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特開2022-144015詰替用パウチ及び内容物入り詰替用パウチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144015
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】詰替用パウチ及び内容物入り詰替用パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20220926BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D30/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044848
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 祐子
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 隆行
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA29
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA23
3E064FA04
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP02
3E064HS05
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB28
3E067AB81
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB02
3E067EB05
3E067EB07
3E067EB11
3E067EB25
3E067EE02
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】内容物の注ぎ時間を短縮する。
【解決手段】一対のフィルムの周縁同士をシールするシール部は、ノズル部の側縁を形成する上部シール部と側部シール部とを有する。ノズル部、上部シール部、及び側部シール部を通り、内容物を注出する際に注出口を形成するために切断される予定のラインを仮想ラインL1とし、仮想ラインL1の上端と下端とを結ぶ仮想線分LSの中点を通る垂線を仮想ラインL2とし、上部シール部の内側の縁のうちの最下端を点Aとし、側部シール部の内側の縁のうちの上下方向に垂直な左右方向において最も内側に位置する端を点Bとし、及び、仮想ラインL2上で直角に交わるように、点Aを通る仮想ラインLAと点Bを通る仮想ラインLBとを引いたときの仮想ラインLAと仮想ラインLBとが交わる点を交点Cとしたときに、交点Cは、仮想ラインL1よりも外側に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフィルムを備え、前記一対のフィルムが重ね合わされた状態で前記一対のフィルムの周縁同士がシール部によって部分的にシールされた詰替用パウチであって、
前記一対のフィルムは、上端部に位置する一方の隅部に設けられ、前記詰替用パウチに収容される内容物を注出するためのノズル部を有し、
前記シール部は、前記ノズル部の上側の側縁を形成する上部シール部と、前記ノズル部の下側の側縁を形成する側部シール部とを有し、
前記ノズル部、前記上部シール部、及び前記側部シール部を通り、前記内容物を注出する際に注出口を形成するために切断される予定のラインを仮想ラインL1とし、
前記仮想ラインL1の上端と下端とを結ぶ仮想線分LSの中点を通る垂線を仮想ラインL2とし、
前記上部シール部の内側の縁のうちの最下端を点Aとし、
前記側部シール部の内側の縁のうちの上下方向に垂直な左右方向において最も内側に位置する端を点Bとし、及び、
前記点Aと前記点Bとを結ぶ線分よりも外側において前記仮想ラインL2上で直角に交わるように、前記点Aを通る仮想ラインLAと前記点Bを通る仮想ラインLBとを引いたときの前記仮想ラインLAと前記仮想ラインLBとが交わる点を交点Cとしたときに、
前記交点Cは、前記仮想ラインL1よりも外側に位置している、詰替用パウチ。
【請求項2】
前記仮想ラインL2上での前記交点Cと前記仮想ラインL1との間の距離は、1mm以上である、請求項1に記載の詰替用パウチ。
【請求項3】
前記仮想線分LSの長さは、20mmよりも小さい、請求項1又は2に記載の詰替用パウチ。
【請求項4】
前記仮想ラインL1は、開封誘導線によって形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の詰替用パウチ。
【請求項5】
前記開封誘導線は、中央部分が内側に窪むように湾曲している、請求項4に記載の詰替用パウチ。
【請求項6】
前記側部シール部には、内側に向って窪むフック部が形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の詰替用パウチ。
【請求項7】
前記フック部の底部と前記仮想ラインL1の上端との間の距離は、前記仮想線分LSの長さの1.2倍以下である、請求項6に記載の詰替用パウチ。
【請求項8】
前記フック部の底部と前記仮想ラインL1の上端との間の距離は、前記詰替用パウチから前記内容物が詰め替えられる対象の容器が有する注入口の径よりも小さい、請求項6又は7に記載の詰替用パウチ。
【請求項9】
前記上部シール部は、前記ノズル部に沿って延びる第1部分と、前記第1部分に接続され、前記ノズル部と離れるように外側に向かって延びる第2部分とを含み、
前記上下方向と前記第2部分が延びる方向とがなす角は、20°~80°である、請求項1~8のいずれか一項に記載の詰替用パウチ。
【請求項10】
前記一対のフィルムは、第1フィルムと第2フィルムとによって構成されており、
前記第1フィルムは、前記第2フィルムに向けて突出するか、又は前記第2フィルムから離れる方向に向けて突出するようにエンボス加工されたエンボス線を有し、
前記エンボス線は、前記仮想ラインL1を横切るように形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の詰替用パウチ。
【請求項11】
一対のフィルムを備え、前記一対のフィルムの周縁同士がシール部によってシールされた状態で内容物を収容した内容物入り詰替用パウチであって、
前記一対のフィルムは、上端部に位置する一方の隅部に設けられ、前記内容物を注出するためのノズル部を有し、
前記シール部は、前記ノズル部の上側の側縁を形成する上部シール部と、前記ノズル部の下側の側縁を形成する側部シール部とを有し、
前記ノズル部、前記上部シール部、及び前記側部シール部を通り、前記内容物を注出する際に注出口を形成するために切断される予定のラインを仮想ラインL1とし、
前記仮想ラインL1の上端と下端とを結ぶ仮想線分LSの中点を通る垂線を仮想ラインL2とし、
前記上部シール部の内側の縁のうちの最下端を点Aとし、
前記側部シール部の内側の縁のうちの上下方向に垂直な左右方向において最も内側に位置する端を点Bとし、及び、
前記点Aと前記点Bとを結ぶ線分よりも外側において前記仮想ラインL2上で直角に交わるように、前記点Aを通る仮想ラインLAと前記点Bを通る仮想ラインLBとを引いたときの前記仮想ラインLAと前記仮想ラインLBとが交わる点を交点Cとしたときに、
前記交点Cは、前記仮想ラインL1よりも外側に位置している、内容物入り詰替用パウチ。
【請求項12】
前記シール部は、前記一対のフィルムの前記上端部において前記左右方向に沿って延び、前記上部シール部に接続される上縁シール部を更に有し、
前記上部シール部は、前記ノズル部に沿って延びる第1部分と、前記ノズル部と離れるように外側に向かって延びて前記第1部分と前記上縁シール部とを接続する第2部分とを含み、
前記上下方向と前記第2部分が延びる方向とがなす角は、20°~80°であり、
