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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144386
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】インクジェット塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20220926BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20220926BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B41J2/175 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045369
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久嘉
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC54
2C056FA04
2C056JC13
2C056KB21
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA23
4F041BA60
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042CC04
4F042CC07
(57)【要約】
【課題】インクジェットヘッドに塗布液を供給する送液配管内の塗布液が要因となってノズル詰まりを発生させるのを抑えることができるインクジェット塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布液が貯留される塗布液タンクと、塗布液タンクと送液配管で連結され、液滴状の塗布液を吐出するインクジェットヘッドとを備え、送液配管には、送液配管内を洗浄するインライン洗浄部が設けられている構成とし、インライン洗浄部が送液配管内の塗布液、又は、洗浄液を介して洗浄機能が発揮される構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液が貯留される塗布液タンクと、
前記塗布液タンクと送液配管で連結され、液滴状の塗布液を吐出するインクジェットヘッドと、
を備え、
前記送液配管には、前記送液配管内を洗浄するインライン洗浄部が設けられていることを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項2】
前記インライン洗浄部は、前記送液配管に接続され洗浄液が送液される洗浄配管と、洗浄機能を発揮させる洗浄機能部とによって形成され、前記洗浄機能部が洗浄液を介して洗浄機能が発揮されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット塗布装置。
【請求項3】
前記インライン洗浄部は、洗浄機能を発揮させる洗浄機能部で形成されており、この洗浄機能部が前記送液配管に設けられており、前記送液配管の塗布液を介して洗浄機能が発揮されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット塗布装置。
【請求項4】
前記洗浄機能部は、超音波振動子であることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット塗布装置。
【請求項5】
前記洗浄機能部は、マイクロバブル発生器であることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴状の塗布液を吐出するインクジェット塗布装置であり、洗浄機構を有するインクジェット塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスやフィルム等の基材上に線分、矩形状等、様々な形状の塗布膜(膜パターン)がインクジェット塗布装置により形成されている。インクジェット塗布装置は、図9(a)に示すように、基材Wを載置するステージ100と、塗布液(液滴)を吐出するヘッドモジュール102を有するインクジェットヘッド101を備えており、基材Wとインクジェットヘッド101を相対的に移動させつつ基材W上の所定位置にヘッドモジュール102のノズル孔104から液滴を吐出することにより精度のよい膜パターンが形成される。
