(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144135
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】基板保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045014
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 元気
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131CA07
5F131EA05
5F131EB33
5F131EB36
5F131EB55
5F131EB57
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保持対象となる基板の自重たわみを改善する保持装置を提供する。
【解決手段】基板を保持する基板保持装置1であって、基板を下面側から支える基板支持部2と、基板を上面側から押さえる基板押さえ部4と、基板の厚み方向に基板支持部と基板押さえ部とを相対的に移動させる移動部5と、を備える。基板押さえ部は、基板支持部で基板を支持する部位よりも外側にオフセットさせた位置を、基板の上面側から下方に押さえる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持装置であって、
前記基板を下面側から支える基板支持部と、
前記基板を上面側から押さえる基板押さえ部と、
前記基板の厚み方向に前記基板支持部と前記基板押さえ部とを相対的に移動させる移動部とを備え、
前記基板押さえ部は、前記基板支持部で前記基板を支持する部位よりも外側にオフセットさせた位置を、当該基板の上面側から下方に押さえる
ことを特徴とする、基板保持装置。
【請求項2】
前記基板の下面側の前記基板支持部で支える部位とは異なる部位を一時的に支える仮置き支持部と、
前記仮置き支持部に前記基板を載置する際に、当該基板の外縁の一部と当接させながら所定の仮置き位置に案内する受取ガイド部とを備え、
前記移動部は、前記仮置き支持部と前記受取ガイド部と前記基板押さえ部とを、前記基板支持部に対して前記基板の厚み方向に一体的に相対移動することで、前記基板を前記仮置き支持部で支えた状態から、当該基板を前記基板支持部と前記基板押さえ部とで狭持する状態に移行させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記基板押さえ部は、前記基板と当接させる部位が、当該基板の上面に対し内側向きに傾斜して配置されている
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記基板支持部は、前記基板の外周部に沿って所定の幅を有しており、当該基板の下面側と接する部位が内側より外側が低い傾斜面である
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記基板支持部には、前記基板の下面側を負圧吸引する吸引保持部を備えた
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の基板保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持する基板保持装置に関する。具体的には、基板の表面側と裏面側から狭持して、所定の姿勢で保持する基板保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスは、1枚の半導体ウエーハ上に多数の半導体デバイス回路(つまり、デバイスチップの繰り返し外観パターン)が層状に重なり合って形成された後、個々のチップ部品に個片化され、当該チップ部品がパッケージングされて、電子部品として単体で出荷されたり電気製品に組み込まれたりする。
【0003】
そして、個々のチップ部品が個片化される前に、1枚の半導体ウエーハを保持して成膜や露光・現像、エッチング、平滑化処理等が繰り返し行われ、その途中でウエーハ上に形成されたデバイスチップの繰り返し外観パターンを撮像した検査画像と基準画像とを比較して、各チップ部品の良否等に関する検査が行われる(例えば、特許文献1)。
【0004】
製造工程内で処理対象となるウエーハは、ハンドラーと呼ばれる自動搬送装置によりカセットキャリア等から処理装置や検査装置等へと運ばれ、処理・検査済み基板の払い出しや未検査基板の受け渡しが行われる。
【0005】
一般的に、処理・検査対象となるウエーハは、上面が平坦なウエーハ保持台で下面側から全面支持されて吸引保持等するなどして、処理・検査等が行われていた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-155610号公報
