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特開2022-144283ガラス板の製造方法、原板工程装置、加工工程装置、ガラス板製造システムおよび情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144283
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ガラス板の製造方法、原板工程装置、加工工程装置、ガラス板製造システムおよび情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/20 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65B61/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045208
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山本 正善
(72)【発明者】
【氏名】久良木 正福
(72)【発明者】
【氏名】大橋 寿美
(72)【発明者】
【氏名】吉野 敬一
(72)【発明者】
【氏名】松山 英行
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 直樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 翔
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA20
3E056BA06
3E056CA15
3E056DA05
3E056EA01
3E056FE20
3E056GA01
(57)【要約】
【課題】ガラス原板と原板データとを簡易に対応付ける。
【解決手段】ガラス板の製造方法は、パレット(14)に積載されたガラス原板(G)の各々について、ガラス原板の加工に関する原板データを、積載順と対応付けるとともに、既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに代表原板識別情報を関連付けて記憶装置(30、51、61)に格納する格納ステップ(S102、S104、S107)と、代表原板識別情報を情報記録媒体(15)に出力する情報出力ステップ(S108)と、情報記録媒体から、代表原板識別情報を読み取る読取ステップ(S112)と、記憶装置に格納されている原板データのうち、読み取られた代表原板識別情報で識別される代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する積載順が対応付けられた所定個の原板データを、記憶装置から取得する取得ステップ(S113)と、を含むガラス板の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程と、前記パレットに積載されたガラス原板の各々を取り出して加工することによりガラス板を製造する加工工程とを含む、ガラス板の製造方法であって、
前記原板工程は、
前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けるとともに、前記パレットにおける既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を関連付けて記憶装置に格納する処理を、前記パレットごとに行う、格納ステップと、
前記代表原板識別情報を情報記録媒体に出力する処理を、前記パレットごとに行う、情報出力ステップとを含み、
前記加工工程は、
前記情報記録媒体の各々から、前記代表原板識別情報を読み取る読取ステップと、
前記記憶装置に格納されている原板データのうち、読み取られた前記代表原板識別情報で識別される前記代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データを、前記記憶装置から取得する処理を、前記パレットごとに行う、取得ステップと、を含むガラス板の製造方法。
【請求項2】
前記代表ガラス原板は、前記パレットにおける前記積載順が最後である最終ガラス原板であり、
前記取得ステップでは、前記最終ガラス原板の原板データを起点として、降順に連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データが前記記憶装置から取得される、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
【請求項3】
前記加工工程は、
前記取得ステップにて取得された前記所定個の原板データを、対応付けられている前記積載順とは逆順に、前記ガラス原板を加工する装置へ出力する、データ出力ステップをさらに含む、請求項2に記載のガラス板の製造方法。
【請求項4】
前記情報記録媒体は、前記代表ガラス原板が積載された前記パレットと同梱されるものであり、
前記情報出力ステップでは、前記代表原板識別情報が埋め込まれた情報コードが印字された前記情報記録媒体が出力される、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項5】
前記格納ステップでは、さらに、前記パレットに積載されたガラス原板の枚数を、前記代表原板識別情報に対応付けて前記記憶装置に格納し、
前記取得ステップでは、前記代表原板識別情報に対応付けられた前記枚数を前記所定個として前記原板データを取得する、請求項1から4のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項6】
前記原板工程は、
前記ガラス原板の積載数が上限値に満たない前記パレットについて、前記パレットを識別するためのパレット識別情報と、前記積載数を示す情報とを対応付けて原板工程記憶装置に格納する原板工程記録ステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項7】
前記加工工程は、
前記パレットを識別するためのパレット識別情報と、前記パレットから取り出された前記ガラス原板の枚数を示す情報を対応付けて加工工程記憶装置に格納する加工工程記録ステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項8】
複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程を制御する原板工程装置であって、
前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けるとともに、前記パレットにおける既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を関連付けて記憶装置に格納する処理を、前記パレットごとに行う、データ管理部と、
前記代表原板識別情報を情報記録媒体に出力する処理を、前記パレットごとに行う、出力制御部と、を備える原板工程装置。
【請求項9】
パレットに積載されたガラス原板の各々を取り出して加工する加工工程を制御する加工工程装置であって、
前記パレットに積載された前記ガラス原板のうち、既定の積載順に位置する代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を、該代表原板識別情報を保持する情報記録媒体から読み取る処理を、前記パレットに対応付けられた前記情報記録媒体ごとに行う、識別情報読取部と、
前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けて記憶するとともに、前記代表ガラス原板の原板データに前記代表原板識別情報を関連付けて記憶する記憶装置から、読み取られた前記代表原板識別情報で識別される前記代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データを取得する処理を、前記パレットごとに行う、データ取得部と、を備える加工工程装置。
【請求項10】
複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程を制御する原板工程装置と、
前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々を取り出して加工する加工工程を制御する加工工程装置とを含み、
前記原板工程装置は、
前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けるとともに、前記パレットにおける既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を関連付けて記憶装置に格納する処理を、前記パレットごとに行う、データ管理部と、
前記代表原板識別情報を情報記録媒体に出力する処理を、前記パレットごとに行う、出力制御部と、を備え、
前記加工工程装置は、
前記情報記録媒体の各々から、前記代表原板識別情報を読み取る識別情報読取部と、
前記記憶装置に格納されている原板データのうち、読み取られた前記代表原板識別情報で識別される前記代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データを、前記記憶装置から取得する処理を、前記パレットごとに行う、データ取得部と、を備える、ガラス板製造システム。
【請求項11】
