前記粘着剤層を介して前記シート蓋の表面に貼り付けられているマイクロ波処理用包装体であって、前記粘着ラベルの基材が、前記発熱部と、前記マイクロ波照射によって実質的に発熱しない非発熱部と、を有し、前記粘着剤層の、温度60℃におけるシート蓋に対する接着強度が、5N/25mm以上である。
【0008】
本発明の好ましいマイクロ波処理用包装体は、前記容器本体には、前記開口部を取り囲むフランジ部が形成されており、前記シート蓋が、前記フランジ部に接合されており、
前記粘着ラベルの発熱部の一部又は全部が前記フランジ部とシール蓋の接合部分に重なり且つ前記粘着ラベルの非発熱部の一部又は全部が前記開口部に重なるように、前記粘着ラベルが前記粘着剤層を介して前記シート蓋に貼り付けられている。
本発明の好ましいマイクロ波処理用包装体は、前記発熱部が、非金属剤を含み、前記発熱部の、周波数2.45GHzにおける複素比誘電率の虚数部が350以上である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマイクロ波処理用包装体は、マイクロ波処理時に、粘着ラベルがシート蓋から剥がれ難く、蒸気を外部へ良好に逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るマイクロ波処理用包装体の平面図。
図2図1のII-II線で切断した断面図。
図3図2の要部拡大断面図。
図4】容器本体とシート蓋の分解斜視図。
図5】ラベルの平面図。
図6図5のVI-VI線で切断した断面図。
図7】マイクロ波処理したときの包装体の状態を示す断面図。
図8】第2実施形態に係るマイクロ波処理用包装体の平面図。
図9図8のIX-IX線で切断した断面図。
図10】第3実施形態に係るマイクロ波処理用包装体の平面図。
図11】第4実施形態に係る粘着ラベルの断面図。
図12】実施例で作製したマイクロ波処理用包装体の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
また、本明細書において、シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものと同義である。
各図における各構成要素の厚み及び長さ並びにそれら構成要素の相対的な比率などは、実際のものと異なっていることに留意されたい。
【0012】
[第1実施形態]
<マイクロ波処理用包装体の概要>
図1は、第1実施形態のマイクロ波処理用包装体1の平面図であり、図2は、その断面図であり、図3は、図2のうち粘着ラベルが貼り付けられている箇所を部分的に拡大した拡大断面図である。
図1乃至図3において、本発明のマイクロ波処理用包装体1は、内容物4が封入されている収容空間を有する容器2と、マイクロ波照射によって発熱する発熱部3Aとマイクロ波照射によって実質的に発熱しない非発熱部3Bとを有する粘着ラベル3と、を有する。
容器2は、開口部を有する凹状の容器本体21と、前記容器本体21の開口部を密封状に塞ぐシート蓋22と、を有する。容器本体21とシート蓋22の間に、内容物4を収容する収容空間23が形成されている。
粘着ラベル3は、粘着剤層32を介してシート蓋22の表面に貼り付けられている。
本発明では、前記粘着剤層32の、温度60℃におけるシート蓋に対する接着強度が、5N/25mm以上であることを特徴とする。また、前記粘着剤層32の、温度25℃におけるシート蓋に対する接着強度が、5N/25mm以上であり、好ましくは、7N/25mm以上であり、より好ましくは、9N/25mm以上であり、さらに好ましくは、10N/25mm以上である。
以下、容器2及び粘着ラベル3について説明した後、マイクロ波処理用包装体1の詳細を説明する。
【0013】
<容器>
図4は、容器本体21とシート蓋22の斜視図(容器本体21とシート蓋22に分解した、容器2の斜視図)である。
図1乃至図4を参照して、容器2は、容器本体21と、シート蓋22と、を有する。
容器本体21は、内容物4を入れる収容空間23を形成するために、凹状の立体形状を有する。
具体的には、容器本体21は、底面部211と、その底面部211の周縁全体から上方に立ち上げられた筒状の側壁面部212と、側壁面部212の端部から外側に延出されたフランジ部213と、を有する。容器本体21は、底面部211を載置面などの上に置いて自立可能である。
容器本体21の開口部24は、フランジ部213(側壁面部212の端部)によって画成されている空間である。換言すると、フランジ部213(側壁面部212の端部)は、容器本体21の開口部24を取り囲んでいる。
【0014】
前記側壁面部212は、平面視略円形状に形成され、これに対応して、フランジ部213は、平面視略円リング状に形成されている。