前記上縁シール部と前記点Aとの間の前記上下方向に沿った距離は、15mm以下である、請求項11に記載の内容物入り詰替用パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、詰替用パウチ及び内容物入り詰替用パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも2枚の胴部フィルムを有し、2枚の胴部フィルムの外周にシール部が形成され、シール部に囲まれた空間に詰め替え先の容器であるボトル容器に詰め替えられる液体を収容する詰替用袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-117275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、内容物の注ぎ時間を短縮するのに有用な詰替用パウチ及び内容物入り詰替用パウチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る詰替用パウチは、一対のフィルムを備え、一対のフィルムが重ね合わされた状態で一対のフィルムの周縁同士がシール部によって部分的にシールされたパウチである。一対のフィルムは、上端部に位置する一方の隅部に設けられ、詰替用パウチに収容される内容物を注出するためのノズル部を有する。シール部は、ノズル部の上側の側縁を形成する上部シール部と、ノズル部の下側の側縁を形成する側部シール部とを有する。ノズル部、上部シール部、及び側部シール部を通り、内容物を注出する際に注出口を形成するために切断される予定のラインを仮想ラインL1とし、仮想ラインL1の上端と下端とを結ぶ仮想線分LSの中点を通る垂線を仮想ラインL2とし、上部シール部の内側の縁のうちの最下端を点Aとし、側部シール部の内側の縁のうちの上下方向に垂直な左右方向において最も内側に位置する端を点Bとし、及び、点Aと点Bとを結ぶ線分よりも外側において仮想ラインL2上で直角に交わるように、点Aを通る仮想ラインLAと点Bを通る仮想ラインLBとを引いたときの仮想ラインLAと仮想ラインLBとが交わる点を交点Cとしたときに、交点Cは、仮想ラインL1よりも外側に位置している。
【0006】
この詰替用パウチでは、上部シール部の最下端を通る仮想ラインLAと、側部シール部の左右方向において最も内側に位置する端を通る仮想ラインLBとが、仮想線分LSの中点を通る垂線上で直角に交わる点である交点Cが、注出口が形成される予定の仮想ラインL1よりも外側に位置している。交点Cは、詰替用パウチから内容物を注出する際にノズル部に形成される立体形状の仮想的な頂点に相当する。この立体形状の頂点に相当する交点Cが仮想ラインL1の外側に位置することで、内容物を注出するための注出口が立体形状の途中に位置することとなる。そのため、内容物を注出する際に注出口が開きやすくなり、詰替用パウチから内容物が排出されやすい。従って、上記詰替用パウチは、内容物の注ぎ時間を短縮するのに有用である。
【0007】
仮想ラインL2上での交点Cと仮想ラインL1との間の距離は、1mm以上であってもよい。この場合、仮想ラインL1に沿って形成される注出口が、上記立体形状の頂点よりも1mm以上離れた内側の位置に形成される。そのため、注出口がより開きやすくなるので、詰替用パウチから内容物が更に注出されやすい。従って、内容物の注ぎ性を向上させるのに有用である。
【0008】
仮想線分LSの長さは、20mmよりも小さくてもよい。この場合、詰め替え対象の容器における注入口のサイズが小さくても、ノズル部を挿入しやすい。注出口が形成されるノズル部の幅を小さくして挿入性を向上させても、本詰替用パウチでは、交点Cを仮想ラインL1の外側に位置させることで内容部の注ぎ性を向上させている。従って、開封後のノズル部の挿入性と内容物の注ぎ性との両立に有用である。
【0009】
仮想ラインL1は、開封誘導線によって形成されていてもよい。この場合、開封誘導線に沿って、ノズル部が開封される場合が多くなる。そのため、内容物の注ぎ時間を短縮することが可能な状態で開封される機会が多くなり、ユーザの利便性の向上に有用である。
【0010】
開封誘導線は、中央部分が内側に窪むように湾曲していてもよい。この場合、上記交点Cを開封誘導線に対応する仮想ラインL1より外側に配置するのが容易である。従って、交点Cが仮想ラインL1よりも外側に位置するように上部シール部及び側部シールを容易に形成することができる。
【0011】
側部シール部には、内側に向って窪むフック部が形成されていてもよい。この場合、ユーザは、フック部を詰め替え対象の容器の注入口の上端に引っ掛けて、開封されたノズル部を上記注入口に挿入することができる。従って、ユーザの利便性の向上に有用である。
【0012】
フック部の底部と仮想ラインL1の上端との間の距離は、仮想線分LSの長さの1.2倍以下であってもよい。この場合、フック部を詰め替え対象の容器の注入口の上端に引っ掛けて、開封されたノズル部を上記注入口に挿入するのが容易である。従って、ユーザの利便性の向上に更に有用である。
【0013】
フック部の底部と仮想ラインL1の上端との間の距離は、詰替用パウチから内容物が詰め替えられる対象の容器が有する注入口の径よりも小さくてもよい。この場合、フック部を詰め替え対象の容器の注入口の上端に引っ掛けて、開封されたノズル部を上記注入口に挿入するのが容易である。従って、ユーザの利便性の向上に更に有用である。
【0014】
上部シール部は、ノズル部に沿って延びる第1部分と、第1部分に接続され、ノズル部と離れるように外側に向かって延びる第2部分とを含んでもよい。上下方向と第2部分が延びる方向とがなす角は、20°~80°であってもよい。この場合、内容物を注出する際に、第2部分がノズル部に向かって斜め下方に延びるように配置される。そのため、第1部分と第2部分とによって形成される窪み部分に起因した内容物の滞留の発生が抑制される。従って、内容物の注ぎ性の向上に更に有用である。
【0015】
一対のフィルムは、第1フィルムと第2フィルムとによって構成されていてもよい。第1フィルムは、第2フィルムに向けて突出するか、又は第2フィルムから離れる方向に向けて突出するようにエンボス加工されたエンボス線を有してもよい。エンボス線は、仮想ラインL1を横切るように形成されていてもよい。この場合、仮想ラインL1に沿ってノズル部を切断した際に形成される注出口において、エンボス線によって流路が形成される。注出口から内容部を排出し始める際に、この流路を内容物が通ることで、注出口が押し広げられる。そのため、内容物の注ぎ性を向上させるのに更に有用である。
【0016】
本開示の一側面に係る内容物入り詰替用パウチは、一対のフィルムを備え、一対のフィルムの周縁同士がシール部によってシールされた状態で内容物を収容した内容物入りパウチである。一対のフィルムは、上端部に位置する一方の隅部に設けられ、内容物を注出するためのノズル部を有する。シール部は、ノズル部の上側の側縁を形成する上部シール部と、ノズル部の下側の側縁を形成する側部シール部とを有する。ノズル部、上部シール部、及び側部シール部を通り、内容物を注出する際に注出口を形成するために切断される予定のラインを仮想ラインL1とし、仮想ラインL1の上端と下端とを結ぶ仮想線分LSの中点を通る垂線を仮想ラインL2とし、上部シール部の内側の縁のうちの最下端を点Aとし、側部シール部の内側の縁のうちの上下方向に垂直な左右方向において最も内側に位置する端を点Bとし、及び、点Aと点Bとを結ぶ線分よりも外側において仮想ラインL2上で直角に交わるように、点Aを通る仮想ラインLAと点Bを通る仮想ラインLBとを引いたときの仮想ラインLAと仮想ラインLBとが交わる点を交点Cとしたときに、交点Cは、仮想ラインL1よりも外側に位置している。この内容物入り詰替用パウチでは、上述の詰替用パウチと同様に、内容物を注出する際に注出口が開きやすくなり、詰替用パウチから内容物が排出されやすい。従って、上記内容物入り詰替用パウチは、内容物の注ぎ時間を短縮するのに有用である。
【0017】
