(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144411
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】整列装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65G47/14 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045408
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】305021292
【氏名又は名称】第一実業ビスウィル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康生
(72)【発明者】
【氏名】片山 耕平
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080AA34
3F080BA01
3F080BA02
3F080CC05
3F080CC09
3F080CC19
3F080CC23
3F080CC26
3F080CG04
3F080DA17
(57)【要約】
【課題】従来に比べてより高い効率で、対象物を一列に整列して搬出することができる整列装置を提供する。
【解決手段】上端面である搬送面35aが角度θ
1で外周に向けて下り傾斜面となった円筒搬送体35と、円筒搬送体35を回転可能に支持するハウジング12と、円筒搬送体35内に位置し、回転可能にハウジング12に支持された回転体40と、円筒搬送体35及び回転体40を回転させる回転駆動部25,39とを備える。円筒搬送体35の回転中心軸35bは鉛直軸a
vに対し搬送面35aと同じ角度θ
1で傾斜し、回転体40の回転中心軸は、円筒搬送体35の回転中心軸35bとは反対側に傾斜している。回転体40の上端縁が円筒搬送体35の搬送面35aに接続している。ハウジングは、円筒搬送体35の回転方向において、接続部P
1から搬出部P
2に向けて搬送される対象物Tを、摺接状態で案内する円弧状の案内面15aを有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物を一列に整列させて搬出、又は適宜搬送装置に受け渡すように構成された整列装置であって、
円筒状、且つ環状をした中空部材からなり、その上端面が搬送面を成すとともに、該上端面は、中心軸線と直交する平面に対し、外周に向けて下り傾斜する傾斜面となった円筒搬送体と、
上部が開口した円筒状の収容空間を有し、該収容空間内に前記円筒搬送体を収容するとともに、該円筒搬送体を、その中心軸線を回転中心軸として回転可能に支持するハウジングと、
前記円筒搬送体内に配設され、その中心軸線を回転中心軸として回転可能に前記ハウジングに支持された円板状又は円盤状の回転体と、
前記円筒搬送体及び回転体を回転させる回転駆動部とを備えて構成され、
前記円筒搬送体は、その回転中心軸が鉛直軸に対して、前記搬送面の傾斜角と同じ角度で傾斜した状態で前記ハウジングに支持され、
前記回転体は、その外周面と前記円筒搬送体の内周面との間の隙間が、前記対象物が嵌まり込まない隙間となるように設けられるとともに、その回転中心軸が、前記円筒搬送体の回転中心軸を含む鉛直面内において、前記円筒搬送体の回転中心軸に対し、前記円筒搬送体の回転中心軸の傾斜方向とは反対側に傾斜した状態で前記ハウジングに支持され、更に、前記鉛直面内に位置する上端縁が前記円筒搬送体の搬送面に接続するように設けられ、
前記ハウジングは、前記円筒搬送体の回転方向において、前記回転体の上端縁が前記円筒搬送体の前記搬送面に接続する接続部から、該円筒搬送体の回転中心軸を挟んで反対側に設定された搬出部に向けて前記搬送面上を搬送される前記対象物を、摺接状態で案内する円弧状の案内面を有していること特徴とする整列装置。
【請求項2】
前記円筒搬送体の搬送面及び回転中心軸の傾斜角は、1°以上20°以下の角度に設定されていることを特徴とする請求項1記載の整列装置。
【請求項3】