請求項8に記載の原板工程装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記データ管理部および前記出力制御部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載の加工工程装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記識別情報読取部および前記データ取得部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラス板の製造においては、疵、異物、うねりなどの凹凸が少なく平坦な表面を有する製品を製造することが求められる。凹凸の少なさは、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板の製造においては特に強く求められる。上述に示すような各種ガラス板は、溶融炉で溶融された溶融ガラスを帯状のガラスリボンに成形し、このガラスリボンを十分に冷却した後に所定寸法に切断することにより製作される場合が多い。ここで、ガラスリボンの成形には、フロート法の他、オーバーフローダウンドロー法(フュージョン法)やスロットダウンドロー法などのダウンドロー法などが一般的に利用されている。
【0003】
そして、上述のような過程を経てガラスリボンから成形されたガラス原板(大型ディスプレイ用の大判のガラス基板および小さなガラス基板が多面取りされるマザーガラス基板などを含む)は、例えば、特許文献1に開示されているような検査装置によって、表面の凹凸などガラス原板の特徴を検査する検査工程に送られる。検査工程を経たガラス原板は、梱包工程に送られる。梱包工程では、例えば、特許文献2に開示されているように、複数枚のガラス原板と保護シートとが交互に積層されてパレット上に載置されることにより梱包体が構成される。パレットおよび複数枚のガラス原板で構成された梱包体は、ガラス原板を加工する加工工場に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-236771号公報
【特許文献2】特開2020-75752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、加工工程を実施する加工工場などでは、加工に関する原板データが参照される。例えば、原板データは、ガラス原板からのガラス板の切り出し方を特定する情報などが含まれており、ガラス原板から適正かつ効率よくガラス基板などの製品を切り出すために参照される。例えば、上述の検査工程で得られた検査結果に基づいて、個々のガラス原板について、原板データが作成される。そして、加工工程において、加工対象となっているガラス原板に対応する原板データを読み出す。
【0006】
ガラス原板に対応する原板データを読み出すための方法として、例えば、個々のガラス原板に個体識別情報を添付して、ガラス原板を識別することが考えられる。しかし、ガラス原板の1つ1つに個体識別情報を添付するために、多大な労力およびコストがかかると考えられる。したがって、ガラス原板と原板データとの対応付けを、より少ない労力およびコストにて、簡易に実現する方法等が求められる。
【0007】
本発明の一態様は、ガラス原板と原板データとを簡易に対応付ける方法、システム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る製造方法は、複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程と、前記パレットに積載されたガラス原板の各々を取り出して加工することによりガラス板を製造する加工工程とを含む、ガラス板の製造方法であって、前記原板工程は、前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けるとともに、前記パレットにおける既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を関連付けて記憶装置に格納する処理を、前記パレットごとに行う、格納ステップと、前記代表原板識別情報を情報記録媒体に出力する処理を、前記パレットごとに行う、情報出力ステップとを含み、前記加工工程は、前記情報記録媒体の各々から、前記代表原板識別情報を読み取る読取ステップと、前記記憶装置に格納されている原板データのうち、読み取られた前記代表原板識別情報で識別される前記代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データを、前記記憶装置から取得する処理を、前記パレットごとに行う、取得ステップと、を含む。
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る原板工程装置は、複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程を制御する原板工程装置であって、前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けるとともに、前記パレットにおける既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を関連付けて記憶装置に格納する処理を、前記パレットごとに行う、データ管理部と、前記代表原板識別情報を情報記録媒体に出力する処理を、前記パレットごとに行う、出力制御部と、を備える。
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加工工程装置は、パレットに積載されたガラス原板の各々を取り出して加工する加工工程を制御する加工工程装置であって、前記パレットに積載された前記ガラス原板のうち、既定の積載順に位置する代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を、該代表原板識別情報を保持する情報記録媒体から読み取る処理を、前記パレットに対応付けられた前記情報記録媒体ごとに行う、識別情報読取部と、前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けて記憶するとともに、前記代表ガラス原板の原板データに前記代表原板識別情報を関連付けて記憶する記憶装置から、読み取られた前記代表原板識別情報で識別される前記代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データを取得する処理を、前記パレットごとに行う、データ取得部と、を備える。
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係るガラス板製造システムは、複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程を制御する原板工程装置と、前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々を取り出して加工する加工工程を制御する加工工程装置とを含み、前記原板工程装置は、前記パレットに積載された前記ガラス原板の各々について、前記ガラス原板の加工に関する原板データを、前記パレットにおける前記ガラス原板の積載順と対応付けるとともに、前記パレットにおける既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表原板識別情報を関連付けて記憶装置に格納する処理を、前記パレットごとに行う、データ管理部と、前記代表原板識別情報を情報記録媒体に出力する処理を、前記パレットごとに行う、出力制御部と、を備え、前記加工工程装置は、前記情報記録媒体の各々から、前記代表原板識別情報を読み取る識別情報読取部と、前記記憶装置に格納されている原板データのうち、読み取られた前記代表原板識別情報で識別される前記代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する前記積載順が対応付けられた所定個の原板データを、前記記憶装置から取得する処理を、前記パレットごとに行う、データ取得部と、を備える。
【0012】
本発明の各態様に係る原板工程装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記原板工程装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記原板工程装置をコンピュータにて実現させる原板工程装置の情報処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0013】
本発明の各態様に係る加工工程装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記加工工程装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記加工工程装置をコンピュータにて実現させる加工工程装置の情報処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、ガラス原板と原板データとを簡易に対応付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るガラス板製造システムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る原板工程装置10の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る加工工程装置20の要部構成を示すブロック図である。
図4】パレット14に対応付けられる情報記録媒体15が保持する情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】記憶装置に記憶される原板管理データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図6】ガラス板製造システム100によって実行されるガラス板の製造方法の処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】積載中断情報512のデータ構造の一例を示す図である。