シール部は、一対のフィルムの上端部において左右方向に沿って延び、上部シール部に接続される上縁シール部を更に有してもよい。上部シール部は、ノズル部に沿って延びる第1部分と、ノズル部と離れるように外側に向かって延びて第1部分と上縁シール部とを接続する第2部分とを含んでもよい。上下方向と第2部分が延びる方向とがなす角は、20°~80°であってもよい。上縁シール部と点Aとの間の上下方向に沿った距離は、15mm以下であってもよい。この場合、内容物を注出する際に、第2部分がノズル部に向かって斜め下方に延びるように配置され、更に、第2部分と上縁シール部との内側に形成される領域が小さい。そのため、詰替用パウチから内容物を注出する際に、第2部分と上縁シールとの内側に形成される領域での内容物の滞留の発生が抑制される。従って、内容物の注ぎ性の向上に更に有用である。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、内容物の注ぎ時間を短縮するのに有用な詰替用パウチ及び内容物入り詰替用パウチが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、詰替用パウチの一例を示す側面図である。
図2図2は、ノズル部が設けられた隅部の一例を拡大して示す拡大図である。
図3図3は、内容物入り詰替用パウチの一例を示す側面図である。
図4図4は、開封された状態のノズル部の一例を示す側面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、開封されたノズル部を詰替え対象の容器に挿入する様子の一例を示す模式図である。
図6図6は、ノズル部に形成された注出口の一例を示す模式図である。
図7図7は、詰替用パウチの一例を示す側面図である。
図8図8は、詰替用パウチの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1に示される詰替用パウチ1は、内容物を収容するための包装袋である。内容物は、例えば、液体等の流動性を有する物である。詰替用パウチ1は、プラスチックボトル等の収容容器に内容物を新しく補充するために利用される。すなわち、詰替用パウチ1に収容された内容物が、補充対象の収容容器に詰め替えられることで、当該収容容器に内容物が補充される。内容物の一例としては、液体洗剤、洗浄剤、薬品、化粧品、シャンプー、リンス等の日用品、及び液体調味料等の食品が挙げられる。
【0022】
本開示では、内容物が収容される前の状態で周縁の一部がシール(封止)されていない状態のパウチ、及び内容物が収容されて周縁全体がシールされた状態のパウチの双方を「詰替用パウチ1」という。また、以下の説明では、内容物が充填される前の詰替用パウチ1を「詰替用パウチ1A」と称し、内容物が充填された後の詰替用パウチ1を「詰替用パウチ1B」と称する。
【0023】
[内容物充填前の詰替用パウチ]
図1には、内容物が充填される前の詰替用パウチ1Aの側面図が示されている。詰替用パウチ1Aは、前面フィルム2と、背面フィルム4と、底面フィルム6とを備える。これらのフィルムそれぞれは、可撓性を有するフィルム(シート)であってもよく、パウチとして用いられる種々の構成を有してもよい。前面フィルム2、背面フィルム4、及び底面フィルム6それぞれの厚みは、50μm~200μm程度であってもよい。
【0024】
前面フィルム2、背面フィルム4、及び底面フィルム6それぞれは、例えば、基材層とシーラント層とを含む。基材層及びシーラント層は、詰替用パウチ1Aの外側から内側に向けて、この順に積層されている。なお、基材層とシーラント層との間に印刷層及び接着層等の他の層(中間層)が設けられてもよい。基材層は、例えば、プラスチックフィルムである。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、及びポリイミドフィルム等が挙げられる。基材層は、プラスチックフィルムに代えて、紙、又は不織布であってもよい。
【0025】
シーラント層は、熱により溶融して他のシートに融着するように構成されている。すなわち、シーラント層は、ヒートシール可能に構成されている。シーラント層は、例えば、ポリオレフィン系樹脂により構成されている。ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、及びポリプロピレン等が挙げられる。上記の各フィルムは、単層のシーラント層を含んでもよく、複数層のシーラント層を含んでもよい。
【0026】
前面フィルム2等の層構造(各層の材質)の具体例として、「NY(ナイロン)/VMPET(アルミ蒸着ポリエステル)/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)」が挙げられる。VMPETによって構成される層は、バリア性、意匠性(光沢)、又は強度向上の観点から設けられる。他の例の層構造として、「PET(ポリエステル)/NY/LLDPE」、及び「PET/AL(アルミ箔)/NY/LLDPE」が挙げられる。ALによって構成される層は、バリア性の観点から設けられ、NYによって構成される層は強度向上の観点から設けられる。
【0027】
フィルムの層構造は上記の例に限られず、その他の具体例として、「PET/NY/AL/LLDPE」、「ハイブリットNY/VMPET/LLDPE」、「PBT/VMPET/LLDPE」、「透明蒸着PET/NY/LLDPE」、「PET/NY/CPP(無延伸ポリプロピレン)」、「透明蒸着PET/NY/CPP」、及び「NY/NY/LLDPE」が挙げられる。
【0028】
前面フィルム2及び背面フィルム4は、これらのフィルムと垂直な方向(以下、「垂直方向」という。)から見たときに、一部の隅部を除き矩形状に形成されている。前面フィルム2及び背面フィルム4(一対のフィルム)は、基材層及びシーラント層等の層構造を除き、互いに略同一の形状を有する。具体的には、前面フィルム2と背面フィルム4とを互いの外縁が略一致するように重ねたときに、前面フィルム2と背面フィルム4とでは、上記垂直方向において基材層とシーラント層との積層順が逆になっている。背面フィルム4と前面フィルム2とは互いに略鏡像対称の関係にあるので、以下では、前面フィルム2の形状について説明し、背面フィルム4の形状の説明を省略する。なお、これらのフィルムを垂直方向から見た状態の形状について説明する。
【0029】
前面フィルム2は、上縁12Tと、下縁12Bと、左側縁12Lと、右側縁12Rとを有する。本開示において、「上」及び「下」の用語は、詰替用パウチ1の一対の短い縁のうち内容物を抽出するためのノズル部が形成された一方の縁を上方に配置し、ノズル部が形成されていない他方の縁を下方に配置した状態を基準に使用する。また、「左」及び「右」の用語は、手前から前面フィルム2及び背面フィルム4がこの順に配置されるように、これらのフィルムと垂直な方向(上記垂直方向)から見たときを基準に使用する。図1には、紙面上の上下方向及び左右方向が、これらの基準に従った「上」、「下」、「左」及び「右」に対応するように、詰替用パウチ1が示されている。図1では、上下方向(縦方向)が「方向D1」で示されており、左右方向(横方向)が「方向D2」で示されている。
【0030】
上縁12Tと下縁12Bとは共に方向D2に沿って延びている。上縁12Tと下縁12Bとは、方向D1において互いに対向している。左側縁12Lと右側縁12Rとは共に方向D1に沿って延びている。左側縁12Lと右側縁12Rとは、方向D2において互いに対向している。上縁12Tと左側縁12Lとが交差する領域(より詳細には、上縁12Tと左側縁12Lとの交点と当該交点よりも内側の近傍の領域)には、隅部14が形成されている。隅部14は、詰替用パウチ1Aの上端部に位置する一方の隅部である。
【0031】
隅部14には、ノズル部16が設けられている。ノズル部16は、内容物充填後の詰替用パウチ1Bから内容物を注出する(注ぐ)ための部分である。ノズル部16は、方向D2に対して傾いた状態で、左斜め上(右斜め下)に沿って延びている。ノズル部16は、詰替用パウチ1Aの外側に(左斜め上方に)向かうにつれて幅が細くなるように形成されてもよい。すなわち、ノズル部16の形状は、先細りであってもよい。内容物が詰め替えられる対象の収容容器(以下、「対象容器90」という。)に詰め替えられる際に、ノズル部16の一部は切断される。そして、ノズル部16には後述の注出口60が形成され、詰替用パウチ1の本体に残ったノズル部16の一部が、対象容器90が有する注入口92に挿入された状態で、内容物が対象容器90内に注出される(図5(a)及び図5(b)も参照)。
【0032】
