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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144054
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/40 20200101AFI20220926BHJP
   B62J 45/41 20200101ALI20220926BHJP
   B62J 11/00 20200101ALI20220926BHJP
   B62J 6/03 20200101ALI20220926BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20220926BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20220926BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220926BHJP
【FI】
B62J45/40
B62J45/41
B62J11/00
B62J6/03
B62J23/00 A
B62J23/00 F
G01S7/03 240
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044896
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】前田 智仁
(72)【発明者】
【氏名】今福 雄太
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AD01
5J070AD13
5J070AE01
5J070AF02
(57)【要約】
【課題】レーダにより前方の車両等を良好に検出することができる鞍乗型車両を提供すること。
【解決手段】自動二輪車1は、車体フレーム10に支持され、ヘッドパイプ11よりも前方に配置されたレーダ60を備える。フロントカバー40は、前端420fと、車両正面視において左方または右方に延び、少なくとも一部が前端420f以下の位置にある下縁42deとを有している。レーダ60の少なくとも一部は、フロントカバー40の前端420fよりも下方、下縁42deよりも下方、および、フロントフェンダ35よりも上方に配置されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方かつ前方に延びるヘッドパイプを有する車体フレームと、
前記ヘッドパイプに左右に回転可能に支持されたステアリング軸と、
前記ステアリング軸に接続されたフロントフォークと、
前記フロントフォークに支持されたフロントフェンダと、
少なくとも一部が前記ヘッドパイプよりも前方に配置されたフロントカバーと、
前記車体フレームに支持され、前記ヘッドパイプよりも前方に配置されたレーダと、を備え、
前記フロントカバーは、前端と、車両正面視において左方または右方に延び、少なくとも一部が前記前端以下の位置にある下縁とを有し、
前記レーダの少なくとも一部は、前記フロントカバーの前記前端よりも下方、前記下縁よりも下方、および、前記フロントフェンダよりも上方に配置されている、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記フロントカバーは、車両側面視において前方に凸状の複数の凸部を有し、
前記フロントカバーの前記前端は、前記複数の凸部のうち最も下方に位置する凸部に備えられている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記フロントカバーは、
前記ヘッドパイプの下端よりも上方に配置されたフロントカウルと、
前記フロントカウルと別体に形成され、少なくとも一部が前記フロントカウルの下方かつ車両中心線の左方に配置された左サイドカウルと、
前記フロントカウルと別体に形成され、少なくとも一部が前記フロントカウルの下方かつ車両中心線の右方に配置された右サイドカウルと、を有し、
前記フロントカバーの前記前端および前記下縁は、前記左サイドカウルまたは前記右サイドカウルに備えられている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記レーダは、前記フロントカウルよりも下方に配置されている、請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記レーダは、前記左サイドカウルよりも右方、かつ、前記右サイドカウルよりも左方に配置されている、請求項3または4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記レーダの前方に配置され、車両正面視において前記レーダと重なるレーダカバーを備えている、請求項1~5のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記レーダは、車両側面視において、前記フロントフォークの前縁と前記フロントフェンダの上縁との交点よりも前方に配置されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
車両側面視において、前記交点は前記フロントカバーと重なっていない、請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記レーダの後端と前記車体フレームの前端との間の前後方向の距離は、前記レーダの下端と前記フロントフェンダの上端との間の上下方向の距離よりも短い、請求項1~8のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記レーダは、左壁および右壁を有する筐体と、ワイヤハーネスに接続されたコネクタに着脱自在に接続されるレーダコネクタと、を有し、
前記レーダコネクタは、前記筐体の前記左壁または前記右壁に設けられている、請求項1~9のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記ヘッドパイプに片持ち支持されたベースステーを備え、
前記レーダは、前記ベースステーに支持されている、請求項1~10のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記ベースステーに支持されたヘッドライトを備えている、請求項11に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記ヘッドライトは、前記レーダの左方に配置された左ヘッドライトと、前記レーダの右方に配置された右ヘッドライトとを有している、請求項12に記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
車両正面視において、前記左ヘッドライトおよび前記右ヘッドライトは前記フロントフォークと重なり、前記レーダは前記フロントフォークと重なっていない、請求項13に記載の鞍乗型車両。
【請求項15】
前記ヘッドライトが固定されたヘッドライトステーと、
前記ベースステーに前記ヘッドライトステーを揺動可能に支持するヘッドライト揺動軸と、
前記ベースステーと前記ヘッドライトステーとを結合するヘッドライトエーミングスクリューと、を備え、
前記ヘッドライトステーまたは前記ベースステーに、前記ヘッドライトエーミングスクリューを回転させるツールが挿入される孔が形成され、
前記ヘッドライトエーミングスクリューを回転させることにより前記ヘッドライトの向きが調整されるように構成され、
車両正面視において、前記孔は前記フロントカバーと重なっていない、請求項12~14のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項16】
