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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144000
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】配車管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/137 20060101AFI20220926BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220926BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220926BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220926BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220926BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
G08G1/137
G08G1/09 F
G01C21/34
G06Q50/30
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044826
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】美濃島 祐佳
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 俊明
(72)【発明者】
【氏名】三岡 慈生
(72)【発明者】
【氏名】橋口 壮太
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA04
2F129AA05
2F129AA06
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD26
2F129DD27
2F129DD63
2F129DD64
2F129DD66
2F129EE02
2F129EE54
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE83
2F129EE84
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF49
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF67
2F129FF71
5H181AA06
5H181AA14
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF10
5H181FF11
5H181FF13
5H181FF17
5H181FF22
5H181MA08
5H181MA10
5H181MA12
5H181MA24
5H181MA26
5H181MA44
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】配車の自由度を高めること。
【解決手段】車両への乗車地点および乗車時刻を含む配車要求を複数の利用者から取得する配車要求取得部と、乗車地点に基づいて、既定の乗降地点の中から選択された乗車地点の間を移動する第1車両の配車地域を限定し、第1車両の配車地域以外の地域を、利用者自身が経路を選択可能な第2車両の配車地域とする配車地域決定部と、第1車両の配車地域内に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第1車両を割り当て、第2車両の配車地域に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第2車両を割り当てる車両割当部と、を備える構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗車地点および乗車時刻を含む配車要求を複数の利用者から取得する配車要求取得部と、
前記乗車地点に基づいて、既定の乗降地点の中から選択された前記乗車地点の間を移動する第1車両の配車地域を限定し、前記第1車両の配車地域以外の地域を、前記利用者自身が経路を選択可能な第2車両の配車地域とする配車地域決定部と、
前記第1車両の配車地域内に存在する前記乗車地点を含む前記配車要求を行った前記利用者に前記第1車両を割り当て、前記第2車両の配車地域に存在する前記乗車地点を含む前記配車要求を行った前記利用者に前記第2車両を割り当てる車両割当部と、
を備える配車管理システム。
【請求項2】
前記第1車両の配車地域の限定は、
配車される車両が確定済みの前記利用者の前記乗車地点に基づいて行われ、
前記車両割当部による車両の割り当てが行われる前記利用者は、
配車される車両が未確定の前記利用者であり、
配車される車両が確定済みの前記利用者の数が多い場合、少ない場合よりも前記第1車両の配車地域が狭くなる、
請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項3】
前記第1車両の配車地域は、
配車される車両が確定済みの前記利用者に前記第1車両によるサービスが提供され、さらに、配車される車両が未確定の前記利用者に前記第1車両によるサービスが提供された場合に、既定期間以内にサービスを提供可能な範囲となるように、限定される、
請求項1または請求項2に記載の配車管理システム。
【請求項4】
前記第1車両は、前記乗降地点間を移動する乗合車両であり、
前記第2車両は、前記利用者が運転するシニアカーである、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の配車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者からの配車要求に応じて配車を行うシステムが知られている。特許文献1には、利用者からの乗降地点及び希望乗車時刻を含むデマンドに基づいてバスの運行計画を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-244177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、車両の効率的な運行ができない場合があった。例えば、ある時間帯に特定の地域内を乗車地点とする利用者から多数の配車要求を受け付け、一方で、当該特定の地域から遠い地域から少数の配車要求を受け付けた場合を想定する。この場合、特定の地域内の要求とともに、遠い地域からの要求も満たそうとすると、少数の利用者のためだけに車両を長い距離移動させる必要が生じるため、車両の運行効率が悪くなる。
