IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鞍乗型車両 図1
  • 特開-鞍乗型車両 図2
  • 特開-鞍乗型車両 図3
  • 特開-鞍乗型車両 図4
  • 特開-鞍乗型車両 図5
  • 特開-鞍乗型車両 図6
  • 特開-鞍乗型車両 図7
  • 特開-鞍乗型車両 図8
  • 特開-鞍乗型車両 図9
  • 特開-鞍乗型車両 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144055
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/40 20200101AFI20220926BHJP
   B62J 11/00 20200101ALI20220926BHJP
   B62J 45/41 20200101ALI20220926BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220926BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B62J45/40
B62J11/00
B62J45/41
G01S13/931
G01S7/03 240
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044897
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】平野 啓典
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AF03
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】車体の後部に設けられたレーダーがテールライトの照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】自動二輪車1は、電波を発信する発信機21と、電波を受信する受信機22と、発信機21および受信機22が収容されたケーシング23とを有するレーダー20を備える。レーダー20はシートフレーム10に支持されている。レーダー20の少なくとも一部は、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、および、リアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方かつ上方に延びるシートフレームと、
前記シートフレームに支持されたシートと、
前記シートフレームの後端よりも前方に位置する前端を有し、後方かつ下方に延びるリアフェンダと、
前記シートの後端よりも後方に位置する後端を有するテールライトと、
電波を発信する発信機、電波を受信する受信機、および前記発信機および前記受信機が収容されたケーシングを有するレーダーと、を備え、
前記レーダーは、前記シートフレームに支持され、
前記レーダーの少なくとも一部は、前記テールライトの後端よりも前方、前記シートフレームの上端よりも下方、前記リアフェンダの前端よりも後方、および、前記リアフェンダの下端よりも上方に配置されている、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記シートフレームの側方に配置されたシートカウルを備え、
前記レーダーは、前記リアフェンダおよび前記シートカウルのいずれにも支持されていない、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記シートフレームは、左シートフレームと、前記左シートフレームの右方に配置された右シートフレームとを含み、
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに固定されたベース部材と、
前記ベース部材に固定された支持部材と、を備え、
前記レーダーは、前記支持部材に支持されている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記シートフレームは、左シートフレームと、前記左シートフレームの右方に配置された右シートフレームとを含み、
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに固定された支持部材を備え、
前記レーダーは、前記支持部材に支持されている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記支持部材は、後方かつ下方に延びている、請求項3または4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記シートフレームと前記レーダーとの間に介在するゴム製の部材を備えた、請求項1~5のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記テールライトは、前記リアフェンダの上端よりも上方に配置され、
前記レーダーは、前記テールライトの下端よりも下方に配置されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