前記円筒搬送体の搬送面及び回転中心軸の傾斜角は、1°以上10°以下の角度に設定されていることを特徴とする請求項1記載の整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象物を一列に整列して搬出、又は適宜搬送装置に受け渡すように構成された整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記整列装置の一例として、従来、登録実用新案第3148073号公報(下記特許文献1)に開示された整列装置が知られている。
【0003】
この整列装置は、円形の開口部と傾斜壁とを有する漏斗状部を有する回転体と、前記回転体の上端部の外周に沿うように形成された内壁面を有する外筒体と、周縁部の一部が前記漏斗状部の前記上端部と接触し、前記周縁部の一部以外の周縁部が前記回転体の傾斜壁に非接触状態で対向するように水平面に対して所定角度だけ傾斜した状態で前記回転体の漏斗状部に設けられる傾斜円板と、搬送された部品を順次外部に送出する部品送出部とを備えている。
【0004】
前記回転体は、モータの駆動力を受けて一定方向に回転することによって、前記漏斗状部の前記開口部を囲む上端部が前記部品を搬送する搬送トラックとして機能する。また、前記傾斜円板は、前記回転体の回転力を前記周縁部の一部で受けて回転することにより、前記周縁部の一部が前記搬送トラックへの部品の乗り移り点として機能する。
【0005】
この整列装置によれば、まず、前記回転体及び傾斜円板が回転している状態で、多数の部品が前記傾斜円板上に投入される。そして、投入された部品は、傾斜円板の回転に伴ってその回転方向に移動するとともに、遠心力によって当該傾斜円板の周縁部側に移動することにより前記回転体の傾斜壁に摺接し、このように傾斜壁に摺接することで、当該傾斜壁により案内されながら、この傾斜壁に沿って順次乗り移り点まで搬送され、当該乗り移り点において、前記回転体の搬送トラックに乗り移る。
【0006】
そして、回転体の搬送トラックに乗り移った部品は、遠心力により更に外筒体の内周面側に移動して当該内周面に摺接し、このように内周面に摺接することで一列に整列される。そして、一列に整列された部品は、当該搬送トラックに載置された状態で回転体の回転方向に更に搬送され、この回転方向に適宜位置に設定された部品送出部から外部に向けて搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来の整列装置では、一般的に、前記回転体の搬送トラック(搬送面)が水平に設けられている。このため、部品が、前記乗り移り点で前記傾斜円板から搬送トラックに乗り移った後に、更に、前記外筒体の内周面に向けて移動して当該内周面に摺接することで一列に整列される当該部品の移動は、もっぱら、部品に作用する遠心力に依存するものであった。
【0009】
ところが、遠心力のみに依存した移動では、部品は、搬送トラックとの摩擦によって、必ずしもスムーズに外方(遠心方向)に移動することができない場合を生じ、このようにスムーズに移動できない部品を生じると、当該部品が次々と搬送トラックに乗り移ってくる後続の部品の整列に支障をきたすという問題があった。そして、搬送トラックに移動した部品がスムーズに整列されない場合には、前記部品送出部から送出される時間当たりの部品の数量が予定された数量よりも低下、言い換えれば、整列装置から送出される部品の送出効率が予定された効率よりも低下した状態となる。
【0010】
この整列装置は、後工程での処理を効率的に行うために、対象物(部品)を一列に整列して当該後工程に搬送するものであり、恒常的に、より高い送出効率が求められている。
【0011】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、従来に比べてより高い効率で、対象物を一列に整列して搬出することができる整列装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、
複数の対象物を一列に整列させて搬出、又は適宜搬送装置に受け渡すように構成された整列装置であって、