【0003】
インクジェット塗布装置は、稼働するに伴い、ノズル孔104(図9(b)参照)が形成されるノズル面103に塗布液が付着することにより、吐出不良や飛行曲がり等が生じ、着弾精度が低下する。そのため、インクジェット塗布装置は、洗浄装置110を備えており、インクジェットヘッド101を定期的に洗浄することにより塗布液を精度よく着弾させることができる。すなわち、洗浄装置110は、ノズル面103を洗浄液で洗浄する洗浄部110aと、洗浄後のノズル面103を拭き取る拭き取り部110bと、液滴を吐出させるトレイ部110cとを有しており、ノズル面103が洗浄装置101で洗浄されることにより、それぞれのノズル孔104の吐出状態が回復される。そして、トレイ部110cにおいて、ノズル孔104から塗布液を強制的に吐出させることにより、ブリード、フラッシングが行われ、再度、ノズル面103が拭き取られることにより、ノズル孔104の吐出状態が正常に回復される(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-201076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のインクジェット装置では、ノズル詰まりが完全には解消されない場合があるという問題があった。すなわち、インクジェットヘッド101への塗布液の供給は、塗布液タンクから送液配管を通じて行われるが、この送液配管に塗布液がゲル化、固化する場合がある。そして、一度ゲル化、固化した塗布液が送液配管から剥離すると、送液配管内で塗布液と共に送液され、ノズル孔内に入ってノズル詰まりを発生させる場合があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、インクジェットヘッドに塗布液を供給する送液配管内の塗布液が要因となってノズル詰まりを発生させるのを抑えることができるインクジェット塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のインクジェット塗布装置は、塗布液が貯留される塗布液タンクと、前記塗布液タンクと送液配管で連結され、液滴状の塗布液を吐出するインクジェットヘッドと、を備え、前記送液配管には、前記送液配管内を洗浄するインライン洗浄部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記インクジェット塗布装置によれば、送液配管にインライン洗浄部が設けられているため、このインライン洗浄部により送液配管内を洗浄することができる。すなわち、送液配管内で塗布液がゲル化、固化する場合があっても、インライン洗浄部により送液配管内が洗浄され、ゲル化、固化した塗布液が剥離してノズル詰まりを発生させるのを抑えることができる。
【0009】
また、前記インライン洗浄部は、前記送液配管に接続され洗浄液が送液される洗浄配管と、洗浄機能を発揮させる洗浄機能部とによって形成され、前記洗浄機能部が洗浄液を介して洗浄機能が発揮される構成としてもよい。
【0010】
この構成によれば、洗浄液配管から送液配管に供給された洗浄液を介して洗浄機能部による洗浄機能を送液配管に対して発揮させることができるため、送液配管に洗浄液のみを送液させて洗浄する場合に比べて、ゲル化、固化した塗布液を効果的に除去することができる。
【0011】
また、前記インライン洗浄部は、洗浄機能を発揮させる洗浄機能部で形成されており、この洗浄機能部が前記送液配管に設けられており、前記送液配管の塗布液を介して洗浄機能が発揮される構成にしてもよい。
【0012】
この構成によれば、送液配管内の塗布液を介して洗浄機能を発揮させることができるため、送液配管内の液環境を変えることなく、また、洗浄後に送液配管内を乾燥させる必要がないため、洗浄機能部による洗浄処理を所定のタイミングで行うことができる。
【0013】
また、具体的な洗浄機能部の態様としては、超音波振動子、マイクロバブル発生器を使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインクジェット塗布装置によれば、インクジェットヘッドに塗布液を供給する送液配管内の塗布液が要因となってノズル詰まりを発生させるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるインクジェット塗布装置を概略的に示す側面図である。
図2】上記インクジェット塗布装置を概略的に示す上面図である。
