(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014405
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】経営支援システム、経営支援装置、および経営支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220112BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116727
(22)【出願日】2020-07-06
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】518224923
【氏名又は名称】株式会社エイチ・エーエル
(74)【代理人】
【識別番号】100145148
【弁理士】
【氏名又は名称】北上 日出登
(72)【発明者】
【氏名】田村 嘉康
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA01
(57)【要約】
【課題】経営全体を体系的に把握した組織の運営を支援することを可能とする。
【解決手段】経営理念等含む前提事項、事業計画等を含む事業関連事項について、各内容に応じた項目名を配列表示させ、配列された各項目名のいずれかが選択されると、選択に応じた内容の入力を可能とする項目入力表示を選択に応じて変更して表示させ、入力可能な内容のうち、あらかじめ指定された指定項目への入力、または入力を確定する操作を受けると、配列された項目名のうち、当該入力または操作に応じた項目名に対して、識別可能に表示を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経営理念、ビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む前提事項、並びに事業計画と事業戦略または課題のうち少なくともいずれかの組合せを含む事業関連事項について、当該前提事項および事業関連事項の各内容に応じた項目名を配列表示させる総括表示制御部と、
前記総括表示制御部により、配列表示された各項目名のうち、いずれかの項目が選択されると、当該選択された項目名に応じた内容の入力を可能とする項目入力表示を選択に応じて変更して表示させる項目表示制御部と、
前記項目入力表示においてユーザーが入力可能な内容のうち、あらかじめ指定された指定項目への入力を受けるか、または当該指定項目に対する入力を確定する操作を受けると、前記総括表示制御部により配列表示された前記項目名のうち、当該入力または操作に応じた項目名に対して、識別可能に表示を変更する識別制御部と、を備える
経営支援システム。
【請求項2】
前記識別制御部は、前記指定項目に対する入力または確定操作を受けた変更対象項目名と、未だ前記入力または確定操作を受けていない未変更項目名とが識別可能となるように、当該変更対象項目名の表示を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の経営支援システム
【請求項3】
前記選択に応じた項目入力表示が表示されているときにおける、前記項目名に応じた内容の入力は、入力デバイスに基づくユーザー任意の文字列の入力、およびあらかじめ設定された選択肢の選択による入力のうち、少なくともいずれか一方を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の経営支援システム。
【請求項4】
前記総括表示制御部における配列表示として、マーケティング関連事項をさらに含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の経営支援システム。
【請求項5】
前記項目入力表示における前記前提事項では、自由回答形式の入力欄が設けられており、
前記事業関連事項では、詳細な質問内容およびそれに対する回答欄が設けられている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の経営支援システム。
【請求項6】
経営理念およびビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む第1の群、マーケティング関連事項を含む第2の群、並びに事業戦略、課題、事業計画のうち少なくとも2以上の項目を含む第3の群について、当該第1から第3の群の各内容に応じた項目名が配列された包括視点画面を表示手段に表示させる第1の制御部と、
前記包括視点画面に表示された前記第1の群、前記第2の群および前記第3の群に含まれるいずれかの項目が選択されると、当該選択された項目名に応じた内容の入力を可能とする項目視点画面に遷移して表示させる第2の制御部と、
前記項目視点表示画面においてユーザーが入力可能な内容のうち、少なくとも指定記載項目が入力され、または当該指定記載項目に対する入力を確定する操作を受けると、前記項目名につき前記包括視点画面にて入力が完了していることをユーザーに認識可能にするよう識別表示を実行する第3の制御部と、を備える
経営支援システム。
【請求項7】
経営理念、ビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む前提事項、並びに事業計画と事業戦略または課題のうち少なくともいずれかの組合せを含む事業関連事項について、当該前提事項および事業関連事項の各内容に応じた項目名を配列表示させる総括表示制御部と、
前記総括表示制御部により、配列表示された各項目名のうち、いずれかの項目が選択されると、当該選択された項目名に応じた内容の入力を可能とする項目入力表示を選択に応じて変更して表示させる項目表示制御部と、
前記項目入力表示においてユーザーが入力可能な内容のうち、あらかじめ指定された指定項目への入力を受けるか、または当該指定項目に対する入力を確定する操作を受けると、前記総括表示制御部により配列表示された前記項目名のうち、当該入力または操作に応じた項目名に対して、識別可能に表示を変更する識別制御部と、を備える
経営支援装置。
【請求項8】
経営理念、ビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む前提事項、並びに事業計画と事業戦略または課題のうち少なくともいずれかの組合せを含む事業関連事項について、当該前提事項および事業関連事項の各内容に応じた項目名を配列表示させる工程と、
前記総括表示制御部により、配列表示された各項目名のうち、いずれかの項目が選択されると、当該選択された項目名に応じた内容の入力を可能とする項目入力表示を選択に応じて変更して表示させる工程と、
前記項目入力表示においてユーザーが入力可能な内容のうち、あらかじめ指定された指定項目への入力を受けるか、または当該指定項目に対する入力を確定する操作を受けると、前記総括表示制御部により配列表示された前記項目名のうち、当該入力または操作に応じた項目名に対して、識別可能に表示を変更する工程と、を備える
経営支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経営支援システム、経営支援装置、および経営支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、経営コンサルタントが、企業をはじめとする各種組織の運営、経営を支援してきたが、近年、事業等のサポートをするための技術(システム、プログラム、装置)や仕組みが構築されるようになってきた。
【0003】
例えば、経営計画の作成を支援する技術、企業における事業単位を支援する技術、人事評価を支援する技術、財務を支援する技術、マーケティングを支援する技術等、経営における様々な観点に基づく経営支援技術が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-67778号公報
【特許文献2】特開2018-195308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の事業等のサポートをするシステムにおいては、経営全体を構成する各要素(経営計画、各事業、人事評価、財務、マーケティング等)に焦点を絞った構成であり、当該要素ごとに必要な機能に特化している。
【0006】
これらシステムを利用する前提として、経営理念やビジョン、経営戦略から、マーケティング、事業戦略、事業計画の策定に至るまで、経営の目的と要素(以下、「要素等」と記載する)を全て把握している必要がある。そうした組織であれば、自己の組織にとって補うべき要素等を認識しているので、その要素等に特化したシステムを選択し利用すればよい。このような組織は、従来のサポートシステムを利用して各部門の運営を円滑にし、あるいは作業効率を向上させることができる。
【0007】
事業計画の作成の前に経営計画やマーケティングがあり、さらにその前段階として経営理念やビジョンが作成される。事業計画は、これら前段階の事項や結果を前提として作成されるものである。しかしながら、従来の経営支援技術においては、理念、ビジョン、目的から具体的な計画に至るまでの各段階が分断されていた。
【0008】
したがって、従来では、経営理念やビジョンが作成され、またマーケティングが行なわれた上で、事業計画が作成されたとしても、各段階の間の連続性が無く、理念やビジョン、マーケティングと事業計画との間にずれが生じやすくなっていた。さらに、そのずれにより、事業の結果が意図しないものとなるおそれがあった。この意図しない結果とは、例えば売上目標の未達である。または理念やビジョンもしくは経営者のイメージに対する、需要者からの評価との相違、またはそれらと事業の成果との相違、または組織の成長の鈍化等も意図しない結果といえる。