前記レーダが固定されたレーダステーと、
前記ベースステーに前記レーダステーを揺動可能に支持するレーダ揺動軸と、
前記ベースステーと前記レーダステーとを結合するレーダエーミングスクリューと、を備え、
前記レーダステーまたは前記ベースステーに、前記レーダエーミングスクリューを回転させるツールが挿入される孔が形成され、
前記レーダエーミングスクリューを回転させることにより前記レーダの向きが調整されるように構成され、
車両正面視において、前記孔は前記フロントカバーと重なっていない、請求項11~15のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項17】
前記レーダ揺動軸は、ボールジョイントからなり、
前記レーダエーミングスクリューは、前記ボールジョイントの左方または右方に配置された第1エーミングスクリューと、前記ボールジョイントの上方または下方に配置された第2エーミングスクリューと、を有している、請求項16に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方の車両等を検出するレーダを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2019-48554号公報に開示されているように、前方の車両等を検出するレーダを備えた鞍乗型車両が知られている。特開2019-48554号公報に開示された鞍乗型車両では、レーダはフロントカバーの内部に配置されている。フロントカバーには、左ヘッドライトおよび右ヘッドライトが取り付けられている。レーダは、左ヘッドライトおよび右ヘッドライトの上方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-48554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーダは、前方に向けて電磁波を送信する。レーダは、物体に当たって反射した電磁波(以下、反射波という)を前方から受信する。レーダによる電磁波の送信および受信が良好に行われるよう、レーダの前方には電磁波を遮蔽する部材を配置すべきでない。レーダは、できるだけ前方に配置されていることが好ましい。また、鞍乗型車両では、フロントカバーの後方に、金属製のヘッドパイプが配置されている。ヘッドパイプによる電磁波の干渉を避けるために、レーダはできるだけ前方に配置されていることが好ましい。
【0005】
レーダは、支持ブラケット等を介して車体フレームに支持される。車体フレームはレーダよりも後方に配置されているので、レーダは後方から片持ち支持される。レーダをより前方に配置するほど、レーダと車体フレームとの前後方向の距離は長くなる。ところで、レーダは比較的重たい部品である。レーダと車体フレームとの前後方向の距離が長くなると、鞍乗型車両の走行時にレーダは振動しやすくなる。すなわち、レーダを前方に配置するほど、レーダは振動しやすくなる。しかし、レーダが振動すると、レーダの検出性能は低下してしまう。
【0006】
本発明の目的は、レーダにより前方の車両等を良好に検出することができる鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される鞍乗型車両は、下方かつ前方に延びるヘッドパイプを有する車体フレームと、前記ヘッドパイプに左右に回転可能に支持されたステアリング軸と、前記ステアリング軸に接続されたフロントフォークと、前記フロントフォークに支持されたフロントフェンダと、少なくとも一部が前記ヘッドパイプよりも前方に配置されたフロントカバーと、前記車体フレームに支持され、前記ヘッドパイプよりも前方に配置されたレーダと、を備える。前記フロントカバーは、前端と、車両正面視において左方または右方に延び、少なくとも一部が前記前端以下の位置にある下縁とを有している。前記レーダの少なくとも一部は、前記フロントカバーの前記前端よりも下方、前記下縁よりも下方、および、前記フロントフェンダよりも上方に配置されている。
【0008】
上記鞍乗型車両において、ヘッドパイプは下方かつ前方に延びているので、レーダが下方に配置されているほど、レーダと車体フレームとの前後方向の距離は短くなる。上記鞍乗型車両によれば、レーダの少なくとも一部は、フロントカバーの前端よりも下方、かつ、下縁よりも下方に配置されている。このように、レーダは比較的下方に配置されている。よって、レーダを比較的前方に配置しても、レーダと車体フレームとの前後方向の距離は長くならないので、レーダは振動しにくい。したがって、レーダにより前方の車両等を良好に検出することができる。
【0009】
好ましい一態様によれば、前記フロントカバーは、車両側面視において前方に凸状の複数の凸部を有している。前記フロントカバーの前記前端は、前記複数の凸部のうち最も下方に位置する凸部に備えられている。
【0010】
上記態様によれば、レーダは、より下方に配置されている。よって、レーダをより前方に配置しても、レーダと車体フレームとの前後方向の距離は長くならない。レーダは振動しにくいため、レーダにより前方の車両等を良好に検出することができる。
【0011】
前記フロントカバーは、前記ヘッドパイプの下端よりも上方に配置されたフロントカウルと、前記フロントカウルと別体に形成され、少なくとも一部が前記フロントカウルの下方かつ車両中心線の左方に配置された左サイドカウルと、前記フロントカウルと別体に形成され、少なくとも一部が前記フロントカウルの下方かつ車両中心線の右方に配置された右サイドカウルと、を有していてもよい。前記フロントカバーの前記前端および前記下縁は、前記左サイドカウルまたは前記右サイドカウルに備えられていてもよい。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記レーダは、前記フロントカウルよりも下方に配置されている。
【0013】
上記態様によれば、レーダは比較的下方に配置されている。よって、レーダを比較的前方に配置しても、レーダと車体フレームとの前後方向の距離は長くならないので、レーダは振動しにくい。したがって、レーダにより前方の車両等を良好に検出することができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記レーダは、前記左サイドカウルよりも右方、かつ、前記右サイドカウルよりも左方に配置されている。
【0015】
上記態様によれば、レーダは鞍乗型車両の中央付近に配置されている。そのため、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記鞍乗型車両は、前記レーダの前方に配置され、車両正面視において前記レーダと重なるレーダカバーを備えている。
【0017】
上記態様によれば、レーダカバーによって、レーダに泥や砂利等が当たることを防止することができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記レーダは、車両側面視において、前記フロントフォークの前縁と前記フロントフェンダの上縁との交点よりも前方に配置されている。
【0019】
上記態様によれば、レーダは比較的前方に配置されている。よって、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0020】
車両側面視において、前記交点は前記フロントカバーと重なっていなくてもよい。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記レーダの後端と前記車体フレームの前端との間の前後方向の距離は、前記レーダの下端と前記フロントフェンダの上端との間の上下方向の距離よりも短い。
【0022】