本発明は、前記課題に鑑みなされたもので、配車の自由度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
配車管理システムにおいて、車両への乗車地点および乗車時刻を含む配車要求を複数の利用者から取得する配車要求取得部と、乗車地点に基づいて、既定の乗降地点の中から選択された乗車地点の間を移動する第1車両の配車地域を限定し、第1車両の配車地域以外の地域を、利用者自身が経路を選択可能な第2車両の配車地域とする配車地域決定部と、第1車両の配車地域内に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第1車両を割り当て、第2車両の配車地域に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第2車両を割り当てる車両割当部と、を備える構成とすることができる。
【0006】
以上の配車管理システムによれば、利用者に対して第1車両を提供可能である一方で、一部の利用者には第1車両ではなく第2車両を割り当てることができる。従って、配車管理システムを利用すれば、配車の自由度を高めることが可能であり、多くの利用者の配車要求に応えるために、全ての利用者に対して第1車両を割り当てる必要がなくなる。このため、第1車両の割り当てまたは第2車両の割り当てを行うために、少なくとも一方の種類の車両において過度の負担が生じないようにすることができる。さらに、例えば、多数の利用者の乗車地点が比較的狭い地域に集まっており、少数の利用者の乗車地点が遠くに存在する場合に、少数の利用者に第1車両を無理に割り当てる必要はなくなる。この場合には少数の利用者に第2車両を配車すれば良く、このような配車によって第1車両の運行効率(1利用者あたりの走行距離)の低下を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】配車管理システムの構成を示す図である。
図2】配車管理処理を示すフローチャートである。
図3】配車地域の限定を説明するための図である。
図4】配車地域の限定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下記の順序に従って実施の形態について説明する。
(1)配車管理システムの構成:
(2)配車管理処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)配車管理システムの構成:
図1は、配車管理システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態において、配車管理システム10は、携帯端末100,オペレータ端末110,乗合車両200,配達車両300と協働する。携帯端末100は、配車管理システム10によって配車される車両を利用する利用者が使用する端末である。利用者は、複数存在し得るため、携帯端末100は複数台存在し得るが、図1においては、1台を例示している。
【0010】
オペレータ端末110は、利用者からの電話を受けるオペレータが使用する端末であり、オペレータは、利用者による配車要求を電話によって受け付ける。乗合車両200は、既定の乗降地点の中から選択された乗車地点の間を移動する第1車両であり、複数の利用者が同時に乗車可能なバスである。すなわち、利用者は、乗降地点で乗合車両200に乗車可能であり、乗合車両200から降車可能である。乗降地点は、予め決められており、乗合車両200は、これらの乗降地点の中で、利用者に要求された乗車地点を選択し、選択された乗車地点に行って利用者を乗車させ、利用者に要求された降車地点に行って利用者を降車させる。本実施形態において、乗合車両200は、利用者が乗降しない乗降地点には行かない。また、本実施形態において、乗合車両200によるサービス提供期間、すなわち、サービス提供開始時刻およびサービス提供終了時刻は予め決められている(例えば、9:00~17:00等)。なお、乗合車両200は、拠点を出発してサービスを提供し、最後に拠点に戻る。残業等の発生を除き、原則として、拠点を出発してから戻るまでの業務が、サービス提供期間内に提供されることが想定されている。
【0011】
配達車両300は、シニアカーを配達するための車両である。シニアカーは、利用者が運転する車両であり、乗車後の経路を利用者自身によって選択可能である。本実施形態において、シニアカーは一人乗りであり、乗合車両ではない。また、本実施形態において、シニアカーは、電動車両であり、歩道等を走行可能な車両である。なお、シニアカーにおいては、乗車地点が既定の乗降地点に限定されず、任意の地点で乗車、降車可能であってもよい。配達車両300は、複数のシニアカーを荷台に載せて運搬し、利用者の乗車地点まで届けて利用者にシニアカーを受け渡す。また、配達車両300は、利用者の降車地点(返却地点)でシニアカーを回収する。乗合車両200,配達車両300は、1台以上であって良いが、本実施形態においては、簡単のため、乗合車両200,配達車両300が1台で運用される例を説明する。
【0012】
本実施形態において、配車管理システム10と、携帯端末100,オペレータ端末110,乗合車両200,配達車両300とは、通信可能である。通信の態様は限定されず、有線通信であっても良いし、無線通信であっても良いし、双方が利用されてもよい。オペレータ端末110と通信する電話回線も同様であり、有線回線であっても良いし、無線回線であっても良いし、双方が利用されてもよい。
【0013】
配車管理システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30と通信部40とを備えている。通信部40は、外部の装置と無線通信を行うための装置である。制御部20は、通信部40を解して、携帯端末100,オペレータ端末110,乗合車両200,配達車両300と通信する。
【0014】
記録媒体30は、各種の情報を蓄積可能であり、本実施形態においては、予め地図情報30bが記録されている。また、配車管理システム10の運用過程で配車要求情報30a,配車情報30cが生成され、記録媒体30に記録される。配車要求情報30aは、利用者の配車要求の内容を示す情報であり、本実施形態においては、利用者の乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻を示す情報である。本実施形態において利用者には利用者の識別情報が対応づけられており、配車要求情報30aは、乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻を示す情報に対して、利用者の識別情報が対応づけられたデータである。本実施形態においては、利用者から乗車地点、降車地点を含む配車要求を受け付けた後に、配車される車両の種類(乗合車両200またはシニアカー)が特定される。すなわち、本実施形態においては、全ての利用者から、乗合車両200に乗車する場合の配車の希望が受け付けられる。このため、本実施形態においては、乗合車両200の乗降地点の中のいずれかを乗車地点および降車地点として指定した配車要求が受け付けられるが、シニアカーを指定した配車要求が行われる場合には、乗車地点、降車地点が乗合車両200の乗降地点と異なっていてもよい。
