(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144157
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】射出成形方法及び射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/22 20060101AFI20220926BHJP
B29C 45/78 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B29C45/22
B29C45/78
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045050
(22)【出願日】2021-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】521064484
【氏名又は名称】有限会社美和化工
(71)【出願人】
【識別番号】305011787
【氏名又は名称】睦月電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】西田 美智子
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AP05
4F206JA07
4F206JC08
4F206JD04
4F206JL02
4F206JM04
4F206JM05
4F206JN06
4F206JN08
4F206JN14
4F206JP11
4F206JP13
4F206JP14
4F206JQ31
4F206JQ54
(57)【要約】
【課題】本発明は、射出成形における洟垂れを防止する射出成形方法及び射出成形装置を提供する。
【解決手段】溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体11の下端面にノズル14を設け、シリンダー本体11と、その下方に配置した金型3との間にサブノズル22と温度検知センサ25を有するサブノズル部2を配置し、シリンダー本体11内を昇降するプランジャー12およびシリンダー本体11を下降させて下端面に設けたノズル14でサブノズル22を押圧することにより、サブノズル22を金型3のゲート34に結合させて所定量の溶融樹脂を金型3に充填する。温度検知センサ25で検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型3に所定量充填されたとき、プランジャー12をシリンダー本体11とともに上昇させてノズル14によるサブノズル22の押圧を解除すると同時にサブノズル22とゲート34との結合を解除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間にサブノズルと温度検知センサを有するサブノズル部を配置し、前記シリンダー本体内を昇降するプランジャーおよび前記シリンダー本体を下降させて下端面に設けたノズルで前記サブノズルを押圧することにより、前記サブノズルを金型のゲートに結合させて所定量の溶融樹脂を金型に充填する射出成形方法であって、前記温度検知センサで検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型に所定量充填されたとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除しサブノズルを冷却することを特徴とする射出成形方法。
【請求項2】
前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備え、前記充填検知センサにより溶融樹脂が金型に所定量充填されたことを検知したとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除することを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項3】
溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体内に昇降自在のプランジャーを有し、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間にサブノズルと温度検知センサを有するサブノズル部を配置し、前記サブノズルをノズル方向に押圧する付勢手段を有することを特徴とする射出成形装置。
【請求項4】
前記サブノズル部は冷却流体が供給される流路を有することを特徴とする請求項3に記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の射出成形装置。
【請求項6】
前記シリンダー本体は前記ノズルに連通する貫通孔を備えた樹脂溶融部を有することを特徴とする請求項3から5の何れか一つに記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融樹脂を金型に充填して射出成形品を得る射出成形方法及び射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融樹脂を金型に充填して射出成形品を得る際、溶融樹脂を射出するノズルから溶融樹脂が流れ出す、はなたれ(洟垂れ)現象を防止する射出成形装置として、特許文献1には、
図8に示すように、シリンダー201を加熱する熱を断熱し、射出ノズル部202の射出口路202B内に残留する溶融樹脂203が金型204の離型時若しくは射出ノズル部202が金型204から離反した際においても溶融状態を保持することを阻止する断熱部205を射出ノズル部202に設けて、金型204の離型時若しくは射出ノズル部202が金型204から離反した際には射出ノズル部202内の溶融樹脂203が固化若しくは半固化してこれにより射出ノズル部202の射出口路202Bが詰まり閉塞し、射出ノズル部202の射出口路202B先端の射出口202Aから残留した溶融樹脂203が洟垂れることを阻止するように構成した、射出成形機における洟垂れ現象防止構造が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、
