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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144479
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】体臭抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20220926BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220926BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/19
A61K8/34
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045515
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】山科 拓也
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真希
(72)【発明者】
【氏名】藤本 俊樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB131
4C083AB132
4C083AB222
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC441
4C083AC442
4C083CC17
4C083DD23
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】酸化チタン被覆活性炭を含みながら、皮膚に塗布した後において白浮きが起こりにくい体臭抑制剤を提供する。
【解決手段】成分(A):酸化チタン被覆活性炭、成分(B):エタノール、及び成分(C):炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステルを含有し、成分(A)の含有割合が0.05~5.0質量%であり、成分(B)の含有割合が40.0~90.0質量%であり、成分(C)の含有割合が0.05~10.0質量%である、体臭抑制剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B)、及び下記成分(C)を含有し、
成分(A)の含有割合が0.05~5.0質量%であり、
成分(B)の含有割合が40.0~90.0質量%であり、
成分(C)の含有割合が0.05~10.0質量%である、体臭抑制剤。
成分(A):酸化チタン被覆活性炭
成分(B):エタノール
成分(C):炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステル
【請求項2】
成分(C)がテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルである、請求項1に記載の体臭抑制剤。
【請求項3】
非乳化組成物である請求項1又は2に記載の体臭抑制剤。
【請求項4】
界面活性剤を含まないか、又は界面活性剤の含有割合が1.0質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の体臭抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体臭抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
腋臭、足臭、汗臭等の体臭は、主に、汗と皮脂とが混ざり、これらが皮膚常在菌によって分解されることにより生じる。このような体臭を抑制するために、優れた消臭機能を有する、活性炭を酸化チタンで被覆した酸化チタン被覆活性炭を消臭成分として用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/187214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化チタン被覆活性炭を含む体臭抑制剤は、皮膚に塗布し当該体臭抑制剤が乾燥した後に白い残留物が残る現象(所謂、白浮き)が生じる場合があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、酸化チタン被覆活性炭を含みながら、皮膚に塗布した後において白浮きが起こりにくい体臭抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、成分(A):酸化チタン被覆活性炭、成分(B):エタノール、及び成分(C):炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステルを含有し、成分(A)~(C)の含有割合がそれぞれ特定の範囲内である体臭抑制剤によれば、酸化チタン被覆活性炭を含みながら、皮膚に塗布した後において白浮きが起こりにくいことを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、及び下記成分(C)を含有し、
成分(A)の含有割合が0.05~5.0質量%であり、
成分(B)の含有割合が40.0~90.0質量%であり、
成分(C)の含有割合が0.05~10.0質量%である、体臭抑制剤を提供する。
成分(A):酸化チタン被覆活性炭
成分(B):エタノール
成分(C):炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステル
【0008】
成分(C)はテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであることが好ましい。
【0009】
上記体臭抑制剤は非乳化組成物であることが好ましい。
【0010】