【0015】
地図情報30bは、乗合車両200のサービス提供範囲およびシニアカーの利用可能範囲の地図を少なくとも含むデータである。本実施形態において、地図情報30bは、道路区間の端点に対応するノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士を接続するリンクを示すリンクデータ等を含んでいる。ここで、ノードは、交差点に対応し、リンクは、交差点から交差点までの道路区間に対応する。
【0016】
本実施形態において,リンクデータには、リンクデータが示す道路区間を示す情報が対応づけられている。当該情報には、例えば、道路上での進行可能方向や、道路の属性(高速道路、一般道路、細街路等)、歩道の有無、車線の数、車線上での進行方向等の情報が含まれる。むろん、地図情報30bのフォーマットは、種々のフォーマットであって良い。
【0017】
本実施形態において、地図情報30bには、乗合車両200の乗降地点が記録されている。すなわち、地図情報30bには、複数の乗降地点の位置(座標)が記録されている。なお、乗降地点の位置には、当該位置が存在する道路区間を示すリンクデータが対応づけられていても良いし、道路の幅方向のどちら側に存在するのかを示す情報が対応づけられていても良い。
【0018】
配車情報30cは、利用者の配車要求に応じて配車することが確定した利用者(予約が確定した利用者)と、利用者に配車される車両の種類(乗合車両200またはシニアカー)と、を少なくとも示す情報である。本実施形態においては、これらの情報に加え、配車先となる利用者の乗車地点とその乗車時刻、利用者の目的地である降車地点とその降車時刻とが配車情報30cに含まれている。
【0019】
制御部20は、ROMや記録媒体30等に記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部20は、このプログラムの1つとして、配車管理プログラム21を実行することができる。配車管理プログラム21が実行されると、制御部20は、配車要求取得部21a,配車地域決定部21b,車両割当部21cとして機能する。
【0020】
配車要求取得部21aは、車両への乗車地点および乗車時刻を含む配車要求を複数の利用者から取得する機能を制御部20に実行させる。本実施形態において、配車要求には、降車地点および降車時刻も含まれている。具体的には、利用者は、携帯端末100を操作して、自身が希望する乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻を入力し、配車要求を行う。配車要求が行われると、乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻および利用者の識別情報が携帯端末100から送信される。制御部20は、通信部40を介して乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻および利用者の識別情報を取得し、配車要求情報30aとして記録媒体30に記録する。
【0021】
本実施形態においては、利用者は、電話によって口頭で、自身が希望する乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻をオペレータに伝達することで配車要求を行うこともできる。この場合、オペレータは、聞き取った配車要求の内容および利用者の識別情報をオペレータ端末110に入力する。入力が行われると、乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻および利用者の識別情報がオペレータ端末110から送信される。制御部20は、通信部40を介して乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻および利用者の識別情報を取得し、配車要求情報30aとして記録媒体30に記録する。
【0022】
配車地域決定部21bは、乗車地点に基づいて、既定の乗降地点の中から選択された乗車地点の間を移動する第1車両の配車地域を限定し、第1車両の配車地域以外の地域を、利用者自身が経路を選択可能な第2車両の配車地域とする機能を制御部20に実行させる。車両割当部21cは、第1車両の配車地域内に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第1車両を割り当て、第2車両の配車地域に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第2車両を割り当てる機能を制御部20に実行させる。なお、本実施形態において、利用者に対して車両が割り当てられると、割り当てられた車両が利用者に配車される。
【0023】
本実施形態において、制御部20は、配車地域決定部21bおよび車両割当部21cの機能により、配車要求情報30aが示す配車要求の内容と、地図情報30bが示す乗降地点と、に基づいて、利用者が配車要求を行った順に利用者に配車する車両の種類を決定する。なお、本実施形態においては、乗合車両200のサービス提供日のそれぞれについて、サービス提供の開始前の締め切り時刻(例えば、前日の既定時刻)までの配車要求が受け付けられる。制御部20は、締め切り時刻より後であり、かつ、サービス提供開始時刻前において、各サービス提供日についての配車を行う。
【0024】
制御部20は、新規の利用者に配車する車両の種類を決定するために、配車される車両が確定済みの利用者の乗車地点に基づいて、乗合車両200を配車する配車地域を限定する。具体的には、制御部20は、締め切り時刻までに取得された配車要求情報30aの中から、乗車時刻が早い順に利用者をソートし、最も乗車時刻が早い利用者を1人目とする。以後の乗車時刻の利用者は、乗車時刻が早い順に、2人目、3人目などと順序が付される。制御部20は、車両割当部21cの機能により、1人目の利用者の配車要求に基づいて、不備(乗車地点が乗降地点ではない、サービス提供期間外である等)がない限り、配車を行う。すなわち、制御部20は、1人目の予約を確定させる。本実施形態において、1人目の利用者に配車される車両は乗合車両200である。
【0025】