図3】インクジェットヘッドの周りの配管経路図である。
図4】上記インクジェットヘッドを示す図であり、(a)はノズル面側から見た図、(b)はヘッドモジュールの拡大図である。
図5】洗浄部をY軸方向から見た図である。
図6】洗浄部をX軸方向から見た図である。
図7】拭き取り部を示す図である。
図8】他の実施形態におけるインクジェットヘッドの周りの配管経路図である。
図9】従来のインクジェット塗布装置を概略的に示す図であり、(a)は側面図、(b)はインクジェットヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のインクジェット塗布装置に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、洗浄装置を備えたインクジェット塗布装置の一実施形態を示す側面図であり、図2は、インクジェット塗布装置の上面図、図3は、インクジェットヘッドの周りの配管経路図、図4は、インクジェットヘッドをノズル面側から見た図である。なお、本実施形態のインクジェット塗布装置に用いられるインクは、カラーフィルタに用いられるインクや、有機EL、配線パターンの導電性インク、保護膜等、インクジェット形式で吐出できるものであれば、あらゆるものを対象とすることができる。
【0018】
図1図4に示すように、インクジェット塗布装置1は、基材Wを載置するステージ2と、基材Wにインクを吐出する液滴ユニット3とを有しており、液滴ユニット3がステージ2に載置された基材W上を移動しつつ、インクを所定の位置に吐出することにより、基材W上に所定のパターンが形成される。
【0019】
なお、以下の説明では、この液滴ユニット3が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0020】
液滴ユニット3は、本実施形態では、基材W上に塗布液(液滴)を塗布するものであり、塗布液を吐出するインクジェットヘッド31と、このインクジェットヘッド31を支持するガントリ32とを有している。ガントリ32は、ステージ2のY軸方向両端部分に設けられる支持部材32aと、これら2つの支持部材32aを連結するビーム部32bとを有しており、支持部材32aとビーム部32bによって略門型形状を有している。また、ステージ2に隣接する位置には、X軸方向に延びるレール21が設けられており、支持部材32aは、それぞれレール21上に沿ってスライド自在に設けられている。そして、支持部材32aには、リニアモータなどの駆動手段が設けられており、リニアモータを駆動制御することにより、支持部材32aがX軸方向に移動し、任意の位置で停止できるようになっている。すなわち、液滴ユニット3がステージ2上を跨ぐ状態でX軸方向に移動し、任意の位置で停止することができる。なお、レール21は、洗浄装置4まで延びており、リニアモータを駆動制御することにより、液滴ユニット3が洗浄装置4で停止することができる。
【0021】
また、ビーム部32bには、インクを吐出するインクジェットヘッド31が設けられている。インクジェットヘッド31は、ビーム部32bが支持部材32aに対して昇降動作することにより、基材Wに対して昇降動作できるようになっている。これにより基材Wにインクを吐出する塗布動作の際には、基材Wとインクジェットヘッド31との距離が適切になるように調節される。また、インクジェットヘッド31は、ビーム部32bに沿ってY軸方向に移動可能に取付けられている。すなわち、X軸方向の所定位置で基材Wと対向するインクジェットヘッド31は、Y軸方向に移動することにより、そのX軸方向所定位置における基材WのすべてのY軸方向領域と対向できるようになっている。すなわち、支持部材32aがレール21に沿って移動することによりX軸方向に移動し、さらにインクジェットヘッド31がビーム部32bに沿ってY軸方向に移動することにより、基材Wの所定位置にインクジェットヘッド31が移動しインクを着弾させることができるようになっている。
【0022】
また、インクジェットヘッド31は、基材Wに対向する基材対向面30a(図4(a)参照)に、複数のヘッドモジュール5を搭載しており、このヘッドモジュール5からインクが吐出される。ヘッドモジュール5は、ピエゾ素子を駆動源としたインク吐出装置である。ヘッドモジュール5は、インクを吐出するノズル孔51を有しており、基材Wに対向するノズル面51a(図4(b)参照)に複数のノズル孔51がヘッドモジュール5の長手方向に一方向に並んで配置されている。図4の例では、ノズル孔51がY軸方向に配列されている。
