(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144401
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ソーラーシェアリングシステム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/20 20060101AFI20220926BHJP
H02S 40/20 20140101ALI20220926BHJP
E04D 13/03 20060101ALI20220926BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220926BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A01G9/20 B
H02S40/20
E04D13/03 R
G02B5/00
G02B5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045394
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】716003021
【氏名又は名称】ひかり屋根株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩美
(72)【発明者】
【氏名】重永 幸年
【テーマコード(参考)】
2B029
2H042
5F151
【Fターム(参考)】
2B029KB05
2B029KB10
2H042BA04
5F151BA05
5F151JA13
5F151JA30
(57)【要約】
【課題】1年の季節を通して又は1日の時間帯を通して充分に拡散されより均一な光をパネル下の栽培物に照射することが可能なソーラーシェアリングシステムを提供する。
【解決手段】ソーラーシェアリングシステムは、複数の太陽光発電パネルと、複数の太陽光発電パネルの間に設けられた太陽光を拡散する複数の光拡散部材とを備えている。複数の光拡散部材の各々が先端平面とこの先端平面に続く側面とを備え、下方へ突出した形状を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽光発電パネルと、該複数の太陽光発電パネルの間に設けられた太陽光を拡散する複数の光拡散部材とを備えており、前記複数の光拡散部材の各々が先端面と該先端面に連結された側面とを備え、下方へ突出した形状を有していることを特徴とするソーラーシェアリングシステム。
【請求項2】
前記複数の光拡散部材の各々が、角型又は丸型の下方へ突出する凸形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項3】
前記複数の光拡散部材の各々が、コ字状断面の凸形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項4】
前記複数の光拡散部材の各々が、半長円形状の断面の凸形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項5】
前記複数の光拡散部材の各々が、部分コ字状断面の凸形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項6】
前記複数の光拡散部材の各々が、部分長円形状の断面の凸形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項7】
前記複数の光拡散部材の各々の1つの前記側面の光拡散度が、前記先端面の光拡散度より低く設定されていることを特徴とする請求項1から6に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項8】
前記複数の太陽光発電パネルが複数列に配置されており、該複数列の太陽光発電パネルの列間に一列の前記複数の光拡散部材の列が配置されていることを特徴とする請求項1から7に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項9】
前記複数の太陽光発電パネルの列及び前記複数の光拡散部材の列が、東西方向に沿って設置されていることを特徴とする請求項8に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項10】
前記複数の太陽光発電パネルの列及び前記複数の光拡散部材の列が、南北方向に沿って設置されていることを特徴とする請求項8に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項11】
前記複数の太陽光発電パネル及び前記複数の光拡散部材が、北半球で南方向、南半球で北方向に向かって下方に傾斜して設置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のソーラーシェアリングシステム。
【請求項12】
前記複数の太陽光発電パネルが南方向に向かって下方に傾斜して設置されており、前記複数の光拡散部材が水平に設置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のソーラーシェアリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営農と太陽光発電とを同一の土地で行うソーラーシェアリングシステムに係り、特に、太陽光を効率良く拡散させて栽培物(作物)に照射することができ、安定した収穫を持続可能としたソーラーシェアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
同一の土地で植物育成と発電とを同時に行うソーラーシェアリングシステムとして、特許文献1には、パネル内に複数の発電体を取り付けて発電し、これら発電体間の間隙に拡散板を取り付けた透光部をつくり、この透光部を通過した太陽光によってパネル下の植物の育成を行うソーラーシェアリングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたソーラーシェアリングシステムによれば、発電体間に設けた透光部に平面形状の拡散板を取り付けることにより、発電体による日影部と日照部との光の強さの差が減少し、光の強弱に基づく植物の成長阻害をある程度は防止することができる。
【0005】
しかしながら、このソーラーシェアリングシステムのように、発電体間の隙間に単に平面形状の拡散板を設けただけでは、透光部を通過する太陽光が充分に拡散せず、光強度に強弱のある光がパネル下の栽培物に印加されてしまうという不都合があった。特に、季節によって太陽高度が大きく変わる日本のような中高緯度地域においては、透光部に印加される太陽光の入射角度が季節によって異なるため、1年を通して充分に拡散された光をパネル下の栽培物に与えることが難しかった。また、透光部に印加される太陽光の入射角度は、1日のうちの時間帯によって異なるため、1日通して充分に拡散された光をパネル下の栽培物に与えることも難しかった。
【0006】
従って本発明の目的は、1年の季節を通して又は1日の時間帯を通して充分に拡散されより均一な光を太陽光発電パネル下の栽培物に照射することが可能なソーラーシェアリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ソーラーシェアリングシステムは、複数の太陽光発電パネルと、これら複数の太陽光発電パネルの間に設けられた太陽光を拡散する複数の光拡散部材とを備えている。複数の光拡散部材の各々が先端面とこの先端面に連結された側面とを備え、下方へ突出した形状を有している。
【0008】
複数の光拡散部材の各々が平面形状ではなく、先端面とこの先端面に連結された側面とを備え、全体として下方へ突出した形状を有している。このように、下方へ突出した側面からも光が拡散するように構成されているため、太陽光が低い入射角で入射した場合に、先端面のみならず側面でも光が拡散されるので、光拡散性が大幅に向上する。その結果、1年の季節を通して又は1日の時間帯を通して充分に拡散されより均一な照度分布を有する光が、太陽光発電パネルの下の栽培物に、より均一な照度分布で照射されることとなる。