上記態様によれば、レーダと車体フレームとの前後方向の距離が短いため、レーダは振動しにくい。よって、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記レーダは、左壁および右壁を有する筐体と、ワイヤハーネスに接続されたコネクタに着脱自在に接続されるレーダコネクタと、を有している。前記レーダコネクタは、前記筐体の前記左壁または前記右壁に設けられている。
【0024】
上記態様によれば、レーダコネクタにコネクタが接続された状態において、ワイヤハーネスは筐体の上方または下方に出っ張らない。レーダおよびワイヤハーネスの上下方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記鞍乗型車両は、前記ヘッドパイプに片持ち支持されたベースステーを備えている。前記レーダは、前記ベースステーに支持されている。
【0026】
上記態様によれば、レーダは、ベースステーを介してヘッドパイプに片持ち支持されている。しかし、前述の通り、レーダと車体フレームとの前後方向の距離は短いので、レーダは振動しにくい。
【0027】
好ましい一態様によれば、前記鞍乗型車両は、前記ベースステーに支持されたヘッドライトを備えている。
【0028】
上記態様によれば、レーダおよびヘッドライトを共通のベースステーにより支持することができる。
【0029】
好ましい一態様によれば、前記ヘッドライトは、前記レーダの左方に配置された左ヘッドライトと、前記レーダの右方に配置された右ヘッドライトとを有している。
【0030】
上記態様によれば、左ヘッドライトの光量および右ヘッドライトの光量の合計が、ヘッドライトの全体の光量となる。ヘッドライトの全体の光量を確保しながら、鞍乗型車両の中央付近にレーダを配置することができる。
【0031】
好ましい一態様によれば、車両正面視において、前記左ヘッドライトおよび前記右ヘッドライトは前記フロントフォークと重なり、前記レーダは前記フロントフォークと重なっていない。
【0032】
上記態様によれば、フロントフォークに邪魔されることなくレーダの設置スペースを確保することができる。
【0033】
好ましい一態様によれば、前記鞍乗型車両は、前記ヘッドライトが固定されたヘッドライトステーと、前記ベースステーに前記ヘッドライトステーを揺動可能に支持するヘッドライト揺動軸と、前記ベースステーと前記ヘッドライトステーとを結合するヘッドライトエーミングスクリューと、を備えている。前記ヘッドライトステーまたは前記ベースステーに、前記ヘッドライトエーミングスクリューを回転させるツールが挿入される孔が形成されている。前記鞍乗型車両は、前記ヘッドライトエーミングスクリューを回転させることにより前記ヘッドライトの向きが調整されるように構成されている。車両正面視において、前記孔は前記フロントカバーと重なっていない。
【0034】
上記態様によれば、フロントカバーを取り外さなくても、前記孔にドライバー等のツールを挿入してヘッドライトエーミングスクリューを回転させることができる。フロントカバーを取り外さなくても、ヘッドライトの向きを調整する作業を行うことができる。
【0035】
好ましい一態様によれば、前記鞍乗型車両は、前記レーダが固定されたレーダステーと、前記ベースステーに前記レーダステーを揺動可能に支持するレーダ揺動軸と、前記ベースステーと前記レーダステーとを結合するレーダエーミングスクリューと、を備えている。前記レーダステーまたは前記ベースステーに、前記レーダエーミングスクリューを回転させるツールが挿入される孔が形成されている。前記鞍乗型車両は、前記レーダエーミングスクリューを回転させることにより前記レーダの向きが調整されるように構成されている。車両正面視において、前記孔は前記フロントカバーと重なっていない。
【0036】
上記態様によれば、フロントカバーを取り外さなくても、前記孔にドライバー等のツールを挿入してレーダエーミングスクリューを回転させることができる。フロントカバーを取り外さなくても、レーダの向きを調整する作業を行うことができる。
【0037】
好ましい一態様によれば、前記レーダ揺動軸はボールジョイントからなっている。前記レーダエーミングスクリューは、前記ボールジョイントの左方または右方に配置された第1エーミングスクリューと、前記ボールジョイントの上方または下方に配置された第2エーミングスクリューと、を有している。
【0038】
上記態様によれば、レーダの左右の向きの調整および上下の向きの調整を、それぞれ独立して行うことができる。そのため、レーダの向きを調整する作業が容易である。レーダの向きを所望の向きに容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、レーダにより前方の車両等を良好に検出することができる鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】一実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】自動二輪車の主要部の左側面図である。
図3】自動二輪車の部分正面図である。
図4】自動二輪車の主要部の平面図である。
図5】レーダの支持構造の左側面図である。
図6】レーダ、左ヘッドライト、右ヘッドライト、およびベースステー等を上方から見た斜視図である。
図7】レーダ、左ヘッドライト、右ヘッドライト、およびベースステー等を下方から見た斜視図である。
図8】レーダ、左ヘッドライト、右ヘッドライト、およびベースステー等を下方から見た他の斜視図である。
図9】他の実施形態に係る自動二輪車の正面図である。
図10】他の実施形態に係る自動二輪車のレーダ、左ヘッドライト、右ヘッドライト、およびベースステー等を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、鞍乗型車両の実施形態について説明する。図1は、鞍乗型車両の一例である自動二輪車1の左側面図である。
【0042】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート2に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0043】
前方とは、車両平面視において、車両中心線CL(図4参照)に沿って前向きに延びる方向だけでなく、当該方向から左右に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。同様に、後方とは、車両平面視において、車両中心線CLに沿って後向きに延びる方向だけでなく、当該方向から左右に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。左方とは、車両平面視において、車両中心線CLに対して垂直に左向きに延びる方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。右方とは、車両平面視において、車両中心線CLに対して垂直に右向きに延びる方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。上方とは、車両側面視において、鉛直上向きの方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。下方とは、車両側面視において、鉛直下向きの方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。
【0044】
