(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144050
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220926BHJP
H04N 5/357 20110101ALI20220926BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N5/357 200
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044892
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】徳満 千絵
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118EA14
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA38
4M118GA02
4M118GA08
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GB13
4M118GC08
4M118GD04
4M118GD15
4M118HA24
4M118HA25
5C024CX01
5C024EX43
5C024GX01
5C024GX03
5C024GX24
5C024GY31
(57)【要約】
【課題】画素間の混色を抑制できるようにした撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、複数の光電変換素子を有する第1半導体基板と、第1半導体基板の一方の面側に設けられたレンズ体と、第1半導体基板の一方の面の反対側に設けられた配線層と、を備える。第1半導体基板は、複数の光電変換素子のうち、互いに隣り合う一方の光電変換素子と他方の光電変換素子との間に配置された素子間分離部を有する。配線層は、素子間分離部と向かい合う位置に配置された第1分離部を有する。第1分離部は、第1低屈折率領域と、第1低屈折率領域と接する第1高屈折率領域と、を有する。第1高屈折率領域は第1低屈折率領域を両側から挟む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子を有する第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の一方の面側に設けられたレンズ体と、
前記第1半導体基板の前記一方の面の反対側に設けられた配線層と、を備え、
前記第1半導体基板は、
前記複数の光電変換素子のうち、互いに隣り合う一方の光電変換素子と他方の光電変換素子との間に配置された素子間分離部を有し、
前記配線層は、
前記素子間分離部と向かい合う位置に配置された第1分離部を有し、
前記第1分離部は、
第1低屈折率領域と、
前記第1低屈折率領域と接する第1高屈折率領域と、を有し、
前記第1高屈折率領域は前記第1低屈折率領域を両側から挟む、撮像装置。
【請求項2】
前記配線層は、
配線と、
前記配線を覆う層間絶縁膜と、を有する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記配線は、前記第1分離部で囲まれる領域に配置されている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記配線は、前記第1分離部から離して配置されている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記配線の一部が前記第1分離部を貫いている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記素子間分離部と前記第1分離部は互いに接している、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1半導体基板は、前記一方の面の反対側に位置する他方の面を有し、
前記素子間分離部は、前記第1半導体基板の前記一方の面と前記他方の面との間を貫いている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記素子間分離部は、前記第1半導体基板とは屈折率が異なる材料で構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記配線層を挟んで前記第1半導体基板と向かい合う第2半導体基板、をさらに備え、
前記配線層は、
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の少なくとも一部を介して前記第1半導体基板と向かい合う第2分離部と、を有し、
前記第2分離部は、
第2低屈折率領域と、
前記第2低屈折率領域と接する第2高屈折率領域と、を有し、
前記第2高屈折率領域は、前記第2低屈折率領域よりも前記第1半導体基板に近い側に位置する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記配線層は、前記第2分離部を貫いて前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とを接続する接続配線を有する、請求項9に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary MOS)イメージセンサに代表される裏面照射型の固体撮像装置は、例えば、フォトダイオードなどの光電変換部と、光電変換部の光入射面の反対側に配置される配線層とを有する。光電変換部は基板に設けられる。基板の裏面が光入射面である。
【0003】
従来の固体撮像装置では、一の画素の光電変換部を透過した光が配線層などで反射して、他の画素の光電変換部へ到達する場合がある。この場合、一の画素と他の画素との間で混色が発生しうる。このような混色を防止するために、光電変換部の下に、高屈折率領域を設け、屈折率差で混色を低減する手法が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された撮像装置では、基板に光が斜めに入射すると、一の画素の光電変換部を透過した光が、一の画素に隣接する他の画素の光電変換部に入射する可能性があった。また、一の画素において光電変換部以外の領域を透過した光が、配線等で反射して、他の画素の光電変換部に入射する可能性があった。いずれの場合も、一の画素と他の画素との間で画素信号に混色が生じ、撮像装置の性能が低下する可能性がある。