【0009】
この発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、経営全体を体系的に把握した組織の運営を支援することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態は、経営支援システムである。経営支援システムは、
経営理念、ビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む前提事項、並びに事業計画と事業戦略または課題のうち少なくともいずれかの組合せを含む事業関連事項について、当該前提事項および事業関連事項の各内容に応じた項目名を配列表示させる総括表示制御部と、
前記総括表示制御部により、配列表示された各項目名のうち、いずれかの項目が選択されると、当該選択された項目名に応じた内容の入力を可能とする項目入力表示を選択に応じて変更して表示させる項目表示制御部と、
前記項目入力表示においてユーザーが入力可能な内容のうち、あらかじめ指定された指定項目への入力を受けるか、または当該指定項目に対する入力を確定する操作を受けると、前記総括表示制御部により配列表示された前記項目名のうち、当該入力または操作に応じた項目名に対して、識別可能に表示を変更する識別制御部と、を備え、
前記識別制御部は、前記指定項目に対する入力または確定操作を受けた変更対象項目名と、未だ前記入力または確定操作を受けていない未変更項目名とが識別可能となるように、当該変更対象項目名の表示を変更するように構成される。
選択に応じた項目入力表示が表示されているときにおける、前記項目名に応じた内容の入力は、入力デバイスに基づくユーザー任意の文字列の入力、およびあらかじめ設定された選択肢の選択による入力のうち、少なくともいずれか一方を含む。
他の実施形態は、経営支援システムである。経営支援システムは、
経営理念およびビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む第1の群、マーケティング関連事項を含む第2の群、並びに事業戦略、課題、事業計画のうち少なくとも2以上の項目を含む第3の群について、当該第1から第3の群の各内容に応じた項目名が配列された包括視点画面を表示手段に表示させる第1の制御部と、
前記包括視点画面に表示された前記第1の群、前記第2の群および前記第3の群に含まれるいずれかの項目が選択されると、当該選択された項目名に応じた内容の入力を可能とする項目視点画面に遷移して表示させる第2の制御部と、
前記項目視点表示画面においてユーザーが入力可能な内容のうち、少なくとも指定記載項目が入力され、または当該指定記載項目に対する入力を確定する操作を受けると、前記項目名につき前記包括視点画面にて入力が完了していることをユーザーに認識可能にするよう識別表示を実行する第3の制御部と、
を備える。
他の実施形態は、経営支援システムである。経営支援システムは、
経営理念およびビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一方の入力欄を含む第1の入力表示、マーケティング関連事項の入力欄を含む第2の入力表示、並びに事業戦略、課題、事業計画のうち少なくとも2以上の項目についての入力欄を含む第3の入力表示を、選択操作に基づいて、表示手段に選択的に切替表示させる切替表示部と、
前記第1の入力表示において入力された内容、または第2の入力表示において入力された内容を、当該内容に応じた項目と関連付けて記憶手段に記憶させる記憶制御部と、
前記切替表示部において、前記第3の入力表示が表示されるとき、前記記憶制御部により記憶された入力内容があるか検索する検索部と、
検索の結果、前記入力内容として、経営理念関連事項、ビジョン関連事項、またはマーケティング関連事項が記憶されていた場合、前記関連付けられた前記項目と、当該内容を対応づけて第3の入力表示と並列的に表示させる参照情報表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
実施形態によれば、組織の形成において、事業単位に着目する段階においても、経営全体を総括的に見た視点をユーザーに呈示することができ、経営全体を体系的に把握した組織の運営を支援することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の経営支援システムを示す概略ブロック図。
【
図2】総括表示と項目表示(経営理念入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図3】総括表示と項目表示(経営理念入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図4】総括表示と項目表示(経営ビジョン入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図5】総括表示と項目表示(マーケティング関連事項入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図6】総括表示と項目表示(マーケティング関連事項入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図7】総括表示と項目表示(マーケティング関連事項入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図8】総括表示と項目表示(マーケティング関連事項入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図9】総括表示と項目表示(マーケティング関連事項入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図10】総括表示と項目表示(マーケティング関連事項入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図11】総括表示と項目表示(事業戦略・課題入力表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図12】総括表示と項目表示(事業計画表示)が並列的に表示された状態を示す概略図。
【
図14】第2実施形態の経営支援システムを示す概略ブロック図。
【
図16】項目視点画面(経営理念項目)を示す概略図。
【
図17】項目視点画面(経営ビジョン項目)を示す概略図。
【
図18】項目視点画面(マーケティング関連項目)を示す概略図。
【
図19】項目視点画面(事業戦略・課題項目)を示す概略図。
【
図20】項目視点画面(事業計画項目)を示す概略図。
【
図24】変形例の経営支援システムを示す概略ブロック図。
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態の経営支援システム1の全体構成について
図1~
図13を参照して説明する。なお、
図1においてはクライアント端末100等の端末機器とサーバー200を含むネットワークを示しているが、これは本発明を実施する複数の形態のうちの一例である。すなわち、第1実施形態の説明において記載する各変形例、後に記載する第2実施形態以降の実施形態だけでなく、その他、様々な変更が可能である。
【0014】
(経営支援システム1の概要)
経営支援システム1は、
図1に示すようにクライアント端末100と第1サーバー1000とがデータを送受信可能に構成される。ただし、これは本発明を実施する複数の形態のうちの一例である。すなわち、第1実施形態の説明において記載する各構成、各変形例、後に記載する第2実施形態以降の実施形態だけでなく、その他、様々な形態で実施することが可能である。また
図1においては、第1サーバー1000に対し、1つのクライアント端末100が接続されている構成が示されているが、クライアント端末の数やサーバーの数は任意である。さらにサーバーにおける機能は適宜追加可能であり、またサーバー側の各機能(データ処理、記憶等)は、複数のサーバーに分けることも可能である。
【0015】
クライアント端末100と第1サーバー1000についてまず概要を説明する。経営支援システム1は、経営を支援するプログラムをユーザーに提供することが可能である。このプログラムは、後述の通り、経営理念、経営戦略から、マーケティング、事業戦略、事業計画の策定に至るまでの全体について、ユーザーに漏れなく認識させる。結果として、事業計画を作り上げる前段階として、経営全体を体系的に把握することを可能とする。
【0016】
この目的の実現のため、経営支援システム1では、総括表示と項目表示の組み合わせをユーザーに呈示する。本実施形態の説明において、総括表示と項目表示とは、それぞれ経営支援のためのグラフィカルユーザーインターフェースまたはそれを表示するための画面データを示す。このユーザーインターフェースの説明のため、
図2~12を参照する。これらは当該システムのユーザーインターフェースの概略例を示すものであるが、実施形態の説明のために例示するものであり、画面のレイアウトや表示態様、文字列等は任意に変更することが可能である。
【0017】
<総括表示の概要>