【特許文献2】特開2006-269989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
処理・検査対象となるウエーハの上下面には配線パターン等の成膜が形成されており、異物の付着やキズの発生を防ぐため、ウエーハの下面全体を平坦なウエーハ保持台で支持することが忌避される。そのため、支持点数が少ないケースや、基板の外周部だけを支持するケースが多く、基板が自重によりたわみやすい。基板がたわむと、中央部と外周部とでは処理・検査の作動距離に違いが生じ、所定の処理・検査を行うことが困難な場合があった。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、
保持対象となる基板の自重たわみを改善できる保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、本発明に係る一態様は、
基板を保持する基板保持装置であって、
基板を下面側から支える基板支持部と、
基板を上面側から押さえる基板押さえ部と、
基板の厚み方向に基板支持部と基板押さえ部とを相対的に移動させる移動部とを備え、
基板押さえ部は、基板支持部で基板を支持する部位よりも外側にオフセットさせた位置を、当該基板の上面側から下方に押さえることを特徴とする。
【0010】
この様な構成をしているため、自重によりたわんだ基板の中央部を持ち上げるようなモーメントがはたらく。
【発明の効果】
【0011】
保持対象となる基板の自重たわみを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明を具現化する形態で扱う基板の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明を具現化する形態における一例の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明を具現化する形態における一例の要部を示す概略図である。
【
図4】本発明を具現化する形態における変形例の要部を示す断面図である。
【
図5】本発明を具現化する形態における別の変形例の要部を示す断面図である。
【
図6】本発明を具現化する形態におけるさらに別の変形例の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX方向、Y方向と表現し、XY平面に垂直な方向(つまり、重力方向)をZ方向と表現する。また、Z方向は、重力に逆らう方向を上、重力がはたらく方向を下と表現する。
【0014】
図1は、本発明を具現化する形態で扱う基板Wの一例を示す斜視図(部分断面図)である。
図1(a)(b)には、基板Wの一類型として、半導体デバイス等の製造に用いられる、略円形の外形をしたシリコンウエーハを例示する。
図1(a)には、基板Wを斜め上方から見下ろした様子が、
図1(b)には、基板Wを斜め下方から見上げた様子が、図示されている。基板Wは、互いに平行で平坦な面(いわゆる、オモテ面やウラ面)を有しており、上側を上面Wa、下側を下面Wbと呼ぶ。なお、基板Wは、上面Waと下面Wbを
水平方向と平行にした(つまり、厚み方向が上下方向となる)状態でハンドリングされる。また、基板Wは、上面Waおよび下面Wbよりも外側(中心Wcから遠ざかる方向)に位置する外周部E(つまり、外端部。側面とも言う)を有しており、外周部Eは、面取り加工(ラウンド処理)が施されている。
【0015】
この基板Wの上面Waや下面Wbにおいて、回路パターンが形成されている領域や機能性の成膜が施されている領域(概ね外縁とその周辺一部より内側部分)は、汚れや異物等の付着やキズや凹み等が生じることを避けるため、接触禁忌領域とされ、直接の接触やエアブロー等が許されていない。一方、接触禁忌領域より外側の外周部E(外縁とその近傍)には、ハンドリング時の接触を許容する接触許容領域Rが、基板Wの外周全周に亘って設定されている。
【0016】
そして接触許容領域Rのうち、基板Wの上面Wa側には、上面側当接部位Raが設定されている。一方、基板Wの下面Wb側には、外周当接部位Rbと基板仮置き当接部位Rcが設定されている。外周当接部位Rbは、基板Wの下面Wb側に設定されている。基板仮置き当接部位Rcは、基板Wの下面Wb側の外周当接部位Rbとは異なる位置に、複数箇所に振り分けて設定されている。
【0017】
なお、これら接触許容領域R、上面側当接部位Ra、外周当接部位Rb、基板仮置き当接部位Rcは、基板Wに直接的に明示されている訳では無く、基板Wの取り扱いルール、規定等(概念ともいう)において設定されている。