車両側面視において、前記シートフレームの後端部の延長方向を第1の方向、前記第1の方向と垂直な方向を第2の方向としたときに、前記テールライトの前記第2の方向の寸法は、前記テールライトの前記第1の方向の寸法よりも小さい、請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記テールライトは、前記リアフェンダに取り付けられ、
前記レーダーは、前記テールライトの上端よりも上方に配置されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記レーダーの前端は、前記シートフレームの後端よりも前方に位置する、請求項1~9のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記レーダーの後端は、前記シートフレームの後端よりも後方に位置する、請求項1~10のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記レーダーの前端は、前記テールライトの前端よりも前方に位置する、請求項1~11のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記レーダーの後端は、前記テールライトの後端よりも前方に位置する、請求項1~12のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記ケーシングの前後方向の寸法は、前記ケーシングの上下方向の寸法よりも小さい、請求項1~13のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部にレーダーを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の後部にレーダーを備えた鞍乗型車両が知られている。このような鞍乗型車両によれば、レーダーにより、後方から接近する他の車両を検知することができる。レーダーは、電波を発信する発信機と、他の車両等に当たって反射した電波(反射波)を受信する受信機と、アンテナと、それらを収容するケーシングとを備える。
【0003】
レーダーの性能が高いほど、ケーシングの容積は大きく、レーダーの重量は大きくなる傾向がある。しかし、鞍乗型車両の後部にはテールライトやリアフェンダが配置されており、レーダーの設置スペースは限られている。また、レーダーはテールライトの照射光を遮らないように配置する必要がある。大きなケーシングを鞍乗型車両の後部に配置することは容易ではない。
【0004】
そこで、レーダーの発信器と受信機とを別々のケーシングに収容し、各ケーシングの1個当たりの容積を小さくすることが考えられる。しかし、発信器と受信機とを別々のケーシングに収容すると、それらをつなぐ電線の配索が面倒となる。
【0005】
特開2017-218133号公報の図2には、レーダーではないが、他の車両が発するミリ波等を検出する検出器を備えた自動二輪車が記載されている。検出器はケーシングに収容され、車体の後部に設けられている。テールライトの照射光を遮らないよう、ケーシングはテールライトの下方のリアフェンダに取り付けられている。また、特開2017-218133号公報には、ケーシングをシートカウルに取り付けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-218133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鞍乗型車両は、凹凸を有する路面を走行するときなどに振動する。通常、車体の軽量化のため、リアフェンダは軽量化されている。リアフェンダの剛性は比較的低い。そのため、大型かつ重量の大きなレーダーをリアフェンダに取り付けると、走行中の振動に伴ってリアフェンダが撓むことにより、レーダーは振動の影響を受けやすい。そこで、レーダーが振動の影響を受けにくいように、リアフェンダの剛性を高めることが考えられる。しかし、リアフェンダの剛性を高めようとすると、リアフェンダの大型化や重量化を招く。
【0008】
レーダーをシートカウルに取り付けることにより、テールライトの上方に配置することが考えられる。レーダーをテールライトの上方に配置することにより、レーダーがテールライトの照射光を妨げてしまうことを防止することができる。しかし、リアフェンダと同様、シートカウルは剛性が比較的低い部材である。レーダーをシートカウルに取り付ける場合にも、前述と同様の課題が生じる。また、テールライトの上方に大型のレーダーが配置されていると、乗員の居住性が低下するおそれがある。また、鞍乗型車両では、テールライトの上方に、オプション品として収容ボックスを取り付けることを好むユーザがいる。しかし、テールライトの上方に大型のレーダーが配置されていると、そのような収容ボックスを取り付けることはできない。
【0009】
本発明の目的は、車体の後部に設けられたレーダーがテールライトの照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示される鞍乗型車両は、後方かつ上方に延びるシートフレームと、前記シートフレームに支持されたシートと、前記シートフレームの後端よりも前方に位置する前端を有し、後方かつ下方に延びるリアフェンダと、前記シートの後端よりも後方に位置する後端を有するテールライトと、レーダーとを備える。前記レーダーは、電波を発信する発信機、電波を受信する受信機、および前記発信機および前記受信機が収容されたケーシングを有する。前記レーダーは、前記シートフレームに支持されている。前記レーダーの少なくとも一部は、前記テールライトの後端よりも前方、前記シートフレームの上端よりも下方、前記リアフェンダの前端よりも後方、および、前記リアフェンダの下端よりも上方に配置されている。