総括表示とは経営における要素等を一見して把握可能とする表示である。本実施形態の一例では、経営全体における概念的事項(理念・ビジョン)と、それを実践するための基礎(マーケティングや事業戦略等)と、それらに基づき具現化された事業までを簡潔、端的に表現した表示の集合である。この表示の一例は、当該要素等を表す表題、テーマまたはタイトル等を図形等で囲った表示領域である。なお、総括表示は上記に限らず、マーケティング関連事項を含まない形態があってもよい。
【0018】
事業計画は経営の要素等の1つであり、事業計画は、その事業を実施する合理的な動機や基礎を前提とすることが望ましい。このため総括表示は経営全体をユーザーに俯瞰させることを可能とする。また総括表示により、事業の計画時に前提となる経営の各要素の抜け漏れを、ユーザーに一見して把握させることができる。
【0019】
事業は、その実施により経営者や組織、需要者にとって有意となることを想定して計画される。言いかえると、事業の結果、成果が、経営者、従業員および組織自体にとっても、需要者にとっても無価値であれば、そもそも事業計画自体に問題があるといえる。このため、その前段階にある経営理念、経営ビジョン等が意識され、マーケティングや事業戦略といった基礎の上に、事業計画が策定されることが望ましい。
この点、本実施形態の総括表示によって経営全体を俯瞰することで、ユーザーは事業計画の根幹を理解することが可能である。これにより事業の安定や、意に沿った結果、成果をなす事業計画の策定が可能となる。なお、このための具体的な構成や処理については、後述のクライアント端末100の説明による。
【0020】
<項目表示の概要>
上記した事業計画の前提に、その事業を実施する合理的な動機や基礎がある。事業計画の策定の際、これら前提事項の具体的内容が容易に把握できれば、組織の方針から離れた事業計画の策定を防止できる。本実施形態の項目表示それぞれは、総括表示を構成する複数要素等ごとにそれを掘り下げた具体的内容をそれぞれ表すものであって、総括表示と組み合わされるように(連携して)構成される。
【0021】
例えば項目表示は、ユーザーによる総括表示の一部の選択にしたがい、選択に応じた表示内容が変更されるように構成される。この表示内容の変更とは、例えば切替表示である。すなわち、事業計画の項目表示をしているとき、選択表示における経営理念に相当する表示領域を選択すると経営理念の項目表示に切り替わるといったような表示処理が該当する。
【0022】
また項目表示においては、要素等の具体的内容の入力領域、また入力結果を表示するための表示領域が設けられている。さらに項目表示に対する所定の入力あるいはその確定操作があると、その項目と組み合わされた総括表示に反映される。なお、この「反映」とは、例えば総括表示を構成する複数の要素等の表示領域に対し、表示態様を変更することをいう。表示態様の変更の例としては未入力と入力済とがユーザーに識別可能であることを示す。次にクライアント端末100の構成について説明する。
【0023】
(クライアント端末100)
クライアント端末100は、総括表示制御101、項目表示制御部102、識別表示制御103、第1の入出力部104を含んで構成される。またクライアント端末100は、入力部I、表示部D等の周辺機器と接続される。
【0024】
<認証処理>
表示部Dおよび入力部Iを介し、ユーザーが、クライアント端末100を介して第1サーバー1000にアクセスする操作をすると、総括表示制御部101は、第1サーバー1000に認証処理を要求する。認証が成功するとクライアント端末100で当該経営支援プログラムを使用可能となる(経営支援プログラムの起動)。この一例について説明する。
【0025】
クライアント端末100のブラウザソフトが起動されると、表示部Dにインターネットブラウザが表示される(不図示)。このインターネットブラウザ上において、URL等、第1サーバー1000へのアクセス情報が指定されると、図示しないログイン画面が表示される。このログイン画面において、ユーザーは入力部Iを介して認証情報を入力可能である。認証情報としては、例えばユーザーまたはクライアント端末100固有の識別情報(ID等)とパスワードの組合せ、生体認証、ユーザーの所持物(ICカード、スマートフォン等)に基づく認証、ワンタイムパスワード等、任意の認証方式を採用することが可能である。2段階認証等、複数要素に基づくアクセス制限であってもよい。
【0026】
ログイン画面において認証情報が入力されると、総括表示制御部101は当該認証情報とアクセス要求を第1の入出力部104を介して第1サーバー1000に送信する。第1サーバー1000は、第2の入出力部1004を介して認証情報を受けると、サーバー制御部SCが認証処理を行い経営支援プログラムのアクセスを許可するか判定する。
【0027】
サーバー制御部SCの認証の結果、アクセスが許可されれば、サーバー制御部SCはサーバー記憶部1005とクライアント端末100との接続を確立する。その結果、クライアント端末100は、サーバー記憶部1005に記憶された経営支援プログラムを利用可能となる。つまりクライアント端末100の表示部Dには、経営支援プログラムの表示画面(例:
図2経営理念入力画面)が表示される。
【0028】
<経営支援プログラム表示画面>
総括表示制御部101、項目表示制御部102および識別表示制御部103は、第1サーバー1000からの画面テンプレートを受け、認証情報と対応づけられたユーザー等(ユーザーやユーザーが支援する事業者等)に固有の情報(ユーザー名義、ファイル名等)を組み込んで各種の経営支援プログラム表示画面(
図2~
図12等)を表示部Dに表示させる。つまり、総括表示制御部101、項目表示制御部102および識別表示制御部103は、
図2~
図12に示すような、経営の要素等ごとに異なる種別の画面表示をし、また各画面では総括表示1Aと項目表示1Bとが並列して表示される。なお、総括表示制御部101と項目表示制御部102および識別表示制御部103の区別は、説明の便宜上のものであり、必ずしも独立の表示制御部を要するものではない。
【0029】
ここで経営支援プログラムの表示画面の概略例を
図2~
図12に示す。
図2~
図12のうち、
図2および
図3は、総括表示1Aと項目表示1B(経営理念入力表示)が並列的に表示された経営理念入力画面1Xを示す概略図である。
図4は経営ビジョン入力画面2X、
図5~
図10は関連事項入力画面3X、
図11は事業戦略・課題入力画面4X、
図12は事業計画表示5Xを示す概略図である。
【0030】
≪経営理念入力画面1X≫
図2~
図12の例において経営支援プログラムの表示画面には、左端から画面横方向の20~25%程度、および上側から画面縦方向の20%~50%程度を占める表示領域において総括表示1Aが表示されている。
【0031】
また、
図2の例においては経営支援プログラムの表示画面総括表示1Aの表示領域と並列的に項目表示1Bの表示領域が設けられている。項目表示1Bは、右端から画面横方向の75%~80%程度、および画面縦方向の80%~90%程度を占める表示領域において表されている。
【0032】
上記の通り、総括表示1Aは経営の要素等それぞれを、簡潔、端的に表現した表示の集合である。また、総括表示1Aは項目表示の変更操作をするための選択的な表示であり、また要素等の検討時における参照情報としての機能を有する。人間の視線は、左上から右下に移行する傾向があるため、左上側に総括表示1Aを表示することにより、まず総括表示をユーザーに参照させ、事業計画の策定の前に行なうべき工程の実施の有無を認識させることができる。つまり、事業計画の策定をより充実させるような表示の配置がなされている。
【0033】
これに対し、項目表示1Bは要素等の具体的内容を入力し、また入力結果を表示するものであるため、表示領域が広くなっていることにより入力や要素等の具体的内容が視認しやすく構成されている。また上記視線の流れにより自然に項目表示1Bの入力領域や入力結果を視認できるように構成されている。
【0034】
経営の目的や事業計画にいたるまでの各要素を検討し、決定するという負担の大きい作業をユーザーが行なうにあたり、上記のように経営支援プログラムの表示画面は各種表示の配置を効率的にすることでその負担を軽減可能とする。
【0035】
なお、当該表示画面では総括表示1Aと並列的に項目表示1Bが表示されるが、こちらは例えば
図2~
図12に示すように経営における要素等ごとに異なる種別の表示内容となる。経営支援プログラムの表示画面の表示開始時(初期状態)に表示される項目表示1Bは、あらかじめ設定される。例えば表示開始時に、項目表示1Bにおいて最も概念的、あるいは全工程の最初に行なわれることが予定されている項目(経営理念等)の具体的内容を表示するように構成されていてもよい。
【0036】
また、当該アカウントにおいて2回目以降に経営支援プログラムにアクセスする場合、表示開始時には、前回プログラム終了時の項目表示1Bの項目名に対応する具体的内容を表示するように構成されていてもよい。これは総括表示制御部101等が、前回使用時の経営支援プログラムからログアウト操作した時点、またはプログラムが閉じられた時点で表示されていた項目表示1Bの項目を記憶(例えばサーバー制御部SC等)すること、および次回プログラム起動時に、その記憶した項目名に基づいて項目表示1Bの具体的内容を表示することによって実行される。また表示開始時に総括表示1Aのみを表示し、あわせてユーザーに総括表示1Aの各要素等のいずれを選択するかユーザーに促す表示制御を行なうようにしてもよい。
【0037】