【0006】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたもので、画素間の混色を抑制できるようにした撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、複数の光電変換素子を有する第1半導体基板と、前記第1半導体基板の一方の面側に設けられたレンズ体と、前記第1半導体基板の前記一方の面の反対側に設けられた配線層と、を備える。前記第1半導体基板は、前記複数の光電変換素子のうち、互いに隣り合う一方の光電変換素子と他方の光電変換素子との間に配置された素子間分離部を有する。前記配線層は、前記素子間分離部と向かい合う位置に配置された第1分離部を有する。前記第1分離部は、第1低屈折率領域と、前記第1低屈折率領域と接する第1高屈折率領域と、を有する。前記第1高屈折率領域は前記第1低屈折率領域を両側から挟む。
【0008】
これによれば、第1分離部の第1高屈折率領域に入射した光は、第1高屈折率領域と第1低屈折率領域との屈折率差により、第1高屈折率領域と第1低屈折率領域との境界で反射する。これにより、第1分離部は、一の画素に入射した光が配線層を介して他の画素へ入ることを抑制することができる。撮像装置は、第1分離部を有することにより、一の画素に入射した光を一の画素内に閉じ込めることが容易となるため、画素間の混色を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態1に係る分離部の構成例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態1に係る撮像装置を部分的に拡大した断面図であり、半導体基板を透過して配線層に入射した光の反射例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態1に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態2に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態3に係る撮像装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態の変形例1に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態の変形例2に係る撮像装置の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0012】
以下の説明では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の文言を用いて、方向を説明する場合がある。例えば、X軸方向及びY軸方向は、半導体基板50の裏面50aに平行な方向である。X軸方向及びY軸方向を水平方向ともいう。Z軸方向は、半導体基板50の裏面50aの法線方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する。
【0013】
<実施形態1>
(撮像装置の構成例)
図1は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、撮像装置1は、複数の画素21、垂直駆動回路13、カラム信号処理回路14、水平駆動回路15、出力回路16、および制御回路17を備える。
【0014】
画素21は、図示しない光学系により集光される光を受光する受光領域である。複数の画素21は、行列状に配置されている。複数の画素21は、水平信号線22を介して行ごとに垂直駆動回路13に接続されるとともに、垂直信号線23を介して列ごとにカラム信号処理回路14に接続される。複数の画素21は、それぞれ受光する光の光量に応じたレベルの画素信号をそれぞれ出力する。それらの画素信号から、被写体の画像が構築される。
【0015】
垂直駆動回路13は、複数の画素21の行ごとに順次、それぞれの画素21を駆動(転送や、選択、リセットなど)するための駆動信号を、水平信号線22を介して画素21に供給する。カラム信号処理回路14は、複数の画素21から垂直信号線23を介して出力される画素信号に対してCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)処理を施すことにより、画素信号のAD変換を行うとともにリセットノイズを除去する。
【0016】
水平駆動回路15は、複数の画素21の列ごとに順次、カラム信号処理回路14から画素信号をデータ出力信号線24に出力させるための駆動信号を、カラム信号処理回路14に供給する。出力回路16は、水平駆動回路15の駆動信号に従ったタイミングでカラム信号処理回路14からデータ出力信号線24を介して供給される画素信号を増幅し、後段の信号処理回路に出力する。制御回路17は、撮像装置1の内部の各ブロックの駆動を制御する。例えば、制御回路17は、各ブロックの駆動周期に従ったクロック信号を生成して、それぞれのブロックに供給する。
【0017】
画素21は、フォトダイオード31(本開示の「光電変換素子」の一例)、転送トランジスタ32、フローティングディフュージョン33、増幅トランジスタ34、選択トランジスタ35、およびリセットトランジスタ36を備える。転送トランジスタ32、フローティングディフュージョン33、増幅トランジスタ34、選択トランジスタ35、およびリセットトランジスタ36は、フォトダイオード31で光電変換された電荷(画素信号)の読み出しを行う読出回路30を構成している。
【0018】
フォトダイオード31は、入射した光を光電変換により電荷に変換して蓄積する光電変換部であり、アノード端子が接地されているとともに、カソード端子が転送トランジスタ32に接続されている。転送トランジスタ32は、垂直駆動回路13から供給される転送信号TRGに従って駆動し、転送トランジスタ32がオンになると、フォトダイオード31に蓄積されている電荷がフローティングディフュージョン33に転送される。フローティングディフュージョン33は、増幅トランジスタ34のゲート電極に接続された所定の蓄積容量を有する浮遊拡散領域であり、フォトダイオード31から転送される電荷を一時的に蓄積する。
