(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144436
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220926BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045452
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 悟史
(57)【要約】
【課題】損傷の発生を抑制し、絶縁耐量の低下を防止することができる。
【解決手段】第1配線部材71は、側面視で、第1屈曲部71cでL字状に屈曲し、半導体チップの主面に平行な第1水平部71aと第1水平部71aに垂直な第1垂直部71bとを含んでいる。第2配線部材72は、側面視で、第1配線部材71に対して反対方向に第2屈曲部72cでL字状に屈曲し、第1水平部71aと同一平面を成す第2水平部72aと第1垂直部71bに対して所定距離、隙間を空けて第1垂直部71bに平行な第2垂直部72bとを含んでいる。さらに、配線保持部73は、第1,第2垂直部71b,72bの隙間、及び、第1,第2屈曲部71c,72cの隙間に充填されている。このため、第1,第2屈曲部71c,72cの近傍に生じる応力を緩和することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体チップ及び第2半導体チップと、
一端部が前記第1半導体チップに電気的に接続された第1配線部材と、一端部が前記第2半導体チップに電気的に接続された第2配線部材と、前記第1配線部材及び前記第2配線部材のそれぞれの一部を包含する配線保持部と、を有する配線ユニットと、
を備え、
前記第1配線部材は、側面視で、第1屈曲部でL字状に屈曲し、前記第1半導体チップの主面に平行な第1水平部と前記第1水平部に垂直な第1垂直部とを含み、
前記第2配線部材は、側面視で、前記第1配線部材に対して反対方向に第2屈曲部でL字状に屈曲し、前記第1水平部と同一平面を成す第2水平部と前記第1垂直部に対して所定距離、隙間を空けて前記第1垂直部に平行な第2垂直部とを含み、
前記配線保持部は、前記第1垂直部と前記第2垂直部との隙間、及び、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との隙間に充填されている、
半導体装置。
【請求項2】
前記配線保持部は、さらに、
前記第1水平部の前記第1半導体チップに対向する面及び前記第1垂直部の前記第2垂直部に対向する面との角部である前記第1屈曲部の外角側を包含し、
前記第2水平部の前記第2半導体チップに対向する面及び前記第2垂直部の前記第1垂直部に対向する面との角部である前記第2屈曲部の外角側を包含する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線保持部は、さらに、
前記第1垂直部の前記第2垂直部の反対側を包含し、
前記第2垂直部の前記第1垂直部の反対側を包含する、
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体チップが電気的に接続された第1導電板と、
前記第2半導体チップが電気的に接続された第2導電板と、
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップと前記第1配線部材と前記第2配線部材と前記配線ユニットとを収納するケースと、
をさらに備え、
前記第1配線部材の第1一端部が前記第1導電板に電気的に接続されて、前記第1配線部材の第1他端部は前記ケースの外部に延伸し、
前記第2配線部材の第2一端部が前記第2導電板に電気的に接続されて、前記第2配線部材の第2他端部は前記ケースの外部に延伸する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ケース内を充填し、
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップと前記第1導電板と前記第2導電板と前記第1配線部材の一部と前記第2配線部材の一部とを封止し、
封止面が前記第1水平部及び前記第2水平部よりも上位であって、前記配線保持部の包含上面よりも下位である封止部材をさらに備える、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1配線部材は、さらに、前記第1水平部から前記第1導電板に延伸し、前記第1導電板に接続された前記第1一端部を含む第1脚部を含み、
前記第2配線部材は、さらに、前記第2水平部から前記第2導電板に延伸し、前記第2導電板に接続された前記第2一端部を含む第2脚部を含む、
請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1配線部材は、前記第1半導体チップに対して上方に延伸し、前記ケースの外部から延伸する前記第1他端部を含む第1外部接続部を含み、
前記第2配線部材は、前記第2半導体チップに対して上方に延伸し、前記ケースの外部から延伸する前記第2他端部を含む第2外部接続部を含む、
請求項4乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2配線部材は、前記第2垂直部に前記第1垂直部から離れる方向に延伸する連結部をさらに備える、
請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記配線保持部は前記連結部をさらに封止する、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1垂直部と前記第2垂直部との前記所定距離は、0.25mm以上、4.0mm以下である、
請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2配線部材は、上アーム部を構成するP端子であって、
前記第1配線部材は、下アーム部を構成するN端子である、
請求項1乃至10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部を包含する前記配線保持部の前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップに対向する包含下面は、前記第1水平部及び前記第2水平部に対して前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップの主面側に突出している、
請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1屈曲部の曲率は、前記第1配線部材の板厚T1に対して、1/T1よりも小さく、
前記第2屈曲部の曲率は、前記第2配線部材の板厚T2に対して、1/T2よりも小さい、
請求項1乃至12のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部は、前記隙間側に切り欠き部がそれぞれ形成されている、
請求項1乃至12のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
平面視で、前記第1垂直部の幅は、前記第2垂直部の幅よりも長い、
請求項1乃至14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記配線保持部は、前記第2垂直部の全体を包含し、平面視で、前記第2垂直部の幅方向の端部を除いて前記第1垂直部を包含する、
請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
平面視で前記第2水平部に対する幅方向の端面の裏面側の角部に、曲面を有する、
請求項15または16の半導体装置。
【請求項18】