【0023】
そして、ヘッドモジュール5は、Y軸方向において、それぞれが互いに重複する部分を有し、かつ、X軸方向に隣接して配置されており、複数のヘッドモジュール5が、いわゆる階段状に配置されている。すなわち、ヘッドモジュール5は、ノズル配置間隔とヘッドモジュール5の両端部分とでは寸法が異なっているため、この両端部分の寸法分を相殺できるようにX軸方向にずらしつつY軸方向に配列される。そして、この階段状に配置された3つのヘッドモジュール5の集合体をヘッドモジュール5の両端部分の寸法分を相殺できるように繰り返しY軸方向に配置することにより、インクジェットヘッド31全体としてX軸方向に見て、すべてのノズル孔51がY軸方向に沿って配列され、X軸方向から見てY軸方向に亘って等間隔で配置される。
【0024】
ヘッドモジュール5は、ノズル面51aに複数のノズル孔51が形成されており、ノズル孔51の先端位置とノズル面51aとがほぼ一致するように形成されている。すなわち、ノズル面51aは平坦な形状を有しており、ノズル孔51がノズル面51aと面一になっている。そして、インクジェットヘッド31には、一体化されたすべてのヘッドモジュール5のノズル面51aが基材W側に向く状態で配置されており、全てのノズル面51aが基材Wと平行になっている。そして、ピエゾ素子を駆動させることにより、ノズル面51aに配列された各ノズル孔51から一滴ずつインクを吐出できるようになっている。
【0025】
また、インクジェットヘッド31に供給される塗布液は、塗布液タンク10(図3参照)に収容されている。この塗布液タンク10は、基材Wに吐出するための塗布液を貯留するためのものであり、生産に必要となる量の塗布液が貯留されている。そして、図3に示すように、インクジェットヘッド31は、塗布液タンク10と送液配管11で連結されており、塗布液タンク10が加圧されることにより、塗布液タンク10の塗布液が送液配管11を通じてインクジェットヘッド31に送液される。また、送液配管11には、気泡除去タンク12が設けられており、この気泡除去タンク12により塗布液内の気泡を含む異物が除去されるようになっている。
【0026】
また、ステージ2のX軸方向に隣接する位置には、洗浄装置4が配置されている。この洗浄装置4は、ヘッドモジュール5のノズル面51aに付着した塗布液を除去し、ノズル孔51の吐出状態を回復するためのものであり、ノズル面51aを洗浄する洗浄部41と、洗浄後のノズル面51aを拭き取る拭き取り部71とを有している。
【0027】
洗浄部41は、図5図6に示すように、廃棄する洗浄液等(洗浄液、及び、除去されたインクの混合物)を受ける廃液トレイ41と、洗浄液を噴出する洗浄ユニット42とを有している。洗浄動作時には、インクジェットヘッド31が廃液トレイ41上に配置された状態で洗浄ユニット42から噴出された洗浄液をノズル面51aに噴出することによりインクの除去が行われる。
【0028】
廃液トレイ41は、上方に開放された器形状を有しており、廃棄すべき洗浄液等を貯めることができる。廃液トレイ41内には、洗浄ユニット42が設けられている。この洗浄ユニット42は、洗浄液を噴出する洗浄液噴射部43と、洗浄液噴射部43が取り付けられる洗浄フレームトレイ44とを有しており、洗浄フレームトレイ44がインクジェットヘッド31に当接した状態で洗浄液噴射部43から洗浄液を噴出させることによりノズル面51aを洗浄することができる。
【0029】
洗浄フレームトレイ44は、その底面部44aに洗浄液噴射部43が取り付けられている。この洗浄フレームトレイ44は、インクジェットヘッド31とほぼ同じ大きさに形成されており、底面部44aの周囲に位置する端部から垂直に延びる側壁部44bが、洗浄フレームトレイ44の上方にインクジェットヘッド31が配置された際に、インクジェットヘッド31と対向するようになっている。そして、側壁部44bには、基材対向面30aに対向する対向面44b1にはシール部46が環状に設けられており、シール部46の一部が対向面44b1から突出するように配置されている。
【0030】