【0019】
増幅トランジスタ34は、フローティングディフュージョン33に蓄積されている電荷に応じたレベル(即ち、フローティングディフュージョン33の電位)の画素信号を、選択トランジスタ35を介して垂直信号線23に出力する。つまり、フローティングディフュージョン33が増幅トランジスタ34のゲート電極に接続される構成により、フローティングディフュージョン33および増幅トランジスタ34は、フォトダイオード31において発生した電荷を増幅し、その電荷に応じたレベルの画素信号に変換する変換部として機能する。
【0020】
選択トランジスタ35は、垂直駆動回路13から供給される選択信号SELに従って駆動し、選択トランジスタ35がオンになると、増幅トランジスタ34から出力される画素信号が垂直信号線23に出力可能な状態となる。リセットトランジスタ36は、垂直駆動回路13から供給されるリセット信号RSTに従って駆動し、リセットトランジスタ36がオンになると、フローティングディフュージョン33に蓄積されている電荷がドレイン電源Vddに排出されて、フローティングディフュージョン33がリセットされる。
【0021】
図2は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の構成例を示す断面図である。
図2に示す撮像装置1は、例えば、半導体基板50(本開示の「第1半導体基板」の一例)の裏面50a(本開示の「一方の面」の一例)側から入射された光を光電変換する裏面照射型のCMOSイメージセンサである。
【0022】
撮像装置1は、半導体基板50と、半導体基板50の裏面50a側に設けられた複数のマイクロレンズ60(本開示の「レンズ体」の一例)と、半導体基板50の表面50b側に設けられた配線層70と、を備える。以下、半導体基板50の裏面50aを受光面ともいう。
【0023】
半導体基板50は、例えば、シリコンウェハーをCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって研磨することにより形成された、シリコン基板である。半導体基板50には、画素21毎にフォトダイオード31が設けられている。半導体基板50の厚さは、受光する光の波長に応じて任意に設定してよい。一例を挙げると、半導体基板50の厚さは、可視光を受光する場合は5μm以上15μm以下、赤外光を受光する場合は15μm以上50μm以下、紫外光を受光する場合は3μm以上7μm以下である。
【0024】
半導体基板50裏面(例えば、受光面)50a上に、透光性の絶縁膜62が設けられている。絶縁膜62は、例えばシリコン酸化膜(SiO
2)である。絶縁膜62上にカラーフィルタ64が設けられている。カラーフィルタ64は、例えば、青色(B)、緑色(G)及び赤色(R)のいずれか1色に着色されていてもよいし、これら以外の他の色に着色されていてもよい。
図2では、青色のカラーフィルタ64を符号64(B)で示し、緑色のカラーフィルタ64を符号64(G)で示し、赤色のカラーフィルタ64を符号64(R)で示している。カラーフィルタ64は、絶縁膜62を介して、フォトダイオード31と向かい合う位置に配置されている。
【0025】
また、半導体基板50の受光面50a上には、絶縁膜62を介して隔壁66が設けられている。隔壁66は、隣り合う画素21間に配置されている。隔壁66によって、カラーフィルタ64は画素21毎に隔離されている。隔壁66は、遮光性を有する材料で構成されており、例えば、金属又は黒色の樹脂等で構成されている。
【0026】
マイクロレンズ60は、絶縁膜62及びカラーフィルタ64を介して、受光面50a上に設けられている。例えば、1つのカラーフィルタ64上に1つのマイクロレンズ60が配置されている。隣り合うマイクロレンズ60の端部同士が互いに接続して、1つのマイクロレンズアレイを構成している。
【0027】
図2に示すように、半導体基板50には、画素間分離部51(本開示の「素子間分離部」の一例)が設けられている。画素間分離部51は、画素21間(すなわち、互いに隣り合う一方のフォトダイオード31と他方のフォトダイオード31との間)に配置されている。画素間分離部51によって、隣接するフォトダイオード31間が電気的に分離されている。画素間分離部51は、画素21を囲むように形成されており、例えばZ軸方向から見て格子状に形成されている。
【0028】
画素間分離部51は、トレンチアイソレーション構造を有する。例えば、画素間分離部51は、半導体基板50の裏面(例えば、受光面)50a側から深さ方向に形成されたトレンチ511と、トレンチ511内に埋め込まれた充填膜513と、を有する。充填膜513は、例えばSiO2膜等の絶縁膜、又は、ポリシリコン膜である。充填膜513は、半導体基板50とは屈折率が異なる材料で構成されている。また、充填膜513は、トレンチ511内に絶縁膜を介して埋め込まれた金属膜であってもよい。充填膜513は、トレンチ511の内側面に接するように設けられた固定電荷膜を有してもよい。
【0029】
配線層70は、複数の配線(例えば、第1配線71(本開示の「配線」の一例)、第2配線72、第3配線73)と、配線を覆う層間絶縁膜75と、分離部80(本開示の「第1分離部」の一例)と、を有する。第1配線71、第2配線72、第3配線73は、一方のフォトダイオード31と他方のフォトダイオード31とが隣り合う方向(例えば、X軸方向、Y軸方向)と直交する方向(例えば、Z軸方向)に積層されている。第1配線71、第2配線72、第3配線73のうち、Z軸方向で向かい合う一方の配線と他方の配線との間に層間絶縁膜75が配置されている。例えば、第1配線71と第2配線72との間、第2配線72と第3配線73との間に、層間絶縁膜75が配置されている。第1配線71、第2配線72、第3配線73はそれぞれ層間絶縁膜75で覆われている。
【0030】
例えば、第1配線71、第2配線72、第3配線73は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)などの金属で構成されている。層間絶縁膜75は、SiO2膜等の絶縁膜で構成されている。
【0031】