前記第1垂直部及び前記第2垂直部の少なくともいずれか一方に複数の開口部が形成されている、
請求項1乃至17のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、パワーデバイスを含み、例えば、インバータを構成する電力変換装置として用いられる。パワーデバイスは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。半導体装置は、パワーデバイスを含む半導体チップと複数の絶縁回路基板とを含む。また、半導体装置は、半導体チップに電気的に接続される複数のリードフレームをさらに含む。電力変換装置の高周波数化に伴い、このような複数のリードフレームから発生するインダクタンスを低減することが求められている。インダクタンスを低減するために、例えば、内部電極を構成する第1の電源電位出力電極(リードフレーム)と負荷電極と第2の電源電位出力電極(リードフレーム)とをそれぞれ板状に形成し、互いに絶縁物を挟み近接して配置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の半導体装置において、リードフレーム間には高電圧が印加されている。そのため、リードフレーム間は絶縁物で絶縁する必要がある。また、一端が露出している場合、半導体装置内部への水分の侵入を防ぐため、絶縁物はリードフレームに密着している必要がある。しかし、絶縁物が樹脂である場合、リードフレーム間が近接して配置されていると樹脂にクラックや剥離等の損傷が発生する場合がある。リードフレーム間を絶縁する樹脂に損傷が生じている場合、リードフレームの絶縁性を維持することができなくなってしまうおそれがある。この結果、半導体装置の信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、損傷の発生を抑制し、絶縁耐量の低下を防止することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1半導体チップ及び第2半導体チップと、一端部が前記第1半導体チップに電気的に接続された第1配線部材と、一端部が前記第2半導体チップに電気的に接続された第2配線部材と、前記第1配線部材及び前記第2配線部材のそれぞれの一部を包含する配線保持部と、を有する配線ユニットと、を備え、前記第1配線部材は、側面視で、第1屈曲部でL字状に屈曲し、前記第1半導体チップの主面に平行な第1水平部と前記第1水平部に垂直な第1垂直部とを含み、前記第2配線部材は、側面視で、前記第1配線部材に対して反対方向に第2屈曲部でL字状に屈曲し、前記第1水平部と同一平面を成す第2水平部と前記第1垂直部に対して所定距離、隙間を空けて前記第1垂直部に平行な第2垂直部とを含み、前記配線保持部は、前記第1垂直部と前記第2垂直部との隙間、及び、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との隙間に充填されている、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、損傷の発生を抑制し、絶縁耐量の低下を防止して、半導体装置の破損を予防でき、半導体装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態の半導体装置の外観図である。
【
図2】第1の実施の形態の半導体装置の平面図である。
【
図3】第1の実施の形態の半導体装置の側断面図である。
【
図4】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる絶縁回路基板の平面図である。
【
図5】第1の実施の形態の半導体装置の等価回路を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの配線部材の図(その1)である。
【
図7】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの配線部材の図(その2)である。
【
図8】第1の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。
【
図9】第1の実施の形態の変形例1の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。
【
図10】第1の実施の形態の変形例2の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。
【
図11】第1の実施の形態の変形例3の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。
【
図12】第2の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの図である。
【
図13】第2の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの平面図である。
【
図14】第3の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの第1,第2配線部材の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置10において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置10において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置10において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置10において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。
【0010】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の半導体装置の外観について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の外観図である。半導体装置10は、後述する構成部品が、
図1に示されるように、ケース60に覆われている。なお、半導体装置10の裏面(ケース60の裏側)には、平面視で矩形状の放熱板30が設けられている(
図3を参照)。
【0011】
ケース60は、蓋部61と側壁部62a~62dと端子口63,64とを含んでいる。蓋部61は、さらに、中心部に長手方向に沿って端子台61a,61b,61cが形成されている。端子台61a,61b,61cのおもて面にはネジ孔61a1,61b1,61c1が形成されている。端子台61a,61b,61cは、第1,第2,第3配線部材71,72,74が上方に延伸している。なお、
図1では、第1,第2,第3配線部材71,72,74が上方に延伸している場合を示している。延伸している第1,第2,第3配線部材71,72,74は端子台61a,61b,61cのおもて面側に折り曲げられて、第1,第2,第3配線部材71,72,74に形成されている開口孔がネジ孔61a1,61b1,61c1に対応して、それぞれの開口孔を通じて、ネジ孔61a1,61b1,61c1がネジ留めされる。
【0012】
側壁部62a~62dは、放熱板30の四方を囲んでいる。すなわち、側壁部62a~62dは放熱板30上に配置された構成部品を囲む(
図2を参照)。なお、側壁部62a~62dは放熱板30に対して接着剤により固着される。端子口63,64は、側壁部62cに設けられている。端子口63,64から制御端子75,76がそれぞれ表出されている。なお、側壁部62a~62dで囲まれる領域の角部近傍には固定孔65がそれぞれ形成されている。半導体装置10を所望の位置に取り付ける際に固定孔65を介してネジ留めすることができる。