上記体臭抑制剤は、界面活性剤を含まないか、又は界面活性剤の含有割合が1.0質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の体臭抑制剤は、酸化チタン被覆活性炭を含みながら、皮膚に塗布した後において白浮きが起こりにくい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の体臭抑制剤は、酸化チタン被覆活性炭、エタノール、及び炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステルを少なくとも含む。なお、本明細書において、酸化チタン被覆活性炭を「成分(A)」、エタノールを「成分(B)」、炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステルを「成分(C)」とそれぞれ称する場合がある。
【0013】
すなわち、本発明の体臭抑制剤は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を少なくとも含む。本発明の体臭抑制剤は、上記成分(A)~(C)以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の体臭抑制剤に含まれる各成分、例えば、成分(A)、成分(C)、及び他の成分などの各成分は、それぞれ、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0014】
[成分(A)]
成分(A)は、酸化チタン被覆活性炭である。成分(A)は、従来の体臭抑制剤に用いられている消臭成分と比較して、格段に優れた体臭抑制効果を発揮する。また、本発明の体臭抑制剤は、他の制汗剤や殺菌剤をさらに含有することにより、体臭抑制効果をより一層発揮することができる。成分(A)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0015】
成分(A)は、活性炭の表面に酸化チタンが存在する構造を有する複合体である。より具体的には、成分(A)において、酸化チタンは活性炭の表面に存在する。すなわち、成分(A)は、活性炭が酸化チタンにより被覆された構造を有している。なお、成分(A)においては、活性炭の表面の全面が酸化チタンによって被覆されていてもよいし、活性炭の表面の一部のみが酸化チタンによって被覆されていてもよい。
【0016】
成分(A)は、活性炭と、活性炭の表面に存在する酸化チタンとを少なくとも含み、活性炭及び酸化チタン以外の成分(例えば、樹脂、金属塩など)を含んでいてもよい。活性炭、酸化チタン、及びこれら以外の成分は、それぞれ、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0017】
活性炭としては、特に限定されないが、多孔質の炭素質物質(例えば、粉末活性炭)が好ましい。活性炭は、構成元素として、炭素以外に、水素、酸素、無機成分などを含んでいてもよい。
【0018】
活性炭の原料としては、特に限定されず、活性炭の原料として一般的に用いられるものを用いることができる。具体的には、例えば、ヤシ殻、木材、おが屑、石炭、フェノール樹脂、レーヨン、アクリロニトリル、石炭ピッチ、石油ピッチなどが挙げられる。中でも、ヤシ殻、木材、フェノール樹脂、石炭が好ましい。
【0019】
活性炭の平均粒子径は、特に限定されないが、15.0~50.0μmが好ましく、より好ましくは18.0~45.0μm、さらに好ましくは20.0~42.0μmである。なお、上記平均粒子径は、酸化チタン被覆活性炭を構成する活性炭全体の平均粒子径を意味し、市販のレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定することができる。上記平均粒子径が上記範囲内であると、酸化チタン被覆活性炭が白色となるため、本実施形態に係る体臭抑制剤を塗布した際に、塗布対象である皮膚等を黒く汚すこと(以下、「塗布汚れ」と称する場合がある)がなく、なおかつ、体臭抑制効果がより優れたものとなり、また使用感にも優れる。また、上記平均粒子径が15.0μm以上であると、被覆させる酸化チタンの量を抑えることができ、塗布汚れ防止及び体臭抑制の効果を両立しやすくなる。上記平均粒径が50.0μm以下であると、体臭抑制剤をスプレー容器に充填して用いる場合には、ノズルの詰まりを防止することができる。また、ざらつきをより抑制することができ使用感により優れる。
【0020】
活性炭の中心細孔径は、特に限定されないが、成分(A)の吸着能を向上させ体臭抑制効果を向上させる観点から、0.1~10.0nmが好ましく、より好ましくは0.5~2.0nmである。なお、活性炭の中心細孔径は、例えば、日本ベル(株)製の細孔分布測定装置「Belsorp」を用いBET法により測定することができる。
【0021】
活性炭のヨウ素吸着量は、特に限定されないが、成分(A)の吸着能を向上させ体臭抑制効果を向上させる観点から、100~3000mg/gが好ましく、より好ましくは500~2000mg/gである。なお、本明細書において、活性炭のヨウ素吸着量は、JIS K 1417に準拠した滴定法により測定することができる。
【0022】
活性炭は、公知の製造方法により製造することができる。例えば、公知の活性炭を粉砕及び分級する方法により製造することができる。また、活性炭は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、商品名「太閤A」(フタムラ化学(株)製)などが挙げられる。
【0023】
酸化チタンとしては、特に限定されず、公知の酸化チタン(二酸化チタン)を用いることができる。酸化チタンとしては、特に限定されないが、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の酸化チタンが挙げられる。
【0024】
酸化チタンの平均粒子径は、特に限定されないが、0.001~1.0μmが好ましく、より好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.1~0.4μm、特に好ましくは0.2~0.3μmである。上記平均粒子径が上記範囲内であると、成分(A)を白色とする効果が向上するため、塗布汚れを防止する効果がより一層向上する。
【0025】
なお、上記「酸化チタンの平均粒子径」は、成分(A)を構成する酸化チタン全体の平均粒子径を意味する。また、本明細書において、酸化チタンの平均粒子径(球相当径)は、BET法(または簡易BET法)により測定される比表面積より算出することができる。
【0026】