【0009】
複数の光拡散部材の各々が、角型又は丸型の下方へ突出する凸形状を有していることが好ましい。
【0010】
この場合、複数の光拡散部材の各々が、コ字状断面の凸形状を有していることがより好ましい。
【0011】
また、複数の光拡散部材の各々が、半長円形状の断面の凸形状を有していることも好ましい。
【0012】
複数の光拡散部材の各々が、部分コ字状(L字状)の断面の凸形状を有していることも好ましい。
【0013】
複数の光拡散部材の各々が、部分長円形状の断面の凸形状を有していることも好ましい。
【0014】
複数の光拡散部材の各々の1つの側面の光拡散度が、先端面の光拡散度より低く設定されていることも好ましい。太陽光の入射しない方角に面する側面は、天空光が入射するのみであるため、光拡散度が他の側面より低いかゼロに近くても良い。
【0015】
複数の太陽光発電パネルが複数列に配置されており、複数列の太陽光発電パネルの列間に一列の複数の光拡散部材の列が配置されていることも好ましい。
【0016】
複数の太陽光発電パネルの列及び複数の光拡散部材の列が、東西方向に沿って設置されていることも好ましい。光拡散部材の列が東西方向に沿って設置されることにより、太陽光が低い入射角で入射した場合(例えば、冬至など)にも、太陽光に向かって後側の側面の光拡散部材で、有効に光が拡散される、その結果、1年の季節を通して充分に拡散された光が太陽光発電パネルの下の栽培物に照射される。
【0017】
複数の太陽光発電パネルの列及び複数の光拡散部材の列が、南北方向に沿って設置されていることも好ましい。光拡散部材の列が南北方向に沿って設置されることにより、太陽光が低い入射角で入射した場合(例えば、朝方又は夕方など)にも、太陽光に向かって後側の側面の光拡散部材で、有効に光が拡散される、その結果、1日の時間帯を通して充分に拡散された光が太陽光発電パネルの下の栽培物に照射される。
【0018】
複数の太陽光発電パネル及び複数の光拡散部材が、南方向(北半球の場合に南方向、南半球では北方向)に向かって下方に傾斜して設置されていることも好ましい。
【0019】
複数の太陽光発電パネルが南方向(北半球の場合に南方向、南半球では北方向)に向かって下方に傾斜して設置されており、複数の光拡散部材が水平に設置されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、下方へ突出した側面からも光が拡散するように構成されているため、太陽光が低い入射角で入射した場合に、先端平面のみならず側面でも光が拡散されるので、光拡散性が大幅に向上する。その結果、1年の季節を通して又は1日の時間帯を通して充分に拡散された光が、太陽光発電パネルの下の栽培物に、より均一な照度分布で照射されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す断面図(
図2のA-A断面図)である。
【
図2】
図1の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図1の実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明する図である。
【
図4】太陽光の1年を通した入射角を説明する図である。
【
図6】
図1の実施形態における潅水構造及びその作用を説明する図である。
【
図7】
図1の実施形態における光拡散部材の構成例を説明する図である。
【
図8】本発明の他の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す断面図(
図9のC-C断面図)である。
【
図9】
図8の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す平面図である。
【
図10】
図8の実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明する図である。
【
図11】
図8の実施形態における光拡散部材の構造例を説明する図である。
【
図12】本発明のさらに他の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す断面図(
図13のE-E断面図)である。
【
図13】
図12の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す平面図である。
【
図14】
図12の実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明する図である。
【
図15】
図12の実施形態における光拡散部材の構造例を説明する図である。
【
図16】本発明のまたさらに他の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す断面図(
図17のG-G断面図)である。
【
図17】
図16の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示す平面図である。
【
図18】
図16の実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明する図である。
【
図19】
図16の実施形態における光拡散部材の構造例を説明する図である。
【
図20】実施例における測定状況を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の一実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示しており、
図2は本実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示している。なお、
図1は
図2のA-A断面を表している。
【0023】
これらの図に示すように、本実施形態のソーラーシェアリングシステムにおいては、栽培物(作物)10が植えられた耕地(又は水耕栽培の場合は栽培槽)11の上方に、支柱12によって支持されたフレーム13が設置されており、このフレーム13に複数の太陽光発電パネル(以下、ソーラーパネル)14と太陽光を透過拡散する複数の光拡散部材15とが設置されている。これら複数の光拡散部材15は、複数のソーラーパネル14間に設けられている。
【0024】
フレーム13は、南方向(北半球の場合に南方向、南半球では北方向)に向かって下方に傾斜して設置されており、従って、本実施形態においては、複数のソーラーパネル14及び複数の光拡散部材15が、共に、南方向に向かって下方に傾斜して設置されている。傾斜しているフレーム13間の北方向に面する間隙には、拡散パネル16が設けられている。
【0025】
図2に示すように、本実施形態においては、複数のソーラーパネル14が、東西方向に沿って配列された複数の列となるように配置されており、これらソーラーパネル14の列の間に、複数の光拡散部材15が一列で配置されている。より詳細には、本実施形態では、例えば、東西方向の第1列、第3列及び第4列がソーラーパネル14による列となっており、ソーラーパネル14による第1列と第3列との間に、光拡散部材15による東西方向の第2列が配置されている。なお、上述したソーラーパネル14の列数、光拡散部材15の列数、ソーラーパネル14及び光拡散部材15の相互の配置は単なる一例であり、これに限定されるものではない。要は、ソーラーパネル14の東西方向に沿って配列された列の間に光拡散部材14の列が東西方向に沿って配置されていれば良い。本実施形態においては、複数のソーラーパネル14の占める平面の面積が75%であるのに対し、複数の光拡散部材15の占める平面の面積は25%である。後述するように、光拡散部材15が25%の平面面積を占めれば、光強度の強い太陽直射光を、この光拡散部材15により、影の出ない拡散光(散乱光、天空光)に変換し、太陽直射光が照射されないソーラーパネル14の真下にまで充分な拡散光を届けることができる。また、光拡散部材15から耕地11の表面までの高さ(距離)を例えば3mと低くすれば、均一でありかつ高い照度を得ることができる。なお、耕地11に照射される拡散光の照度分布、均一度は、光拡散部材15の表面面積、設置間隔及び設置高さによって設定できるため、栽培する栽培物10によって適宜決定することが望ましい。
