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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144300
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】穀物の流下式選別機
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/46 20060101AFI20220926BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20220926BHJP
   B07B 1/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B07B1/46 D
B07B1/00 B
B07B1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045238
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】小谷 博明
(72)【発明者】
【氏名】柴村 太一
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA03
4D021AB02
4D021AB04
4D021AC01
4D021CA01
4D021CA04
4D021CB16
4D021DA01
4D021DA04
4D021DB20
4D021DC01
4D021EA04
(57)【要約】
【課題】流下式選別機において選別網を簡単に取り付けるか、或いは、取り外すことができて選別網の清掃作業を簡単に行えるようにする。
【解決手段】上側ケース2の内部には、通過するか否かで穀物M1を選別する第1選別網3が取り付けられている。上側ケース2の側面には、網取出口24が形成され、第1選別網3は、網取出口24を介して第1選別網3を引き出して上側ケース2から取り外すか、第1選別網3を押し込んで上側ケース2に取り付けるようになっている。第1選別網3の側面には、当該第1選別網3を網取出口24に押し込んだ状態で網取出口24の全域を塞ぐ蓋板4が固定される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網目を通過するか否かで穀物を選別する選別網が内部に取り付けられた本体ケースを備え、当該本体ケースに形成された網取出口を介して前記選別網を引き出して前記本体ケースから取り外すか、或いは、前記選別網を押し込んで前記本体ケースに取り付けるよう構成された穀物の流下式選別機において、
前記網取出口は、前記本体ケースの側面に設けられ、
前記選別網の側面には、当該選別網を前記網取出口から前記本体ケースに押し込んだ状態で前記網取出口の全域を塞ぐ蓋板が固定されていることを特徴とする穀物の流下式選別機。
【請求項2】
請求項1に記載の穀物の流下式選別機において、
前記蓋板には、作業者が前記選別網に対して行う引出動作、或いは、押込動作の際に把持する把手が取り付けられていることを特徴とする穀物の流下式選別機。
【請求項3】
請求項2に記載の穀物の流下式選別機において、
前記把手は、前記蓋板の長手方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、且つ、前記蓋板の長手方向と交差する方向に延びる第1フレーム部と、前記蓋板から所定の間隔をあけた位置に設けられ、且つ、前記両第1フレーム部を橋絡する第2フレーム部とを備えていることを特徴とする穀物の流下式選別機。
【請求項4】
請求項3に記載の穀物の流下式選別機において、
前記第1フレーム部の長手方向両側には、前記蓋板の縁部よりも外側に延出するとともに、締結部材を回転自在に支持する一対の延出支持部が設けられ、前記締結部材を前記本体ケースの側面に螺合連結することにより、前記蓋板を前記本体ケースに固定するよう構成されていることを特徴とする穀物の流下式選別機。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の穀物の流下式選別機において、