【0013】
このようなケース60に含まれる側壁部62a~62dと端子口63,64と固定孔65とは、樹脂を用いて一体成形により形成されている。また、蓋部61もまた、樹脂を用いて一体成形により形成されている。このような樹脂は、熱可塑性樹脂を主成分として構成されている。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。ケース60は、別途形成された蓋部61が側壁部62a~62dの開口に接着剤により取り付けられてもよい。
【0014】
次いで、半導体装置10に収納されている構成部品について、
図2~
図8を用いて説明する。
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図3は、第1の実施の形態の半導体装置の側断面図である。
図4は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる絶縁回路基板の平面図である。
図5は、第1の実施の形態の半導体装置の等価回路を示す図である。
図6及び
図7は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの配線部材の図である。
図8は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。なお、
図2では、半導体装置10のケース60から蓋部61を取り除き、封止部材80の図示を省略した場合を示している。また、
図2及び
図3では、制御端子75,76と端子口63,64と固定孔65との図示を省略している。
図2及び
図3では、第1配線部材71、第2配線部材72、第3配線部材74を折り曲げている場合を示している。
図3は、
図2の一点鎖線X-Xにおける断面図である。また、
図3では、蓋部61の端子台61a,61b,61c等を省略して簡素化して示している。
図6は、第1,第2配線部材71,72の第1,第2脚部71d,72dの一部を省略している。
図7(A)は、第1,第2配線部材71,72の第1,第2垂直部71b,72b及び第1,第2水平部71a,72aの斜視図である。
図7(B)は、
図7(A)における断面Cにおける矢視方向の断面図である。
【0015】
図2~
図4に示されるように、半導体装置10は、絶縁回路基板20a,20bと、絶縁回路基板20a,20bがおもて面に設けられた放熱板30と、を有している。絶縁回路基板20a,20bには、半導体チップ41a~44a,41b~44bがそれぞれ配置されている。また、半導体装置10は、第1~第3配線部材71,72,74を備えている。第1~第3配線部材71,72,74は、例えば、板状のリードフレームである。
【0016】
ケース60は、放熱板30の周縁部に設けられて、絶縁回路基板20a,20bを取り囲む側壁部62a~62dと、側壁部62a~62dの開口上部に設けられた蓋部61と、を有している。そして、ケース60及び放熱板30で取り囲まれる内部に、半導体チップ41a~44a,41b~44b、絶縁回路基板20a,20b(及びボンディングワイヤ51a~54a,51b~54b,55,56)が収納されている。さらに、半導体チップ41a~44a,41b~44b、絶縁回路基板20a,20b(及びボンディングワイヤ51a~54a,51b~54b,55,56)は、封止部材80により封止されている。また、蓋部61には、外部機器との電気接続を行う第1~第3配線部材71,72,74が取り付けられている。なお、制御端子75,76は図示を省略している。
【0017】
第1~第3配線部材71,72,74は、それぞれの一端部がケース60の内部で絶縁回路基板20aまたは絶縁回路基板20bに接続されている。また、それぞれの他端部がケース60から外部に延出している。他端部は、図示しない外部機器に接続されていてよい。具体的には、第1配線部材71の一端部は、絶縁回路基板20aの導電パターン23a3,23a5に電気的及び機械的に接続されている。そして、導電パターン23a3,23a5及びボンディングワイヤ53a,54aの導電部材を介して、半導体チップ41a,42a,43a,44aと電気的に接続されている。また、他端部の第1外部接続部71eが、蓋部61からケース60の外部へ延出し、蓋部61のおもて面に沿って露出されている。第2配線部材72の一端部は、絶縁回路基板20bの導電パターン23b2に電気的及び機械的に接続されている。そして、導電パターン23b2を介して半導体チップ41b,42b,43b,44bと電気的に接続されている。また、他端部の第2外部接続部72eが、蓋部61からケース60の外部へ延出し、蓋部61のおもて面に沿って露出されている。第3配線部材74の一端部は、絶縁回路基板20aの導電パターン23a2に電気的及び機械的に接続されている。そして、導電パターン23a2を介して半導体チップ41a,42a,43a,44aと電気的に接続されている。また、他端部の第3外部接続部74eが、蓋部61からケース60の外部へ延出し、蓋部61のおもて面に沿って露出されている。
【0018】
また、配線ユニット70は、第1,第2配線部材71,72及び配線保持部73を含む。配線ユニット70は、第1,第2配線部材71,72の一部が配線保持部73に一体成形されている。また、この際、第1,第2配線部材71,72の間は、配線保持部73により絶縁性が保たれている。なお、配線ユニット70の詳細については後述する。
【0019】
絶縁回路基板20a,20bは、絶縁板21a,21bと、絶縁板21a,21bの裏面に形成された金属板22a,22bと、絶縁板21a,21bのおもて面に形成された導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5と、を有している。なお、絶縁板21a,21b及び金属板22a,22bは、平面視で矩形状である。また、絶縁板21a,21b及び金属板22a,22bは、角部がR形状や、C形状に面取りされていてもよい。金属板22a,22bのサイズは、平面視で、絶縁板21a,21bのサイズより小さく、絶縁板21a,21bの内側に形成されている。
【0020】
絶縁板21a,21bは、熱伝導性のよいセラミックスを主成分として構成されている。当該セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、または、窒化珪素を主成分とする材料により構成されている。また、絶縁板21a,21bの厚さは、0.2mm以上、2.5mm以下である。
【0021】
金属板22a,22bは、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、金属板22a,22bの厚さは、0.1mm以上、5.0mm以下である。金属板の表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金が挙げられる。
【0022】
導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5は、導電性に優れた金属を主成分として構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金が挙げられる。また、導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5の厚さは、0.1mm以上、5.0mm以下である。導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5の表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金が挙げられる。導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5は、絶縁板21a,21bのおもて面に金属層を形成し、この金属層に対してエッチング等の処理を行って得られる。または、あらかじめ金属層から切り出した導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5を絶縁板21a,21bのおもて面に圧着させてもよい。なお、