酸化チタンは市販品を用いることができる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、石原産業(株)製の「タイペークCR-50」、テイカ(株)製の「MT-700B」などが挙げられる。
【0027】
成分(A)が含み得る樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。中でも、アクリル樹脂(特に、水性アクリル樹脂)が好ましく、例えば、アクリル酸アルキル共重合体などが挙げられる。
【0028】
成分(A)中の酸化チタンの含有量は、特に限定されないが、活性炭100質量部に対して、10~10000質量部が好ましく、より好ましくは100~5000質量部、さらに好ましくは500~2000質量部、さらに好ましくは500~1500質量部、さらに好ましくは550~1050質量部、特に好ましくは600~1000質量部である。上記含有量が10質量部以上であると、塗布汚れをより抑制でき、また、体臭抑制効果により優れる。上記含有量が10000質量部以下であると、成分(A)の吸着能がより優れ、体臭抑制剤の体臭抑制効果がより優れる。
【0029】
成分(A)中の活性炭の含有量及び酸化チタンの含有割合の合計は、特に限定されないが、成分(A)100質量%に対して、50.0質量%以上(50.0~100質量%)が好ましく、より好ましくは70.0質量%以上、さらに好ましくは80.0質量%以上である。また、上記含有割合の合計は、100質量%以下であり、99.95質量%以下、90.0質量%以下、85.0質量%以下であってもよい。
【0030】
成分(A)中の樹脂の含有割合は、特に限定されないが、活性炭に対する酸化チタンの付着性向上に優れる観点から、成分(A)100質量%に対して、0.005~10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.05~1.0質量%である。
【0031】
成分(A)は、活性炭の表面上に、酸化チタンを付着させることにより形成される。好ましくは、活性炭の表面上に、上記樹脂を介して酸化チタンを付着させることにより形成される。成分(A)の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、特開平4-256436号公報に記載の白色活性炭の製造方法、特開2005-263610号公報に記載の酸化チタン被覆活性炭の製造方法を用いることができる。酸化チタン被覆活性炭の具体的な製造方法としては、例えば、以下のとおりである。活性炭、酸化チタン、及び上記樹脂のエマルションを混合し、活性炭の表面を酸化チタンで被覆する。次いで、得られた酸化チタンで被覆された活性炭を乾燥し、さらに必要に応じて、粒状に解砕して、成分(A)を得る。
【0032】
本発明の体臭抑制剤中の成分(A)の含有割合は、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、0.05~5.0質量%であり、好ましくは0.1~3.0質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であることにより、体臭抑制効果に優れる。また、成分(A)が少ない場合には、白浮きの課題が生じにくい。上記含有割合が5.0質量%以下であることにより、白浮きのなさに優れる。上記成分(A)の含有割合は、本発明の体臭抑制剤中の全ての成分(A)の含有割合の合計である。
【0033】
[成分(B)]
成分(B)はエタノールである。成分(B)を用いることにより、本発明の体臭抑制剤に速乾性やさっぱりとした使用感を付与できる。また、本発明の体臭抑制剤を肌に塗布した後において、べたつきの抑制作用及び殺菌作用を有する。また、エタノールは、他の成分の溶解性を向上させる作用を有する。
【0034】
本発明の体臭抑制剤中の成分(B)の含有割合は、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、40.0~90.0質量%であり、好ましくは50.0~85.0質量%である。上記含有割合が40.0質量%以上であることにより、肌に塗布した後における速乾性が優れる。また、肌にさっぱりとした使用感を付与でき、べたつきの抑制作用及び殺菌作用にも優れる。上記含有割合が90.0質量%以下であることにより、白浮きのなさに優れる。
【0035】
[成分(C)]
成分(C)は炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステルである。成分(C)を配合することにより、皮膚に塗布した後において成分(A)の白浮きが起こりにくく、且つ成分(A)の析出を抑制し、組成物の安定性に優れる。また、一般的に成分(B)を高濃度で配合した場合は白浮きが特に発生しやすいが、成分(C)を配合することで白浮きを起こりにくくすることができる。成分(C)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0036】
成分(C)としては、例えば、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラミリスチン酸ペンタエリスリチル、テトラステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラベヘン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられる。中でも、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルが好ましい。
【0037】
本発明の体臭抑制剤中の成分(C)の含有割合は、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、0.05~10.0質量%であり、好ましくは0.1~8.0質量%、より好ましくは0.2~6.0質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であることにより、肌に塗布した後において成分(A)の白浮きを抑制することができる。上記含有割合が10.0質量%以下であることにより、成分(C)に由来するぬるつきを抑制することができる。上記成分(C)の含有割合は、本発明の体臭抑制剤中の全ての成分(C)の含有割合の合計である。