【0011】
上記鞍乗型車両によれば、レーダーの少なくとも一部は、テールライトの後端よりも前方、シートフレームの上端よりも下方、リアフェンダの前端よりも後方、および、リアフェンダの下端よりも上方に配置されている。そのため、比較的大型のレーダーであっても、車体の後部に無理なく配置することができる。また、レーダーはテールライトの照射光を遮りにくい。また、上記鞍乗型車両によれば、レーダーはシートフレームに支持されている。レーダーがリアフェンダまたはシートカウルに支持される場合に比べて、レーダーは振動の影響を受けにくい。したがって、レーダーがテールライトの照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい鞍乗型車両を提供することができる。
【0012】
前記鞍乗型車両は、前記シートフレームの側方に配置されたシートカウルを備えていてもよい。前記レーダーは、前記リアフェンダおよび前記シートカウルのいずれにも支持されていないことが好ましい。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記シートフレームは、左シートフレームと、前記左シートフレームの右方に配置された右シートフレームとを含んでいる。前記鞍乗型車両は、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに固定されたベース部材と、前記ベース部材に固定された支持部材と、を備えている。前記レーダーは、前記支持部材に支持されている。
【0014】
上記態様によれば、レーダーを安定して支持することができる。よって、レーダーの振動を抑制することができる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記シートフレームは、左シートフレームと、前記左シートフレームの右方に配置された右シートフレームとを含んでいる。前記鞍乗型車両は、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに固定された支持部材を備えている。前記レーダーは、前記支持部材に支持されている。
【0016】
上記態様によれば、レーダーを安定して支持することができる。よって、レーダーの振動を抑制することができる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記支持部材は後方かつ下方に延びている。
【0018】
上記態様によれば、支持部材およびレーダーをコンパクトに配置することができる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記鞍乗型車両は、前記シートフレームと前記レーダーとの間に介在するゴム製の部材を備えている。
【0020】
上記態様によれば、シートフレームの振動がレーダーに伝わりにくくなるので、レーダーの振動を抑制することができる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記テールライトは、前記リアフェンダの上端よりも上方に配置されている。前記レーダーは、前記テールライトの下端よりも下方に配置されている。
【0022】
上記態様によれば、レーダーはテールライトの照射光を遮ることなくコンパクトに配置される。
【0023】
好ましい一態様によれば、車両側面視において、前記シートフレームの後端部の延長方向を第1の方向、前記第1の方向と垂直な方向を第2の方向としたときに、前記テールライトの前記第2の方向の寸法は、前記テールライトの前記第1の方向の寸法よりも小さい。
【0024】
上記態様によれば、テールライトは薄型である。レーダーは、テールライトの照射光を遮ることなくコンパクトに配置される。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記テールライトは、前記リアフェンダに取り付けられている。前記レーダーは、前記テールライトの上端よりも上方に配置されている。
【0026】
上記態様によれば、レーダーはテールライトの照射光を遮ることなくコンパクトに配置される。
【0027】
前記レーダーの前端は、前記シートフレームの後端よりも前方に位置していてもよい。
【0028】
前記レーダーの後端は、前記シートフレームの後端よりも後方に位置していてもよい。
【0029】
前記レーダーの前端は、前記テールライトの前端よりも前方に位置していてもよい。
【0030】
前記レーダーの後端は、前記テールライトの後端よりも前方に位置していてもよい。
【0031】
前記ケーシングの前後方向の寸法は、前記ケーシングの上下方向の寸法よりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、車体の後部に設けられたレーダーがテールライトの照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2図1のII部分の拡大図である。
図3】レーダー支持構造の一例の一部を表す斜視図である。
図4】レーダーおよびケースの斜視図である。
図5】レーダー支持構造の他の一例の一部を表す分解斜視図である。
図6】レーダー支持構造の他の一例を表す分解斜視図である。