図2~
図4に示す導電パターン23a1~23a5,23b1~23b5の形状、個数は一例である。
【0023】
このような構成を有する絶縁回路基板20a,20bとして、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板を用いてよい。絶縁回路基板20a,20bは、半導体チップ41a~44a,41b~44bで発生した熱を導電パターン23a2,23b2、絶縁板21a,21b及び金属板22a,22bを介して、外側に伝導させることができる。
【0024】
また、このような絶縁回路基板20aの導電パターン23a3,23a5には、第1配線部材71の一端部(第1脚部71d(
図3を参照))がはんだ(図示を省略)を介して接続されている。絶縁回路基板20bの導電パターン23b2には、第2配線部材72の一端部(第2脚部72d(
図3を参照))がはんだ(図示を省略)を介して接続されている。絶縁回路基板20aの導電パターン23a2には、第3配線部材74の一端部(第3脚部74d(
図3を参照))がはんだ(図示を省略)を介して接続されている。なお、導電パターン23a2,23a3,23a5,23b2に示されている四角は、第3,第1,第2配線部材74,71,72の接合領域をそれぞれ表している。
【0025】
半導体チップ41a~44a,41b~44bは、シリコンまたは炭化シリコンを主成分として構成されている。半導体チップ41a,42a,41b,42bは、スイッチング素子である。スイッチング素子は、例えば、IGBT、パワーMOSFETである。このような半導体チップ41a,42a,41b,42bは、裏面に入力電極(主電極)としてドレイン電極またはコレクタ電極を備えている。また、半導体チップ41a,42a,41b,42bは、おもて面に、制御電極としてゲート電極41a1,42a1,41b1,42b1及び出力電極(主電極)としてソース電極またはエミッタ電極をそれぞれ備えている。上記の半導体チップ41a,42a,41b,42bは、その裏面側が導電パターン23a2,23b2上にはんだ(図示を省略)により接合されている。
【0026】
このような半導体チップ41a~44a,41b~44bと導電パターン23a2,23b2とを接合するはんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。はんだに代わり、金属焼結体を用いてもよい。金属焼結体の材料は、銀または銀合金を主成分とする。また、このようなはんだ及び金属焼結体は、半導体チップ41a~44a,41b~44bと導電パターン23a2,23b2との接合に限らず、第1~第3配線部材71,72,74の導電パターン23a3,23a5,23b2,23a2に対する接合にも用いてもよい。
【0027】
半導体チップ43a,44a,43b,44bは、ダイオード素子である。ダイオード素子は、FWD(Free Wheeling Diode)である。このようなダイオード素子は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PN接合ダイオードを含んでいる。このような半導体チップ43a,44a,43b,44bは、裏面に出力電極(主電極)としてカソード電極を、おもて面に入力電極(主電極)として、アノード電極をそれぞれ備えている。上記の半導体チップ43a,44a,43b,44bは、その裏面側が導電パターン23a2,23b3上にはんだ(図示を省略)により接合されている。なお、半導体チップ41a~44a,41b~44bは、スイッチング素子とダイオード素子を一つの半導体チップとしたRC(Reverse Conductive)-IGBT素子であってもよい。
【0028】
このような絶縁回路基板20a,20b及び半導体チップ41a~44a,41b~44bに対して以下のようなボンディングワイヤ51a~54a,51b~54b,55,56が配線されている。制御用配線であるボンディングワイヤ51a,52aは、導電パターン23a1と半導体チップ41a,42aのゲート電極41a1,42a1とにそれぞれ電気的に接続している。ボンディングワイヤ53a,54aは、導電パターン23a3,23a5と半導体チップ41a,42aの主電極と半導体チップ43a,44aの主電極をそれぞれ電気的に接続している。
【0029】
制御用配線であるボンディングワイヤ51b,52bは、導電パターン23b1と半導体チップ41b,42bのゲート電極41b1,42b1にそれぞれ電気的に接続している。ボンディングワイヤ53b,54bは、導電パターン23b3,23b5と半導体チップ41b,42bの主電極と半導体チップ43b,44bの主電極をそれぞれ電気的に接続している。
【0030】
そして、ボンディングワイヤ55,56は、絶縁回路基板20aの導電パターン23a2と絶縁回路基板20bの導電パターン23b3,23b5とをそれぞれ電気的に接続している。なお、ボンディングワイヤ51a~54a,51b~54b,55,56は、導電性に優れたアルミニウムや銅等の金属、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。制御用のボンディングワイヤ51a,52a,51b,52bの径は、例えば、50μm以上、400μm以下であり、主電流用のボンディングワイヤ53a,54a,53b,54b,55,56の径は、300μm以上、600μm以下である。
【0031】
このような絶縁回路基板20a,20bにおいて、第1配線部材71の一端部は、導電パターン23a3,23a5上に接合されている。導電パターン23a3,23a5は、ボンディングワイヤ53a,54aを経由して半導体チップ41a,42a,43a,44aのおもて面の主電極に接合されている。そのため、第1配線部材71は、半導体チップ41a,42a,43a,44aの主電極と電気的に接続され、主電流が流れる。
【0032】
また、第2配線部材72の一端部は、導電パターン23b2上に接合されている。導電パターン23b2は、半導体チップ41b,42b,43b,44bの裏面の主電極と電気的に接続されている。そのため、第2配線部材72は、半導体チップ41b,42b,43b,44bの主電極と電気的に接続され、主電流が流れる。
【0033】
また、第3配線部材74の一端部は、導電パターン23a2上に接合されている。導電パターン23a2は、半導体チップ41a~44aの裏面の主電極と電気的に接続されている。そのため、第3配線部材74は、半導体チップ41a~44aの主電極と電気的に接続され、主電流が流れる。
【0034】
なお、詳細な図示を省略するものの、制御端子75,76は、導電パターン23a1,23b1にそれぞれ電気的に接続されている。外部から入力された制御信号は、導電パターン23a1,23b1、ボンディングワイヤ51a,52a,51b,52bを経由して、半導体チップ41a,42a,41b,42bのゲート電極41a1,42a1,41b1,42b1に入力される。
【0035】
放熱板30は、板状であって、平面視で、矩形状を成している。放熱板30は、導電性に優れた金属を主成分として構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を含む合金が挙げられる。
【0036】
また、このような半導体装置10の放熱板30の裏面に冷却ユニットを、サーマルグリースを介して取り付けてもよい。サーマルグリースは、例えば、金属酸化物のフィラーが混入されたシリコーンである。この冷却ユニットもまた、熱伝導性に優れた材料を主成分として構成され、必要に応じて、表面にめっき処理を行ってもよい。冷却ユニットは、例えば、複数のフィンから構成されるヒートシンク並びに水冷による冷却装置である。また、放熱板30は、このような冷却ユニットと一体的に構成されてもよい。