前記把手は、前記蓋板に溶接により固定されていることを特徴とする穀物の流下式選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別網を通過するか否かで穀物を選別する穀物の流下式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、精白後の穀物を異物等と選別する流下式選別機が一般的に知られている。例えば、特許文献1に開示されている流下式選別機は、水平方向に揺動する本体ケースを備え、該本体ケースの上部には、当該本体ケースの内部に精白後の穀物を供給するホッパーが設けられている。本体ケースの内部には、上段選別網、中段選別網及び下段選別網が上から順に並設され、本体ケースを揺動させながら穀物を上段選別網に供給すると、上段選別網では、穀物が網目を通過する一方、糠玉やその他異物が網目を通過しないことにより、穀物と糠玉やその他の異物とが選別され、中段選別網では、砕粒が網目を通過する一方、穀物が網目を通過しないことにより、砕粒と穀物とが選別され、そして、下段選別網では、糠が網目を通過する一方、砕粒が網目を通過しないことにより、糠と砕粒とが選別されるようになっている。本体ケースの側面には、清掃の際に選別網を取り出すための網取出口が設けられ、該網取出口は、選別作業時に糠等が網取出口から漏れ出ないよう蓋板により全域が覆われている。そして、選別網を清掃する際は、蓋板を本体ケースから取り外して開口するとともに、開口された網取出口から選別網を引き出して本体ケースから取り出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2524650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、網取出口から選別網を取り出す際、網取出口の全域を塞(ふさ)ぐ蓋板を取り外した後、選別網を網取出口から引き出して本体ケースから取り出す必要があり、清掃作業が煩雑であるという問題があった。また、選別網を網取出口から取り出す際、当該網取出口から手を入れて選別網を手で掴(つか)んで引き出す必要があり、選別網を取り出し難いという問題もある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流下式選別機において選別網を簡単に取り付けるか、或いは、取り外すことができて選別網の清掃作業を簡単に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、選別網と蓋板とを一体にしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、網目を通過するか否かで穀物を選別する選別網が内部に取り付けられた本体ケースを備え、当該本体ケースに形成された網取出口を介して前記選別網を引き出して前記本体ケースから取り外すか、或いは、前記選別網を押し込んで前記本体ケースに取り付けるよう構成された穀物の流下式選別機を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記網取出口は、前記本体ケースの側面に設けられ、前記選別網の側面には、当該選別網を前記網取出口から前記本体ケースに押し込んだ状態で前記網取出口の全域を塞ぐ蓋板が固定されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記蓋板には、作業者が前記選別網に対して行う引出動作、或いは、押込動作の際に把持する把手が取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記把手は、前記蓋板の長手方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、且つ、前記蓋板の長手方向と交差する方向に延びる第1フレーム部と、前記蓋板から所定の間隔をあけた位置に設けられ、且つ、前記両第1フレーム部を橋絡する第2フレーム部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記第1フレーム部の長手方向両側には、前記蓋板の縁部よりも外側に延出するとともに、締結部材を回転自在に支持する一対の延出支持部が設けられ、前記締結部材を前記本体ケースの側面に螺合連結することにより、前記蓋板を前記本体ケースに固定するよう構成されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第2から第4のいずれか1つの発明において、前記把手は、前記蓋板に溶接により固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、蓋板を手で持って本体ケースから引き離すと、蓋板と共に選別網が網取出口を介して本体ケースから引き出される一方、蓋板を手で持って本体ケースに押して近づけると、蓋板と共に選別網が網取出口を介して本体ケースに押し込まれるようになる。このように、蓋板の本体ケースに対する取外動作及び取付動作を行えば、同時に、選別網の本体ケースに対する引出動作及び押込動作を行うことができるので、選別網を本体ケースに簡単に取り付けるか、或いは、取り外すことができる。また、蓋板を本体ケースから引き離すと、蓋板と共に選別網が網取出口を介して本体ケースから引き出されるので、作業者は、網取出口に手を入れて選別網を掴んで引き出す必要が無くなる。したがって、効率良く選別網を取り外して清掃作業を行うことができる。
