(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144133
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】荷役システム
(51)【国際特許分類】
B65G 67/02 20060101AFI20220926BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B65G67/02
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045011
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美徳
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄士
【テーマコード(参考)】
2F065
3F076
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA31
2F065AA53
2F065BB28
2F065CC11
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF05
2F065FF09
2F065FF11
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ26
2F065MM16
2F065MM26
2F065QQ31
3F076BA05
3F076CA03
3F076CA07
3F076DB11
3F076FA04
(57)【要約】
【課題】搬送車両の荷台の位置を容易に推定できる荷役システムを提供することを目的とする。。
【解決手段】荷役システム(1)は、搬送車両(R)の荷台(N)に対して荷役を行う荷役機(30)と、荷役に関する制御を行う制御部(21)と、を備え、制御部(21)は、搬送車両(R)の特徴情報から搬送車両の車体情報を取得し、車体情報に基づき荷台(N)の位置を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車両の荷台に対して荷役を行う荷役機と、
荷役に関する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、搬送車両の特徴情報から当該搬送車両の車体情報を取得し、前記車体情報に基づき前記荷台の位置を推定する、
荷役システム。
【請求項2】
搬送車両の特徴情報と前記搬送車両の車体情報とが紐づけられたデータベースを更に備える、
請求項1記載の荷役システム。
【請求項3】
停止した搬送車両の少なくとも2つの特定部の位置を計測する計測器を備え、
前記制御部は、更に前記計測器の計測結果に基づいて前記荷台の位置を推定する、
請求項1又は請求項2に記載の荷役システム。
【請求項4】
前記計測器は、一直線上に位置しない3つ以上の前記特定部の位置を計測し、
前記制御部は、前記計測器の計測結果に基づいて三次元座標上の前記荷台の位置を推定する、
請求項3記載の荷役システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記荷役機が実行する荷役プランを決定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記荷役プランを決定する際に、予め定められた前記荷役機の進行経路を、推定された前記荷台の位置に基づいて補正する、
請求項5記載の荷役システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記荷役プランを決定する際に、前記荷役機のフォークのチルト角を推定された前記荷台の傾斜に基づき補正する、
請求項5又は6記載の荷役システム。
【請求項8】
前記特徴情報は、搬送車両のナンバー、搬送車両に付加された複数のリフレクターの配置、搬送車両の形態、搬送車両に付加されたマーカー、並びに、搬送車両に付加された二次元コードのいずれか1つ又は複数である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の荷役システム。
【請求項9】
荷役に関する制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、搬送車両の特徴情報から当該搬送車両の車体情報を取得し、前記車体情報に基づき前記搬送車両の荷台の位置を推定する、
荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搬送車両の荷台にフォークリフトなどの荷役機を用いて荷役(荷積み又は荷下ろし)を行うことがある。特許文献1には、搬送車両を所定の位置に正確に停車させてから、荷積み作業を行うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、搬送車両を所定の位置に正確に停止させることは容易でない。一方、荷役の作業又は支援を行うシステムにおいては、搬送車両が正確な位置に停車していなくても、搬送車両の荷台の位置を把握するよう要求されることがある。
【0005】
本発明は、搬送車両の荷台の位置を容易に推定できる荷役システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷役システムは、
搬送車両の荷台に対して荷役を行う荷役機と、
荷役に関する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、搬送車両の特徴情報から当該搬送車両の車体情報を取得し、前記車体情報に基づき前記荷台の位置を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送車両の荷台の位置を容易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷役システムを示すブロック図である。
【
図2】実施形態1の計測器の作用を説明する図である。
【
図3】実施形態1の制御部が実行する荷役制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のステップS5で実行される荷台の座標位置の計算処理を説明する図である。
【
図5】
図3のステップS6で取得される荷役プランの一例を示す図である。
【
図6】
図3のステップS6で取得される荷役プランの別の一例を示す図である。
【
図7】
図3のステップS7で実行される荷役プランの補正処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図3のステップS7で実行される荷役プランの補正処理を説明する図であり、(A)は基準の荷役プラン、(B)は補正過程、(C)は補正後の荷役プランを示す。
【
図10】実施形態2の制御部が実行する荷役プランの補正処理を説明する図である。
【
図11】搬送車両の特徴情報の具体的な第1例(A)~第3例(C)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る荷役システムを示すブロック図である。実施形態1の荷役システム1は、荷役場Gで搬送車両(例えばトラック)Rの荷台Nに対して荷役(荷の搬送及び積込み、又は、荷下ろし及び搬送)を行うためのシステムである。荷役場Gには、搬送車両Rの出入口Giが設けられている。
【0011】
荷役システム1は、搬送車両Rの映像を取得する撮影カメラ11と、荷役場Gに停車した搬送車両Rの特定部M1、M2の位置を計測する計測器12と、搬送車両Rを停止させる停止指示器13と、荷台Nに対して荷役を行う荷役機30と、荷役のための制御処理を行う制御装置20とを備える。
【0012】
荷役機30は、荷の搬送、荷の昇降及び荷の受渡しが可能な重機であり、例えば軌条等を用いずに路上を走行できる荷役自動車(フォークリフト等)である。荷役機30は、制御装置20の制御によって自動走行及び自動荷役を行う構成であってもよいし、制御装置20の決定した荷役プランに従って運転者により運転される構成であってもよい。
【0013】
撮影カメラ11は、搬送車両Rの特徴情報を取得するための構成であり、搬送車両Rを撮影し、撮影された映像を制御装置20の制御部21へ送る。搬送車両Rの特徴情報は、例えばナンバープレートのナンバー、車種を識別可能な配置で貼り付けられた複数のリフレクター、複数の車種を識別可能な車体の形態、各搬送車両Rを識別可能に設定されたマーカー又は二次元コードなどである。制御部21は、撮影カメラ11の映像から画像認識処理を行って搬送車両Rの特徴情報を取得する。撮影カメラ11は、荷役場Gに設置され、荷役場Gで搬送車両Rを撮影してもよいし、荷役場Gに進入するために搬送車両Rが通過するゲート又は進入路に設置され、当該箇所で搬送車両Rを撮影してもよい。
【0014】
なお、搬送車両Rの特徴情報を取得するための構成は、撮影カメラ11に限られず、例えば搬送車両Rが無線信号により識別信号を送信する構成であれば、当該識別信号を特徴情報として受信する受信機であってもよいなど、搬送車両Rの特徴情報が取得できる構成であれば何でもよい。ただし、取得される特徴情報は、少なくとも搬送車両Rのサイズ及び荷台Nのサイズが異なれば、異なるように設定された特徴情報であるとよい。