【0026】
図3は本実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明しており、
図4は太陽光の1年を通した入射角を説明しており、
図5は天空光を説明している。
【0027】
本実施形態において、各光拡散部材15は、
図3に示すように、南方向に向かって下方に傾斜している先端面15aとこの先端面15aに垂直に連結されて傾斜している南側側面15b及び北側側面15cとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。これら先端面15a、南側側面15b及び北側側面15cは、図示されていないパネル取り付け部材によって互いに連結されており、このパネル取り付け部材を介してフレーム13に取り付けられている。図示されていないが、各光拡散部材15の西側側面及び東側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。先端面15aは矩形形状を有しており、この先端面15aに連結される南側側面15b及び北側側面15cも矩形形状を有している。従って、本実施形態の光拡散部材15は、コ字状断面の凸形状を有している。光拡散部材15のこれら先端面15a、南側側面15b及び北側側面15cは、例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルで形成されている。光拡散部材15の西側側面及び東側側面に、光透過率の高い光拡散パネル又は透明パネルを設けても良い。
【0028】
本実施形態において、先端面15a、南側側面15b及び北側側面15cは、透過率、従って光拡散度の異なる3種類の光拡散パネルで構成されている。即ち、先端面15aは、透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布を得るために基本となる光拡散パネルである。この先端面15aは、例えば、透過率が50~65%程度のポリカーボネート波板パネルやポリカーボネート中空パネルで構成することが望ましい。北側側面15cは、透過率70~90%程度の光拡散パネルで構成されており、
図4に示すように、冬至の頃の入射角度の低い(32°程度)太陽直射光を拡散させて、ソーラーパネル14に覆われた部分にまで配光するように構成されている。この北側側面15cは、例えば、透過率が80%程度のポリカーボネート波板パネルで構成することが望ましい。その場合、流れ方向が先端面15aに沿った方向に設置されたポリカーボネート波板パネルを用いることがより望ましい。南側側面15bは、光透過率80~100%の光拡散パネル又は透明パネルで構成されており、夏も冬も太陽光は直接入射しないが、
図5に示すように、晴天で10000(1万)LX程度、曇り又は雨で0~50000(5万)LX程度の照度の天空光をそのまま取り込んで配光されるように構成されている。この南側側面15bは、例えば、透明のポリカーボネート波板パネルかハウス用フィルムで構成しても良く、何も設けずに開口させた状態としても良い。
【0029】
また、傾斜しているフレーム13間の北方向に面する間隙に設けられた拡散パネル16は、光透過率80~100%の光拡散パネル又は透明パネルで構成されており、夏も冬も太陽光は直接入射しないが、天空光が入射され、拡散されるように構成されている。
【0030】
このように、本実施形態によれば、各光拡散部材15全体が平面形状ではなく、
図3に示すように、下方に面する先端面15aとこの先端面15aに連結された南側側面15b及び北側側面15cとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。先端面15aのみならず、下方へ突出した北側側面15cからも光が拡散するように構成されているため、季節により太陽光が低い入射角で入射した場合に、先端面15a及び北側側面15cの両方で光が拡散されるので、光拡散性が大幅に向上する。その結果、1年の季節を通して充分に拡散されより均一な照度分布を有する光が、太陽光発電パネルの下の栽培物に、より均一な光強度分布で照射されることとなる。このように、本実施形態によれば、透過率(光拡散度)の異なる3種類の光拡散パネルにより、栽培物10のあらゆる場所にあらゆる角度から拡散光を配光させることができ、また隣接する光拡散パネルからも拡散光が入って交差して照射されるため、均一な強度の光を栽培物10に照射することができる。一般に、植物育成に必要な最低照度である光補償点は400LX程度であり、光合成が飽和する照度である光飽和点は50000LX程度であると言われている。この照度範囲は、一部の植物(例えばトマト)に例外はあるが、0~50000LX程度である天空光による照度範囲内に含まれる。本実施形態によれば、天空光の光強度に類似した均一した拡散光が栽培物10に照射される。その結果、均一な品質の栽培物10を永続的に収穫することができる。もちろん、光拡散部材15を通した拡散光であるため、130000(13万)LXほどの太陽直射光は栽培物10には直接的に印加されない。なお、レタス栽培においては、太陽直射光よりも拡散光を照射したほうが3倍成長することが確認されている。
【0031】
なお、本実施形態では、ソーラーパネル14及び光拡散部材15が、フレーム13上に設置されており、このフレーム13及び/又は光拡散部材15が栽培物(作物)10の植えられた耕地11の表から3~5mの高さに位置しているため、拡散光を栽培物10全体に配光できることはもちろんのこと、高さのある栽培物にも対応可能である。また、フレーム13を高い位置に設ければ、その下での作業が容易となり、トラクターやコンバイン、荷運び用ロボット、その他の農業機械の運転、及び点検用通路の設置が可能となる。
【0032】
図6は本実施形態における潅水構造及びその作用を説明している。
【0033】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムでは、雨水をソーラーパネル14の隙間から振分けプレートを介して耕地11に落下させるように構成されている。
図6(A)及び
図1に示すように、ソーラーパネル14の傾斜している先端近傍やソーラーパネル14と光拡散部材15との間のフレーム13に逆V字状断面を有する振分けプレート17を設け、
図6(B)に示すように、このプレート17によって雨水18を振分け、分散させて耕地11に落下させている。このような潅水構造とすることにより、ソーラーパネル14及び光拡散部材15の下方の耕地11に、雨水による効率的な潅水を行うことができる。
【0034】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムで栽培可能な栽培物10としては、レタス、ミツバ、サンチュ、ハーブ等の非結球青物野菜はもちろんのこと、イネ、イネ科の他の食物、ダイズ、トマト、キュウリ、メロン、エンドウ、セロリ、牧草、その他の植物がある。
【0035】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムの光拡散部材15として、前述したポリカーボネート波板パネルやポリカーボネート中空パネルの他に、ポリカーボネート材料以外の樹脂又はガラス材料を用いたパネルや、ハウス用フィルム、テント用膜等も使用可能である。光拡散フィルムを透明パネルに被着させて強度を増大させたものを用いても良い。なお、光拡散部材15として光拡散度が大きいパネルを用いれば、その設置面積を小さくすることが可能であり、その場合、ソーラーパネル14の設置面積を増大させることが可能となる。
【0036】
なお、本実施形態の変更態様として、先端面15a、南側側面15b、及び北側側面15cを、透過率(光拡散度)が同一の光拡散パネルで構成しても良い。
【0037】