≪総括表示1A≫
総括表示とは、経営理念やビジョンの作成から事業計画に至るまでの各要素をユーザーに提示し、事業計画の前提における各要素等について確認を促す表示領域である。上記の通り経営支援プログラムが起動された状態では、総括表示制御部101と項目表示制御部102が第1サーバー1000から受信した画面テンプレートに、固有の情報(ユーザー名義、ファイル名等)を割り当てて経営支援プログラム表示画面を表示部Dに表示させる。
【0038】
このときの、総括表示1Aの表示態様の一例について図面を参照して説明する。図示した総括表示1Aは、経営の目的や要素それぞれにつき、抽象・概念的なものを上側に、具体的・実体的なものを下側に配置する、いわば工程順の配列をなしている。つまり、この例では「経営理念・事業内容」、「経営ビジョンの構築」、「SWOT分析」、「事業戦略・課題の設定」、「事業計画の策定」というように、理念・ビジョンのような思想的な事項を工程の前段階とし、より実践的な事業計画の策定を後段階とする、フローチャートのような形式で各要素を配列している。
【0039】
このように要素等を工程順に配列することで事業計画の策定の前にする準備段階で、ユーザー(経営者等)やユーザー(コンサルタント等)が支援する経営者等により案出された事項が、経営全体のどの位置づけに相当するものか認識することができる。
【0040】
例えば、加工食品販売会社が外国からの加工食品の輸入事業を開始する事業計画を策定する前段階として、マーケティング関連事項としてのSWOT分析を実施し、経営ビジョンとしてSNSによる販路拡大で3年後の売上規模の設定をしたとする。しかしながら、この時点で経営理念や事業戦略が策定されていない場合、ユーザーは、事業計画の策定の前段階として、経営理念や事業戦略が必要であることを、事業計画の入力画面においても認識することができる。また、総括表示1Aにおいて要素等の各表示の間隙に、方向を示す図形、記号等(
図2のような矢印等)が表示される。これにより、各要素等の段階順をユーザーに呈示することが可能である。
【0041】
なお、総括表示1Aの表示態様は上記に限らず他の態様を用いることも可能である。例えば要素等の各表示を円形に配列してもよい。例えば経営理念・事業内容を12時の位置にし、そこから時計回りに各要素等を上記順に配列してもよい。また円形配列の他の形態として画面奥行き方向に円形(ドーナツ状等)に各要素等を配列し、手前側を大きく、奥側を小さく表示し、さらに入力部I(マウス等のポインティングデバイス等)によりドラッグ操作がなされると、この円形表示が回転し、奥側の表示が手前側に、手前側の表示が奥側に移動するように表示してもよい。表示態様としての他の形態として、各要素等の各表示をマトリクス状に配置してもよい。
【0042】
次に、総括表示1Aの識別表示にかかる識別表示制御部103の処理について説明する。識別表示とは、各要素等に対応する具体的内容の入力の実施の有無をユーザーに視認可能とするものである。
【0043】
項目表示1Bの入力領域等に当該項目にかかる何らかの入力がなされ、その内容が確定される(詳細は後述)と、識別表示制御部103が識別表示にかかる制御を行なう。識別表示とは、具体的内容の入力が確定された実施済項目と、未実施項目(未入力あるいは入力未確定)とが視覚的に識別可能である表示をいう。これは
図3等に例示するように、表示色による相違でもよい(
図2→
図3)。また
図3等に例示するように「済」等の文字(文字列を含む)、図形、記号等により「入力済」であることを直接的にユーザーに呈示することも有効である。または現在の入力項目の領域を通常の色または透明度100%で表示し、かつ他の部分を濃い色で網掛け表示するか、不透明度を高くするという表示形式が挙げられる。また、未実施項目について強調表示(点滅表示、未実施であることを示す表記の付加や削除、上記各種表示態様の変更等)してもよい。
【0044】
このように項目入力の実施の有無をユーザーに識別可能にすることで、事業計画の準備の程度をユーザーが容易に把握可能である。識別表示により項目表示1Bを各要素等ごとに逐一確認する必要がなくなり、作業効率が向上し、作業負担も軽減される。
【0045】
また
図3等に例示するように「済」等の入力確定の状況を明示することで、ユーザーに直感的に入力の有無を認識させることも、ユーザーの認識ミスを防ぎ、負担軽減につながる。
なお、識別表示に限られず、事業計画の策定を選択した場合に、未実施の要素等についてダイアログ等により列挙して入力を促すように構成されていてもよい。また、このダイアログ表示は上記識別表示とともになされる構成であってもよい。
なお、識別表示を行なう条件についてはいくつかの形態を挙げることができる。一例として、項目表示1Bにおける1の項目における入力対象全てについて入力があり、その入力内容で記憶指示がされることを、識別表示の条件としてもよい。また他の例として、一部の入力対象に対しての入力がなくとも、所定の対象に入力されその入力内容で記憶指示がされることを、識別表示の条件としてもよい。
この条件例としては次のようなものがある。すなわち、項目表示1Bのある1項目において任意入力欄とその入力内容の属性の選択がセットとなっている場合に、任意入力欄への入力のみで識別表示が実施される条件を挙げることができる。この場合は、その属性の選択をしなくても入力実施済である識別表示が実施される。
また、項目表示1Bの1項目につき、詳細情報の入力対象が複数設けられている場合に、その項目の入力対象うちの任意の1つに対して入力確定されたことをもって、識別表示が実施されるように構成されていてもよい。この変形例として、任意の1つでなくあらかじめ設定された対象に入力確定されたことをもって、識別表示が実施されるように構成されていてもよい。
【0046】
≪項目表示1B≫
項目表示1Bは、総括表示を構成する複数要素等ごとにそれを掘り下げた具体的内容を入力し、入力確定後は確定した内容を表示する表示領域である。上記のように総括表示制御部101と項目表示制御部102が経営支援プログラム表示画面を表示部Dに表示させ、設定に応じて項目表示制御部102は、いずれかの項目の項目表示1Bを当該画面に表示させる。
項目表示制御部102は、総括表示1Aを構成する要素等それぞれに対するユーザーの選択操作に応じ、当該選択された表示内容に対応する項目表示1Bを表示させる制御を行なう。例えば
図1では、総括表示1Aに「経営理念・事業内容」、「経営ビジョンの構築」、「SWOT分析」、「事業戦略・課題の設定」、「事業計画の策定」のGUIボタン(Graphical User Interface)が設けられている。
ユーザーにより入力部Iを介していずれかのGUIボタンが選択されると、選択された当該ボタンに対応づけられた項目表示1Bの詳細情報が当該表示領域に表示される。すなわちGUIボタンには、総括表示1Aにおける要素等の表題等、例えば「経営理念・事業内容」、「経営ビジョンの構築」、「SWOT分析」、「事業戦略・課題の設定」、「事業計画の策定」が記載されている。また、そのGUIボタンには、当該表題等の具体的内容を表示するための画面テンプレート(項目表示用GUI)が対応づけられている。
上記ボタンのいずれかに対する選択操作があると、項目表示制御部102は選択に対応する画面テンプレートと第1サーバー1000に要求する。また、当該選択された項目について、当該ユーザーの認証情報にかかる、入力済みの具体的内容(詳細情報)も要求する。
第1サーバー1000のサーバー制御部SCは、当該選択にかかる当該ユーザーの入力済の具体的内容がサーバー記憶部1005に存在するか検索する。
サーバー制御部SCは、選択にかかる画面テンプレートと、当該具体的内容をクライアント端末100に送信する。選択項目についての当該ユーザーの具体的内容が記憶されていない場合(検索による該当データ無しの場合)、画面テンプレートのみをクライアント端末100に送る。
項目表示制御部102は、受信した画面テンプレートに基づき、表示部D上の画面の該当領域に、項目表示1B(例えば
図1~
図12)を表示させる制御を行なう。
【0047】
このときの、項目表示の概略例である
図2~
図12の項目表示1Bについて説明する。
図2~
図12のうち、
図2および
図3は、総括表示1Aと項目表示1B(経営理念入力表示)が並列的に表示された経営理念入力画面1Xを示す概略図である。
図4は経営ビジョン入力画面2X、
図5~
図10はマーケティング関連事項入力画面3X、
図11は事業戦略・課題入力画面4X、
図12は事業計画表示5Xを示す概略図である。
【0048】
〔経営理念入力画面1X〕
図2および
図3に例示する経営理念入力画面1Xは、左端に総括表示1Aが、幅方向における中央よりやや左側から右端にかけて項目表示1Bが設けられている。また項目表示1Bの表示領域内では、左上側に項目の表題が右上側に保存ボタンが設けられている。また項目表示1Bは、下側に入力領域が設けられている。さらにこの入力領域は、左側に詳細項目が設けられ、その詳細項目の右側に隣接して当該項目の具体的内容の入力欄が設けられている。当該画面1Xにおいては、「経営理念」という項目名とその内容の入力欄があり、その下に「事業内容」という項目名とその内容の入力欄がある。
【0049】