【0014】
第2の発明では、作業者は、選別網の清掃作業を行う際、把手を把持して選別網を本体ケースから引き出すか、或いは、本体ケースに押し込むことができるようになる。したがって、作業者は、選別網を安定した状態で持つことができるようになり、選別網の清掃作業を安全に行うことができる。また、作業者は、把手を把持して本体ケースから取り外した選別網を運搬することができるようになるので、選別網を簡単に移動させることができる。
【0015】
第3の発明では、単なる板状の蓋板と比較して、所定の間隔をあけて設けた一対の第1フレームによって、蓋板における各第1フレーム部周りの断面係数が大きくなるので、蓋板における各第1フレーム部周りの剛性が高くなり、蓋板が変形して本体ケースとの間に隙間を発生させるといったことを防ぐことができる。また、把手が比較的シンプルな形状の3つの部品で組み立てられた構成になるので、製造コスト及び部品コストを低く抑えることができる。
【0016】
第4の発明では、蓋板に締結部材による本体ケースとの締結部分が無いので、蓋板において本体ケースとの重なる領域を狭くすることができるようになる。したがって、材料歩留まりが良くなって低コストな選別機にすることができる。
【0017】
第5の発明では、蓋板に把手を固定するための孔が形成されないので、蓋板に把手を固定するために形成する孔を介して本体ケースの内側から糠等が漏れ出るといったことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る流下式選別機の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る流下式選別機の側面図である。
図3図2のIII矢視図である。
図4図3のIV-IV線における断面図である。
図5】選別機から選別網を取り外した状態を示す図3相当図である。
図6図5のVI部拡大図である。
図7図6のVII-VII線における断面図である。
図8図2のVIII-VIII線における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る穀物M1の流下式選別機1を示す。該選別機1は、精白後の穀物M1と異物等とを選別するものであり、穀物M1を斜め下方に流下させながら糠玉F1やその他の異物F2と選別する上流側選別部1Aと、該上流側選別部1Aの下方に設けられ、且つ、穀物M1と砕粒F3や糠などの粉体F4とを選別する下流側選別部1Bとで構成されている。
【0021】
上流側選別部1Aは、図3及び図4に示すように、選別機1の正面側から背面側の斜め上方に向かって延びる形状をなし、内部に選別空間S1を有する上側ケース2(本体ケース)を備え、該上側ケース2は、側面視で略三角形状をなすとともに、当該上側ケース2の幅方向(穀物M1の斜め下方に流下する方向と交差する水平方向)に所定の間隔をあけて設けられた一対の支持フレーム2aにより下方から支持されている。尚、図3では、便宜上、上側ケース2の上蓋を外して記載している。
【0022】
上側ケース2の上流側上部には、上端に原料穀物M1を投入する投入口21aが形成された略ボックス形状をなす穀物投入部21が設けられ、該穀物投入部21における投入口21aの両隣りには、結露防止のために上側ケース2の内部の空気を吸引する図示しないダクトを接続するダクト接続部21bが設けられている。
【0023】
該穀物投入部21の内部には、図4に示すように、斜め下方に延びるガイド板21cが上側ケース2の正面側と背面側とに上方から順に交互に2つ設けられ、当該各ガイド板21cにより、投入口21aに投入される穀物M1が上側ケース2の内部を蛇行しながら落下して選別空間S1まで移動するようになっている。
【0024】
選別空間S1の上部には、選別機1の正面側に向かって斜め下方に延びるシュート部22が配設され、該シュート部22は、穀物投入部21を通過した穀物M1を選別空間S1の下流側に案内するようになっている。
【0025】
シュート部22の下流側上方には、当該シュート部22と交差する水平方向に延びる回動軸心を中心として回動可能な抵抗板23が設けられ、該抵抗板23は、回動軸心を中心として回動することによりシュート部22の通路部22aを遮る姿勢が変わるようになっている。
【0026】
抵抗板23の裏面側(穀物M1の流下方向の下流側)には、当該抵抗板23が通路部22aを遮る側に回動するように力を加える錘23aを着脱可能になっていて、作業者が錘23aの重さを変更することにより、抵抗板23の通路部22aを遮る姿勢が変わって通路部22aを通過する穀物M1の量が変化するようになっている。
【0027】
上側ケース2の一方の側面における中途部には、上側ケース2の下流側に向かって斜め下方に延びる略帯板状の網取出口24が形成されている。
【0028】