図9に示すように、成形材料を貯留し前方に射出ノズル304を備えた射出シリンダ302と、前記射出シリンダ302内で後退移動する射出プランジャ303と、前記射出プランジャ303を後退移動させる射出プランジャ駆動装置305と、射出制御装置306と、前記射出プランジャ303の位置を検出する位置検出装置307を備え、前記射出制御装置306は、n-1回目の射出サイクルの可塑化計量工程において前記位置検出装置307により計測した前記射出プランジャ303の計量時間からn回目の射出サイクルの可塑化計量工程における前記射出プランジャ303の後退速度を算出し、前記後退速度で前記射出プランジャ303を後退させて計量を行う射出装置301が開示されている。当該射出装置301によれば、射出プランジャ303の位置を検出する位置検出装置307を備え、n-1回目の射出サイクルの可塑化計量工程において前記位置検出装置307により計測した前記射出プランジャ303の計量時間からn回目の射出サイクルの可塑化計量工程における前記射出プランジャ303の後退速度を算出することにより、適切な後退速度で射出プランジャ303を後退させることが可能となり、成形不良や洟垂れ現象を防止することが可能である。
【0004】
しかし、これら特許文献1および2の何れにおいても、溶融樹脂を金型に向けて射出するノズルと金型との間にサブノズル部を設けて洟垂れ現象を防止することは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-85782号公報
【特許文献2】特許第6795716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、金型が閉じた状態で溶融樹脂が金型のキャビティ空間に充填される射出成形方法及び射出成形装置において、大きな形状の射出成形品に適用できる射出成形方法及び射出成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の射出成形方法は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間にサブノズルと温度検知センサを有するサブノズル部を配置し、前記シリンダー本体内を昇降するプランジャーおよび前記シリンダー本体を下降させて下端面に設けたノズルで前記サブノズルを押圧することにより、前記サブノズルを金型のゲートに結合させて所定量の溶融樹脂を金型に充填する射出成形方法であって、前記温度検知センサで検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型に所定量充填されたとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除しサブノズルを冷却することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載の射出成形方法は、請求項1に記載の射出成形方法において、前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備え、前記充填検知センサにより溶融樹脂が金型に所定量充填されたことを検知したとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に記載の射出成形装置は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体内に昇降自在のプランジャーを有し、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間にサブノズルと温度検知センサを有するサブノズル部を配置し、前記サブノズルをノズル方向に押圧する付勢手段を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に記載の射出成形装置は、請求項3に記載の射出成形装置において、前記サブノズル部は冷却流体が供給される流路を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に記載の射出成形装置は、請求項3または4に記載の射出成形装置において、前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に記載の射出成形装置は、請求項3から5の何れか一つに記載の射出成形装置において、前記シリンダー本体は前記ノズルに連通する貫通孔を備えた樹脂溶融部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の射出成形方法及び射出成形装置は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間にサブノズルと温度検知センサを有するサブノズル部を配置し、前記シリンダー本体内を昇降するプランジャーおよび前記シリンダー本体を下降させて下端面に設けたノズルで前記サブノズルを押圧することにより、前記サブノズルを金型のゲートに結合させて所定量の溶融樹脂を金型に充填する方法及び装置であって、前記温度検知センサで検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型に所定量充填されたとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除しサブノズルを冷却することにより射出成形品を得られるので、サブノズル部の存在により、樹脂溶融部のノズルから溶融樹脂が流れ出す洟垂れ現象を防止でき、射出成形における成形管理が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の射出成形装置における製造工程の準備段階を示す断面図である。