図7は本実施形態の光拡散部材の構成例を示しており、以下、本実施形態において適用可能な種々の構造の光拡散部材を説明する。
【0038】
図7(B)~(E)は同図(A)のB-B断面を示している。同図(B)は先端面15aとパネル取り付け部材によってこの先端面15aに連結された南側側面15b及び北側側面15cとを備えた、上述したコ字状断面を有する凸形状の光拡散部材15の例を示している。西側側面及び東側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0039】
同図(C)は、半長円形状(U字状)の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材115の例であり、南側側面、先端面及び北側側面に対応する面115aが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルを丸めてパネル取り付け部材に取り付けて形成されている。即ち、面115aが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。西側側面及び東側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0040】
同図(D)は、部分コ字状(L字状)の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材215の例であり、先端面215aとパネル取り付け部材によってこの先端面215aに連結された北側側面215cが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルで形成されている。即ち、これら先端面215a及び北側側面215cが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。南側側面、西側側面及び東側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0041】
同図(E)は、部分半長円形状の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材315の例であり、先端面及び北側側面に対応する面315aが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルを丸めてパネル取り付け部材に取り付けて形成されている。即ち、面315aが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。南側側面、西側側面及び東側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0042】
図8は本発明の他の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示しており、
図9は本実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示している。なお、
図8は
図9のC-C断面を表しているが、断面の部分の形状のみを表しており、断面から先の形状は表示を省略している。
【0043】
これらの図に示すように、本実施形態のソーラーシェアリングシステムにおいては、栽培物(作物)410が植えられた耕地(又は水耕栽培の場合は栽培槽)411の上方に、支柱412によって支持されたフレーム413が設置されており、このフレーム413に複数のソーラーパネル414と太陽光を透過拡散する複数の光拡散部材415とが設置されている。複数の光拡散部材415は、複数のソーラーパネル414間に設けられている。
【0044】
フレーム413は、南方向(北半球の場合に南方向、南半球では北方向)に向かって下方に傾斜して設置されており、従って、本実施形態においては、複数のソーラーパネル414及び複数の光拡散部材415は、共に、南方向に向かって下方に傾斜して設置されている。傾斜しているフレーム413間の北方向に面する間隙には、
図1の実施形態と同様の拡散パネルが設けられている。
【0045】
図9に示すように、本実施形態においては、複数のソーラーパネル414が、南北方向に沿って配列された複数の列となるように配置されており、これらソーラーパネル414の列の間に、複数の光拡散部材415が一列で配置されている。より詳細には、本実施形態では、例えば、南北方向の第1列、第3列及び第4列がソーラーパネル414による列となっており、ソーラーパネル414による第1列と第3列との間に、光拡散部材415による南北方向の第2列が配置されている。なお、上述したソーラーパネル414の列数、光拡散部材415の列数、ソーラーパネル414及び光拡散部材415の相互の配置は単なる一例であり、これに限定されるものではない。要は、ソーラーパネル414の南北方向に沿って配列された列の間に光拡散部材414の列が南北方向に沿って配置されていれば良い。本実施形態においては、複数のソーラーパネル414の占める平面の面積が75%であるのに対し、複数の光拡散部材415の占める平面の面積は25%である。後述するように、光拡散部材415が25%の平面面積を占めれば、光強度の強い太陽直射光を、この光拡散部材415により、影の出ない拡散光(散乱光、天空光)に変換し、太陽直射光が照射されないソーラーパネル414の真下にまで充分な拡散光を届けることができる。また、光拡散部材415から耕地411の表面までの高さ(距離)を例えば3mと低くすれば、均一でありかつ高い照度を得ることができる。なお、耕地411に照射される拡散光の照度分布、均一度は、光拡散部材415の表面面積、設置間隔及び設置高さによって設定できるため、栽培する栽培物410によって適宜決定することが望ましい。
【0046】
図10は本実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明している。
【0047】
本実施形態において、各光拡散部材415は、
図10では示されていないが、南方向に向かって下方に傾斜している先端面415aとこの先端面415aに垂直に連結されている西側側面415d及び東側側面415eとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。これら先端面415a、西側側面415d及び東側側面415eは、図示されていないパネル取り付け部材によって互いに連結されており、このパネル取り付け部材を介してフレーム413に取り付けられている。図示されていないが、各光拡散部材415の南側側面及び北側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。先端面415aは矩形形状を有しており、この先端面415aに連結される西側側面415d及び東側側面415eも矩形形状を有している。従って、本実施形態の光拡散部材415は、コ字状断面の凸形状を有している。光拡散部材415のこれら先端面415a、西側側面415d及び東側側面415eは、例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルで形成されている。光拡散部材415の南側側面及び北側側面に、光透過率の高い光拡散パネル又は透明パネルを設けても良い。
【0048】
本実施形態において、先端面415a、西側側面415d及び東側側面415eは、透過率従って光拡散度の異なる2種類の光拡散パネルで構成されている。即ち、先端面415aは、透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布を得るために基本となる光拡散パネルである。この先端面415aは、例えば、透過率が50~65%程度のポリカーボネート波板パネルやポリカーボネート中空パネルで構成することが望ましい。その場合、流れ方向が先端面415aに沿った方向に設置されたポリカーボネート波板パネルを用いることがより望ましい。西側側面415d及び東側側面415eは、透過率70~90%程度の光拡散パネルで構成されており、