【0037】
図5に示されるように、半導体装置10は、上アーム部A及び下アーム部Bを含むハーフブリッジ回路を構成する。半導体装置10の上アーム部Aは、絶縁回路基板20b及び絶縁回路基板20b上に配置されたボンディングワイヤ51b~54b、半導体チップ41b~44b、第2配線部材72を含む。さらに、絶縁回路基板20aの導電パターン23a2及び導電パターン23a2上に配置された第3配線部材74を含む。半導体装置10の下アーム部Bは、絶縁回路基板20a及び絶縁回路基板20a上に配置されたボンディングワイヤ51a~54a、半導体チップ41a~44a、第1配線部材72を含む。さらに、第3配線部材74を含む。そして、2つの絶縁回路基板20a,20b間は、ボンディングワイヤ55,56により接続されている。これにより、上アーム部Aと下アーム部Bとが接続される。こうすることで、半導体装置10は、上アーム部A及び下アーム部Bを含むハーフブリッジ回路として機能させることができる。
【0038】
この場合の半導体装置10では、外部電源(図示を省略)の正極に接続される接続点Pと半導体チップ41b,42bのコレクタ側の接続点C1とを繋ぐ配線が、第2配線部材72に対応する。つまり、第2配線部材72は、ハーフブリッジ回路で正極側の入力端子を構成するP端子である。負荷(図示を省略)の端子に接続される接続点Mと半導体チップ41b,42bのエミッタ側及び半導体チップ41a,42aのコレクタ側の接続点E1C2とを繋ぐ配線が、第3配線部材74に対応する。つまり、第3配線部材74は、ハーフブリッジ回路で出力端子を構成するM端子である。外部電源の負極に接続される接続点Nと半導体チップ41a,42aのエミッタ側の接続点E2とを繋ぐ配線が、第1配線部材71に対応する。つまり、第1配線部材71は、ハーフブリッジ回路で負極側の入力端子を構成するN端子である。
【0039】
次いで、配線ユニット70は、
図3に示されるように、第1,第2配線部材71,72と第1,第2配線部材71,72を包含して保持する配線保持部73とを有している。第1,第2配線部材71,72は、板状のリードフレームである。すなわち、第1,第2配線部材71,72は、半導体装置10のおもて面及び裏面に対応するX-Y面、及び、半導体装置10の一方の対向する側面に対応するY-Z面に、主面を有する。第1,第2配線部材71,72は、半導体装置10の他方の対向する側面に対応するX-Z面に側面を有する。
【0040】
第1配線部材71は、
図3及び
図6に示されるように、主面に平行な方向(Y方向)から見た側面視で、第1水平部71aと第1垂直部71bとが第1屈曲部71cでL字状に屈曲している。具体的には、第1水平部71aの一端と第1垂直部71bの一端とは第1屈曲部71cで接続されている。そして、第1水平部71aは、第1屈曲部71cから半導体チップ41a~44a及び絶縁回路基板20aの主面(X-Y面)に平行であって第2配線部材72に対して反対方向(-X方向)に延伸している。第1垂直部71bは、第1屈曲部71cから半導体チップ41a~44a及び絶縁回路基板20aの主面(X-Y面)に垂直な上方(+Z方向)に延伸している。なお、第1,第2屈曲部71c,72cは、第1,第2水平部71a,72bの裏面(半導体チップ41a~44a,41b~44bと対向する面)と第1,第2垂直部71b,72bのそれぞれが対向する面との角部である外角側に曲面を有する。第1屈曲部71cの外角側の曲率は、第2屈曲部72cの外角側の曲率と同じであってよい。例えば、第1屈曲部71cの外角側の曲率は、第1配線部材71の板厚T1に対して、1/T1である。第2屈曲部72cの外角側の曲率は、第2配線部材72の板厚T2に対して、1/T2である。さらに、第1配線部材71は、第1脚部71dと第1外部接続部71eとを含んでいる。第1水平部71aと第1垂直部71bとは、絶縁回路基板20aとケース60の蓋部61との間で高さ方向(Z方向)に所定の間隔をあけて形成されている。一方、第1配線部材71は、既述の通り、一端部が導電パターン23a3,23a5に電気的に接続されて、他端部はケース60の蓋部61から外部に延伸している。第1脚部71dは、第1水平部71aの他端から下方(-Z方向)に延伸し、導電パターン23a3,23a5に接続された当該一端部を含む。第1外部接続部71eは、半導体チップ41a~44a(絶縁回路基板20a)に対して第1垂直部71bの他端からさらに上方(+Z方向)に延伸し、ケース60の蓋部61から外部に延伸する当該他端部を含んでいる。なお、
図6では、第1外部接続部71eが上方に延伸されている場合を示している。第1外部接続部71eは、破線部で蓋部61から外部に露出し屈曲されて、蓋部61の上面に平行で第2配線部材72に対して反対方向(-X方向)に延伸されてもよい。
【0041】
第2配線部材72は、
図3及び
図6に示されるように、主面に平行な方向(Y方向)から見た側面視で、第2水平部72aと第2垂直部72bとが第2屈曲部72cでL字状に屈曲している。具体的には、第2水平部72aの一端と第2垂直部72bの一端とは第2屈曲部72cで接続されている。そして、第2水平部72aは、第2屈曲部72cから半導体チップ41a~44a及び絶縁回路基板20aの主面(X-Y面)に平行で、第1配線部材71に対して反対方向(+X方向)に延伸している。第2水平部72aは、第1水平部71aと同一平面を成す。第2垂直部72bは、第2屈曲部72cから半導体チップ41a~44a及び絶縁回路基板20aの主面(X-Y面)に垂直な上方(+Z方向)に延伸している。つまり、第2垂直部72bの主面は、第1垂直部71bの主面に対して平行であって、所定距離、隙間を空けて形成されている。第1垂直部71bの主面と第2垂直部72bの主面との隙間の間隔は、第1配線部材71と第2配線部材72とに印加される電流及び電圧によって設定されればよい。その間隔は、好ましくは、0.25mm以上、4.0mm以下である。より好ましくは、0.5mm以上、2.0mm以下である。間隔が小さすぎると、第1配線部材71と第2配線部材72との間で絶縁性が低下し短絡する恐れがある。また、間隔が大きすぎると、インダクタンスが低減できない。また、第2垂直部72bの幅(Y方向の長さ)は、第1垂直部71bの幅(Y方向の長さ)よりも短い。このような第1,第2垂直部71b,72bは、平面視で、幅方向に対して直交する互いの中心線が一致するように位置している(
図13を参照)。また、この場合に限らず、第1垂直部71bの幅(Y方向の長さ)と第2垂直部72bの幅(Y方向の長さ)とが異なっていればよい。例えば、第1垂直部71bの幅(Y方向の長さ)は、第2垂直部72bの幅(Y方向の長さ)よりも短くてよい。そうすることで、第1垂直部71b及び第2垂直部72bの側面から配線保持部73にかかる応力の集中が抑制されて、配線保持部73のクラック等の発生をより抑制することができる。
【0042】
さらに、第2配線部材72は、第1脚部71dと第1外部接続部71eと連結部72fとを含んでいる。第2水平部72aと第2垂直部72bとは、絶縁回路基板20aとケース60の蓋部61との間で高さ方向(Z方向)に所定の間隔をあけて形成されている。一方、第2配線部材72は、既述の通り、一端部が導電パターン23b2に電気的に接続されて、他端部はケース60の蓋部61から外部に延伸している。第2脚部72dは、第2水平部72aの他端から下方(-Z方向)に延伸し、導電パターン23b2に接続された当該一端部を含む。第2外部接続部72eは、半導体チップ41b~44b(絶縁回路基板20b)に対して第2垂直部72bからさらに上方(+Z方向)に延伸し、ケース60の蓋部61から外部に延伸する当該他端部を含んでいる。なお、
