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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144348
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】装着型トレーニング器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20220926BHJP
   A63B 21/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A63B23/04 C
A63B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045296
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】清原 武彦
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝
(72)【発明者】
【氏名】林 真理子
(57)【要約】
【課題】内転筋群を選択的に鍛えることができる装着型トレーニング器具を提供すること。
【解決手段】装着型トレーニング器具20は、装着者の腰部に装着される腰装着部22と、装着者の脚部に装着される脚装着部24と、脚装着部24を腰装着部22に回動可能に接続するアーム部26と、アーム部26に負荷を発生させる負荷発生部30と、を備え、装着者が装着型トレーニング器具20を装着した状態で歩行等を行うと、装着者の脚部の動きに応じて脚装着部24が移動し、脚装着部24の動きに伴ってアーム部26が回動する。このとき、負荷発生部30によってアーム部26に負荷が発生するため、装着者が歩行等を行うことにより、装着者の脚に負荷を与えることができ、腸腰筋や内転筋群等を鍛えることができる装着型トレーニング器具を提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者が装着して使用する装着型トレーニング器具であって、
前記装着者の腰部に装着される腰装着部と、
前記装着者の脚部に装着される脚装着部と、
前記脚装着部と前記腰装着部とを回動可能に接続するアーム部と、
前記アーム部が回動する際、前記装着者の脚に側面方向の負荷を発生させる負荷発生部と、
を備えたことを特徴とする、
装着型トレーニング器具。
【請求項2】
前記負荷発生部は、前記装着者が装着した際、前記装着者の進行方向及び側面方向に負荷を発生させることを特徴とする、
請求項1に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項3】
前記負荷発生部は、前記装着者の脚が後方側に位置する際に負荷を発生させることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項4】
前記負荷発生部によって発生した負荷は、装着者の股関節角度が-10°から-20°の間に最大となることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項5】
前記負荷発生部は、前記装着者が装着した際、前記装着者の側面方向に突出する突出部を有する誘導部と、
を備え、
前記アーム部は、前記突出部に沿って回動することを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項6】
前記突出部は、前記装着者に装着された際、前記誘導部の中央より後方側に位置することを特徴とする、
請求項5に記載の装着型トレーニング器具。
【請求項7】
前記アーム部は、弾性を有する素材からなることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか1項に記載の装着型トレーニング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現代において、慢性的な運動不足・歩行不足による筋力の低下と、それに伴う諸問題が提起されている。筋力を適切に維持するためには適度な負荷を日常的に筋肉に与える必要があるが、現代の標準的な生活では歩行に関わる筋肉に十分な負荷を与えられていない場合が多く、その結果、加齢とともに下肢筋力の低下が起こり、歩行機能の低下や様々な疾病発症の原因となっている。
【0003】