図8】加工中断情報612のデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態1〕
<ガラス板製造システム>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るガラス板製造システムの概要を示す図である。ガラス板製造システム100は、ガラス原板を加工することによりガラス板を製造するシステムである。ガラス板製造システム100において実施されるガラス板の製造方法は、原板工程と加工工程とに大別される。原板工程では、複数のガラス原板が製造され、製造されたガラス原板がパレットに積載されて、出荷される。原板工程は、例えば、ガラス原板製造工場にて実施されてもよい。加工工程では、パレットに積載されたガラス原板の各々が取り出され、加工されて、ガラス板が製造される。加工工程は、例えば、ガラス板製造工場にて実施されてもよい。ガラス原板製造工場およびガラス板製造工場の立地には、特に制限がない。一例として、ガラス原板製造工場は第一国にあり、ガラス板製造工場は第一国とは異なる国である第二国にあってもよい。
【0017】
(原板工程の各設備について)
ガラス板製造システム100は、例えば、原板工程を担う設備として、原板工程装置10、原板製造設備11、検査装置12および積載機13を含む。本実施形態では、一例として、リンクサーバとしての原板工程装置10と、検査装置12および積載機13とは、不図示の通信ネットワークを介して通信できるように、有線または無線にて接続されている。不図示の通信ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)でもあってもよい。
【0018】
原板製造設備11は、溶融ガラスからガラス原板を製造する装置であって、原板工程のうちの、例えば、成形工程、徐冷工程、採板工程を実施する。原板製造設備11は、例えば、成形炉111と、徐冷炉112と、冷却室113と、切断室114と、を備える。図1に示す原板製造設備11は、ダウンドロー法によりガラス原板を成形するものであるが、ガラス原板の成形方法は特に限定されない。例えば、フロートバスにおいてガラス原板を成形するフロート法が用いられてもよい。原板製造設備11によれば、例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板、ウェハーサポート用のガラス基板、及び固体撮像素子のカバーガラス用のガラス基板等の電子機器、並びに、映像機器に用いるガラス製品を製造することも可能である。
【0019】
成形炉111は、供給された溶融ガラスを帯状に成形する。成形炉111で帯状に成形されたガラスは、成形炉111の鉛直下方に位置する徐冷炉112に搬送される。以下では、成形炉111において帯状に成形されてから切断されるまでの製造途中のガラスを帯状ガラスG1と呼ぶ。徐冷炉112は、成形炉111において帯状ガラスG1を徐冷する。徐冷炉112には、複数のローラ221が設けられている。
【0020】
ローラ221は、帯状ガラスG1を挟み込むように対で配置されている。図1の例では、帯状ガラスG1の搬送方向(+Y方向)に沿って4対のローラ221が配置されている。なお、図1では帯状ガラスG1の手前側のローラ221のみを図示し奥側のものは図示していない。ローラ221は、帯状ガラスG1を挟持し、表面張力等で帯状ガラスG1が幅方向(±X軸方向)に収縮しないように引っ張りつつ、鉛直下方向(+Y軸方向)に帯状ガラスG1を搬送する。また、図1では図示を省略しているが、徐冷炉112にはヒータが設けられており、ヒータで帯状ガラスG1を加温しながら徐冷する構成となっている。
【0021】
徐冷炉112で徐冷された帯状ガラスG1は冷却室113に搬送され、所定の温度域まで冷却される。そして、所定の温度域まで冷却された帯状ガラスG1は切断室114に搬送され、所定寸法に切断され、板状のガラスとして採り出される。以下では、所定寸法に採板されたガラスをガラス原板Gと呼ぶ。
【0022】
検査装置12は、採り出された個々のガラス原板Gの品質を検査するための装置であって、原板工程のうちの検査工程を実施する。検査装置12は、例えば、ガラス原板Gの表面の凹凸の有無を確認し、凹凸が検出された位置を特定する突起検査装置であってもよい。本実施形態において、検査装置12は、検査工程を実施して、個々のガラス原板Gの加工に関する原板データを生成する。原板データは、例えば、突起検査の結果を示す検査結果データであってもよい。検査結果データは、例えば、検査対象のガラス原板Gについて、凹凸の有無を示す判定情報と、凹凸が検出された場合に、ガラス原板G上の該凹凸の位置を示す位置情報とを含む。本実施形態では、検査装置12は、ガラス原板Gごと生成した原板データ、すなわち、検査結果データを、ガラス原板Gに一意に付与されるガラス番号を関連付けて、原板工程装置10に送信する。
【0023】
他の例では、検査装置12は、検査の結果得られた上述の判定情報と位置情報とに基づいて決定された切断位置を示す切断位置データを原板データとして生成してもよい。切断位置データは、例えば、ガラス原板G上の凹凸を避けて、かつ、無駄が少なくなるようにガラス板を切り出す切断位置を含む。検査装置12は、切断位置データを原板データとして、ガラス番号に関連付けて、原板工程装置10に送信してもよい。また、検査装置12は、必要に応じて、帯状ガラスG1の左右端に相当する、ガラス原板Gの耳を切り落とす耳落とし工程を実施してもよい。
【0024】
積載機13は、複数のガラス原板Gを積載するパレット14にガラス原板Gを積載する装置であり、原板工程のうちの、積載工程を実施する。積載機13は、必要に応じて、帯状ガラスG1の左右端に相当する、ガラス原板Gの耳を切り落とす耳落とし工程を実施してもよい。
【0025】
積載機13は、検査装置12から搬出されたガラス原板Gをパレット14に積載する。本実施形態では、個々のガラス原板Gは、検査装置12により検査された順序通りに、積載機13によりパレット14に積載されるものとする。例えば、ガラス原板Gは、原板製造設備11にて採板された順序にて、検査装置12により検査され、搬出され、そして、積載機13によりパレット14に積載されるものとする。
【0026】
積載機13は、パレット14に対して予め定められている積載上限枚数(以下、満数)のガラス原板Gを必ず1つのパレット14に積載するように構成されていてもよい。例えば、積載機13は、1つのパレット14に、常に、100枚のガラス原板Gを積載するように構成されていてもよい。
【0027】
パレット14と、パレット14に積載された満数のガラス原板群Gsは、梱包および出荷工程において、1つの梱包体として梱包され出荷される。本実施形態では、1つの梱包体には、パレット14に積載されたガラス原板群Gsに関する情報を読み出すための情報コードを保持する情報記録媒体15が同梱される。情報記録媒体15が同梱された梱包体は、加工工程を担うガラス板製造工場に輸送される。1つのガラス原板製造工場から1つのガラス板製造工場へは、複数のパレット14が輸送されてもよい。情報コードは、原板工程装置10によって、出荷されるパレット14ごとに、情報記録媒体15に出力される。情報記録媒体15に出力される情報コードおよび該情報コードによって取得できるガラス原板群Gsに関する情報の詳細は後に述べる。また、不図示パレット14及びガラス原板群Gsを袋で覆ってこれらをガラス板製造工場へ輸送してもよい。
【0028】
原板工程装置10は、複数のガラス原板をパレットに積載する原板工程を制御する情報処理装置である。具体的には、原板工程装置10は、パレット14に積載されたガラス原板群Gsに関する情報を管理する。原板工程装置10は、例えば、データリンクサーバであってもよい。しかし、原板工程装置10は、原板工程装置10が担う後述する各種の情報処理を実行可能な装置であればよく、この例に限られない。原板工程装置10は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末等であってもよい。
【0029】
原板工程装置10によって処理されたガラス原板群Gsに関する情報は、パレットごとに集積されて、原板管理データベース(以下、原板管理DB)として、ガラス板製造システム100において参照される。原板管理DBは、原板工程装置10がローカルで保持する記憶部(記憶装置、原板工程記憶装置)に記憶されていてもよいし、原板工程装置10と後述する加工工程装置20とによって共有される、クラウドサーバなどの外部の記憶装置30(記憶装置)に記憶されてもよい。また、原板管理DBは、原板工程装置10から、インターネットなどの広域ネットワークNWを介して、加工工程装置20に送信され、加工工程装置20がローカルで保持する記憶部(記憶装置、加工工程記憶装置)に記憶されていてもよい。以下では、原板管理DBを記憶する記憶装置として、原板工程装置10の記憶部、記憶装置30および加工工程装置20の記憶部のいずれかを区別する必要がない場合には、これらをまとめて記憶装置と称する。
【0030】
(加工工程の各設備について)
ガラス板製造システム100は、例えば、加工工程を担う設備として、加工工程装置20、読取機21および加工機22を含む。本実施形態では、一例として、サーバとしての加工工程装置20と、読取機21および加工機22とは、有線または無線にて通信可能に接続されている。通信は、例えば、LAN(Local Area Network)などの不図示の通信ネットワークを介して行われてもよいし、近距離無線通信手段を介して行われてもよい。
【0031】