図7】第2実施形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
図8】第2実施形態に係る自動二輪車の後部の背面図である。
図9】第3実施形態に係る自動二輪車の後部の側面図である。
図10】第3実施形態に係る自動二輪車の後部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、一実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、前輪2および後輪3に支持された車体4と、車体4に支持された内燃機関(以下、エンジンという)5と、を備えている。車体4は、ハンドル7が取り付けられたステアリングシャフト8と、ライダーが座るシート9とを含んでいる。
【0035】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート9に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0036】
図2は、図1のII部分を拡大して示す図であり、自動二輪車1の後部の拡大側面図である。図2に示すように、自動二輪車1は、シートフレーム10と、シートカウル11と、テールライト14と、リアフェンダ12と、ライセンスプレート15と、レーダー20とを備えている。
【0037】
シートフレーム10は、後方かつ上方に延びている。シート9はシートフレーム10に支持されている。シートカウル11はシートフレーム10の側方に配置されている。リアフェンダ12は後方かつ下方に延びている。シートフレーム10は金属製であり、シートカウル11およびリアフェンダ12は合成樹脂製である。ただし、シートフレーム10、シートカウル11、およびリアフェンダ12の材料は特に限定されない。リアフェンダ12の前端12fは、シートフレーム10の後端10bよりも前方に位置している。テールライト14の後端14bは、シート9の後端9bよりも後方に位置している。
【0038】
テールライト14は、リアフェンダ12の上端12tよりも上方に配置されている。本実施形態では、テールライト14は薄型に形成されている。図2に示すように、車両側面視において、シートフレーム10の後端部の延長方向を第1方向LA、第1方向LAと垂直な方向を第2方向LBとする。テールライト14の第2方向LBの寸法LB14は、第1方向LAの寸法LA14よりも小さい。LB14<LA14である。
【0039】
レーダー20は、電波を発信する発信機21と、電波を受信する受信機22と、発信機21および受信機22を収容するケーシング23とを備えている。レーダー20は、ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)用のセンサである。レーダー20は、電波を発信し、他の車両等に当たって反射した電波を受信することにより、自動二輪車1の後方に他の車両等が存在することを検出する。ここでは、発信機21は、指向性の高いミリ波を発信するように構成されている。
【0040】
ケーシング23は直方体形状に形成されている。ケーシング23の前後方向の寸法は、ケーシング23の上下方向の寸法よりも小さい。また、ケーシング23の前後方向の寸法は、ケーシング23の左右方向の寸法よりも小さい。ただし、ここに開示するケーシング23の形状は一例に過ぎない。ケーシング23の形状は特に限定されない。
【0041】
レーダー20は、シートフレーム10に支持されている。ここでは、レーダー20は、シートフレーム10に吊り下げられるように支持されている。シートフレーム10はレーダー20の荷重を支えるように構成されている。レーダー20は、リアフェンダ12およびシートカウル11のいずれにも支持されていない。リアフェンダ12およびシートカウル11は、レーダー20の荷重を支えないようになっている。レーダー20は、例えば、シートフレーム10に固定された支持部材18に取り付けられる。ここでは、支持部材18は、シートフレーム10から後方かつ下方に延びている。ただし、レーダー20をシートフレーム10に支持する構造(以下、レーダー支持構造という)は特に限定されない。レーダー支持構造は、例えば、以下に説明するような構造であってもよい。
【0042】
レーダー支持構造の一例では、図3に示すように、シートフレーム10は、左シートフレーム10Lと、左シートフレーム10Lの右方に配置された右シートフレーム10Rとを含んでいる。左シートフレーム10Lおよび右シートフレーム10Rには、ベース部材13が固定されている。ベース部材13は、左シートフレーム10Lから右シートフレーム10Rに架け渡されている。なお、左シートフレーム10L、右シートフレーム10R、およびベース部材13は、いずれも金属製である。ベース部材13は、横板部13aと、横板部13aの後端から上方に延びる複数の折り返し部13bとを有している。折り返し部13bには、前後に開いた孔13hが形成されている。
【0043】
図4に示すように、レーダー20のケーシング23は、樹脂製のケース30に固定されている。ケース30の左上部および右上部には、前後に開いた孔30hが形成されている。ケース30の孔30hおよびベース部材13の孔13hには、ボルト32が挿入される。ラバーマウント40を介してケース30の左上部および右上部をベース部材13の折り返し部13bに押し当て、孔30hおよび孔13hにボルト32を締結することにより、ケース30はベース部材13に固定される。これにより、レーダー20は、ケース30、ラバーマウント40、およびベース部材13を介して、シートフレーム10に間接的に支持される。なお、ラバーマウント40は、シートフレーム10とレーダー20との間に介在するゴム製の部材の一例である。