【
図4】本発明の射出成形装置におけるサブノズルの平面図である。
【
図5】本発明の射出成形装置における製造工程の充填開始段階を示す断面図である。
【
図6】本発明の射出成形装置における製造工程の充填終了段階を示す断面図である。
【
図7】本発明の射出成形装置により射出成形品を製造する製造工程を示す図である。
【
図8】特許文献1に開示された射出成形機の射出完了時を示す断面図である。
【
図9】特許文献2に開示された射出成形機の断面を含む概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(射出成形装置の実施形態)
図1から
図5を参照して本発明の射出成形装置の一実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。
【0016】
図1および
図5において、1は溶融樹脂供給部であり、シリンダー本体11内のプランジャー12およびシリンダー本体11を上昇下降の往復動をさせる駆動部4を備えている。シリンダー本体11の外面には樹脂供給部13を備えており、その樹脂供給部13はシリンダー本体11内に連通して樹脂をシリンダー本体11内に供給する。駆動部4は、金型3を載置するベース36に立設した支柱41に形成されたノッチ42と、シリンダー本体11の外面に形成されてシリンダー本体11を昇降させる送りバー43Bと、この送りバー43Bの先端にあってノッチ42と噛み合う歯車44Bと、プランジャー12の軸121に連結されてプランジャー12を昇降させる送りバー43Aと、この送りバー43Aの先端にあってノッチ42と噛み合う歯車44Aとを備え、これら歯車44A、44Bは図示しない電動機により回転される。この駆動部4の送りバー43Aと送りバー43Bとは連動させてもよいが、プランジャー12およびシリンダー本体11の下降に際してはシリンダー本体11を下降させた後、プランジャー12を下降させてよい。
【0017】
また、シリンダー本体11の下端面(
図1および
図5においては下面)にはノズル14が設けられており、このノズル14と樹脂供給部13との間には樹脂溶融部16がシリンダー本体11内に設けられており、この樹脂溶融部16を囲むシリンダー本体11の外周面にはヒータ15が形成されている。
【0018】
ノズル14と金型3との間にサブノズル部2が配置されている。このサブノズル部2のサブノズル本体21にはシリンダー本体11側に凹所が形成されたノズル受容部22Aに連通して金型3側に突出するサブノズル22が形成されており、このサブノズル22は金型3から離れる方向で溶融樹脂供給部1のノズル14方向に押圧する付勢部材24で支持されている。この付勢部材24は金型3に支持された軸24Aとスプリング24Bとからなり、
図1および
図5においてはサブノズル本体21の左右に2対配置している。
図4に示すように、サブノズル本体21には付勢部材24の軸24Aを迂回するように冷却部材23が設けられており、さらに、サブノズル本体21には樹脂の温度を検知する温度検知センサ25が設けられている。この場合、付勢部材24は1対で構成してもよい。また、付勢部材24の軸24Aには螺子を形成して金型3に螺着して固定してもよい。このように軸24Aを用いた付勢部材24はサブノズル部2のサブノズル22が金型3のゲート34に結合して溶融樹脂Aを金型3のキャビティ33に充填する際、サブノズル部2が縦横に動かないように支持する作用を奏する。
【0019】
金型3は可動側の上型31とベース36上にある固定側の下型32を有し、上型31と下型32を閉じて溶融樹脂が充填されるキャビティ33を形成し、上型31にはゲート34が形成されており、このゲート34にはサブノズル22が結合される。また、下型32には、金型3の圧力と温度を検知することでキャビティ33への溶融樹脂Aの充填状況を監視する充填検知センサ35が設けられている。
【0020】
5は駆動制御装置であり、温度検知センサ25および充填検知センサ35からの検知信号にもとづき駆動部4を制御する。
【0021】
図2は、シリンダー本体11におけるプランジャー12と樹脂供給部13の配置を示し、シリンダー本体11は円筒状で側面にある樹脂供給部13に開口されることで樹脂供給部13はシリンダ―本体11に連通して、例えば、熱可塑性樹脂のような樹脂が軸121を介してプランジャー12を下降させることによりノズル14方向に押し出される。
【0022】
図3は、シリンダー本体11における樹脂溶融部16とヒータ15の配置を示し、シリンダー本体11の外周面にヒータ15が形成されている。ヒータ15は、軸121を介してプランジャー12を下降させることにより押し出された樹脂を、その樹脂のガラス転移温度以上に加熱して溶融樹脂A(
図5、
図6参照)を得るように電磁誘導加熱を熱源としている。また、樹脂溶融部16は複数個の貫通孔16Aのある柱状体でできている。この樹脂溶融部16は柱状体のない空洞としてもよいが、樹脂溶融部16を複数個の貫通孔16Aのある柱状体とすることにより、ノズル14付近のシリンダー本体11の内部を空洞のみとする構造に比し、溶融樹脂A(
図5、
図6参照)をサブノズル部2から金型3のキャビティ33に充填する充填作用を向上させることができる。
【0023】