分離部80は、層間絶縁膜75に設けられたトレンチ81と、トレンチ81内に設けられた低屈折率領域82(本開示の「第1低屈折率領域」の一例)と、トレンチ81内に設けられて低屈折率領域82と接する高屈折率領域83(本開示の「第1高屈折率領域」の一例)と、を有する。高屈折率領域83は、X軸方向及びY軸方向において、低屈折率領域82を両側から挟んでいる。
【0032】
低屈折率領域82の屈折率は、例えば1.0以上1.5以下であり、一例を示すと1.2である。高屈折率領域83は、低屈折率領域82よりも屈折率が高い。高屈折率領域83の屈折率は、例えば2以上4以下である。
【0033】
図2に示すように、半導体基板50に設けられた画素間分離部51と、配線層70に設けられた分離部80は、Z軸方向で互いに接している。Z軸方向から見て、分離部80は、画素間分離部51と重なる位置に設けられている。
【0034】
図3は、本開示の実施形態1に係る分離部80の構成例を示す平面図である。
図3に示すように、Z軸方向からの平面視で、分離部80は画素21を囲むように配置されている。
【0035】
図4は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1を部分的に拡大した断面図であり、半導体基板50を透過して配線層70に入射した光の反射例を示す図である。
図4に示すように、配線層70に入射した光の一部は、配線(例えば、第1配線71、第2配線72)の表面で反射する。配線の表面で反射した光の一部は半導体基板50側へ進み、反射した光の他の一部は層間絶縁膜75を透過して分離部80側へ進む。また、半導体基板50を透過して配線層70に入射した光は、配線の表面で反射されることなく、層間絶縁膜75を透過して分離部80に入射する場合もある。
【0036】
上述したように、分離部80は、低屈折率領域82と、低屈折率領域82を両側から挟む高屈折率領域83とを有する。高屈折率領域83の屈折率が層間絶縁膜75の屈折率よりも高い場合(例えば、層間絶縁膜75の屈折率が1.46程度であり、高屈折率領域83の屈折率が2以上の場合)、層間絶縁膜75を透過して分離部80に到達した光は、分離部80の高屈折率領域83を透過して低屈折率領域82に表面に到達する。低屈折率領域82の表面に到達した光は、高屈折率領域83と低屈折率領域82との屈折率差により、高屈折率領域83と低屈折率領域82との境界で反射する。
【0037】
これにより、分離部80は、一の画素21に入射した光が配線層70を介して他の画素21へ入ることを抑制することができる。撮像装置1は、分離部80を有することにより、一の画素21に入射した光を、一の画素21内に閉じ込めることが容易となるため、画素21間の混色を抑制することができる。
【0038】
また、分離部80は、分離部80で囲む領域内に入射した光の一部を、この領域の直上に位置するフォトダイオード31へ反射させることができる。フォトダイオード31に入射した光は光電変換されるため、撮像装置1は撮像感度を向上させることが可能である。
【0039】
また、分離部80だけでなく、画素間分離部51も画素21ごとにフォトダイオード31を囲むように配置されている。この例では、画素間分離部51は、半導体基板50の裏面50aと表面50bとの間を貫いており、その一端が分離部80と接している。半導体基板50において、画素間分離部51は、隣接する画素21間を隙間なく分離している。これにより、撮像装置1は、画素21内に光を閉じ込めることがさらに容易となるため、画素21間の混色をさらに抑制することができる。
【0040】
(製造方法)
次に、
図2から
図4に示した撮像装置1の製造方法を説明する。撮像装置1は、成膜装置(CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、スパッタ装置、熱酸化装置を含む)、露光装置、エッチング装置、CMP装置など、各種の装置を用いて製造される。以下、これらの装置を、製造装置と総称する。撮像装置1の配線層70は、次に説明する製造方法によって製造することができる。
【0041】
図5から
図7は、本開示の実施形態1に係る撮像装置1の製造方法を工程順に示す断面図である。なお、
図5から
図7の各ステップにおいて、下側の断面図は、上側の平面図をX1-X1´線で切断した断面を示している。下側の断面図では、半導体基板50の裏面50aが下側を向き、表面50bが上側を向いている。また、
図5から
図7では、撮像装置1が有する複数の画素のうち1つの画素を示している。
【0042】
図5のステップST1では、フォトダイオード31と画素間分離部51とが形成された半導体基板50が用意される。製造装置は、フォトダイオード31が形成された半導体基板50の表面50b上に層間絶縁膜75の一部となる第1絶縁膜751を形成する。例えば、第1絶縁膜751はSiO
2膜である。次に、製造装置は、第1絶縁膜751を部分的にエッチングして、第1絶縁膜751下から半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部を露出させる。
【0043】
次に、
図5のステップST2に示すように、製造装置は、半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部上に高屈折率領域83の一部となる第1高屈折率膜831を形成する。例えば、製造装置は、半導体基板50の表面50bの上方全体に第1高屈折率膜831を形成し、フォトリソグラフィ及びドライエッチング技術により第1高屈折率膜831を部分的にエッチング(すなわち、パターニング)して、画素間分離部51とその周辺部上にのみ第1高屈折率膜831を残す。または、製造装置は、半導体基板50の表面50bの上方全体に第1高屈折率膜831を形成し、第1高屈折率膜831の表面にCMP処理を施して、画素間分離部51とその周辺部上にのみ第1高屈折率膜831を残すようにしてもよい。
【0044】
次に、
図5のステップST3に示すように、製造装置は、第1高屈折率膜831を部分的にエッチングして、第1高屈折率膜831下から画素間分離部51を露出させる。
【0045】
次に、