また、洗浄フレームトレイ44には、鉛直方向に昇降する昇降機構49が設けられており、洗浄フレームトレイ44の上方にインクジェットヘッド31が配置された状態で、インクジェットヘッド31に対して近接、離間できるように構成されている。そのため、洗浄フレームトレイ44の上方にインクジェットヘッド31が配置された状態で、昇降機構49により洗浄フレームトレイ44を上昇させると、側壁部44bに設けられたシール部46がインクジェットヘッド31の基材対向面30aに当接し、インクジェットヘッド31の基材対向面30aと洗浄フレームトレイ44とで形成された領域が外部に対して密封されるようになっている。これにより、洗浄液噴射部43から洗浄液を噴出させても洗浄液が外部に飛散するのを防止できるようになっている。
【0031】
洗浄液噴射部43は、洗浄液をインクジェットヘッド31のノズル面51aに直接噴出するものである。洗浄液噴射部43は、シャワー型のノズル(シャワーノズル47)であり、本実施形態では2つのシャワーノズル47が一方向に沿って配置されている。具体的には、洗浄フレームトレイ44の幅方向(短手方向)中央位置に2つのシャワーノズル47が設けられており、この2つのシャワーノズル47が長手方向に所定間隔で複数箇所に設けられている(図6参照)。すなわち、シャワーノズル47は、洗浄フレームトレイ44の上方にインクジェットヘッド31が配置された状態でインクジェットヘッド31の長手方向にわたって洗浄液を噴出できる位置に配置されている。
【0032】
シャワーノズル47は、洗浄液が噴出される部分であり、本体部分に洗浄液が噴射される噴射口が多数形成されている。これらの噴射口は、洗浄フレームトレイ44の上方にインクジェットヘッド31が配置された状態で、インクジェットヘッド31のノズル面51aに向かって直接噴射される向きに設定されている。本実施形態では、シャワーノズル47は、本体部分から扇型に噴射されるように設定されており、基材対向面30aに配置されるすべてのヘッドモジュール5のノズル面51aに向かって吹き付けるように洗浄液が噴射される。これにより、ノズル面51aに付着したインクは、洗浄液の成分により軟化されつつ、洗浄液の噴射力により、ノズル面51aから引き剥がされて除去される。
【0033】
また、拭き取り部71は、シャワーノズル47による洗浄後、ノズル面51aに残留する洗浄液を拭き取るためのものである。具体的には、図7に示すように、Y軸方向に離れて配置されたロール72間に帯状の布部材である拭き取り部材73が掛け渡されており、一方のロール72から拭き取り部材73が繰り出され、もう一方のロール72で拭き取り部材73が巻き取られるように形成されている。拭き取り動作時には、ノズル面51aに洗浄液が付着したインクジェットヘッド31が拭き取り部材73上に下降すると、ノズル面51aが拭き取り部材73に押圧されることにより、ノズル面51aに付着した塗布液、洗浄液等が拭き取り部材73の吸水力により吸収されることによりノズル面51aの拭き取りが行われる。そして、洗浄液が付着した拭き取り部材73は、ロール72により巻き取られ、操り出し側の拭き取り部材73がなくなると、新しい拭き取り部材73が巻回されたロール72が供給される。すなわち、ノズル面51aを拭き取る拭き取り部材73は、常に新しい拭き取り部材73が供給されるようになっており、拭き取られた洗浄液が再度、ノズル面51aに付着するのを防止できるようになっている。
【0034】
また、X軸方向端部には、塗布液を捨て打ちする排液トレイ部8が設けられており、この排液トレイ部8でブリード動作、フラッシング動作が行われる。すなわち、インクジェットヘッド31が排液トレイ部8上に配置された状態で、排液トレイ部8にインクを吐出することによりブリード動作、フラッシング動作が行われる。
【0035】
また、上記洗浄装置4とは別に、インクジェット塗布装置1には、インライン洗浄部6が設けられている。インライン洗浄部6は、送液配管11内を洗浄するものであり、送液配管11内に付着してゲル化、固化等により残留した塗布液(残留塗布液ともいう)を除去するためのものである。図3に示すように、インライン洗浄部6は、送液配管11に3方弁61を介して設けられている。すなわち、3方弁61を切り替えることにより、塗布液タンク10とインクジェットヘッド31とが接続される状態と、インクジェットヘッド31とインライン洗浄部6とが接続される状態に切り替えられるようになっている。
【0036】
インライン洗浄部6は、洗浄配管62と洗浄機能部63とを有している。洗浄配管62は、送液配管11と洗浄液タンク64とを接続する配管であり、インライン洗浄時に使用する洗浄液を送液配管11に供給するために使用される。また、洗浄液タンク64には、送液配管11内を洗浄する洗浄液が貯留されており、インライン洗浄時に洗浄液タンク64が加圧されることにより洗浄液が供給されるようになっている。
