(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144195
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】天井用レール連結具、天井用レール、天井用レール構造体、および天井用レール取り付け方法
(51)【国際特許分類】
E04B 9/20 20060101AFI20220926BHJP
E04B 2/82 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E04B9/20 A
E04B2/82 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045093
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】592048176
【氏名又は名称】ケージーパルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119389
【弁理士】
【氏名又は名称】門脇 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正
(57)【要約】
【課題】一対の天井用レールを連結方向で連結しやすい天井用レール連結具、連結される天井用レール、天井用レール連結具および天井用レールを備える天井用レール構造体、天井用レール取り付け方法を提供する。
【解決手段】2本の天井用レール3はそれぞれ、天井に向き合う底部20と底部20の両側で下垂する一対の側部22とを有する。天井用レール連結具1は、連結方向DTに長く天井に固定される天井対向部10と、連結方向DTと交差する幅方向DWで天井対向部10の両端から下垂し、側部22を挟み込む一対の下垂挟持部14と、を備え、天井対向部10は、連結方向DTの両端の近くに天井に固定される固定部材30が通る貫通穴12を備え、下垂挟持部14は、天井用レール3を挟む側へ凸状に曲がった屈曲部16を有する弾性体である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に向き合う底部と前記底部の両側で下垂する一対の側部とを有して前記天井に固定される2本の天井用レールを相互に連結する天井用レール連結具であって、
連結方向に長く前記天井に固定される天井対向部と、前記連結方向と交差する幅方向で前記天井対向部の両端から下垂し、前記側部を挟み込む一対の下垂挟持部と、を備え、
前記天井対向部は、前記連結方向の両端の近くに前記天井に固定される固定部材が通る貫通穴を備え、
前記下垂挟持部は、前記天井用レールを挟む側へ凸状に曲がった屈曲部を有する弾性体である、
ことを特徴とする天井用レール連結具。
【請求項2】
請求項1に記載の天井用レール連結具であって、
前記下垂挟持部は、前記側部が有する下垂高さの半分より大きい挟持高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の天井用レール連結具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の天井用レール連結具であって、
前記下垂挟持部は、前記天井対向部と一体の金属製であり、前記下垂挟持部の板厚は、約0.3mmから約0.5mmまでである、
ことを特徴とする天井用レール連結具。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の天井用レール連結具であって、
前記屈曲部は、下垂方向で前記下垂挟持部の略中央に位置する、
ことを特徴とする天井用レール連結具。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の天井用レール連結具であって、
前記貫通穴は、前記連結方向に長い角丸長方形である、
ことを特徴とする天井用レール連結具。
【請求項6】
連結方向において天井用レール連結具で相互に連結され天井に設置される天井用レールであって、
前記天井に向き合う底部と前記底部の両側で下垂する一対の側部とを備え、
前記天井用レール連結具は、請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の天井用レール連結具である、
ことを特徴とする天井用レール。
【請求項7】
天井に固定され、相互に連結された2つの天井用レールを備える天井用レール構造体であって、
2つの前記天井用レールは、天井用レール連結具により連結されてあり、