予約を確定させる際、制御部20は、車両割当部21cの機能により、1人目の利用者の配車要求内容(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)に乗合車両200を対応づけて配車情報30cに記録する。制御部20は、車両割当部21cの機能により、通信部40を制御し、利用者が乗合車両200に乗車できるようにするための情報として、当該配車情報30cを乗合車両200に対して送信する。乗合車両200の運転者は、当該配車情報30cに基づいて、乗車時刻に乗車地点まで利用者を迎えに行き、乗車させた後、降車時刻以前に降車地点で利用者を降ろすように運転する。このように、本実施形態において配車管理システム10は、利用者が乗合車両200に乗車できるようにするための情報を、乗合車両200に送信することによって配車を行う。
【0026】
2人目以降の利用者について、制御部20は、配車地域の限定を行いながら車両の種類を特定していく。この際、制御部20は、サービス提供期間内に乗合車両200でサービスを提供可能であるか否かを示す期間の目安に基づいて、乗合車両200の配車地域の一部を残すように限定していく。すなわち、制御部20は、配車される車両が確定済みの利用者に乗合車両200によるサービスが提供され、さらに、配車される車両が未確定の利用者に乗合車両200によるサービスが提供された場合に、既定期間以内にサービスを提供可能な範囲となるように、配車地域を限定する。既定期間は、種々の値とされて良いが、本実施形態においては、サービス提供終了時刻までの残り期間(以後、残稼働期間と呼ぶ)である。
【0027】
このような配車地域の限定を行うため、制御部20は、配車される車両が確定済みの利用者のそれぞれに対してサービスを提供するために必要な乗合車両200の移動期間に基づいて、配車される車両が確定済みの利用者にサービスを提供するために必要な期間を取得する。さらに、制御部20は、サービス提供期間から当該期間を減じて残った期間を、残稼働期間として取得する。そして、制御部20は、当該残稼働期間内で到達できる範囲を特定し、乗合車両200の配車地域と当該範囲とが重複する地域を、新たな配車地域とする。このように、乗合車両200の配車地域を限定していくことにより、乗合車両200による運行効率が過度に低下することを防止することができる。
【0028】
なお、配車地域の限定を行う際の詳細な処理は後述する。また、残稼働期間は、サービス提供期間内に乗合車両200でサービスを提供可能であるか否かを示す期間の目安であるため、厳密に正確でなくてもよい。従って、残稼働期間やサービスの提供に必要な移動期間等を算出する際には概算が利用されて良い。また、乗合車両200において、利用者を乗車または降車させる順番や、乗車地点、降車地点への到達順序の最適化を行うことで効率的な運行を行うことは可能であるが、本実施形態においては、乗合車両200の配車地域を限定する際に、当該到達順序の最適化は考慮されていない。むろん、乗合車両200の配車地域を限定する際に、当該到達順序が考慮されてもよい。
【0029】
以上のようにして乗合車両200の配車地域が限定されると、制御部20は、車両割当部21cの機能により、2人目以降の利用者の乗車地点に基づいて、当該利用者に配車する車両の種類を特定する。すなわち、2人目の利用者が存在し、2人目の乗車地点が乗合車両200の配車地域内である場合、制御部20は、当該利用者に対して乗合車両200を割り当てる。2人目の利用者の乗車地点が乗合車両200の配車地域内ではない場合、制御部20は、当該利用者に対してシニアカーを割り当てる。
【0030】
利用者に対して乗合車両200が対応づけられた場合、制御部20は、車両割当部21cの機能により、当該利用者の配車要求内容(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)に乗合車両200を対応づけて配車情報30cに追記する。また、制御部20は、車両割当部21cの機能により、通信部40を制御し、当該利用者が乗合車両200に乗車できるようにするための情報として、当該追記された配車情報30cを乗合車両200に対して送信する。乗合車両200の運転者は、当該配車情報30cに基づいて、乗車時刻に乗車地点まで利用者を迎えに行き、乗車させた後、降車時刻以前に降車地点で利用者を降ろすように運転する。
【0031】
利用者に対してシニアカーが対応づけられた場合、制御部20は、車両割当部21cの機能により、当該利用者の配車要求内容(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)にシニアカーを対応づけて配車情報30cに追記する。また、制御部20は、車両割当部21cの機能により、通信部40を制御し、当該利用者がシニアカーに乗車できるようにするための情報として、当該追記された配車情報30cを配達車両300に対して送信する。配達車両300の運転者は、当該配車情報30cに基づいて、シニアカーを運搬しながら、乗車時刻に乗車地点に到達できるように配達車両300を運転し、乗車地点にて利用者に受け渡す。また、配達車両300の運転者は、当該配車情報30cに基づいて、降車時刻以後に降車地点に到達できるように配達車両300を運転し、利用者からシニアカーを回収する。
【0032】
利用者に対して、乗合車両200、シニアカーのいずれが対応づけられたとしても、以上の処理により、利用者が乗合車両200、シニアカーのいずれかを利用できるため、配車が行われたことになる。なお、利用者が乗合車両200やシニアカーに乗車できるようにするための情報は、乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻に限定されない。例えば、複数の利用者への配車情報30cに基づいて、乗車地点や降車地点への到達順序が最適化され、最適化後の到達順序を示す情報が乗合車両200に送信されても良い。また、乗車地点や降車地点への到達するための走行経路が探索され、乗合車両200に送信されても良い。また、第2車両としてのシニアカーの配車は、シニアカーの配車サービスの紹介であってもよい。この場合、シニアカーの配車サービスの紹介を受けた利用者は、当該配車サービスを利用してシニアカーの予約等を行う。
【0033】
利用者が3人以上存在する場合も同様の処理が行われる。すなわち、N人目(Nは3以上)以降の利用者に対して対応づける車両の種類は、(N-1)人目までの利用者の配車要求情報30aに基づいて特定された乗合車両200の配車地域に基づいて決定される。また、車両の種類が特定されると、配車情報30cが生成され、乗合車両200または配達車両300に対して配車情報30cが送信される。この処理が繰り返されることで任意の人数の利用者に対する配車が行われる。
【0034】
以上の配車管理システムによれば、利用者に対して乗合車両200を提供可能である一方で、一部の利用者には乗合車両200ではなくシニアカーを提供することができる。従って、配車管理システム10を利用すれば、乗合車両200の配車のみで利用者のニーズに応える場合と比較して、配車の自由度を高めることが可能である。このため、多くの利用者の配車要求に応えるために、全ての利用者に対して乗合車両200を配車する必要はない。
【0035】