図4に示すように、冬至の頃の入射角度の低い(32°程度)朝日及び夕日の直射光を拡散させて、ソーラーパネル414に覆われた部分にまで配光するように構成されている。
【0049】
また、図には示されていないが、
図1の実施形態の場合と同様に、南北方向のフレーム413の間隙には、光透過率80~100%の光拡散パネル又は透明パネルで構成された拡散パネルが設けられている。この拡散パネルは、夏も冬も太陽光は直接入射しないが、天空光が入射され、拡散されるように構成されている。
【0050】
このように、本実施形態によれば、各光拡散部材415全体が平面形状ではなく、
図8に示すように、下方に面する先端面415aとこの先端面415aに連結された西側側面415d及び東側側面415eとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。先端面415aのみならず、下方へ突出した西側側面415d及び東側側面415eからも光が拡散するように構成されているため、朝日及び夕日の太陽光が低い入射角で入射した場合に、先端面415a、西側側面415d及び東側側面415eの全てにおいて光が拡散されるので、光拡散性が大幅に向上する。その結果、1日を通して充分に拡散されより均一な照度分布を有する光が、太陽光発電パネルの下の栽培物に、より均一な光強度分布で照射されることとなる。即ち、透過率(光拡散度)の異なる2種類の光拡散パネルにより、栽培物410のあらゆる場所にあらゆる角度から拡散光を配光させることができ、また隣接する光拡散パネルからも拡散光が入って交差して照射されるため、均一な強度の光を栽培物410に照射することができる。一般に、植物育成に必要な最低照度である光補償点は400LX程度であり、光合成が飽和する照度である光飽和点は50000LX程度であると言われている。この照度範囲は、一部の植物(例えばトマト)に例外はあるが、0~50000LX程度である天空光による照度範囲内に含まれる。本実施形態によれば、天空光の光強度に類似した均一した拡散光が栽培物410に照射される。その結果、均一な品質の栽培物410を収穫することができる。もちろん、光拡散部材415を通した拡散光であるため、130000LXほどの太陽直射光は栽培物410には直接的に印加されない。なお、レタス栽培においては、太陽直射光よりも拡散光を照射したほうが3倍成長することが確認されている。
【0051】
なお、本実施形態では、ソーラーパネル414及び光拡散部材415が、フレーム413上に設置されており、このフレーム413及び/又は光拡散部材415が栽培物(作物)410の植えられた耕地411の表から3~5mの高さに位置しているため、拡散光を栽培物410全体に配光できることはもちろんのこと、高さのある栽培物にも対応可能である。また、フレーム413を高い位置に設ければ、その下での作業が容易となり、トラクターやコンバイン、荷運び用ロボット、その他の農業機械の運転、及び点検用通路の設置が可能となる。
【0052】
本実施形態における潅水構造は、
図6に示した
図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムで栽培可能な栽培物410としては、レタス、ミツバ、サンチュ、ハーブ等の非結球青物野菜はもちろんのこと、イネ、イネ科の他の食物、ダイズ、トマト、キュウリ、メロン、エンドウ、セロリ、牧草、その他の植物がある。
【0054】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムの光拡散部材415として、前述したポリカーボネート波板パネル及びポリカーボネート中空パネルの他に、ポリカーボネート材料以外の樹脂又はガラス材料を用いたパネルや、ハウス用フィルム、テント用膜等も使用可能である。光拡散フィルムを透明パネルに被着させて強度を増大させたものを用いても良い。なお、光拡散部材415として光拡散度が大きいパネルを用いれば、その設置面積を小さくすることが可能であり、その場合、ソーラーパネル414の設置面積を増大させることが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態の変更態様として、先端面415a、西側側面415d、及び東側側面415eを、透過率(光拡散度)が同一の光拡散パネルで構成しても良い。
【0056】
図11は本実施形態の光拡散部材の構成例を示しており、以下、本実施形態において適用可能な種々の構造の光拡散部材を説明する。
【0057】
図11(B)及び(C)は同図(A)のD-D断面を示している。同図(B)は先端面415aとパネル取り付け部材によってこの先端面415aに連結された西側側面415d及び東側側面415eとを備えた、上述したコ字状断面を有する凸形状の光拡散部材415の例を示している。南側側面及び北側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0058】
同図(C)は、半長円形状(U字状)の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材515の例であり、西側側面、先端面及び東側側面に対応する面515aが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルを丸めてパネル取り付け部材に取り付けて形成されている。即ち、面515aが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。南側側面及び北側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0059】
図12は本発明のさらに他の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示しており、
図13は本実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示している。なお、
図12は
図13のE-E断面を表している。
【0060】
これらの図に示すように、本実施形態のソーラーシェアリングシステムにおいては、栽培物(作物)610が植えられた耕地(又は水耕栽培の場合は栽培槽)611の上方に、支柱612によって支持されたフレーム613が設置されており、このフレーム613に複数のソーラーパネル614と太陽光を透過拡散する複数の光拡散部材615とが設置されている。複数の光拡散部材615は、複数のソーラーパネル614間に設けられている。
【0061】
フレーム613は、南方向(北半球の場合に南方向、南半球では北方向)に向かって下方に傾斜して設置されており、従って、本実施形態においては、複数のソーラーパネル614は、南方向に向かって下方に傾斜して設置されている。しかしながら、本実施形態においては、
図12に示すように、複数の光拡散部材615は、傾斜しておらず、南北方向及び東西方向に水平に設置されている。
【0062】
図13に示すように、本実施形態においては、複数のソーラーパネル614が、東西方向に沿って配列された複数の列となるように配置されており、これらソーラーパネル614の列の間に、複数の光拡散部材615が一列で配置されている。より詳細には、本実施形態では、例えば、東西方向の第1列、第2列及び第3列がソーラーパネル614による列となっており、ソーラーパネル614による第3列と第1列との間に、光拡散部材615による東西方向の第4列が配置されている。なお、上述したソーラーパネル614の列数、光拡散部材615の列数、ソーラーパネル614及び光拡散部材615の相互の配置は単なる一例であり、これに限定されるものではない。要は、ソーラーパネル614の東西方向に沿って配列された列の間に光拡散部材614の列が東西方向に沿って配置されていれば良い。本実施形態においては、複数のソーラーパネル614の占める平面の面積が75%であるのに対し、複数の光拡散部材615の占める平面の面積は25%である。後述するように、光拡散部材615が25%の平面面積を占めれば、光強度の強い太陽直射光を、この光拡散部材615により、影の出ない拡散光(散乱光、天空光)に変換し、太陽直射光が照射されないソーラーパネル614の真下にまで充分な拡散光を届けることができる。また、光拡散部材615から耕地611の表面までの高さ(距離)を例えば3mと低くすれば、均一でありかつ高い照度を得ることができる。なお、耕地611に照射される拡散光の照度分布、均一度は、光拡散部材615の表面面積、設置間隔及び設置高さによって設定できるため、栽培する栽培物610によって適宜決定することが望ましい。