例えば、下肢筋群において、特に筋力低下が問題となるのは腸腰筋と内転筋群である。両者とも股関節の動作に関わる大きな筋肉であり、腸腰筋は股関節の屈曲に、内転筋群は股関節の内転にそれぞれ大きく寄与し、殿筋群と拮抗する筋肉であるが、日常生活の中で使用頻度が高い殿筋群と比べ、筋力が低下しやすい傾向がある。このうち、腸腰筋の筋力低下は歩幅の減少をもたらし、歩行機能の低下の主因となり、内転筋群の筋力低下は歩行中の股関節の外旋(いわゆる、「ガニ股」)誘発の原因となる。
【0004】
従来、腸腰筋に対して効果的に負荷を加えることができ、子供から高齢者に至るまで、さらにはアスリートに対しても効果的に腸腰筋を鍛えることができるトレーニング器具が知らえている。例えば、特許文献1には、少なくとも大転子より上方に装着される第1装着部と、大腿部に固定される第2装着部と、前記第1装着部と前記第2装着部との間に配置される負荷発生手段と、を備え、前記負荷発生手段は、脚を前方に降り出す場合に付加が加わることを特徴とするトレーニング器具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-81305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のトレーニング器具では、腸腰筋を効果的に鍛えることが可能であるが、内転筋群を選択的に鍛えることができないという課題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、内転筋群を選択的に鍛えることができる装着型トレーニング器具を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明の装着型トレーニング器具は、
装着者が装着して使用する装着型トレーニング器具であって、
前記装着者の腰部に装着される腰装着部と、
前記装着者の脚部に装着される脚装着部と、
前記腰装着部と前記脚装着部とを回動可能に接続するアーム部と、
前記アーム部が回動する際、前記装着者の脚に側面方向の負荷を発生させる負荷発生部と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0010】
この装着型トレーニング器具は、装着者の腰部に装着される腰装着部と、装着者の脚部に装着される脚装着部と、を備えており、腰装着部と脚装着部とはアーム部で回動可能に接続されているため、装着者が歩行・走行することでアーム部が回動する。このとき、アーム部の回動に伴って装着者の側面方向に負荷を発生させる負荷発生部が備えられているため、アーム部の回動に伴って装着者の側面方向に負荷が発生する。こうすることにより、内転筋群に選択的に負荷を与え、内転筋郡を選択的に鍛えることができる。
【0011】
本発明の装着型トレーニング器具において、前記負荷発生部は、前記装着者が装着した際、前記装着者の進行方向及び側面方向に負荷を発生させることを特徴としてもよい。こうすることにより、内転筋群に加え、腸腰筋にも負荷を与えることができるため、下肢筋力の低下を低減し、歩行機能の低下を未然に低減することができる。
【0012】
本発明の装着型トレーニング器具において、負荷発生部は、前記装着者の脚が後方側に位置する際に負荷を発生させることを特徴としてもよい。内転筋郡は、歩行する際、脚が後方側に位置する際に働きが高まることが知られているため、脚が後方側に位置する際に負荷を発生させることにより、効率的に内転筋を鍛えることができる。
【0013】
本発明の装着型トレーニング器具において、前記負荷発生部によって発生した負荷は、装着者の股関節角度が-10°から-20°の間に最大となることを特徴としてもよい。内転筋郡への負荷は、装着者の股関節角度が0°から-30°の間で加えることが効率的であり、-10°から-20°の間で加えることがより効率的であることが知られているため、この角度で負荷を加えることで、内転筋群に対する筋活動の増加を図ることができ、効率的に内転筋群を鍛えることができる。なお、ここで股関節角度とは、脚部の付け根から鉛直方向に対して脚部の先端方向がなす角度を意味し、進行方向側を正の角度、背面方向側を負の角度とする。
【0014】
本発明の装着型トレーニング器具において、前記負荷発生部は、前記装着者が装着した際、前記装着者の側面方向側に突出する突出部を有する誘導部と、を備え、前記アーム部は、前記突出部に沿って回動することを特徴としてもよい。こうすることによって、アーム部が回動するに伴ってアーム部が突出部の突出方向に誘導されることになり、突出部の突出方向側にアーム部が移動するに伴って脚装着部が移動し、外力を必要とすること無く、装着者の脚部に突出部方向へ負荷を与えることができる。
【0015】