自動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に支持されたエンジン3と、車体フレーム10に支持されたシート2と、前輪4と、後輪5と、を備えている。シート2の前方には燃料タンク6が配置されている。エンジン3と後輪5とは、チェーン7により接続されている。エンジン3は走行用の駆動源である。チェーン7は、駆動源の動力を後輪5に伝達する動力伝達部材の一例である。後輪5は、リアアーム8の後端部に回転可能に支持されている。リアアーム8の前端部は、ピボット軸9により車体フレーム10に揺動可能に支持されている。
【0045】
図2に示すように、車体フレーム10は、下方かつ前方に延びるヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後方に延びるメインフレーム12と、メインフレーム12から下方に延びるダウンフレーム13およびダウンフレーム14とを有している。エンジン3は、ダウンフレーム13およびダウンフレーム14に支持されている(図1参照)。車体フレーム10の材料は特に限定されないが、ここでは金属製である。
【0046】
ヘッドパイプ11には、ステアリング軸20が挿入されている。ステアリング軸20は、ヘッドパイプ11に左右に回転可能に支持されている。ステアリング軸20には、トップブリッジ23およびアンダーブラケット25が固定されている。トップブリッジ23は、ヘッドパイプ11の上方に配置されている。アンダーブラケット25は、ヘッドパイプ11の下方に配置されている。トップブリッジ23にはハンドルブラケット24が固定されている。ハンドルブラケット24にはハンドルバー21が固定されている。図示は省略するが、ハンドルバー21の左端部には左グリップが取り付けられ、ハンドルバー21の右端部には右グリップが取り付けられている。
【0047】
図1に示すように、前輪4はフロントフォーク30の下端部に回転可能に支持されている。フロントフォーク30は、トップブリッジ23およびアンダーブラケット25に固定されている。フロントフォーク30は、トップブリッジ23およびアンダーブラケット25を介して、ステアリング軸20に接続されている。図3に示すように、フロントフォーク30は、左チューブ30Lと、左チューブ30Lの右方に配置された右チューブ30Rとを有している。車両正面視において、左チューブ30Lは車両中心線CLの左方に配置され、右チューブ30Rは車両中心線CLの右方に配置されている。図4に示すように、左チューブ30Lおよび右チューブ30Rは、トップブリッジ23およびアンダーブラケット25に固定されている。図2に示すように車両側面視において、フロントフォーク30は前縁30feを有している。車両側面視において、前縁30feは下方かつ前方に延びている。
【0048】
図2に示すように、フロントフォーク30はフロントフェンダ35を支持している。フロントフェンダ35の少なくとも一部は、前輪4の上方に配置されている。フロントフェンダ35は、車両側面視において上縁35ueを有している。ここでは、上縁35ueは円弧状に形成されている。ただし、上縁35ueの形状は特に限定されない。
【0049】
図1に示すように、自動二輪車1はフロントカバー40を備えている。フロントカバー40の少なくとも一部は、ヘッドパイプ11(図2参照)よりも前方に配置されている。本実施形態では、フロントカバー40は、フロントカウル41と、左サイドカウル42Lと、右サイドカウル42Rと、ウインドシールド43とを有している(図3参照)。フロントカウル41、左サイドカウル42L、右サイドカウル42R、およびウインドシールド43は、互いに別体に形成されている。
【0050】
図3に示すように、フロントカウル41は、車両正面視において車両中心線CLと重なっている。フロントカウル41は、車両中心線CLの左方から右方にわたって配置されている。フロントカウル41は、ヘッドパイプ11の前方に配置されている。車両正面視において、フロントカウル41はヘッドパイプ11と重なっている。図1に示すように、車両側面視において、フロントカウル41は前方に凸状の凸部410を有している。なお、「車両側面視において前方に凸状」とは、車両側面視において、上方かつ後方に延びる上縁と、下方かつ後方に延びる下縁とにより形成される凸状のことを言う。図3に示すように車両正面視において、フロントカウル41は、凸部410の前端410fから左方および右方に延びる下縁41deを有している。
【0051】
図3に示すように車両正面視において、左サイドカウル42Lは車両中心線CLの左方に配置され、右サイドカウル42Rは車両中心線CLの右方に配置されている。左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rは、互いに離間している。特に限定される訳ではないが、本実施形態では、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rは、車両中心線CLに関して左右対称の形状を有している。
【0052】
図1に示すように、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの上端42tは、フロントカウル41の上端41tよりも下方に位置している。左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの下端42dは、フロントカウル41の下端よりも下方に位置している。なお、本実施形態では、フロントカウル41の前端410fがフロントカウル41の下端となっている。
【0053】
車両側面視において、左サイドカウル42Lは、前方に凸状の凸部420を有している。同様に、右サイドカウル42Rも前方に凸状の凸部420を有している。図3に示すように、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rは、車両正面視において左方または右方に延びる下縁42deを有している。ここでは、左サイドカウル42Lの下縁42deは、左サイドカウル42Lの凸部420の前端420fから左方に延びている。右サイドカウル42Rの下縁42deは、右サイドカウル42Rの凸部420の前端420fから右方に延びている。下縁42deの少なくとも一部は、凸部420の前端420f以下の位置に配置されている。ここでは、下縁42deの全体が凸部420の前端420f以下の位置に配置されている。
【0054】
左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rは、車両正面視において、下縁42deの車幅方向の外方の端部から下方に延びる縦縁42seを有している。詳しくは、左サイドカウル42Lは、車両正面視において、左サイドカウル42Lの下縁42deの左端から下方に延びる縦縁42seを有している。右サイドカウル42Rは、車両正面視において、右サイドカウル42Rの下縁42deの右端から下方に延びる縦縁42seを有している。図1に示すように、車両側面視において、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの縦縁42seは、下方かつ後方に延びている。
【0055】
図3に示すように、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rは、車両正面視において、凸部420の前端420fから上方かつ車幅方向の外方に延びる上縁42ueを有している。詳しくは、左サイドカウル42Lは、車両正面視において、左サイドカウル42Lの凸部420の前端420fから上方かつ左方に延びる上縁42ueを有している。右サイドカウル42Rは、車両正面視において、右サイドカウル42Rの凸部420の前端420fから上方かつ右方に延びる上縁42ueを有している。図1に示すように車両側面視において、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの上縁42ueは、上方かつ後方に延びている。
【0056】
