(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144391
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】複合体及び該複合体を含むプロトン伝導体
(51)【国際特許分類】
C08F 26/06 20060101AFI20220926BHJP
C08F 12/26 20060101ALI20220926BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C08F26/06
C08F12/26
H01B1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045380
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森奥 久実加
【テーマコード(参考)】
4J100
5G301
【Fターム(参考)】
4J100AB07P
4J100AL61Q
4J100AM24Q
4J100AQ19P
4J100BA55P
4J100BC73P
4J100CA04
4J100CA23
4J100DA56
4J100FA19
4J100JA43
5G301CA30
5G301CD01
5G301CE01
(57)【要約】
【課題】低加湿条件下及び低温条件下においても高いプロトン伝導性を発現する複合体を提供する。
【解決手段】双性イオンモノマーを架橋剤により架橋させてなる重合体及びプロトン供与体を含む複合体であって、
前記双性イオンモノマーが、分子内にカチオン部位及びアニオン部位を有する、複合体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
双性イオンモノマーを架橋剤により架橋させてなる重合体及びプロトン供与体を含む複合体であって、
前記双性イオンモノマーが、分子内にカチオン部位及びアニオン部位を有する、複合体。
【請求項2】
前記カチオン部位が、重合性反応基を有し、
前記重合性反応基が、ビニル基、アリル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記双性イオンモノマーが、下記式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の複合体。
【化1】
(式(1)において、A
-は、アニオン部位を示す。R
1はビニル基、アリル基、アクリル基、又はメタクリル基を示す。R
2は単結合、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、フェニレン基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基-フェニレン基、又はフェニレン基-炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基を示す。R
3は水素原子又は炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。R
4は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基を示す。)
【請求項4】
前記アニオン部位が、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、リン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、又はスルホンイミドアニオンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項5】
前記架橋剤が、前記双性イオンモノマーと共重合可能なラジカル重合性官能基を2つ以上有する化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項6】
前記プロトン供与体が、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩酸、テトラフルオロホウ酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、硝酸及びジシアノアミンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体を含む、プロトン伝導体。
【請求項8】
25℃、30%RHにおけるプロトン伝導度が、1×10-4S/cm~1×10-1S/cmである、請求項7に記載のプロトン伝導体。
【請求項9】
120℃、0%RHにおけるプロトン伝導度が、1×10-4S/cm~1S/cmである、請求項7又は8に記載のプロトン伝導体。
【請求項10】
水の含有割合が、プロトン伝導体全体に対して、6質量%以下である、請求項7~9のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【請求項11】
固体形態である、請求項7~10のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合体及び該複合体を含むプロトン伝導体に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトン伝導体を用いた燃料電池として、ナフィオン(Nafion)(登録商標)に代表されるフッ素系高分子膜を電解質とする固体高分子形燃料電池が知られている。
【0003】
ナフィオンでは、外部加湿装置などによって膜中に内包された水を利用してプロトン(水素イオン:H+)が輸送されるが、水は固体高分子形燃料電池の作動温度(60~80℃)において徐々に蒸発し、経時的にプロトン伝導度が低下する。
【0004】
そのため、ナフィオンを用いた従来の固体高分子形燃料電池では、高いプロトン伝導性の発現に水の共存が必要となるため、加湿するための加湿装置が必要となる。また、燃料電池自動車の場合、フッ素系高分子膜に内包されている水は、外部環境により凍結する、蒸発する等のおそれがあった。
【0005】
そこで、近年、熱安定性が高く、不揮発性である双性イオン複合体を用いた電解質が提案されている(特許文献1、非特許文献1等)。この双性イオン複合体を用いた電解質は、無加湿条件又は100℃以上の高温条件での利用に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Masahiro Yoshizawa and Hiroyuki Ohno, Anhydrous proton transport system based on zwitterionic liquid and HTFSI, Chem. Commun., 2004, 1828-1829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1に記載の双性イオン複合体は液体であり、ハンドリング性に劣るという課題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低加湿条件下及び低温条件下においても高いプロトン伝導性を発現する複合体及び該複合体を含むプロトン伝導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、双性イオンモノマーの重合体を含む複合体によれば、上記課題を達成できることを見出した。本発明は、さらに研究を重ね、完成させたものである。
【0011】
本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.
双性イオンモノマーを架橋剤により架橋させてなる重合体及びプロトン供与体を含む複合体であって、
前記双性イオンモノマーが、分子内にカチオン部位及びアニオン部位を有する、複合体。
項2.