円筒状、且つ環状をした中空部材からなり、その上端面が搬送面を成すとともに、該上端面は、中心軸線と直交する平面に対し、外周に向けて下り傾斜する傾斜面となった円筒搬送体と、
上部が開口した円筒状の収容空間を有し、該収容空間内に前記円筒搬送体を収容するとともに、該円筒搬送体を、その中心軸線を回転中心軸として回転可能に支持するハウジングと、
前記円筒搬送体内に配設され、その中心軸線を回転中心軸として回転可能に前記ハウジングに支持された円板状又は円盤状の回転体と、
前記円筒搬送体及び回転体を回転させる回転駆動部とを備えて構成され、
前記円筒搬送体は、その回転中心軸が鉛直軸に対して、前記搬送面の傾斜角と同じ角度で傾斜した状態で前記ハウジングに支持され、
前記回転体は、その外周面と前記円筒搬送体の内周面との間の隙間が、前記対象物が嵌まり込まない隙間となるように設けられるとともに、その回転中心軸が、前記円筒搬送体の回転中心軸を含む鉛直面内において、前記円筒搬送体の回転中心軸に対し、前記円筒搬送体の回転中心軸の傾斜方向とは反対側に傾斜した状態で前記ハウジングに支持され、更に、前記鉛直面内に位置する上端縁が前記円筒搬送体の搬送面に接続するように設けられ、
前記ハウジングは、前記円筒搬送体の回転方向において、前記回転体の上端縁が前記円筒搬送体の前記搬送面に接続する接続部から、該円筒搬送体の回転中心軸を挟んで反対側に設定された搬出部に向けて前記搬送面上を搬送される前記対象物を、摺接状態で案内する円弧状の案内面を有している整列装置に係る。
【0013】
この整列装置によれば、まず、回転駆動部によって円筒搬送体及び回転体が同じ回転方向に回転した状態で、円筒搬送体内の回転体上に複数の対象物が投入される。投入された対象物は、回転体の回転に伴ってその回転方向に移動するとともに、遠心力により当該回転体の周縁部側に移動して当該円筒搬送体の内周面に摺接する。そして、円筒搬送体の内周面に摺接した対象物は、回転体の回転中心軸が円筒搬送体の回転中心軸に対して、当該円筒搬送体の回転中心軸の傾斜方向とは反対側に傾斜した状態でハウジングに支持されているので、回転体の回転により円筒搬送体の内周面に摺接しながら上方に移動して、回転体の上端縁と円筒搬送体の搬送面との接続部から円筒搬送体の搬送面に乗り移る。
【0014】
そして、円筒搬送体の搬送面に乗り移った対象物は、搬送面が外周に向けた下り傾斜面となっているので、遠心力及び自重により搬送面上を外周に向けて滑落するように移動して、ハウジングに設けられた案内面に摺接し、このように案内面に摺接することで一列に整列される。そして、一列に整列された対象物は、遠心力及び自重によって前記案内面に摺接しながら、円筒搬送体の搬送面上に載置された状態でその回転方向に搬送され、当該円筒搬送体の回転中心軸を挟んで前記接続部とは反対側に設定された搬出部から外部に搬出される。
【0015】
尚、前記円筒搬送体及び回転体の回転速度は同じ速度でも良いが、円筒搬送体の搬送面上に乗り移った対象物を安定した状態で搬送するためには、順次乗り移る対象物間の間隔が広がるように、回転体の回転速度に比べて円筒搬送体の回転速度の方が若干速い速度であるのが好ましい。
【0016】
このように、この整列装置によれば、前記接続部において、前記回転体から円筒搬送体の搬送面に乗り移った対象物は、遠心力の作用のみならず、これに加えて自重の作用により、搬送面上を外周に向けて滑落するように移動するので、当該対象物は外周方向にスムーズに移動して、ハウジングに設けられた案内面に摺接する。したがって、円筒搬送体の搬送面に次々と乗り移る対象物をスムーズにハウジングの案内面に摺接させて一列に整列させることができ、これにより、効率の良い整列を実現することできるとともに、前記搬出部から搬出される時間当たりの対象物の数量、言い換えれば、搬出効率を、従来に比べて格段に向上させることができる。
【0017】
また、前記円筒搬送体の搬送面は外周に向けた下り傾斜面となっているとともに、当該円筒搬送体は、その回転中心軸が鉛直軸に対して、前記搬送面の傾斜角と同じ角度で傾斜した状態となっているので、当該円筒搬送体の回転中心軸を挟んで前記接続部とは反対側に設定される搬出部における搬送面は水平状態となっている。したがって、この搬出部から対象物を搬出する際に、当該対象物を安定した姿勢で外部に搬出させることができる。