このため、乗合車両200の配車またはシニアカーの配車を行うために、少なくとも一方の配車において過度の負担が生じないようにすることができる。さらに、乗合車両200でのサービスが提供されない利用者であっても、シニアカーによって利用者の配車要求を満たす可能性を高めることができる。
【0036】
以上のように、本実施形態においては、利用者の数の増加に応じて、乗合車両200の配車地域が狭くなっていく。すなわち、配車される車両が確定済みの利用者の数が多い場合、少ない場合よりも第1車両の配車地域が狭くなる。この構成によれば、例えば、多数の利用者の乗車地点が比較的狭い地域に集まっており、少数の利用者の乗車地点が遠くに存在する場合に、少数の利用者に乗合車両200を無理に配車する必要はなくなる。従って、乗合車両200の運行効率(1利用者あたりの走行距離)が低下する可能性を低くすることができる。
【0037】
(2)配車管理処理:
図2は、配車管理処理の例を示すフローチャートである。本実施形態において、制御部20は、配車要求取得部21aの機能により、任意のタイミングで行われる配車要求を取得する。そして、制御部20は、配車要求取得部21aの機能により、配車要求に含まれる乗車時刻が、締め切り時刻経過前のサービス提供日における乗車時刻である場合に、配車要求の内容および利用者の識別情報を配車要求情報30aとして記録媒体30に記録する。
【0038】
配車管理処理は、このような処理が実行されている状況において、あるサービス提供日の締め切り時刻後、かつ、サービス提供開始時刻前に、当該サービス提供日における配車を行うために実行される。制御部20は、当該サービス提供日での配車要求を示す配車要求情報30aに基づいて、配車管理処理を実行する。
【0039】
配車管理処理が開始されると、制御部20は、乗合車両のサービス提供期間を取得し、変数を初期化する(ステップS100)。サービス提供期間は、予め定義され、記録媒体30等に記録されていれば良く、制御部20は、サービス提供日におけるサービス提供期間を取得する。変数は、同日の利用者の数をカウントするための変数であり、以後、当該変数をnと表記する。変数nの初期値は1である。
【0040】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の配車要求を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、サービス提供日内の乗車時刻を指定した利用者の配車要求情報30aに基づいて、乗車時刻が早い順に利用者をソートする。そして、制御部20は、ソートされた結果に基づいて、n人目(この場合n=1)の利用者の配車要求の内容を示す情報(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)を取得する。
【0041】
次に、制御部20は、車両割当部21cの機能により、n人目の利用者の予約を確定させる(ステップS110)。すなわち、制御部20は、1人目の利用者に乗合車両200を割り当てる。また、制御部20は、1人目の利用者の配車要求の内容を示す情報(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)に乗合車両200を対応付け、配車情報30cとして記録媒体30に記録する。また、制御部20は、車両割当部21cの機能により、通信部40を制御し、当該配車情報30cを乗合車両200に対して送信する。なお、本例では、n人目の利用者の予約が確定した場合に、配車情報30cが順に乗合車両200に送信されるが、複数の利用者(例えば、サービス提供日に乗合車両200が割り当てられた全ての利用者)についての予約が確定した後に、配車情報30cが乗合車両200に送信されてもよい。
【0042】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の乗車地点を経由して降車地点まで行くための移動期間を取得する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、乗合車両200が、拠点から1人目の利用者の乗車地点まで移動し、さらに降車地点まで行くための移動期間を取得する。移動期間は、種々の手法で取得されて良く、例えば、地図情報30bに基づいて地点間の距離の和が特定され、平均車速で除することによって移動期間が取得される構成等が採用可能である。むろん、地図情報30bに基づいて、地点間の経路が取得され、経路の距離が平均車速で除されても良い。この場合、平均車速は、道路区間毎に定義されても良いし、一定値であっても良い。また、渋滞度に応じて平均車速が増減しても良い。移動期間についてこれらの手法が採用可能であることは、以下の処理においても同様である。
【0043】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の降車地点から拠点までの移動期間を取得する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、乗合車両200が、1人目の利用者の降車地点から拠点に戻るための移動期間を、例えば、これらの地点間の距離を平均車速で除するなどの演算によって取得する。
【0044】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、サービス提供期間から移動期間の和を減じて残稼働期間を取得する(ステップS125)。すなわち、ステップS100で取得されたサービス提供期間は、配車対象の日に乗合車両200による送迎を実施する期間として予め決められた時間長である。従って、1人目の利用者についてステップS115,120で取得した移動期間の和を、サービス提供期間から減じれば、乗合車両で他の利用者にサービスを提供可能な期間である残稼働期間を取得することができる。
【0045】
残稼働期間が取得されると、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の乗車地点から残稼働期間で到達できる範囲を配車地域として取得する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、残稼働期間内に移動できる移動距離を取得し、1人目の利用者の乗車地点を中心とし、取得された移動距離を半径とした範囲を、乗合車両200の配車地域として取得する。なお、移動距離は、例えば、残稼働期間に平均車速を乗じるなどして取得可能である。
【0046】
図3は、1人目の乗車地点から配車地域を取得する例を示す図である。図3において、小さい黒丸は、乗合車両200の乗降地点を示している。また、乗合車両200は、拠点Sから出発し、サービスの提供が終了すると、拠点Sに戻る。図3においては、1人目の利用者の乗車地点が乗降地点P1であり、降車地点が乗降地点P2である。この例の場合、制御部20は、ステップS115において、拠点Sから乗降地点P1までの距離L1と乗降地点P1から乗降地点P2までの距離L2に基づいて、移動期間を取得する。