読取機21は、梱包体に同梱されている情報記録媒体15から情報コードを読み取る装置である。読取機21は、情報記録媒体15が情報コードを保持する形態に応じて適宜に構成され得る。一例として、情報記録媒体15が、印刷用紙であって、情報コードが該印刷用紙に印刷されたバーコードまたは2次元コードなどである場合、読取機21は、バーコードリーダまたは2次元コードリーダとして構成される。情報記録媒体15が、RFタグ、ICタグなどと呼ばれる電子タグである場合、読取機21は、電子タグに埋め込まれた情報コードを読み取る電子タグリーダとして構成される。読取機21は、情報記録媒体15から読み取った情報コードを、加工工程装置20に送信する。なお、読取機21は、情報コードの読み取りを専用とする装置であってもよく、他にも、スマートフォンのような複数の機能を有する携帯通信端末であってもよい。
【0032】
加工工程装置20は、パレット14に積載されたガラス原板Gの各々を取り出して加工する加工工程を制御する情報処理装置である。具体的には、加工工程装置20は、ガラス原板Gを加工するために必要な、パレット14に積載されたガラス原板群Gsに関する情報を取得し、加工機22に供給する。加工工程装置20は、例えば、サーバであってもよい。しかし、加工工程装置20は、加工工程装置20が担う後述する各種の情報処理を実行可能な装置であればよく、この例に限られない。加工工程装置20は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末等であってもよい。
【0033】
加工工程装置20は、読取機21を介して取得した情報コードに基づいて、パレット14に積載されたガラス原板群Gsに関する情報を、原板管理DBから取得する。情報コードは、原板管理DBに含まれているガラス原板群Gsに関する情報のうち、パレット14に積載されたガラス原板群Gsに関する情報を特定するための情報を含んでいる。ガラス原板群Gsに関する情報には、例えば、上述の個々のガラス原板Gの原板データが含まれていてもよい。
【0034】
加工機22は、パレット14からガラス原板Gを1枚1枚取り出して、ガラス原板Gを加工する装置である。加工機22は、例えば、ガラス原板Gの所定位置から所定サイズのガラスを切り出して、製品としてのガラス板を製造する切断機を含んでいる。加工機22は、パレット14に積載されたガラス原板群Gsに関する情報を加工工程装置20から受信し、該情報にしたがって、個々のガラス原板Gを加工する。例えば、加工機22は、ガラス原板Gの原板データにしたがって、該ガラス原板Gを切断し、ガラス板を製造する。
【0035】
<原板工程装置の構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る原板工程装置10の要部構成を示すブロック図である。原板工程装置10は、一例として、制御部50、記憶部51、通信部52および出力部53を備えている。
【0036】
制御部50は、原板工程装置10の各部を統括して制御する。制御部50は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの制御装置により構成されてもよい。
【0037】
一例として、制御部50は、データ管理部71および出力制御部72を含む。これらの制御部50の各部は、CPUなどの制御装置が、ROM(read only memory)などで実現された記憶装置(例えば、記憶部51)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。
【0038】
記憶部51(記憶装置、原板工程記憶装置)は、制御部50が情報を処理するために使用するデータおよび制御部50が処理したデータを記憶するための記憶装置である。一例として、記憶部51は、上述の原板管理DBを記憶していてもよい。以下では、原板管理DBを原板管理DB511と称する。原板管理DB511のデータ構造について後に詳述する。本実施形態では、記憶部51において、積載中断情報512は省略されてもよい。
【0039】
通信部52は、通信ネットワークを介して他の装置と通信する。例えば、通信部52は、LANなどの工場内の通信ネットワークを介して、検査装置12および積載機13と通信してもよい。例えば、通信部52は、インターネットなどの広域の通信ネットワークNWを介して、記憶装置30にアクセスしたり、加工工程装置20と通信したりしてもよい。
【0040】
出力部53は、制御部50が処理したデータを外部に出力する。本実施形態では、特に、出力部53は、制御部50が生成した情報コードを情報記録媒体15に出力する。出力部53は、情報記録媒体15が情報コードを保持する形態に応じて適宜に構成され得る。一例として、情報記録媒体15が印刷用紙である場合、出力部53は、バーコードまたは2次元コードなどの情報コードを該印刷用紙に印刷するための印刷装置として構成される。情報記録媒体15が電子タグである場合、出力部53は、電子タグに情報コードを書き込む電子タグライタとして構成される。
【0041】
データ管理部71は、原板管理DB511を管理するものであり、特に、原板管理DB511にガラス原板Gの原板データを登録する処理を実行する。具体的には、データ管理部71は、パレット14に積載されたガラス原板Gの各々についての原板データを、パレット14におけるガラス原板Gの積載順と対応付ける。また、データ管理部71は、パレット14における既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表ガラス番号(代表原板識別情報)を関連付けて記憶装置に格納する処理を実行する。具体的には、データ管理部71は、記憶部51、記憶装置30および後述する加工工程装置20の記憶部61の少なくともいずれかの記憶装置に格納されている原板管理DB511に、代表ガラス原板の原板データを代表ガラス番号ととともに登録する。データ管理部71は、代表ガラス原板の原板データを代表ガラス番号ととともに記憶装置に格納する上述の処理を、出荷するパレット14ごとに実行してもよい。
【0042】
出力制御部72は、代表ガラス番号を情報記録媒体15に出力する処理を実行する。例えば、出力制御部72は、パレット14における既定の積載順に位置する代表ガラス番号を含む情報コードを情報記録媒体15に出力する。出力制御部72は、代表ガラス番号を情報記録媒体15に出力する上述の処理を、出荷するパレット14ごとに実行してもよい。
【0043】
データ管理部71は、パレット14に最後に積載された最終ガラス原板を代表ガラス原板として特定してもよい。つまり、代表ガラス原板は、パレット14における積載順が最後(例えば、100番目)である最終ガラス原板であってもよい。
【0044】
他の例では、データ管理部71は、パレット14に最初に積載された、つまり、積載順が1番目のガラス原板Gを代表ガラス原板として特定してもよい。さらに他の例では、データ管理部71は、積載順が、1番目から最終番目までの間の任意の位置(例えば、50番目など)のガラス原板Gを代表ガラス原板として特定してもよい。
【0045】
一例として、検査装置12は、1つのパレット14に積載する100枚のガラス原板Gを検査して、100個の原板データを生成する。検査装置12は、例えば、原板製造設備11にてガラス原板Gが製造された順に検査し、100枚分の100個の原板データを原板工程装置10に送信する。検査装置12は、1枚のガラス原板Gの検査が完了する度に、1つ原板データを原板工程装置10に順次送信してもよい。あるいは、検査装置12は、100個の原板データの各々に、それぞれのガラス原板Gの製造日時または製造順を示す情報を含むガラス番号を紐付けて、100個の原板データをまとめて原板工程装置10に送信してもよい。
【0046】
本実施形態では、一例として、ガラス番号は、製造年月日を表す数字と製造時刻を秒単位まで表す数字とを含む文字列で構成される。例えば、2021年1月15日の午後1時50分1秒に製造されたガラス原板Gには、「20210115_135001」というガラス番号が付与されてもよい。ガラス番号は、製造年月日を表す数字と製造時刻を表す数字との間に区切り文字を含んでいてもよい。
【0047】
例えば、通信部52が、積載機13から、100枚のガラス原板Gのパレット14への積載が完了した旨の通知を受信すると、データ管理部71は、検査装置12から受信した各ガラス原板Gの原板データに積載順を関連付けて、原板管理DB511に登録する。一例として、データ管理部71は、100枚分の原板データの製造順または検査順に一致するように、該原板データの積載順を関連付ける。具体的には、データ管理部71は、100個の原板データのうち、一番古い製造年月日および日時を示すガラス番号が紐付けられた原板データに、最初の積載順、すなわち、「1番目」を関連付ける。
【0048】
出力制御部72は、例えば、代表ガラス番号が埋め込まれた情報コードを、紙媒体としての情報記録媒体15に印字するように印刷装置である出力部53を制御してもよい。出力部53によって情報コードが印字された紙媒体の情報記録媒体15が出力される。この情報記録媒体15は、代表ガラス原板が積載されたパレット14に同梱されて1つの梱包体にまとめられてもよい。
【0049】
例えば、データ管理部71が、100個の原板データすべてについて積載順を関連付けて原板管理DB511に登録したとする。出力制御部72は、既定の積載順、例えば、「100番目」が関連付けられている代表ガラス原板の代表ガラス番号を、原板管理DB511から読み出す。出力制御部72は、読み出した代表ガラス番号が埋め込まれた2次元コードを紙などの情報記録媒体15に印字して出力する。出力された情報記録媒体15は、上述の100枚のガラス原板Gが積載されたパレット14に添付されるなどして、1つの梱包体にまとめられる。
【0050】
上述の構成によれば、前記パレットと同梱された情報記録媒体から情報コードを読み取ることにより、パレットを開梱してガラス原板を1枚1枚取り出すよりも前に、積載されたすべてのガラス原板の原板データをまとめて取得することができる。そのため、開梱後、ガラス原板を1枚1枚加工機22に投入するたびに、ガラス原板のガラス番号を読み取って、それから該ガラス原板の原板データを取得するという煩雑な工程を省略することが可能となる。