【0018】
図2は、本発明を具現化する形態における一例の全体構成を示す斜視図である。
図2(a)(b)には、本発明に係る基板保持装置1を構成する各部とその配置例が示されている。なお、
図2(a)には、基板Wを受け取る(または、排出する)際の姿勢が示されており、
図2(b)には、基板Wを所定の姿勢で保持する様子が示されている。
【0019】
基板保持装置1は、基板Wを保持するものである。
具体的には、基板保持装置1は、作業者やハンドラー(不図示)等で運ばれた基板Wを水平状態で受け取り、基板Wの表面側と裏面側から狭持して、所定の姿勢で保持する構成をしている。より具体的には、基板保持装置1は、基板支持部2、仮置き支持部3、基板押さえ部4、移動部5等を備えている。
【0020】
基板支持部2は、基板Wを下面Wb側から支えるものである。
具体的には、基板支持部2は、外周支持部とも呼ばれ、接触許容領域Rのうち、基板の下面Wb側に設定された、外周当接部位Rbに当接させて、基板Wを支持する構成をしている。より具体的には、基板支持部2は、装置ベース1fに取り付けられた、円弧状に湾曲した壁状部材21~23で構成されており、それらの上端面21a~23aは、平坦な水平面である。さらに、基板支持部2は、基板Wの外形に沿うような形状(本例では、略円筒状)をしており、仮置き支持部3が昇降動作する部分は、互いの干渉を避けるために切り欠き(隙間、開口部とも言う)が設けられている。
【0021】
仮置き支持部3は、基板Wの下面側を一時的に支えるものであり、後述する基板支持部2で支える部位とは異なる部位を支えるものである。
具体的には、仮置き支持部3は、接触許容領域Rのうち、基板の複数箇所に振り分けて基板Wの下面Wb側に設定された、外周当接部位Rbとは異なる基板仮置き当接部位Rcに当接させて、基板Wを受け取り支持する構成をしている。
具体的には、仮置き支持部3は、基板Wの外周部Eを囲む様に複数箇所(具体的には、3ヶ所を例示する)に配置されている。
より具体的には、仮置き支持部3は、支持ピンや支持爪とも呼ばれる棒状の支持部材31~33の一端31a~33aが、基板Wの中心Wc側に向かって伸びた形状をしている。そして、これら支持部材31~33の外側(つまり、一端31a~33aとは反対側)の一端は、直接または連結金具50等を介して、後述する移動部5の可動部51~54に取り付けられている。
【0022】
基板押さえ部4は、基板Wを上面Wa側から押さえるものである。さらに、基板押さえ部4は、基板支持部2で基板Wを支持する部位よりも外側にオフセットさせた位置を、基板Wの上面側から下方に押さえるものである。
具体的には、基板押さえ部4は、基板支持部2より上方で離隔した位置に、基板支持部2の上端面21a~23bの少なくとも一部に覆い被さる様に配置され、接触許容領域Rのうち、基板Wを上面Wa側にある上面側当接部位Raに当接させて基板Wを下向きに押さえる構成をしている。
より具体的には、基板押さえ部4は、板状部材41~43の一端41a~43aが基板Wの中心Wc側に向かって伸びた形状をしている。そして、これら板状部材41~43は、基板Wと当接させる部位(下面側、当接面とも言う)が、基板Wの上面に対して平行ではなく、内側向きに傾斜した形状(図では、くさび形)をしている。
そして、基板押さえ部4は、仮置き支持部3の上方に所定間隔を隔てて配置されており、板状部材41~43は、直接または連結金具50等を介して、後述する移動部5の可動部51~54に取り付けられている。
【0023】
移動部5は、基板Wの厚み方向に基板押さえ部4と基板支持部2とを相対的に移動させるものである。
具体的には、移動部5は、仮置き支持部3および基板押さえ部4を、基板支持部2に対して基板Wの厚み方向に一体的に移動させるものである。
より具体的には、移動部5は、可動部51~54と本体部56~59を備えた、エアシリンダや電動アクチュエータで構成されており、基板支持部2を取り囲む様に複数箇所(具体的には、4ヶ所を例示する)に配置されている。
【0024】
可動部51は、仮置き支持部3の支持部材31と基板押さえ部4の板状部材41とを、一体的に上下方向に移動(つまり、昇降動作)させるものである。
同様に、可動部52は、仮置き支持部3の支持部材32と基板押さえ部4の板状部材42とを、可動部53は、仮置き支持部3の支持部材33と基板押さえ部4の板状部材43とを、一体的に上下方向に移動(つまり、昇降動作)させるものである。
具体的には、可動部51~53は、上下方向に所定の長さを有する棒状の部材で構成されており、可動部51には仮置き支持部3の支持部材31と基板押さえ部4の板状部材41が取り付けられている。また、可動部52,53には連結金具50を介して、仮置き支持部3の支持部材32と基板押さえ部4の板状部材42が、取り付けられている。