前記天井用レール連結具は、請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の天井用レール連結具であり、
前記天井用レールは、請求項6に記載の天井用レールである、
ことを特徴とする天井用レール構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の天井用レール構造体であって、
2つの前記天井用レールは、前記天井に位置する設置溝に位置する、
ことを特徴とする天井用レール構造体。
【請求項9】
天井用レールが嵌め込まれて設置される設置溝が形成された天井に天井用レール連結具を介して相互に連結される2本の天井用レールを取り付ける天井用レール取り付け方法であって、
前記天井用レールは、請求項6に記載の天井用レールであり、前記天井用レール連結具は、請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の天井用レール連結具であり、
2本の前記天井用レールを突き合わせて天井用レール連結具に嵌め合わせる工程と、
連結された2本の前記天井用レールと、前記天井用レール連結具とを前記設置溝に嵌め込む工程と、
嵌め込まれた前記天井用レールと天井用レール連結具が有する貫通穴とに固定部材を貫通させて、前記天井用レールを前記設置溝に固定する工程と、を備える、
ことを特徴とする天井用レール取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に固定される天井用レールを連結する天井用レール連結具、天井用レール連結具が適用される天井用レール、天井用レール連結具によって相互に連結され天井に固定された天井用レールを備える天井用レール構造体、および天井用レール連結具を用いて天井用レールを天井に取り付ける天井用レール取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天井を走行する天井用レールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、当該技術は、特殊な形態の天井用レールにおける取り付け構造を提案するもので、汎用性に乏しく、一般的な天井用レールへの適用は想定されていない。
また、従来の天井用レールはその都度現場の状況に合わせて設計され、天井用レールを相互に連結する形態はほとんど想定されていないと推察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長い天井用レールを輸送するとき、輸送手段の制約から天井用レールの長さが制限され、天井用レールが短くされた状態で輸送される場合が生じ得る。そのような短い天井用レールを設置現場で必要な長さを得るために連結する作業が必要になる事象が生じることがある。
これに対し、特許文献1に開示された技術においては、そのような事象は全く想定されていないので、天井用レールを相互に連結するという対処は想定されていない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、一対の天井用レールを連結方向で容易に連結しやすい天井用レール連結具を提供することを目的とする。
また、本発明は、天井用レール連結具で連結できる天井用レールを提供することを他の目的とする。
また、本発明は、搬送上の長さ制限による搬送困難という課題を回避した天井用レールを容易に天井に適用できる天井用レール構造体を提供することを他の目的とする。
また、本発明は、天井用レールに天井用レール連結具を適用することで、長さによる制限を回避して天井用レールを容易に天井に取り付けられる天井用レール取り付け方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る天井用レール連結具は、天井に向き合う底部と前記底部の両側で下垂する一対の側部とを有して前記天井に固定される2本の天井用レールを相互に連結する天井用レール連結具であって、連結方向に長く前記天井に固定される天井対向部と、前記連結方向と交差する幅方向で前記天井対向部の両端から下垂し、前記側部を挟み込む一対の下垂挟持部と、を備え、前記天井対向部は、前記連結方向の両端の近くに前記天井に固定される固定部材が通る貫通穴を備え、前記下垂挟持部は、前記天井用レールを挟む側へ凸状に曲がった屈曲部を有する弾性体である、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る天井用レール連結具は、一対の天井用レールを連結方向で容易に連結しやすいので、一対の天井用レールは、搬送時に長さ制限を受けて所定の長さに制限されたときでも、設置現場の天井に連結して設置される。つまり、天井用レール連結具は、天井用レールの搬送時における長さ制限による影響を回避できる。