図6では、第2外部接続部72eが上方に延伸されている場合を示している。第2外部接続部72eは、破線部で蓋部61から外部に露出し屈曲されて、蓋部61の上面に平行で第1配線部材71に対して反対方向(+X方向)に延伸されてもよい。連結部72fは、第2垂直部72bに第1垂直部71bから離れる方向に延伸する。すなわち、連結部72fは、第2水平部72aと平行であって、第2垂直部72bの上方の端部と第2外部接続部72eの下方の端部とを接続している。このため、第1,第2外部接続部71e,72eは第1,第2垂直部71b,72bの隙間と連結部72fの長さとを合わせた距離、離間している。
【0043】
図7に示すように、第1,第2配線部材71,72は、第2配線部材72の屈曲部72cの幅(Y方向の長さ)が、第1配線部材71の屈曲部71cの幅(Y方向の長さ)よりも短い。そして、第2配線部材72の第2水平部72aは、裏面(絶縁回路基板20aのおもて面に対向するX-Y面)と幅方向の側面(X-Z面)とが交差する角部に曲面を有している。例えば、所定の曲率を有するR形状が形成されている。この際の曲率1/Rは、例えば、第2水平部72aの板厚T
72aに対して、0.05/T
72a以上、0.5/T
72a以下である。
【0044】
なお、
図3に示す第1,第2脚部71d,72d及び第1外部接続部71e,72eの形状は一例である。第1,第2脚部71d,72dは、導電パターン23a3,23a5,23b2に電気的に接続できる形状であればよい。また、第1,第2外部接続部71e,72eは、蓋部61から露出して外部装置と電気的に接続できる形状であればよい。
【0045】
さらに、第3配線部材74は、
図3に示されるように、側面視で、半導体チップ41a~44a(絶縁回路基板20a)の主面に平行な第3水平部74aと第3脚部74dと第3水平部74aに垂直な第3外部接続部74eとを含んでいる。第3配線部材74もまた、一端部が導電パターン23a2に電気的に接続されて、他端部はケース60の蓋部61から外部に延伸している。第3脚部74dは、第3水平部74aから導電パターン23a2に延伸して接続された当該一端部を含む。第3外部接続部74eは、半導体チップ41a~44a(絶縁回路基板20a)に対して第3水平部74aから上方に延伸し、ケース60の蓋部61の外部から延伸する当該他端部を含んでいる。なお、
図3では、第3外部接続部74eが蓋部61から上方に延伸されて、蓋部61のおもて面側に折り曲げている場合を示している。
【0046】
第1~第3配線部材71,72,74は、導電性に優れた金属を主成分として構成されている。このような金属は、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、または、少なくともこれらの一種を含む合金が挙げられる。第1~第3配線部材71,72,74の表面に対しても、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金が挙げられる。また、第1~第3配線部材71,72,74と導電パターン23a3,23a5,23b2,23a2との接合は、半導体チップ41a~44a,41b~44bの接合と同様にはんだ並びに金属焼結体が用いられる。また、第1~第3配線部材71,72,74と導電パターン23a3,23a5,23b2,23a2との接合は、超音波、レーザを用いて直接接合してもよい。
【0047】
配線保持部73は、
図8に示されるように、少なくとも、第1,第2配線部材71,72の第1垂直部71bと第2垂直部72bとの隙間、及び、第1屈曲部71cと第2屈曲部72cとの隙間に充填されている第1部分73aを含む。さらに、第1,第2屈曲部71c,72cの外角側を包含していてよい。なお、第1,第2屈曲部71c,72cの外角側とは、第1,第2水平部71a,72aの裏面及び第1,第2垂直部72a,72bの互いに対向する面との角部である。
【0048】
さらに、配線保持部73は、第1垂直部71bの第2垂直部72bと反対側(-X側)の主面と、第1屈曲部71cの内角側とを包含する第2部分73b1を含む。また、配線保持部73は、第2垂直部72bの第1垂直部71bと反対側(+X側)の主面と第2屈曲部72cの内角側を包含する第2部分73b2を含む。さらに、第1,第2配線部材71,72の第1,第2水平部71a,72aの主面の一部を包含している。また、
図2に示されるように、配線保持部73は、第1,第2垂直部71b,72bの側面も覆っていてよい。そのため、第1,第2垂直部71b,72bのいずれか一方または両方が、完全に配線保持部73に包含されていてよい。また、
図3に示されるように、配線保持部73は、第2配線部材72の連結部72fを包含している。このように、配線保持部73の包含上面は、連結部72fを完全に包含できる高さであればよい。また、第1部分73aの包含下面73a1は、第1,第2水平部71a,72aの下面と同一平面を成している。
【0049】
このような配線保持部73は、絶縁性を有する樹脂であり、例えば、熱可塑性樹脂により構成されている。このような樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。また、このような樹脂に、絶縁性のセラミックスフィラーが添加されていてもよい。このようなセラミックスフィラーは、例えば、酸化物、窒化物、炭化物である。この具体例としては、シリコン、アルミニウム、ボロンが挙げられる。
【0050】
配線ユニット70は、第1,第2配線部材71,72の近接する範囲が配線保持部73により上記のように包含されている。このため、第1,第2配線部材71,72の絶縁性を維持しつつ、特に、応力が集中しやすい第1,第2屈曲部71c,72c近傍の配線保持部73に対する応力を緩和することができる。そして、第1,第2屈曲部71c,72c近傍の配線保持部73に対してクラック等の損傷の発生が低減される。また、第2配線部材72の第2外部接続部72eは、連結部72fにより第2垂直部72bから離間している。このため、第2配線部材72を導電パターン23b2に取り付ける際、第2屈曲部72cに対する応力は緩和される。これもまた、第2屈曲部72c近傍の配線保持部73に対する損傷の発生の低減に寄与する。
【0051】
また、第1,第2水平部71a,72aは、互いに反対方向に延伸している。このため、第1,第2脚部71d,72dは、離間されている。したがって、第1,第2脚部71d,72dは、離間されているために絶縁性が保たれており、配線保持部73で包含する必要がない。そのため、第1,第2屈曲部71c,72c近傍の配線保持部73に対する損傷の発生を低減することができる。また、配線保持部73の包含上面より上位の第1,第2外部接続部71e,72eは、連結部72fにより離間されているために絶縁性が保たれている。このため、第1,第2外部接続部71e,72eを配線保持部73で包含する必要がなく、第1,第2屈曲部71c,72c近傍の配線保持部73に対する損傷の発生を低減することができる。なお、配線保持部73が包含されていない第1,第2配線部材71,72の第1,第2水平部71a,72a及び第1,第2脚部71d,72dは、後述するように、封止部材80により封止されていてもよい。
【0052】
また、第2配線部材72の第2水平部72aの裏面の角部が小さな曲率の曲面が形成されている(
図7を参照)。このため、第2配線部材72の第2水平部72aに対するストレスを分散することができる。これもまた、第2水平部72a近傍の配線保持部73に対する損傷の発生の低減に寄与する。このように配線保持部73に対する損傷の発生が低減されることで、第1,第2配線部材71,72の、特に、第1,第2屈曲部71c,72c近傍の絶縁性が維持される。
【0053】