【0015】
図11は、搬送車両の特徴情報の具体的な第1例(A)~第3例(C)を示す図である。
図11(A)に示す第1例の特徴情報Q1は、荷台Nの前端部と後端部に固定されたリフレクターである。当該特徴情報(リフレクター)Q1は荷台Nの側面又は荷台N下の側方に固定されればよい。第1例の特徴情報Q1は2つのリフレクターの距離によって車体の形態が異なる複数種類の搬送車両Rを識別することができる。
【0016】
図11(B)に示す第2例の特徴情報Q2は、搬送車両RのあおりF1の内面に取り付けられた二次元コードである。
図11(B)の搬送車両Rは、左右のウイングF2を有し、ウイングF2とあおりF1とが開いた状態で、荷台の左右から荷積み又は荷下ろしが可能な車両である。
【0017】
上記の二次元コードとは、複数の帯マークが間隔を開けて並列されたコードである。複数の帯マークの各々は、マーカーやリフレクターから構成されてもよいし、凹凸により構成されてもよい。複数の帯マークの数や間隔の並びによって、車体の形態が異なる複数種類の搬送車両Rを識別することができる。
【0018】
なお、搬送車両Rの特徴情報は、荷役機30に取り付けられたカメラ又はセンサ(LiDAR)によって読み取られてもよい。この場合、特徴情報Q2があおりF1の内面に取り付けられていることで、特徴情報Q2を読み取りやすい高さに配置することができる。荷役機30が、荷役のために荷台Nに進退する際に、特徴情報Q2を読み取ってもよい。LiDARなどのセンサは、リフレクタの有無を検出することもできる。
【0019】
また、特徴情報Q2は、あおりF1の内面に取り付けられているため、搬送車両Rが荷役される状態、すなわち、あおりF1が下側に開かれた状態で、読み取ることができる。したがって、特徴情報Q2を読み取ることで、搬送車両Rが荷役のために停止している状態であることを判別することができる。
【0020】
図11(C)に示す第3例の特徴情報Q3は、ドットの配列によって車体の形態が異なる複数種類の搬送車両Rを識別可能なコードである。
図11(C)では、特徴情報Q3は、搬送車両Rの運転台の側面に取り付けられているが、取付け位置は制限されない。
【0021】
搬送車両Rの特徴情報は、
図11(A)~(C)の具体的な特徴情報を含めて、搬送車両Rのどこに設けられていてもよい。例えば、あおりF1の外面や内面、開いていない反対側のウイングF2の内面、荷台Nの台面、荷台N上部など、読み取り可能であれば、どのような位置に特徴情報が設けられていてもよい。
【0022】
図2は、実施形態1の計測器の作用を説明する図である。
【0023】
計測器12は、荷役場Gで停止した搬送車両Rの少なくとも2つの特定部M1、M2の各位置を計測する。計測器12は、荷役場Gの所定の位置(原点O1からベクトルA1の位置)に配置され、計測器12から特定部M1、M2までの距離r1、r2及び角度θ1、θ2を計測することで、荷役場Gに設定された座標系(X、Y、Z)における特定部M1、M2の座標位置を取得できる。すなわち、ベクトルA1に距離r1及び角度θ1の変位ベクトルを加えることで、特定部M1に座標位置が求められる。同様に、ベクトルA1に距離r2及び角度θ2の変位ベクトルを加えることで特定部M2の座標位置が求められる。なお、実施形態1では、荷役場Gの床面が水平でかつ平坦である場合を想定している。したがって、特定部M1、M2の高さは搬送車両Rの車体情報から求めることができる。
【0024】
特定部M1、M2としては、例えば搬送車両Rのタイヤ(前輪及び前後輪)を採用できるが、これに限られず、予め搬送車両Rのどの位置に配置されているかが決まっており、外部から識別可能な部品又は形状部位であれば、何であってもよい。計測器12は、例えばステレオカメラであり、同一の撮影対象を異なる位置から撮影することで、2つの映像から撮影対象までの距離及び角度を計測できる。より具体的には、上記の2つの映像は制御装置20の制御部21に送られ、制御部21は、上記2つの映像の各々について画像認識処理を行って特定部M1、M2を認識する。そして、2つの映像中の特定部M1、M2の各位置から特定部M1、M2までの距離及び角度を計算する。
【0025】