なお、側壁面部212(容器本体21)の平面視形状は、前述の略円形状に限られず、例えば、略長方形状、略正方形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状、略楕円形状、その他の異形状などに形成されていてもよい。本明細書において、平面視形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。略長方形や略正方形などの略多角形の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、略円形及び略楕円形の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
【0015】
側壁面部212は、直胴状でもよいが、図示例では、開口部24に向かうに従って(換言すると、底面部211から離れるに従って)内径が大きくなったすり鉢状に形成されている。
フランジ部213の幅213Wは、特に限定されないが、余りに小さいとシート蓋22を良好に接合することができないおそれがあることから、例えば、3mm以上であり、好ましくは5mm以上である。フランジ部213の幅213Wの好ましい上限は特にないが、現実的には、概ね20mm以下である。
【0016】
容器本体21の材質は、特に限定されず、合成樹脂、発泡樹脂、防水処理された厚紙、ガラス、陶器などが挙げられる。一般的には、非発泡の合成樹脂製又は発泡樹脂製の容器本体21が用いられる。前記合成樹脂又は発泡樹脂の種類は、特に限定されず、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル系樹脂などが挙げられる。
後述するように、シート蓋22を熱シールにて容器本体21に接合する場合には、少なくとも表面にシーラント層が設けられた容器本体21が用いられる。シーラント層としては、代表的には、低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂が挙げられる。なお、前記容器本体21の表面は、シート蓋22と接合する側の面をいう。
前記非発泡の合成樹脂製又は発泡樹脂製の容器本体21は、通常、成形品から構成される。成形品としては、射出成形品、シート成形品、真空成形品などが挙げられる。
容器本体21は、後述するシート蓋22よりも剛性に優れており、マイクロ波処理時の内圧上昇によって変形し難い。
【0017】
シート蓋22は、容器本体21の開口部24を閉塞する。シート蓋22の平面視形状は、容器本体21の平面視形状と略同じに形成されている。例えば、フランジ部213を有する容器本体21に用いるシート蓋22は、フランジ部213の外形と略同じ平面視形状に形成されている。
なお、シート蓋22には、必要に応じて、摘まみ部221が延設されていてもよい。摘まみ部221を有するシート蓋22は、容器本体21に接合したときに、摘まみ部221がフランジ部213の外側に突出するようになる。
【0018】
シート蓋22の材質は、柔軟性を有していれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。シート蓋22としては、例えば、合成樹脂シート、2種以上のシートの積層体(例えば、2種以上の合成樹脂シートが一体的に積層された積層体、或いは、合成樹脂シートと紙が一体的に積層された積層体など)、前記合成樹脂シート又は積層体にガスバリア層及び/又は光バリア層が一体的に積層された積層体などを用いることができる。
熱シールによって容器本体21に接合できることから、少なくとも裏面にシーラント層を有するシート蓋22を用いることが好ましい。例えば、シート蓋22は、裏面層/中間層/表面層を有する積層体からなり、前記裏面層としてシーラント層が用いられる。前記表面層としては、耐熱性に優れた層(例えば、ポリエステル系樹脂層やポリアミド系樹脂などの耐熱性樹脂層、或いは、紙、或いは、金属蒸着膜を含む金属箔など)が用いられる。前記中間層としては、合成樹脂層、或いは、ガスバリア層及び/又は光バリア層などが用いられる。
なお、シート蓋22の裏面は、容器本体21と接合する側の面をいう。
シート蓋22の厚みは、特に限定されず、例えば、30μm~300μmである。
シート蓋22には、必要に応じて、デザイン印刷層(図示せず)が設けられる。本明細書において、デザイン印刷層は、カラーインキを印刷することによって、商品名、絵柄、説明書などの所望の表示(デザイン)が表された層をいう。シート蓋22にデザイン印刷層を設ける場合、デザイン印刷層は、そのデザインがシート蓋22の表面側から視認できるように設けられる。
【0019】
前記シート蓋22は、容器本体21のフランジ部213に隙間無く接合されている。以下、シート蓋22と容器本体21の接合部分6を「接合部6」という。
接合部6を判りやすく表すために、図1において、接合部6に無数のトッドを付している(図8及び図10も同様)。
接合部6は、開口部24をシート蓋22にて密封状に塞ぐために、平面視で環状に形成されていればよい。接合部6は、フランジ部213の表面全面に亘って設けられていてもよく(この場合、シート蓋22は、フランジ部213と対面している部分全体においてフランジ部213と接合される)、或いは、フランジ部213の幅方向の一部分に設けられていてもよい。