図4は、サブノズル部2を溶融樹脂供給部1のノズル14から見た平面図で、中央にあるサブノズル本体21には、ノズル受容部22Aを有するサブノズル22が形成されており、サブノズル本体21の内部には冷却流体が流通する流路を有する冷却部材23が形成されている。この流路を有する冷却部材23は、サブノズル本体21の両側の2対の付勢部材24の軸24Aを迂回するように左右に延出した流路23A、23Bを有し、この流路23A、23Bは環状流路23Cで合流し、冷却発生装置6に接続されている。この冷却発生装置6は、空気や水等の冷却流体が、図示しない電動ポンプによって流路23Aから環状流路23Cを経て流路23Bに至る流路を循環するように作用する。この場合、プランジャー12をシリンダー本体11とともに上昇させてノズル14によるサブノズル22の押圧を解除すると同時にサブノズル22とゲート34との結合を解除し、サブノズル22を冷却する。このサブノズル22を冷却する冷却装置としてサブノズル部2に冷却部材23を備える代わりに、図示しない外部にある冷却部材でサブノズル22を冷却してもよい。
【0024】
(射出成形装置により射出成形品を製造する製造工程の説明)
本発明の射出成形装置により射出成形品を製造する製造工程を以下に説明する。
【0025】
本発明の射出成形装置を用いた射出成形は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体11の下端面にノズル14を設け、前記シリンダー本体11と、その下方に配置した金型3との間にサブノズル22と温度検知センサ25を有するサブノズル部2を配置し、前記シリンダー本体11内を昇降するプランジャー12およびシリンダー本体11を下降させて下端面に設けたノズル14で前記サブノズル22を押圧することにより、前記サブノズル22を金型2のゲート34に結合させて所定量の溶融樹脂Aを金型3に充填する方式であって、温度検知センサ25で検知された樹脂の温度で溶融樹脂Aの充填開始を検知し、溶融樹脂Aが金型3のキャビティ33に所定量充填されたとき、プランジャー12をシリンダー本体11とともに上昇させてノズル14によるサブノズル22の押圧を解除すると同時にサブノズル22とゲート34との結合を解除し、サブノズル22を冷却させることにより、以下の製造工程で射出成形品が製造される。
【0026】
図7において、溶融樹脂充填準備工程100、溶融樹脂充填開始工程101、溶融樹脂充填終了工程102および保圧工程103により溶融樹脂が所定形状に射出成形される。先ず、溶融樹脂充填準備工程100は、
図1において、金型3を閉じ、プランジャー12を上方に移動し、サブノズル部2を冷却状態にして、ノズル14とサブノズル部2とを離間させておく。
【0027】
次に、溶融樹脂充填開始工程101は、ヒータ15に通電して樹脂溶融部16を通電状態にしてその樹脂をガラス転移温度以上に加熱できる状態にし、サブノズル部2を冷却しない状態にして、温度検知センサ25からの検知信号にもとづき、駆動部4によりプランジャー12およびシリンダー本体11を下降させて、ノズル14でサブノズル部2を押圧する。この場合、駆動部4の送りバー43Aと送りバー43Bとを連動させて駆動部4によりプランジャー12をシリンダー本体11とともに下降させるが、シリンダー本体11を下降させてノズル14をサブノズル22のノズル受容部22Aに接触させてサブノズル部2を押圧した後、プランジャー12を下降させてよい。引き続き、
図5において、駆動部4によりプランジャー12およびシリンダー本体11を下降させて、ノズル14をサブノズル22のノズル受容部22Aに接触させてサブノズル部2を押圧した状態で金型3側に突出したサブノズル22を金型3のゲート34に結合させ、樹脂供給部13からシリンダー本体11に供給された樹脂を樹脂溶融部16で溶融樹脂Aとし、その溶融樹脂Aを金型3のキャビティ33に充填する。そして、充填検知センサ35にて金型3の圧力や温度を検知してキャビティ33内の溶融樹脂の充填を監視しながら、キャビティ33への溶融樹脂の充填を続ける。
【0028】
そして、充填検知センサ35で検知された金型3の圧力と温度が所定の数値に達した溶融樹脂充填終了工程102は、
図6において、充填検知センサ35で溶融樹脂Aが金型3のキャビティ33に所定量充填されたことを検知され、その充填検知センサ35からの検知信号が駆動制御装置5に送られて、駆動部4によりプランジャー12をシリンダー本体11とともに上昇させて、ノズル14によるサブノズル22の押圧を解除すると同時にサブノズル22と金型3のゲート34との結合を解除し、サブノズル部2の冷却部材23の流路23A、環状流路23C、流路23Bに冷却流体を流通させる。そして、樹脂溶融部16のヒータ15への通電を停止して溶融樹脂Aの充填を終了して、保圧工程103に至る。
【0029】
保圧工程103にて、金型3を型締め状態で保圧し、金型3を冷却し、金型3を開いて、図示しない上下動自在なエジェクタロッドにて所定形状に成形された射出成形品を金型3から取り出して射出成形品が得られる。
【0030】
このように、サブノズル部2の存在により、溶融樹脂供給部1のノズル14から溶融樹脂が流れ出す洟垂れ現象を防止でき、射出成形における成形管理が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の射出成形装置は、洟垂れ現象の防止が必要な射出成形に有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 溶融樹脂供給部
11 シリンダー本体
12 プランジャー
13 樹脂供給部
14 ノズル
15 ヒータ
16 樹脂溶融部
2 サブノズル部
21 サブノズル本体
22 サブノズル
23 冷却部材
24 付勢部材
25 温度検知センサ
3 金型
31 上型
32 下型
33 キャビティ
34 ゲ-ト
35 充填検知センサ
4 駆動部
5 駆動制御装置
100 溶融樹脂充填準備工程
101 溶融樹脂充填開始工程
102 溶融樹脂充填終了工程
103 保圧工程
【手続補正書】
