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  • 特開-車載用電子制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144483
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車載用電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/36 20060101AFI20220926BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220926BHJP
   G06F 8/656 20180101ALI20220926BHJP
   G06F 12/06 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06F11/36 164
B60R16/02 660U
G06F8/656
G06F12/06 520E
G06F12/06 522B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045520
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩太朗
(72)【発明者】
【氏名】室星 正志
(72)【発明者】
【氏名】藤原 重樹
【テーマコード(参考)】
5B042
5B160
5B376
【Fターム(参考)】
5B042HH39
5B042HH48
5B160MM02
5B376CA05
5B376CA08
5B376CA25
(57)【要約】
【課題】エミュレーション・メモリを必要とすることなくオンラインキャリブレーションを実行することが可能な車載用電子制御装置を提供する。
【解決手段】揮発性メモリと不揮発性メモリと揮発性メモリに予め記憶された制御プログラムを実行する中央演算装置とを備え、不揮発性メモリに制御プログラムの実行に必要なデータが記憶された車載用電子制御装置であって、中央演算装置は、動作中にデータの更新指示を外部から受け付けると、データを前記揮発性メモリに複写し、該複写されたデータを新データによって上書きすることによりオンラインキャリブレーションを実行し、当該新データを用いて制御プログラムを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性メモリと不揮発性メモリと前記揮発性メモリに予め記憶された制御プログラムを実行する中央演算装置とを備え、前記不揮発性メモリに前記制御プログラムの実行に必要なデータが記憶された車載用電子制御装置であって、
前記中央演算装置は、動作中に前記データの更新指示を外部から受け付けると、前記データを前記揮発性メモリに複写し、該複写された前記データを新データによって上書きすることによりオンラインキャリブレーションを実行し、当該新データを用いて前記制御プログラムを実行することを特徴とする車載用電子制御装置。
【請求項2】
前記データは、制御パラメータであることを特徴とする請求項1に記載の車載用電子制御装置。
【請求項3】
モータを駆動するパワーコントロールユニットを制御対象とすることを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子制御装置。
【請求項4】
前記中央演算装置は、前記不揮発性メモリの前記データが前記新データに更新されると、前記不揮発性メモリから前記新データを読み出して前記制御プログラムを実行することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の車載用電子制御装置。
【請求項5】
前記中央演算装置は、車両の無線通信器から前記データの更新指示を受け付けると、前記オンラインキャリブレーションを実行することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車載用電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、エミュレーション・メモリとしてフラッシュメモリ、DRAMまたはSRAMが用いられた場合であっても、デバッグ回路を製作し直す必要がなく、かつ外部にあるICEとデバッグ回路とを接続するための専用入出力信号の数を増やさなくても済むマイクロコンピュータ装置が開示されている。このマイクロコンピュータ装置は、コマンドコードによりエミュレーション・メモリの種類を判別することが可能であり、以ってエミュレーション・メモリとしてDRAM、SRAMまたはフラッシュメモリ等が用いられた場合であっても、メモリ毎にデバッグ回路を製作し直す必要をなくすことができ、またデバッグ回路の内部でエミュレーション・メモリに搭載されたメモリに応じた制御信号を生成することができるため、外部にあるICEとデバッグ回路とを接続するための専用入出力信号の数を増やさなくても済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-084157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載用電子制御装置では、動作中に車両制御に必要なパラメータ(制御パラメータ)の変更(オンラインキャリブレーション)を行うことにより、車両の制御を適宜適正化することが行われている。