なお、計測器12は、ストレオカメラに限られず、特定部M1、M2の認識と、特定部M1、M2の位置の計測ができれば、どのような構成であってもよい。例えば、計測器12としては、一次元又は二次元の走査を行って各走査点の距離を計測するLiDAR(light detection and ranging)が採用されてもよい。この場合、計測器12が搬送車両Rの側方から水平面に沿った方向に走査を行うことで、搬送車両Rの特定部M1、M2に交差する走査線上の各点の位置情報を取得する。そして、制御部21が当該走査線上の各点の位置情報が表わすプロファイルから特定部M1、M2を認識し、特定部M1、M2の走査線上における位置と距離情報とから、特定部M1、M2までの距離と角度とを計算できる。また、計測器12は、特定部M1、M2を検出するための撮影カメラと、検出された特定部M1、M2までの距離を計測するLiDARなどの距離計測器との組合せであってもよい。
【0026】
停止指示器13は、
図1に示すように、例えばランプであり、消灯、点滅、点灯の切替により、搬送車両Rの運転者に走行、徐行、停止を指示する。停止指示器13は、ランプの他、音声出力により停止指示を搬送車両Rの運転者に伝えるスピーカであってもよいし、搬送車両Rが自動運転システムを搭載している場合には、無線信号により自動運転システムに停止指令を出力する指令送信器であってもよいなど、具体的な構成は特に限定されない。停止指示器13は、搬送車両Rを停止位置に誘導する誘導機器を含み、制御部21が決定した停止位置に搬送車両Rを誘導し、当該位置に搬送車両Rを停止させるようにしてもよい。誘導機器としては、例えば、搬送車両Rの位置を検出するための撮影カメラ、並びに、搬送車両Rの運転者に停止位置を伝えるスピーカ又は表示装置などが含まれてもよい。搬送車両Rは、誘導された停止位置に大まかに合うように停止すればよい。なお、荷役システム1は、停止指示器13及び停止位置を誘導する構成を持たず、搬送車両Rは荷役場Gの任意の位置(周囲に荷役機30の通路が確保される任意の位置)に停止されてもよい。
【0027】
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)、CPUがデータを展開するRAM(Random Access Memory)、CPUが実行する制御プログラム及び制御データを格納した記憶装置25、並びに、CPUと周辺機器との間でデータの授受を行うインタフェースを有するコンピュータである。制御装置20では、CPUが制御プログラムを実行することで、荷役に関する制御を行う制御部21が構築される。
【0028】
制御装置20の記憶装置25には、搬送車両Rの特徴情報と当該特徴情報を有する搬送車両Rの車体情報とが紐づけられた車体情報データベース251と、荷台Nのサイズに応じた荷役プランが格納された荷役プランデータベース252とが格納されている。
【0029】
車体情報とは、搬送車両Rの車体に関する情報であり、より具体的には、搬送車両Rの荷台Nのサイズ、形状及び位置(車体に設定された座標系の座標位置)の情報と、荷台Nと特定部M1、M2との相対位置関係を示す情報とが含まれる。上記荷台Nのサイズ及び形状とは、荷台Nの平面上のサイズ及び形状(前後方向の長さ及び横幅)であってもよいし、三次元上のサイズ及び形状(前後方向の長さ、横幅及び縦寸)であってもよい。
【0030】
荷役プランとは、荷役機30がどの経路でどの順番で荷を運び、荷台Nのどこに荷積み又は荷下ろしを行うかといった荷役の流れが示された計画に相当する。
【0031】
<荷役制御処理>
図3は、実施形態1の制御部が実行する荷役制御処理を示すフローチャートである。
図4(A)~(C)は、
図3のステップS5で実行される荷台の座標位置の計算処理を説明する図である。
図5は、
図3のステップS6で取得される荷役プランの一例を示す図である。
図6は、
図3のステップS6で取得される荷役プランの別の一例を示す図である。
図4(B)、(C)及び
図5において、荷役場Gには、搬送車両Rが通る出入口Giが設けられている。
【0032】
図3の荷役制御処理は、搬送車両Rが荷役場Gに向かって進入してきた場合に開始される。荷役制御処理が開始されると、まず、制御部21は、撮影カメラ11の映像から搬送車両Rの特徴情報を取得し(ステップS1)、当該特徴情報を車体情報データベース251に照合することで、搬送車両Rの車体情報を取得する(ステップS2)。次に、制御部21は、搬送車両Rに停止指示を出力し、搬送車両Rを荷役場Gに停止させる(ステップS3)。ステップS3において、制御部21は、車体情報に含まれる搬送車両Rのサイズ(例えば全長)に基づき、サイズに応じた停止位置を決定し、当該停止位置に搬送車両Rを停止するよう指示してもよい。
【0033】