図示例では、接合部6は、平面視環状で且つ略円形状(平面視略円形環状)に形成されている。なお、接合部6の平面視形状は、フランジ部213の平面視形状に従った形状であるため、フランジ部213の平面視形状が略円形状以外の場合には、接合部6もそれに従って略円形状以外となる。
【0020】
また、接合部6は、フランジ部213の幅方向の一部分に設けられている。詳しくは、図3に示すように、接合部6の外縁6aは、フランジ部213の外縁よりも少し内側に位置している。接合部6の内縁6bは、フランジ部213の内縁(側壁面部212の端部)よりも少し外側に位置している。従って、接合部6の幅6Wは、フランジ部213の幅よりも小さい。
接合部6の幅6Wは、特に限定されないが、余りに小さいとシート蓋22の一部分が容器本体21から不用意に剥がれるおそれあり、余りに大きいとシート蓋22を引き剥がすことが困難となる。かかる観点から、接合部6の幅6Wは、例えば、1mm~10mmであり、好ましくは、2mm~5mmである。
なお、特に図示しないが、接合部6の外縁6aがフランジ部213の外縁と略一致していてもよく、或いは、接合部6の内縁6bがフランジ部213の内縁と略一致していてもよい。少なくとも接合部6の外縁6aがフランジ部213の外縁よりも内側に位置していることにより、シート蓋22を容器本体21から引き剥がし易くなるので好ましい。
【0021】
シート蓋22と容器本体21の接合方法(接合部6の形成方法)は、特に限定されないが、代表的には、接着剤を用いた接合、或いは、熱シールによる接合が挙げられる。簡易に接合できることから、シート蓋22は、熱シールによって容器本体21(フランジ部213)に接合されていることが好ましい。
なお、図2及び図3の包装体1の断面図では、シート蓋22と容器本体21を接合した部分(接合部6)を判りやすくするために、接合部6に厚みを付けて表している。接着剤を用いて接合した場合にはシート蓋22の裏面と容器本体21のフランジ部213の表面の間に接着剤が介在するが、熱シールにて接合した場合には、シート蓋22の裏面と容器本体21のフランジ部213の表面が直接的に接合される。従って、熱シールにて接合した場合には、図2などの断面図で示す厚みは生じないが、前述の理由から、熱シールの場合にも接合部6に厚みを付けて表していることに留意されたい(以下、第2実施形態などの包装体の断面図も同様)。
【0022】
<内容物>
内容物4は、電子レンジのマイクロ波によって昇温しつつ蒸気を生じるものであれば特に限定されず、代表的には、食品が挙げられるが、非食品であってもよい。
食品としては、特に限定されず、固形状食品、半固形状食品、液状食品などが挙げられる。固形状食品としては、米飯、肉類、パン類、冷凍品などが挙げられ、半固形状食品としては、グラタン、カレーなどが挙げられ、液状食品としては、スープ、お茶などが挙げられる。
【0023】
<粘着ラベル>
図5は、粘着ラベル3の平面図であり、図6は、その断面図である。
図1乃至図3図5及び図6を参照して、粘着ラベル3は、発熱部3Aを有する基材31と、前記基材31の裏面に積層された粘着剤層32と、を有する。
前記基材31(粘着ラベル3)の平面視形状は、特に限定されず、例えば、平面視略長方形状(又は略正方形状)である。なお、特に図示しないが、基材31(粘着ラベル3)の平面視形状は、略三角形状、略六角形状などの略多角形状、略円形状、略楕円形状、その他の異形状でもよい。
前記基材31は、柔軟性を有していれば特に限定されないが、マイクロ波処理時の熱により実質的に変形しないシートが好ましい。基材31が変形すると、マイクロ波処理時に粘着ラベル3がシート蓋22から剥がれるおそれがある。例えば、基材31は、60℃~80℃の環境下に30秒間曝されても実質的に変形しないシートを用いることが好ましい。本明細書において、熱により実質的に変形しないシートは、マイクロ波処理時の熱が加わることによって変形しない又は変形してもその変形量が本発明の属する技術分野において許容される誤差範囲であるものをいう。
【0024】
前記実質的に変形しないシートとしては、紙、合成紙、熱収縮性を有さない合成樹脂シート、不織布及び発泡樹脂シート、並びにこれらの積層シートが挙げられ、好ましくは、熱収縮性を有さない合成樹脂シート又はこれを含む積層シートであり、より好ましくは、合成樹脂シートである。前記合成樹脂シートの材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレンやスチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。前記合成樹脂シートは、1つの層で構成されていてもよく、又、異種若しくは同種の異なる複数の層から構成されていてもよい。また、粘着ラベル3の基材31そのものは、マイクロ波を受けても発熱及び/又はスパークしないシートを用いることが好ましい。
基材31は、透明又は不透明のいずれでもよい。
基材31の厚みは、特に限定されず、例えば、20μm~120μmである。
【0025】