【0018】
尚、上記整列装置において、前記円筒搬送体の上端面及び回転中心軸の傾斜角は、1°以上20°以下の角度に設定されているのが好ましい。傾斜角が1°未満の場合には、求められる整列効率が実現されず、一方、傾斜角が20°を超えると、接続部において搬送面に乗り移った対象物が外周方向に向けて移動する勢いが強くなりすぎて、逆に、対象物の挙動が不安定になって、効率の良い整列が実現できないからである。この意味において、前記傾斜角は10°以下の角度に設定されているのがより好ましい。
【0019】
また、本発明に係る整列装置に適用される前記対象物は、その一例として、錠剤、カプセル状の物や電子部品など比較的小型の物品を例示することができるが、このようなものに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る整列装置によれば、接続部において、回転体から円筒搬送体の搬送面に乗り移った対象物は、遠心力のみならず、自重の作用により、搬送面上を外周に向けて滑落するように移動するので、当該対象物は外周方向にスムーズに移動して、ハウジングに設けられた案内面に摺接する。したがって、円筒搬送体の搬送面に次々と乗り移る対象物をスムーズにハウジングの案内面に摺接させて一列に整列させることができ、これにより、効率の良い整列を実現することできるとともに、前記搬出部から搬出される時間当たりの対象物の数量、言い換えれば、搬出効率を、従来に比べて格段に向上させることができる。
【0021】
また、円筒搬送体の搬送面は外周に向けた下り傾斜面となっているとともに、当該円筒搬送体は、その回転中心軸が鉛直軸に対して、その搬送面の傾斜角と同じ角度で傾斜した状態となっているので、当該円筒搬送体の回転中心軸を挟んで前記接続部とは反対側に設定される搬出部における搬送面は水平状態となっている。したがって、この搬出部から対象物を搬出する際に、当該対象物を安定した姿勢で外部に搬出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る整列供給装置を示した平面図である。
【
図2】
図1における矢視A-A方向の断面図である。
【
図3】本実施形態に係る円筒搬送体を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、本例の整列供給装置1は、複数の対象物Tを一列に整列させる整列装置10、及び整列装置10によって一列に整列された対象物Tを外部に搬出する搬送装置50から構成される。尚、本例では、整列対象物Tとして、楕円形をした錠剤を例示するが、対象物Tとしては、このような錠剤に限られるものではなく、この他に、カプセル状の物や電子部品など比較的小型の物品を例示することができる。但し、このようなものに限定されるものではない。
【0024】
前記整列装置10は、平面視矩形状をしたブロック状の基台11と、この基台11上に設けられたハウジング12と、ハウジング12内に保持される円筒搬送体35と、円筒搬送体35内に配設される回転体40などから構成される。
【0025】
前記ハウジング12は、前記基台11上に設けられる下部ハウジング13と、この下部ハウジング13上に連結された上部ハウジング14とから構成される。下部ハウジング13は天井部を有する円筒状をした中空の部材から構成され、前記天井部の中心部には開口が形成されており、この開口を塞ぐように、支持部材20が固設されている。また、上部ハウジング14は、上下が開口した、同じく円筒状をした中空の部材から構成される。これら上部ハウジング14及び下部ハウジング13は同軸に連結されており、その中心軸は、鉛直軸a
vに対して角度θ
1で
図2において左側に傾斜している。
【0026】
前記支持部材20は、上下が開口した円筒状を有する中空の部材から構成されており、その外周面には、上下に並設される2つのベアリング21が外嵌され、更に、このベアリング21の外側に、同じく上下が開口した円筒状を有する中空の部材から構成される回転筒22が外嵌されている。斯くして、回転筒22は、ベアリング21の作用によって、支持部材20に対して回転自在となっている。