搬送車両Rが停止したら、制御部21は、計測器12の出力を受け、当該出力から荷役場Gに設定された座標系における特定部M1、M2の各座標位置を取得する(ステップS4)。
【0034】
続いて、制御部21は、ステップS2で取得した車体情報と、特定部M1、M2の各座標位置とから、荷役場Gに設定された座標系において荷台Nが占める空間の座標位置を計算する(ステップS5)。すなわち、
図4(A)に示すように、車体情報INには、車体に設定された座標系(x、y、z)における各部の位置情報(例えば、特定部M1=(x
M1、y
M1、z
M1)、特定部M2=(x
M2、y
M2、z
M2)、荷台Nの任意な点n1=(x
n1、y
n1、z
n1)~n4=(x
n4、y
n4、z
n4)等)が示され、これらから特定部M1、M2と荷台Nとの相対位置関係が計算できる。さらに、
図4(B)に示すように、ステップS4において荷役場Gに設定された座標系(X、Y、Z)のどこに特定部M1、M2が位置するのか、その座標位置(X
M1、Y
M1、Z
M1)、(X
M2、Y
M2、Z
M2)が取得されている。したがって、制御部21は、
図4(C)に示すように、ステップS5において、
図4(B)の座標上の特定部M1、M2に、車体情報INの特定部M1、M2が重なるように車体情報INの座標系を変換することで、荷役場Gに設定された座標系(X、Y、Z)における荷台Nの座標位置(例えば荷台Nの任意な点n1=(X
n1、Y
n1、Z
n1)~n4=(X
n4、Y
n4、Z
n4)等)を計算できる。なお、実施形態1では、荷役場Gの床面が水平でかつ平坦である場合を想定している。したがって、制御部21は、荷台Nの台面を水平で車体情報INに示された高さに位置するものとして計算してもよい。そして、これらの計算結果が荷台Nの位置の推定結果となる。
【0035】
次に、制御部21は、荷役プランデータベース252から、ステップS2で取得された車体情報(荷台Nのサイズ)に対応する基準の荷役プランPL(
図5)を取得する(ステップS6)。
図5に示すように、基準の荷役プランPLは、荷台Nにおける荷fの位置と、荷役機30の移動経路(c1、c2、c11、c12)とが示されたデータである。移動経路には、荷役機30が荷台Nに向かって進退する経路部分c1と、荷役機30が待機所G2から荷役場Gまで移動する経路部分c11と、荷役機30が倉庫G1の棚Hと荷役場Gとを往復する経路部分c12と、荷役場Gにおいて搬送車両Rの周囲を移動する経路部分c2とが含まれる。
図6に示すように、倉庫G1が受渡口Gsまで荷を自動的に搬出又は搬出する構成であれば、経路部分c12は荷役機30が受渡口Gsと荷役場Gとを往復する経路に相当する。基準の荷役プランPLは、搬送車両Rが荷役場Gの基準の停止位置PS0に停車していると仮定し、当該搬送車両Rに適宜荷役が行われるように設計されている。
【0036】
なお、基準の荷役プランは、荷台Nのサイズ及び荷fの種類等に基づいて、制御部21がその都度生成してもよい。荷fがパレットに載置されて荷台に積まれる場合、制御部21は、パレットのサイズから当該パレットに載置された荷fが荷台Nのどれだけの領域を占めるか把握することができる。そして、上記領域の大きさと、搬送車両Rの荷台Nのサイズとから、制御部21は、荷台Nにどのようにパレットが配置されればよいか計算でき、よって、荷役機30が荷台Nのどこに向かって進み、荷fを積み込めばよいのか計算することができる。これらのことから、制御部21は、荷役機30が荷台Nに向かうべき経路部分c1を計算でき、当該経路部分c1を含んだ荷役プランPLを作成できる。荷下ろしの際には、荷fが載置されるパレットに標準サイズのパレットが適用されていることが分かっていれば、制御部21は、荷台Nのサイズとパレットの標準サイズとから荷台Nにどのような配置でパレットが位置するのか推定できる。よって、制御部21は、この推定結果を用いて、荷下ろしのために荷役機30が荷台Nのどこに向かって進み、荷降ろしをすればよいのか計算することができる。よって、制御部21は、荷役機30がパレットの位置へ進む経路部分c1を計算でき、当該経路部分c1を含んだ荷役プランを作成できる。あるいは、制御部21は、搬送車両側(運転者、荷送り主等)からどのようなサイズのパレットが使用されているか、パレットがどのように配置されているかといった情報を通信を介して受け取ることで、荷下ろしのために荷役機30が荷台Nのどこに向かって進み、荷降ろしをすればよいのか計算することが可能である。よって、制御部21は、荷役機30がパレットの位置へ進む経路部分c1を計算でき、当該経路部分c1を含んだ荷役プランを作成できる。パレットとは、荷が載置される台座面と、荷役機30のフォークが挿入可能な挿入穴とを有し、荷役機30により持ち上げ可能な荷役用の部材である。