【0051】
<加工工程装置の構成>
図3は、本発明の一実施形態に係る加工工程装置20の要部構成を示すブロック図である。加工工程装置20は、一例として、制御部60、記憶部61、無線通信部62および通信部63を備えている。
【0052】
制御部60は、加工工程装置20の各部を統括して制御する。制御部60は、例えば、CPUまたは専用プロセッサなどの制御装置により構成されてもよい。
【0053】
一例として、制御部60は、読取制御部81(識別情報読取部)およびデータ取得部82を含む。本実施形態では、制御部60は、さらにデータ出力部83を含んでいてもよい。本実施形態では、制御部60において工程管理部84は省略されてもよい。これらの制御部60の各部は、CPUなどの制御装置が、ROMなどで実現された記憶装置(例えば、記憶部61)に記憶されているプログラムをRAMなどに読み出して実行することで実現できる。
【0054】
記憶部61(記憶装置、加工工程記憶装置)は、制御部60が情報を処理するために使用するデータおよび制御部60が処理したデータを記憶するための記憶装置である。一例として、記憶部61は、上述の原板管理DBを記憶していてもよい。以下では、記憶部61に記憶されている原板管理DBを原板管理DB611と称する。以下では、原板管理DBとして、記憶部51に記憶されているもの、記憶部61に記憶されているもの、および、記憶装置30に記憶されているもののいずれかを区別する必要がない場合には、これらに符号を付さずに単に原板管理DBと称する。
【0055】
原板管理DB611は、原板管理DB511に含まれるすべての原板データを含んでいてもよい。すなわち、原板管理DB611と原板管理DB511とは同一の原板管理DBを指していてもよい。あるいは、原板管理DB611は、原板管理DB511に含まれる原板データのうち、1回の輸送で到着した1つ以上のパレット14についての原板データを含んでいてもよい。すなわち、原板管理DB611は、原板管理DB511の部分集合であってもよい。原板管理DB611は、基本的に、原板管理DB511と同一のデータ構造を有する。該データ構造については後に詳述する。本実施形態では、記憶部61において、加工中断情報612は省略されてもよい。
【0056】
無線通信部62は、加工工程装置20から近距離にある他の装置と、または、工場内の通信ネットワークを介して他の装置と無線通信する。例えば、無線通信部62は、読取機21と無線通信してもよい。
【0057】
通信部63は、通信ネットワークを介して他の装置と通信する。例えば、通信部63は、LANなどの工場内の通信ネットワークを介して、加工機22と通信してもよい。通信部63は、無線通信部62に代わって、工場内の通信ネットワークを介して読取機21と通信してもよい。また、例えば、通信部63は、インターネットなどの広域の通信ネットワークNWを介して、記憶装置30にアクセスしたり、原板工程装置10と通信したりしてもよい。
【0058】
読取制御部81は、情報記録媒体15から情報コードに埋め込まれた代表ガラス番号を読み取る処理を実行する。例えば、読取制御部81は、パレット14に積載されたガラス原板Gのうち、既定の積載順(例えば、100番目)に位置する代表ガラス原板の代表ガラス番号を、情報記録媒体15から読み取る。具体的には、読取制御部81は、無線通信部62を介して読取機21によって読み取られた代表ガラス番号を取得してもよい。読取制御部81は、代表ガラス番号を情報記録媒体15から取得する上述の処理を、パレット14に対応付けられた情報記録媒体15ごとに実行してもよい。
【0059】
データ取得部82は、パレット14に積載されているガラス原板Gの各々の原板データを、原板管理DBを記憶する記憶装置から取得する。データ取得部82は、記憶装置に記憶されている原板管理DBのうち、代表ガラス番号を読み取ったパレット14に積載されている100枚分の原板データを取得することができる。原板管理DBには、パレット14におけるガラス原板Gの積載順と、ガラス原板Gの原板データとが対応付けて記憶されている。ここで、既定の積載順(100番目)に積載された代表ガラス原板の代表ガラス番号が読取制御部81により判明している。データ取得部82は、原板管理DBに登録されている原板データのうち、読み取られた代表ガラス番号で識別される代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する積載順が対応付けられた所定個の原板データを取得する処理を実行する。例えば、データ取得部82は、代表ガラス番号で特定される100番目が関連付けられている代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する積載順が関連付けられた原板データを原板管理DBから取得する。すなわち、データ取得部82は、100番目から連続する積載順が関連付けられた100個の原板データを原板管理DBから取得する。データ取得部82は、パレット単位で原板データを原板管理DBから取得する上述の処理を、輸送されたパレット14ごとに実行する。
【0060】
データ取得部82は、代表ガラス原板が、パレット14に最後に積載された最終ガラス原板である場合には、情報記録媒体15から読み取られた代表ガラス番号が関連付けられた最終ガラス原板の原板データを起点として、降順に連続する積載順が対応付けられた所定個の原板データを記憶装置から取得する。具体例を1つ挙げると、最終ガラス原板の積載順が100番目であれば、データ取得部82は、100番目、99番目、98番目、・・・、1番目の積載順が関連付けられた100個の原板データを記憶装置から取得する。
【0061】
上述の構成によれば、同一パレットに積載された各ガラス原板の原板データが、積載順が分かる状態で取得される。加工工程において、パレットに積載されたときの積載順とは逆順に取り出され、取り出された順に加工される場合においては、加工機22は、最終ガラス原板の原板データを先頭に、対応付けられている積載順とは逆順に各原板データを取得することができる。このようにすれば、加工する順番に原板データが参照されるので、簡易に、ガラス原板と原板データとを対応付けることができる。
【0062】
制御部60は、さらに、データ出力部83を含んでいてもよい。データ出力部83は、データ取得部82によって取得された、上述の所定個の原板データを、それぞれに対応付けられている積載順とは逆順にて、加工機22などのガラス原板を加工する装置へ出力する。
【0063】
上述の構成によれば、加工工程において、パレットに積載された各ガラス原板は、パレットに積載されたときの積載順とは逆順に取り出され、取り出された順に加工される場合において好適に用いられる。上述の構成によれば、パレットへの積載順とは逆順、すなわち、ガラス原板が、加工機22に投入される順に、原板データが加工機22に出力される。これにより、加工機22は、ガラス原板の各々を正しい原板データに基づいて加工することができる。
【0064】
<データ構造>
(情報記録媒体)
図4は、パレット14に対応付けられる情報記録媒体15が保持する情報のデータ構造の一例を示す図である。情報記録媒体15は、少なくとも、パレット14に既定の積載順にて積載された代表ガラス原板の代表ガラス番号を保持する。
【0065】
情報記録媒体15は、必要に応じて、さらに、パレット14に積載されたガラス原板群Gsが製造された工場を一意に特定する情報として、例えば、工場名を保持してもよい。さらに、情報記録媒体15は、上述の工場のうち、上述のガラス原板群Gsが製造されたラインを一意に特定する情報として、例えば、ライン名を保持してもよい。
【0066】
例えば、原板工程装置10の出力部53は、パレット14に対応付ける情報記録媒体15に対して、上述の工場名と、ライン名と、代表ガラス原板の代表ガラス番号とを埋め込んだ情報コードを印字する。上述の情報コードが印字された情報記録媒体15は、パレット14とともに1つの梱包体にまとめられて、出荷される。
【0067】
(原板管理DB)
図5は、記憶装置に記憶される原板管理DBのデータ構造の一例を示す図である。原板管理DBにおいて、1つのレコードは、1枚のガラス原板Gにつき作成され、登録される。レコード群P1は、1つのパレット、例えば、第1パレットに積載された100枚のガラス原板群Gsに関する情報を示し、レコード群P2は、別のパレット、例えば、第2パレットに積載された100枚のガラス原板群Gsに関する情報を示す。
【0068】
一例として、各レコードは、工場名、ライン名、ガラス番号、原板データおよび積載順のデータ項目で構成される。工場名は、ガラス原板Gが製造された工場を一意に特定する情報である。ライン名は、上述の工場において、ガラス原板Gが製造されたラインを一意に特定する情報である。ガラス番号は、ガラス原板Gを一意に識別する原板識別情報である。上述したとおり、ガラス番号は、一例として、ガラス原板Gが製造された年月日を表す数字列と、製造された日時を秒単位まで表す数字列と、これらの数字列の間を区切る区切り文字とを含んで構成されてもよい。
【0069】
原板データは、検査装置12によって生成された、ガラス原板Gの加工に関する情報である。原板データは、例えば、検査結果データであり、凹凸の有無を示す判定情報と、凹凸の位置を示す位置情報とを含んでいてもよい。他の例では、原板データは、ガラス原板Gを、凹凸を回避して無駄なく加工するための切断位置データであってもよい。
【0070】