選別空間S1には、網取出口24における上流側縁部の下方の位置から上側ケース2の幅方向に直線状に延びる断面逆U字状をなす上側スライドレール25aと、網取出口24における下流側縁部の下方の位置から上側ケース2の幅方向に直線状に延びる断面略L字状をなす下側スライドレール25bとがそれぞれ配設されている。
【0029】
また、選別空間S1には、網取出口24における中途部上方の位置から上側ケース2の幅方向に直線状に延びる断面L字状をなす取付フレーム26が網取出口24の長手方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0030】
各取付フレーム26には、上方から見て矩形状をなす可撓性樹脂シート27の上端縁部が取り付けられていて、該樹脂シート27は、選別空間S1における網取出口24に対応する領域を上方から覆うように垂れ下げられている。
【0031】
上側ケース2の中央下部には、下方に行くにつれて次第に縮径する形状をなす第1ガイド筒部28が形成されている。
【0032】
また、上側ケース2の下流側下部には、下方に行くにつれて次第に縮径する形状をなす第1排出筒部29が形成されている。
【0033】
選別空間S1の網取出口24に対応する領域には、略矩形板状をなす第1選別網3が配設されている。
【0034】
該第1選別網3は、図6に示すように、矩形枠状をなす本体フレーム31を備え、該本体フレーム31は、網取出口24の長手方向に沿って延び、且つ、上側ケース2の幅方向に所定の間隔をあけて並設された一対の側部フレーム31aと、該両側部フレーム31aの上流端同士を橋絡する上部フレーム31bと、両側部フレーム31aの下流端同士を橋絡する下部フレーム31cとを備えている。
【0035】
本体フレーム31内側の上部フレーム31b寄りの位置には、当該上部フレーム31bに沿って延び、且つ、両側部フレーム31aを橋絡する調整フレーム32が配設されている。
【0036】
調整フレーム32と下部フレーム31cとの間には、多数の金属線33が巻き掛けられていて、調整フレーム32を、上部フレーム31b側又は下部フレーム31c側に移動させることにより、各金属線33の張設状態を変更できるようになっている。
【0037】
そして、各金属線33は、上側ケース2の幅方向に穀物M1が通過でき、且つ、糠玉F1や異物F2が通過できない程度の隙間をあけて並んでいて、第1選別網3は、シュート部22によって案内されて第1選別網3に落下する穀物M1を、各金属線33の間を通過させることにより、各金属線33の間を通過しない糠玉F1や異物F2と選別するようになっている。
【0038】
すなわち、第1選別網3は、穀物M1が各金属線33の間を通過するか否かで選別を行うようになっている。
【0039】
穀物M1が第1選別網3において選別される際、各樹脂シート27は、シュート部22から第1選別網3へと落下する穀物M1が第1選別網3を通過せずに跳ね返って上側ケース2の内部に散乱するのを塞ぐようになっている。
【0040】
第1選別網3を通過した穀物M1は、第1ガイド筒部28によって下流側選別部1Bへと案内されるようになっている。
【0041】
一方、第1選別網3を通過しない糠玉F1や異物F2は、第1選別網3の上面を転がって移動した後、第1排出筒部29に向けて落下して当該第1排出筒部29に案内されて上側ケース2の外側へと排出されるようになっている。
【0042】
第1選別網3における下部フレーム31cには、下側スライドレール25bの断面形状に対応する断面略L字状をなすとともに、下部フレーム31cの延長方向に沿って延びるスライダ部31dが設けられ、該スライダ部31dは、下側スライドレール25bに上方から嵌合可能になっている。
【0043】
一方、上部フレーム31bは、スライダ部31dが下側スライドレール25bに嵌合した状態で、上側スライドレール25aの上面に載置されるようになっている。
【0044】
そして、第1選別網3は、上側スライドレール25a及び下側スライドレール25bに沿って上部フレーム31bと下部フレーム31cとがスライドすることにより、図5に示すように、網取出口24を介して第1選別網3を引き出して上側ケース2から取り外すか、或いは、第1選別網3を押し込んで上側ケース2に取り付けることができるようになっている。
【0045】
第1選別網3の一方の側部フレーム31aには、当該側部フレーム31aに沿って延びる略帯板状をなす蓋板4が固定され、該蓋板4は、第1選別網3を網取出口24に押し込んだ状態で当該網取出口24の全域を塞ぐようになっている。
【0046】
蓋板4における第1選別網3の上面側の縁部4aは、蓋板4の長手方向の全域に亘って蓋板4の表面側に断面L字状に折り返された形状をなす一方、蓋板4における第1選別網3の下面側の縁部4bは、上側ケース2の上流側に対応する部分及び下流側に対応する部分を除いて蓋板4の表面側に断面L字状に折り返された形状をなしている。