【0037】
また、洗浄機能部63は、残留塗布液を剥離させる洗浄機能を発揮するものであり、本実施形態では、超音波振動子が使用されている。これにより、インライン洗浄時には、送液配管11内が超音波洗浄される。すなわち、インライン洗浄時には、洗浄配管62から送液配管11に洗浄液を供給しつつ、超音波振動子を作動させると、超音波振動が洗浄液を通じて送液配管11内に伝達され、送液配管11内がキャビテーション効果を含む超音波洗浄が行われる。すなわち、超音波振動により、送液配管11内にゲル化、固化した残留塗布液が剥離され除去される。また、インクジェットヘッド31は、廃液タンク65に接続されており、インライン洗浄に使用した洗浄液は、廃液タンク65に排出される。このようにして、インライン洗浄を行うことにより、送液配管11内に残留した塗布液が除去されるため、送液配管11内の塗布液が要因となるノズル詰まりが発生するのを抑えることができる。なお、本実施形態では、洗浄機能部63は洗浄配管62に設けられているが、洗浄液タンク64に設け、洗浄液タンク64から超音波振動を付与するものであってもよい。すなわち、洗浄機能部63は、送液配管11内の液体を介して洗浄機能を発揮させるものであればよい。
【0038】
このインライン洗浄処理は、上述の洗浄装置4に比べて、送液配管11内を洗浄するため、異なる種類の塗布液に交換する場合や、長期的にインクジェット塗布装置1を停止させる場合の保守作業時に行われる。なお、後述するように、洗浄液を塗布液とすることにより、上述の洗浄装置4と同じタイミングでもインライン洗浄処理を行うことができる。
【0039】
このように、上記説明したインクジェット塗布装置1によれば、送液配管11にインライン洗浄部6が設けられているため、このインライン洗浄部6により送液配管11内を洗浄することができる。すなわち、送液配管11内で塗布液がゲル化、固化する場合があっても、インライン洗浄部6により送液配管11内が洗浄され、ゲル化、固化した塗布液が剥離してノズル詰まりを発生させるのを抑えることができる。そして、洗浄配管62から送液配管11に供給された洗浄液を介して洗浄機能部63による洗浄機能を送液配管11に対して発揮させることができるため、送液配管11に洗浄液のみを送液させて洗浄する場合に比べて、ゲル化、固化した塗布液を効果的に除去することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、洗浄機能部63として、超音波振動子を用いる例について説明したが、マイクロバブル発生器を使用するものであってもよい。このマイクロバブル発生器を使用する場合であっても、マイクロバブルが洗浄液を通じて送液配管11内に付着した残留塗布液に作用し、残留塗布液を剥離することにより、送液配管11内の残留塗布液を除去することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、洗浄配管62に洗浄機能部63を設けた例について説明したが、送液配管11に直接設けるものであってもよい。すなわち、図8に示すように、例えば、洗浄機能部63としての超音波振動子を送液配管11に直接取り付ける。この場合、送液配管11は、塗布液で満たされた状態で超音波振動子を作用させることになるが、塗布液が液体であるため、超音波振動が送液配管11に伝達され、送液配管11内の残留塗布液が超音波振動により剥離され除去される。
【0042】
また、上記実施形態では、洗浄液タンク64、洗浄配管62に洗浄液を用いる例について説明したが、洗浄液として塗布液を使用するものであってもよい。すなわち、洗浄液タンク64、洗浄配管62に使用する洗浄液は、洗浄機能部63が作用する媒体であればよく、塗布液も含まれるものとする。仮に洗浄液として塗布液を用いた場合には、送液配管11内の液環境を変えることなくインライン洗浄を行うことができるため、洗浄機能部63によるインライン洗浄処理を製品の生産途中など、所定のタイミングで行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 インクジェット塗布装置
3 液滴ユニット
4 洗浄装置
6 インライン洗浄部
10 塗布液タンク
11 送液配管
31 インクジェットヘッド
51 ノズル孔
51a ノズル面
62 洗浄配管
63 洗浄機能部
64 洗浄液タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9