図5のステップST4に示すように、製造装置は、半導体基板50の画素間分離部51上に低屈折率領域82の一部となる第1低屈折率膜821を形成する。例えば、製造装置は、半導体基板50の表面50bの上方全体に第1低屈折率膜821を形成し、第1低屈折率膜821を部分的にエッチングして、画素間分離部51とその周辺部上にのみ第1低屈折率膜821を残す。または、製造装置は、半導体基板50の表面50bの上方全体に第1低屈折率膜821を形成し、第1低屈折率膜821の表面にCMP処理を施して、画素間分離部51とその周辺部上にのみ第1低屈折率膜821を残すようにしてもよい。
【0046】
次に、
図6のステップST5に示すように、製造装置は、第1絶縁膜751上に配線(例えば、第1配線71)を形成する。例えば、製造装置は、第1絶縁膜751上に金属膜を形成する。金属膜の形成方法は、蒸着又はスパッタ法である。次に、製造装置は、金属膜を部分的にエッチングして、金属膜で構成される第1配線71を形成する。
【0047】
次に、製造装置は、第1配線71が形成された第1絶縁膜751上に、層間絶縁膜75の一部となる第2絶縁膜752を形成する。例えば、第2絶縁膜752はSiO2膜である。次に、製造装置は、第2絶縁膜752の表面にCMP処理を施して、第2絶縁膜752を平坦化すると共に、第2絶縁膜752下から第1配線71を露出させる。
【0048】
次に、
図6のステップST6に示すように、製造装置は、第2絶縁膜752上に層間絶縁膜75の一部となる第3絶縁膜753を形成する。例えば、第3絶縁膜753はSiO
2膜である。
【0049】
次に、
図6のステップST7に示すように、製造装置は、第3絶縁膜753及び第2絶縁膜752を部分的にエッチングして、第3絶縁膜753及び第2絶縁膜752下から第1高屈折率膜831及び第1低屈折率膜821を露出させる。なお、
図6のステップST7では、第1高屈折率膜831及び第1低屈折率膜821上に第1配線71の一部が配置されている場合を例示している。この場合は、第2絶縁膜752をエッチングする際に第1配線71がエッチングストッパとなる(すなわち、第2絶縁膜752に対して、第1配線71のエッチング比が十分に低い)。このため、ステップST7の断面図左側に示すように、第1高屈折率膜831及び第1低屈折率膜821上の第1配線71は、その表面を露出した状態で下方までエッチングが進まずにそのまま残される。
【0050】
次に、
図6のステップST8に示すように、製造装置は、半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部上に高屈折率領域83の一部となる第2高屈折率膜832を形成する。第2高屈折率膜832の形成方法は、例えば第1高屈折率膜831の形成方法と同じである。ステップST8の断面図左側に示すように、画素間分離部51とその周辺部上に第1配線71の一部が配置されている場合は、第1配線71上に第2高屈折率膜832が形成される。
【0051】
次に、
図7のステップST9に示すように、製造装置は、第2高屈折率膜832を部分的にエッチングして、第2高屈折率膜832下から第1低屈折率膜821又は第1配線71を露出させる。
【0052】
次に、
図7のステップST10に示すように、製造装置は、第2高屈折率膜832下から露出している第1低屈折率膜821上、又は、第2高屈折率膜832下から露出している第1配線71上に、低屈折率領域82の一部となる第2低屈折率膜822を形成する。第2低屈折率膜822の形成方法は、例えば第1低屈折率膜821の形成方法と同じである。
【0053】
これ以降は、配線の積層数に応じて、ステップST5からステップST10を繰り返し行う。このような工程を経て、
図2から
図4に示した撮像装置1が完成する。
図7のステップST10に示すように、この製造方法では、分離部80を貫くように配線の一部(例えば、第1配線81)を配置することが可能である。
【0054】
(実施形態1の効果)
以上説明したように、本開示の実施形態1に係る撮像装置1は、複数のフォトダイオード31を有する半導体基板50と、半導体基板50の裏面50a側に設けられたマイクロレンズ60と、半導体基板50の裏面50aの反対側に設けられた配線層70と、を備える。半導体基板50は、複数のフォトダイオード31のうち、互いに隣り合う一方のフォトダイオード31と他方のフォトダイオード31との間に配置された画素間分離部51を有する。配線層70は、画素間分離部51と向かい合う位置に配置された分離部80を有する。分離部80は、低屈折率領域82と、低屈折率領域82と接する高屈折率領域83と、を有する。高屈折率領域83は低屈折率領域82を両側から挟む。
【0055】
これによれば、分離部80の高屈折率領域83に入射した光は、高屈折率領域83と低屈折率領域82との屈折率差により、高屈折率領域83と低屈折率領域82との境界で反射する。これにより、分離部80は、一の画素21に入射した光が配線層70を介して他の画素21へ入ることを抑制することができる。撮像装置1は、分離部80を有することにより、一の画素21に入射した光を一の画素21内に閉じ込めることが容易となるため、画素21間の混色を抑制することができる。
【0056】
<実施形態2>
上記の実施形態1では、第1高屈折率膜831及び第1低屈折率膜821で構成される第1層を形成し、この第1層上に第2高屈折率膜832及び第2低屈折率膜822で構成される第2層目を形成し、これを配線の積層数に応じて複数回繰り返すことで、高屈折率領域83及び低屈折率領域82で構成される分離部80を形成することを説明した。すなわち、成膜とエッチングを繰り返して、分離部80を積層して形成することを説明した。
【0057】
しかしながら、本開示の実施形態において、分離部80の形成方法は、これに限定されない。本開示の実施形態では、複数の配線を積層した後で、層間絶縁膜のうち画素分離領域に位置する部分を半導体基板の表面までエッチングして、分離部80を形成してもよい。すなわち、分離部80を、複数の層を積層して形成するのではなく、一度にまとめて形成してもよい。
【0058】
図8及び
図9は、本開示の実施形態2に係る撮像装置1の製造方法を工程順に示す断面図である。なお、
図8及び
図9の各ステップにおいて、下側の断面図は、上側の平面図をX2-X2´線で切断した断面を示している。下側の断面図では、半導体基板50の裏面50aが下側を向き、表面50bが上側を向いている。また、
図8及び
図9では、撮像装置1が有する複数の画素のうち1つの画素を示している。
【0059】