前面フィルム2と背面フィルム4とは、互いにシーラント層同士が向かい合うように重ね合わされている。底面フィルム6は、方向D2に延びる仮想的な直線に沿って二つ折りにされた状態で、詰替用パウチ1Aの下部において、前面フィルム2と背面フィルム4との間に挿入されている。底面フィルム6は、そのシーラント層が、前面フィルム2のシーラント層と背面フィルム4のシーラント層とのそれぞれに対向するように、前面フィルム2及び背面フィルム4の間に挿入されている。
【0033】
詰替用パウチ1Aでは、前面フィルム2と背面フィルム4とが互いに重ね合わされた状態で、前面フィルム2と背面フィルム4との周縁同士を部分的にシールするシール部Sが形成されている。周縁同士を部分的にシールするとは、前面フィルム2と背面フィルム4との周縁全体の一部において、前面フィルム2と背面フィルム4とを直接又は間接的に接合していることを意味する。前面フィルム2と背面フィルム4との周縁全体の一部がシールされた状態では、前面フィルム2と背面フィルム4との間に形成される領域に内容物を充填可能となっている。
【0034】
シール部Sは、前面フィルム2と背面フィルム4との周縁全体のうちの上縁12Tを含む一部以外の部分をシールしてもよい。言い換えると、上縁12Tを含む周縁の上記一部では、前面フィルム2と背面フィルム4との間に開閉可能な開口部OPが形成されている。シール部Sは、底シール部32と、左縁シール部34と、右縁シール部36と、注出口シール部40とを含む。
【0035】
底シール部32は、詰替用パウチ1Aの下部に構成されている。底シール部32は、前面フィルム2と底面フィルム6との間に構成された前面シール部分と、背面フィルム4と底面フィルム6との間に構成された背面シール部分とを有する。底シール部32の前面シール部分は、前面フィルム2のシーラント層と、二つ折りにされた底シール部32のうちの前面フィルム2と対向するシーラント層とが、所定の領域Rにおいてヒートシールされることによって構成されている。底シール部32の背面シール部分は、背面フィルム4のシーラント層と、二つ折りにされた底シール部32のうちの背面フィルム4と対向するシーラント層とが、領域Rと同様の所定領域においてヒートシールされることによって構成されている。
【0036】
左縁シール部34は、所定の幅(例えば、3mm~10mm程度の幅)を有し、左側縁12Lに沿って底シール部32から注出口シール部40に至るまで延びている。左縁シール部34は、前面フィルム2のシーラント層と背面フィルム4のシーラント層とが、左側縁12Lとその近傍とを含む端部(詰替用パウチ1Aの左端部)においてヒートシールされることによって構成されている。このように、左縁シール部34は、方向D1に沿って延びるように形成されている。
【0037】
右縁シール部36は、所定の幅(例えば、3mm~10mm程度の幅)を有し、右側縁12Rに沿って底シール部32から上縁12Tに至るまで延びている。右縁シール部36は、前面フィルム2のシーラント層と背面フィルム4のシーラント層とが、右側縁12Rとその近傍とを含む端部(詰替用パウチ1Aの右端部)においてヒートシールされることによって構成されている。このように、右縁シール部36は、方向D1に沿って延びるように形成されている。左縁シール部34及び右縁シール部36は、方向D2において互いに対向している。
【0038】
注出口シール部40は、左側縁12Lと上縁12Tとが交差する隅部14においてノズル部16を形成するように、前面フィルム2のシーラント層と背面フィルム4のシーラント層とをヒートシールすることによって構成されている。注出口シール部40は、隅部14における外縁に沿って延びるように形成されている。注出口シール部40は、図2に示されるように、上部シール部44と、先端シール部42と、側部シール部46とを含む。
【0039】
上部シール部44は、ノズル部16の上側の側縁を形成するシール部である。上部シール部44の内側の縁の一部が、ノズル部16の上方に位置する側縁に対応する。上部シール部44の幅は、例えば、3.0mm~10.0mmである。シール部の強度と設計の自由度との両立の観点から、上部シール部44の幅は、3.5mm~8.0mmであってもよく、より好ましくは、4.0mm~6.0mmであってもよい。上部シール部44は、内側に向かって窪むように形成されている。上部シール部44の内側の縁及び外側の縁それぞれは、下方に向かって(上縁12Tから下縁12Bに向かって)張り出すように湾曲している。上部シール部44は、ノズル部16に沿って延びる第1部分44aと、第1部分44aの右端部に接続される第2部分44bと、第1部分44aの左端部に接続され上方に向かって延びる第3部分44cとを含む。第2部分44bは、第1部分44aとの接続部分を基点として、ノズル部16から離れるように外側に(右斜め上に)向かって延びていてもよい。第2部分44bの上端部は、右縁シール部36の上端部との間に開口部OPを挟む。
【0040】
上下方向と第2部分44bとが延びる方向とのなす角(以下、「角度α」という。)は、0°よりも大きい。第2部分44bが延びる方向は、第2部分44bの内側の縁のうちの直線部分が延びる方向で定義される。角度αは、上部シール部44での窪みに起因した内容物の流通の阻害を抑制する観点から、20°以上であってもよく、30°以上であってもよく、40°以上であってもよい。角度αは、詰替用パウチ1Aにおいて開口部OPの大きさを確保する観点から、80°以下であってもよく、70°以下であってもよく、60°以下であってもよい。角度αは、例えば、20°~80°であってもよく、30°~70°であってもよい。図2において、第2部分44bの下端を基点として外側(左方向)に向かう不図示の基準線から第2部分44bの内側の縁までの時計方向の角度が、110°~170°であってもよく、120°~160°であってもよく、130°~150°であってもよい。
【0041】
先端シール部42は、ノズル部16の先端の縁を形成するシール部である。図2に示される例では、先端シール部42の下半分の領域は、下縁12Bに向かうにつれて細くなっており、先端シール部42の上半分の領域は、その右端が上部シール部44の第3部分44cに接続されており、方向D1に延びる矩形状である。先端シール部42と上部シール部44の第3部分44cとは、内容物が充填された後の詰替用パウチ1Bにおいて、ユーザがノズル部16を開封する際に把持する部分として機能する。
【0042】
側部シール部46は、ノズル部16の下側の側縁を形成するシール部である。側部シール部46の内側の縁の一部が、ノズル部16の下方に位置する側縁に対応する。側部シール部46の幅は、例えば、3.0mm~10.0mmである。シール部の強度と設計の自由度との両立の観点から、側部シール部46の幅は、3.5mm~8.0mmであってもよく、より好ましくは、4.0mm~6.0mmであってもよい。側部シール部46は、先端シール部42の下端に接続され、当該下端から内側に窪むように湾曲しながら下方に延びている。側部シール部46の下端は、左縁シール部34の上端に接続されている。側部シール部46の内側の縁は、内側に向かって(左側縁12Lから右側縁12Rに向かって)張り出すように湾曲している。
【0043】
側部シール部46の外側の縁も、内側の縁と同様に、左側縁12Lから右側縁12Rに向かって張り出すように湾曲している。これにより、側部シール部46には、内側に向かって(左側縁12Lから右側縁12Rに向かって)窪むフック部46cが形成されている。フック部46cは、側部シール部46の外側の縁に形成された切欠きである。側部シール部46の外側の縁(フック部46cを形成する縁)は、左側縁12Lを含み方向D1に沿って延びる仮想的な直線に比べて、右側縁12Rに寄るように突出している。フック部46cは、対象容器90に内容物を詰め替えるためにノズル部16を対象容器90に挿入する際に、対象容器90の注入口92の上端に引っ掛ける部分として機能し得る。
【0044】
前面フィルム2及び背面フィルム4のノズル部16の近傍には、上部シール部44、ノズル部16、及び側部シール部46を横断するように開封誘導線50が形成されている。開封誘導線50は、ユーザがノズル部16を切断して開封する際に、その切断を誘導して開封を容易にするための線(加工された線)である。開封誘導線50は、直線状であってもよく、図2に示されるように、その中央部分が内側に向かって窪むように(右斜め下に向かって突出するように)湾曲していてもよい。開封誘導線50は、上部シール部44の外側の縁のうち第1部分44aと第3部分44cとの境界の点(以下、「点X」という。)から、側部シール部46の外側の縁に位置する点(以下、「点Y」という。)まで延びている。点Yは、フック部46cの最も内側に窪む部分である底部(以下、「底部E」という。)よりも上方に位置している。