【0047】
また、制御部20は、ステップS120において、乗降地点P2から拠点Sまでの距離L3に基づいて、移動期間を取得する。そして、制御部20は、サービス提供期間、例えば、9:00~17:00の8時間から移動期間の和を減じることで残稼働期間を取得する。ステップS130において、制御部20は、1人目の利用者の乗車地点である乗降地点P1を中心とし、当該残稼働期間内に移動可能な移動距離L4を半径とした配車地域Z1を取得する。
【0048】
以上のような配車地域Z1は、乗合車両200が、サービス提供期間内に拠点Sに戻るために、1人目の利用者にサービスを提供することに加えて、余分に移動できる距離である。従って、この範囲に2人目の利用者が存在すれば、多くの場合、2人目の利用者にサービスを提供してもサービス提供期間に拠点Sに戻れるか、または、少ない超過時間内に拠点Sに戻れると推定することができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、2人以上の利用者が存在する場合、1人目の利用者を乗車させた後に、乗合車両200が1人目の利用者の降車地点に向かうとは限らず、例えば、2人目の利用者の乗車地点に向かうこともあり得ると想定し、乗車地点を配車地域の中心としている。ただし、ここでは、概算によって2人目以降の利用者に乗合車両200を配車する地域を限定できれば良く、1人目の利用者の降車地点を中心とした範囲が乗合車両200の配車地域として取得されても良い。
【0050】
ステップS130において、配車地域が取得されると、制御部20は、nをインクリメントし(ステップS135)、乗車定員に達しているか否か判定する(ステップS140)。すなわち、乗合車両200の乗車定員は予め決められており、nが乗車定員を超えている場合、制御部20は、乗車定員に達していると判定する。ステップS140において、乗車定員に達していると判定された場合、制御部20は、配車管理処理を終了する。すなわち、n人目の利用者の予約は受け付けない。この場合、n人目以降の利用者に対しては、予約が不成立であることを示す通知が行われてもよい。また、利用可能なシニアカーが存在する場合、制御部20は、n人目以降の利用者の全てまたは一部にシニアカーを割り当て、配車しても良い。シニアカーを配車する際の処理は、後述するステップS155と同様である。
【0051】
ステップS140において、乗車定員に達していると判定されない場合、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の配車要求を取得する(ステップS145)。当該処理は、ステップS105の処理と同様である。但し、nの値はステップS135で変化するため、制御部20は、nの値に応じた利用者の配車要求を取得する。
【0052】
次に、制御部20は、車両割当部21cの機能により、乗車地点、降車地点が配車地域内であるか否かを判定する(ステップS150)。本実施形態においては、配車管理処理が進行していくと、乗合車両200の配車地域が限定され、徐々に狭くなる。そこで、制御部20は、n人目の利用者の乗車地点および降車地点が、現在の配車地域内であるか否かを判定する。例えば、n=2であって、2人目の利用者についてステップS150が実行される場合、配車地域は、1人目の利用者の配車要求に基づいて決定された地域である。図3に示す例であれば、領域Z1である。
【0053】
従って、この場合、2人目の利用者の乗車地点、降車地点が領域Z1内である場合に、制御部20は、乗車地点、降車地点が配車地域内であると判定する。図3においては、2人目の利用者の乗車地点が乗降地点P3,降車地点が乗降地点P4である例を示している。この例であれば、2人目の利用者の乗車地点、降車地点が領域Z1内であると判定される。
【0054】
ステップS150において、乗車地点、降車地点が配車地域内であると判定されない場合、制御部20は、車両割当部21cの機能により、シニアカーの予約を確定させる(ステップS155)。すなわち、制御部20は、n人目(n>2)の利用者にシニアカーを割り当てる。また、制御部20は、当該利用者の配車要求の内容を示す情報(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)を配車情報30cとして記録媒体30に記録する。さらに、制御部20は、車両割当部21cの機能により、通信部40を制御し、当該配車情報30cを配達車両300に対して送信する。当該処理の後、制御部20は、ステップS135以降の処理を繰り返す。
【0055】
一方、ステップS150において、乗車地点、降車地点が配車地域内であると判定された場合、制御部20は、車両割当部21cの機能により、(n-1)人目の利用者の降車地点からn人目の利用者の乗車地点を経由して降車地点まで行くための移動期間を取得する(ステップS160)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、乗合車両200が、(n-1)人目の利用者の降車地点からn人目の利用者の乗車地点まで移動し、さらにn人目の利用者の降車地点まで行くための移動期間を、例えば、これらの地点間の距離を平均車速で除するなどの演算によって取得する。
【0056】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の降車地点から拠点までの移動期間を取得する(ステップS165)。すなわち、制御部20は、地図情報30bを参照し、乗合車両200が、n人目の利用者の降車地点から拠点に戻るための移動期間を、例えば、これらの地点間の距離を平均車速で除するなどの演算によって取得する。
【0057】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、直前の処理までの過程で得られた残稼働期間から移動期間の和を減じて残稼働期間を更新する(ステップS170)。すなわち、本実施形態においては、ステップS125や、ステップS135~S190のループ処理の過程で残稼働期間が演算され、更新される。そこで、制御部20は、現在の残稼働期間から、ステップS160,S165で取得された移動期間の和を減じることで、残稼働期間を更新する。なお、ここでは、n人目の利用者にサービスを提供可能な期間の目安を取得すれば良いため、他の手法で目安が算出されても良い。例えば、ステップS165は省略され、残稼働期間からステップS160で取得された移動期間が減じられることで残稼働期間が更新されても良い。
【0058】
次に、制御部20は、残稼働期間が0より大きいか否かを判定する(ステップS175)。すなわち、残稼働期間が負の値になる場合、制御部20は、n人目の利用者にサービスを提供するとサービス提供期間内に乗合車両200が拠点に戻れない可能性があると推定する。なお、ステップS170での判定は、サービス提供期間内に乗合車両200が拠点に戻れない可能性があるか否かを判定できればよく、例えば、残稼働期間が既定の閾値(正の値)より大きいか否か判定する構成等であっても良い。