また、可動部54には仮置き支持部3の支持部材33と基板押さえ部4の板状部材43が取り付けられている。
【0025】
本体部56~59は、可動部51~54を上下方向に移動(つまり、昇降動作)させるものである。具体的には、本体部56~59は、装置ベース1fに取り付けられており、エアシリンダであればエア配管が接続されて駆動(つまり、昇降動作)し、電動アクチュエータであれば電気信号により駆動(つまり、昇降動作)し、上昇端側および下降端側に移動して静止する構成をしている。
【0026】
図3は、本発明を具現化する形態における一例の要部を示す概略図であり、基板の仮置きから保持(狭持)に状態移行するまでの様子が、基板Wと仮置き支持部3、基板支持部2、基板押さえ部4それぞれの位置関係とともに示されている。
図3(a)には、移動部5が上段状態(つまり、可動部51~54が上昇端側に移動した位置)にあるとき、
図3(c)には、移動部5が下段状態(つまり、可動部51~54が下降端側に移動した位置)にあるとき、
図3(b)には、その間の移行中(下降中)の状態が示されている。
【0027】
まず、移動部5が上段状態にあるとき、仮置き支持部3における基板Wの基板仮置き当接部位Rcと当接する部位は、基板支持部2における基板Wの外周当接部位Rbと当接する部位よりも上方に配置される。そして、基板押さえ部4は、仮置き支持部3よりもさらに上方に、基板Wの載置や入れ替えに必要なクリアランスを隔てて配置される(
図3(a)、
図2(a)参照)。
なお、
図2(a)に示すように、基板Wは、受け取り/排出する際に矢印M1に示す方向に移動するが、そのとき基板Wの外縁が2点鎖線W”で示す軌跡で通過する。そのため、仮置き支持部3の支持部材31、33と基板押さえ部4の板状部材41、43は、基板Wが通過するときに干渉しないように、略U字状に大きくオーバーハングした形状でそれぞれ配置されている。
【0028】
その後、基板Wの受け渡しが済めば、移動部5を下降端側に向けて下降させる。そして、移動部5が下降端側へ下降する途中で、基板Wの下面Wb側に設定された外周当接部位Rbが、基板支持部2の上端面21a~23aと接する(
図3(b)参照)。このとき、基板Wの自重たわみにより、基板支持部2の上端面21a~23aの内側稜部が基板Wの下面Wb側と接しつつ、この内側稜部より外側は基板Wと離間した状態(いわゆる、浮いた状態)となる。
【0029】
さらに移動部5が下降することで、基板Wの下面Wb側に設定された基板仮置き当接部位Rcから仮置き支持部3の支持部材31~33が離れ、仮置き支持部3の支持部材31~33は、基板支持部2の上端面21a~23aよりも下方に移動する。
【0030】
さらに移動部5が下降端側に向かって下降し、基板Wの上面Wa側に設定された上面側当接部位Raに、基板押さえ部4の板状部材41~43の一端41a~43aが当接し、移動部5の下降が止まる。この位置が、移動部5の下段状態となる(
図3(c)、
図2(b)参照)。このとき、基板Wは、基板押さえ部4と基板支持部2によって、表面Wa側と裏面Wb側から狭持(つまり、保持)される。そして、基板押さえ部4は、基板支持部2で基板Wを支持する部位よりも外側にオフセットさせた位置を、基板Wの上面Wa側から下方に押さえる配置で構成されている。そのため、基板Wを基板支持部2に載置したときに、自重たわみによって上端面21a~23aと離間した状態にあった基板Wの外側は、本発明に係る基板支持部2と基板押さえ部4によって基板Wを狭持することで、上端面21a~23aに向けて押し付けられ、基板Wの中央部を上方に持ち上げるようなモーメントが生じる。
【0031】
この様な構成をしているため、本発明に係る基板保持装置1によれば、基板Wの中央部を上方に持ち上げるようなモーメントを生じさせて、基板Wの自重たわみ改善を図ることができる。
【0032】
[変形例]
なお上述では、
図2,3に示す様に、基板Wの基板仮置き当接部位Rcと当接させる仮置き支持部3の支持部材31~33の一端31a~33aや、上面側当接部位Raと当接させる基板押さえ部4の板状部材41~43の一端41a~43aが、それぞれ基板Wの中心Wc側に水平方向に伸びた構成を例示した。一方、基板Wの外周当接部位Rbと当接させる基板支持部2の壁状部材21~21の上端面21a~23aが、水平面で構成されている例を示した。接触許容領域Rが、基板Wの上面Wa側や下面Wb側の水平面を含む場合、上述の構成により、本発明を具現化できる。
【0033】
しかし、本発明を具現化する上で、基板支持部2、仮置き支持部3、基板押さえ部4、移動部5の形状や配置は、この様な構成に限らず、種々の変形例を採用し得る。
【0034】
[仮置き支持部3について]