【0063】
図14は本実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明している。
【0064】
本実施形態において、各光拡散部材615は、
図14に示すように、南北方向及び東西方向に水平に設置されている先端面615aとこの先端面615aに垂直に連結されている南側側面615b及び北側側面615cとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。図示されていないが、各光拡散部材615の西側側面及び東側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。先端面615aは矩形形状を有しており、この先端面615aに連結される南側側面615b及び北側側面615cも矩形形状を有している。従って、本実施形態の光拡散部材615は、コ字状断面の凸形状を有している。光拡散部材615のこれら先端面615a、南側側面615b及び北側側面615cは、例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルで形成されている。光拡散部材15の西側側面及び東側側面に、光透過率の高い光拡散パネル又は透明パネルを設けても良い。
【0065】
本実施形態において、先端面615a、南側側面615b及び北側側面615cは、透過率従って光拡散度の異なる3種類の光拡散パネルで構成されている。即ち、先端面615aは、透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布を得るために基本となる光拡散パネルである。この先端面615aは、例えば、透過率が50~65%程度のポリカーボネート波板パネルやポリカーボネート中空パネルで構成することが望ましい。北側側面615cは、透過率70~90%程度の光拡散パネルで構成されており、
図4に示すように、冬至の頃の入射角度の低い(32°程度)太陽直射光を拡散させて、ソーラーパネル614に覆われた部分にまで配光するように構成されている。この北側側面615cは、例えば、透過率が80%程度のポリカーボネート波板パネルで構成することが望ましい。その場合、流れ方向が先端面615aに沿った方向に設置されたポリカーボネート波板パネルを用いることがより望ましい。南側側面615bは、光透過率80~100%の光拡散パネル又は透明パネルで構成されており、夏も冬も太陽光は直接入射しないが、
図5に示すように、晴天で10000LX程度、曇り又は雨で0~50000LX程度の照度の天空光をそのまま取り込んで配光されるように構成されている。この南側側面615bは、例えば、透明のポリカーボネート波板パネルかハウス用フィルムで構成しても良く、何も設けずに開口させた状態としても良い。
【0066】
このように、本実施形態によれば、各光拡散部材615全体が平面形状ではなく、
図14に示すように、下方に面する先端面615aとこの先端面615aに連結された南側側面615b及び北側側面615cとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。先端面615aのみならず、下方へ突出した北側側面615cからも光が拡散するように構成されているため、季節により太陽光が低い入射角で入射した場合に、先端面615a及び北側側面615cの両方で光が拡散されるので、光拡散性が大幅に向上する。その結果、1年の季節を通して充分に拡散されより均一な照度分布を有する光が、太陽光発電パネルの下の栽培物に、より均一な光強度分布で照射されることとなる。即ち、透過率(光拡散度)の異なる3種類の光拡散パネルにより、栽培物610のあらゆる場所にあらゆる角度から拡散光を配光させることができ、また隣接する光拡散パネルからも拡散光が入って交差して照射されるため、均一な強度の光を栽培物610に照射することができる。一般に、植物育成に必要な最低照度である光補償点は400LX程度であり、光合成が飽和する照度である光飽和点は50000LX程度であると言われている。この照度範囲は、一部の植物(例えばトマト)に例外はあるが、0~50000LX程度である天空光による照度範囲内に含まれる。本実施形態によれば、天空光の光強度に類似した均一した拡散光が栽培物610に照射される。その結果、均一な品質の栽培物610を永続的に収穫することができる。もちろん、光拡散部材615を通した拡散光であるため、130000LXほどの太陽直射光は栽培物10には直接的に印加されない。なお、レタス栽培においては、太陽直射光よりも拡散光を照射したほうが3倍成長することが確認されている。特に、本実施形態においては、光拡散部材615が傾斜しておらず、南北方向及び東西方向に水平に設置されるため、ソーラーパネル614とは別個に独立して取付けできるから設置が容易となる。
【0067】
なお、本実施形態では、ソーラーパネル614及び光拡散部材615が、フレーム613上に設置されており、このフレーム613及び/又は光拡散部材615が栽培物(作物)610の植えられた耕地611の表から3~5mの高さに位置しているため、拡散光を栽培物610全体に配光できることはもちろんのこと、高さのある栽培物にも対応可能である。また、フレーム613を高い位置に設ければ、その下での作業が容易となり、トラクターやコンバイン、荷運び用ロボット、その他の農業機械の運転、及び点検用通路の設置が可能となる。
【0068】
本実施形態における潅水構造は、
図6に示した
図1の実施形態の場合と同様である。
図12に示すように、雨水をソーラーパネル614の隙間から振分けプレート617を介して耕地611に落下させるように構成されている。即ち、ソーラーパネル614の傾斜しているフレーム613に逆V字状断面を有する振分けプレート617を設け、このプレート617によって雨水を振分け、分散させて耕地611に落下させている。このような潅水構造とすることにより、ソーラーパネル614及び光拡散部材615の下方の耕地611に、雨水による効率的な潅水を行うことができる。
【0069】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムで栽培可能な栽培物610としては、レタス、ミツバ、サンチュ、ハーブ等の非結球青物野菜はもちろんのこと、イネ、イネ科の他の食物、ダイズ、トマト、キュウリ、メロン、エンドウ、セロリ、牧草、その他の植物がある。
【0070】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムの光拡散部材615として、前述したポリカーボネート波板パネル及びポリカーボネート中空パネルの他に、ポリカーボネート材料以外の樹脂又はガラス材料を用いたパネルや、ハウス用フィルム、テント用膜等も使用可能である。光拡散フィルムを透明パネルに被着させて強度を増大させたものを用いても良い。なお、光拡散部材615として光拡散度が大きいパネルを用いれば、その設置面積を小さくすることが可能であり、その場合、ソーラーパネル614の設置面積を増大させることが可能となる。
【0071】
なお、本実施形態の変更態様として、先端面615a、南側側面615b、北側側面615cを、透過率(光拡散度)が同一の光拡散パネルで構成しても良い。
【0072】
図15は本実施形態の光拡散部材の構成例を示しており、以下、本実施形態において適用可能な種々の構造の光拡散部材を説明する。
【0073】
図15(B)~(E)は同図(A)のF-F断面を示している。同図(B)は先端面615aとパネル取り付け部材によってこの先端面615aに連結された南側側面615b及び北側側面615cとを備えた、上述したコ字状断面を有する凸形状の光拡散部材615の例を示している。西側側面及び東側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0074】