封止部材80は、放熱板30上の絶縁回路基板20a,20b及び半導体チップ41a~44a,41b~44b並びにボンディングワイヤ51a~54a,51b~54b,55,56を封止する。また、封止部材80は、これらを封止しつつ、
図3に示されている配線ユニット70の第1,第2配線部材71,72の第1,第2水平部71a,72aより上位であって、配線保持部73の包含上面以下まで充填される。より好ましくは、封止部材80は、連結部72fに対応する配線保持部73まで充填される。
【0054】
この時、配線ユニット70は、既述の通り、第1,第2配線部材71,72の近接する範囲が配線保持部73により包含されている。配線保持部73が包含されていない第1,第2配線部材71,72の第1,第2水平部71a,72a及び第1,第2脚部71d,72dは、封止部材80により封止され絶縁性が保たれている。また、配線保持部73の包含上面より上位の第1,第2外部接続部71e,72eは、封止部材80により封止されていなくても、連結部72fにより離間されているために絶縁性が保たれている。また、第1,第2外部接続部71e,72eは、蓋部61から外部に延伸されて、お互い反対方向に折れ曲がって離間しているために絶縁性が保たれている。
【0055】
また、ケース60の側壁部62a~62dは、封止部材80を充填できるように、その高さを封止部材80より高くする必要がある。そのため、側壁部62a~62dは、その高さが絶縁回路基板20a,20bや41a~44a,41b~44b並びにボンディングワイヤ51a~54a,51b~54b,55,56に対応する高さ以上を要する。
【0056】
ここで用いられる封止部材80は、シリコーンゲルである。または、封止部材80は、熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂に含有される充填剤とを含んでいる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂またはマレイミド樹脂である。このような封止部材80の一例として、充填剤が含有されたエポキシ樹脂がある。充填剤は、無機物が用いられる。無機物の例として、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化ホウ素または窒化アルミニウムがある。
【0057】
上記半導体装置10は、半導体チップ41a~44a,41b~44bと、配線ユニット70とを備えている。配線ユニット70は、一端部が半導体チップ41a~44a,41b~44bにそれぞれ電気的に接続された第1,第2配線部材71,72と第1,第2配線部材71,72の一部を包含する配線保持部と、を備えている。
【0058】
第1配線部材71は、側面視で、第1屈曲部71cでL字状に屈曲し、半導体チップ41a~44aの主面に平行な第1水平部71aと第1水平部71aに垂直な第1垂直部71bとを含んでいる。第2配線部材72は、側面視で、第1配線部材71に対して反対方向に第2屈曲部72cでL字状に屈曲し、第1水平部71aと同一平面を成す第2水平部72aと第1垂直部71bに対して所定距離、隙間を空けて第1垂直部71bに平行な第2垂直部72bとを含んでいる。さらに、配線保持部73は、第1,第2垂直部71b,72bの隙間、及び、第1,第2屈曲部71c,72cの隙間に充填されている。
【0059】
このような半導体装置10では、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cが配線保持部73により包含されているために、第1,第2配線部材71,72の絶縁性を確保することができる。その上で、第1,第2屈曲部71c,72cの近傍に生じる応力を緩和することができる。このため、配線保持部73に対するクラック等の損傷の発生が防止されて、配線保持部73で包含される第1,第2配線部材71,72の絶縁性が保たれる。また、配線保持部73が包含されていない第1,第2配線部材71,72の第1,第2水平部71a,72a及び第1,第2脚部71d,72dは、お互いに離間され、封止部材80により封止されて、絶縁性が保たれている。また、配線保持部73の包含上面より上位の第1,第2外部接続部71e,72eは、封止部材80により封止されていなくても、連結部72fにより離間されているために絶縁性が保たれている。したがって、配線ユニット70の絶縁耐量の減少が抑制され、半導体装置10の破損を予防でき、信頼性の低下が抑制される。
【0060】
このような半導体装置10が含まれる配線ユニット70では、配線保持部73の包含下面73a1と第1,第2屈曲部71c,72cとの距離を空けることでより第1,第2屈曲部71c,72c付近に生じる応力を緩和することができ、絶縁性を向上することができる。以下では、配線保持部73の包含下面73a1と第1,第2屈曲部71c,72cとの距離を空けた様々な変形例について説明する。
【0061】
[変形例1]
変形例1の配線ユニット70について、
図9を用いて説明する。
図9は、第1の実施の形態の変形例1の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。変形例1の配線ユニット70は、
図8の配線ユニット70に対して、配線保持部73の第1部分73aの包含下面73a1が第1,第2水平部71a,72aの裏面よりも絶縁回路基板20a,20bのおもて面(
図9中において-Z方向)に突出している。第1部分73aの包含下面73a1の、第1,第2水平部71a,72aの裏面からの突出量は、第1垂直部の主面と第2垂直部72bの主面との隙間の間隔の、50%以上、200%以下であってよい。例えば、0.25mm以上、4.0mm以下である。より好ましくは、0.5mm以上、2.0mm以下である。このため、配線保持部73の第1部分73aの包含下面73a1と第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cとの距離を
図8の場合よりも長くすることができる。第1部分73aのX方向の幅は、少なくとも、第1,第2屈曲部71c,72cの間の幅W以上であればよい。こうすることで、第1部分73aは、第1,第2屈曲部71c,72cの外角側の曲面に垂直な方向に所定の厚さを確保して包含することができる。このため、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72c付近の配線保持部73に対する応力を緩和し、損傷が生じにくくなる。したがって、配線ユニット70の配線保持部73における損傷発生の耐量を向上させることができる。そして、損傷の発生が抑制されることで、絶縁性が保持されるようになる。
【0062】
[変形例2]
変形例2の配線ユニット70について、
図10を用いて説明する。
図10は、第1の実施の形態の変形例2の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。変形例2の配線ユニット70では、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cの曲率を、
図8の配線ユニット70に含まれる第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cの曲率よりも小さくしている。すなわち、変形例2の配線ユニット70では、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cは、
図8の配線ユニット70に含まれる第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cよりも緩やかなカーブを描く。例えば、第1屈曲部71cの外角側の曲率は、第1配線部材71の板厚T1に対して、1/T1よりも小さい。第2屈曲部72cの外角側の曲率は、第2配線部材72の板厚T2に対して、1/T2よりも小さい。また、この場合でも、第1屈曲部71cの外角側の曲率は、第2屈曲部72cの外角側の曲率と同じであってよい。このため、配線保持部73の第1部分73aの包含下面73a1と第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cとの距離を