積載順は、ガラス原板Gがパレット14に積載された順番を示す情報である。例えば、図5に示す原板管理DBの最上段のレコードによれば、ガラス番号「20210115_135001」のガラス原板Gは、パレット14の1番目、つまり、最初に積載されたことが分かる。また、レコードR1によれば、ガラス番号「20210115_135036」のガラス原板Gは、上述の同じパレット14の100番目、つまり、最後に積載されたことが分かる。そして、既定の積載順である100番目が関連付けられていることから、「20210115_135036」のガラス原板Gは、上述の同じパレット14の代表ガラス原板であると分かる。また、「20210115_135036」が、上述のパレット14における代表ガラス番号であると分かる。
【0071】
原板工程装置10のデータ管理部71は、同一のパレット14に積載される予定の100枚分の原板データを、ガラス番号とともに検査装置12から受信する。
【0072】
データ管理部71は、ガラス番号に示される製造年月日および日時が古いものから順に、積載順を対応付けて、図5に示すように、100個のレコード、例えば、レコード群P1を、原板管理DBに登録する。データ管理部71は、別のパレット14について100枚分の原板データを検査装置12から受信すると、同様の方法で、100個のレコード、例えば、レコード群P2を、原板管理DBに登録する。
【0073】
データ管理部71は、積載機13から、100枚のガラス原板群Gsについてパレット14への積載が完了した旨の通知を受信してもよい。データ管理部71は、検査装置12から100枚分の原板データを受信したことと、積載機13から上述の通知を受信したこととに基づいて、100個のレコード群を原板管理DBに登録する処理を開始してもよい。
【0074】
<処理フロー>
図6は、ガラス板製造システム100によって実行されるガラス板の製造方法の処理の流れを示すシーケンス図である。図6に示す製造方法は、例えば、検査装置12によって、1つのパレットに積載される満数のガラス原板Gの原板データ、例えば、100個の原板データが生成され、それらが、原板工程装置10によって受信されたことをトリガに開始されてもよい。さらに、上述の製造方法は、積載機13から、上述の満数のガラス原板Gについて積載が完了した通知を受信したことをトリガに開始されてもよい。
【0075】
ガラス板製造システム100によって実行されるガラス板の製造方法は、概して、原板工程と加工工程とを含む。
【0076】
原板工程において、原板工程装置10は、パレット14に積載されたガラス原板Gの各々について、ガラス原板Gの加工に関する原板データを、パレット14におけるガラス原板Gの積載順と対応付けるとともに、パレット14における既定の積載順に位置する代表ガラス原板の原板データに該代表ガラス原板を識別するための代表ガラス番号(代表原板識別情報)を関連付けて記憶部51(記憶装置)に格納する処理を、パレット14ごとに行う、格納ステップと、代表ガラス番号を情報記録媒体15に出力する処理を、パレット14ごとに行う、情報出力ステップとを実行する。
【0077】
加工工程において、加工工程装置20は、情報記録媒体15の各々から、代表ガラス番号を読み取る読取ステップと、記憶装置に格納されている原板データのうち、読み取られた代表ガラス番号で識別される代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する積載順が対応付けられた所定個の原板データを、記憶装置から取得する処理を、パレット14ごとに行う、取得ステップとを実行する。
【0078】
加工工程において、加工工程装置20は、さらに、取得ステップにて取得された所定個の原板データを、対応付けられている積載順とは逆順に、ガラス原板を加工する装置へ出力する、データ出力ステップを実行してもよい。
【0079】
原板工程は、例えば、図6に示すS101、S102、S104、S107およびS108の各ステップを含んでいる。あるいは、原板工程は、必要に応じて、S101~S111の各ステップを含んでいてもよい。加工工程は、例えば、図6に示すS112~S114の各ステップを含んでいる。
【0080】
ステップS101では、原板工程装置10のデータ管理部71は、検査装置12から送信された1パレット分の原板データ群を参照する。例えば、データ管理部71は、第1パレットに積載される100枚のガラス原板Gの100個の原板データを参照してもよい。検査装置12から送信された原板データ群は、例えば、記憶部51または原板工程装置10が備えている不図示の一次記憶装置にあらかじめ記憶されているものとする。
【0081】
ステップS102(格納ステップ)では、データ管理部71は、1つの原板データに1つの積載順を対応付ける。例えば、データ管理部71は、100個の原板データが受信された順に積載順を昇順で対応付けてもよい。あるいは、データ管理部71は、100個の原板データのそれぞれに対応付けられているガラス番号が示す製造日時が古いものから順に積載順を昇順で対応付けてもよい。
【0082】
ステップS103では、データ管理部71は、S102で対応付けた積載順が規定の積載順であるか否かを判定する。例えば、データ管理部71は、S102にて、100個の原板データのうち、製造日時が最新の原板データに「100番目」の記載順を対応付けたとする。規定の積載順が「100番目」である場合は、データ管理部71は、S103でYESと判定し、S104のステップに進む。S102で対応付けられた積載順が、規定の積載順「100番目」以外である場合は、データ管理部71は、S103でNOと判定し、S105のステップに進む。
【0083】
ステップS104(格納ステップ)では、データ管理部71は、規定の積載順「100番目」のガラス原板Gを代表ガラス原板として特定し、規定の積載順「100番目」が対応付けられている上述の代表ガラス原板の原板データに、代表ガラス番号を関連付ける。ここで、S101で参照した代表ガラス原板の原板データにすでにガラス番号が対応付けられている場合には、データ管理部71は、S101で得た元のガラス番号をそのまま代表ガラス番号として取り扱ってもよい。あるいは、データ管理部71は、代表ガラス原板の原板データを一意に特定することができる文字列で構成された代表ガラス番号を生成して、代表ガラス原板の原板データに関連付けてもよい。
【0084】
ステップS105では、データ管理部71は、S101で参照したすべての原板データに対して積載順の対応付けが完了したか否かを判定する。例えば、データ管理部71は、S101で参照した100個の原板データのうち、記載順が対応付けられていない原板データが残っている場合、S105のNOからS106のステップに進む。データ管理部71は、100個の原板データに、1番目から100番目までの記載順を対応付けた場合、S105のYESからS107のステップに進む。
【0085】
ステップS106では、データ管理部71は、次の未処理の原板データを参照し、対応付けるべき記載順を1つ増分してS102のステップに戻り、以降の処理を繰り返す。
【0086】
ステップS107(格納ステップ)では、データ管理部71は、個々の原板データに記載順が対応付けられ、かつ、少なくとも代表ガラス原板の原板データに代表ガラス番号が関連付けられた、1パレット分の原板データ群を記憶装置に格納する。例えば、データ管理部71は、上述の原板データ群を原板管理DB511に登録してもよい。
【0087】
ステップS108(情報出力ステップ)では、出力制御部72は、S104にて代表ガラス原板の原板データに関連付けられた代表ガラス番号を情報記録媒体15に出力する。一例として、出力制御部72は、紙媒体である情報記録媒体15に、上述の代表ガラス番号を埋め込んだ情報コードを印字するように出力部53を制御する。印刷された情報記録媒体15は、パレット14(上述の例では、第1パレット)とともに1つの梱包体として梱包される。
【0088】
本実施形態では、一例として、データ管理部71は、同じガラス板製造工場に出荷される複数のパレットについて、パレットごとに、上述の各ステップを繰り返してもよい。
【0089】
ステップS109では、データ管理部71は、出荷予定のすべてのパレットについて、S102、S104、S107およびS108のステップを実行したか否かを判定する。データ管理部71は、別のパレットの原板データ群が未処理で残っている場合、S109のNOからS110のステップに進む。データ管理部71は、すべてのパレットについて、原板管理DB511への登録と、情報記録媒体15の出力とが完了している場合、S109のYESからS111のステップに進む。
【0090】
ステップS110では、データ管理部71は、次のパレットの原板データ群を参照してS102のステップに戻り、以降の処理を繰り返す。
【0091】
ステップS111では、データ管理部71は、ガラス原板Gの加工に関する情報を含む原板管理DBが、加工工程装置20が読み取り可能な記憶装置に格納されたことを、加工工程装置20に対して通知してもよい。例えば、ここで、データ管理部71は、記憶部51にてローカルに保存されていた原板管理DB511を、通信部52を介して、加工工程装置20に直接送信してもよい。あるいは、データ管理部71は、原板管理DB511を記憶装置30にアップロードして、その旨を加工工程装置20に通知してもよい。あるいは、データ管理部71は、記憶部51に格納されている原板管理DB511に対するアクセス許可通知を加工工程装置20に送信してもよい。
【0092】
ステップS112(読取ステップ)では、加工工程装置20の読取制御部81は、ガラス原板Gの加工に着手する対象のパレット(以下、着工対象パレット)に対応する情報記録媒体15から代表ガラス番号を読み取る。具体的には、読取機21は、着工対象パレットとともに同梱されている情報記録媒体15に印字されている情報コードから、該着工対象パレットにおける代表ガラス原板の代表ガラス番号を読み取る。読取制御部81は、読取機21によって読み取られた代表ガラス番号を取得する。
【0093】