また、本発明の一実施の形態に係る天井用レール連結具では、前記下垂挟持部は、前記側部が有する下垂高さの半分より大きい挟持高さを有する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る天井用レール連結具では、前記下垂挟持部は、前記天井対向部と一体の金属製であり、前記下垂挟持部の板厚は、約0.3mmから約0.5mmまでである、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る天井用レール連結具では、前記屈曲部は、下垂方向で前記下垂挟持部の略中央に位置する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る天井用レール連結具では、前記貫通穴は、前記連結方向に長い角丸長方形である、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る天井用レールは、連結方向において天井用レール連結具で相互に連結され天井に設置される天井用レールであって、前記天井に向き合う底部と前記底部の両側で下垂する一対の側部とを備え、前記天井用レール連結具は、本発明のいずれか一つに係る天井用レール連結具である、ことを特徴とする。
したがって、天井用レールは、天井用レール連結具で容易に連結できる。すなわち、天井用レールは、適用時の範囲が拡大され容易に設置しやすくなるので、使用時の利便性を拡大しやすい。
また、本発明に係る天井用レール構造体は、天井に固定され、相互に連結された2つの天井用レールを備える天井用レール構造体であって、2つの前記天井用レールは、天井用レール連結具により連結されてあり、前記天井用レール連結具は、本発明のいずれか一つに記載の天井用レール連結具であり、前記天井用レールは、本発明に係る天井用レールである、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る天井用レール構造体は、本発明に係る天井用レールと天井用レール連結具とを適用して相互に連結され、天井に固定されて取り付けられる。これにより、天井用レールは、搬送時の長さ制限を回避しやすく、天井への適用性が向上する。つまり、天井用レール構造体は、搬送上の長さ制限による搬送困難という課題を回避した天井用レールを容易に天井に適用できる。
本発明の一実施の形態に係る天井用レール構造体では、2つの前記天井用レールは、前記天井に位置する設置溝に位置する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る天井用レール取り付け方法は、天井用レールが嵌め込まれて設置される設置溝が形成された天井に天井用レール連結具を介して相互に連結される2本の天井用レールを取り付ける天井用レール取り付け方法であって、前記天井用レールは、本発明に係る天井用レールであり、前記天井用レール連結具は、本発明に係る天井用レール連結具のいずれか一つに記載の天井用レール連結具であり、2本の前記天井用レールを突き合わせて天井用レール連結具に嵌め合わせる工程と、連結された2本の前記天井用レールと、前記天井用レール連結具とを前記設置溝に嵌め込む工程と、嵌め込まれた前記天井用レールと天井用レール連結具が有する貫通穴とに固定部材を貫通させて、前記天井用レールを前記設置溝に固定する工程と、を備える、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る天井用レール取り付け方法は、簡潔化された天井用レール、天井用レール連結具を適用して、簡潔な工程によって、所望の強度を確保しやすい天井用レール取り付け方法を実現でき、工程を簡略化しやすい。つまり、天井用レール取り付け方法は、天井用レールに天井用レール連結具を適用することで、天井用レールに対する長さによる制限を回避して天井用レールを容易に天井に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る天井用レール連結具は、天井用レールの搬送時における長さ制限による影響を回避できるという効果を奏する。
また、本発明に係る天井用レールは、本発明に係る天井用レール連結具で容易に連結できるという効果を奏する。
また、本発明に係る天井用レール構造体は、本発明に係る天井用レールを本発明に係る天井用レール連結具によって天井に固定することで、搬送上の長さ制限による搬送困難という課題を回避した天井用レールを容易に天井に適用できるという効果を奏する。