基材31には、発熱部3Aと非発熱部3Bが設けられている。発熱部3Aは、マイクロ波照射によって発熱する部分である。非発熱部3Bは、マイクロ波照射によって実質的に発熱しない部分である。なお、実質的に発熱しないとは、マイクロ波照射時にその部分が発熱しないこと又は発熱してもその発熱温度(昇温)が+10℃以下(好ましくは+5℃以下)であることをいう。
1つの実施形態では、発熱部3A及び非発熱部3Bを有する基材31として、マイクロ波吸収剤を含有した形成材料を用いて形成されたシート材と、マイクロ波吸収剤を含まない形成材料を用いて形成されたシート材とを面方向に連結したものを用いることができる。
もう1つの実施形態では、発熱部3A及び非発熱部3Bを有する基材31として、基材の表面及び/又は裏面の一部分に、マイクロ波吸収剤を含む発熱性層33を積層したものを用いることができる。この場合、基材のうち発熱性層33が積層された領域が発熱部3Aとなり、基材のうち前記発熱性層33が積層されていない領域が非発熱部3Bとなる。
【0026】
発熱部3Aは、マイクロ波吸収剤を含む。
基材31(粘着ラベル3)の所望の箇所に発熱部3Aを形成できることから、マイクロ波吸収剤を含む発熱性層33を積層することが好ましい。
図示例では、基材31の一部分に発熱性層33を形成した粘着ラベル3を表している。
発熱性層33は、基材31の表面の一部分、或いは、基材31の裏面の一部分、或いは、基材31の表面の一部分及び基材31の裏面の一部分に設けられる。基材31の一部分に発熱性層33を設けることにより、基材31の残部が非発熱部3Bとなる。
図示例では、基材31の表面の一部分に発熱性層33を形成した粘着ラベル3を表している。例えば、基材31の略半分程度に、発熱性層33が形成されている。この場合の粘着ラベル3は、略半分程度が発熱部3Aであり、残部が非発熱部3Bである。
図1及び図5に示す粘着ラベル3において、発熱部3Aに網掛けを付し、非発熱部3Bを無地としている。
【0027】
発熱性層33は、実質的にマイクロ波吸収剤のみから構成され、或いは、マイクロ波吸収剤及びバインダー樹脂を含む樹脂層から構成される。
前記マイクロ波吸収剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、黒鉛、アルミペースト、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄などが挙げられる。
マイクロ波吸収剤は、上述のカーボンブラック、黒鉛などの非金属剤のみから構成されていてもよく、或いは、上述のアルミペースト、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄などの金属含有剤のみから構成されていてもよく、或いは、非金属剤と金属含有剤の混合物であってもよい。マイクロ波処理時にスパーク音を生じ難いことから、マイクロ波吸収剤は、その全体を100重量%としたときに50重量%以上が非金属剤であることが好ましく、さらに、80重量%以上が非金属剤であることがより好ましい。
また、マイクロ波処理時に速やかに蒸通口を生じさせることができることから、前記発熱部3A(例えば発熱性層33)は、周波数2.45GHzにおける複素比誘電率の虚数部が350以上であることが好ましい。
前記複素比誘電率の虚数部は、一般的に、誘電損失といわれることもある。
前記複素比誘電率の虚数部は、標準状態下(23℃、1atm、相対湿度50%)、周波数2.45GHzで発熱部3Aを測定した値をいう。複素比誘電率の虚数部の測定方法は、特開2019-172351の実施例に記載の測定方法を参照するものとする。
【0028】
前記実質的にマイクロ波吸収剤のみから構成される発熱部3A(発熱性層33)としては、金属蒸着膜を含む金属箔などを用いることができる。
前記マイクロ波吸収剤及びバインダー樹脂を含む樹脂層は、例えば、マイクロ波吸収剤及びバインダー樹脂を含むインキによって形成できる。
基材31の所望の箇所に簡単に発熱性層33(発熱部3A)を形成できることから、発熱性層33は、マイクロ波吸収剤及びバインダー樹脂を含むインキによって形成されていることが好ましい。
前記バインダー樹脂は、インキの固化性能に従って分類すると、乾燥型、紫外線硬化型などの光重合型などが挙げられる。乾燥型のバインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ニトロセルロースやセルロース・アセテート・ブチレートなどのセルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。光重合型のバインダー樹脂としては、アクリレート系などの光重合性樹脂と重合開始剤などが挙げられる。
前記マイクロ波吸収剤及びバインダー樹脂を含む発熱性層33におけるマイクロ波吸収剤の量は、例えば、バインダー樹脂100重量部に対して、2重量部~30重量部であり、好ましくは、5重量部~30重量部である。
前記発熱性層33の厚みは、例えば、0.5μm~5μmである。