【0045】
開封誘導線50は、例えば、前面フィルム2及び背面フィルム4それぞれにおいて基材層からシーラント層に達する溝(ハーフカット溝)であり、これらのフィルムを完全には切断していない。開封誘導線50は、トムソン刃によって形成されてもよく、レーザ加工によって形成されてもよい。レーザ加工によって形成される場合には、ハーフカット溝の均一性を向上させることができる。レーザの種類としては、例えば、炭酸ガスレーザが挙げられる。前面フィルム2等のフィルムが、基材層、中間層、及びシーラント層を含む3層以上の層構造を有する場合に、開封誘導線50を形成する溝は、基材層及び中間層を貫通してシーラント層に達していてもよい。レーザ等の加工が施されていない層を設けない構成とすることで、実際に開封されるラインが開封誘導線50からずれる脱線の可能性が低減される。なお、中間層にAL(アルミ箔)で構成される層が含まれる場合には、レーザ加工時のレーザがALによって吸収されるので、開封誘導線50を形成する溝が、中間層を貫通せずにシーラント層まで達していなくてもよい。
【0046】
ノズル部16及びその近傍には、開封誘導線50に加えて別の開封誘導線が形成されてもよい。すなわち、ノズル部16及びその近傍には、複数の開封誘導線が形成されてもよい。図2に示される例では、開封誘導線50の外側に開封誘導線52が形成され、開封誘導線50の内側に開封誘導線54が形成されている。この場合、ノズル部16にて内側から外側に向かう方向において、開封誘導線54、開封誘導線50、及び開封誘導線52が、この順に形成されている。以下では、ユーザによって、開封誘導線50に略一致したラインに沿って、ノズル部16が切断される場合を例に説明する。
【0047】
上述した上部シール部44及び側部シール部46は、ノズル部16が切断された後に形成される注出口60から内容物が注出(排出)されやすくなるように形成されている。具体的には、仮想ラインL1、仮想ラインL2、点A、点B、及び交点Cそれぞれを、後述のように定義したときに、交点Cが仮想ラインL1(開封誘導線50)よりも外側に位置するように、上部シール部44及び側部シール部46が形成されている。
【0048】
仮想ラインL1は、ノズル部16、上部シール部44、及び側部シール部46を通り、内容物を注出する際に注出口を形成するために切断される予定の仮想的なラインである。仮想ラインL1は、開封誘導線50によって形成されている。仮想ラインL1は、開封誘導線50と略一致するように引かれた湾曲状のラインである。仮想ラインL1は、ノズル部16、上部シール部44の第1部分44a、及び側部シール部46のうちのフック部46cの底部Eよりも上方の部分を横断していてもよい。
【0049】
仮想ラインL2は、仮想ラインL1の上端と下端とを(直線で)結ぶ仮想的な線分(以下、「仮想線分LS」という。)の中点を通る垂線である。仮想ラインL2は、仮想線分LSの中点を通り、且つ仮想線分LSに垂直に交わるように直線状に延びるラインである。仮想ラインL1の上端は、開封誘導線50の上端である点Xに対応しており、仮想ラインL1の下端は、開封誘導線50の下端である点Yに対応している。
【0050】
点Aは、上部シール部44の内側の縁のうちの最下端である。言い換えると、点Aは、上部シール部44の内側の縁のうちの下縁12Bに最も近い点である。点Bは、側部シール部46の内側の縁のうちの方向D2において最も内側に位置する端である。言い換えると、点Bは、側部シール部46の内側の縁のうちの右側縁12Rに最も近い点である。
【0051】
ここで、図2に示されるように、点Aを通る仮想的なラインである仮想ラインLAと、点Bを通る仮想的なラインである仮想ラインLBとを定義する。仮想ラインLAと仮想ラインLBとは、点Aと点Bとを結ぶ線分(仮想的な線分)よりも外側において仮想ラインL2上で互いに直角に交わるように引いた2つの仮想ラインである。言い換えると、仮想ラインLAと仮想ラインLBとは、点Aと点Bとの双方を通る直線状の仮想ラインよりもノズル部16の先端寄りに位置する領域において、仮想ラインL2上で互いに直角に交わる。仮想ラインLAは、点Aからノズル部16の先端に向かって直線状に延びており、仮想ラインLBは、点Bからノズル部16の先端に向かって直線状に延びている。
【0052】
互いに直角に交わる点Aを通る仮想ラインと点Bを通る仮想ラインとの組合せは他にも存在するが、仮想ラインLAと仮想ラインLBとは、これらの組合せのうちの仮想ラインL2(仮想線分LSの中点を通る垂線)上で互いに直角に交わる組合せの仮想ラインである。交点Cは、仮想ラインLAと仮想ラインLBとが仮想ラインL2上で交わる点である。交点Cは、開封誘導線50よりも外側において、ノズル部16又は先端シール部42に位置していてもよい。交点Cがノズル部16(ノズル部16のうちの開封誘導線50よりも外側の領域)に位置するように、上部シール部44及び側部シール部46が形成されてもよい。
【0053】
交点Cは、切断された状態のノズル部16から内容物を注出する際に、残ったノズル部16で形成され、先細りとなる立体形状の仮想的な頂点に対応する。交点Cが、仮想ラインL1(開封誘導線50)よりも外側に位置することで、ノズル部16に形成された注出口60が内容物を注ぐ際に開きやすくなる。仮想ラインL2上における交点Cと仮想ラインL1との間の距離は、ノズル部16に形成される注出口60の開きやすさの観点から、1.0mm以上であってもよく、2.0mm以上であってもよく、3.0mm以上であってもよい。仮想ラインL1上における交点Cと仮想ラインL1との間の距離は、上部シール部44及び側部シール部46の形成の容易さの観点から、20.0mm以下であってもよく、15.0mm以下であってもよく、10.0mm以下であってもよく、8.0mm以下であってもよい。例えば、仮想ラインL2上における交点Cと仮想ラインL1との間の距離は、1.0mm~30.0mmであってもよく、2.0mm~20.0mmであってもよく、3.0mm~10.0mmであってもよい。
【0054】
仮想線分LSの長さ(点Xと点Yとの間の直線距離)は、対象容器90が有する注入口92の径の大きさに応じて設定されている。仮想線分LSの長さは、対象容器90の注入口92の径(内径)よりも小さい値に設定されている。以下では、対象容器90の注入口92の内径を「内径W」とする(図5(a)を参照)。仮想線分LSの長さは、対象容器90の注入口92へのノズル部16の挿入のしやすさの観点から、注入口92の内径Wの0.95倍以下であってもよい。仮想線分LSの長さは、ノズル部16に形成される注出口60からの注ぎ性(注出のしやすさ)を向上させる観点から、内径Wの0.8倍以上であってもよい。内径Wが20mmである場合、仮想線分LSの長さは、20mmよりも小さい。この場合、仮想線分LSの長さは、16.0mm~19.0mmであってもよく、17.0mm~18.5mmであってもよい。
【0055】
側部シール部46は、フック部46cの底部Eと点Xとの間の直線距離が、対象容器90が有する注入口92の内径Wよりも小さくなるように形成されてもよい。底部Eと点Xとの間の直線距離を内径Wよりも小さくすることで、フック部46cを用いた注入口92へのノズル部16の挿入性(挿入のしやすさ)が向上する。底部Eと点Xとの間の直線距離は、内容物を詰め替える際の注入口92へのノズル部16の挿入性の観点から、仮想線分LSの長さの1.20倍以下であってもよく、仮想線分LSの長さの1.15倍以下であってもよく、仮想線分LSの長さの1.10倍以下であってもよい。底部Eと点Xとの間の直線距離は、仮想線分LSの長さよりも大きくてもよい。
【0056】
[内容物充填後の詰替用パウチ]