同図(C)は、半長円形状(U字状)の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材715の例であり、南側側面、先端面及び北側側面に対応する面715aが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルを丸めてパネル取り付け部材に取り付けて形成されている。即ち、面715aが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。西側側面及び東側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0075】
同図(D)は、部分コ字状(L字状)の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材815の例であり、先端面815aとパネル取り付け部材によってこの先端面815aに連結された北側側面815cが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルで形成されている。即ち、これら先端面815a及び北側側面815cが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。南側側面、西側側面及び東側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0076】
同図(E)は、部分半長円形状の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材915の例であり、先端面及び北側側面に対応する面915aが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルを丸めてパネル取り付け部材に取り付けて形成されている。即ち、面915aが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。南側側面、西側側面及び東側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0077】
図16は本発明のまたさらに他の実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示しており、
図17は本実施形態におけるソーラーシェアリングシステムの構成を概略的に示している。なお、
図16は
図17のG-G断面を表しているが、断面の部分の形状のみを表しており、断面から先の形状は表示を省略している。
【0078】
これらの図に示すように、本実施形態のソーラーシェアリングシステムにおいては、栽培物(作物)1010が植えられた耕地(又は水耕栽培の場合は栽培槽)1011の上方に、支柱1012によって支持されたフレーム1013が設置されており、このフレーム1013に複数のソーラーパネル1014と太陽光を透過拡散する複数の光拡散部材1015とが設置されている。複数の光拡散部材1015は、複数のソーラーパネル1014間に設けられている。
【0079】
フレーム1013は、南方向(北半球の場合に南方向、南半球では北方向)に向かって下方に傾斜して設置されており、従って、本実施形態においては、複数のソーラーパネル1014は、南方向に向かって下方に傾斜して設置されている。しかしながら、本実施形態においては、
図16に示すように、複数の光拡散部材1015は、傾斜しておらず、南北方向及び東西方向に水平に設置されている。
【0080】
図17に示すように、本実施形態においては、複数のソーラーパネル1014が、南北方向に沿って配列された複数の列となるように配置されており、これらソーラーパネル1014の列の間に、複数の光拡散部材1015が一列で配置されている。より詳細には、本実施形態では、例えば、南北方向の第1列、第3列及び第4列がソーラーパネル1014による列となっており、ソーラーパネル1014による第1列と第3列との間に、光拡散部材1015による南北方向の第2列が配置されている。なお、上述したソーラーパネル1014の列数、光拡散部材1015の列数、ソーラーパネル1014及び光拡散部材1015の相互の配置は単なる一例であり、これに限定されるものではない。要は、ソーラーパネル1014の南北方向に沿って配列された列の間に光拡散部材1014の列が南北方向に沿って配置されていれば良い。本実施形態においては、複数のソーラーパネル1014の占める平面の面積が75%であるのに対し、複数の光拡散部材1015の占める平面の面積は25%である。後述するように、光拡散部材1015が25%の平面面積を占めれば、光強度の強い太陽直射光を、この光拡散部材1015により、影の出ない拡散光(散乱光、天空光)に変換し、太陽直射光が照射されないソーラーパネル1014の真下にまで充分な拡散光を届けることができる。また、光拡散部材1015から耕地1011の表面までの高さ(距離)を例えば3mと低くすれば、均一でありかつ高い照度を得ることができる。なお、耕地1011に照射される拡散光の照度分布、均一度は、光拡散部材1015の表面面積、設置間隔及び設置高さによって設定できるため、栽培する栽培物1010によって適宜決定することが望ましい。
【0081】
図18は本実施形態における光拡散部材の構成及び作用効果を説明している。
【0082】
本実施形態において、各光拡散部材1015は、
図18に示すように、南北方向及び東西方向に水平な先端面1015aとこの先端面1015aに垂直に連結されている西側側面1015d及び東側側面1015eとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。これら先端面1015a、西側側面1015d及び東側側面1015eは、図示されていないパネル取り付け部材によって互いに連結されており、このパネル取り付け部材を介してフレーム1013に取り付けられている。図示されていないが、各光拡散部材1015の南側側面及び北側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。先端面1015aは矩形形状を有しており、この先端面1015aに連結される西側側面1015d及び東側側面1015eも矩形形状を有している。従って、本実施形態の光拡散部材1015は、コ字状断面の凸形状を有している。光拡散部材1015のこれら先端面1015a、西側側面1015d及び東側側面1015eは、例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルで形成されている。光拡散部材1015の南側側面及び北側側面に、光透過率の高い光拡散パネル又は透明パネルを設けても良い。
【0083】
本実施形態において、先端面1015a、西側側面1015d及び東側側面1015eは、透過率従って光拡散度の異なる2種類の光拡散パネルで構成されている。即ち、先端面1015aは、透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布を得るために基本となる光拡散パネルである。この先端面1015aは、例えば、透過率が50~65%程度のポリカーボネート波板パネルやポリカーボネート中空パネルで構成することが望ましい。西側側面1015d及び東側側面1015eは、透過率70~90%程度の光拡散パネルで構成されており、
図4に示すように、冬至の頃の入射角度の低い(32°程度)朝日及び夕日の直射光を拡散させて、ソーラーパネル1014に覆われた部分にまで配光するように構成されている。これら西側側面1015d及び東側側面1015eは、例えば、透過率が80%程度のポリカーボネート波板パネルで構成することが望ましい。その場合、流れ方向が先端面1015aに沿った方向に設置されたポリカーボネート波板パネルを用いることがより望ましい。
【0084】
また、図には示されていないが、