前記カチオン部位が、重合性反応基を有し、
前記重合性反応基が、ビニル基、アリル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選択される少なくとも一種である、項1に記載の複合体。
項3.
前記双性イオンモノマーが、下記式(1)で表される化合物である、項1又は2に記載の複合体。
【化1】
(式(1)において、A
-は、アニオン部位を示す。R
1はビニル基、アリル基、アクリル基、又はメタクリル基を示す。R
2は単結合、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、フェニレン基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基-フェニレン基、又はフェニレン基-炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基を示す。R
3は水素原子又は炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。R
4は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基を示す。)
項4.
前記アニオン部位が、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、リン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、又はスルホンイミドアニオンである、項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
項5.
前記架橋剤が、前記双性イオンモノマーと共重合可能なラジカル重合性官能基を2つ以上有する化合物である、項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
項6.
前記プロトン供与体が、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩酸、テトラフルオロホウ酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、硝酸及びジシアノアミンからなる群より選択される少なくとも一種である、項1~5のいずれか一項に記載の複合体。
項7.
項1~6のいずれか一項に記載の複合体を含む、プロトン伝導体。
項8.
25℃、30%RHにおけるプロトン伝導度が、1×10
-4S/cm~1×10
-1S/cmである、項7に記載のプロトン伝導体。
項9.
120℃、0%RHにおけるプロトン伝導度が、1×10
-4S/cm~1S/cmである、項7又は8に記載のプロトン伝導体。
項10.
水の含有割合が、プロトン伝導体全体に対して、6質量%以下である、項7~9のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
項11.
固体形態である、項7~10のいずれか一項に記載のプロトン伝導体。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複合体は、無加湿及び高温条件下だけでなく、低加湿及び低温条件下においても高いプロトン伝導性を発現する。本発明の複合体を用いることにより、燃料電池等に好適に使用できる固体電解質を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0015】
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。更に、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0016】
本明細書において、室温とは、20℃~25℃の範囲内の温度を意味する。
【0017】
本明細書において、無加湿及び高温条件下とは、通常120℃及び0%RHを意味する。本明細書において、低加湿及び低温条件下とは、通常25℃及び30%RHを意味する。
【0018】
1.複合体
本発明の複合体は、双性イオンモノマーを架橋剤により架橋させてなる重合体とプロトン供与体とを含む。当該双性イオンモノマーは、分子内にカチオン部位とアニオン部位とを有する。本発明の複合体は、このような構成を備えていることにより、無加湿条件下及び高温条件下において高いプロトン伝導性を発現するという特性、並びに低加湿条件下及び低温条件下においても高いプロトン伝導性を発現するという特性を有する。また、本発明の複合体は、これらの特性を有することから、燃料電池等に適用可能な固体電解質の製造に好適に使用することができる。
【0019】
本発明において、双性イオンモノマーを架橋剤により架橋させてなる重合体とは、双性イオンモノマーの架橋重合体を意味する。本発明では、双性イオンモノマーが架橋剤によって架橋されているため、双性イオンモノマーを構成するカチオン部位及びアニオン部位の両方が分子内に固定されており、電位勾配に沿った移動を制限でき、電極間に固定することができる。よって、双性イオンモノマーの電荷が偏ることがない(分極することがない)ため、本発明の複合体は、無加湿及び高温条件下だけでなく、低加湿及び低温条件下においても高いプロトン伝導性を発現するという特性を有する。
【0020】
本発明において、プロトン供与体は、通常双性イオンモノマーに付加しており、好ましくは双性イオンモノマーに強く結びついている。本発明において、双性イオンモノマーとプロトン供与体との間に相互作用が働くことにより、プロトン供与体が双性イオンポリマーに強く結びついてしていることがより好ましい。相互作用としては、特に制限されず、例えば、イオン結合、配位結合等が挙げられる。
【0021】
本発明の複合体は、プロトン供与体が付加した双性イオンモノマーの架橋重合体であること好ましい。
【0022】
本発明において、カチオン部位は、ビニル基、アリル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選択される少なくとも一種である重合性反応基を有することが好ましい。本発明において、カチオン部位は、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選択される少なくとも一種である重合性反応基を有することがより好ましい。
【0023】