【0037】
続いて、制御部21は、ステップS6で取得された基準の荷役プランを、ステップS5で計算された荷台Nの座標位置に基づき補正する(ステップS7)。
【0038】
そして、制御部21は、補正された荷役プランに従って荷役機30に荷役を行わせるように制御処理を行う(ステップS8)。すなわち、荷役機30が自動運転される構成であれば、ステップS8において、制御部21は、荷役機30に運転指令を出力し、荷役プランに従った運転を行わせる。また、荷役機30が運転者により運転される構成であれば、ステップS8において、制御部21は、運転者が荷役プランに従った運転を行うように、運転者にその経路を通知するなどの運転支援を行う。そして、荷役プランの荷役が完了したら、荷役制御処理が終了する。
【0039】
<荷役プランの補正処理>
図7は、
図3のステップS7で実行される荷役プランの補正処理を示すフローチャートである。
図8は、
図3のステップS7で実行される荷役プランの補正処理を説明する図であり、(A)は基準の荷役プラン、(B)は補正過程、(C)は補正後の荷役プランを示す。
【0040】
制御部21は、
図3のステップS7で荷役プランを補正する場合、
図3のステップS6で取得された基準の荷役プランPLに適用されている基準の荷台Nの位置(
図8(A)に二点鎖線で示す)と、
図3のステップS5で計算された荷台Nの位置(
図8(A)に実線で示すと、の差分を計算する(ステップS31)。当該差分は、荷台Nに対する並進情報(並進ベクトルB1)と回転情報(回転角φ1)とで表わされる。
【0041】
続いて、制御部21は、
図3のステップS6で取得された荷役プランPL(
図8(A))のうち、荷役機30が搬送車両Rの荷台Nに進退する経路部分c1と、それ以外の経路部分c11、c12、c2とを判別する。なお、経路が荷台に進退する経路部分c1であることを示す属性情報と、それ以外の経路部分c11、c12、c2であることを示す属性情報とが、予め荷役プランPLに与えられていてもよいし、搬送車両Rからの距離及び経路方向に応じて、制御部21が、荷台Nに進退する経路部分c1とそれ以外の経路部分c11、c12、c2とを判別するようにしてもよい。
【0042】
次に、制御部21は、
図8(B)に示すように、搬送車両の荷台に進退する経路部分c1に対して、ステップS31で求めた差分(B1、φ1)を適用する変換処理を行い、変換された経路部分c1bを作成する(ステップS32)。上記の変換により、荷役機30が搬送車両Rの荷台Nに向かい、荷fの積み込み又は荷下ろしを行う経路部分c1bが、実際の搬送車両Rの荷台Nの停止位置に合わせられる。一方、差分(B1、φ1)が適用された経路部分c1bと、適用されていない残りの経路部分c11、c12、c2のうち経路部分c1と接続されていた経路部分c2との間には、接続が解けた部分X1、交差して余分な経路を含む部分X2、又はこれら両方が生じる。
【0043】
次に、制御部21は、
図8(C)に示すように、差分(B1、φ1)が適用された経路部分c1bと、適用されていない経路部分c2とが交差している部分X2で、交差した部分X2からはみ出した余計な経路を除去する。さらに、制御部21は、経路の接続が解けた部分X1について、経路を延長して接続させることで、荷台Nに進退する経路部分c1bと、経路部分c2とを全て結合させる(ステップS33)。そして、ステップS33で得られた荷役プランを、補正された荷役プランPLaとする。
【0044】
このような荷役プランの補正処理により、実際の荷台Nの停止位置に合わせて荷役プランを補正でき、その後の
図3のステップS8の制御処理によって、荷役機30は、実際の荷台Nの停止位置に合わせて荷役を行うことが可能となる。
【0045】
以上のように、実施形態1の荷役システム1によれば、搬送車両Rの荷台Nに対して荷役を行う荷役機30と、荷役に関する制御を行う制御部21とを備える。そして、制御部21は、搬送車両Rの特徴情報(ナンバープレートのナンバー、リフレクターの位置、車体の形態、マーカー又は二次元コードなど)から搬送車両Rの車体情報を取得し、当該車体情報に基づいて荷台Nの停止位置を推定する(