図3には、内容物が充填された後に開口部OPがシールされた状態の詰替用パウチ1B(内容物入り詰替用パウチ)の側面図が示されている。詰替用パウチ1Bでは、詰替用パウチ1Aのシール部Sに代えて、前面フィルム2と背面フィルム4との周縁全体をシールするシール部S1が形成されている。内容物が充填された詰替用パウチ1Bでは、前面フィルム2及び背面フィルム4の下縁12Bが、これらのフィルムに垂直な上記垂直方向に沿って底面フィルム6と共に広がる。そのため、前面フィルム2及び背面フィルム4の下縁12Bによって、略円形状の仮想設置面が形成される。これにより、詰替用パウチ1Bが自立可能であり、起立した状態の詰替用パウチ1Bを陳列及び販売することができる。
【0057】
シール部S1は、上縁シール部38を更に有する点で詰替用パウチ1Aのシール部Sと相違する。上縁シール部38は、方向D2において上部シール部44と右縁シール部36との間に位置し、方向D2に沿って延びている。上縁シール部38の左端部は、上部シール部44の第2部分44bの上端部に接続されており、上縁シール部38の右端部は、右縁シール部36の上端部に接続されている。上部シール部44の第2部分44bは、内容物充填後の詰替用パウチ1Bにおいて、第1部分44aと上縁シール部38とを接続する。上縁シール部38の幅(方向D1における長さ)は、左縁シール部34の幅と略一致していてもよく、右縁シール部36の幅と略一致していてもよい。上縁シール部38の幅は、3.0mm~10.0mm程度であってもよい。
【0058】
上縁12Tと点Aとの間の方向D1における距離は、上縁シール部38が形成された際に、方向D1において上縁シール部38の下端がノズル部16に重ならないように設定されてもよい。上縁シール部38は、その下端が上部シール部44の第1部分44aの内側の縁と開封誘導線52(又は開封誘導線50)との交点よりも上方に位置するように形成されてもよい。ここで、上部シール部44の内側の縁の最下端である点Aと、上縁シール部38の内側の縁との間の方向D1における距離を「距離H」と定義する。距離Hは、3.0mm~30.0mmであってもよく、4.0mm~15.0mmであってもよく、5.0mm~10.0mmであってもよい。
【0059】
距離Hは、第2部分44bと上縁シール部38によって形成される内側の入隅部での内容物の滞留を考慮して設定されてもよい。距離Hは、例えば、詰替用パウチ1Bから内容物を対象容器90に詰め替える際に注出口60が下向きとなるようにユーザが詰替用パウチ1Bを吊り下げたときの、第2部分44bと上縁シール部38との交点近傍での内容物の滞留を抑制するように設定される。一例では、この滞留を抑制する観点から、距離Hは、15mm以下であってもよく、13mm以下であってもよく、10mm以下であってもよい。距離Hは、詰替用パウチ1Bを自立した状態で、上縁シール部38の内側の縁と点Aとの間の方向D1における距離を計測することで得られる。
【0060】
距離Hは、第2部分44bが延びる方向に対応する上記角度α(図2参照)に応じて設定されていてもよい。角度αが20°以上且つ30°未満である場合に、距離Hが、0.1mm~5.0mmであってもよく、0.3mm~4.5mmであってもよく、0.5mm~4.0mmであってもよい。角度αが30°以上且つ60°未満である場合に、距離Hが、0.1mm~15.0mmであってもよく、0.3mm~13.0mmであってもよく、0.5mm~10.0mmであってもよい。角度αが60°~80°である場合に、距離Hが、0.1mm~30.0mmであってもよく、0.3mm~25.0mmであってもよく、0.5mm~20.0mmであってもよい。
【0061】
[詰替用パウチの製造方法]
続いて、詰替用パウチ1A,1Bの製造方法について説明する。最初に、前面フィルム2等の母材であるフィルム(シート)を所定の形状よりも大きいサイズに裁断することで、前面フィルム2、背面フィルム4、及び底面フィルム6を得る。このときに得られる各フィルムは、詰替用パウチ1A,1B(最終製品)における所定の形状よりも大きいサイズを有する。次に、前面フィルム2、背面フィルム4、及び底面フィルム6を互いに重ねた状態で、前面フィルム2及び背面フィルム4の周縁同士を部分的にシールする。このときに得られるシール部の幅は、詰替用パウチ1Aにおけるシール部Sの幅よりも若干大きい。
【0062】
次に、周縁同士がシールされた中間品を所定の形状に裁断する(打ち抜く)。これにより、底シール部32、左縁シール部34、右縁シール部36、及び注出口シール部40が形成され、図1に示されるシール部Sが得られる。そして、注出口シール部40において、図2に示されるように、上部シール部44、ノズル部16、及び側部シール部46を横断するように1つ又は複数の開封誘導線を形成する。なお、開封誘導線は、シール部Sを形成する前に形成されてもよい。以上の工程を経ることで、開口部OPを有する詰替用パウチ1Aが製造される。
【0063】
次に、詰替用パウチ1Aの周縁のうちのシールされていない部分である開口部OPから内容物を充填する。そして、図3に示されるように、上部シール部44と右縁シール部36との間において、開口部OPを閉じるように上縁シール部38を形成することで、前面フィルム2及び背面フィルム4の周縁全体をシールするシール部S1を得る。以上の工程を経ることで、内容物が充填された状態の詰替用パウチ1Bが製造される。
【0064】
[内容物の詰替手順]
続いて、図4図6を参照しながら、ユーザによる詰替用パウチ1Bから対象容器90への内容物の詰め替え手順を説明する。対象容器90は、プラスチック製のボトル又はガラス製のボトルである。詰替用パウチ1Bによる詰め替え対象の対象容器90の種別は、予め定められている。一例では、前面フィルム2及び背面フィルム4の少なくとも一方において、対象容器90の種別を示す情報が印刷されている。
【0065】
まず、ユーザは、注出口シール部40の先端シール部42及び上部シール部44の第3部分44cを手で摘まみ、上部シール部44による窪み(点X)から開封誘導線50に沿ってノズル部16の先端部を切断する。これにより、図4に示されるように、詰替用パウチ1Bが開封され、ノズル部16において注出口60が形成される。注出口60が形成される位置は、開封誘導線50が形成されていた位置に略一致する。そして、ユーザは、図5(a)に示されるように、開封された詰替用パウチ1Bを注出口60から内容物が出ない程度に傾けて保持した状態で、フック部46cを対象容器90の注入口92の上端に引っ掛ける。
【0066】
次に、ユーザは、図5(b)に示されるように、フック部46cを引っ掛けた状態から、詰替用パウチ1Bを更に傾けることで、注出口60(切断後に残ったノズル部16の先端部分)を対象容器90の注入口92に挿入する。この際、ユーザは、注出口60が下向きの状態で詰替用パウチ1Bが宙に吊り下げるように、詰替用パウチ1Bを保持する。注出口60が下向きの状態が維持され、内容物が注出口60から注出されるのに伴って、図6に示されるように、注出口60が外方に向けて広がる。より詳細には、注出口60における前面フィルム2及び背面フィルム4が互いに離れるように、注出口60が広がる。そして、詰替用パウチ1B内の内容物のほぼ全てが、対象容器90内に移されると、詰め替えが終了する。
【0067】
(変形例)
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示の要旨の範囲内で種々の変形例を上記の実施形態に加えてもよい。上記の例では、前面フィルム2及び背面フィルム4においてエンボス線が設けられていなかったが、前面フィルム2及び背面フィルム4には、エンボス加工されたエンボス線が設けられてもよい。例えば、図7に示されるように、詰替用パウチ1Aの前面フィルム2及び背面フィルム4それぞれは、エンボス加工部82を有してもよい。エンボス加工部82は、第1エンボス線82aと、第2エンボス線82bとを含む。
【0068】
第1エンボス線82a及び第2エンボス線82bは、ノズル部16及びその近傍に形成されている。前面フィルム2(第1フィルム)に形成された第1エンボス線82a及び第2エンボス線82bは、背面フィルム4(第2フィルム)から離れるように外方に突出している。背面フィルム4(第1フィルム)に形成された第1エンボス線82a及び第2エンボス線82bは、前面フィルム2(第2フィルム)から離れるように外方に突出している。
【0069】