また、本発明に係る天井用レール取り付け方法は、本発明に係る天井用レールに本発明に係る天井用レール連結具を適用することで、天井用レールに対する長さによる制限を回避して天井用レールを容易に天井に取り付けられるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る天井用レール連結具および天井用レールを相互に分離して斜め上方から見た状態を示す分離斜視図である。
【
図2】
図1に示した天井用レール連結具および天井用レールを連結し、天井に取り付ける直前の形態を斜め上方から見た状態で示す一部工程斜視図である。
【
図3】
図2に示した天井用レール連結具および天井用レールの連結状態を連結方向から拡大して見た端面を模式的に示して説明する模式連結図であって、連結前の天井用レール連結具の拡大端面と、矢印で示す連結後の天井用レール連結具および天井用レールの拡大端面と、を示す一部工程拡大端面図である。
【
図4】
図2に示した天井用レール連結具および天井用レールを天井の設置溝に固定する直前の工程で貫通穴に固定部材を嵌め込んだ状態を天井に位置する設置溝に向かい合わせて模式的に示す一部工程拡大模式断面図である。
【
図5】
図4に示した天井用レール連結具および天井用レールを天井の設置溝に取り付けて構築した天井用レール構造体の断面を模式的に示す拡大模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面(
図1ないし
図5)を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1(
図1~
図3)]
図1ないし
図3を参照して、本発明の実施の形態1に係る天井用レール連結具1、天井用レール3について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る天井用レール連結具1および天井用レール3を相互に分離して斜め上方から見た状態を示す分離斜視図である。
図2は、
図1に示した天井用レール連結具1および天井用レール3を連結し、天井CL(実施の形態2参照)に取り付ける直前の形態を斜め上方から見た状態で示す一部工程斜視図である。
図3は、
図2に示した天井用レール連結具1および天井用レール3の連結状態を連結方向から拡大して見た端面を模式的に示して説明する模式連結図であって、連結前の天井用レール連結具1の拡大端面と、矢印で示す連結後の天井用レール連結具1および天井用レール3の拡大端面と、を示す一部工程拡大模式端面図である。
【0011】
本実施の形態に係る天井用レール連結具1は、天井CLに向き合う底部20と底部20の両側で下垂する一対の側部22とを有して天井CLに固定される2本の天井用レール3を相互に連結する。
天井用レール連結具1は、連結方向DTに長く天井CLに固定される天井対向部10と、連結方向DTと交差する幅方向DWで天井対向部10の両端から下垂し、側部22を挟み込む一対の下垂挟持部14と、を備え、天井対向部10は、連結方向DTの両端の近くに天井CLに固定される固定部材30が通る貫通穴12を備え、下垂挟持部14は、天井用レール3を挟む側へ凸状に曲がった屈曲部16を有する弾性体である。
貫通穴12は、連結方向DTに長い角丸長方形であることが好ましい。これにより、貫通穴12に対する固定部材30の位置決めが容易になり、天井用レール3および天井用レール連結具1を固定する固定部材30を容易に活用しやすくなる。
【0012】
天井用レール連結具1は、天井CLに固定された天井対向部10から下垂した一対の下垂挟持部14で天井用レール3を挟み込む。下垂挟持部14は、天井用レール3を挟む側に凸状の屈曲部16を有する弾性体であるので、天井用レール3の側部22を弾性体の屈曲部16を利用して強く挟持しやすい。
このため、2つの天井用レール3は、天井用レール連結具1に挟持され、互いに連結され、段差のない状態で確実に保持される。
また、天井用レール連結具1は、固定部材30が通る貫通穴12を備えるので、天井CLに固定される固定部材30は、天井用レール3および貫通穴12を介して天井CLに固定される(
図5参照)。つまり、天井用レール連結具1は、簡単な構造でありながら、高い強度を確保した状態で天井用レール3を連結し、天井CLに固定しやすい。
すなわち、天井用レール連結具1は、一対の天井用レール3を連結方向DTで容易に連結しやすいので、一対の天井用レール3は、搬送時に長さ制限を受けて所定の長さに制限されたときでも、設置現場の天井CLに連結して設置される。つまり、天井用レール連結具1は、天井用レール3の搬送時における長さ制限による影響を回避できる。