ステップS113(取得ステップ)では、データ取得部82は、着工対象パレットに積載されている各ガラス原板Gの原板データ群を記憶装置から取得する。一例として、データ取得部82は、着工対象パレットに積載されている100枚のガラス原板Gに対応する100個の原板データを、原板工程装置10によって生成された原板管理DBから抽出してもよい。
【0094】
具体的には、データ取得部82は、記憶装置に格納されている原板データのうち、S112で読み取られた代表ガラス番号で識別される代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する積載順が対応付けられた所定個の原板データを、上述の記憶装置から取得する。
【0095】
具体例を挙げて説明する。S112で読取制御部81が読み取った代表ガラス番号が「20210115_135036」であるとする。データ取得部82は、図5に示す原板管理DBの中から、代表ガラス番号「20210115_135036」が関連付けられている代表ガラス原板のレコードR1を特定する。
【0096】
データ取得部82は、起点となるレコードR1の記載順「100番目」から連続する記載順が対応付けられている100個のレコードを、原板管理DBから抽出する。ここで、代表ガラス原板は、パレット14に、最後に、つまり、100番目に積載された最終ガラス原板である。そこで、データ取得部82は、最終ガラス原板の原板データであるレコードR1を起点として、降順に連続する積載順が対応付けられた100個の原板データ群を原板管理DBから抽出する。図5に示す例では、「100番目」から降順に連続する記載順(99番目、98番目、・・・、1番目)が対応付けられた100個のレコードからなるレコード群P1を原板管理DBから抽出する。
【0097】
ステップS114(データ出力ステップ)では、データ出力部83は、S113にて取得された所定個の原板データを、対応付けられている積載順とは逆順に、ガラス原板を加工する装置へ出力する。具体例を挙げると、データ出力部83は、S113にて抽出されたレコード群P1の100個のレコードを、最終の積載順である「100番目」のレコードR1から降順に、加工機22へと出力する。加工機22は、着工対象パレットを開梱するとき、該着工対象パレットに最後に積載されガラス原板Gから1枚1枚順に取り出して、切断機に投入する。切断機には、ガラス原板Gが投入される順序どおりに、ガラス原板Gの原板データが入力されることになるため、切断機は、ガラス原板Gを、該ガラス原板Gに対応する正しい原板データに基づいて切断することが可能となる。
【0098】
<作用効果>
上述の構成および方法によれば、原板工程において、1つのパレットにつき、該パレットに積載された各ガラス原板の原板データが、該パレットへの積載順が対応付けられて記憶装置に記憶される。ここで、パレットに既定の積載順(例えば、最後の100番目)に積載された代表ガラス原板の原板データについては、該代表ガラス原板を識別するための代表ガラス番号が関連付けられて記憶装置に記憶される。
【0099】
加工工程においては、情報記録媒体から代表ガラス番号が読み取られる。そして、記憶装置において代表ガラス番号から識別される代表ガラス原板の原板データを起点として、連続する積載順が対応付けられた所定個(例えば、既定の積載順「100番目」から降順に連続する100個)の原板データが、該記憶装置から読み出される。
【0100】
このように、代表ガラス原板を含む同一パレットに積載された各ガラス原板の原板データは、該パレットに積載されたときの積載順とともに読み出される。原板データに積載順が対応付けられているため、加工工程を実施する工場では、この積載順に基づいて、パレット上の各ガラス原板と原板データとを正しく対応付けることができる。対応付けが正しく行われることにより、ガラス原板を適正に加工することができる。
【0101】
上述の構成および方法によれば、パレットに積載されるガラス原板の各々に対してガラス番号を直接添付する必要はなく、既定の積載順にて積載された代表ガラス原板について、代表ガラス番号を情報記録媒体に保持させておくだけで済む。
【0102】
以上のとおり、上述のガラス板の製造方法によれば、簡易に、ガラス原板と原板データとを対応付けることができる。
【0103】
なお、個々のガラス原板に直接2次元コードなどの個体識別情報を印字する工程では、ガラス原板に2次元コードを印字するための大掛かりな設備(大判ガラスに印字するための専用のインクジェットプリンタなど)が必要であると考えられる。上述のガラス板の製造方法によれば、こうした大掛かりな設備を省くことが可能であるので、労力およびコスト削減の観点からとりわけ有利な効果が得られる。
【0104】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0105】
本実施形態では、積載機13は、状況に応じて、満数に満たない枚数(以下、端数)にて1つのパレット14の積載を完了することを許容されていてもよい。本実施形態では、積載機13は、パレット14への積載が完了した旨の通知に、該パレット14に積載したガラス原板Gの枚数を含めて、原板工程装置10に送信する。
【0106】
本実施形態では、例えば、原板工程装置10のデータ管理部71は、図6に示すステップS104にて、パレット14に積載されたガラス原板Gの枚数を、代表ガラス番号に対応付けて記憶装置に格納してもよい。他の例では、出力制御部72は、図6に示すステップS108にて、パレット14に積載されたガラス原板Gの枚数を、代表ガラス番号とともに情報記録媒体15に出力してもよい。
【0107】
本実施形態では、加工工程装置20のデータ取得部82は、図6に示すS113にて、代表ガラス番号に対応付けられている枚数と同数の原板データを記憶装置から取得する。
【0108】
具体例を挙げると、以下のとおりである。80番目に積載された代表ガラス原板の代表ガラス番号に対応付けられている枚数が「80枚」であるとする。この場合、データ取得部82は、代表ガラス原板の原板データを起点として、降順に連続する積載順が対応付けられた、上述の枚数分の原板データを記憶装置から取得する。つまり、データ取得部82は、積載順が「80番目」から「1番目」までの80個の原板データを記憶装置から取得する。
【0109】
<作用効果>
上述の構成および方法によれば、パレットごとにガラス原板の積載枚数が異なっている場合でも、1つのパレットに積載された複数のガラス原板の原板データを過不足なく記憶装置から取得することができる。そのため、本発明のガラス板の製造方法は、例えば、積載上限枚数が異なるパレットが混在している場合にも適用可能であり、積載枚数が満数のパレットと積載枚数が端数のパレットとが混在している場合にも適用可能である。つまり、本発明のガラス板製造システム100を、あらゆる出荷のケースに適用させることが可能となる。
【0110】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0111】
本実施形態では、パレット14の各々に、個々のパレットを一意に識別するための識別情報であるパレットIDが付与される。本実施形態では、パレット14に、パレットIDを保持する情報記録媒体16(図1参照)が設けられている。
【0112】
原板工程において、積載機13は、パレット14に設けられている情報記録媒体16からパレットIDを読み取るための読取機(不図示)と通信可能に接続されていてもよい。例えば、積載機13は、上述の読取機を介して、情報記録媒体16からガラス原板Gを積載するパレット14のパレットIDを取得することができる。
【0113】
<積載作業の中断について>
本実施形態では、一例として、原板工程装置10は、パレットIDを用いて、パレット14へのガラス原板Gの積載作業の進捗を管理してもよい。
【0114】
本実施形態では、原板工程装置10の記憶部51に積載中断情報512が記憶されていてもよい。積載中断情報512は、パレット14へのガラス原板Gの積載作業の進捗を、パレット14ごとに示す情報である。
【0115】
図7は、積載中断情報512のデータ構造の一例を示す図である。一例として、積載中断情報512は、パレットIDと、積載枚数との2つのデータ項目で構成されている。他の例では、必要に応じて、積載中断情報512は、ステータスのデータ項目を有していてもよい。
【0116】
パレットIDは、パレット14を一意に識別する識別情報である。積載枚数は、パレット14に積載済みのガラス原板Gの枚数を示す情報である。積載枚数は、例えば、パレット14の満数を分母とし、パレット14に現在積載されている枚数を分子とする分数で表現されてもよい。ステータスは、パレット14における積載作業の進捗を示す情報である。
【0117】
本実施形態では、積載機13は、ガラス原板Gのパレット14への積載を開始する前に、パレット14のパレットIDを上述の読取機を介して取得する。積載機13は、取得したパレットIDを原板工程装置10に送信して、パレットIDに対応するパレット14への積載を開始することを原板工程装置10に通知する。
【0118】
原板工程装置10のデータ管理部71は、通知されたパレットIDを積載中断情報512に登録する。データ管理部71は、該パレットIDに、現在積載作業中であることを示す「積載中」のステータスを関連付けて登録してもよい。
【0119】
積載機13は、ガラス原板Gの積載数が満数に満たない間に積載作業を中断するとき、積載を中断するパレット14のパレットIDと、該パレット14に積載済みの積載枚数とを原板工程装置10に送信し、積載作業の中断を原板工程装置10に通知する。
【0120】
データ管理部71は、ガラス原板Gの積載数が満数(上限値)に満たないパレット14について、該パレット14を識別するためのパレットID(パレット識別情報)と、該パレット14に積載済みの積載枚数(積載数を示す情報)とを対応付けて記憶部51に格納する原板工程記録ステップをさらに実行してもよい。パレットIDと積載枚数とを対応付けた情報は、記憶部51に限らず、記憶装置30など、原板工程装置10が参照可能な任意の記憶装置に記憶させてもよい。