第1エンボス線82a及び第2エンボス線82bの断面(不図示)は、共にC字形状を呈している。当該断面では、前面フィルム2の第1エンボス線82aと背面フィルム4の第1エンボス線82aは互いに対向しており、これらのエンボス線の間に空間が形成されている。同様に第2エンボス線82b同士も対向しており、これらのエンボス線の間に空間が形成されている。エンボス加工部82が設けられた詰替用パウチ1Aを、前面フィルム2及び背面フィルム4に垂直な方向から見て、第1エンボス線82a及び第2エンボス線82bは共に、開封誘導線50を含む複数の開封誘導線を横切っている。
【0070】
第1エンボス線82aは、第2エンボス線82bよりも上方に設けられている。第1エンボス線82aは、その中央部分が下方(第2エンボス線82b)に向けて突出するように湾曲した曲線状であってもよい。第1エンボス線82aの注出口シール部40に近い一端は、ノズル部16において開封誘導線50よりも外側に位置している。第2エンボス線82bは、右斜め下(左斜め上)に延びるように直線状に形成されてもよい。第2エンボス線82bの注出口シール部40に近い一端は、ノズル部16において開封誘導線50よりも外側に位置している。
【0071】
図8に示されるように、前面フィルム2及び背面フィルム4それぞれは、エンボス加工部82に代えて、エンボス加工部84を有してもよい。エンボス加工部84は、第1エンボス線84a、第2エンボス線84b、第3エンボス線84c、及び第4エンボス線84dを含む。第2エンボス線84bは、上述の第1エンボス線82a及び第2エンボス線82bと同様に、他方のフィルムから離れるように外方に向かって突出している。第2エンボス線84bは、開封誘導線50を含む複数の開封誘導線を横切るように、直線状に延びている。第2エンボス線84bの注出口シール部40に近い一端は、開封誘導線50よりも外側に位置している。
【0072】
第1エンボス線84a、第2エンボス線84b、第3エンボス線84c、及び第4エンボス線84dは、第2エンボス線84bに垂直な方向に沿って、この順に配置されている。前面フィルム2に形成された第1エンボス線84a、第3エンボス線84c、及び第4エンボス線84dそれぞれは、背面フィルム4に向かって突出するようにエンボス加工されている。背面フィルム4に形成された第1エンボス線84a、第3エンボス線84c、及び第4エンボス線84dそれぞれは、前面フィルム2に向かって突出するようにエンボス加工されている。図8において、外方に向かって突出するエンボス線が白抜きで示されており、内側に向かって突出するエンボス線が黒塗りで示されている。
【0073】
第1エンボス線84aは、その中央部分が右斜め上に向かって窪む(凹む)ように折れ曲がっている。第3エンボス線84cは、その中央部分(ノズル部16から離れる端部寄りの部分)が左斜め下に向かって窪むように折れ曲がっている。第1エンボス線84aと第3エンボス線84cは、第2エンボス線82bを挟むように配置されている。第4エンボス線84dは、直線状に形成されている。第4エンボス線84dは、第2エンボス線84bとの間の距離が、ノズル部16に向かうにつれて小さくなるように形成されている。第1エンボス線84a、第3エンボス線84c、及び第4エンボス線84dそれぞれのノズル部16に近い一端は、開封誘導線50よりも内側に位置している。第1エンボス線84a、第3エンボス線84c、及び第4エンボス線84dは、内容物を注出する際のノズル部16とノズル部16まで内容物を導く内側の部分の立体形状を規定する(立体形状を保持する)立体形状規定部として機能する。
【0074】
エンボス加工部82又はエンボス加工部84において、前面フィルム2及び背面フィルム4の一方のフィルムにエンボス線が設けられ、他方のフィルムにエンボス線が設けられていなくてもよい。詰替用パウチ1A,1Bは、エンボス加工部82及びエンボス加工部84に代えて、内側に向かって突出するエンボス線(例えば、第1エンボス線84a、第2エンボス線84b、又は第4エンボス線84d)が、開封誘導線50を横切っていてもよい。
【0075】
上述の例では、開封誘導線50に沿ってユーザが、ノズル部16を開封する場合を例に説明したが、ユーザが、開封誘導線50以外の他の開封誘導線(例えば、開封誘導線50よりも内側に位置する開封誘導線54)に沿って開封する場合もある。開封誘導線54に沿って開封が行われる場合には、仮想ラインL1が開封誘導線54によって形成される。開封誘導線54によって仮想ラインL1が形成される場合についても、交点Cと仮想ラインL1が、上記で説明した関係を満たしていてもよい。このように、詰替用パウチ1(詰替用パウチ1A,1B)において複数の開封誘導線が存在する場合、いずれか1つの開封誘導線について、交点Cと仮想ラインL1との間で交点Cが仮想ラインL1よりも外側に位置する上記関係を満たしていればよい。又は、少なくとも、最もユーザが開封する可能性が高い部分である中央の開封誘導線(開封誘導線50)によって形成される仮想ラインL1と交点Cとが、上記関係を満たしていればよい。
【0076】
[実施形態の効果]
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1では、上部シール部44の最下端(点A)を通る仮想ラインLAと、側部シール部46の左右方向(方向D2)において最も内側に位置する端(点B)を通る仮想ラインLBとが、仮想線分LSの中点を通る垂線上で直角に交わる点である交点Cが、注出口60が形成される予定の仮想ラインL1よりも外側に位置している。ノズル部16を下に向けて内容物を注出する際には、仮想ラインLAと仮想ラインLBとによって規定される立体形状がノズル部16に形成され得る。そして、交点Cは、ノズル部16に形成される立体形状の仮想的な頂点に相当する。仮に、交点Cが仮想ラインL1よりも内側に位置していると、開封されたノズル部において内容物の注出時に形成される立体形状の頂点が、注出口よりも内側に位置することになる。この場合、仮想ラインLAと仮想ラインLBとによって規定されて形成される立体形状による広がりが注出口に到達せずに、注出時に注出口が閉塞してしまうおそれがある。
【0077】
これに対して、上記詰替用パウチ1では、ノズル部16での立体形状の頂点に相当する交点Cが仮想ラインL1の外側に位置することで、仮想ラインLAと仮想ラインLBとによって規定されて形成される立体形状の途中に注出口60が位置することとなる。そのため、内容物を注出する際に注出口60が開きやすくなり、交点Cが仮想ラインL1よりも内側に位置する場合に比べて、詰替用パウチ1から内容物が排出されやすい。従って、上記詰替用パウチ1は、内容物の注ぎ時間を短縮するのに有用である。
【0078】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、仮想ラインL2上での交点Cと仮想ラインL1との間の距離は、1mm以上であってもよい。この場合、仮想ラインL1に沿って形成される注出口60が、上記立体形状の仮想的な頂点よりも1mm以上離れた内側の位置に形成される。そのため、内容物を注出する際に注出口60がより開きやすくなるので、詰替用パウチ1から内容物が更に排出されやすい。従って、内容物の注ぎ性を向上させるのに有用である。
【0079】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、仮想線分LSの長さは、20mmよりも小さくてもよい。この場合、詰め替え対象の対象容器90における注入口92のサイズが小さくても、切断された後に残ったノズル部16を挿入しやすい。注出口60が形成されるノズル部16の幅を小さくして挿入性を向上させても、詰替用パウチ1では、交点Cを仮想ラインL1の外側に位置させることで内容部の注ぎ性を向上させている。従って、開封後のノズル部16の挿入性と内容物の注ぎ性との両立に有用である。
【0080】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、仮想ラインL1は、開封誘導線(開封誘導線50)によって形成されていてもよい。この場合、開封誘導線に沿って、ノズル部16が開封される場合が多くなる。そのため、内容物の注ぎ時間を短縮することが可能な状態で開封される機会が多くなり、ユーザの利便性の向上に有用である。