【0038】
[水]
本発明の体臭抑制剤は水を含むことが好ましい。水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の体臭抑制剤中の水の含有割合は、速乾性の観点から、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、0質量%超50.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5.0~45.0質量%である。水は含まなくてもよい。
【0039】
本発明の体臭抑制剤は、増粘剤を含んでいてもよい。上記増粘剤としては、水溶性高分子などが挙げられる。上記増粘剤の具体例としては、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系増粘剤;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のアクリル系増粘剤;キサンタンガム、グアーガム等のガム系増粘剤などが挙げられる。上記ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。上記増粘剤は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0040】
本発明の体臭抑制剤が増粘剤を含む場合の本発明の体臭抑制剤中の増粘剤の含有割合は、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、0.05~3.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~2.0質量%である。上記増粘剤の含有割合は、本発明の体臭抑制剤中の全ての増粘剤の含有割合の合計である。
【0041】
[その他の成分]
本発明の体臭抑制剤は、上記成分(A)~(C)等の上述の各成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分等が挙げられる。具体的には、例えば、成分(B)以外の低級アルコール;成分(C)以外の油性成分;多価アルコール;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;防腐剤;金属イオン封鎖剤;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;中和剤;殺菌剤;制汗成分;成分(A)以外の消臭成分;酸;アルカリなどが挙げられる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0042】
上記制汗成分は、例えば、皮膚を収斂することにより汗の発生を抑制する薬剤である。本発明の体臭抑制剤は成分(A)とともに上記制汗成分を含む場合、体臭抑制効果がより一層優れる。上記制汗成分としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛などが挙げられる。
【0043】
上記制汗成分(特に、クロルヒドロキシアルミニウム)は、成分(B)の存在下、特に高濃度で成分(B)を含む場合、白浮きが生じやすい傾向がある。しかしながら、本発明の体臭抑制剤は成分(A)とともに上記制汗成分を含む場合であっても白浮きの抑制性に優れつつ、体臭抑制効果がより一層優れる。
【0044】
本発明の体臭抑制剤が制汗成分を含む場合の本発明の体臭抑制剤中の制汗成分の含有割合は、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、5.0~20.0質量%であることが好ましく、より好ましくは8.0~15.0質量%である。上記制汗成分の含有割合は、本発明の体臭抑制剤中の全ての制汗成分の含有割合の合計である。
【0045】
上記消臭成分は、臭いを発する物質と反応したり、臭いを発する物質を吸着したり、臭いをマスクしたりして、臭いを消す効果を有する薬剤である。上記成分(A)以外の消臭成分としては、特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛等の金属酸化物、シリカ、アルキルジエタノールアミド、ヒドロキシアパタイト、茶抽出物、香料、酸化防止剤などが挙げられる。
【0046】
上記殺菌剤は、例えば、体臭の原因となる物質を生成する皮膚常在菌の増殖を抑制する薬剤である。上記殺菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、トリクロロカルバニリド、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチームなどが挙げられる。
【0047】
上記清涼剤としては、例えば、メントール、メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、カンファー、ユーカリプトール、イシリンなどが挙げられる。
【0048】
本発明の体臭抑制剤は、界面活性剤を少量しか含まない又は実質的に含まないことが好ましい。すなわち、本発明の体臭抑制剤は、界面活性剤を含まないか、又は本発明の体臭抑制剤中の界面活性剤の含有割合が、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、1質量%以下(好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下)であることが好ましい。界面活性剤の含有割合が1質量%以下であると、組成物の安定性により優れ、また、塗布時のべたつき、ぬるつき、皮膚への刺激を抑制することができる。
【0049】
上記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0050】
本発明の体臭抑制剤は、べたつきをより抑制する観点及び安定性により優れる観点から、成分(C)以外の油性成分を少量しか含まない又は実質的に含まないことが好ましい。すなわち、本発明の体臭抑制剤は、成分(C)以外の油性成分を含まないか、又は本発明の体臭抑制剤中の成分(C)以外の油性成分の含有割合が、本発明の体臭抑制剤100質量%に対して、2.0質量%以下(好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下)であることが好ましい。