【0059】
ステップS175において、残稼働期間が0より大きいと判定されない場合、制御部20は、配車管理処理を終了する。すなわち、n人目の利用者の予約は受け付けない。この場合、n人目以降の利用者に対しては、予約が不成立であることを示す通知が行われてもよい。また、利用可能なシニアカーが存在する場合、制御部20は、n人目以降の利用者の全てまたは一部にシニアカーを割り当て、配車しても良い。この際の処理は、ステップS155と同様である。
【0060】
ステップS175において、残稼働期間が0より大きいと判定された場合、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の予約を確定する(ステップS180)。すなわち、制御部20は、n人目の利用者に乗合車両200を割り当てる。また、制御部20は、n人目の利用者の配車要求の内容を示す情報(乗車地点,乗車時刻,降車地点,降車時刻)に乗合車両200を対応付け、配車情報30cとして記録媒体30に記録する。また、制御部20は、車両割当部21cの機能により、通信部40を制御し、当該配車情報30cを乗合車両200に対して送信する。
【0061】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、n人目の利用者の乗車地点から残稼働期間で到達できる範囲を取得する(ステップS185)。すなわち、制御部20は、残稼働期間内に移動できる移動距離を取得し、n人目の利用者の乗車地点を中心とし、取得された移動距離を半径とした範囲を取得する。なお、移動距離は、例えば、残稼働期間に平均車速を乗じるなどして取得可能である。
【0062】
図4は、2人目の乗車地点から配車地域を取得する例を示す図である。図4は、図3に示す例において、2人目の利用者の乗車地点が乗降地点P3,降車地点が乗降地点P4である場合の例である。この例の場合、制御部20は、ステップS160において、1人目の利用者の降車地点である乗降地点P2から2人目の利用者の乗車地点である乗降地点P3までの距離L5と、2人目の利用者の乗車地点である乗降地点P3から2人目の利用者の降車地点である乗降地点P4までの距離L6とに基づいて、移動期間を取得する。
【0063】
また、制御部20は、ステップS165において、2人目の利用者の降車地点である乗降地点P4から拠点Sまでの距離L7に基づいて、移動期間を取得する。さらに、制御部20は、ステップS170において、残稼働期間から移動期間の和を減じることで残稼働期間を更新する。そして、ステップS185において、制御部20は、2人目の利用者の乗車地点である乗降地点P4を中心とし、当該残稼働期間内に移動可能な移動距離L8を半径とした範囲Z2を取得する。
【0064】
次に、制御部20は、配車地域決定部21bの機能により、ステップS185で得られた範囲と配車地域とが重複する地域を新たな配車地域として取得する(ステップS190)。すなわち、本実施形態においては、ステップS130や、ステップS135~S190のループ処理の過程で乗合車両200の配車地域が取得され、限定されていく。そこで、制御部20は、現在の配車地域と、ステップS185で取得された範囲とが重複する地域を新たな配車地域とすることで、配車地域を徐々に狭めていく。
【0065】
例えば、図4に示す例であれば、既存の配車地域Z1と範囲Z2とが重複する、ハッチングを付した地域が新たな配車地域となる。以上のような例において、範囲Z2は、乗合車両200が、サービス提供期間内に拠点Sに戻るために、1人目および2人目の利用者にサービスを提供することに加えて、余分に移動できる距離である。従って、この範囲Z2と既存の配車地域Z1とが重複する地域に配車地域を限定して3人目の利用者の予約を受け付けることにより、乗合車両200によってサービスを提供する地域を限定し、効率的に運行できるように構成することができる。なお、ここでも、概算によって3人目以降の利用者に乗合車両200を配車する地域を限定できれば良く、2人目の利用者の降車地点を中心とした範囲が乗合車両200の配車地域として取得されても良い。ステップS190で配車地域が取得されると、制御部20は、ステップS135以降の処理を繰り返す。
【0066】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、車両の割り当てや配車は配車要求に応じて実施されてもよい。すなわち、上述の実施形態においては、サービス提供開始時刻より前の締め切り時刻までに配車要求を受け付けた利用者について割り当てや配車が行われる。しかし、締め切り時刻を設けず、現在以後の任意の時刻における乗車時刻や降車時刻を指定した配車要求を受け付け、受け付けた順に、各サービス提供日における車両の割り当てや配車が行われてもよい。
【0067】
配車管理システム10は、複数の装置によって実現されるシステムであってもよい。配車管理システム10を構成する配車要求取得部21a,配車地域決定部21b,車両割当部21cの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。例えば、ステップS115,S120は実行順序が逆であっても良い。ステップS160,S165は実行順序が逆であっても良い。
【0068】
配車要求取得部は、車両への乗車地点および乗車時刻を含む配車要求を複数の利用者から取得することができればよい。すなわち、配車要求取得部は、第1車両または第2車両を配車するための情報を取得することができればよい。配車は、利用者が乗車する乗車地点と乗車時刻とが特定されれば実施可能であるが、むろん、他の情報、例えば、降車地点や降車時刻等が取得されても良い。また、降車地点および降車時刻は、配車管理システムにおいて取得されず、利用者が第1車両の運転者に伝達するなどして決められてもよい。乗降地点間の経路上の任意の地点で利用者が降車可能であっても良い。さらに、乗車時刻や降車時刻は、時間軸上の一点であっても良いし、幅のある時間帯であってもよい。また、乗車地点や降車地点の決定方法は、上述の実施形態のような方法に限定されない。例えば、利用者が配車要求を行う際に任意の地点を指定する構成とし、指定された地点の最寄りの乗降地点が第1車両への乗車地点とみなされて配車要求が取得される構成であってもよい。この構成において、第2車両への乗車地点は、利用者によって指定された地点であって良い。
【0069】