ユーザにより入力部I(ポインティングデバイス等)を介して各入力欄の一部が指定されると、項目表示制御部102は、入力部Iによる入力欄への入力を可能とする状態(アクティブ状態)に移行する。また、項目表示制御部102は入力欄がアクティブ状態において、入力部Iから文字列等が入力されるとその内容を一時的に記憶する。この入力はキーボード等のテキスト入力機器によるものであってもよく、または表示部Dがタッチパネル、タッチスクリーンとなっており、タッチペン、スタイラスペンにより文字を入力してもよい。入力はペンタブレットであってもよい。さらに音声入力等、任意の入力方式を用いることが可能である。
【0050】
またユーザーにより項目表示1Bの入力欄の上部に設けられた保存ボタンが入力部Iを介して位置指定されて決定操作されると、項目表示制御部102は、一時的に記憶した経営理念および事業内容の入力欄への入力内容を詳細項目に対応づけ、記憶要求とともに第1の入出力部104を介して第1の入出力部104へ送信する。第1サーバー1000側では、サーバー制御部SCが第2の入出力部1004を介して記憶要求とともに、詳細項目と対応づけられた入力内容を受信し、サーバー記憶部1005に記憶させる。なお、ユーザーが保存ボタン等による記憶操作をしたとき、入力が不十分である場合にエラー表示をするように構成されていてもよい。入力が不十分であるかの判断は、例えば次のように行なわれる。
【0051】
すなわち、項目表示1Bにおける1の項目における入力対象が複数ある場合、1つでも入力がされていなければ、項目表示制御部102が入力不十分と判断するように構成されていてもよい。また他の例として、複数の入力対象のうち、あらかじめ設定した入力対象に対しての入力がない場合に、項目表示制御部102が入力不十分と判断するように構成されていてもよい。あらかじめ設定した入力対象とは、任意入力欄とその属性の選択がセットとなっている場合のその任意入力欄が挙げられる。または1の項目に対し、複数の入力対象があり、入力欄をタブ等により切り替え表示して入力するような場合(
図5~
図10等)、全タブについての全入力対象、もしくは全タブの内のあらかじめ設定した対象への入力と確定操作がないことをもって、入力不十分と判断してもよい。
【0052】
次にエラー表示については、様々な態様が挙げられる。例えば単に「入力が完了していません。」というエラーメッセージをダイアログボックスで表示する構成であってもよい。また、所定の入力対象が設定されている場合は、具体的な入力対象名を挙げて、未入力である旨のエラーメッセージを表示させてもよい。またエラー表示は文字列でなくても、例えば「×」、「!」等の記号でも、図柄であってもよい。
【0053】
さらに、項目表示制御部102による当該入力内容の記憶にかかる処理の実行に応じて、識別表示制御部103は、上記の識別表示(入力済表示等)を実行する。
【0054】
〔経営ビジョン入力画面2X〕
図4に例示する経営ビジョン入力画面2Xも、左側に総括表示1Aが、右側に項目表示1Bが設けられている。また項目表示1Bの表示領域内では、左上側に要素等に応じた項目の表題が、右上側に保存ボタンが設けられている。また項目表示1Bは、下側に入力領域が設けられている。
さらにこの入力領域は、左側に項目を詳細に入力するための質問内容が設けられ、その質問内容の右側に隣接して当該質問に対する回答の入力欄が設けられている。この回答は、当該要素等に応じた項目の具体的内容に相当する。
【0055】
当該画面2Xにおいては、質問内容として「目標年数」と回答「年数」の入力欄がある。
図4に示すように、目標年数の入力についてはドロップダウンメニューを表示させ、年数を選択入力するように構成されていてもよい。
【0056】
また目標年数の下に「事業イメージ」という質問とその回答の入力欄がある。ここで
図4に示すように、当該入力欄には、あらかじめ「売上目標:」、「想定従業員数:」、「ビジョン」、「今後の展開についてやるべきこと」等、事業イメージとしてユーザーが回答しやすいように詳細質問を表示しておいてもよい。
【0057】
また事業イメージの下に、「売上目標、利益目標」という質問とその回答の入力欄がある。
図4に示すように、回答欄を「売上目標」、「営業利益目標」、「その他数値目標」というように細分化して回答しやすいように構成されていてもよい。事業者、組織ごとに売上、営業利益という他に独自の数値目標がある場合があり、それに気づくこと、またはそれを聞き出すこと、つまり事業イメージの抽出漏れを防止することができる。
【0058】
ユーザによる各種入力に関する項目表示制御部102の処理、および記憶処理については、上述の通りである。第1サーバー1000についても同様である。
【0059】
〔マーケティング関連事項入力画面3X〕
図5~
図10に例示するマーケティング関連事項入力画面3Xも、左側に総括表示1Aが、右側に項目表示1Bが設けられている。また項目表示1Bの表示領域内では、左上側に要素等に応じた項目の表題が、右上側に保存ボタンが設けられている。また項目表示1Bは、下側に入力領域が設けられている。
さらにこの入力領域は、左側に項目を詳細に入力するための質問内容が設けられ、その質問内容の右側に隣接して当該質問に対する回答の入力欄が設けられている。この回答は、当該要素等に応じた項目の具体的内容に相当する。
【0060】
当該画面3Xにおいては、マーケティング関連事項が入力される。マーケティングはこれまでに方法が確立しており、その方法に則ることが有効である。ここでマーケティングの方法は確立しているものの、その方法を確実に実行することは経験や知識を要する。ここで本実施形態のマーケティング関連事項入力画面3Xでは、質問内容を細分化および定型化し、また回答内容を定型化された属性と対応づけ、さらに回答理由も対応づけて入力するように構成されている。
【0061】
一例につき図を参照して説明する。画面3Xでは、さらに「強み」タブ(
図5)、「問題」タブ(
図6)、「競合環境」タブ(
図7)、「顧客ニーズ」タブ(
図8)、「その他外部環境」タブ(
図9)、「自由入力(ブランク)」タブ(
図10)、を切り替えて表示するように構成されている。これらタブは、保存ボタンSBの上部に横並びに設けられている。
【0062】
図5に例示する「強み」タブでは、質問1~4がさらに他のタブの選択操作にしたがい切替表示されるように画面テンプレートが構成されている。質問の1つを挙げると、「自分の会社で目標・自信のあること」について質問するように構成されている。この回答については、選択肢「ヒト(人材・人員)」、「ヒト(技術・知識・ノウハウ)」、「モノ(商品・サービス)」、「モノ(建物・立地・設備)」、「カネ(資金)」、「カネ(コスト)」「情報(知名度・信頼)」、「情報(IT)」、「その他」が設けられており、いずれかを選択可能に構成されている。この選択肢は例えばラジオボタンのようなGUIによって構成される。た「その他」のみ任意の入力欄と組み合わせられている。さらに、その選択肢の入力欄の下側には、その選択肢についての詳細情報の質問内容と、任意の文字列の入力欄が設けられている。さらにその任意入力欄の下側には、詳細情報の理由を記載する入力欄が設けられている。
【0063】
質問は上記「他のタブ」に分けられ、質問ごとに回答が定型化できる種類のものは選択肢により、そうでないものは任意入力欄となるように構成されている。
【0064】
図6に例示する「問題」タブでは、質問1~4がさらに他のタブで切替表示されるように画面テンプレートが構成されている。質問の1つを挙げると、「社長が悩んでいること」について質問するように構成されている。この回答については、選択肢「ヒト(人材・人員)」、「ヒト(技術・知識・ノウハウ)」、「モノ(商品・サービス)」、「モノ(建物・立地・設備)」、「カネ(資金)」、「カネ(コスト)」「情報(知名度・信頼)」、「情報(IT)」、「その他」が設けられており、いずれかを選択可能に構成されている。また「その他」のみ任意の入力欄と組み合わせられている。さらに、その選択肢の入力欄の下側には、その選択肢についての詳細情報の質問内容と、任意の文字列の入力欄が設けられている。さらにその任意入力欄の下側には、詳細情報の理由を記載する入力欄が設けられている。その他は強みタブと同様である。
【0065】
図7に例示する「競合環境」タブでは、入力欄が主となるように構成されている。質問は、「競合事業者」、「競合に対する短所」AR1、「競合に対する長所」AR2である。AR1には、回答内容に、その属性AT2、強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)と、属性無しが対応づけられるように選択肢が設けられている。
【0066】
ユーザによる各種入力に関する項目表示制御部102の処理については、上述の通りである。
【0067】
図8に例示する「顧客ニーズ」タブでは、質問は、「重要な顧客/顧客層」、「顧客のニーズの種類」、「ニーズの理由」である。ニーズの理由には、その属性、強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)と、属性無しが対応づけられるように選択肢AT2が設けられている。
【0068】
ユーザによる各種入力に関する項目表示制御部102の処理については、上述の通りである。
【0069】
図9に例示する「その他外部環境」タブにおいて、質問は、「社会情勢に対する悩み」、「その悩みの詳細」、「悩みの理由」である。その悩みの詳細、悩みの理由には、その属性、強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)と、属性無しが対応づけられるように選択肢AT1、AT2がそれぞれ設けられている。
【0070】
ユーザによる各種入力に関する項目表示制御部102の処理については、上述の通りである。