ウインドシールド43は、フロントカウル41の上方に配置されている。ウインドシールド43は、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの上方に配置されている。図3に示すように車両正面視において、ウインドシールド43は車両中心線CLと重なっている。
【0057】
図1に示すように車両側面視において、左サイドカウル42Lとフロントフェンダ35とは互いに離間している。車両側面視において、フロントカバー40とフロントフェンダ35とは互いに離間している。車両側面視において、交点37は左サイドカウル42Lと重なっていない。車両側面視において、交点37はフロントカバー40と重なっていない。
【0058】
図3に示すように、自動二輪車1は左フラッシャ52Lおよび右フラッシャ52Rを備えている。左フラッシャ52Lおよび右フラッシャ52Rは方向指示器である。左フラッシャ52Lは、自動二輪車1が左折するときに点滅するように操作される。右フラッシャ52Rは、自動二輪車1が右折するときに点滅するように操作される。
【0059】
自動二輪車1は、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rからなるヘッドライト51を備えている。ヘッドライト51は前照灯であり、自動二輪車1の前方を照射する。本実施形態では、ヘッドライト51は左フラッシャ52Lおよび右フラッシャ52Rの下方に配置されている。左ヘッドライト51Lは左フラッシャ52Lの下方に配置され、右ヘッドライト51Rは右フラッシャ52Rの下方に配置されている。フロントカウル41には、左のコーナリングライトおよびポジションランプを含む左ライト58Lと、右のコーナリングライトおよびポジションランプを含む右ライト58Rが取り付けられている。左ヘッドライト51Lは、左ライト58Lの下方に配置されている。右ヘッドライト51Rは、右ライト58Rの下方に配置されている。左ヘッドライト51Lの少なくとも一部は、左サイドカウル42Lの下縁42deの下方に配置されている。右ヘッドライト51Rの少なくとも一部は、右サイドカウル42Rの下縁42deの下方に配置されている。車両正面視において、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rは、フロントフォーク30と重なっている。左ヘッドライト51Lは左チューブ30Lと重なり、右ヘッドライト51Rは右チューブ30Rと重なっている。
【0060】
自動二輪車1は、前方の車両等を検出するレーダ60を備えている。図示は省略するが、レーダ60は、電磁波を送信する送信機と、前方の車両等に当たって反射した反射波を受信する受信機とを有している。本実施形態では、送信機はミリ波を送信するように構成されている。レーダ60はいわゆるミリ波レーダである。ただし、特に限定されない。レーダ60は、ミリ波以外の電磁波を送受信するように構成されていてもよい。
【0061】
図1に示すように車両側面視において、フロントカバー40は、複数の凸部410,420を有している。本実施形態では、左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの凸部420の前端420fは、フロントカウル41の凸部410の前端410fよりも前方に位置している。左サイドカウル42Lおよび右サイドカウル42Rの前端420fは、フロントカバー40の前端となっている。フロントカバー40の前端420fは、複数の凸部410,420のうち最も下方に位置する凸部420に備えられている。
【0062】
レーダ60の少なくとも一部は、フロントカバー40の前端420fよりも下方に配置されている。レーダ60の少なくとも一部は、フロントフェンダ35よりも上方に配置されている。図3に示すように、レーダ60の少なくとも一部は、フロントカバー40の下縁42deよりも下方に配置されている。本実施形態では、レーダ60の全体が、フロントカバー40の前端420fよりも下方、および、フロントフェンダ35よりも上方に配置されている。レーダ60はフロントカウル41よりも下方に配置されている。
【0063】
レーダ60は、左サイドカウル42Lよりも右方、かつ、右サイドカウル42Rよりも左方に配置されている。車両正面視において、レーダ60は車両中心線CLと重なっている。
【0064】
図1に示すように車両側面視において、レーダ60は、フロントフォーク30の前縁30feとフロントフェンダ35の上縁35ueとの交点37よりも前方に配置されている。レーダ60は、比較的前方に配置されている。
【0065】
図5に示すように、レーダ60は車体フレーム10に支持されている。なお、「車体フレーム10に支持されている」とは、車体フレーム10に直接支持されている場合と、他の部材を介して間接的に支持されている場合との両方が含まれる。本実施形態では、以下に説明するように、レーダ60は車体フレーム10に間接的に支持されている。
【0066】
図5に示すように、ヘッドパイプ11には支持ブラケット15が固定されている。支持ブラケット15は、ヘッドパイプ11に直接取り付けられたブラケット15Aと、ブラケット15Aに固定されたブラケット15Bと、ブラケット15Bから前方に延びる左右のアーム15Cとを有している(図4参照)。左右のアーム15Cには、ベースステー16が固定されている。ベースステー16はヘッドパイプ11の前方に配置されている。ベースステー16は、支持ブラケット15を介してヘッドパイプ11に片持ち支持されている。図示は省略するが、ベースステー16の左側部分にはブラケットが取り付けられ、このブラケットに左サイドカウル42Lが接続されている。また、ベースステー16の右側部分にブラケットが取り付けられ、このブラケットに右サイドカウル42Rが接続されている。
【0067】
図5に示すように、レーダ60はベースステー16に支持されている。レーダ60はヘッドパイプ11の前方に配置されている。レーダ60は、支持ブラケット15およびベースステー16を介して、ヘッドパイプ11に片持ち支持されている。レーダ60は車体フレーム10の前方に配置されている。レーダ60の後端60bと車体フレーム10の前端10fとの間の前後方向の距離L1は、レーダ60の下端60dとフロントフェンダ35の上端35tとの間の上下方向の距離L2(図2参照)よりも短い。レーダ60と車体フレーム10との間の前後方向の距離は、比較的短い。
【0068】
図6に示すように、レーダ60はレーダステー65に固定されている。レーダステー65は、ベースステー16に支持されている。レーダステー65の右上部は、ベースステー16に対して、ボールジョイントからなるレーダ揺動軸70により結合されている。これにより、レーダステー65はベースステー16に対して上下左右に揺動可能である。
【0069】
レーダステー65の左上部は、ベースステー16に対し、第1エーミングスクリュー71により結合されている。第1エーミングスクリュー71はレーダ揺動軸70の左方に配置されている。図7に示すように、ベースステー16には、第1エーミングスクリュー71を回転させるツール(図示せず)が挿入される孔71hが形成されている。孔71hは下方に開口している。なお、ツールは特に限定されないが、例えば、ドライバー等の工具を好適に用いることができる。第1エーミングスクリュー71を時計回りおよび反時計回りのうち予め定められたいずれか一方の方向に回転させると、レーダステー65の左上部は、ベースステー16に近づくように後方に移動する。これにより、レーダステー65が左方に傾くので、レーダ60は左方に傾く。逆に、第1エーミングスクリュー71を他方の方向に回転させると、レーダステー65の左上部は、ベースステー16から遠ざかるように前方に移動する。これにより、レーダステー65が右方に傾くので、レーダ60は右方に傾く。このように、第1エーミングスクリュー71を回転させることにより、レーダ60の左右の向きを調整することができる。第1エーミングスクリュー71は、レーダ60の左右の向きを調整するエーミングスクリューの一例である。なお、第1エーミングスクリュー71は、レーダ揺動軸70の右方に配置されていてもよい。第1エーミングスクリュー71は、レーダ揺動軸70と同じ高さに配置されていてもよく、レーダ揺動軸70よりも上方または下方に配置されていてもよい。孔71hはレーダステー65に形成されていてもよい。