このような車載用電子制御装置の動作中における制御パラメータの変更に特許文献1の技術を適用しようとした場合、車載用電子制御装置にエミュレーション・メモリを設ける必要があるので、エミュレーション・メモリを備えない車載用電子制御装置ではオンラインキャリブレーションを実行することができない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、エミュレーション・メモリを必要とすることなく、オンラインキャリブレーションを実行することが可能な車載用電子制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、車載用電子制御装置に係る第1の解決手段として、揮発性メモリと不揮発性メモリと前記揮発性メモリに予め記憶された制御プログラムを実行する中央演算装置とを備え、前記不揮発性メモリに前記制御プログラムの実行に必要なデータが記憶された車載用電子制御装置であって、前記中央演算装置は、動作中に前記データの更新指示を外部から受け付けると、前記データを前記揮発性メモリに複写し、該複写された前記データを新データによって上書きすることによりオンラインキャリブレーションを実行し、当該新データを用いて前記制御プログラムを実行する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、車載用電子制御装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記データは制御パラメータである、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、車載用電子制御装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、モータを駆動するパワーコントロールユニットを制御対象とする、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、車載用電子制御装置に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記中央演算装置は、前記不揮発性メモリの前記データが前記新データに更新されると、前記不揮発性メモリから前記新データを読み出して前記制御プログラムを実行する、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、車載用電子制御装置に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記中央演算装置は、車両の無線通信器から前記データの更新指示を受け付けると、前記オンラインキャリブレーションを実行する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エミュレーション・メモリを必要とすることなくオンラインキャリブレーションを実行することが可能な車載用電子制御装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車載用電子制御装置Aの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車載用電子制御装置Aのメモリマップである。
図3】本発明の一実施形態に係る車載用電子制御装置Aの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る車載用電子制御装置Aは、図1に示すように、電力変換回路Bを介してモータMを制御するモータECU(Electronic Control Unit)である。この車載用電子制御装置Aは、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両に備えられており、モータMが発生する電動車両の走行動力が発生する電力の高圧二次電池(図示略)への充電を制御する。
【0014】
本実施形態に係る車載用電子制御装置Aは、電動車両に予め搭載された制御プログラムに基づいて電力変換回路Bを直接制御することにより、モータMの動作を間接的に制御するソフトウエア制御装置である。すなわち、この車載用電子制御装置Aは、モータMを最終的な制御対象とする制御装置である。
【0015】
このような車載用電子制御装置Aは、図示するようにCPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、入力回路4、通信回路5、ゲート駆動回路6を構成要素として備えている。
【0016】
ここで、電力変換回路Bは、電動車両における所謂PCU(パワーコントロールユニット)であり、複数のスイッチングトランジスタを構成部品として含んでいる。この電力変換回路Bは、高圧二次電池とモータMとの間で直流電力の交流電力への変換と交流電力の直流電力への変換を択一的に行う。このような電力変換回路Bは、例えば双方向昇降圧回路とインバータ回路から構成されている。
【0017】
双方向昇降圧回路は、車載用電子制御装置Aによる制御の下で、高圧電池Dから入力された直流電力を高圧して一方のインバータ回路に出力する昇圧処理と、インバータ回路から入力される直流電力を降圧して高圧電池Dに出力する降圧処理とを択一的に行う電力変換器である。
【0018】
インバータ回路は、車載用電子制御装置Aによる制御の下で、双方向昇降圧回路から入力された直流電力を三相交流電力に変換してモータMに出力する力行処理と、モータMから入力された三相交流電力を直流電力に変換して双方向昇降圧回路に出力する回生処理とを択一的に行う電力変換器である。
【0019】
モータMは、一方のインバータ回路から入力される三相交流電力によって回転動力を発生する回転電機である。このモータMは、例えば電動車両の駆動輪に連結されており、回転動力を走行動力として発生させる。また、このモータMは、電動車両の減速時に回生電力を発生する。モータMは、この回生電力をインバータ回路に出力する。