【0051】
本発明の体臭抑制剤は非乳化組成物(非乳化型の組成物)であることが好ましい。非乳化組成物であると、速乾性やさっぱりとした使用感がより向上する。また、塗布後の肌のべたつきがより起こりにくくなり、安定性にも優れる。
【0052】
本発明の体臭抑制剤の剤型としては、特に限定されないが、ローション、ミスト、スプレー(エアゾール型、非エアゾール型)、チューブ、シート、ロールオンなどが挙げられる。本発明の体臭抑制剤は、ロールオン剤型として好ましく用いられる。ロールオン剤型であると、組成物を手に付けて塗布対象物に塗布することなく、組成物を塗布対象物に直接且つ均一に塗布することができ、塗布性に優れる。例えば、腋などの肌に、ロールオン容器内の体臭抑制剤を直接塗布することが容易である。本発明の体臭抑制剤がロールオン剤型である場合、ロールオン容器に充填されてロールオン製品として用いられる。上記ロールオン製品は、内容物を吐出可能な容器と、上記容器内に充填された本発明の体臭抑制剤とを備える。上記容器は塗布部にロールを備える。ロールは、円筒部材であってもよく、球状部材であってもよい。
【0053】
本発明の体臭抑制剤は、皮膚に塗布して用いられることが好ましい。皮膚に塗布する場合の塗布部としては、例えば、腋下、腕、足、足裏、首、胸、体幹部、臀部、顔、頭髪などが挙げられる。
【0054】
本発明の体臭抑制剤は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ディスパーミキサー、パドルミキサー等の公知の撹拌装置を用いて撹拌する方法などで、各成分を均一化する方法が挙げられる。
【0055】
本発明の体臭抑制剤は、エタノール[成分(B)]と、消臭成分である酸化チタン被覆活性炭[成分(A)]とを含む系において、炭素数8~22の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステル[成分(C)]を含み、成分(A)~(C)をそれぞれ特定の含有割合とすることにより、塗布後の肌における成分(A)の白浮きを抑制することができる。そして、成分(B)を含むことにより発揮される速乾性を阻害しない。また、多量の油分を配合する必要がないため、塗布後の肌においてべたつきを起こりにくくすることができる。
【実施例0056】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、表中の「-」は、配合しなかったことを示す。
【0057】
実施例1~6、比較例1~17
表に記した各成分(成分(A)~(C))及びその他の成分を用い、実施例及び比較例の各体臭抑制剤を常法により調製した。
【0058】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各剤について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0059】
(1)白浮きのなさ(相対評価)
実施例1~6及び比較例1~16で得られた各剤を、前腕内側部に約0.15g滴下し、ドライヤーにて乾燥させた。乾燥後の滴下部分を目視観察し、白浮きのなさを観察した。そして、それぞれの実施例及び比較例において、成分(A)、成分(B)、及び水の含有割合が同じである剤同士について白浮きのなさを比較し、成分(C)およびその代替成分であるエステル油を含まない比較例における白浮きのなさを基準として、下記の基準に従って白浮きのなさ判定した。具体的には、実施例1は比較例1を、実施例2は比較例2を、実施例3及び比較例4~8は比較例3を、実施例4及び比較例10~14は比較例9を、実施例5は比較例15を、実施例6は比較例16をそれぞれ基準として、白浮きのなさを判定した。結果を表1及び2に示す。
[判定基準]
〇(良好):基準よりも白浮きのなさに優れていた。
×(不良):白浮きのなさが基準と同等以下であった。
【0060】
(2)白浮きのなさ(絶対評価)
実施例1,2,3,5,6及び比較例17で得られた各剤を、前腕内側部に約0.15g滴下し、ドライヤーにて乾燥させた。乾燥後の滴下部分を目視観察し、白浮きのなさを以下の基準で判定した。結果を表3に示す。
[判定基準]
◎(優れる):滴下部分に白い残留物が全く見られない。
〇(良好):滴下部分に白い残留物がほぼ確認されず、滴下部分を手でこすることで残留物が肌になじみ、白浮きが分からなくなる。
△(使用可能):滴下部分に白い残留物が少し見られ、滴下部分を手でこすっても白浮きは残るが、非常に軽度である。
×(不良):滴下部分に白い残留物が明らかに見られ、滴下部分を手でこすっても白浮きが強く残る。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
表に示すように、本発明の体臭抑制剤(実施例)は、成分(C)を含まない場合や、成分(C)に代えてその他のエステル油を含まない場合に比べて白浮きが抑制されていると評価された。また、成分(A)の含有割合が多い場合(比較例18)、成分(C)を配合した場合であっても白浮きが発生した。
【0065】
さらに、以下に、本発明の体臭抑制剤の処方例を示す。
(処方例1 デオドラントウォーター)
イソプロピルメチルフェノール 0.2質量%
スルホ石炭酸亜鉛 1.0質量%
エタノール 50.0質量%
メントール 0.1質量%
酸化チタン被覆活性炭 0.5質量%
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1.0質量%
水 残部
合計 100.0質量%
【0066】
(処方例2 デオドラントロールオン)
イソプロピルメチルフェノール 0.2質量%
クロルヒドロキシアルミニウム 15.0質量%
エタノール 60.0質量%
メントール 0.1質量%
酸化チタン被覆活性炭 0.5質量%
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1.0質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.3質量%
水 残部
合計 100.0質量%