図1の実施形態の場合と同様に、南北方向のフレーム1013の間隙には、光透過率80~100%の光拡散パネル又は透明パネルで構成された拡散パネルが設けられている。この拡散パネルは、夏も冬も太陽光は直接入射しないが、天空光が入射され、拡散されるように構成されている。
【0085】
このように、本実施形態によれば、各光拡散部材1015全体が平面形状ではなく、
図16に示すように、下方に面する先端面1015aとこの先端面1015aに連結された西側側面1015d及び東側側面1015eとを備え、下方へ突出する角型の凸形状を有している。先端面1015aのみならず、下方へ突出した西側側面1015d及び東側側面1015eからも光が拡散するように構成されているため、朝日及び夕日の太陽光が低い入射角で入射した場合に、先端面1015a、西側側面1015d及び東側側面1015eの全てにおいて光が拡散されるので、光拡散性が大幅に向上する。その結果、1日を通して充分に拡散されより均一な照度分布を有する光が、太陽光発電パネルの下の栽培物に、より均一な光強度分布で照射されることとなる。即ち、透過率(光拡散度)の異なる2種類の光拡散パネルにより、栽培物1010のあらゆる場所にあらゆる角度から拡散光を配光させることができ、また隣接する光拡散パネルからも拡散光が入って交差して照射されるため、均一な強度の光を栽培物1010に照射することができる。一般に、植物育成に必要な最低照度である光補償点は400LX程度であり、光合成が飽和する照度である光飽和点は50000LX程度であると言われている。この照度範囲は、一部の植物(例えばトマト)に例外はあるが、0~50000LX程度である天空光による照度範囲内に含まれる。本実施形態によれば、天空光の光強度に類似した均一した拡散光が栽培物1010に照射される。その結果、均一な品質の栽培物1010を収穫することができる。もちろん、光拡散部材1015を通した拡散光であるため、130000LXほどの太陽直射光は栽培物1010には直接的に印加されない。なお、レタス栽培においては、太陽直射光よりも拡散光を照射したほうが3倍成長することが確認されている。特に、本実施形態においては、光拡散部材1015が傾斜しておらず、南北方向及び東西方向に水平に設置されるため、ソーラーパネル1014とは別個に独立して取付けできるから設置が容易となる。
【0086】
なお、本実施形態では、ソーラーパネル1014及び光拡散部材1015が、フレーム1013上に設置されており、このフレーム1013及び/又は光拡散部材1015が栽培物(作物)1010の植えられた耕地1011の表から3~5mの高さに位置しているため、拡散光を栽培物1010全体に配光できることはもちろんのこと、高さのある栽培物にも対応可能である。また、フレーム1013を高い位置に設ければ、その下での作業が容易となり、トラクターやコンバイン、荷運び用ロボット、その他の農業機械の運転、及び点検用通路の設置が可能となる。
【0087】
本実施形態における潅水構造は、
図6に示した
図1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムで栽培可能な栽培物1010としては、レタス、ミツバ、サンチュ、ハーブ等の非結球青物野菜はもちろんのこと、イネ、イネ科の他の食物、ダイズ、トマト、キュウリ、メロン、エンドウ、セロリ、牧草、その他の植物がある。
【0089】
本実施形態のソーラーシェアリングシステムの光拡散部材1015として、前述したポリカーボネート波板パネル及びポリカーボネート中空パネルの他に、ポリカーボネート材料以外の樹脂又はガラス材料を用いたパネルや、ハウス用フィルム、テント用膜等も使用可能である。光拡散フィルムを透明パネルに被着させて強度を増大させたものを用いても良い。なお、光拡散部材1015として光拡散度が大きいパネルを用いれば、その設置面積を小さくすることが可能であり、その場合、ソーラーパネル1014の設置面積を増大させることが可能となる。
【0090】
なお、本実施形態の変更態様として、先端面1015a、西側側面1015d及び東側側面1015eを、透過率(光拡散度)が同一の光拡散パネルで構成しても良い。
【0091】
図19は本実施形態の光拡散部材の構成例を示しており、以下、本実施形態において適用可能な種々の構造の光拡散部材を説明する。
【0092】
図19(B)及び(C)は同図(A)のH-H断面を示している。同図(B)は先端面1015aとパネル取り付け部材によってこの先端面1015aに連結された西側側面1015d及び東側側面1015eとを備えた、上述したコ字状断面を有する凸形状の光拡散部材1015の例を示している。南側側面及び北側側面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【0093】
同図(C)は、半長円形状(U字状)の断面を備えた凸形状を有する光拡散部材1115の例であり、西側側面、先端面及び東側側面に対応する面1115aが例えば、ポリカーボネート波板パネル、ポリカーボネート中空パネル(例えば、ポリカツイン(登録商標)、ツインカーボ(登録商標)、ペアカーボ(登録商標))等の光拡散パネルを丸めてパネル取り付け部材に取り付けて形成されている。即ち、面1115aが透過率50~80%の光拡散パネルで構成されており、光透過によって得られる照度は低いが、拡散度が大きいので均一な照度分布が得られるように構成されている。南側側面及び北側側面に対応する面は、何も設けずに開口させた状態となっている。
【実施例0094】
本発明のごとく、光拡散部材の側面から光が拡散される場合について、その光拡散効果を測定した。
図20はその測定状況を説明する図であり、20は被測定対象である光拡散パネルサンプル、21a~21cは模擬太陽光源であるLEDビームライト(米国、CREE社製LEDビームライト、XML-T6)、22a~22dは照度計(株式会社ティーアンドディー製、TR-74Ui)をそれぞれ示している。
【0095】
光拡散パネルサンプル20に対してLEDビームライト21a~21cから入射角の異なるビーム(30°、45°、60°)を照射し、光拡散パネルサンプル20の背後の固定位置に光拡散パネルサンプル20と平行な面内に設置した照度計22a~22dによって、ビーム直下(照度計22a)、ビーム直下から150mm離れた位置(照度計22b)、ビーム直下から300mm離れた位置(照度計22c)、ビーム直下から450mm離れた位置(照度計22d)の照度をそれぞれ計測した。ただし、光拡散パネルサンプル20が中空パネルの場合はそのリブが、波板の場合は流れ方向が入射ビームの角度変化面に対して垂直(
図20において水平方向(手前-奥方向))となるように配置した。計測結果を表1に示す。
【0096】
【0097】
LEDビームライト21aからの入射角が60°のビームは、夏至の頃の太陽直射光に相当し、LEDビームライト21bからの入射角が45°のビームは、春分又は秋分の頃の太陽直射光に相当し、LEDビームライト21cからの入射角が30°のビームは、冬至の頃の太陽直射光に相当する。表1の計測結果について、ビーム直下の照度と、ビーム直下から離れた位置における照度との比(照度比)を算出した。その算出結果を表2に示す。
【0098】
【0099】
表1及び表2から分かるように、光拡散部材の側面に、ポリカーボネート波板パネル及びポリカーボネート中空パネル(ポリカツイン)を用いた場合は、冬至の頃の太陽直射光に相当する入射角が30°のビームを入射した場合、ビーム直下からかなり離れた位置(例えば300mmの位置)においても計測照度値が高く(照度比が減少せず)、太陽光が充分に拡散していることが認められた。従って、北側側面に、光拡散パネルを設けること、特に、ポリカーボネート波板パネル及びポリカーボネート中空パネル(ポリカツイン)による光拡散パネルを設けることが望ましく、(流れ方向が水平方向となるように設置した)ポリカーボネート波板パネルによる光拡散パネルを設けることがより望ましい。
【0100】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。