本発明において、双性イオンモノマーは、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【化2】
(式(1)において、A
-は、アニオン部位を示す。R
1はビニル基、アリル基、アクリル基、又はメタクリル基を示す。R
2は単結合、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、フェニレン基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基-フェニレン基、又はフェニレン基-炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基を示す。R
3は水素原子又は炭素数1~18の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。R
4は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基を示す。)
【0024】
上記式(1)において、R1は、ビニル基、アリル基、アクリル基、又はメタクリル基であることが好ましく、ビニル基、アクリル基、又はメタクリル基であることがより好ましく、ビニル基であることが特に好ましい。
【0025】
上記式(1)において、R2は、単結合、炭素数1~24(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、フェニレン基、炭素数1~18(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基-フェニレン基、又はフェニレン基-炭素数1~18(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることが好ましい。
【0026】
上記式(1)において、R2は、単結合、炭素数1~12(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、フェニレン基、炭素数1~9(1、2、3、4、5、6、7、8、又は9)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基-フェニレン基、又はフェニレン基-炭素数1~9(1、2、3、4、5、6、7、8、又は9)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることがより好ましい。
【0027】
上記式(1)において、R2は、単結合、炭素数1~8(1、2、3、4、5、6、7又は8)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、フェニレン基、炭素数1~4(1、2、3、又は4)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基-フェニレン基、又はフェニレン基-炭素数1~4(1、2、3、又は4)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることがより一層好ましい。
【0028】
上記式(1)において、R3は、水素原子又は炭素数1~18(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0029】
上記式(1)において、R3は、水素原子又は炭素数1~9(1、2、3、4、5、6、7、8、又は9)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基であることがより好ましい。
【0030】
上記式(1)において、R3は、水素原子又は炭素数1~4(1、2、3、又は4)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基であることがより一層好ましい。
【0031】
上記式(1)において、R3は、水素原子であることが特に好ましい。
【0032】
上記式(1)において、R4は、炭素数1~24(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることが好ましい。
【0033】
上記式(1)において、R4は、炭素数1~12(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることがより好ましい。
【0034】
上記式(1)において、R4は、炭素数1~8(1、2、3、4、5、6、7、又は8)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることがより一層好ましい。
【0035】
上記式(1)において、R4は、炭素数1~4(1、2、3、又は4)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基であることが特に好ましい。
【0036】
上記式(1)において、A-は、スルホン酸アニオン(-SO3
-)、カルボン酸アニオン(-COO-)、リン酸アニオン(-O-PO(OH)2
-)、スルホンアミドアニオン(-N--SO2-CH3又は-N--SO2-CF3)、又はスルホンイミドアニオン(-CO2-N--SO2-CH3、-CO2-N--SO2-CF3、-SO2-N--SO2-CH3、又は-SO2-N--SO2-CF3)であることが好ましく、スルホン酸アニオン(-SO3
-)であることがより好ましい。
【0037】
双性イオンモノマーの構造は、例えば、核磁気共鳴(NMR)装置を用いて得られた1H-NMRスペクトルデータにより、確認することができる。
【0038】
分子内にカチオン部位及びアニオン部位を有する双性イオンモノマーの具体的な化合物としては、例えば、3-(1-ビニル-3-イミダゾリオ)プロパンスルホナート、3-[1-(4-ビニルベンジル)-1H-イミダゾール-3-イウム-3-イル)]プロパン-1-スルホナート等が挙げられる。
【0039】