【0070】
レーダステー65の右下部は、ベースステー16に対し、第2エーミングスクリュー72により結合されている。第2エーミングスクリュー72はレーダ揺動軸70の下方に配置されている。図7に示すように、ベースステー16には、第2エーミングスクリュー72を回転させるツール(図示せず)が挿入される孔72hが形成されている。孔72hは下方に開口している。第2エーミングスクリュー72を一方の方向に回転させると、レーダステー65の右下部は、ベースステー16に近づくように後方に移動する。これにより、レーダステー65が下方に傾くので、レーダ60は下方に傾く。逆に、第2エーミングスクリュー72を他方の方向に回転させると、レーダステー65の右下部は、ベースステー16から離れるように前方に移動する。これにより、レーダステー65が上方に傾くので、レーダ60は上方に傾く。このように、第2エーミングスクリュー72を回転させることにより、レーダ60の上下の向きを調整することができる。第2エーミングスクリュー72は、レーダ60の上下の向きを調整するエーミングスクリューの一例である。なお、第2エーミングスクリュー72は、レーダ揺動軸70の上方に配置されていてもよい。第2エーミングスクリュー72の左右方向の位置はレーダ揺動軸70の左右方向の位置と一致していてもよく、第2エーミングスクリュー72はレーダ揺動軸70よりも左方または右方に配置されていてもよい。孔72hはレーダステー65に形成されていてもよい。
【0071】
図3に示すように車両正面視において、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72は、フロントカバー40と重なっていない。車両正面視において、孔71hおよび孔72hは、フロントカバー40と重なっていない。車両正面視において、第1エーミングスクリュー71、第2エーミングスクリュー72、孔71h、および孔72hは、フロントカウル41、左サイドカウル42L、および右サイドカウル42Rのいずれとも重なっていない。前述したように、第1エーミングスクリュー71を回転させるツールが挿入される孔71h、および、第2エーミングスクリュー72を回転させるツールが挿入される孔72hは、下方に開口している(図7参照)。孔71hにツールを挿入するとき、および、孔72hにツールを挿入するときに、フロントカバー40が邪魔になることはない。フロントカバー40に邪魔されずに、レーダ60の上下左右の向きを容易に調整することができる。
【0072】
図6に示すように、レーダ60は、図示しない送信機および受信機が収容された筐体61と、コネクタ62とを有している。コネクタ62は送信機および受信機に電気的に接続されている。筐体61は左壁61Lおよび右壁61Rを有している。ここでは、コネクタ62は右壁61Rに設けられている。ただし、コネクタ62は左壁61Lに設けられていてもよい。コネクタ62には、ワイヤハーネス67に接続されたコネクタ68が着脱自在に接続される。レーダ60は、ワイヤハーネス67により、図示しないコントローラに接続されている。
【0073】
左ヘッドライト51Lは左ヘッドライトステー53Lに固定されている。右ヘッドライト51Rは右ヘッドライトステー53Rに固定されている。左ヘッドライトステー53Lおよび右ヘッドライトステー53Rは、ベースステー16に支持されている。左ヘッドライトステー53Lの左上部および右上部は、ベースステー16に対し、ボールジョイントからなるヘッドライト揺動軸75により結合されている。同様に、右ヘッドライトステー53Rの左上部および右上部は、ベースステー16に対し、ボールジョイントからなるヘッドライト揺動軸75により結合されている。これにより、左ヘッドライトステー53Lおよび右ヘッドライトステー53Rは、ベースステー16に対して揺動可能である。
【0074】
図8に示すように、左ヘッドライトステー53Lおよび右ヘッドライトステー53Rの下部は、ベースステー16に対し、エーミングスクリュー76により結合されている。エーミングスクリュー76はヘッドライト揺動軸75の下方に配置されている。図7に示すように、ベースステー16には、エーミングスクリュー76を回転させるツール(図示せず)が挿入される孔76hが形成されている。孔76hは下方に開口している。エーミングスクリュー76を一方の方向に回転させると、左ヘッドライトステー53Lおよび右ヘッドライトステー53Rの下部はベースステー16に近づくように後方に移動し、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rは下方に傾く。逆に、エーミングスクリュー76を他方の方向に回転させると、左ヘッドライトステー53Lおよび右ヘッドライトステー53Rの下部はベースステー16から遠ざかるように前方に移動し、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rは上方に傾く。このように、エーミングスクリュー76を回転させることにより、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rの向きを調整することができる。エーミングスクリュー76は、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rの向きを調整するヘッドライトエーミングスクリューの一例である。なお、孔76hは左ヘッドライトステー53Lおよび右ヘッドライトステー53Rに形成されていてもよい。
【0075】
図3に示すように車両正面視において、エーミングスクリュー76および孔76hはフロントカバー40と重なっていない。エーミングスクリュー76および孔76hは、フロントカウル41、左サイドカウル42L、および右サイドカウル42Rのいずれとも重なっていない。前述したように、エーミングスクリュー76を回転させるツールが挿入される孔76hは、下方に開口している。孔76hにツールを挿入するときに、フロントカバー40が邪魔になることはない。フロントカバー40に邪魔されずに、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rの向きを容易に調整することができる。
【0076】
以上が自動二輪車1の構成である。次に、自動二輪車1によってもたらされる様々な効果について説明する。
【0077】
図5に示すように、レーダ60はヘッドパイプ11の前方に配置されている。ここで、ヘッドパイプ11は下方かつ前方に延びているので、レーダ60が下方に配置されているほど、レーダ60と車体フレーム10との前後方向の距離は短くなる。本実施形態によれば、図1に示すように、レーダ60の少なくとも一部は、フロントカバー40の前端420fよりも下方に配置されている。また、図3に示すように、レーダ60の少なくとも一部は、フロントカバー40の下縁42deよりも下方、および、フロントフェンダ35よりも上方に配置されている。このように、レーダ60は比較的下方に配置されている。よって、レーダ60を比較的前方に配置しても、レーダ60と車体フレーム10との前後方向の距離は長くならない。レーダ60は車体フレーム10に片持ち支持されているが、自動二輪車1の走行中にレーダ60は振動しにくい。したがって、本実施形態に係る自動二輪車1によれば、レーダ60により前方の車両等を良好に検出することができる。