【0047】
蓋板4の表面(第1選別網3が固定された面と反対側の面)には、作業者が第1選別網3に対して行う引出動作、或いは、押込動作の際に把持する把手5が取り付けられている。
【0048】
該把手5は、蓋板4表面の長手方向と交差する方向の全域に亘って延びる断面略ハット形状をなす第1フレーム部51を備えている。
【0049】
該第1フレーム部51は、蓋板4の長手方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、それぞれ蓋板4表面に溶接により固定されている。
【0050】
また、蓋板4表面から所定の間隔をあけた位置には、蓋板4表面の反対側に開放する断面U字状をなし、且つ、蓋板4の長手方向に直線状に延びる第2フレーム部52が設けられている。
【0051】
該第2フレーム部52は、両第1フレーム部51の中途部を橋絡しており、当該各第1フレーム部51に溶接により固定されている。
【0052】
各第1フレーム部51の長手方向両側には、図7に示すように、蓋板4における第1選別網3の上面側の縁部又は下面側の縁部よりも外側に延出する略板状をなす一対の延出支持部51aが設けられ、各延出支持部51aは、締結部材53の螺子部53aを回転自在に支持している。
【0053】
上側ケース2側面の各延出支持部51aに対応する位置には、螺合孔2bがそれぞれ形成され、網取出口24を介して第1選別網3を押し込んで網取出口24を蓋板4で塞ぐとともに各延出支持部51aにおける締結部材53の螺子部53aを各螺合孔2bに螺合連結することにより、蓋板4を上側ケース2に固定するようになっている。
【0054】
下流側選別部1Bは、図1及び図2に示すように、選別機1の正面側から背面側に向かって水平に延びる略直方体形状の下側ケース6を備え、該下側ケース6の長手方向一側における内側上部には、図8に示すように、第1ガイド筒部28の下端側が上方から臨んでいる。
【0055】
一方、下側ケース6の長手方向他側の上部には、下方に行くにつれて次第に縮径する形状をなし、上端から中途部が側方に開口して下側ケース6の内部に連通する一方、下端が下方に開口する第2排出筒部61が設けられている。
【0056】
また、第2排出筒部61の下方には、下方に行くにつれて次第に縮径する形状をなし、上端が上方に開口して下側ケース6の内部に連通する一方、下端が下方に開口する第3排出筒部62が設けられている。
【0057】
下側ケース6の内方には、当該下側ケース6と略同じ方向に延びる略直方体形状をなすとともに内部に選別空間S2を有する篩ボックス7が配設されている。
【0058】
該篩ボックス7の長手方向一側上部には、第1ガイド筒部28により案内される穀物M1を選別空間S2に導入する穀物導入部70aが形成されている。
【0059】
また、篩ボックス7の長手方向他端上部には、穀物M1を第2排出筒部61へと案内する第2ガイド筒部70bが設けられ、該第2ガイド筒部70bの下方には、砕粒F3を第3排出筒部62へと案内する第3ガイド筒部70cが設けられている。
【0060】
さらに、篩ボックス7の下面には、下方に行くにつれて次第に縮径する形状をなし、糠等の粉体F4を排出する第4排出筒部70dが設けられている。
【0061】
篩ボックス7の長手方向一側下部には、クランク軸7aの上端が回転自在に取り付けられている。
【0062】
クランク軸7aの下方には、水平方向に延びるクランクアーム7bが配設され、該クランクアーム7bの一端には、クランク軸7aの下端が取り付けられている。
【0063】
また、クランクアーム7bの下方には、図示しない駆動手段により駆動する駆動軸7cが配設され、該駆動軸7cの上端は、クランクアーム7bの中央部分に固定されている。
【0064】
一方、篩ボックス7の長手方向他側には、図示しない板バネが下側ケース6の底面との間に取り付けられていて、駆動軸7cを回転させると、クランクアーム7bを介してクランク軸7aが平面視で周回移動することにより、篩ボックス7が水平方向に揺動するようになっている。
【0065】
選別空間S2には、略矩形板状をなす第2選別網8、第3選別網9及び第4選別網10が上方から順に並設されている。
【0066】
第2選別網8及び第3選別網9は、同じ構造になっており、その網部分は、砕粒F3が通過でき、且つ、穀物M1が通過できないよう構成されている。
【0067】
また、第4選別網10の網部分は、糠等の粉体F4が通過でき、且つ、砕粒F3が通過できないよう構成されている。
【0068】
そして、篩ボックス7を揺動させながら穀物導入部70aによって選別空間S2に導入される穀物M1を第2選別網8及び第3選別網9へと落下させると、第2選別網8及び第3選別網9は、落下する砕粒F3を、網目を通過させることにより、網目を通過しない穀物M1と選別するようになっている。
【0069】