図8の場合よりも長くすることができる。このため、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72c付近の配線保持部73に対する応力を緩和し、損傷が生じにくくなる。したがって、配線ユニット70の配線保持部73における損傷発生の耐量を向上させることができる。そして、損傷の発生が抑制されることで、絶縁性が保持されるようになる。
【0063】
なお、変形例2において、さらに、変形例1のように配線保持部73の第1部分73aの包含下面73a1を第1,第2水平部71a,72aの裏面よりも絶縁回路基板20a,20bのおもて面に突出させてもよい。これにより、配線ユニット70の配線保持部73における損傷の発生をより防止することができる。
【0064】
[変形例3]
変形例3の配線ユニット70について、
図11を用いて説明する。
図11は、第1の実施の形態の変形例3の半導体装置に含まれる配線ユニットの要部断面図である。変形例3の配線ユニット70では、
図8の第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cの隙間側に切り欠き部がそれぞれ形成されている。このため、配線保持部73の第1部分73aの包含下面73a1と第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72cとの距離を
図8の場合よりも長くすることができる。このため、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72c付近の配線保持部73に対する応力を緩和し、損傷が生じにくくなる。したがって、配線ユニット70の配線保持部73における損傷発生の耐量を向上させることができる。そして、損傷の発生が抑制されることで、絶縁性が保持されるようになる。
【0065】
なお、変形例3においてもさらに変形例1のように配線保持部73の第1部分73aの包含下面73a1を第1,第2水平部71a,72aの裏面よりも絶縁回路基板20a,20bのおもて面に突出させてもよい。これにより、配線ユニット70の配線保持部73における損傷の発生をより防止することができる。
【0066】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の配線ユニット70では、配線保持部73の包含する範囲を
図2の配線ユニット70に対して異ならせている場合について、
図12及び
図13を用いて説明する。
図12及び
図13は、第2の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの図である。なお、
図12(A),(B)は、配線ユニット70に対して異なる方向からの斜視図をそれぞれ表している。
図13は、第2の実施の形態の配線ユニット70の上方(+Z方向)からの平面図である。
【0067】
配線ユニット70では、
図2の配線ユニット70の配線保持部73に対して、第2垂直部72bの幅(Y方向)方向の外縁端部に開口部73c1,73c2が形成されている。すなわち、配線保持部73に包含される第2垂直部72bの幅方向の外縁端部が開口部73c1,73c2から露出されている。なお、開口部73c1,73c2は、配線保持部73の外縁端部に第2垂直部72bの延伸方向(Z方向)に沿って形成されている。
この場合、第2配線部材72の第2垂直部72bの幅方向の外縁端部に応力が生じても、第2配線部材72を包含する配線保持部73は開口部73c1,73c2により開口されるため、配線保持部73は損傷を受けることがない。このため、配線保持部73の絶縁性が低下することをより抑制できる。また、第1配線部材71の第1水平部71a及び第1屈曲部71cは配線保持部73で包含されているため、第1,第2配線部材71,72の第1,第2水平部71a,72aの間の絶縁性はより適切に維持される。したがって、
図2の場合よりも、配線保持部73の絶縁性が低下することを抑制できる。
【0068】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、配線ユニット70に含まれる第1,第2配線部材71,72の第1,第2垂直部71b,72bの少なくとも一方が開口されている場合について、
図14を参照して説明する。
図14は、第3の実施の形態の半導体装置に含まれる配線ユニットの第1,第2配線部材の要部斜視図である。なお、
図14(A),(B)は、それぞれ、異なる場合を示している。
【0069】
図14(A)の第2配線部材72は、
図6の第2配線部材72の第2垂直部72bに開口として複数の貫通孔72b1が形成されている。なお、貫通孔72b1の大きさ、個数、位置は一例である。貫通孔72b1は、第2垂直部72bに対して、第2垂直部72bの強度が低下しない程度に、形成することができる。また、
図14(B)の第2配線部材72は、
図6の第2配線部材72の第2垂直部72bの幅方向の外縁端部に開口として複数の貫通孔72b1が形成されている。なお、切り欠き部72b2の大きさ、個数、位置も一例である。切り欠き部72b2は、第2垂直部72bに対して、第2垂直部72bの強度が低下しない程度に、形成することができる。また、このような貫通孔72b1並びに切り欠き部72b2は、第2配線部材72の第2垂直部72bに限らず、第1配線部材71の第1垂直部71bにも、または、第1垂直部71bだけに形成してもよい。
【0070】
このような第1,第2配線部材71,72に対して配線保持部73により一体成形すると、配線保持部73の材料が貫通孔72b1及び切り欠き部72b2に入り込む。このため、配線保持部73の第1,第2配線部材71,72に対する密着力が向上し、配線保持部73の第1,第2配線部材71,72に対する位置ずれ、第1,第2配線部材71,72間の位置ずれが抑制される。したがって、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72c近傍の配線保持部73への応力を緩和することができる。したがって、第1,第2配線部材71,72の第1,第2屈曲部71c,72c近傍の配線保持部73に対する損傷の発生が抑制されて、配線ユニット70の絶縁性が維持される。この結果、半導体装置10の破損を予防でき、信頼性の低下が抑制される。
【符号の説明】
【0071】
10 半導体装置
20a,20b 絶縁回路基板
21a,21b 絶縁板
22a,22b 金属板
23a1~23a5,23b1~23b5 導電パターン
30 放熱板
41a~44a,41b~44b 半導体チップ
41a1,42a1,41b1,42b1 ゲート電極
51a~54a,51b~54b,55,56 ボンディングワイヤ
60 ケース
61 蓋部
61a,61b,61c 端子台
61a1,61b1,61c1 ネジ孔
62a~62d 側壁部
63,64 端子口
65 固定孔
70 配線ユニット
71 第1配線部材
71a 第1水平部
71b 第1垂直部
71c 第1屈曲部
71d 第1脚部
71e 第1外部接続部
72 第2配線部材
72a 第2水平部
72b 第2垂直部
72b1 貫通孔
72b2 切り欠き部
72c 第2屈曲部
72d 第2脚部
72e 第2外部接続部
72f 連結部
73 配線保持部
73a 第1部分
73a1 包含下面
73b1 第2部分
73c1,73c2 開口部
74 第3配線部材
74a 第3水平部
74d 第3脚部
74e 第3外部接続部
75,76 制御端子
80 封止部材