図8のステップST21は、画素間分離領域に高屈折率領域83及び低屈折率領域82を形成せずに、層間絶縁膜75の第3絶縁膜753までが形成された状態を示している。
図8のステップST22に示すように、製造装置は、第3絶縁膜753上に第2配線72を形成する。第2配線72の形成方法は、実施形態1で説明した第1配線71の形成方法と同じである。
【0060】
次に、製造装置は、第2配線72が形成された第3絶縁膜753上に、層間絶縁膜75の一部となる第4絶縁膜754を形成する。例えば、第4絶縁膜754はSiO2膜である。次に、製造装置は、第4絶縁膜754の表面にCMP処理を施して、第4絶縁膜754を平坦化すると共に、第4絶縁膜754下から第2配線72を露出させる。次に、製造装置は、第4絶縁膜754上に層間絶縁膜75の一部となる第5絶縁膜755を形成する。例えば、第5絶縁膜755はSiO2膜である。
【0061】
次に、
図8のステップST23に示すように、製造装置は、層間絶縁膜75を構成する第5絶縁膜755から第1絶縁膜751までを部分的にエッチングして、層間絶縁膜75下から半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部を露出させる。
【0062】
次に、
図8のステップST24に示すように、製造装置は、半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部上に高屈折率領域83を形成する。高屈折率領域83の形成方法は、実施形態1で説明した第1高屈折率膜831の形成方法と同じである。次に、製造装置は、高屈折率領域83を部分的にエッチングして、高屈折率領域83下から画素間分離部51を露出させる。
【0063】
次に、
図9のステップST25に示すように、半導体基板50の画素間分離部51上に低屈折率領域82を形成する。低屈折率領域82の形成方法は、実施形態1で説明した第1低屈折率膜821の形成方法と同じである。
【0064】
これ以降は、配線の積層数に応じて、配線と絶縁膜とを順次積層する。例えば
図9のステップST26に示すように、製造装置は、第5絶縁膜755上に層間絶縁膜75の一部となる第6絶縁膜756を形成する。例えば、第6絶縁膜756はSiO
2膜である。
【0065】
次に、製造装置は、
図9のステップST27に示すように、第6絶縁膜756上に第3配線73を形成する。次に、製造装置は、層間絶縁膜75の一部となる第7絶縁膜757を形成する。例えば、第7絶縁膜757はSiO
2膜である。次に、製造装置は、第7絶縁膜757の表面にCMP処理を施して、第7絶縁膜757を平坦化すると共に、第7絶縁膜757下から第3配線73を露出させる。次に、製造装置は、第7絶縁膜757上に層間絶縁膜75の一部となる第8絶縁膜758を形成する。例えば、第8絶縁膜758はSiO
2膜である。
【0066】
第4配線74を必要とする場合はさらに、製造装置は、第4配線74の形成と、層間絶縁膜75の一部となる第9絶縁膜759の形成とその表面のCMP処理と、層間絶縁膜75の一部となる第10絶縁膜760の形成とを順次行う。例えば、第9絶縁膜759及び第10絶縁膜760はそれぞれSiO2膜である。このような工程を経て、撮像装置1が完成する。
【0067】
実施形態2に係る製造方法は、実施形態1と比べて、層間絶縁膜75のエッチング工程と、高屈折率領域83の形成工程及び低屈折率領域82の形成工程の各工程数を減らすことができるので、製造工程を短縮化し、製造コストを低減できる可能性がある。
【0068】
なお、この例では、分離部80で囲まれる領域に配置された第1配線71及び第2配線72をフローティングディフュージョン33(
図1参照)に接続するローカル配線として使用してよい。第1配線71及び第2配線72は、分離部80から離して配置されている。第1配線71及び第2配線72は、分離部80と接したり、分離部80を貫通したりはしていない。また、分離部80で囲まれていない領域に配置された第3配線73及び第4配線74は、制御線など、画素間を横断するような信号線として使用してもよい。第3配線73及び第4配線74も、分離部80から離して配置されている。
【0069】
(実施形態3)
本開示の実施形態では、例えば、転送トランジスタ32、増幅トランジスタ34、選択トランジスタ35、およびリセットトランジスタ36(
図1参照)など、画素トランジスタの少なくとも一部が、半導体基板50(以下、第1半導体基板50)とは別の第2半導体基板に設けられていてもよい。また、第1半導体基板50と第2半導体基板との間に、低屈折率領域と高屈折率領域とで構成される分離層が配置されていてもよい。
【0070】
図10は、本開示の実施形態3に係る撮像装置1Aの構成例を示す断面図である。
図10に示すように、実施形態3に係る撮像装置1Aは、配線層70を挟んで半導体基板50(以下、第1半導体基板50)と向かい合う第2半導体基板150、をさらに備える。第2半導体基板150は、例えば、シリコンウェハーをCMPによって研磨することにより形成された、シリコン基板である。第2半導体基板150には、例えば、転送トランジスタ32、増幅トランジスタ34、選択トランジスタ35、およびリセットトランジスタ36(
図1参照)など、画素トランジスタの一部が設けられている。
【0071】
また、実施形態3において、配線層70は、層間絶縁膜75と、層間絶縁膜75の少なくとも一部を貫いて画素間分離部51と向かい合う位置に配置された分離部80と、層間絶縁膜75の少なくとも一部を介して第1半導体基板50と向かい合う位置に配置された分離部80A(本開示の「第2分離部」の一例)と、を有する。分離部80Aによって、各画素21のフォトダイオード31は半導体基板50の表面50b側(すなわち、受光面の反対側)から覆われている。
【0072】
例えば、分離部80Aは、低屈折率領域82A(本開示の「第2低屈折率領域」の一例)と、低屈折率領域82Aと接する高屈折率領域83A(本開示の「第2高屈折率領域」の一例)と、を有する。高屈折率領域83Aは、低屈折率領域82Aよりも半導体基板50に近い側に位置する。
【0073】
低屈折率領域82Aの屈折率は、例えば1.0以上1.5以下であり、一例を示すと1.2である。高屈折率領域83Aは、低屈折率領域82Aよりも屈折率が高い。高屈折率領域83Aの屈折率は、例えば2以上4以下である。