【0071】
図10に例示する「自由入力(ブランク)」タブにおいては、質問はなく、「ヒト」、「モノ」、「カネ」「情報」に分かれて一列に配置された入力欄が、複数行に並べられたマトリクス状に配列されている。なお、さらに「ヒト(人材・人員)」、「ヒト(技術・知識・ノウハウ)」「モノ(商品・サービス)」、「モノ(建物・立地・設備)」、「カネ(資金)」、「カネ(コスト)」「情報(知名度・信頼)」、というように細分化した入力欄であってもよい。各入力欄は入力内容の属性、強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)と、属性無しが対応づけられるように選択肢がそれぞれ設けられている。
【0072】
〔事業戦略・課題入力画面4X〕
図11に例示する事業戦略・課題入力画面4Xも、左側に総括表示1Aが、右側に項目表示1Bが設けられている。また項目表示1Bの表示領域内では、左上側に要素等に応じた項目の表題が、右上側に保存ボタンが設けられている。また項目表示1Bは、下側に入力領域が設けられている。
【0073】
図11に示す事業戦略・課題入力画面4Xにおける具体的内容は、事業計画の策定の直前の工程となる。画面4Xでは、事業名の文字列入力欄、事業区分(既存/新規)の選択肢、ターゲット顧客の設定の文字列入力欄、顧客の期待(要望)・悩みの文字列入力欄が設けられている。この画面ではさらに、上記入力欄の下方に、当該入力された事業に対する課題を、「ヒトに関する課題」、「モノに関する課題」、「カネに関する課題」「情報・その他に関する課題」に分けた(縦方向に分割された)任意の文字列入力欄が、1つの課題にごとに複数(
図11では3つ)の入力欄に分かれて設けられている。
「ヒトに関する課題」、「モノに関する課題」、「カネに関する課題」「情報に関する課題」の質問には、さらに詳細にユーザー等に確認できるよう、補足的な確認事項が併記されている。例えば、「ヒト」には、人材の採用・育成・組織面が、「モノ」には、マーケティング(商品化、価格、販売促進、販売経路等)、商品、建物・設備、材料等が確認事項として併記されている。また「カネ」には、資金調達(借入、出資、資産売却など)が、「情報・その他」には、生産、IT、知財の活用、災害・減災対策などが確認事項として併記されている。
【0074】
ユーザによる各種入力に関する項目表示制御部102の処理については、上述の通りである。
【0075】
図12に示す事業計画表示5Xにおける具体的内容は、当プログラムにおける最終工程となる。画面5Xでは、マーケティング関連事項入力画面3Xのように項目表示1Bが、複数タブを切り替えて表示するように構成されている。例えば「事業テーマ設定」タブ、「事業の確立性の検証」タブ、「事業実現のための課題と対策」タブ、「売上・利益計画」タブを切り替えて表示するように構成されている。これらタブは、保存ボタンSBの上部に横並びに設けられている。
【0076】
ユーザによる各種入力に関する項目表示制御部102の処理については、上述の通りである。
【0077】
(ハードウェア構成)
次にクライアント端末100および接続機器、並びに第1サーバー1000のハードウェア構成の概要を説明する。まずクライアント端末100入力部Iについて説明する。入力部Iは、音声や文字入力信号等の外部入力を受けるデバイスである。例えば音声を検知するデバイス(マイクロフォン等)、または文字入力を行うデバイス(ソフトウェアキーボードまたはハードウェアキーボード、タッチペン)等が挙げられる。
【0078】
表示部Dは、作成プログラムの実行に関連する各種の画像、例えば経営支援プログラムの表示画面やその他設定画面等を表示する。表示部Dは、クライアント端末100の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。表示部Dは、入力部Iと独立に構成されても、一体的に構成されてもよい。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、入力部Iおよび表示部Dは、タッチパネルとそれを実行するためのコンピュータプログラムとを含んで構成される。
【0079】
いずれの構成であっても、入力部Iに対する操作内容は、電気信号としてクライアント端末100の図示しない入力情報制御部に入力される。また、表示部Dに表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、入力部Iとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
【0080】
表示部Dは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ(PlasmaDisplayPanel)、有機EL(OELD;Organic Electro-Luminescence)、FED(Field Emission Display;電界放出ディスプレイ)など、任意の表示装置を用いることが可能である。またタッチパネルが用いられる場合、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波表面弾性波方式、赤外線光学イメージング方式、電磁誘導方式等、任意の検出方式による構成をとることが可能である。
【0081】
上記説明における各部の処理は、説明の便宜上、
図1に示す各機能ブロック処理として実行されるものとして説明した。これら機能ブロックは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等のうち、単一または複数の回路を含んで構成されていてもよい。またメモリに保存された、例えば経営支援プログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、各機能ブロックは単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、実施形態における複数の構成要素(例えば総括表示制御部101、項目表示制御部102等)を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0082】
(動作)
図13は、実施形態に係る経営支援プログラムによる処理の流れを示すフローチャートである。例えば各機能ブロックは、以下の動作を示す経営支援プログラムを実行する。なお、以下の動作(S01~S07)の前提として例えば次のような処理が行われる。クライアント端末100において、認証によりログオンされ、第1サーバー1000のサーバー記憶部1005等に記憶された経営支援プログラムの起動操作がなされると、サーバー制御部SCは、サーバー記憶部1005に記憶された経営支援プログラムを読み出しクライアント端末100へ送信する。
【0083】
ステップS01:認証処理の結果、総括表示制御部101は第1サーバー1000から画面テンプレートを受ける。
【0084】
ステップS02:総括表示制御部101と項目表示制御部102は、認証情報と対応づけられたユーザー等(ユーザーやユーザーが支援する事業者等)に固有の情報(ユーザー名義、ファイル名等)を組み込んで各種の経営支援プログラム表示画面(
図2~
図12等)を表示部Dに表示させる。
【0085】
ステップS03:経営支援プログラムの表示画面における総括表示1Aの各種要素等(GUIボタン)が入力部Iを介してユーザーにより選択する操作がされると、項目表示制御部102は、選択に応じた項目表示1Bを表示部Dに表示させる。具体例としては、項目表示制御部102が第1サーバー1000に画面データと、選択項目にかかる当該ユーザーの入力済詳細情報を要求する。サーバー制御部SCは、サーバー記憶部1005において入力済詳細情報を検索する。サーバー制御部SCは、サーバー記憶部1005に情報があった場合その情報と画面データを、クライアント端末100に送信する。その場合、項目表示制御部102は、画面データに当該詳細情報を組み込んで項目表示1Bを生成する。
【0086】
サーバー記憶部1005に、そのユーザーにおける当該項目の詳細情報が無かった場合画面データのみをクライアント端末100に送信する。項目表示制御部102は、詳細情報がブランクとなっている項目表示1Bを表示部Dに表示させる。この状態で項目表示1B情報を編集可能となる。
【0087】
ステップS04:入力部I等を介した項目表示1Bの任意入力欄の指定操作(ポインティングデバイス等による位置指定および決定(クリックやタップ等)操作)があると、項目表示1Bの当該入力欄は、文字列等の入力が可能となるアクティブ状態となる。また、項目表示1Bにおける選択入力(入力情報の属性等の選択等)をするための選択肢の表示領域(ラジオボタン等)については、任意入力欄と異なり、各選択肢の位置指定だけでアクティブ状態となる。入力領域として画されたが入力欄や選択肢がアクティブとなっている状態で、入力部I(キーボード等)による文字列の入力操作や、選択肢の決定操作があると、入力内容が項目表示1Bに反映(表示)される。この内容は一時的に任意の記憶手段に記憶される。
【0088】
ステップS05:項目表示1Bにおける記憶操作ボタンSBに対する記憶指示の有無(入力部Iにより位置指定され、さらに決定操作がされたか)について、項目表示制御部102等が判定する。項目表示制御部102は記憶指示があるまで(S05;No)、当該項目の編集可能な状態を維持する。
【0089】