【0044】
レーダー支持構造の他の一例では、図5に示すように、ベース部材13と樹脂製のケース30との間に、ブラケット34を介在させる。ここでは、ブラケット34は金属製である。ブラケット34の左上部および右上部には、前後に開いた孔34aが形成されている。ブラケット34の左下部および右下部には、前後に開いた孔34bが形成されている。ケース30の左下部および右下部には、前後に開いた孔30hが形成されている。
【0045】
ブラケット34の左上部および右上部の孔34aと、ベース部材13の孔13h(図3参照)とには、ボルト33が挿入される。ブラケット34の左下部および右下部の孔34bと、ケース30の孔30hとには、ボルト35が挿入される。ラバーマウント40を介してケース30をブラケット34に押し当て、孔30hおよび孔34bにボルト35を締結することにより、ケース30はブラケット34に固定される。また、ブラケット34をベース部材13の折り返し部13b(図3参照)に押し当て、孔34aおよび孔13hにボルト33を締結することにより、ブラケット34はベース部材13に固定される。これにより、レーダー20は、ケース30、ラバーマウント40、ブラケット34、およびベース部材13を介して、シートフレーム10に間接的に支持される。なお、ブラケット34は、レーダー20を支持する支持部材の一例である。
【0046】
レーダー支持構造の他の一例では、図6に示すように、シートフレーム10と樹脂製のケース30との間に、ブラケット36を介在させる。ここでは、ブラケット36は金属製である。本例では、左シートフレーム10Lおよび右シートフレーム10Rの下部には、ボス10Sが溶接されている。ボス10Sには下方に開いた孔10hが形成されている。ブラケット36の左上部および右上部には、上下に開いた孔36aが形成されている。ブラケット36の左下部および右下部には、前後に開いた孔36bが形成されている。
【0047】
ブラケット36の左上部および右上部の孔36aとボス10Sの孔10hとには、ボルト33が挿入される。ブラケット36の左下部および右下部の孔36bと、ケース30の孔30hとには、ボルト35が挿入される。ラバーマウント40を介してケース30をブラケット36に押し当て、孔30hおよび孔36bにボルト35を締結することにより、ケース30はブラケット36に固定される。また、ブラケット36をシートフレーム10のボス10Sに押し当て、孔36aおよび孔10hにボルト33を締結することにより、ブラケット36はシートフレーム10に固定される。これにより、レーダー20は、ケース30、ラバーマウント40、ブラケット36、およびボス10Sを介して、シートフレーム10に間接的に支持される。ブラケット36は、レーダー20を支持する支持部材の一例である。
【0048】
図2に示すように、レーダー20の少なくとも一部は、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、およびリアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。ここでは、レーダー20の全体が、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、およびリアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。また、レーダー20は、テールライト14の下端14dよりも下方に配置されている。
【0049】
図2に示すように、車両側面視において、テールライト14の前端14fと、リアフェンダ12の上端12tと、リアフェンダ12の下端12dとを結んでなる三角形をT20とする。ここでは、レーダー20の少なくとも一部は、三角形T20の内側に位置している。
【0050】
レーダー20の前端20fは、シートフレーム10の後端10bよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、シートフレーム10の後端10bよりも後方に位置している。レーダー20の前端20fは、テールライト14の前端14fよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、テールライト14の前端14fよりも後方に位置している。レーダー20の後端20bは、テールライト14の後端14bよりも前方に位置している。
【0051】
ライセンスプレート15はリアフェンダ12に支持されている。ライセンスプレート15は、テールライト14の下方に配置されている。レーダー20は、ライセンスプレート15よりも上方に配置されている。また、レーダー20の少なくとも一部は、ライセンスプレート15よりも前方に配置されている。ここでは、レーダー20の全体がライセンスプレート15よりも前方に配置されている。
【0052】