【0027】
また、前記回転筒22の外周にはリングギア23が外嵌されており、このリングギア23には、駆動モータ25の出力軸に連結されたピニオンギア24が噛合している。尚、駆動モータ25は、その出力軸が前記下部ハウジング13の天井部を貫通した状態で、当該天井部の下面に固設されている。斯くして、前記駆動モータ25に駆動されて前記ピニオンギア24が回転されると、当該ピニオンギア24と噛合したリングギア23が回転し、これに伴って回転筒22がその中心軸を回転中心軸として回転する。
【0028】
また、前記回転筒22の上端面には、有底且つ円筒状をした中空の部材、言い換えればカップ状をした部材から構成される円筒搬送体35が固設されている。この円筒搬送体35の上端面35aは搬送面となっており、
図3に示すように、中心軸線と直交する平面(水平面)P
hに対し、外周に向けて前記角度θ
1で下り傾斜する傾斜面となっている。また、この円筒搬送体35の中心軸(回転中心軸)35bは、
図2に示すように、上部ハウジング14及び下部ハウジング13と同様に、鉛直軸a
vに対して、角度θ
1(搬送面35aの傾斜角と同じ角度)で左側に傾斜した状態となっている。
【0029】
また、円筒搬送体35は、その上端外周縁が前記上部ハウジング14の上部内周面14aと僅かな間隙を有した状態で、当該上部ハウジング14内に設けられており、前記上端外周縁は、前記上部ハウジング14の上端面のよりも僅かに下方に位置している。
【0030】
前記支持部材20の上端面には、支持板26が固設され、この支持板26には、上下に並設される2つのベアリング28を保持した軸受ハウジング27が固設されている。そして、前記ベアリング28により、回転軸29が回転自在に支持され、この回転軸29によって軸通された状態で、平板状をした回転体40及び山形状をした回転体41が連結されている。尚、前記回転体41は、その凸部を上にした状態で前記回転体40の上に配設されている。
【0031】
また、前記回転軸29は、前記円筒搬送体35の回転中心軸35bを含む鉛直面内において、当該回転中心軸35bの傾斜方向とは反対側に、前記鉛直軸avに対し角度θ2で傾斜した状態で前記ベアリング28によって支持されている。そして、この回転軸29の下端部には、前記支持部材20の内部空間内に設けられたユニバーサルジョイント31を介して駆動モータ30の出力軸が連結されており、前記回転軸29は駆動モータ30により駆動されて、その中心軸を回転中心軸として回転する。尚、駆動モータ30は、前記下部ハウジング13の天井部の下面に固設されている。斯くして、前記駆動モータ30により回転軸29が駆動されて、前記回転体40,41が回転する。
【0032】
また、前記回転体40は、その外周面と前記円筒搬送体35の内周面35cとの間に、前記対象物Tが嵌まり込まない程度の隙間を有するように、前記円筒搬送体35内に設けられている。そして、
図2に示すように、円筒搬送体35の回転中心軸35b、及び回転軸29の中心軸を含む鉛直面内において、前記回転体40の上端縁が円筒搬送体35の搬送面35aに接続している(この接続部を、以下「乗り移り部P
1」と称する。)(
図4も参照)。
【0033】
尚、回転体40の外周面と円筒搬送体35の内周面35cとの間の隙間は、少なくとも対象物Tが嵌り込まない隙間である必要があるが、可及的に狭い隙間であるのが好ましい。また、乗り移り部P1では、円筒搬送体35の搬送面35aが角度θ1の傾斜面となり、且つ、円筒搬送体35の回転中心軸35bが同じく角度θ1で傾斜しているので、当該搬送面35aは水平面に対して2θ1の角度有する下り傾斜面となっている。一方、円筒搬送体35の回転中心軸35bを挟んで、前記乗り移り部P1とは反対側に設定された搬出部P2では、円筒搬送体35の搬送面35aは水平になっている。
【0034】
また、前記上部ハウジング14の上端面には、前記円筒搬送体35の回転方向において、前記乗り移り部P
1から前記搬出部P
2に向けて、前記搬送面35a上を搬送される前記対象物Tを、摺接状態で案内する円弧状の案内面15aを備えたガイド部材15が設けられている。尚、このガイド部材15の厚みは、乗り移り部P