この態様を採用した本発明の装着型トレーニング器具において、前記突出部は、前記装着者に装着された際、前記誘導部の中央より後方側に位置することを特徴としてもよい。こうすることにより、保持部が誘導部の中央より後方側に位置する際、すなわち、装着者の脚部が装着者の背面側に位置する場合に負荷を発生させることができるため、効率的に内転筋群を鍛えることができる。
【0016】
本発明の装着型トレーニング器具において、前記アーム部は、弾性を有する素材からなることを特徴としてもよい。こうすることにより、装着者がバランスを崩す等によってアーム部に強い力が加えられた場合や、負荷発生部の負荷が強すぎる場合等でも、アーム部の弾性によって一部が吸収されるため、装着型トレーニング器具が破損する可能性を未然に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、装着型トレーニング器具20の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、負荷発生部30の内部構造の概略を示す側面図である。
図3図3は、負荷発生部30の内部構造の概略を示す底面図である。
図4図4は、股関節角度を説明するための説明図である。
図5図5は、股関節角度の変化と進行方向の負荷の変化の関係を示すグラフである。
図6図6は、股関節角度の変化と側面方向の負荷の変化の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の一例として、装着型トレーニング器具20ついて詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
本発明の実施の形態の一例である装着型トレーニング器具20は、図1に示すように、装着者の腰部に装着される腰装着部22と、装着者の脚部に装着される脚装着部24と、脚装着部24を腰装着部22に回動可能に接続するアーム部26と、アーム部26に負荷を発生させる負荷発生部30と、を備えている。この装着型トレーニング器具20は、装着者の腰部に腰装着部22を、装着者の脚部に脚装着部24を、それぞれ装着して使用する。装着者が装着型トレーニング器具20を装着した状態で歩行や足踏み(以下、「歩行等」と言う。)を行うと、装着者の脚部の動きに応じて脚装着部24が移動し、脚装着部24の動きに伴ってアーム部26が回動する。このとき、に負荷発生部30によってアーム部26に負荷が発生するため、装着者が歩行等を行うことにより、装着者の脚に負荷を与えることができ、腸腰筋や内転筋群等を鍛えることができる。
【0020】
腰装着部22は、装着者の腰部に装着型トレーニング器具20を取り付けるための部材である。腰装着部22が装着者の腰部に装着された際には、腰装着部22が装着者の仙骨と平行となる位置に位置決めされることにより、装着者の適切な位置に位置決めされ、腸腰筋や内転筋に効率よく負荷を与えることができる。なお、腰装着部22は、例えば、ベルト状の形状であっても良いし、スパッツ等のように衣類形状であってもよいし、衣類等に固定される固定具等であってもよい。いずれの形状であっても、装着者の腰部に装着可能な形状であれば、その形状を特に限定するものではない。
【0021】
脚装着部24は、装着者の脚部に装着型トレーニング器具20を取り付けるための部材であり、腰装着部22とアーム部26で回動可能に連接去れている。この脚装着部24としては、例えば、アーム部26の一端側に固定される脚部に巻きつけ可能なベルト形状の部材である。なお、脚装着部24は、装着者の脚部であって、大腿部の下方位置であって膝より上位置に装着されることがより好ましい。こうすることにより、腸腰筋や内転筋郡に効率よく負荷を与えることができる。
【0022】
アーム部26は、腰装着部22と脚装着部24とを回動可能に接続する部材であり、装着者が装着した際、腰装着部22と脚装着部24とを回動可能に接続する。このため、装着者の脚部が装着者の歩行等によって移動すると、装着者の脚部の移動に伴って脚装着部24が移動し、脚装着部24の移動に伴って、アーム部26が回動する。また、アーム部26は、例えば、平板状の金属や樹脂等、弾性を有する素材からなる帯状の部材である。こうすることにより、装着型トレーニング器具20をズボン等の衣類の内側に装着した際、アーム部26が衣類等の外側から視認しにくく、周囲の人に装着型トレーニング器具20を装着していることを視認されにくい。また、アーム部26は弾性を有する素材からなる帯状の部材であるため、装着者がバランスを崩す等によってアーム部26に強い力が加えられた場合や、負荷発生部30の負荷が強すぎる場合等でも、アーム部26の弾性によって一部が吸収されるため、装着型トレーニング器具20の破損する可能性を未然に低減することができる。