【0013】
天井用レール連結具1において、下垂挟持部14は、側部22が有する下垂高さHDの半分より大きい挟持高さHHを有する。下垂高さHDは、下垂方向DDでの側部22の高さ寸法である。挟持高さHHは、下垂方向DDでの下垂挟持部14の高さ寸法である。
下垂挟持部14は、天井用レール3の側部22が有する下垂高さHDの半分より大きい挟持高さHHを有するので、天井用レール3の側部22の半分以上の位置を確実に挟み込みやすい。したがって、天井用レール連結具1は、より確実に天井用レール3を保持して連結しやすい。
下垂挟持部14は、天井対向部10と一体の金属製であり、下垂挟持部14の板厚Thは、約0.3mmから約0.5mmまでである。金属がステンレスの場合、特には0.4mm以下が好ましい。
下垂挟持部14は、天井対向部10と一体の金属製であり、板厚Thが約0.3mmから約0.5mmまでであるので、弾性と強度を確保しやすい。
図3の上半分において、天井用レール3と連結される前の天井用レール連結具1は、実線で示され、同図において示される破線は、天井用レール3が嵌め込まれたときの弾性による変形状態を示す。変形の大きさによって、嵌め込まれた天井用レール3は強く挟持される。
下垂挟持部14(屈曲部16)における弾性および強度の確保は、金属製および板厚Thを特定することで比較的容易に実現される。更に具体的には、下垂挟持部14(天井用レール連結具1)は、ステンレス製であることが好ましい。
屈曲部16は、下垂方向DDで下垂挟持部14の略中央に位置する。屈曲部16は、下垂方向DDで下垂挟持部14(挟持高さHH)の略中央に位置するから、天井用レール3の側部22に対する挟み込みの強度を容易に確保しやすい。
【0014】
本実施の形態に係る天井用レール3は、連結方向DTにおいて天井用レール連結具1で相互に連結され天井CLに設置される(
図5参照)。
天井用レール3は、天井CLに向き合う底部20と底部20の両側で下垂する一対の側部22とを備え、天井用レール連結具1は、本実施の形態に記載したとおりである。
天井用レール3は、相互に連結されて延長されるので搬送時の長さ制限による搬送の困難性を解消できる。このため、天井用レール3は、適用範囲が拡大され容易に設置しやすくなるので、使用時の利便性を拡大しやすい。
本実施の形態で例示する天井用レール3は、一対の側部22の下端に吊下げ物を誘導する一対の誘導曲げ部24を備え、誘導曲げ部24は、側部22から内側に向けて相互に向き合う形状を有する。向かい合う一対の誘導曲げ部24は、下方から挿入された被吊下げ物(不図示)を保持して吊下げ状態での移動を可能にし、天井用レール3をレールとして機能させる。
また、天井用レール3は、底部20の幅方向DWの中央に位置決め用の位置決め凹部26を有する。これにより、固定部材30は、容易に貫通穴12に対して位置決めされる。
【0015】
[実施の形態2(
図4、
図5)]
本実施の形態は、実施の形態1に係る天井用レール連結具1および天井用レール3を適用した天井用レール構造体5に関する。したがって、同一部分については同一符号を付して適宜説明を省略する。
図4および
図5を参照して、本発明の実施の形態2に係る天井用レール構造体5および天井用レール取り付け方法について説明する。
図4は、
図2に示した天井用レール連結具1および天井用レール3を天井CLの設置溝32に固定する直前の工程で貫通穴12に固定部材30を嵌め込んだ状態を天井CLに位置する設置溝32に向かい合わせて模式的に示す一部工程拡大模式断面図である。
図5は、
図4に示した天井用レール連結具1および天井用レール3を天井CLの設置溝32に取り付けて構築した天井用レール構造体5の断面を模式的に示す拡大模式断面図である。
【0016】
本実施の形態に係る天井用レール構造体5は、天井CLに固定され、相互に連結された2つの天井用レール3を備える。2つの天井用レール3は、天井用レール連結具1により連結されてあり、図では一方の天井用レール3のみが端面を模式的に示される。
本実施の形態における天井用レール連結具1および天井用レール3は、実施の形態1に記載の天井用レール連結具1および天井用レール3である。
天井用レール構造体5は、天井用レール3と天井用レール連結具1とを適用して相互に連結され、天井CLに固定されて取り付けられる。これにより、天井用レール3は、搬送時の長さ制限を回避しやすく、天井CLへの適用性が向上する。つまり、天井用レール構造体5は、搬送上の長さ制限による搬送困難という課題を回避した天井用レール3を容易に天井CLに適用できる。