配車地域決定部は、利用者の乗車地点に基づいて、既定の乗降地点の中から選択された乗車地点の間を移動する第1車両の配車地域を限定し、第1車両の配車地域以外の地域を、利用者自身が経路を選択可能な第2車両の配車地域とすることができればよい。すなわち、第1車両が利用者を乗車させることができる乗車地点は、予め決められている。また、第1車両は、これらの既定の乗降地点の中から選択された乗車地点で利用者を乗車させ、また、降車地点で利用者を降車させることで利用者にサービスを提供する。
【0070】
このように、既定の乗降地点間を移動する車両においては、利用者の分布が特定の地域に偏在しているほど効率的に運行可能である(1利用者あたりの走行距離が短くなる)。一方、利用者が偏在する地域から遠い地域に少数の利用者が存在する場合、当該利用者にまで第1車両を配車すると第1車両の運行効率が低下する。また、特定の時間帯に利用者の利用が集中しているほど効率的に運行可能である(単位時間あたりにサービス提供できる利用者数が多くなる)。一方、利用が集中する時間帯と異なる時間帯で利用する少数の利用者が存在する場合、当該利用者にまで第1車両を配車すると第1車両の運行効率が低下する。そこで、第1車両を配車する配車地域を先に限定できる構成とすれば、第1車両の運行効率を低下させないように配車地域を選択可能な配車管理システムを提供することができる。
【0071】
第1車両は、既定の乗降地点の中から選択された乗車地点の間を移動する車両である。従って、既定の乗降地点の全てを既定の順序で巡回する車両ではなく、乗車地点としての乗降地点に行くが、乗車地点となっていない乗降地点には行かないような態様で配車サービスが提供される。乗降地点は、予め決められていれば良く、改廃等で変化があっても良い。
【0072】
配車地域は、第1車両が配車される地域であり、上述の実施形態のように、配車される車両が確定済みの利用者の乗車地点に基づいて配車地域が決められる構成以外にも、種々の構成が採用されてよい。例えば、複数の利用者の配車要求に基づいて、配車地域が限定されても良い。この場合、例えば、利用者が相対的に多く存在する地域が第1車両の配車地域となり、他の地域が第2車両の配車地域となる構成が挙げられる。なお、第1車両の配車地域は1カ所に限定されなくても良く、複数台の第1車両が運行される場合に、異なる地域または一部が重複する複数の地域が、第1車両の配車地域となってもよい。
【0073】
第2車両は、利用者自身が経路を選択可能な車両であればよい。従って、上述の実施形態のように、利用者が運転するシニアカー以外にも、種々の車両が第2車両となってよい。利用者が運転する他の車両、例えば、自動二輪車、乗用車等の車両が第2車両となってもよい。また、利用者以外の者が運転する車両、例えば、タクシー等が第2車両となってもよい。さらに、上述の実施形態において第1車両は、複数の利用者が同時に乗車し得る乗合車両であるため、第2車両は、複数の利用者(異なる配車要求を行った利用者)が同時に乗車しない、乗合車両ではない車両であっても良い。
【0074】
車両割当部は、第1車両の配車地域内に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第1車両を割り当て、第2車両の配車地域に存在する乗車地点を含む配車要求を行った利用者に第2車両を割り当てることができればよい。すなわち、車両割当部は、配車要求を行った各利用者に配車すべき車両を、第1車両、第2車両の中から選択し、選択された車両が、要求された乗車時刻において、乗車地点で利用できるように割り当てることができればよい。
【0075】
割り当ては、上述の実施形態のように予約の確定(配車の実施)に利用されても良いし、他の処理に利用されても良い。例えば、利用者に対して割り当てた車両の予約サービスに関する情報を提供し、利用者自身に当該車両を予約させても良い。予約サービスで予約する車両は第1車両、第2車両の双方であっても良いし一方であっても良い。例えば、複数の利用者の乗車地点に基づいて配車地域が限定される第1車両については配車を行う一方で、第2車両については、予約サービスに関する情報を提供する構成等であっても良い。この構成であれば、第1車両の運行効率を低下させることなく第1車両によるサービスを提供することができる。
【0076】
配車は、車両が乗車地点において利用できる状態によって実現されれば良く、第1車両であれば、少なくとも、利用者が、乗車時刻に乗車地点で第1車両に乗車できるように第1車両を運行することができればよい。従って、配車情報が乗合車両に伝達されることや、運行計画が立案され、第1車両の運転者に伝達されること等は配車に該当するし、第1車両の運行過程において、新規の利用者の乗車時刻において乗車地点に第1車両を到着させるように、運行計画が随時変更されても配車が行われたことになる。
【0077】
一方、第2車両がレンタルされる場合、乗車時刻に乗車地点に対して第2車両が運搬され、利用者に受け渡されると利用者が第2車両を利用可能である。従って、利用者に対して、レンタルされる第2車両が割り当てられ、少なくとも乗車地点および乗車時刻が配達車両車に伝達されると配車が行われたことになる。
【0078】
なお、第1車両の運行計画や、第2車両を運搬する際の運行計画は、種々の手法で効率化されて良く、例えば、公知のアルゴリズムによって配送計画問題に対する解を得ることによって、効率的な運行計画が立案されて良い。
【0079】
配車される車両が確定済みの利用者の数が多い場合、少ない場合よりも第1車両の配車地域が狭くなるように、第1車両の配車地域を限定する際の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、乗車時刻が早い順や配車要求を行った時刻が早い順に利用者に配車する車両を確定していく構成において、利用者の数が増加するほど第1車両の配車地域が狭くなるような構成が採用されてもよい。より具体的には、例えば、N番目(Nは2以上の整数)の利用者に配車する車両を決定する際に、Nに応じた大きさの地域(例えば円形の地域)であって、N-1番目の利用者の乗車地点を中心とした地域を第1車両の配車地域とする構成を採用可能である。そして、この構成において、Nに応じた大きさの地域をNが増加するほど小さくすれば、配車される車両が確定済みの利用者の数が多い場合、少ない場合よりも第1車両の配車地域が狭くなるように、第1車両の配車地域を限定することができる。このように、第1車両の配車地域を限定するための構成としては、種々の構成を採用可能である。
【0080】
さらに、以上のようなシステムはプログラムや方法としても適用可能である。また、このようなプログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0081】
10…配車管理システム、20…制御部、21…配車管理プログラム、21a…配車要求取得部、21b…配車地域決定部、21c…車両割当部、30…記録媒体、30a…配車要求情報、30b…地図情報、30c…配車情報、40…通信部、100…携帯端末、110…オペレータ端末、120…ステップ、200…乗合車両、300…配達車両
図1
図2
図3
図4