【0029】
図1乃至図3図5及び図6に戻って、基材31のうち非発熱部3Bには、必要に応じて、デザイン印刷層34が設けられている。基材31(粘着ラベル3)に設けられるデザイン印刷層34も、そのデザインが粘着ラベル3の表面側から視認できるように設けられる。また、必要に応じて、発熱部3Aにもデザイン印刷層34が設けられていてもよい。
なお、特に図示しないが、前記発熱性層33(発熱部3A)の表面や前記デザイン印刷層34の表面に、保護層が設けられていてもよい。保護層は、例えば、オーバーコートニスなどを前記表面に塗布することによって形成できる。
【0030】
前記基材31の裏面には、粘着剤層32が設けられている。粘着剤層32は、粘着剤層32をシート蓋22の表面に貼り付けるために設けられる。
マイクロ波処理時に粘着ラベル3がシート蓋22から剥がれ難くするために、粘着剤層32は、基材31の裏面全体に亘ってベタ状に設けられていることが好ましい。ベタ状とは、粘着剤が面方向に延在して1つの連続した層を成していることをいう。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、基材31の裏面の少しの部分に、粘着剤層32を有さない箇所が存在していてもよい。
粘着剤層32の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm~30μmである。
【0031】
粘着剤層32は、温度60℃におけるシート蓋の表面に対する接着強度が5N/25mm以上のものが用いられる。さらに、粘着剤層32は、25℃(常温)におけるシート蓋の表面に対する接着強度が5N/25mm以上のものが用いられる。好ましくは、粘着剤層32は、温度80℃におけるシート蓋の表面に対する接着強度が3N/25mm以上のものが用いられる。
前記60℃における接着強度は、温度を60℃とした条件下、剥離角度90度で試験片の端部をフォースゲージで引き上げることによって試験片を被着体から剥離するという剥離試験によって測定される。前記25℃及び80℃における接着強度は、温度を25℃とした条件下で及び温度を80℃とした条件下で、前記と同様にして測定される。接着強度の具体的な測定方法は、実施例を参照するものとする。
【0032】
25℃における接着強度及び60℃における接着強度がいずれも5N/25mm以上の粘着剤層32は、この間の全ての温度における接着強度(25℃~60℃の全ての温度における接着強度)も5N/25mm以上である。
粘着ラベル3の60℃の接着強度を基準とした理由は、マイクロ波処理時の蒸通前において、粘着ラベルが60℃前後まで昇温することが実験的に確認されていたからである。
60℃における接着強度が5N/25mm以上であれば、マイクロ波処理時にシート蓋22が変形(膨らむなど)しても、粘着ラベル3がシート蓋22から剥がれ難くなる。また、25℃(常温)における接着強度が5N/25mm以上であれば、包装体の保管・運搬時に、粘着ラベル3がシート蓋22から自然に剥がれ難くなる。また、蒸通後(蒸通口が生じた後)もマイクロ波処理を継続することにより、シート蓋が80℃前後まで昇温する場合があるが、80℃における接着強度が3N/25mm以上であれば、蒸通後(蒸通口が生じた後)に粘着ラベル3がシート蓋22が剥がれて脱落することを防止できる。
【0033】
粘着剤層32の、温度60℃における接着強度は、大きいほど好ましく、例えば、7N/25mm以上が好ましく、8N/25mm以上がより好ましく、10N/25mm以上がさらに好ましい。粘着剤層32の、温度60℃における接着強度の上限は、特にないが、現実的な数値では、例えば、50N/25mm以下である。
粘着剤層32の、温度25℃における接着強度は、大きいほど好ましく、例えば、7N/25mm以上が好ましく、9N/25mm以上がより好ましく、10N/25mm以上がさらに好ましく、12N/25mm以上が特に好ましい。粘着剤層32の、温度25℃におけるシート蓋22の表面に対する接着強度の上限は、特にないが、現実的な数値では、例えば、50N/25mm以下である。
【0034】
前記粘着剤層32は、粘着剤を基材31の裏面に積層することによって設けられる。粘着剤は、特に限定されず、一般的には、感圧型粘着剤が用いられる。
粘着剤の種類は、粘着剤層32の接着強度が前記範囲になるものを適宜選択すればよい。
【0035】
<マイクロ波処理用包装体及びその使用>
内容物4が封入された容器2のシート蓋22の表面に、粘着剤層32を介して粘着ラベル3を貼り付けることによって、図1乃至図3に示すマイクロ波処理用包装体1を得ることができる。
粘着ラベル3は、シート蓋22の表面のいずれの箇所に貼り付けてもよいが、好ましくは、粘着ラベル3は、シート蓋22と容器本体21の接合部6に重なるように貼り付けられる。この場合、粘着ラベル3の発熱部3Aの一部又は全部が前記接合部6に重なり、粘着ラベル3の非発熱部3Bの一部又は全部が容器本体21の開口部24(概念的には、接合部6以外の領域)に重なるように、粘着ラベル3が貼り付けられていることが好ましい。