1から搬出部P
2に向うに従って薄くなっており、搬出部P
2では、対象物Tの厚さよりも僅かに厚くあっている(
図5参照)。
【0035】
前記搬送装置50は、
図1、
図2及び
図5に示すように、前記円筒搬送体35の前記搬送面35a上を搬送され、前記搬出部P
2に至った対象物Tを系外に搬送する装置であって、前記円筒搬送体35の回転中心軸35b及び回転軸29の中心軸を含む鉛直面と直交するように鉛直に配設され、相互間に所定の間隙を有するように対向して並設された第1回転円板52及び第2回転円板53と、この第1回転円板52と第2回転円板53との間の内部空間に負圧を作用させる吸引ボックス51と、前記第1回転円板52及び第2回転円板53に連結され、これらを、その中心軸を回転中心軸として回転させる駆動モータ55から構成される。
【0036】
斯くして、この搬送装置50によれば、第1回転円板52と、第2回転円板53との間に負圧が作用し、前記搬出部P2において、対象物Tは、前記負圧の作用によって第1回転円板52と第2回転円板53との間の開口に吸着され、第1回転円板52及び第2回転円板53の回転によって、これらに吸着された状態で系外に搬出される。尚、搬出部P2では、前記円筒搬送体35の搬送面35aが水平になっているので、対象物Tを安定した状態で、確実に吸着することができる。
【0037】
以上の構成を備えた本例の整列供給装置1によれば、以下のようにして、複数の対象物Tを一列に整列した後、系外に搬出して、所定の後工程に供給することができる。
【0038】
即ち、まず、整列装置10の円筒搬送体35、並びにこの円筒搬送体35内に配設された回転体40及び回転体41が同じ回転方向に同じ回転速度で回転している状態で、複数の対象物Tを円筒搬送体35内の回転体40及び回転体41上に投入する。
【0039】
回転体41上に投入された対象物Tは、当該回転体41が山形状を有しているので、当該回転体41を転動又は滑動して、その外側の回転体40上に移動する。そして、この回転体41から回転体40上に移動した対象物T、及び回転体40上に直接投入された対象物Tは、回転体40の回転に伴ってその回転方向に移動するとともに、遠心力により当該回転体40の周縁部側に移動して円筒搬送体35の内周面35cに摺接する。
【0040】
そして、円筒搬送体35の内周面35cに摺接した対象物Tは、回転体40の回転中心軸が円筒搬送体35の回転中心軸35bに対して、当該回転中心軸35bの傾斜方向とは反対側に傾斜した状態となっているので、回転体40の回転により円筒搬送体35の内周面35cに摺接しながら上方に移動して、回転体40の上端縁と円筒搬送体35の搬送面35aとの接続部、即ち、乗り移り部P1から円筒搬送体35の搬送面35aに乗り移る。
【0041】
そして、円筒搬送体35の搬送面35aに乗り移った対象物Tは、当該乗り移り部P1において、搬送面35aが外周に向けて2θ1の角度で下り傾斜した傾斜面となっているので、遠心力及び自重により搬送面35a上を外周に向けて滑落するように移動して、ガイド部材15の案内面15aに摺接し、このように案内面15aに摺接することで一列に整列される。そして、一列に整列された対象物Tは、前記案内面15aに摺接しながら、円筒搬送体35の搬送面35a上に載置された状態でその回転方向に搬送されて、前記搬出部P2に至る。
【0042】
尚、前記円筒搬送体365及び回転体40の回転速度は同じ速度でも良いが、円筒搬送体35の搬送面35a上に乗り移った対象物Tを安定した状態で搬送するためには、順次乗り移る対象物T間の間隔が広がるように、回転体40の回転速度に比べて円筒搬送体35の回転速度の方が若干速い速度であるのが好ましい。
【0043】
そして、搬出部P2に到達した対象物Tは、搬送装置50の第1回転円板52と第2回転円板53との間の開口に吸着され、当該第1回転円板52及び第2回転円板53の回転により、これらに吸着された状態で系外に搬出され、この後、搬送装置50から適宜後工程に供給される。
【0044】