このとき、装着者と平行となる面が装着者と略垂直となる面よりも広い面積を有する平板形状とすることにより、装着者の進行方向側よりも装着者の側面方向側が強い剛性を有することになり、内転筋群に効率的に付加を加えることができる。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、アーム部26が装着者に装着された際、装着者側の面であって、誘導部40に設けられた後述する突出部40aと対向する位置には、アーム部26の回動に伴って回転する回転体26aが誘導部40の表面と当接する状態で設けられている。このため、アーム部26が回動する際、回転体26aが誘導部40の表面に沿って滑らかに誘導することになり、突出部40aの突出に伴って突出方向(装着者に装着された際、装着者から離れる方向)にアーム部26が移動することになる。こうすることにより、装着者から離れる方向に負荷を与えることができ、内転筋群を選択的に鍛えることができる。
【0024】
負荷発生部30は、図1に示すように、腰装着部22の側面側に位置し、装着者の脚部に装着された脚装着部24が装着者の歩行等によって移動した際、アーム部26の回動に伴ってアーム部26に負荷を与える部材である。このとき、負荷発生部30は、脚の進行方向側と進行方向と反対側及び脚の側面方向側のそれぞれの方向に負荷を与える。こうすることにより、装着者の歩行等の状態に応じて脚部に負荷を加えることができ、腸腰筋や内転筋群を鍛えることができる。
【0025】
この負荷発生部30は、図2及び図3に示すように、アーム部26に接続され、アーム部26の回動に伴って回動するカム32と、装着者に装着された際、側方側に突出する突出部40aを有する誘導部40と、を備えている。この負荷発生部30は、装着者が歩行等する際、歩行等に伴って股関節角度が変化すると、脚装着部24の移動に伴ってアーム部26が回動し、アーム部26の回動に伴ってカム32が回動する。カム32は、カム回転軸32aからの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有する板カムであり、装着者の股関節角度に応じた負荷を進行方向側及び進行方向と反対側に与えることができ、腸腰筋を効率よく鍛えることができる。なお、ここで、「股関節角度」とは、図4に示すように、鉛直方向Aに対して脚部Bの角度(図4中α)を意味し、脚部Bの角度が進行方向(正面側)に位置する場合が正、進行方向とは逆方向(背側)に位置する場合を負とする。
【0026】
ここで、カム32の形状について、詳しく説明する。カム32は、図2に示すように、カム回転軸32aからの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有する板カムである。こうすることにより、カム32が回動する際、一定角度に対して中心から外周面との距離が長くなる変化率(mm/°)が大きくなる位置では負荷が大きくなり、一定角度変化に対して中心から外周面との距離が短くなる変化率(mm/°)が小さくなる位置では負荷が小さくなるため、アーム部26の回動に伴ってカム32が回動する際、カム32の回転角によって脚への負荷(装着者が装着した際、進行方向及び進行方向と反対方向への負荷)を股関節角度に応じて調節することができる。
【0027】
装着者への負荷は、例えば、図5に示すように、装着者の股関節角度が0°から-30°の間で加えることが好ましく、-10°から-20°の間で加えることがより好ましい。すなわち、脚が身体より背側に位置する際、進行方向への負荷が最も大きくなる負荷を与えることが好ましい。こうすることにより、腸腰筋を効率よく鍛えることができる。なお、股関節角度が正の状態では、股関節屈曲方向に負荷がかかっているため、装着者の歩行に対して、負の負荷、すなわち、歩行をアシストする方向に力を受けることになる。また、ここで、図5は、負荷と股関節角度の関係を示すグラフである、縦軸が股関節屈曲方向を正とした前後方向の負荷(N)、横軸が股関節角度(°)をそれぞれ示す。
【0028】
誘導部40は、図2及び図3に示すように、装着者に装着された際、装着者の後方側となる位置(誘導部40の中央より装着者に装着された際後方側となる位置,図2中右方側及び図3中下方側)がアーム部26側に湾曲して突出する突出部40aを有する板状の部材である。この突出部40aと対向する位置には、アーム部26の内側面(装着者側の面)に設けられた回転体26aが位置する。こうすることにより、装着者の脚が後方側に位置する際、アーム部26の回動に伴って誘導部40の側面に沿って移動し、突出部40aの湾曲に沿って装着者から遠ざかる方向に導かれることになり、脚に外側方向の負荷を加えることができ、内転筋群を効率的に鍛えることができる。