【提出日】2021-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間に前記シリンダー本体とは別体であるサブノズル部を配置し、前記サブノズル部はサブノズルと温度検知センサと冷却流体が供給される流路を有し、前記シリンダー本体内を昇降するプランジャーおよび前記シリンダー本体を下降させて下端面に設けたノズルで前記サブノズルを押圧することにより、前記サブノズルを金型のゲートに結合させて所定量の溶融樹脂を金型に充填する射出成形方法であって、前記温度検知センサで検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型に所定量充填されたとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除しサブノズルを冷却することを特徴とする射出成形方法。
【請求項2】
前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備え、前記充填検知センサにより溶融樹脂が金型に所定量充填されたことを検知したとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除することを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項3】
溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体内に昇降自在のプランジャーを有し、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間に前記シリンダー本体とは別体であるサブノズル部を配置し、前記サブノズル部はサブノズルと温度検知センサと冷却流体が供給される流路を有し、前記サブノズルをノズル方向に押圧する付勢手段を有することを特徴とする射出成形装置。
【請求項4】
前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備えたことを特徴とする請求項3に記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記シリンダー本体は前記ノズルに連通する貫通孔を備えた樹脂溶融部を有することを特徴とする請求項3または4に記載の射出成形装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の請求項1に記載の射出成形方法は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間に前記シリンダー本体とは別体であるサブノズル部を配置し、前記サブノズル部はサブノズルと温度検知センサと冷却流体が供給される流路を有し、前記シリンダー本体内を昇降するプランジャーおよび前記シリンダー本体を下降させて下端面に設けたノズルで前記サブノズルを押圧することにより、前記サブノズルを金型のゲートに結合させて所定量の溶融樹脂を金型に充填する射出成形方法であって、前記温度検知センサで検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型に所定量充填されたとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除しサブノズルを冷却することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の請求項3に記載の射出成形装置は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体内に昇降自在のプランジャーを有し、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間に前記シリンダー本体とは別体であるサブノズル部を配置し、前記サブノズル部はサブノズルと温度検知センサと冷却流体が供給される流路を有し、前記サブノズルをノズル方向に押圧する付勢手段を有することを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の請求項4に記載の射出成形装置は、請求項3に記載の射出成形装置において、前記金型は溶融樹脂が金型に充填される状況を監視する充填検知センサを備えたことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の請求項5に記載の射出成形装置は、請求項3または4に記載の射出成形装置において、前記シリンダー本体は前記ノズルに連通する貫通孔を備えた樹脂溶融部を有することを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の射出成形方法及び射出成形装置は、溶融樹脂を保有し昇降自在なシリンダー本体の下端面にノズルを設け、前記シリンダー本体と、その下方に配置した金型との間に前記シリンダー本体とは別体であるサブノズル部を配置し、前記サブノズル部はサブノズルと温度検知センサと冷却流体が供給される流路を有し、前記シリンダー本体内を昇降するプランジャーおよび前記シリンダー本体を下降させて下端面に設けたノズルで前記サブノズルを押圧することにより、前記サブノズルを金型のゲートに結合させて所定量の溶融樹脂を金型に充填する方法及び装置であって、前記温度検知センサで検知された樹脂の温度で溶融樹脂の充填開始を検知し、溶融樹脂が金型に所定量充填されたとき、前記プランジャーを前記シリンダー本体とともに上昇させてノズルによるサブノズルの押圧を解除すると同時にサブノズルと前記ゲートとの結合を解除しサブノズルを冷却することにより射出成形品を得られるので、サブノズル部の存在により、樹脂溶融部のノズルから溶融樹脂が流れ出す洟垂れ現象を防止でき、射出成形における成形管理が向上する。