以上のように、本例の整列装置10によれば、乗り移り部P1において、回転体40から円筒搬送体35の搬送面35aに乗り移った対象物Tは、遠心力の作用のみならず、これに加えて自重の作用により、搬送面35a上を外周に向けて滑落するように移動するので、当該対象物Tは外周方向にスムーズに移動して、ガイド部材15の案内面15aに摺接する。したがって、円筒搬送体35の搬送面35aに次々と乗り移る対象物Tをスムーズにガイド部材15の案内面15aに摺接させて一列に整列させることができ、これにより、効率の良い整列を実現することできるとともに、搬出部P2から搬出される時間当たりの対象物の数量、言い換えれば、搬出効率を、従来に比べて格段に向上させることができる。
【0045】
また、円筒搬送体35の搬送面35aは、乗り移り部P1から搬出部P2に至るまでの間、その傾斜角が緩和されながらも、外周に向けた下り傾斜面となっているので、搬送面35a上を搬送される対象物Tは、遠心力及び自重によって、常にガイド部材15の案内面15aに摺接した状態が維持され、これにより、搬送姿勢が安定したものとなる。
【0046】
また、円筒搬送体35の搬送面35aは外周に向けた下り傾斜面となっているとともに、当該円筒搬送体35は、その回転中心軸35bが鉛直軸avに対して、搬送面35aの傾斜角θ1と同じ角度θ1で傾斜した状態となっているので、当該円筒搬送体35の回転中心軸35bを挟んで乗り移り部P1とは反対側に設定された搬出部P2における搬送面35aは水平状態となっている。したがって、この搬出部P2から対象物Tを搬出する際に、当該対象物Tを安定した姿勢で外部に搬出させることができる。
【0047】
尚、上記整列装置10において、円筒搬送体35の搬送面35a及び回転中心軸35bの傾斜角θ1は、1°以上20°以下の角度に設定されているのが好ましい。傾斜角θ1が1°未満の場合には、求められる整列効率が実現されず、一方、傾斜角θ1が20°を超えると、乗り移り部P1において搬送面35aに乗り移った対象物Tが外周方向に向けて移動する勢いが強くなりすぎて、逆に、対象物Tの挙動が不安定になり、効率の良い整列が実現できないからである。この意味において、前記傾斜角θ1は10°以下の角度に設定されているのがより好ましく、6°以下の角度に設定されているのが更に好ましい。
【0048】
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何ら上例のものに限定されるものでは無い。
【0049】
例えば、上例では、上部ハウジング14の上端面上にガイド部材15を設けたが、このような態様に限られるものではなく、上部ハウジング14の上端面を、円筒搬送体35の搬送面35aよりも、少なくとも対象物Tの厚さ以上となる上方に位置させて、乗り移り部P1から搬出部P2に向けた対象物Tの移動を、上部ハウジング14の内周面14aによって案内するようにしても良い。
【0050】
また、上例では、山形状の回転体41を設けたが、これに限られるものではなく、この回転体41を省略しても良い。
【0051】
また、上例では、整列装置10によって整列された対象物Tを、第1回転円板52及び第2回転円板53を有する搬送装置50により吸着して搬出するようにしたが、搬送装置はこのような態様のものに限られるものではなく、他の態様の物でもよい。また、整列装置10から対象物Tを搬出する態様は、搬送装置を用いたものに限られるものではなく、例えば、適宜ガイド部材を整列装置10に接続させて、対象物Tをこのガイド部材により案内しながら系外に搬出するようにしても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 整列供給装置
10 整列装置
11 基台
12 ハウジング
13 下部ハウジング
14 上部ハウジング
15 ガイド部材
20 支持部材
21 ベアリング
22 回転筒
23 リングギア
24 ピニオンギア
25 駆動モータ
26 支持板
27 軸受ハウジング
28 ベアリング
29 回転軸
30 駆動モータ
31 ユニバーサルジョイント
35 円筒搬送体
40 回転体
41 回転体
50 搬送装置
51 吸引ボックス
52 第1回転円板
53 第2回転円板
55 駆動モータ