【0078】
図1に示すように、フロントカバー40は車両側面視において複数の凸部410,420を有しているが、フロントカバー40の前端420fは、複数の凸部410,420のうち最も下方に位置する凸部420に備えられている。レーダ60の少なくとも一部は、最も下方に位置する凸部420の前端420fよりも下方に配置されている。レーダ60は、より下方に配置されている。よって、レーダ60をより前方に配置しても、レーダ60と車体フレーム10との前後方向の距離は長くならないので、レーダ60は振動しにくい。したがって、レーダ60により前方の車両等を良好に検出することができる。
【0079】
本実施形態によれば、レーダ60はフロントカウル41よりも下方に配置されている(図3参照)。レーダ60は、比較的下方に配置されている。よって、レーダ60は振動しにくい。レーダ60により前方の車両等を良好に検出することができる。
【0080】
本実施形態によれば、レーダ60は、左サイドカウル42Lよりも右方、かつ、右サイドカウル42Rよりも左方に配置されている(図3参照)。レーダ60は自動二輪車1の中央付近に配置されている。よって、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0081】
本実施形態によれば、図1に示すように車両側面視において、レーダ60は、フロントフォーク30の前縁30feとフロントフェンダ35の上縁35ueとの交点37よりも前方に配置されている。レーダ60は比較的前方に配置されている。よって、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0082】
本実施形態によれば、図2に示すように、レーダ60の後端60bと車体フレーム10の前端10fとの間の前後方向の距離L1は、レーダ60の下端60dとフロントフェンダ35の上端35tとの間の上下方向の距離L2よりも短い。レーダ60と車体フレーム10との前後方向の距離が短いため、レーダ60は振動しにくい。よって、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0083】
本実施形態によれば、図6に示すように、レーダ60のコネクタ62は、筐体61の右壁61Rに設けられている。そのため、コネクタ62にコネクタ68が接続された状態において、ワイヤハーネス67は筐体61の上方または下方に出っ張らない。レーダ60およびワイヤハーネス67の上下方向の寸法をコンパクトにすることができる。なお、レーダ60のコネクタ62は、筐体61の左壁61Lに設けられていてもよい。この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0084】
本実施形態によれば、レーダ60は、ヘッドパイプ11に片持ち支持されたベースステー16に支持されている(図5参照)。レーダ60は、ベースステー16を介してヘッドパイプ11に片持ち支持されている。しかし、前述の通り、レーダ60と車体フレーム10との前後方向の距離が短いため、レーダ60は振動しにくい。よって、前方の車両等を良好に検出することができる。
【0085】
本実施形態によれば、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rは、ベースステー16に支持されている(図4参照)。レーダ60およびヘッドライト51L,51Rを共通のベースステー16により支持することができる。
【0086】
本実施形態によれば、ヘッドライト51は単一のライトではなく、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rによって構成されている。左ヘッドライト51Lの光量および右ヘッドライト51Rの光量の合計が、ヘッドライト51の光量となる。よって、ヘッドライト51の全体の光量を確保しながら、自動二輪車1の中央付近にレーダ60を配置することができる。
【0087】
本実施形態によれば、図3に示すように車両正面視において、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rはフロントフォーク30と重なり、レーダ60はフロントフォーク30と重なっていない。フロントフォーク30に邪魔されることなくレーダ60の設置スペースを確保することができる。
【0088】
本実施形態によれば、エーミングスクリュー76(図8参照)を回転させることにより、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rの向きを調整することができる。図3に示すように車両正面視において、エーミングスクリュー76および孔76hはフロントカバー40と重なっていない。孔76hの下方の領域は、フロントカバー40に覆われていない。そのため、フロントカバー40を取り外さなくても、孔76hにドライバー等のツールを挿入して、エーミングスクリュー76を回転させることができる。フロントカバー40を取り外さなくても、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rの向きを調整する作業を行うことができる。
【0089】
本実施形態によれば、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72(図6参照)を回転させることにより、レーダ60の向きを調整することができる。図3に示すように車両正面視において、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72はフロントカバー40と重なっていない。車両正面視において、孔71hおよび孔72hはフロントカバー40と重なっていない。孔71hおよび孔72hの下方の領域は、フロントカバー40に覆われていない。そのため、フロントカバー40を取り外さなくても、孔71hおよび孔72hにドライバー等のツールを挿入して、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72を回転させることができる。フロントカバー40を取り外さなくても、レーダ60の向きを調整する作業を行うことができる。
【0090】
本実施形態によれば、図6に示すように、レーダ60の向きを調整するレーダエーミングスクリューとして、ボールジョイントからなるレーダ揺動軸70の左方に位置する第1エーミングスクリュー71と、レーダ揺動軸70の下方に位置する第2エーミングスクリュー72とを備えている。第1エーミングスクリュー71を回転させることにより、レーダ60の左右の向きを調整することができる。第2エーミングスクリュー72を回転させることにより、レーダ60の上下の向きを調整することができる。レーダ60の左右の向きの調整および上下の向きの調整を、それぞれ独立して行うことができる。そのため、レーダ60の向きを調整する作業が容易である。レーダ60の向きを所望の向きに容易に調整することができる。
【0091】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は例示に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。次に、他の実施形態の例について簡単に説明する。
【0092】