図2に示すように、シート9の後方には、オプション品としての収納ボックス16を取り付けることができる。収納ボックス16は、テールライト14の上方に配置されている。レーダー20は、収納ボックス16の下方に配置されている。また、レーダー20は、収納ボックス16の前方に配置されている。以上が第1実施形態に係る自動二輪車1の構成である。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る自動二輪車1によれば、レーダー20の少なくとも一部は、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、および、リアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。そのため、比較的大型のレーダー20であっても、車体の後部に無理なく配置することができる。また、レーダー20はテールライト14の照射光を遮りにくい。自動二輪車1によれば、比較的大型のレーダー20を備えながら、テールライト14の視認性を確保することができる。また、レーダー20は、テールライト14がライセンスプレート15を照射することを遮らない。よって、ライセンスプレート15の視認性を確保することができる。
【0054】
また、自動二輪車1によれば、レーダー20はシートフレーム10に支持されている。リアフェンダ12およびシートカウル11に比べて、シートフレーム10は剛性が高く、撓みにくい。よって、レーダー20がリアフェンダ12またはシートカウル11に支持される場合に比べて、レーダー20は振動の影響を受けにくい。
【0055】
したがって、本実施形態によれば、レーダー20がテールライト14の照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい自動二輪車1を得ることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、路面から巻き上げられる泥等は、リアフェンダ12によって防がれるので、レーダー20に泥等が付着することを十分に抑制することができる。
【0057】
前述したように、レーダー20をシートフレーム10に支持する構造は特に限定されない。例えば、ベース部材13にブラケット34(図5参照)を固定し、そのブラケット34によりレーダー20を支持するようにしてもよい。これにより、レーダー20を安定して支持することができる。よって、自動二輪車1の走行中にレーダー20の振動を効果的に抑制することができる。
【0058】
また、左シートフレーム10Lおよび右シートフレーム10Rにブラケット36(図6参照)を固定し、そのブラケット36によりレーダー20を支持するようにしてもよい。これにより、レーダー20を安定して支持することができる。よって、自動二輪車1の走行中にレーダー20の振動を効果的に抑制することができる。
【0059】
図2に示すように、レーダー20を支持する支持部材18は、シートフレーム10から後方かつ下方に延びていてもよい。これにより、支持部材18およびレーダー20をコンパクトに配置することができる。
【0060】
前述のラバーマウント40のように、シートフレーム10とレーダー20との間に、ゴム製の部材を介在させてもよい。これにより、シートフレーム10の振動はレーダー20に伝わりにくくなる。そのため、レーダー20の振動を抑制することができる。なお、ゴム製の部材は、円筒状のラバーマウント40に限られない。
【0061】
テールライト14の形状は特に限定されないが、本実施形態では図2に示すように、テールライト14は薄型に形成されている。テールライト14の第2方向LBの寸法LB14は、第1方向LAの寸法LA14よりも小さい。このようにテールライト14は薄型なので、レーダー20はテールライト14の照射光を遮りにくい。また、テールライト14およびレーダー20はコンパクトに配置される。
【0062】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る自動二輪車1の後部の拡大側面図である。図8は、第2実施形態に係る自動二輪車1の後部の背面図である。以下の説明では、第1実施形態と同様または対応する部材には同様の符号を付すこととする。
【0063】
図7および図8に示すように、第1実施形態と同様、自動二輪車1は、シートフレーム10と、シートカウル11と、テールライト14と、リアフェンダ12と、ライセンスプレート15と、レーダー20とを備えている。なお、図7では、後輪3の図示は省略している。符号6はグラブバーを表している。
【0064】
図7に示すように本実施形態においても、レーダー20の少なくとも一部は、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、および、リアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。ここでは、レーダー20の全体が、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、および、リアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。
【0065】
第1実施形態と同様、レーダー20はシートフレーム10に支持されている。レーダー20をシートフレーム10に支持する構造として、例えば前述の各種の構造を好適に用いることができる。レーダー20のケーシング23の前後方向の寸法は、上下方向および左右方向の寸法よりも小さい。
【0066】
本実施形態では、リアフェンダ12に左右のフラッシャ24L,24Rが取り付けられている。レーダー20は、フラッシャ24L,24Rよりも上方に配置されている。
【0067】