【0074】
分離部80Aは、高屈折率領域83Aに入射した光を、高屈折率領域83Aと低屈折率領域82Aとの屈折率差により、高屈折率領域83Aと低屈折率領域82Aとの境界で反射する。これにより、分離部80Aは、一の画素21に入射した光が配線層70を介して他の画素21へ入ることを抑制することができる。
【0075】
撮像装置1Aは、分離部80Aに加えて、分離部80Aを有することにより、画素21内に光を閉じ込めることがさらに容易となる。また、分離部80Aは、分離部80、80Aで囲む領域内に入射した光の一部を、この領域の直上に位置するフォトダイオード31へ反射させることができる。フォトダイオード31に入射した光は光電変換されるため、撮像装置1Aは撮像感度をさらに向上させることが可能である。
【0076】
なお、この例では、分離部80Aは分離部80と一体に形成されており、分離部80Aの高屈折率領域83Aは分離部80の高屈折率領域83と同一の膜で一体に形成され、分離部80Aの低屈折率領域82Aは分離部80の低屈折率領域82と同一の膜で一体に形成されている場合を示している。しかし、これはあくまで実施形態3の一例である。分離部80Aは、分離部80と一体ではなく、互いに離れていてもよい。また、高屈折率領域83Aは高屈折率領域83とは別の膜で形成されていてもよいし、低屈折率領域82Aは低屈折率領域82とは別の膜で形成されていてもよい。
【0077】
また、配線層70は、分離部80Aを貫いて第1半導体基板50と第2半導体基板150とを接続する接続配線77を有する。接続配線77は、第1半導体基板50に設けられたフォトダイオード31と、第2半導体基板150に設けられた画素トランジスタ等とを電気的に接続する。接続配線77は、Al又はCuなどの金属で構成されていてもよいし、タングステン(W)等の高融点金属で構成されていてもよい。
【0078】
また、配線層70は、第2半導体基板150を挟んで配線層70の反対側に第2配線層170を備える。第2配線層170は、複数の配線(例えば、第1配線171、第2配線172、第3配線173)と、層間絶縁膜175とを有する。第1配線171、第2配線172、第3配線173は、例えば、制御線など、画素21間を横断するような信号線として使用される。
【0079】
(製造方法)
次に、
図10に示した撮像装置1Aの製造方法を説明する。
図11及び
図12は、本開示の実施形態3に係る撮像装置1Aの製造方法を工程順に示す断面図である。なお、
図11及び
図12において、下側の断面図は、上側の平面図をX3-X3´線で切断した断面を示している。下側の断面図では、半導体基板50の裏面50aが下側を向き、表面50bが上側を向いている。また、
図11及び
図12では、撮像装置1Aが有する複数の画素のうち1つの画素を示している。
【0080】
図11のステップST31では、フォトダイオード31と画素間分離部51とが形成された半導体基板50が用意される。製造装置は、フォトダイオード31が形成された半導体基板50の表面50b上に層間絶縁膜75の一部となる第1絶縁膜751を形成する。次に、製造装置は、第1絶縁膜751を部分的にエッチングして、第1絶縁膜751下から半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部を露出させる。
【0081】
次に、
図11のステップST32に示すように、製造装置は、半導体基板50の表面50bの上方全体に高屈折率膜83´を形成する。高屈折率膜83´のうち、半導体基板50の画素間分離部51とその周辺部上に位置する部分が高屈折率領域83(
図10参照)となり、第1絶縁膜751上に位置する部分が高屈折率領域83A(
図10参照)となる。
【0082】
次に、
図11のステップST33に示すように、製造装置は、高屈折率膜83´を部分的にエッチングして、高屈折率膜83´下から画素間分離部51を露出させる。
【0083】
次に、
図12のステップST34に示すように、製造装置は、半導体基板50の表面50bの上方全体に低屈折率膜82´を形成する。低屈折率膜82´のうち、画素間分離部51上に位置する部分が低屈折率領域82(
図10参照)となり、第1絶縁膜751の上方に位置する部分が低屈折率領域82A(
図10参照)となる。
【0084】
次に、製造装置は、第1絶縁膜751上に、層間絶縁膜75の一部となる第2絶縁膜752を形成する。次に、
図12のステップST35に示すように、製造装置は、第2絶縁膜752、低屈折率膜82´、高屈折率膜83´及び第1絶縁膜751をエッチングして、これらの膜を貫く貫通孔を形成する。そして、製造装置は、貫通孔に金属を埋め込んで、接続配線77を形成する。
【0085】
次に、製造装置は、第2絶縁膜752上に、接続配線77に接続する第1配線71を形成する。次に、製造装置は、第1配線71が形成された第2絶縁膜752上に層間絶縁膜75の一部となる第3絶縁膜753を形成する。次に、製造装置は、第3絶縁膜753の表面にCMP処理を施して、第3絶縁膜753を平坦化すると共に、第3絶縁膜753下から第1配線71を露出させる。
【0086】
これ以降は、配線の積層数に応じて、層間絶縁膜75の一部となる絶縁膜の形成と、配線の形成と繰り返し行う。また、配線層70の形成後に、配線層70を介して、第1半導体基板50と第2半導体基板150とを貼り合わせる。このような工程を経て、
図10に示した撮像装置1Aが完成する。
【0087】
(実施形態3の効果)
実施形態3に係る撮像装置1Aは、分離部80に加えて、分離部80Aを有する。これにより、撮像装置1Aは、画素21内に光を閉じ込めることがさらに容易となり、画素21間の混色をさらに抑制することができる。
【0088】
<変形例>
上記の実施形態1から3では、半導体基板50に画素間分離部51が設けられていることを説明した。画素間分離部51は、トレンチアイソレーション構造を有し、半導体基板50の裏面50aと表面50bとの間を貫いていることを説明した。上記の実施形態1から3において、画素間分離部51のトレンチ511は、半導体基板50の裏面50aから表面50b側へエッチングすることにより形成されていてもよいし、表面50bから裏面50a側へエッチングすることにより形成されていてもよい。また、上記の実施形態1から3において、画素間分離部51は、半導体基板50を貫いていなくてもよい。