図3に示すように前記実施形態ではレーダ60は前方に露出しているが、図9に示すように、レーダ60の前方を覆うレーダカバー80を設けてもよい。自動二輪車1は、レーダ60の前方に配置され、車両正面視においてレーダ60と重なるレーダカバー80を備えていてもよい。車両正面視において、レーダカバー80は、レーダ60の一部のみと重なっていてもよく、レーダ60の全部と重なっていてもよい。図9に示す例では、レーダカバー80は、車両正面視においてレーダ60と重なる部分81と、レーダ60の上方に位置する部分82と、車両中心線CLよりも左方かつ左ヘッドライト51Lの下方に位置する部分83Lと、車両中心線CLよりも右方かつ右ヘッドライト51Rの下方に位置する部分83Rと、フロントフォーク30の左チューブ30Lと重なる部分84Lと、右チューブ30Rと重なる部分84Rとを有している。しかし、図9に示すレーダカバー80は一例に過ぎない。レーダカバー80の形状は特に限定されない。レーダカバー80は、レーダ60が送受信する電磁波を透過させる材料により構成されている。レーダカバー80は、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂などにより構成することができる。
【0093】
図9に示す実施形態によれば、レーダカバー80によって、レーダ60に泥や砂利等が当たることを防止することができる。レーダ60の劣化を防止することができる。なお、路面からの飛び石等により、レーダカバー80の表面に傷が生じる場合がある。本実施形態では、レーダカバー80は、フロントカバー40を取り外さなくても取り外すことができるように構成されている。そのため、フロントカバー40を交換せずに、レーダカバー80のみを交換することができる。したがって、メンテナンスが容易である。
【0094】
前述のように、第1エーミングスクリュー71を回転させるツールが挿入される孔71h、および、第2エーミングスクリュー72を回転させるツールが挿入される孔72hは、下方に開口している。レーダカバー80の下方は、開放されている。そのため、レーダカバー80を取り外さなくても、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72を回転させることができる。レーダカバー80を取り外さなくても、レーダ60の向きを調整する作業を行うことができる。
【0095】
前記実施形態では、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72を回転させるドライバー等のツールを、下方から上方に向けて挿入するように構成されている。第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72の下方にツールパスが確保されている。一方、図10に示すように、ツールを前方から後方に向けて挿入するように構成されていてもよい。ツールを前方から挿入することにより、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72を回転させるように構成されていてもよい。ツールパスは、第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72の前方に確保されていてもよい。
【0096】
前記実施形態では、フロントカバー40の前端420fは、複数の凸部410,420のうち最も下方に位置する凸部420に備えられている。しかし、フロントカバーの前端は、フロントカバーの複数の凸部のうち、最も下方に位置する凸部以外の凸部に備えられていてもよい。
【0097】
フロントカバー40の構成は特に限定されない。フロントカウル41、左サイドカウル42L、および右サイドカウル42Rは、互いに別体でもよく、いずれか2つまたは全てが一体物であってもよい。車両側面視において、フロントカバー40は前記交点37と重なっていてもよい。
【0098】
レーダ60の少なくとも一部は、フロントカウル41の下端よりも上方に配置されていてもよい。レーダ60の少なくとも一部は、左サイドカウル42Lの右端よりも左方に配置されいてもよい。レーダ60の少なくとも一部は、右サイドカウル42Rの左端よりも右方に配置されていてもよい。レーダ60の少なくとも一部は、車両側面視において、前記交点37よりも後方に配置されていてもよい。
【0099】
レーダ60の後端60bと車体フレーム10の前端10fとの間の前後方向の距離L1は、レーダ60の下端60dとフロントフェンダ35の上端35tとの間の上下方向の距離L2と等しくてもよく、距離L2よりも長くてもよい。
【0100】
レーダ60のコネクタ62は、筐体61の上壁または下壁に設けられていてもよい。コネクタ62は、筐体61の他の部分に設けられていてもよい。
【0101】
レーダ60は、ベースステー16を介してヘッドパイプ11に片持ち支持されていなくてもよい。
【0102】
左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rは、ベースステー16に支持されていなくてもよい。左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rを支持するステーは、レーダ60を支持するステーと別体であってもよい。
【0103】
自動二輪車1は、必ずしも左右一対のヘッドライト51L,51Rを備えていなくてもよい。自動二輪車1のヘッドライトは、単一のライトからなっていてもよい。
【0104】
車両正面視において、レーダ60は車両中心線CLと重なっていなくてもよい。車両正面視において、レーダ60は車両中心線CLの左方または右方に配置されていてもよい。
【0105】
車両正面視において、左ヘッドライト51Lおよび右ヘッドライト51Rの一方または両方は、フロントフォーク30と重なっていなくてもよい。車両正面視において、レーダ60はフロントフォーク30と重なっていてもよい。
【0106】
ヘッドライト51L,51Rの向きを調整するエーミングスクリュー76は、車両正面視において、フロントカバー40と重なっていてもよい。レーダ60の向きを調整する第1エーミングスクリュー71および第2エーミングスクリュー72は、車両正面視において、フロントカバー40と重なっていてもよい。車両正面視において、孔76h、71h、および72hは、フロントカバー40と重なっていてもよい。レーダ60の向きを調整するエーミングスクリューは、単一のエーミングスクリューであってもよい。自動二輪車1は、ヘッドライト51L,51Rの向きを調整するエーミングスクリューを備えていなくてもよい。自動二輪車1は、レーダ60の向きを調整するエーミングスクリューを備えていなくてもよい。
【0107】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車1に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、10…車体フレーム、11…ヘッドパイプ、16…ベースステー、20…ステアリング軸、30…フロントフォーク、30fe…フロントフォークの前縁、35…フロントフェンダ、35ue…フロントフェンダの上縁、37…フロントフォークの前縁とフロントフェンダの上縁との交点、40…フロントカバー、41…フロントカウル、42L…左サイドカウル、42R…右サイドカウル、42de…フロントカバーの下縁、51…ヘッドライト、51L…左ヘッドライト、51R…右ヘッドライト、53L…左ヘッドライトステー、53R…右ヘッドライトステー、60…レーダ、61…筐体、61L…筐体の左壁、61R…筐体の右壁、62…レーダコネクタ、65…レーダステー、67…ワイヤハーネス、68…コネクタ、70…レーダ揺動軸、71…第1エーミングスクリュー(第1レーダエーミングスクリュー)、72…第2エーミングスクリュー(第2レーダエーミングスクリュー)、75…ヘッドライト揺動軸、76…エーミングスクリュー(ヘッドライトエーミングスクリュー)、80…レーダカバー、410…凸部、420…凸部、420f…フロントカバーの前端
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図10