本発明において、プロトン供与体は、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸(HTFSI;HN(SO2CF3)2)、酢酸(HCO2CH3)、トリフルオロ酢酸(HCO2CF3)、メタンスルホン酸(HSO3CH3)、トリフルオロメタンスルホン酸(HSO3CF3)、硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)、リン酸(H3PO4)、ヘキサフルオロリン酸(HPF6)、硝酸(HNO3)及びジシアノアミン(HN(CN)2)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、HTFSI、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及び硫酸からなる群より選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
【0040】
双性イオンモノマーとプロトン供与体との混合比は、双性イオンモノマーのモル数をa、プロトン供与体のモル数をbとしたとき、プロトン伝導度を向上させる観点から、a/bが好ましくは0.5~2、より好ましくは0.7~1.5、より一層好ましくは0.9~1.1、特に好ましくは1である。
【0041】
本発明の複合体は、ラジカル重合性反応基を有する双性イオンモノマーを、重合開始剤の存在下、架橋剤により架橋させてなる重合体と、プロトン供与体とを含むことが好ましい。重合の際、架橋剤を使用してラジカル重合性反応基を有する双性イオンモノマーと架橋剤とを共重合することにより、重合体中にポリマーネットワークが形成され、プロトン伝導性を向上させることができる。
【0042】
重合方法としては、ラジカル重合であることが好ましい。ラジカル重合性反応基は、ビニル基、アリル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群より選択される少なくとも一種である重合性反応基を有することが好ましい。
【0043】
本発明において、架橋剤は、上記双性イオンモノマーと共重合可能なラジカル重合性反応基を2つ以上有する化合物であることが好ましい。好ましい架橋剤としては、重合性不飽和基を2~4個有するモノマーである。好ましい架橋剤の例としては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、1,9-ノナンジオールジメタクリレート(1,9-ND)、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,8-ノナジエン、1,13-テトラデカジエン、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコージアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリルレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリスメタアクリロイルオキシエチルホスフェート等を挙げることができる。これらの架橋剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの架橋剤の中でも、MBAA、1,9-ND及びトリスメタアクリロイルオキシエチルホスフェートがより好ましい。
【0044】
架橋剤の使用量は、固体化及び柔軟性の観点から、双性イオンモノマーと架橋剤との合計100質量部に対して、0.1~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることがより一層好ましい。
【0045】
ラジカル重合を行う方法としては、熱を加える方法(熱重合方法);可視・紫外領域の光を照射する方法(光重合方法);電子線等の放射線を照射する方法等が利用できる。また、必要に応じて重合開始剤を添加することも可能である。
【0046】
重合開始剤の使用量は、固体化及び柔軟性の観点から、双性イオンモノマーと重合開始剤との合計100質量部に対して、0.05~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.25~3質量部であることがより一層好ましい。
【0047】
熱重合方法の場合、熱重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。これらの熱重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
光重合方法の場合、光重合開始剤としては、紫外線又は可視光線で開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されない。光重合開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「Omnirad(登録商標)1173」)、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「Omnirad(登録商標)127」)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「Omnirad(登録商標)2959」)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「製品名:Omnirad(登録商標)651」)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF・ジャパン社製の製品名「Omnirad(登録商標)184」)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「Omnirad(登録商標)907」)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「製品名:Omnirad(登録商標)369)、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}(日本化薬社製の製品名「エザキュア(登録商標)ONE)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光重合開始剤の中でも、相溶性の観点から、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF・ジャパン社製の製品名「Omnirad(登録商標)1173」)が特に好ましい。
【0049】
本発明において、ラジカル重合を行う際に溶媒を使用する場合は、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の高沸点溶媒が挙げられる。これらの溶媒中でも、相溶性の観点から、炭酸プロピレンが好ましい。