【0089】
図13は、本開示の実施形態の変形例1に係る撮像装置1Bの構成例を示す断面図である。
図13に示すように、変形例1に係る撮像装置1Bにおいて、画素間分離部51は、半導体基板50を貫いていない。画素間分離部51のトレンチ511は、半導体基板50の裏面50aから表面50b側へエッチングすることにより形成されているが、その底部は裏面50aと表面50bとの間に位置し、表面50bには達していない。
【0090】
このような構成であっても、撮像装置1Bは、配線層70に分離部80を有する。これにより、撮像装置1Bは、画素21内に光を閉じ込めることが容易となるため、画素21間の混色を抑制することができる。
【0091】
図14は、本開示の実施形態の変形例2に係る撮像装置1Cの構成例を示す断面図である。
図14に示すように、変形例2に係る撮像装置1Cにおいて、画素間分離部51は、半導体基板50を貫いていない。画素間分離部51のトレンチ511は、半導体基板50の表面50bから裏面50a側へエッチングすることにより形成されているが、その底部は表面50bと裏面50aとの間に位置し、裏面50aには達していない。
【0092】
このような構成であっても、撮像装置1Cの配線層70は、配線層70に分離部80を有する。これにより、撮像装置1Cは、画素21内に光を閉じ込めることが容易となるため、画素21間の混色を抑制することができる。
【0093】
<その他の実施形態>
上記のように、本開示は実施形態及び変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本開示に係る技術(本技術)はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。上述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0094】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
複数の光電変換素子を有する第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の一方の面側に設けられたレンズ体と、
前記第1半導体基板の前記一方の面の反対側に設けられた配線層と、を備え、
前記第1半導体基板は、
前記複数の光電変換素子のうち、互いに隣り合う一方の光電変換素子と他方の光電変換素子との間に配置された素子間分離部を有し、
前記配線層は、
前記素子間分離部と向かい合う位置に配置された第1分離部を有し、
前記第1分離部は、
第1低屈折率領域と、
前記第1低屈折率領域と接する第1高屈折率領域と、を有し、
前記第1高屈折率領域は前記第1低屈折率領域を両側から挟む、撮像装置。
(2)
前記配線層は、
配線と、
前記配線を覆う層間絶縁膜と、を有する前記(1)に記載の撮像装置。
(3)
前記配線は、前記第1分離部で囲まれる領域に配置されている、前記(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記配線は、前記第1分離部から離して配置されている、前記(2)又は(3)に記載の撮像装置。
(5)
前記配線の一部が前記第1分離部を貫いている、前記(2)又は前記(3)に記載の撮像装置。
(6)
前記素子間分離部と前記第1分離部は互いに接している、前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(7)
前記第1半導体基板は、前記一方の面の反対側に位置する他方の面を有し、
前記素子間分離部は、前記第1半導体基板の前記一方の面と前記他方の面との間を貫いている、前記(1)から(6)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(8)
前記素子間分離部は、前記第1半導体基板とは屈折率が異なる材料で構成されている、前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(9)
前記配線層を挟んで前記第1半導体基板と向かい合う第2半導体基板、をさらに備え、
前記配線層は、
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の少なくとも一部を介して前記第1半導体基板と向かい合う第2分離部と、を有し、
前記第2分離部は、
第2低屈折率領域と、
前記第2低屈折率領域と接する第2高屈折率領域と、を有し、
前記第2高屈折率領域は、前記第2低屈折率領域よりも前記第1半導体基板に近い側に位置する前記(1)に記載の撮像装置。
(10)
前記配線層は、前記第2分離部を貫いて前記第1半導体基板と前記第2半導体基板とを接続する接続配線を有する、前記(9)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0095】
1、1A、1B、1C 撮像装置
12 画素
13 垂直駆動回路
14 カラム信号処理回路
15 水平駆動回路
16 出力回路
17 制御回路
21 画素
22 水平信号線
23 垂直信号線
24 データ出力信号線
30 読出回路
31 フォトダイオード
32 転送トランジスタ
33 フローティングディフュージョン
34 増幅トランジスタ
35 選択トランジスタ
36 リセットトランジスタ
50 半導体基板(第1半導体基板)
50a 裏面(例えば、受光面)
50b 表面
51 画素間分離部
60 マイクロレンズ
62 絶縁膜
64 カラーフィルタ
66 隔壁
70 配線層
70 画素間分離部
71、171 第1配線
72、172 第2配線
73、173 第3配線
74 第4配線
75、175 層間絶縁膜
77 接続配線
80、80A 分離部
81 トレンチ
82、82A 低屈折率領域
82´ 低屈折率膜
83 高屈折率領域
83´ 高屈折率膜
83A 高屈折率領域
150 第2半導体基板
170 第2配線層
511 トレンチ
513 充填膜
751 第1絶縁膜
752 第2絶縁膜
753 第3絶縁膜
754 第4絶縁膜
755 第5絶縁膜
756 第6絶縁膜
757 第7絶縁膜
758 第8絶縁膜
759 第9絶縁膜
760 第10絶縁膜
821 第1低屈折率膜
822 第2低屈折率膜
831 第1高屈折率膜
832 第2高屈折率膜