【0020】
上記高圧電源Dは、例えばリチウムイオン電池や燃料電池等の組電池であり、直列接続される複数の電池セルのセル数に応じた高圧(例えば数百ボルト)の高圧電力を電力変換回路Bに出力する。なお、この高圧電源Dは、電力変換回路Bとは別に、電動車両に備えられた鉛蓄電池等の低圧電源を補助的に充電するDC-DCコンバータ(図示略)にも高圧電力を出力する。
【0021】
本実施形態に係る車載用電子制御装置Aにおいて、CPU1は、中央演算装置として周知の半導体集積回路である。このCPU1は、ROM2に予め記憶された制御プログラムを実行することにより、上述した電力変換回路Bを制御するための各種制御指令を生成してゲート駆動回路6に出力する。
【0022】
なお、詳細については後述するが、このCPU1は、動作中にROM2に予め記憶された制御データの更新指示を通信回路5から受け付けると、上記制御データをROM2からRAM3に複写し、当該RAM3に複写された制御データを新制御データによって上書きすることにより制御データのオンラインキャリブレーションを実行する。
【0023】
ROM2は、上記制御プロブラム及び制御データが予め記憶された不揮発性メモリであり、図2(a)のメモリマップに示すように所定のアドレス範囲a1~a2が設定されている。このROM2は、CPU1から入力される読出し要求に応答する形でCPU1が要求するデータ(読出要求データ)を読出してCPU1に出力する。
【0024】
すなわち、上記読出し要求には読出要求データのアドレス(読出アドレス)が含まれている。この読出し要求には読出要求データの先頭アドレスと先頭アドレスからの読出し範囲(読出アドレス範囲)が読出アドレスとして少なくとも含まれている。ROM2は、このような読出し要求に従って読出アドレスのデータを読み出してCPU1に出力する。
【0025】
ここで、周知のように、不揮発性メモリは、書き込み回数が少数回に限定されており、記憶内容を書き換えるためには専用の書込装置に接続する必要がある。したがって、ROM2に記憶された制御データを更新するためには、電動車両を停止させて上で、車載用電子制御装置Aから取り外す必要がある。
【0026】
RAM3は、CPU1が制御プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶する揮発性メモリであり、図2(a)のメモリマップに示すように所定のアドレス範囲a3~a4が設定されている。このRAM3は、CPU1から書き込み要求が入力されると、当該書き込み要求に応答する形でCPU1から入力される書込データを記憶する。
【0027】
すなわち、上記書き込み要求には書込データのアドレス(書込アドレス)が含まれている。この書き込み要求には書込アドレスの先頭アドレスと先頭アドレスからの書き込み範囲(書込アドレス範囲)が書込アドレスとして少なくとも含まれている。RAM3は、このような書き込み要求に従って書込アドレスに書込データを記憶する。
【0028】
また、このRAM3は、CPU1から入力される読出し要求に応答する形でCPU1が要求するデータ(読出要求データ)を読出してCPU1に出力する。上述したROM2と同様に、読出し要求には読出要求データのアドレス(読出アドレス)が含まれている。RAM3は、このような読出し要求に従って読出アドレスのデータを読み出してCPU1に出力する。
【0029】
ここで、周知のように、揮発性メモリは、記憶したデータを保持しない半導体記憶装置であり、例えば電動車両のイグニッションスイッチがOFF状態になると、それまでに記憶したデータが自動的に消去される。
【0030】
入力回路4は、外部から入力されるモータECUの上位制御装置からの上位制御指令や各種センサの検出信号を受け付けてCPU1に出力するインタフェース回路である。すなわち、この入力回路4は、上位制御指令や検出信号をCPU1の仕様に即したデジタル信号に変換してCPU1に出力する。
【0031】
通信回路5は、電動車両に備えられた無線通信器の受信信号を受け付けてCPU1に出力するインタフェース回路である。上記受信信号には、上述した制御データのオンラインキャリブレーションの実行を示す指示(制御データ更新指示)が含まれる。通信回路5は、上記制御データ更新指示を受け付けると、当該制御データ更新指示をCPU1の仕様に即したデジタル信号に変換してCPU1に出力する。
【0032】
ゲート駆動回路6は、CPU1から入力される各種制御指令に基づいて、電力変換回路Bを構成する各スイッチングトランジスタのON/OFFを設定する複数のゲート信号を生成する。すなわち、このゲート駆動回路6は、双方向昇降圧回路を構成する複数のスイッチングトランジスタ用のゲート信号及びインバータ回路用のゲート信号をそれぞれ生成し、双方向昇降圧回路及びインバータ回路にそれぞれ出力する。
【0033】
次に、本実施形態に係る車載用電子制御装置Aの動作について、特にオンラインキャリブレーションの動作について、図3に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
【0034】
この車載用電子制御装置Aにおいて、CPU1は、通常、入力回路4から入力される上位制御指令や検出信号に基づいて各種制御指令を生成してゲート駆動回路6に出力する。そして、ゲート駆動回路6が各種制御指令に基づいて複数のゲート信号を生成して電力変換回路Bに出力することにより、電力変換回路BによってモータMが適切に作動し、以って電動車両が正常に走行する。
【0035】