【0121】
上述の構成によれば、パレットIDと積載枚数(積載数)とに基づいて、積載の再開時に、そのパレットにおいてガラス原板が何枚積載されており、次に積載されるガラス原板は、そのパレットにおいて何番目になるのかを特定することができる。そのため、積載を途中で中断しても、再開して、正しい積載順で原板データを記憶させて、満数までガラス原板を積載することが可能となる。
【0122】
具体例を挙げると、データ管理部71は、通知されたパレットIDに対応付けて、同様に通知された積載枚数を積載中断情報512に登録する。データ管理部71は、該パレットIDに、現在積載作業が中断していることを示す「中断」のステータスをさらに関連付けて登録してもよい。
【0123】
積載機13は、中断していた上述のパレット14への積載作業を再開するとき、パレット14のパレットIDを読み取って原板工程装置10に送信し、パレットIDに対応するパレット14への積載を再開することを原板工程装置10に通知する。
【0124】
データ管理部71は、通知されたパレットIDに対応付けられている積載枚数が積載中断情報512に登録されている場合には、該積載枚数を積載機13に返信する。
【0125】
積載機13は、受信した積載枚数に基づいて、該積載枚数の続きからガラス原板Gの積載を再開することができる。積載機13は、ガラス原板Gの積載を所定枚数まで完了させたとき、パレットIDと積載完了枚数とを原板工程装置10に送信して、積載が完了した旨を原板工程装置10に通知してもよい。
【0126】
データ管理部71は、積載が完了した旨の通知を積載機13から受信した場合には、通知に含まれているパレットIDに対応付けられている各種情報を積載中断情報512から削除してもよい。あるいは、データ管理部71は、パレットIDと積載完了枚数と積載が完了したことを示す「完了」のステータスとを積載中断情報512に登録してもよい。
【0127】
<加工作業の中断について>
本実施形態では、一例として、加工工程装置20は、パレットIDを用いて、着工対象パレットにおけるガラス原板Gの加工作業の進捗を管理してもよい。
【0128】
本実施形態では、加工工程装置20の記憶部61に加工中断情報612が記憶されていてもよい。加工中断情報612は、着工対象パレットにおけるガラス原板Gの加工作業の進捗を、パレット14ごとに示す情報である。
【0129】
本実施形態では、制御部60は、工程管理部84をさらに備えている。工程管理部84は、加工中断情報612を使用して、着工対象パレットにおけるガラス原板Gの加工作業の進捗を管理する。
【0130】
図8は、加工中断情報612のデータ構造の一例を示す図である。一例として、加工中断情報612は、パレットIDと、取出枚数との2つのデータ項目で構成されている。他の例では、必要に応じて、加工中断情報612は、ステータスのデータ項目を有していてもよい。
【0131】
パレットIDは、パレット14を一意に識別する識別情報である。取出枚数は、パレット14から取り出されたガラス原板Gの枚数を示す情報である。取出枚数は、例えば、パレット14の満数を分母とし、パレット14から取り出された枚数を分子とする分数で表現されてもよい。ステータスは、パレット14に関する加工作業の進捗を示す情報である。
【0132】
本実施形態では、読取機21または別の不図示の読取機が、情報記録媒体16からパレット14のパレットIDを読み取る。加工機22は、パレット14に積載されているガラス原板Gの加工を開始する前に、読取機21または別の不図示の読取機を介してパレット14のパレットIDを取得する。加工機22は、取得したパレットIDを加工工程装置20に送信して、パレットIDに対応するパレット14の加工作業に着手することを加工工程装置20に通知する。
【0133】
加工工程装置20の工程管理部84は、通知されたパレットIDを加工中断情報612に登録する。工程管理部84は、該パレットIDに、現在加工作業中であることを示す「加工中」のステータスを関連付けて登録してもよい。
【0134】
加工機22は、パレット14上にガラス原板Gを残したまま加工作業を中断するとき、加工を中断するパレット14のパレットIDと、該パレット14から取り出し済みの取出枚数とを加工工程装置20に送信し、加工作業の中断を加工工程装置20に通知する。
【0135】
工程管理部84は、パレット14を識別するためのパレットID(パレット識別情報)と、パレット14から取り出されたガラス原板Gの枚数を示す取出枚数とを対応付けて記憶部61に格納する加工工程記録ステップを実行してもよい。パレットIDと取出枚数とを対応付けた情報は、記憶部61に限らず、記憶装置30など、加工工程装置20が参照可能な任意の記憶装置に記憶させてもよい。
【0136】
上述の構成によれば、パレットIDと取出枚数とに基づいて、取り出しの再開時に、これから取り出されるガラス原板がどのパレットに積載された何枚目のガラス原板であるのかを特定することができる。そのため、加工を途中で中断しても、再開時に取り出すガラス原板に対応する正しい原板データを読み出して加工を再開することが可能となる。
【0137】
具体例を挙げると、工程管理部84は、通知されたパレットIDに対応付けて、同様に通知された取出枚数を加工中断情報612に登録する。工程管理部84は、該パレットIDに、現在加工作業が中断していることを示す「中断」のステータスをさらに関連付けて登録してもよい。
【0138】
加工機22は、中断していた上述のパレット14についての加工作業を再開するとき、パレット14のパレットIDを読み取って加工工程装置20に送信し、パレットIDに対応するパレット14についての加工作業を再開することを加工工程装置20に通知する。
【0139】
工程管理部84は、通知されたパレットIDに対応付けられている取出枚数が加工中断情報612に登録されている場合には、該取出枚数を加工機22に返信する。
【0140】
加工機22は、受信した取出枚数に基づいて、該取出枚数の続きからガラス原板Gの取出しを再開することができる。また、データ出力部83は、取り出しが再開されたガラス原板Gの原板データから順に、加工機22に対して原板データを出力することができる。加工機22は、パレット14上のすべてのガラス原板Gの加工を完了させたとき、パレットIDを加工工程装置20に送信して、取り出しおよび加工が完了した旨を加工工程装置20に通知してもよい。
【0141】
工程管理部84は、パレット14について加工が完了した旨の通知を加工機22から受信した場合には、通知に含まれているパレットIDに対応付けられている各種情報を加工中断情報612から削除してもよい。あるいは、工程管理部84は、パレットIDと加工が完了したことを示す「完了」のステータスとを加工中断情報612に登録してもよい。
【0142】
〔ソフトウェアによる実現例〕
原板工程装置10(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部50に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0143】
加工工程装置20(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部60に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0144】
この場合、上述の装置は、上述のプログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上述のプログラムを実行することにより、上述の各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0145】
上述のプログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上述の装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上述のプログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上述の装置に供給されてもよい。
【0146】
また、上述の各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上述の各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上述の各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0147】
また、上述の各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上述の制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0148】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
10 原板工程装置
11 原板製造設備
12 検査装置
13 積載機
14 パレット
15 情報記録媒体
20 加工工程装置
21 読取機
22 加工機
30 記憶装置
50 制御部
51 記憶部(記憶装置、原板工程記憶装置)
52 通信部
53 出力部
60 制御部
61 記憶部(記憶装置、加工工程記憶装置)
62 無線通信部
63 通信部
71 データ管理部
72 出力制御部
81 読取制御部(識別情報読取部)
82 データ取得部
83 データ出力部
84 工程管理部
100 ガラス板製造システム
G ガラス原板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8