図示例では、粘着ラベル3は、容器本体21のフランジ部213から開口部24に跨がるようにして貼り付けられている。上述のように、フランジ部213に接合部6が形成されているので、前記粘着ラベル3は、フランジ部213から開口部24に跨がっている。粘着ラベル3の発熱部3Aの一部は接合部6に重なり且つ発熱部3Aの残部と非発熱部3Bの全部は開口部24に重なっている。従って、非発熱部3Bは、(接合部6に重ならず)開口部24のみに重なっており、このような貼り付け方が好ましい。
また、シート蓋22の摘まみ部221との位置関係では、粘着ラベル3は、摘まみ部221の側方に貼り付けられている。
【0036】
本発明のマイクロ波処理用包装体1は、マイクロ波処理に供される。
マイクロ波を照射すると、内容物4が昇温し且つ蒸気が生じ始めると共に容器2の内圧が上昇し、粘着ラベル3の発熱部3Aが発熱する。
接合部6のうち前記粘着ラベル3が重なっている部分が、前記発熱部3Aの熱によって脆弱化又は溶融する。粘着ラベル3が重なっている接合部6の一部分が脆弱化又は溶融することにより、図7に示すように、シート蓋22とフランジ部213の間に蒸通口9が生じる。同図の矢印に示すように、収容空間23に生じた蒸気が前記蒸通口9から外部に排出されることにより、容器2の内圧が非常に高くなることを防止できる。
【0037】
本発明の粘着ラベル3は、60℃での接着強度が5N/25mm以上であるので、蒸通前に粘着ラベル3がシート蓋22から剥がれることを防止できる。詳しくは、本発明者らの研究によれば、マイクロ波処理の蒸通前には、粘着ラベル3の粘着剤層32は、60℃程度まで昇温することが判っている。また、5N/25mm以上の接着強度を有していれば、シート蓋22が変形しても、粘着剤層32がシート蓋22から浮き上がり難い。このため、60℃での接着強度が5N/25mm以上で、粘着ラベル3をシート蓋22に貼り付けた本発明のマイクロ波処理用包装体1は、蒸通前に粘着ラベル3がシート蓋22から自然に剥がれ難くなる。マイクロ波処理時に粘着ラベル3がシート蓋22に貼り付いたままなので、発熱部3Aの熱を、シート蓋22を介して接合部6に付加することができ、前記蒸通口9を生じさせることができる。
【0038】
特に、粘着ラベル3が、フランジ部213から開口部24に跨がるような状態で貼り付けられていると、粘着ラベル3のうち開口部24に重なっている部分が、シート蓋22の膨張に追従して傾斜状に折れ曲がる(図7参照)。このように粘着ラベル3の一部分が傾斜状に折れ曲がると、その部分がシート蓋22から浮き上がり易くなるが、60℃での接着強度が5N/25mm以上の粘着ラベル3であれば、蒸通前に前記浮き上がりを防止できる。
また、粘着ラベル3のうち開口部24に重なっている部分は、非発熱部3Bであるため、その部分の粘着剤層32が高温になり難く、蒸通後(蒸通口が生じた後)、その部分がシート蓋22から浮き上がることを効果的に防止できる。特に、80℃における接着強度が3N/25mm以上であれば、蒸通後にマイクロ波処理を継続していても、粘着ラベル3がシート蓋22から剥がれて脱落することを防止できる。
【0039】
マイクロ波処理を完了後、摘まみ部221を摘まんでシート蓋22を容器本体21から引き剥がすことにより、容器本体21の開口部24から内容物4を取り出すことができる。
上述のように摘まみ部221の側方に粘着ラベル3が貼り付けられていると、摘まみ部221の側方において前記蒸通口9が生じる。かかる蒸通口9がシート蓋22を容器本体21のフランジ部213から引き剥がす切っ掛けとなるので、摘まみ部221を摘まんでシート蓋22を容易に引き剥がすことができる。
【0040】
本発明は、上記第1実施形態に限られず、様々に変更することができる。
以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記第1実施形態と同様の構成及び効果は、(その説明をしたものとして)説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する。
【0041】
[第2実施形態]
本実施形態のマイクロ波処理用包装体1は、接合部6が平面視で角部を有する環状であり、その接合部6の角部を含んで粘着ラベル3が貼り付けられている。
図8及び図9を参照して、マイクロ波処理用包装体1は、容器本体21と容器本体21に接合部6を介して接合されたシート蓋22とを有する容器2と、発熱部3A及び非発熱部3Bを有する粘着ラベル3と、を有し、容器2内には、内容物4(図示せず)が封入されている。
容器本体21は、少なくとも1つの角部を有する平面視形状に形成されている。図示例では、容器本体21は、平面視略長方形状に形成されているが、略正方形状、略三角形状、略六角形状などの略多角形状などに形成されていてもよい。