一方、電動車両に備えられた無線通信器は、任意のタイミングでオンラインキャリブレーションの実行指示を電動車両のメーカ等から受信する。そして、通信回路5は、任意のタイミングで無線通信器から制御データ更新指示を受け付け、当該制御データ更新指示をCPU1に出力する。CPU1は、通信回路5から制御データ更新指示が入力されたか否かを所定のタイムインターバルで判断する(ステップS1)。
【0036】
そして、CPU1は、このステップS1の判断が「Yes」の場合つまり通信回路5から制御データ更新指示が入力されると、オンラインキャリブレーション処理つまり動作中における疑似的な制御データの更新処理を実行する。
【0037】
上述したように制御データは不揮発性メモリであるROM2に記憶されているので、CPU1の動作中つまり車載用電子制御装置Aの動作中に制御データを更新することはできない。ROM2の制御データを更新するためには、電動車両を停止させてROM2を専用の書込装置に接続する必要がある。
【0038】
そこで、CPU1は、図3のフローチャートに示す手順で、疑似的な制御データの更新処理(オンラインキャリブレーション処理)を実行する。最初に、CPU1は、制御データの読出し要求をROM2に出力し、さらに当該制御データの書き込み要求をRAM3に出力することにより、図2(b)に示すようにROM2の制御データをRAM3にコピー(複写)する(ステップS2)。
【0039】
図2(a)に示すように、ROM2における制御データの書込アドレスがa11~a12であった場合、CPU1は、a11~a12を読出アドレスとする読出し要求をROM2に出力する。この結果、書込アドレスa11~a12に記憶されている制御データの全てが読み出されてCPU1に取得される。
【0040】
そして、CPU1は、書込アドレスとしてa21~a22を指定する書き込み要求をRAM3に出力する。この結果、制御データは、書込アドレスa21~a22に書き込まれる。また、CPU1は、ROM2における書込アドレスa11~a12とRAM3における書込アドレスa21~a22との関係を示すアドレスオフセット量をRAM3の制御データ以外の記憶領域に書き込む。
【0041】
このようにして制御データのROM2からRAM3へのコピー(複写)が完了すると、CPU1は、RAM3の制御データを新制御データ(新データ)で上書きする(ステップS3)。すなわち、通信回路5からCPU1に入力される制御データ更新指示には、新制御データが含まれている。ROM2からRAM3にコピーされた制御データは旧制御データであり、CPU1によって新制御データに書き換えられる。
【0042】
このような制御データ(旧制御データ)の新制御データによる上書きによってオンラインキャリブレーション処理が完了する。そして、CPU1は、オンラインキャリブレーション処理が完了すると、これ以降RAM3の書込アドレスa21~a22から新制御データを読出し(ステップS4)、RAM3の新制御データを用いて制御プログラムを実行することによって各種制御指令を生成する。
【0043】
すなわち、CPU1は、制御データを用いた処理を実行する場合、上述したアドレスオフセット量を参照することにより、ROM2における制御データの書込アドレスa11~a12をアドレスオフセット量分だけオフセットさせることによりRAM3における新制御データの書込アドレスa21~a22を取得する。そして、CPU1は、この書込アドレスa21~a22から新制御データを読み込むことにより新制御データを用いた処理を実行する。
【0044】
一方、CPU1は、通信回路5から制御データ更新指示が入力されない場合つまりステップS1の判断が「No」の場合、オンラインキャリブレーション処理を行うことなく、ROM2の書込アドレスa11~a12から制御データを読出し(ステップS5)、この制御データを用いて制御プログラムを実行することによって各種制御指令を生成する。
【0045】
このような本実施形態に係る車載用電子制御装置Aでは、ROM2に記憶されている制御データをRAM3にコピー(複写)することにより、RAM3をエミュレーション・メモリとして代用する。したがって、本実施形態によれば、エミュレーション・メモリを必要とすることなくオンラインキャリブレーションを実行することが可能な車載用電子制御装置Aを提供することが可能である。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、制御データのオンラインキャリブレーションについて説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明におけるオンラインキャリブレーションの対象データは、ROM2に記憶されているデータであればよく、制御データ(制御パラメータ)に限定されない。例えば、制御プログラムの一部を対象としてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、通信回路5から制御データ更新指示が入力されると、ROM2の制御データをRAM3にコピー(複写)したが、本発明はこれに限定されない。例えば、CPU1の起動時における初期設定として、ROM2の制御データをRAM3に展開する場合が考えられる。
【0048】
このような場合、RAM3にはROM2からコピー(複写)された制御データが常に記憶されているので、改めてROM2からRAM3に制御データをコピー(複写)する必要はない。したがって、CPU1は、RAM3に予めコピー(複写)された制御データを新制御データで上書きし、この新制御データに基づいて各種制御指令を生成する。
【符号の説明】
【0049】
A 車載用電子制御装置
B 電力変換回路(PCU)
D 高圧電源
M モータ
1 CPU(中央演算装置)
2 ROM
3 RAM
4 入力回路
5 通信回路
6 ゲート駆動回路


図1
図2
図3