【0050】
2.プロトン伝導体
本発明のプロトン伝導体は、上記複合体を含む。複合体とは、特に言及がない限り、上記「1.複合体」に記載したとおりである。
【0051】
プロトン伝導体中に含まれる上記複合体の含有割合は、好ましくは90~99質量%である。
【0052】
本発明のプロトン伝導体は、25℃、30%RHにおけるプロトン伝導度が、1×10-4S/cm~1×10-1S/cmであることが好ましく、1.5×10-4S/cm~5×10-2S/cmであることがより好ましく、2×10-4S/cm~3×10-2S/cmであることがより一層好ましい。
【0053】
本発明のプロトン伝導体は、120℃、0%RHにおけるプロトン伝導度が、1×10-4S/cm~1S/cmであることが好ましく、5×10-4S/cm~5×10-1S/cmあることがより好ましく、1×10-3S/cm~1×10-1S/cmあることがより一層好ましい。
【0054】
本発明のプロトン伝導体において、水の含有割合は、プロトン伝導体全体(100質量%)に対して、6質量%以下であることが好ましい。本明細書において、当該水の含有割合とは、通常室温(好ましくは25℃)におけるプロトン伝導体の水分含有率(質量%)を意味する。
【0055】
本発明のプロトン伝導体は、ハンドリング性の観点から、固体形態であることが好ましい。
【実施例0056】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
【0057】
実施例で作製した各プロトン伝導体におけるプロトン伝導度及び水の含有割合の測定方法は以下のとおりである。
【0058】
<プロトン伝導度の測定方法>
小型環境試験機(エスペック株式会社社製、製品名「SH-222」)を用いて温度と湿度を一定に保ち、インピーダンスアナライザー(日置電機株式会社製、製品名「IM3570」)を用いて、プロトン伝導体のプロトン伝導度(S/cm)を測定した。
具体的には、インピーダンスアナライザーにより、4Hz~5MHzまでの測定周波数(交流)において、プロトン伝導度を測定した。以下の実施例では、温度及び湿度がそれぞれ25℃、30%RHのプロトン伝導度、並びに、温度及び湿度がそれぞれ120℃、0%RHのプロトン伝導度を測定した。
【0059】
<水の含有割合の測定方法>
プロトン伝導体における水の含有割合(水分含有率)は、JIS K0068:2001(化学製品の水分測定方法)のカールフィッシャー滴定法(水分気化法)による評価を行うことで求めた。
具体的には、プロトン伝導体3mgをカールフィッシャー水分測定装置(株式会社三菱ケミカルアナリテック製、製品名「CA-200」)及び水分気化装置(日東精工アナリテック株式会社製、製品名「VA-236S」)にセットし、上記カールフィッシャー滴定法(水分気化法)により、該プロトン伝導体に含まれる水分量を求めた。該水分量をプロトン伝導体の単位質量あたりの割合に換算することにより、プロトン伝導体の水分含有率とした。
なお、測定は、以下の陽極液及び陰極液を使用し、測定温度を128℃とし、キャリアーガスに窒素(N2)を用いて、その流量を2250mL/minとして行った。
・陽極液:150mLのアクアミクロンAKXに、15mgのサリチル酸を3時間攪拌して溶解させた溶液
・陰極液:アクアミクロンCXU
求めた水分量から、同時に測定したブランク容器の水分量を減算し、その値をプロトン伝導体に含まれる水分量とし、プロトン伝導体の水分含有率(質量%)を求めた。なお、実施例における水の含有割合とは、25℃におけるプロトン伝導体の水分含有率(質量%)を意味する。
【0060】
まず、実施例で使用した双性イオンモノマーの作製方法について説明する。
【0061】
<双性イオンモノマーAの作製方法>
200mLのナス型フラスコ中にて4.85g(0.039mоl)の1-ブチルイミダゾールを100mLのアセトンに溶解させ、4.76g(0.039mоl)の1,3-プロパンスルトンを窒素雰囲気下、室温にて3日間攪拌して反応させた。攪拌終了後、上澄みを除去し、吸引ろ過により白色沈殿を回収した。その後、回収した白色沈殿を減圧乾燥した。減圧乾燥した白色沈殿を重ジメチルスルホキシド中にて1H-NMR測定したスペクトルから、3-(1-ビニル-3-イミダゾリオ)プロパンスルホナートであることを確認した。
【0062】
<双性イオンモノマーBの作製方法>
200mLのナス型フラスコに7.93g(0.12mоl)のイミダゾール、8.66g(0.056mоl)の4-ビニルベンジルクロリド、及び100mLのクロロホルムを加えた後、ジムロートを取り付け、50℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、濾過した。溶媒はエバポレーターで除去し、反応液をジエチルエーテルと水で分液した後、無水硫酸マグネシウムで水分を取り除いた。溶液をアセトン250mLに溶解させ、そこに1,3-プロパンスルトン7.49g(61.3mmоl)を混合した後、窒素雰囲気下、室温にて3日間攪拌して反応させた。攪拌終了後、上澄みを除去し、吸引ろ過により白色沈殿を回収した。その後、回収した白色沈殿を減圧乾燥した。減圧乾燥した白色沈殿を重水中にて1H-NMR測定したスペクトルから、3-[1-(4-ビニルベンジル)-1H-イミダゾール-3-イウム-3-イル)]プロパン-1-スルホナートであることを確認した。
【0063】
実施例で用いた双性イオンモノマー、プロトン供与体、架橋剤及び光重合開始剤は以下のとおりである。
<双性イオンモノマー>
・3-(1-ビニル-3-イミダゾリオ)プロパンスルホナート(双性イオンモノマーA)
・3-[1-(4-ビニルベンジル)-1H-イミダゾール-3-イウム-3-イル)]プロパン-1-スルホナート(双性イオンモノマーB)
<プロトン供与体>
・ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸(HTFSI)
・トリフルオロメタンスルホン酸
・メタンスルホン酸
・硫酸
<架橋剤>
・1,9-ノナンジオールジメタクリレート(1,9-ND)
・N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBAA)
・トリスメタアクリロイルオキシエチルホスフェート(大阪有機化学工業社製の「ビスコート#3PMA」)
<光重合開始剤>