第2選別網8及び第3選別網9を通過した砕粒F3は、第4選別網10へと落下するようになっている。
【0070】
一方、第2選別網8及び第3選別網9を通過しない穀物M1は、第2選別網8及び第3選別網9の上面を転がって移動した後、第2排出筒部61に向けて落下して当該第2排出筒部61に案内されて下側ケース6の外側へと排出されるようになっている。
【0071】
また、第2選別網8及び第3選別網9を通過する砕粒F3が第4選別網10に落下すると、該第4選別網10は、落下する粉体F4を、網目を通過させることにより、網目を通過しない砕粒F3と選別するようになっている。
【0072】
第4選別網10を通過した粉体F4は、第4排出筒部70dに案内されて下側ケース6の外側へと排出されるようになっている。
【0073】
一方、第4選別網10を通過しない砕粒F3は、第4選別網10の上面を転がって移動した後、第3排出筒部62に向けて落下して当該第3排出筒部62に案内されて下側ケース6の外側へと排出されるようになっている。
【0074】
篩ボックス7の一方の側面には、第2選別網8の側面の形状に対応する第1開口部71と、第3選別網9の側面の形状に対応する第2開口部72と、第4選別網10の側面の形状に対応する第3開口部73とが形成され、第1開口部71と第2開口部72とが中途部で繋がる形状をなすとともに、第2開口部72と第3開口部73とが中途部で繋がる形状をなしている。
【0075】
選別空間S2における第1開口部71の長手方向の各端部に対応する領域には、篩ボックス7の幅方向に延びる一対の上段スライドレール71aが配設されている。
【0076】
該各上段スライドレール71aは、第2選別網8を水平方向にスライド可能に支持するようになっていて、第1開口部71を介して第2選別網8を引き出して篩ボックス7から取り外すか、或いは、第2選別網8を押し込んで篩ボックス7に取り付けるよう構成されている。
【0077】
また、選別空間S2における第2開口部72の長手方向の各端部に対応する領域には、篩ボックス7の幅方向に延びる一対の中段スライドレール72aが配設されている。
【0078】
該各中段スライドレール72aは、第3選別網9を水平方向にスライド可能に支持するようになっていて、第2開口部72を介して第3選別網9を引き出して篩ボックス7から取り外すか、或いは、第3選別網9を押し込んで篩ボックス7に取り付けるよう構成されている。
【0079】
さらに、選別空間S2における第3開口部73の長手方向の各端部に対応する領域には、篩ボックス7の幅方向に延びる一対の下段スライドレール73aが配設されている。
【0080】
該各下段スライドレール73aは、第4選別網10を水平方向にスライド可能に支持するようになっていて、第3開口部73を介して第4選別網10を引き出して篩ボックス7から取り外すか、或いは、第4選別網10を押し込んで篩ボックス7に取り付けるよう構成されている。
【0081】
篩ボックス7における穀物導入部70aの下方には、第1ノブボルト74が螺進螺退可能に篩ボックス7の長手方向一端面に取り付けられている。
【0082】
第1ノブボルト74の先端は、当該第1ノブボルト74を螺進させると、篩ボックス7に押し込んだ状態の第2選別網8の長手方向一端に接触するとともに当該第2選別網8をその長手方向他端側に押圧して、下流側に位置する上段スライドレール71aの側面に第2選別網8を押し付けるようになっている。これにより、篩ボックス7が揺動したときに、第2選別網8が両上段スライドレール71a間においてがたつくのを防ぐことができるようになっている。
【0083】
篩ボックス7における第1ノブボルト74の下方には、第2ノブボルト75が螺進螺退可能に篩ボックス7の長手方向一端面に取り付けられている。
【0084】
第2ノブボルト75の先端は、当該第2ノブボルト75を螺進させると、篩ボックス7に押し込んだ状態の第3選別網9の長手方向一端に接触するとともに当該第3選別網9をその長手方向他端側に押圧して、下流側に位置する中段スライドレール72aの側面に第3選別網9を押し付けるようになっている。これにより、篩ボックス7が揺動したときに、第3選別網9が両中段スライドレール72a間においてがたつくのを防ぐことができるようになっている。
【0085】
選別空間S2の略中央部分には、第3ノブボルト76が上方に向かって螺進螺退可能に篩ボックス7の中央部分に位置するフレームに取り付けられている。
【0086】
第3ノブボルト76の先端は、当該第3ノブボルト76を螺進させると、篩ボックス7に取り付けられた第3選別網9の下面に接触するとともに当該第3選別網9を上方に押圧して両中段スライドレール72aの上部に第3選別網9を押し付けるようになっている。これにより、両中段スライドレール72aの上部と第3選別網9との間に砕粒F3や粉体F4が詰まってしまい、篩ボックス7に対する第3選別網9の引き出し或いは押し込みがやり難くなるといったことを防ぐことができるようになっている。加えて、両中段スライドレール72aの上部と第3選別網9との間から穀物M1がこぼれ落ちて下側ケース6の内側に残留してしまうことを防止できるようになっている。