【0029】
装着者への負荷は、例えば、図6に示すように、装着者の股関節角度が-10°から-20°の間、すなわち、脚が身体より背側に位置する際、装着者から遠ざかる方向への負荷が最も大きくなる負荷を与えることが好ましい。こうすることにより、内転筋群を効率よく鍛えることができる。なお、ここで、図6は、負荷と股関節角度の関係を示すグラフである、縦軸が股関節屈曲方向を正とした前後方向の負荷(N)、横軸が股関節角度(°)をそれぞれ示す。
【0030】
以上詳述した実施の形態の装着型トレーニング器具20によれば、装着者の腰部に腰装着部22を、脚に脚装着部24をそれぞれ装着し、歩行等を行うと、歩行等に伴ってアーム部26の回動に伴い、脚装着部24が装着者から離れる方向に移動することで、装着者の脚に外側方向の負荷を与える。こうすることにより、内転筋群に選択的に負荷を与え、効率的に鍛えることができる。
【0031】
また、装着者が歩行等を行うと、歩行等に伴ってアーム部26が回動するに伴い、カム回転軸32aからの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有するカム32が回動することで、股関節角度に応じて進行方向側及び進行方向と反対側の負荷を与えるため、装着者の腸腰筋に選択的に負荷を与え、腸腰筋と内転筋群の両方を効率的に鍛えることができる。
【0032】
更に、突出部40aは、装着者に装着された際、後方側に位置するため、装着者の脚が装着者の後方側に位置する際、装着者の脚に装着者から離れる方向(外側方向)の負荷を与えることになり、内転筋郡は、歩行する際、脚が後方に位置する際に働きが高まることが知られているため、脚が後方側に位置する際に負荷を発生させることにより、効率的に内転筋を鍛えることができる。
【0033】
更にまた、負荷発生部30によって与えられる負荷は、装着者の股関節角度が-10°から-20°の間に最大となるため、内転筋群に対する筋活動の増加を図ることができ、効率的に内転筋群を鍛えることができる。
【0034】
そして、アーム部26は、装着者の歩行等に伴って湾曲する突出部40aの形状に沿って装着者から離れる方向に移動することで、装着者の脚に装着者から離れる方向(外側方向)の負荷を与える。こうすることにより、内転筋群に選択的に負荷を与え、効率的に鍛えることができる。
【0035】
そしてまた、突出部40aは、装着者に装着された際、装着者の背面側の位置に位置するため、装着者の脚が装着者の後方側に位置すると、アーム部26が突出部40aの形状に沿って装着者から離れる方向に移動し、装着者の脚が後方側に位置する際に外側方向の負荷を与えることができる。
【0036】
そして更に、アーム部26は、弾性を有する素材からなるため、装着者がバランスを崩す等によってアーム部に強い力が加えられた場合や、負荷発生部の負荷が強すぎる場合等でも、アーム部の弾性によって一部が吸収されるため、装着型トレーニング器具20が破損する可能性を未然に低減することができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施の形態では、誘導部40は、装着者の後方側となる位置がアーム部26側に湾曲して突出する突出部40aを有する板状の部材であり、アーム部26に設けられた回転体26aが回転することで、アーム部26が誘導部40の側面の湾曲に沿って移動するものとしたが、誘導部40の形状は、アーム部26を外側方向に誘導できる構造であればこれに限定されるものではなく、例えば、湾曲する誘導部40の側面に溝やレール等の誘導構造を有するものであってもよいし、誘導部40に回転体を備え、アーム部26に誘導構造を有するものであってもよいし、回転体26aをカム回転軸からの距離が周面の位置によって異なる周面を有する円弧からなる外周面を有するカムとしてもよい。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
上述した実施の形態で示すように、トレーニング分野、特に、腸腰筋及び内転筋群のトレーニング器具として利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
20…装着型トレーニング器具、22…腰装着部、24…脚装着部、26…アーム部、26a…回転体、30…負荷発生部、32…カム、32a…カム回転軸、40…誘導部、40a…突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6