天井用レール3は、幅方向DWの中央にある位置決め凹部26(
図3参照)を貫通して天井用レール連結具1の貫通穴12を通過する固定部材30によって天井CL(設置溝32)に固定される。
【0017】
設置溝32について、更に説明する。
設置溝32の溝幅WGは、天井用レール3のレール幅WRより大きく、レール幅WRと溝幅WGの隙間は、天井用レール連結具1の板厚Thと屈曲部16の曲がりの弾性で圧着されることが好ましい。なお、天井用レール連結具1は、実施の形態1のとおりの板厚Thが好ましい。したがって、溝幅WGは、レール幅WR+板厚Thの数値から設定されることが好ましい。
設置溝32の溝高さHGは、下垂高さHD(
図3参照)+板厚Th(
図3参照)-突出高さHP(
図5)となる。
天井用レール連結具1および天井用レール3は、貫通穴12を通過して天井CLに固定される固定部材30によって天井CLに固定される。固定部材30は、例えば皿ネジが適用される。
【0018】
天井用レール構造体5において、2つの天井用レール3は、天井CLに位置する設置溝32に位置することが好ましい。これにより、天井用レール3は、設置溝32に収容されるので、側部22の天井CLからの頭出し部28(突出量:突出高さHP)を調整しやすく、外観を整えて安全性を確保しやすい。
天井用レール連結具1は、設置溝32の内部に収容され、天井用レール3は、設置溝32から頭出し部28を多少突出させて位置することが好ましい。
設置溝32と天井用レール3との間は、天井用レール連結具1によって下垂挟持部14が側部22に圧接された状態となる。つまり、天井CLに対して、天井用レール連結具1(天井対向部10)、天井用レール3(底部20)を配置し、下方から、天井用レール3(底部20)および天井用レール連結具1(天井対向部10が有する貫通穴12)を貫通する固定部材30を設置溝32に固定するので、天井用レール3は、天井用レール連結具1を介して天井CL(設置溝32)に固定される。
なお、天井用レール構造体5は、設置溝32のない天井CLに取り付けても良い。このときは、天井用レール構造体5の外形は、外部からそのまま認識される。
【0019】
本実施の形態に係る天井用レール取り付け方法は、天井用レール3が嵌め込まれて設置される設置溝32が形成された天井CLに天井用レール連結具1を介して相互に連結される2本の天井用レール3を取り付ける次の工程を備える。
天井用レール取り付け方法において、天井用レール3は、実施の形態1に記載の天井用レール3であり、天井用レール連結具1は、実施の形態1に記載の天井用レール連結具1であって、2本の天井用レール3を突き合わせて天井用レール連結具1に嵌め合わせる工程と、連結された2本の天井用レール3と、天井用レール連結具1とを設置溝32に嵌め込む工程と、設置溝32に嵌め込まれた天井用レール3(位置決め凹部26)と天井用レール連結具1が有する貫通穴12とに固定部材30を貫通させて、天井CLに固定部材30を固定して天井用レール3を設置溝32に固定する工程と、を備える。
上記したとおり、天井用レール取り付け方法によれば、簡潔化された天井用レール3、天井用レール連結具1を適用して、簡潔な工程によって、所望の強度を確保しやすい天井用レール取り付け方法を実現でき、工程を簡略化しやすい。つまり、天井用レール取り付け方法は、天井用レール3に天井用レール連結具1を適用することで、天井用レール3に対する長さによる制限を回避して天井用レール3を容易に天井CLに取り付けられる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る天井用レール連結具、天井用レール、天井用レール構造体、および天井用レール取り付け方法は、天井用レールの連結方向での連結を容易にする。このため、天井用レールの搬送上の長さ制限による搬送の困難性による課題を回避して天井用レールの設置現場での作業性を向上するので産業上有効に利用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 天井用レール連結具
3 天井用レール
5 天井用レール構造体
10 天井対向部
12 貫通穴
14 下垂挟持部
16 屈曲部
20 底部
22 側部
24 誘導曲げ部
26 位置決め凹部
28 頭出し部
30 固定部材
32 設置溝
CL 天井
DD 下垂方向
DT 連結方向
DW 幅方向
HD 下垂高さ
HG 溝高さ
HH 挟持高さ
HP 突出高さ
Th 板厚
WG 溝幅
WR レール幅