容器本体21にはフランジ部213が形成されており、収容空間23に内容物4を入れた状態で、シート蓋22がフランジ部213に接合されている点は、上記第1実施形態と同様である。従って、容器本体21とシート蓋22のフランジ部213の間の接合部6は、フランジ部213の平面視形状に従い、例えば、平面視略長方形環状に形成されている。かかる接合部6は、平面視で、少なくとも1つの角部を有する環状である。
【0042】
粘着ラベル3は、例えば、平面視略正方形状又は略長方形状に形成されている。粘着ラベル3は、上記第1実施形態と同様に、発熱部3Aと非発熱部3Bを有する。例えば、基材31の対角線を基準にして略半分に発熱性層33を設けることによって発熱部3Aとされ、もう略半分には発熱性層33を設けないことによって非発熱部3Bとされている。
本実施形態では、前記粘着ラベル3は、接合部6の1つの角部63に重なるようにシート蓋22の表面に貼り付けられている。
具体的には、接合部6の1つの角部63は、接合部6の第1辺部61と第2辺部62の交差部分である。粘着ラベル3は、接合部6の前記第1辺部61、角部63及び第2辺部62に重なり、且つ、容器本体21のフランジ部213から開口部24に跨がるようにして、シート蓋22の表面に貼り付けられている。また、発熱部3Aと非発熱部3Bの関係では、粘着ラベル3の発熱部3Aが少なくとも前記第1辺部61、角部63及び第2辺部62に重なり、非発熱部3Bの大部分が前記開口部24に重なるように、粘着ラベル3はシート蓋22に貼り付けられている。
【0043】
本実施形態のマイクロ波処理用包装体1も、マイクロ波処理時に粘着ラベル3が浮き上がり難いことは上記第1実施形態と同様である。
本実施形態のように発熱部3Aの角部63を含んで粘着ラベル3を貼り付けることにより、マイクロ波処理時に、発熱部3Aの2箇所(第1辺部61及び第2辺部62)が脆弱化又は溶融し、2箇所の蒸通口9を生じるようになる。2箇所の蒸通口9が生じると、蒸気を速やかに排出できるので好ましい。
また、1つの角部を有する平面視形状の容器にあっては、その角部に蒸気による内圧が強く作用するので、その63を含んで粘着ラベル3を貼り付けることにより、蒸通口9が速やかに生じるようになる。
【0044】
[第3実施形態]
本実施形態のマイクロ波処理用包装体1は、粘着ラベル3が、開口部24のみに重なってシート蓋22に貼り付けられている。
上記各実施形態では、粘着ラベル3は、少なくとも接合部6に重なってシート蓋22に貼り付けられているが、例えば、図10に示すように、粘着ラベル3が、開口部24のみに重なって貼り付けられてもよい。
本実施形態のマイクロ波処理用包装体1は、マイクロ波処理時に、発熱部3Aの熱によって、開口部24を塞いでいるシート蓋22の一部分が溶融し、蒸通口9を生じるようになる。好ましくは、粘着ラベル3の面内であって発熱部3Aに、切り目8を形成しておくと、切り目8の周辺がより高温となるので、前記シート蓋22の一部分が溶融し易くなる。
本実施形態のマイクロ波処理用包装体1も、蒸通前に粘着ラベル3が浮き上がり難いので、シート蓋22に対して発熱部3Aの熱を効果的に付加できる。
【0045】
[第4実施形態]
上記各実施形態では、基材31の表面に発熱性層33が設けられた粘着ラベル3を図示したが、例えば、図11に示すように、基材31の裏面に発熱性層33が設けられた粘着ラベル3を用いてもよい。
なお、図11では、デザイン印刷層34が設けられているが、上述のように、デザイン印刷層34は、必ずしも設けられていなくてもよい。
さらに、上記各実施形態から選ばれる2つ以上の構成を適宜組み合わせてもよく、或いは、上記様々な実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換してもよい。
【実施例0046】
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるわけではない。
【0047】
[粘着剤(A)]
粘着剤(A)(溶剤系アクリル粘着剤)を、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の裏面に、前記粘着剤(A)を厚み約20μmでベタ状に積層した。このPETフィルム/粘着剤層(A)からなる粘着ラベルを、幅25mm×長さ160mmの長方形状に裁断することにより、試験片を作製した。
この試験片を、粘着剤層(A)を介して、試験用被着体(厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の平滑な表面に貼り付けた後、試験片の表面に2kgfのローラを2往復させることにより、試験片を前記被着体にしっかりと貼り付けた。ローラにて押圧後、直ちに25℃の恒温室内に入れて24時間保管した。その後、恒温室から取り出した試験片をホットプレート上に載せて保温し、その試験片が25℃(非接触温度計にて計測)となった時点で、試験片の一端部にフォースゲージ(株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージ、モデル:DPS-2R)のフックを接続し、剥離角度約90度で引き上げて、試験片を被着体から剥離し、その剥離中におけるフォースケージの強度(N/25mm)の最大値を読み取った。なお、測定は、3回行い、その平均値を採用した。