なお上述では、基板保持装置1の具体例として仮置き支持部3を備えた構成を例示した。この様な構成の仮置き支持部3を備えた構成であれば、基板Wを基板支持部2に直接載置させる必要がないので、ハンドラー等で搬送することができ、好ましい。
しかし、本発明を具現化する上で、仮置き支持部3は必須の構成では無く、省いた構成であっても良い。
【0035】
[受取ガイド部6について]
本発明を具現化する上で、基板保持装置1は、上述の仮置き支持部3を備えた構成において、受取ガイド部6を備えた構成であっても良い。
【0036】
図4は、本発明を具現化する形態における変形例の要部を示す概略図である。
図4(a)~(c)には、受取ガイド部6の配置や形状の具体例が示されている。
【0037】
受取ガイド部6は、仮置き支持部3に基板Wを載置する際に、基板Wの外縁の一部と当接させながら所定の仮置き位置に案内するものである。
具体的には、受取ガイド部6は、仮置き支持部3の側方(外側)が、垂直または水平ではなく、すり鉢状に傾斜または湾曲した面で構成されている。
より具体的には、受取ガイド部6は、仮置き支持部3の外側(基板の中心Wcから遠ざかる方)であって、支持部材31~33の一端31a~33aの上面(つまり、基板Wとの当接部位)よりも上方になるにつれて、外側に拡がるようなテーパ状をした構成をしている。
【0038】
そのため、作業者やハンドラー等で基板Wを受け渡しする際、基板Wの外形位置が水平方向に多少ずれていたとしても、基板Wを取り囲むように複数配置された受取ガイド部6で案内されながら、基板Wが下方に移動する。そのため、基板Wは、下降するにつれて位置ずれが矯正され、所定の位置に位置決め(センタリングとも言う)されて仮置き支持部3と当接するので、基板支持部2へ受け渡す際の位置ずれが減少するため、好ましい。
【0039】
[移動部5について]
なお上述では、移動部5は、基板押さえ部4および仮置き支持部3(必要に応じて、受取ガイド部6を含む)を、基板支持部2に対して基板Wの厚み方向に一体的に移動させる構成を例示した。
【0040】
この様な構成であれば、移動部5の可動部51~54を1回ストローク動作(本例では、下方に移動)させて、基板Wを仮置き支持部3で支えた状態から、当該基板Wを基板支持部2と基板押さえ部4とで狭持する状態に移行させることができる。そのため、状態移行に要する時間が短くて済むので、好ましい。しかし、移動部5は、この様な構成に限定されず、仮置き支持部3と基板押さえ部4を、それぞれ個別に移動させる構成であっても良い。
【0041】
また上述では、移動部5の具体的な配置例として、基板支持部2を取り囲む様に4箇所に配置した例を示した。しかし、本発明を具現化する上で、移動部5は、この様な配置に限定されず、適宜変形させた構成を採用し得る。
【0042】
[基板支持部2について]
基板支持部2は、上述の様に上端面21a~23aが平坦な水平面である構成に限定されず、種々の変形例を採用し得る。
例えば、基板支持部2は、基板Wの下面側と接する部位が内側より外側が低い傾斜面である構成であっても良い。
【0043】
図5は、本発明を具現化する形態における別の変形例の要部を示す断面図である。
図5(a)には、移動部5が上段状態(つまり、可動部51~54が上昇端側に移動した位置)にあるときの状態が示されている。一方、
図5(b)には、移動部5が下段状態(つまり、可動部51~54が下降端側に移動した位置)にあるときの状態が示されている。
【0044】
この様な構成であれば、本発明に係る基板支持部2と基板押さえ部4によって基板Wを狭持することで、基板Wの外周部Wが上端面21a~23aに向けて押し付けられたときに、基板Wの中央部を上方に持ち上げるようなモーメントが生じるが、基板支持部2の上端面21a~23aが逆すり鉢状になっているため、水平面で構成されている場合よりも強いモーメントが生じる。そのため、基板Wの自重たわみをより一層、改善させることができる。
【0045】
[基板押さえ部4について]
なお上述では、基板押さえ部4の具体例として、基板Wと当接させる部位が、当該基板Wの上面に対し内側向きに傾斜した形状(くさび形)を示した。しかし、基板押さえ部4は、この様な形状に限定されず、同じ厚みの板状部材の下面が、基板Wの上面に対して内側向きに傾斜して配置されていても良い。この様に、基板押さえ部4の下面側が、基板Wの上面に対して内側向きに傾斜して配置されていれ、移動部5を下段状態にしたときに、基板Wの最も外側と当接させることができるため、好ましい。
【0046】
図6は、本発明を具現化する形態におけるさらに別の変形例の要部を示す概略図である。
図6(a)~(f)には、それぞれ、本発明が適用可能な、基板Wの外周部Eと基板支持部2と基板押さえ部4の形状や配置、位置関係等)が例示されている。