【0087】
以上より、本発明の実施形態によると、蓋板4を手で持って上側ケース2から引き離すと、蓋板4と共に第1選別網3が網取出口24を介して上側ケース2から引き出される一方、蓋板4を手で持って上側ケース2に押して近づけると、蓋板4と共に第1選別網3が網取出口24を介して上側ケース2に押し込まれるようになる。このように、蓋板4の上側ケース2に対する取外動作及び取付動作を行えば、同時に、第1選別網3の上側ケース2に対する引出動作及び押込動作を行うことができるので、第1選別網3を上側ケース2に簡単に取り付けるか、或いは、取り外すことができる。
【0088】
また、蓋板4を上側ケース2から引き離すと、蓋板4と共に第1選別網3が網取出口24を介して上側ケース2から引き出されるので、作業者は、網取出口24に手を入れて第1選別網3を掴んで引き出す必要が無くなる。したがって、効率良く第1選別網3を取り外して清掃作業を行うことができる。
【0089】
また、作業者は、第1選別網3の清掃作業を行う際、把手5を把持して第1選別網3を上側ケース2から引き出すか、或いは、上側ケース2に押し込むことができるようになる。したがって、作業者は、第1選別網3を安定した状態で持つことができるようになり、第1選別網3の清掃作業を安全に行うことができる。また、作業者は、把手5を把持して上側ケース2から取り外した第1選別網3を運搬することができるようになるので、第1選別網3を簡単に移動させることができる。
【0090】
また、各第1フレーム部51が蓋板4の長手方向と交差する方向に延びているので、単なる板状の蓋板と比較して、蓋板4における各第1フレーム部51周りの断面係数が大きくなる。したがって、蓋板4における各第1フレーム部51周りの剛性が高くなり、蓋板4が変形して上側ケース2との間に隙間を発生させるといったことを防ぐことができる。また、把手5が比較的シンプルな形状の3つの部品で組み立てられた構成になるので、製造コスト及び部品コストを低く抑えることができる。
【0091】
また、蓋板4に締結部材53による上側ケース2との締結部分が無いので、蓋板4において上側ケース2との重なる領域を狭くすることができるようになる。したがって、材料歩留まりが良くなって低コストな選別機1にすることができる。
【0092】
さらに、把手5は蓋板に溶接により取り付けられているので、蓋板4に把手5を固定するための孔が形成されない。したがって、蓋板4に把手5を固定するために形成する孔を介して上側ケース2の内側から糠等が漏れ出るといったことを防ぐことができる。
【0093】
尚、本発明の実施形態では、把手5が2つの第1フレーム部51と1つの第2フレーム部52との3つの部品で構成されているが、これに限らず、例えば、幅広のU字形状をなす1つの部品で構成されていてもよい。
【0094】
また、本発明の実施形態では、第1選別網3を操作したり、或いは、運んだりする際に安全に作業を行うために、把手を追加してもよい。例えば、下部フレーム31cの下部に下方に突出するように把手を追加することにより、作業者が把手5を左手で持つ一方、追加した把手を右手で持つことで安全に作業を行うことができる。
【0095】
また、本発明の実施形態では、蓋板4を上側ケース2に締結部材53で固定しているが、これに限らず、例えば、パッチン錠やトグルクランプ等で蓋板4を上側ケース2に固定するようにしてもよい。
【0096】
また、第1選別網3が重い場合には、網取出口24から外側方に延びる支持手段を設けて、当該支持手段が上側ケース2から引き出した第1選別網3を下方から支持するような構成にしてもよい。
【0097】
また、本発明の実施形態では、第2ノブボルト75によって中段スライドレール72aの側面に第3選別網9を押し付ける一方、第3ノブボルト76によって中段スライドレール72aの上部に第3選別網9を押し付けるような構成になっているが、第3選別網9をその長手方向他側に向かって下方から斜め上側に押圧する1つのノブボルトによって第3選別網9を中段スライドレール72aの側面と上部とに同時に押し付けるような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、選別網を通過するか否かで穀物を選別する穀物の流下式選別機に適している。
【符号の説明】
【0099】
1 選別機
2 上側ケース(本体ケース)
3 第1選別網
4 蓋板
5 把手
24 網取出口
51 第1フレーム部
51a 延出支持部
52 第2フレーム部
53 締結部材
M1 穀物
図1
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