レーダー20の前端20fは、シートフレーム10の後端10bよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、シートフレーム10の後端10bよりも後方に位置している。レーダー20の前端20fは、テールライト14の前端14fよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、テールライト14の前端14fよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、テールライト14の後端14bよりも前方に位置している。
【0068】
第1実施形態と同様、シートフレーム10は金属製であり、シートカウル11およびリアフェンダ12は合成樹脂製である。ただし、それらの材料は特に限定されない。
【0069】
本実施形態においても、レーダー20がテールライト14の照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい自動二輪車1を得ることができる。
【0070】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る自動二輪車1の後部の拡大側面図である。図10は、第3実施形態に係る自動二輪車1の後部の背面図である。以下の説明では、第1実施形態および第2実施形態と同様または対応する部材には同様の符号を付すこととする。
【0071】
本実施形態でも、自動二輪車1は、シートフレーム10と、シートカウル11と、リアフェンダ12と、ライセンスプレート15と、レーダー20とを備えている。図9では、後輪3の図示は省略している。
【0072】
本実施形態では、テールライト14はフラッシャを兼ねている。図10に示すように、テールライト14は、左のテールライト14Lと右のテールライト14Rとを含んでいる。左のテールライト14Lと右のテールライト14Rとは、車両中心線CLに対して左右対称に配置されている。左のテールライト14Lおよび右のテールライト14Rの前後方向の位置および上下方向の位置は同じである。
【0073】
図9に示すように本実施形態においても、レーダー20の少なくとも一部は、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、および、リアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。ここでは、レーダー20の全体が、テールライト14の後端14bよりも前方、シートフレーム10の上端10tよりも下方、リアフェンダ12の前端12fよりも後方、および、リアフェンダ12の下端12dよりも上方に配置されている。
【0074】
第1実施形態および第2実施形態と同様、レーダー20はシートフレーム10に支持されている。レーダー20をシートフレーム10に支持する構造として、例えば前述の各種の構造を好適に用いることができる。レーダー20のケーシング23の前後方向の寸法は、上下方向および左右方向の寸法よりも小さい。
【0075】
本実施形態では、テールライト14はリアフェンダ12に取り付けられている。レーダー20は、テールライト14の上端14tよりも上方に配置されている。
【0076】
レーダー20の前端20fは、シートフレーム10の後端10bよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、シートフレーム10の後端10bよりも後方に位置している。レーダー20の前端20fは、テールライト14の前端14fよりも前方に位置している。レーダー20の後端20bは、テールライト14の前端14fよりも後方に位置している。レーダー20の後端20bは、テールライト14の後端14bよりも前方に位置している。
【0077】
第1実施形態および第2実施形態と同様、シートフレーム10は金属製であり、シートカウル11およびリアフェンダ12は合成樹脂製である。ただし、それらの材料は特に限定されない。
【0078】
本実施形態においても、レーダー20がテールライト14の照射光を遮らず、かつ、振動の影響を受けにくい自動二輪車1を得ることができる。
【0079】
以上、いくつかの実施の形態について説明した。ただし、前述の実施形態は例示に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0080】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車1に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【0081】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0082】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、9…シート、10…シートフレーム、10L…左シートフレーム、10R…右シートフレーム、11…シートカウル、12…リアフェンダ、13…ベース部材、14…テールライト、18…支持部材、20…レーダー、21…発信機、22…受信機、23…ケーシング、34…ブラケット(支持部材)、36…ブラケット(支持部材)、40…ラバーマウント(ゴム製の部材)、LA…第1の方向、LB…第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10