【0081】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、開封誘導線(開封誘導線50)は、中央部分が内側に窪むように湾曲していてもよい。この場合、上記交点Cを開封誘導線に対応する仮想ラインL1より外側に配置するのが容易である。従って、交点Cが仮想ラインL1よりも外側に位置するように上部シール部44及び側部シール部46を形成するのが容易である。
【0082】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、側部シール部46には、内側に向って窪むフック部46cが形成されていてもよい。この場合、ユーザは、フック部46cを詰め替え対象の対象容器90の注入口92の上端に引っ掛けて、開封されたノズル部16を注入口92に挿入することができる。従って、ユーザの利便性の向上に有用である。
【0083】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、フック部46cの底部Eと仮想ラインL1の上端(点A)との間の距離は、仮想線分LSの長さの1.2倍以下であってもよい。仮想線分LSの長さが長いと、フック部46cを注入口92の上端に引っ掛けた状態で詰替用パウチ1Bを傾けても、開封された状態のノズル部16が注入口92に挿入され難い。これに対して、上記構成では、仮想線分LSの長さが短いので、フック部46cを対象容器90の注入口92の上端に引っ掛けて、開封されたノズル部16を注入口92に挿入するのが容易である。従って、ユーザの利便性の向上に更に有用である。
【0084】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、フック部46cの底部Eと仮想ラインL1の上端(点X)との間の距離は、詰替用パウチ1Bから内容物が詰め替えられる対象の対象容器90が有する注入口92の径(内径W)よりも小さくてもよい。仮想線分LSの長さが長いと、フック部46cを注入口92の上端に引っ掛けた状態で詰替用パウチ1Bを傾けても、開封された状態のノズル部16が注入口92に挿入され難い。これに対して、上記構成では、仮想線分LSの長さが短いので、フック部46cを対象容器90の注入口92の上端に引っ掛けて、開封されたノズル部16を注入口92に挿入するのが容易である。従って、ユーザの利便性の向上に更に有用である。
【0085】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1において、上部シール部44は、ノズル部16に沿って延びる第1部分44aと、第1部分44aに接続され、ノズル部16と離れるように外側に向かって延びる第2部分44bとを含んでもよい。上下方向(方向D1)と第2部分44bが延びる方向とがなす角(角度α)は、20°~80°であってもよい。第2部分44bが上下方向に沿って延びる場合、内容物を注出する際に、その第2部分44bが水平方向又はノズル部16から離れるに従い斜め下に傾くので、第2部分44bの内側の領域において内容物が滞留してしまうおそれがある。これに対して、上記構成では、内容物を注出する際に、第1部分44aがノズル部に向かって斜め下方に延びるように配置される。そのため、第2部分44bの内側の領域において内容物の滞留の発生が抑制される。従って、内容物の注ぎ性の向上に更に有用である。
【0086】
第1フィルム(前面フィルム2及び背面フィルム4の一方)は、第2フィルム(前面フィルム2及び背面フィルム4の他方)に向けて突出するか、又は第2フィルムから離れる方向に向けて突出するようにエンボス加工されたエンボス線を有してもよい。エンボス線は、仮想ラインL1を横切るように形成されていてもよい。この場合、仮想ラインL1に沿ってノズル部16を切断した際に形成される注出口60において、エンボス線によって流路が形成される。注出口60から内容部を排出し始める際に、この流路を内容物が通ることで、注出口60が押し広げられる。そのため、内容物の注ぎ性を向上させるのに更に有用である。なお、図1又は図2に示されるように、交点Cと仮想ラインL1との上記の位置関係において注ぎ性を向上させる場合に、詰替用パウチ1においていずれのエンボス線も設けられていなくてもよい。エンボス線を設けない構成とすることで、製造効率及びパウチの耐久性を向上させるのに有用である。
【0087】
以上の実施形態に係る詰替用パウチ1B(内容物入り詰替用パウチ)において、シール部S1は、一対のフィルム(前面フィルム2及び背面フィルム4)の上端部において左右方向(方向D2)に沿って延び、上部シール部44に接続される上縁シール部38を更に有してもよい。上部シール部44は、ノズル部16に沿って延びる第1部分44aと、ノズル部16と離れるように外側に向かって延びて第1部分44aと上縁シール部38とを接続する第2部分44bとを含んでもよい。上下方向(方向D1)と第2部分44bが延びる方向とがなす角は、20°~80°であってもよい。上縁シール部38と点Aとの間の上下方向に沿った距離は、15mm以下であってもよい。この場合、内容物を注出する際に、第2部分44bがノズル部16に向かって斜め下方に延びるように配置され、更に、第2部分44bと上縁シール部38との内側に形成される領域が小さい。そのため、第2部分44bと上縁シール部38との内側に形成される領域での内容物の滞留の発生が抑制される。従って、内容物の注ぎ性の向上に更に有用である。
【実施例0088】
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
(実施例)
図1に示される詰替用パウチ1Aを形成した。詰替用パウチ1Aのサイズ及び注出口シール部40の態様は、以下のとおりとした。詰替用パウチ1Aには、いずれのエンボス線も形成しなかった。「NY/LLDPE」の層構造を有するフィルムを用いて、詰替用パウチ1Aを形成した。
・高さ(上下方向の全長):245mm
・幅(左右方向の全長):120mm
・仮想線分LSの長さ(点Xと点Yとの間の距離):18.0mm
・点Xと注出口60の一端の間のシール幅:3.0mm
・点Yと注出口60の他端の間のシール幅:3.0mm
・仮想ラインL2上での交点Cと開封誘導線50との間の距離:4.0mm
【0090】
以上のように形成された詰替用パウチ1Aに、500mlの水を入れた。そして、開口部OPをシールすることによって、詰替用パウチ1Bを得た。その後、開封誘導線50に沿って注出口シール部40及びノズル部16を切断することで注出口60を形成し、詰替用パウチ1Bを逆さにして注出口60から水を自由落下させた。充填させた水が連続して出なくなるまでの時間を計測し、200mlあたりの注ぎ時間を計測した。200mlあたりの注ぎ時間の計測値は、13.7秒であった。
【0091】
(比較例1~3)
交点Cが開封誘導線よりも内側に位置する比較用のパウチを準備した。比較例1では、仮想線分LSに相当する部分の長さが20.0mmであり、開封誘導線を横切るエンボス線が形成されていた。比較例2では、仮想線分LSに相当する部分の長さが20.5mmであり、開封誘導線を横切るエンボス線が形成されていた。比較例3では、仮想線分LSに相当する部分の長さが18.0mmであり、いずれのエンボス線も形成されていなかった。比較例1~3それぞれにおいても、実施例と同様に、水を入れた後に200mlあたりの注ぎ時間を計測した。比較例1での200mlあたりの注ぎ時間は、35.6秒であった。比較例2での200mlあたりの注ぎ時間は、37.9秒であった。比較例3での200mlあたりの注ぎ時間は、32.6秒であった。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B…詰替用パウチ、2…前面フィルム、4…背面フィルム、14…隅部、16…ノズル部、40…注出口シール部、42…先端シール部、44…上部シール部、44a…第1部分、44b…第2部分、46…側部シール部、46c…フック部、C…交点、L1,L2,LA,LB…仮想ライン、LS…仮想線分、50,52,54…開封誘導線、60…注出口、82a,82b,84a~84d…エンボス線、90…対象容器、92…注入口、W…内径、D1…上下方向、D2…左右方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8