・2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(IGM Resins B.V.社製の「Omnirad1173」)
【0064】
(実施例1)
ガラス容器中で、双性イオンモノマーA(5.0g、0.02mol)とHTFSI(5.6g、0.02mol)とを10mLのメタノールに加えて室温で攪拌した。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、双性イオンモノマーAとHTFSIとの混合体を10.6g得た。
【0065】
ナス型フラスコに、得られた混合体のうち4gを加えて更に架橋剤として1,9-ND及び光重合開始剤としてOmnirad1173をそれぞれ添加し、室温で攪拌して溶液を得た。架橋剤の添加量は、混合体中の双性イオンモノマーAに対して2質量%となるように調整した。また、光重合開始剤の添加量は、混合体中の双性イオンモノマーAに対して0.5質量%となるように調整した。
【0066】
次いで、PETフィルム上に2mm厚のシリコンゴムの枠を置き、得られた溶液を該枠に入れた。その上から順にPETフィルム及び石英ガラス板を置き、365nmの紫外線を室温で30分間照射することにより、双性イオンモノマーAを1,9-NDにより架橋させてなる重合体とHTFSIとを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0067】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、双性イオンモノマーAとHTFSIとの混合体を作製した。次いで、架橋剤としてMBAAを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、該混合体から、双性イオンモノマーAをMBAAにより架橋させてなる重合体とHTFSIとを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0068】
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、双性イオンモノマーAとHTFSIとの混合体を作製した。次いで、架橋剤としてビスコート#3PMAを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、該混合体から、双性イオンモノマーAをビスコート#3PMAにより架橋させてなる重合体とHTFSIとを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0069】
(実施例4)
ガラス容器中で、双性イオンモノマーA(5g、0.023mol)とトリフルオロメタンスルホン酸(1.9g、0.023mol)とを10mLのメタノールに加えて室温で攪拌した。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、双性イオンモノマーAとトリフルオロメタンスルホン酸との混合体を6.9g得た。次いで、実施例1と同様の方法で、該混合体から、双性イオンモノマーAを1,9-NDにより架橋させてなる重合体とトリフルオロメタンスルホン酸とを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0070】
(実施例5)
ガラス容器中で、双性イオンモノマーA(5g、0.023mol)とメタンスルホン酸(3.0g、0.023mol)とを10mLのメタノールに加えて室温攪拌した。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、双性イオンモノマーAとメタンスルホン酸との混合体を8.0g得た。次いで、実施例1と同様の方法で、該混合体から、双性イオンモノマーAを1,9-NDにより架橋させてなる重合体とメタンスルホン酸とを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0071】
(実施例6)
ガラス容器中で、双性イオンモノマーA(5g、0.023mol)と硫酸(2.0g、0.023mol)とを10mLのメタノールに加えて室温攪拌した。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、双性イオンモノマーAと硫酸との混合体を7.0g得た。次いで、実施例1と同様の方法で、該混合体から、双性イオンモノマーAを1,9-NDにより架橋させてなる重合体と硫酸とを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0072】
(実施例7)
ガラス容器中で、双性イオンモノマーB(5g、0.016mol)とHTFSI(4.5g、0.016mol)とを10mLのメタノールに加えて室温で攪拌した。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、双性イオンモノマーBとHTFSIとの混合体を9.5g得た。
【0073】
ナス型フラスコに、得られた混合体のうち5gを加えて、更に架橋剤として1,9-ND及び光重合開始剤としてOmnirad1173を添加し、室温で攪拌して溶液を得た。架橋剤の添加量は、混合体中の双性イオンモノマーBに対して2質量%となるように調整した。また、光重合開始剤の添加量は、混合体中の双性イオンモノマーBに対して0.5質量%となるように調整した。
【0074】
次いで、PETフィルム上に2mm厚のシリコンゴムの枠を置き、得られた溶液を該枠に入れた。その上から順にPETフィルム及び石英ガラス板を置き、365nmの紫外線を室温で30分間照射することにより、双性イオンモノマーBを1,9-NDにより架橋させてなる重合体とHTFSIとを含む複合体を得た。得られた複合体をプロトン伝導体として用いた。そして、当該プロトン伝導体について、25℃、30%RHのプロトン伝導度、120℃、0%RHのプロトン伝導度及び水の含有割合(質量%)をそれぞれ測定した。
【0075】
以下の表1に、プロトン伝導体の製造に使用した原料及び物性をまとめて示す。
【表1】
本発明の複合体は、無加湿及び高温条件下だけでなく、低加湿及び低温条件下においても高いプロトン伝導性を発現するため、本発明の複合体を用いて製造された固体電解質は、燃料電池、電気二重層キャパシタ、ガスフィルター、表示素子(エレクトロクロミック素子、電子ペーパー等)、センサー、メモリー等の様々なデバイスに好適に利用することができる。