図3のステップS5)。このように、制御部21は、車体情報から荷台Nが占める領域(例えばそのサイズ及び形状)を認識した状態で、荷台Nの停止位置を推定できる。すなわち、制御部21は、推定結果の荷台Nが占める領域のサイズ及び形状を、車体情報から得ることができ、その分、荷台Nの停止位置を推定する処理の容易化を図ることができる。また、車体情報は、搬送車両Rの特徴情報から取得されるので、荷台Nのサイズ、形状、又はこれら両方が異なるの複数種類の搬送車両Rに対して、同様の処理で荷台Nの停止位置を推定することができる。
【0046】
さらに、実施形態1の荷役システム1によれば、更に、制御装置20には、搬送車両Rの特徴情報と、搬送車両Rの車体情報とが紐づけられた車体情報データベース251を備える。したがって、制御部21は、車体情報データベース251を用いて、搬送車両Rの特徴量から容易に車体情報を取得することができる。
【0047】
さらに、実施形態1の荷役システム1によれば、停止した搬送車両Rの2つの特定部M1、M2の位置を計測する計測器12を備え、制御部21は、計測器12の計測結果と、搬送車両Rの車体情報とから、荷台Nの停止位置を推定する。このような推定方法により、容易にかつ正確に荷台Nの停止位置を推定することができる。また、計測器12は、搬送車両Rの全体の計測を行う必要がなく、搬送車両Rの特定部M1、M2の位置を計測すればよいので、大掛かりな構成を要さない。
【0048】
さらに、実施形態1の荷役システム1によれば、制御部21は、荷台Nの実際の停止位置を正確に推定した状態で、荷役機30が実行する荷役プランを決定する。したがって、荷台Nの実際の停止位置に適応した荷役プランを提供できる。
【0049】
さらに、実施形態1の荷役システム1によれば、制御部21は、標準の荷役プランに含まれる荷役機30の進行経路を、推定された荷台Nの停止位置に基づいて補正することで荷役プランを決定する。したがって、制御部21は、少ない処理負荷で実際の荷台Nの停止位置に適応した荷役プランを決定することができる。
【0050】
さらに、実施形態1の荷役システム1によれば、制御部21は、搬送車両Rの特徴情報として、ナンバープレートのナンバー、複数のリフレクターの配置、搬送車両Rの車体の形態、マーカー、又は二次元コードを取得する。したがって、特徴情報を取得するために、荷役システム1は、例えば搬送車両Rの一部を撮影できる撮影カメラ11などのコンパクトな構成を採用すればよく、荷役システム1が大掛かりになることを抑制できる。
【0051】
(実施形態2)
図9は、実施形態2の計測器を説明する図であり、(A)は荷役場の平面図、(B)は荷役場を水平方向に見た図である。実施形態2の荷役システム1は、計測器12Aa、12Abの構成と、制御部21が荷台Nの位置の認識を、荷台Nの傾斜及び高さの認識を含めて行うようにした点が異なり、その他は実施形態1とほぼ同様である。実施形態2は、例えば荷役場Gの水平度又は平坦度が高くなく、停止位置によって搬送車両Rの荷台Nの傾きが異なるような場合でも対応可能な例である。以下、実施形態1と同様の構成及び同様の制御処理については、詳細な説明を省略する。
【0052】
実施形態2の計測器12Aa、12Abは、
図9に示すように、搬送車両Rにおける1直線上に位置しない3つ以上の特定部M1~M3の座標位置を計測する。座標位置とは、荷役場Gに設定された三次元の座標系(X、Y、Z)における位置を意味する。特定部M1~M3としては、例えば搬送車両Rの右の2つのタイヤ(前輪及び前後輪)と左の1つのタイヤ(前輪)などを採用できるが、それに限られず、特定部M1~M3は、予め搬送車両Rのどの位置に配置されているかが決まっており、外部から識別可能な部品又は形状部位であれば、何であってもよい。計測器12Aa、12Abは、実施形態1で説明したように、ステレオカメラ、LiDAR、あるいは、撮影カメラとLiDARとの組合せなど、荷役場Gに設定された三次元の座標系の座標位置が計測できれば、どのような構成であってもよい。
【0053】
実施形態2において計測器12Aa、12Abは、荷役場Gの搬送車両Rの停車スペースの一方の側と他方の側とに分かれて、それぞれ配置されるとよい。当該一方と他方とは、標準的な停止状態の搬送車両Rの左方及び右方であってもよい。このような配置により、互いに大きく離間した3箇所以上の特定部M1~M3の座標位置を容易に計測することができ、これらから、荷台Nの傾斜を正確に推定できる。
【0054】
実施形態2の制御部21は、
図3のステップS4において、計測器12Aa、12Abを用いて、停止した搬送車両Rの特定部M1~M3の座標位置を計測する。座標位置には高さ方向(Z方向)の計測値も含まれる。
【0055】
<荷台の座標位置の計算処理>
実施形態2の制御部21は、
図3のステップS2で取得した車体情報と、