ステップS06:S05の判定の結果、記憶指示があったと判断されると(S05;Yes)、項目表示制御部102は、その時点における画面上の項目表示1B表示に相当する内容と、その記憶要求を第1サーバー1000に送る。具体例としては、S04で一時的に記憶された任意入力情報や選択入力情報等と、その項目を示す識別情報と、ユーザー識別情報とが第1サーバー1000に送信され、サーバー制御部SCは、サーバー記憶部1005にそれら情報を記憶させる。
【0090】
ステップS07:S06において記憶処理がなされると、識別表示制御部103は、その記憶処理にかかる項目について、識別表示を付与する制御を行なう。例えば実行する実施済項目と、未実施項目(未入力あるいは入力未確定)とが視覚的に識別可能となるように表示態様が変更される(例:総括表示1Aについての
図2から
図3の表示変更)。なお、識別表示の条件を満たさないにもかかわらず、入力確定の操作がなされた場合、識別表示の変更をしないように構成されていてもよい。なお、このS07の処理はS06の後でなく、S06の前、または並行してもよい。
【0091】
(作用・効果)
第1実施形態では経営理念、ビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む前提事項、事業戦略、課題、事業計画のうち少なくとも2以上の項目を含む事業関連事項が配列された総括表示1Aと項目表示1B(
図2参照)の組み合わせを表示部Dに表示させる。したがって、経営を体系的に把握し、理念から事業まで、思想から実体的な段階までを網羅することができる。その結果、事業計画を充実させ、望まない事業の結果が出てしまうことを防止することができる。
【0092】
また第1実施形態によれば、項目表示1Bの入力実施済項目と未実施項目を識別可能に表示する総括表示1Aの表示制御を実行可能である。
【0093】
上記の通り、各要素等の項目表示1Bは、各事業者、組織に共通する事項については、質問内容を細分化しその回答欄もそれに応じて細分化されている。さらに共通する事項であるため細分化された質問内容と回答が定型的に回答できるように構成されている。
【0094】
これに対し、経営理念やビジョン、事業内容のような、事業者や組織ごとに、あるいは業種ごとに固有の事項であって定型的に回答することになじまない事項については、自由に入力できるようになっている。
【0095】
経験の浅いコンサルタント、経験の浅い経営者、経営経験・知識の浅い組織は、経営に必要な目的や要素に意識が届きにくく、意識が実体的なことに向く傾向がある。また、目的や計画があってもスポット的であり、経営を体系的に把握しがたいといえる。また事業計画の前段階に必要な事項に漏れが生じやすい。
【0096】
この点、上記実施形態にかかる経営支援プログラムによれば、入力項目や質問内容と回答が段階に応じて、漏れを防止するように、また回答が容易になるように構成されている。
【0097】
[第2実施形態]
第2実施形態の経営支援システム2について
図14~および
図20を参照して説明する。以下の説明において、第1実施形態と重複する説明は割愛する。なお、
図14においてはクライアント端末200等の端末機器と第1サーバー2000および第2サーバー2100を含むネットワークを示しているが、これは本発明を実施する複数の形態のうちの一例である。すなわち、第2実施形態の説明において記載する各変形例だけでなく、その他、様々な形態で実施することが可能である。
【0098】
(経営支援システム2の概要)
第2実施形態における経営支援システム2は、
図14に示すようにクライアント端末200と第1サーバー2000と第2サーバー2100とが各々相互にデータを送受信可能に構成される。ただし、これは本発明を実施する複数の形態のうちの一例である。すなわち、第2実施形態の説明において記載する各構成、各変形例、後に記載する第3実施形態以降の実施形態だけでなく、その他、様々な形態で実施することが可能である。また
図14においては、第1サーバー2000に対し、1つのクライアント端末200が接続されている構成が示されているが、クライアント端末の数やサーバーの数は任意である。さらにサーバーにおける機能は適宜追加可能であり、またサーバー側の各機能(データ処理、記憶等)は、複数のサーバーに分けることも可能である。
【0099】
経営支援システム2においては、以下に説明する通り、ユーザーが使用する端末(例えばクライアント端末200)側では、ユーザーによる入力の受付やサーバー側から受けた画面データの表示等を行う。したがって、第1実施形態における経営支援プログラムの各種処理は主にサーバー側で行なわれる。
【0100】
(クライアント端末200)
第2実施形態におけるクライアント端末200は、経営支援プログラムの表示画面の表示とユーザーによる入力にかかる処理を行なうが、第1実施形態と異なり、総括表示制御、項目表示制御、識別表示制御は、サーバー側(第1サーバー2000等)により実行される。
図14に示すように、クライアント端末200は、主制御部201、第1の入出力部204を含んで構成される。またクライアント端末200は、入力部I、表示部D等の周辺機器と接続される。
【0101】
<経営支援プログラム表示画面>
第2実施形態における経営支援プログラムの表示画面は、第1実施形態のような総括表示と項目表示の並列的な表示でなく、上記総括表示に相当する包括視点画面2A(例:
図15参照)と、項目視点画面2B(例:
図16~
図20参照)とを適宜、切替表示する構成である。
【0102】
<第1サーバー2000>
第1サーバー端末2000は、包括視点制御、項目視点制御、識別表示制御を行う。第1実施形態のような記憶や認証処理は第2サーバー2100側で実行される。
図14に示すように、第1サーバー2000は包括視点制御部2001、項目視点制御部2002、識別表示制御部2003、第2の入出力部2004、および第3の入出力部2005を有する。
【0103】
第1サーバー2000における包括視点制御部2001は、第1実施形態の総括表示1Aに相当する表示を、項目表示と並列でなく、独立の画面で表示する包括視点画面2Aの画面データを作成する。すなわち包括視点制御部2001は、第3の入出力部2005を介して、第2サーバー2100から包括視点画面2Aの画面テンプレートを受ける。また包括視点制御部2001は、総括表示1A相当の包括視点画面2Aの画面データを作成する。
【0104】
また、上記作成された包括視点画面2Aの画面データに対し、当該ユーザーによる詳細情報等の入力状況を反映して、識別表示制御部2003は、上述の識別表示をするよう編集処理を実施する。すなわち、当該ユーザーの認証情報(識別情報等)により詳細情報等の入力状況(記憶された詳細情報の入力の有無等)が管理されている。識別表示制御部2003は入力済情報(サーバー記憶部2105等に記憶されたデータ)がある場合、またはクライアント端末200からの入力情報の記憶操作があると、包括視点画面2A(
図15等)における経営の要素等を示す表題に対し、識別表示にかかる編集処理を実施する。
【0105】
包括視点制御部2001は、識別表示(
図15;「経営理念・事業内容」の表示ボタン等)がされた包括視点画面2A、または識別表示がされていない包括視点画面2Aの画面データを第2の入出力部2004からクライアント端末200へ送信する。これにより、クライアント端末200の主制御部201は、ユーザーの操作に応じて当該包括視点画面2Aを適宜表示部Dに表示させる。包括視点制御部2001について、その他は総括表示制御部101と同様である。
【0106】
第1サーバー2000における項目視点制御部2002は、第1実施形態の項目表示Bに相当する項目視点画面1X~5Xのいずれかを、総括表示と並列でなく、独立の画面で表示する。すなわち項目視点制御部2002は、第3の入出力部2005を介して、第2サーバー2100から項目視点画面1X~5Xのいずれかの画面テンプレートを受ける。これは第2の入出力部2004を介してクライアント端末200から受けた項目視点画面の選択操作に応じていずれの画面(1X~5X)が表示されるか決定される。これは、第1実施形態において総括表示の表題等の領域(GUIボタン)を指定して項目表示が選択されるのと同様である。また項目視点制御部2002は、当該ユーザーによる詳細情報等の入力状況に応じて項目表示1B相当の画面(1X~5Xのいずれか)の画面データを作成する。
【0107】
当該ユーザーの認証情報(識別情報等)により詳細情報等の入力状況(記憶された詳細情報の入力の有無等)が管理されている。例えば、項目視点制御部2002は入力済情報(サーバー記憶部2105等に記憶されたデータ)がある場合、第3の入出力部2005を介して第2サーバー2100から当該情報を画面テンプレートに割り当てて項目視点画面(1X~5Xのいずれか)を作成する。
【0108】
項目視点制御部2002は、作成した画面データを第2の入出力部2004からクライアント端末200へ送信する。これにより、クライアント端末200の主制御部201は、ユーザーの操作に応じて当該項目視点画面(1X~5Xのいずれか)を適宜表示部Dに表示させる。項目視点制御部2002について、その他は項目表示制御部102と同様である。
【0109】
<第2サーバー2100>
第2サーバー2100は、ユーザー認証、記憶データの送信、画面テンプレートの送信を行なう。