図6(a)(b)には、保持対象となる基板Wの外周部Eが面取りされており、基板Wの下面Wb側の平坦なところ(つまり、面取りされていない面)を、基板支持部2の上端面の全部ないし内縁で支持する様子が示されている。
そして、基板押さえ部4は、基板Wの上面Wa側の外周部の面取りされている部分を下方に押さえている様子が示されている。この様な位置関係で基板Wを上下から狭持すると、基板Wの中央部を上方に持ち上げるようなモーメントが生じるため、基板Wの自重たわみを改善することができる。
図6(c)(d)には、保持対象となる基板Wの外周部が概ね直角な断面をしており、基板Wの下面Wb側の平坦なところ(つまり、面取りされていない面)を、基板支持部2の上端面の全部ないし内縁で支持する様子が示されている。
そして、基板押さえ部4は、基板Wの上面Wa側の外周部の角部を下方に押さえている様子が示されている。この様な位置関係で基板Wを上下から狭持すると、基板Wの中央部を上方に持ち上げるようなモーメントが生じるため、基板Wの自重たわみを改善することができる。
【0047】
さらに、
図6(a)(c)に示す様に、基板Wの外周部Eが基板支持部2の外側稜部よりも外側にオーバーハングしているような位置関係であれば、基板支持部2と基板押さえ部4で狭持させると、基板支持部2の外側稜部が基板Wを下面Wb側から支える支点となり、破線で示す矢印の力がはたらく。その上で、その外側にオフセットした位置を基板押さえ部4で下方に向けて押さえ付けることができる。そのため、基板支持部2と基板押さえ部4で狭持することで、オーバーハングが無い状態に比べて、さらに基板Wの中央部を上方に持ち上げるようなモーメントを生じさせることができる。そうすることで、より一層の自重たわみ改善効果を奏する。
【0048】
なお上述では、基板押さえ部4は、基板支持部2より上方で離隔した位置に、基板支持部2の上端面21a~23bの少なくとも一部に覆い被さる様に配置された構成を例示した。このような構成であれば、基板Wの上面Wa側と下面Wb側から比較的広い範囲で、基板Wを狭持させることができ、好ましい。しかし、本発明を具現化する上で、基板押さえ部4は、基板支持部2の上端面21a~23bの少なくとも一部に覆い被さる様な配置が必須の構成ではない。例えば、上述の基板仮置き支持部3のように、基板支持部2の切り欠きと同じかそれよりも狭い幅(円周方向)で、基板Wを上面Wa側から下方に押さえる構成であっても良い。
【0049】
[基板支持部2について]
基板支持部2の上端面21a~23aは、平坦な面に限らず、溝を設けたり、粗面で構成されていても良い。或いは、基板支持部2の上端面21a~23aは、基板Wの下面Wb側を負圧吸引する吸引保持部を備えた構成であっても良い。このような構成であれば、基板押さえ部が基板Wの全周囲に亘って配置できない場合でも、下面側からのモーメント発生を付加できるため、基板Wの自重たわみを改善する効果を高めることができる。
【0050】
[基板Wについて]
なお上述では、本発明に係る基板保持装置1での保持対象とする基板Wとして、略円形の外形をしたウエーハを例示した。略円形の外形をしたウエーハは、大径化や薄板化される傾向が強く、自重たわみが生じ易い。さらに、半導体デバイスの製造工程でハンドリングされるウエーハは、電子回路パターンを形成するために幾重にも成膜が施されていることもあり自重たわみが生じ易く、所定の姿勢での保持することが難しかった。しかし、この様なウエーハを本発明に係る基板保持装置1で保持すれば、ウエーハの自重たわみ改善して所定の姿勢での保持することが可能となるため、好ましい。
【0051】
しかし、本発明に係る基板保持装置1で保持対象とする基板Wは、この様な略円形の薄板状ウエーハに限らず、厚板であっても良いし、矩形の外形をしたガラス基板や樹脂基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 基板保持装置
2 基板支持部
3 仮置き支持部
4 基板押さえ部
5 移動部
6 受取ガイド部
21~23 壁状部材(上端面:21a~23a
31~33 支持部材(一端:31a~33a)
41~43 板状部材(一端:41a~43a)
50 連結金具
51~54 可動部
56~59 本体部
W ウエーハ
W” ウエーハが移載される際に通過する外縁
Wa 上面
Wb 下面
Wc 中心
E 外周部(周縁部、側面)
R 接触許容領域
Ra 上面側当接部位 (基板の上面側、基板押さえ部4と当接する部位)
Rb 外周当接部位 (基板の下面側、基板支持部2と当接する部位)
Rc 基板仮置き当接部位(基板の下面側、仮置き支持部3と当接する部位)
M1 矢印(ハンドラー等での搬送方向)
M2 矢印(昇降方向)