図3のステップS4で計測した特定部M1~M3の座標位置とに基づいて、荷役場Gに設定された三次元の座標系における荷台Nが占める空間の座標位置を計算する(ステップS5)。実施形態1では、荷役場Gの床面が水平かつ平坦であったことから、荷台Nの座標位置の計算に特定部M1、M2の高さ方向(Z方向)の計測値を使用しなくても良かったが、実施形態2では、荷役場Gの床面が水平かつ平坦でない場合が想定されるので、特定部M1~M3の高さ方向(Z方向)の計測値を用いて、荷台Nの座標位置の計算を行う。このような計算により、特定部M1~M3の計測値に従って、荷台Nの床面Nb(
図9(B)を参照)の傾斜ψ及び高さが反映された荷台Nの座標位置(推定位置)が取得される。
【0056】
<荷役プランの補正処理>
図10は、実施形態2における荷役プランの補正処理を説明する図である。
【0057】
荷がパレットに載置されて荷役が行われる場合、荷役機30のフォークがパレットに挿入され、フォークが昇降することで、荷台Nに荷積み又は荷台Nから荷下ろしがなされる。このとき、フォークのチルト角は変更可能であり、荷台Nの傾斜に対応させてフォークのチルト角が調整されていると、荷積み又は荷下ろしを安定的に行うことができる。
【0058】
実施形態2の荷役プランの補正処理において、制御部21は、実施形態1に示した平面上の補正処理に加えて、
図10に示すように、荷役機30が荷台Nに荷積み又は荷台Nから荷下ろしする際のフォークのチルト角ψ1~ψ12として、荷台Nの傾斜角ψに対応した制御データを荷役プランPLaに加える。
【0059】
このように荷役プランが補正されることで、
図3のステップS8の荷役処理において、荷役機30が自動運転される構成であれば、制御部21が、荷役プランに従って荷役機30に運転指令を出力することで、荷役プランに示された経路で荷役機30が進み、かつ、フォークを昇降させて、荷台Nに荷積み又は荷下ろしを行う。そして、荷積み又は荷下ろしの際に、フォークが指定されたチルト角ψ1~ψ12に制御される。このような制御により、荷役機30は、荷台Nの傾斜角ψに適したチルト角でフォークを進退させてパレットの受渡を行い、荷積み又は荷下ろしを安定的に行うことができる。
【0060】
また、
図3のステップS8の荷役処理において、荷役機30が運転者により運転される構成であれば、制御部21は、運転者に、荷役プランに従って進行経路の通知、フォークの昇降タイミング又は昇降位置の通知、フォークを進退させてパレットの受渡を行う際のフォークのチルト角ψ1~ψ12の通知を行う。そして、運転者が、これらの通知に従って荷役機30を運転することで、上記のように安定的な荷積み又は荷下ろしを行うことができる。
【0061】
以上のように、実施形態2に荷役システム1によれば、計測器12Aa、12Abが、一直線上に位置しない3つ以上の特定部M1~M3(搬送車両Rの特定部M1~M3)の座標位置を計測する。そして、制御部21は、当該座標位置に基づき、荷台Nの位置を推定する。したがって、荷役場Gの平面度又は水平度が高くなく、停車した搬送車両Rの荷台Nに傾斜ψが生じるような場合に、制御部21は、当該傾斜ψを含めた荷台Nの三次元上の位置を推定することができる。
【0062】
さらに、実施形態2の荷役システム1によれば、制御部21は、荷台Nの傾斜ψに基づいて、荷役機30のフォークのチルト角を補正する。したがって、荷役機30が荷台Nに荷積み又は荷台Nから荷下ろしをする際に、当該処理を安定的に行うことができる。
【0063】
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態の荷役システム1は、荷役機30を含む構成としたが、本発明に係る荷役システム1は、荷役機30を含まず、別途用意された荷役機30と組み合わされて動作する構成としてもよい。また、搬送車両の一例としてトラックを示したが、トラック以外の搬送車両が適用されてもよい。また、上記実施形態では、搬送車両を停止位置に誘導する構成を示したが、停止位置の誘導は省略されてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 荷役システム
11 撮影カメラ
12、12Aa、12Ab 計測器
13 停止指示器
20 制御装置
21 制御部
25 記憶装置
251 車体情報データベース
252 荷役プランデータベース
30 荷役機
R 搬送車両
Q1~Q3 特徴情報
N 荷台
M1~M3 特定部
G 荷役場
Gi 出入口
Gs 受渡口
PL、PLa 荷役プラン
IN 車体情報