図14に示すように、第2サーバー2100は第4の入出力部2104、サーバー制御部SC、およびサーバー記憶部2105を含んで構成される。サーバー制御部SC、およびサーバー記憶部2105については、上記第1サーバー2000にかかる構成に関連する以外は、第1実施形態と同様である。ただし、サーバー制御部SCは、サーバー記憶部2105に記憶されたユーザーの詳細情報等、詳細情報等の入力状況、画面テンプレートを直接クライアント端末200に送信せず、これらは第1サーバー2000に送信される。
【0110】
第2サーバー2100における第4の入出力部2104は、第1サーバー2000からの要求に応じ、サーバー制御部SCにしたがいたユーザーの詳細情報等、詳細情報等の入力状況、画面テンプレート(2A,1X~5Xのいずれか、またはログオン画面等)を第1サーバー2000に送信する。
【0111】
(動作)
以下の動作(S11~S17)の前提として例えば次のような処理が行われる。クライアント端末200において、認証によりログオンされ、第2サーバー2100のサーバー記憶部2105等に記憶された経営支援プログラムの起動操作がなされると、サーバー制御部SCは、サーバー記憶部2105に記憶された経営支援プログラムを読み出し第1サーバー2000へ送信する。
【0112】
ステップS11:認証処理の結果、包括視点制御部2001は第2サーバー2100から画面テンプレートを受ける。
【0113】
ステップS12:包括視点制御部2001は、認証情報と対応づけられたユーザー等の入力状況に応じて包括視点画面2A(
図15等)を表示部Dに表示させる。
【0114】
ステップS13:クライアント端末200の表示部Dに表示された包括視点画面2Aの各種要素等(GUIボタン)が入力部Iを介してユーザーにより選択する操作がされると、項目視点制御部2002は、第1の入出力部204、第2の入出力部2004を介して当該操作を受け付ける。また項目視点制御部2002は、選択に応じた項目視点画面1X~5Xのいずれかをこの表示部Dに表示させる。具体例としては、項目視点制御部2002が第2サーバー2100に画面テンプレートと、選択項目にかかる当該ユーザーの入力済詳細情報を要求する。サーバー制御部SCは、サーバー記憶部2105において入力済詳細情報を検索する。サーバー制御部SCは、サーバー記憶部2105に情報があった場合その情報と画面データを、第1サーバー2000に送信する。その場合、項目視点制御部2002は、画面データに当該詳細情報を割り当てて項目視点画面を生成する。
さらに項目視点制御部2002は、生成した項目視点画面の画面データをクライアント端末200に送り、クライアント端末200と接続された表示部Dに項目視点画面が表示される。
【0115】
サーバー記憶部2105に、そのユーザーにおける当該項目の詳細情報が無かった場合画面テンプレートのみを第1サーバー2000に送信する。この場合項目視点制御部2002は、詳細情報がブランクとなっている項目視点画面の画面データを作成する。作成された画面データに基づき、ブランクの項目視点画面がクライアント端末200の表示部Dに表示される。この状態で項目視点画面の情報を編集可能となる。
【0116】
ステップS14:入力部I等を介した項目視点画面の任意入力欄の指定操作(ポインティングデバイス等による位置指定および決定(クリックやタップ等)操作)があると、項目視点画面の当該入力欄は、文字列等の入力が可能となるアクティブ状態となる。また、項目視点画面における選択入力(入力情報の属性等の選択等)をするための選択肢の表示領域(ラジオボタン等)については、任意入力欄と異なり、各選択肢の位置指定だけでアクティブ状態となる。入力領域として画されたが入力欄や選択肢がアクティブとなっている状態で、入力部I(キーボード等)による文字列の入力操作や、選択肢の決定操作があると、入力内容が項目視点画面に反映(表示)される。この内容は一時的に任意の記憶手段に記憶される。
【0117】
ステップS15:項目視点画面における記憶操作ボタンSBに対する記憶指示の有無(入力部Iにより位置指定され、さらに決定操作がされたか)について、主制御部201等を介して項目視点制御部2002が判定する。項目視点制御部2002は記憶指示があるまで(S15;No)、当該項目の編集可能な状態を維持する。
【0118】
ステップS16:S15の判定の結果、記憶指示があったと判断されると(S15;Yes)、項目視点制御部2002は、その時点における項目視点画面に表示された入力内容と、その記憶要求を第2サーバー2100に送る。具体例としては、S14で一時的に記憶された任意入力情報や選択入力情報等と、その項目を示す識別情報と、ユーザー識別情報とが第2サーバー2100に送信され、サーバー制御部SCは、サーバー記憶部2105にそれら情報を記憶させる。
【0119】
ステップS17:S16において記憶処理がなされると、識別表示制御部2003は、その記憶処理にかかる項目について、識別表示を付与する制御を行なう。例えば実行する実施済項目と、未実施項目(未入力あるいは入力未確定)とが視覚的に識別可能となるように表示態様が変更される。なお、識別表示の条件を満たさないにもかかわらず、入力確定の操作がなされた場合、識別表示の変更をしないように構成されていてもよい。なお、このS17の処理はS16の後でなく、S16の前、または並行してもよい。
【0120】
(作用・効果)
第2実施形態では経営理念、ビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一つを含む第1の群、マーケティング関連事項を含む第2の群、および事業戦略、課題、事業計画のうち少なくとも2以上の項目を含む第3の群が配列された包括視点画面2Aを表示部Dに表示させる。また、包括視点画面2Aの1項目が選択されると選択に応じた項目視点画面(1X~5Xのいずれか)を表示部Dに切り替えて表示可能である。したがって、経営を体系的に把握し、理念から事業まで、思想から実体的な段階までを網羅することができる。その結果、事業計画を充実させ、望まない事業の結果が出てしまうことを防止することができる。
【0121】
また第2実施形態によれば、各種項目視点画面の入力実施済項目と未実施項目を識別可能に表示する、包括視点画面2Aの表示制御を実行可能である。
【0122】
上記の通り、各要素等の項目視点画面1X~5Xのいずれかは、各事業者、組織に共通する事項については、質問内容を細分化しその回答欄もそれに応じて細分化されている。さらに共通する事項であるため細分化された質問内容と回答が定型的に回答できるように構成されている。
【0123】
これに対し、経営理念やビジョン、事業内容のような、事業者や組織ごとに、あるいは業種ごとに固有の事項であって定型的に回答することになじまない事項については、自由に入力できるようになっている。
【0124】
経験の浅いコンサルタント、経験の浅い経営者、経営経験・知識の浅い組織は、経営に必要な目的や要素に意識が届きにくく、意識が実体的なことに向く傾向がある。また、目的や計画があってもスポット的であり、経営を体系的に把握しがたいといえる。また事業計画の前段階に必要な事項に漏れが生じやすい。
【0125】
この点、上記実施形態にかかる経営支援プログラムによれば、入力項目や質問内容と回答が段階に応じて、漏れを防止するように、また回答が容易になるように構成されている。
【0126】
次に、変形例について説明する。
図24に示すように、変形例の経営システム3では、経営理念およびビジョンおよびその関連項目のうち少なくともいずれか一方の入力欄を含む第1の入力表示、マーケティング関連事項の入力欄を含む第2の入力表示、並びに事業戦略、課題、事業計画のうち少なくとも2以上の項目についての入力欄を含む第3の入力表示を、選択操作に基づいて、表示手段に選択的に切替表示させる切替表示部301を有する。これは、第2実施形態と同様である。また、上記第1の入力表示において入力された内容、または第2の入力表示において入力された内容を、当該内容に応じた項目と関連付けて記憶手段に記憶させる記憶制御部を有する。これは、第1実施形態または第2実施形態の記憶制御の構成を採用することが可能である(サーバー制御部SC等)。また、この変形例の切替表示部は、第3の入力表示が表示されるとき、記憶制御部により記憶された入力内容があるか検索する検索部303を有する。
検索部303が上記検索を実行した結果、入力内容として、例えばサーバー記憶部3005に、経営理念関連事項、ビジョン関連事項、またはマーケティング関連事項が記憶されていた場合、参照情報表示部302は、関連付けられたその項目と、当該内容を対応づけて第3の入力表示と並列的に表示させる。
【0127】
この参照情報提供としては例えば
図22の右上部に示すように、事業戦略入力画面の表示時に、経営理念や経営ビジョンを参照情報として表示することが挙げられる。また、
図23に示すように、事業計画表示時に事業戦略の表示画面の縮小版を並列的に表示することも一例である。
【0128】
なお、上記実施形態それぞれ、およびその各種変形例は適宜部分的に変更、削除、または組合せることが可能である。
【0129】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
クライアント端末 100,200、300
総括表示制御部 101
項目表示制御部 102
識別表示制御部 103,2003
切替表示部 301
参照情報表示部 302
検索部 303
第1サーバー 1000,2000、3000
サーバー制御部 SC
サーバー記憶部 1005,2105
包括視点制御部 2001
項目視点制御部 2002
第2サーバー 2100