恒温室から取り出した試験片をホットプレート上に載せて保温し、その試験片が50℃となった時点で試験片を90度剥離したこと以外は、上記と同様にして、粘着剤(A)の、50℃での接着強度を測定した。同様に、恒温室から取り出した試験片をホットプレート上に載せて保温し、その試験片が60℃となった時点で試験片を90度剥離したこと以外は、上記と同様にして、粘着剤(A)の、60℃での接着強度を測定した。同様に、恒温室から取り出した試験片をホットプレート上に載せて保温し、その試験片が80℃となった時点で試験片を90度剥離したこと以外は、上記と同様にして、粘着剤(A)の、80℃での接着強度を測定した。
粘着剤(A)の25℃、50℃、60℃及び80℃の接着強度を表1に示す。
【0048】
[粘着剤(B)乃至(E)]
粘着剤(B):溶剤系アクリル粘着剤(粘着剤(A)とは異なる粘着剤)。
粘着剤(C):ホットメルト型ゴム系粘着剤。
粘着剤(D):エマルジョン型アクリル粘着剤。
粘着剤(E):溶剤系アクリル粘着剤(粘着剤(A)及び(B)とは異なる粘着剤)。
粘着剤(B)乃至(E)についても、それぞれ、粘着剤(A)と同様にして、25℃での接着強度、50℃での接着強度、60℃での接着強度及び80℃での接着強度をそれぞれ測定した。それらの結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
[実施例1]
<容器の準備>
容器本体は、幅約10mmのフランジ部を有する平面視略円形状の樹脂製成形容器(層構成:内側から順に、12μmのポリエチレンテレフタレート/15μmのナイロン/30μmのポリプロピレン)を用いた。
シート蓋は、厚み30μmの低密度ポリエチレン層/厚み12μmのポリエステル層からなる2層積層体シートを用いた。
容器本体内に、食品を入れ、容器のフランジ部に、シート蓋の低密度ポリエチレン層を熱シールにて接合した。接合部の幅は、約5mmとした。
このようにして内容物が封入された容器を準備した。
【0051】
<粘着ラベルの準備>
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面の半分程度の領域に、導電性カーボンを含むインキを厚み約2μmでベタ状に印刷することにより、前記フィルムに発熱性層を形成した。このフィルムの裏面に、粘着剤(A)を厚み約20μmでベタ状に積層した。このようにして、粘着剤層/フィルム(基材)/発熱性層(面積は1/2)からなる積層物を得た。この積層物を、発熱性層を有する部分が20mm×10mm、発熱性層を有さない部分が20mm×10mmとなるように、20mm×20mmの正方形に裁断することにより、粘着ラベルを準備した(図12参照)。
【0052】
<包装体の作製>
前記粘着ラベルの発熱部(発熱性層が形成された領域)が接合部に重なり且つ非発熱部(発熱性層が形成されていない領域)が開口部に重なるように、粘着ラベルを容器のシート蓋に貼り付けることにより、実施例1のマイクロ波処理用包装体を作製した(図12参照)。
【0053】
[実施例2及び3]
実施例1の粘着剤(A)に代えて、粘着剤(B)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のマイクロ波処理用包装体を作製した。
実施例3についても、実施例1の粘着剤(A)に代えて、粘着剤(C)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のマイクロ波処理用包装体を作製した。
【0054】
[比較例1及び2]
実施例1の粘着剤(A)に代えて、粘着剤(D)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のマイクロ波処理用包装体を作製した。
比較例2についても、実施例1の粘着剤(A)に代えて、粘着剤(E)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のマイクロ波処理用包装体を作製した。
【0055】
[マイクロ波処理]
実施例1乃至3並びに比較例1及び2の各包装体を、家庭用電子レンジに入れ、600Wで3分間マイクロ波を照射した後、粘着ラベルの状態を確認した。
その結果、粘着剤(A)乃至(C)を用いた実施例1乃至3の包装体は、良好に蒸気が排出されており、また、粘着ラベルの剥がれもみられなかった。
粘着剤(D)及び粘着剤(E)を用いた比較例1及び2の包装体は、蒸通しておらず、また、粘着ラベルの一部分がシート蓋から剥がれていた。
【符号の説明】
【0056】
1 マイクロ波処理用包装体
2 容器
21 容器本体
213 フランジ部
22 シート蓋
24 開口部
3 粘着ラベル
31 基材
32 粘着剤層
3A 発熱部
3B 非発熱部
4 内容物
6 接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12