(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144490
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】店舗システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220926BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045531
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宮城 大輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】個々の商品について、人物が手に取った履歴が有るか否かを管理可能とする。
【解決手段】店舗システムは、移動検出手段と、日時取得手段と、人物特定手段と、記憶手段とを備える。移動検出手段は、店舗内で販売される個々の商品の移動を検出する。日時取得手段は、移動検出手段により商品の移動が検出された日時を取得する。人物特定手段は、移動検出手段により移動が検出された商品の移動に係る人物を特定する。記憶手段は、個々の商品について、日時取得手段により取得した日時と人物特定手段により当該日時に検出された移動に係るとして特定した人物の情報とを関連付けて記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内で販売される個々の商品の移動を検出する移動検出手段と、
前記移動検出手段により商品の移動が検出された日時を取得する日時取得手段と、
前記移動検出手段により移動が検出された商品の移動に係る人物を特定する人物特定手段と、
前記個々の商品について、前記日時取得手段により取得した日時と前記人物特定手段により当該日時に検出された移動に係るとして特定した人物の情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
を具備する店舗システム。
【請求項2】
前記移動検出手段により検出された移動に伴うイベントを決定するイベント決定手段、
をさらに具備し、
前記記憶手段は、前記個々の商品について、前記日時及び前記人物の情報と関連付けて、前記イベント決定手段により決定されたイベントの情報を記憶する、請求項1記載の店舗システム。
【請求項3】
前記イベント決定手段は、前記人物特定手段により特定された人物の属性に基づきイベントを決定する、請求項2記載の店舗システム。
【請求項4】
前記移動検出手段により移動が検出された商品の位置を示す情報を取得する位置取得手段、
をさらに具備し、
前記記憶手段は、前記個々の商品について、前記日時及び前記人物の情報と関連付けて、前記位置取得手段により取得した位置の情報を記憶する、請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の店舗システム。
【請求項5】
前記店舗内を移動する人物の動線を追跡する動線追跡手段、
をさらに具備し、
前記人物特定手段は、前記動線追跡手段により追跡する各人物の動線に基づき、商品の移動に係る人物を特定する、請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の店舗システム。
【請求項6】
コンピュータを、
店舗内で販売される個々の商品の移動を検出する移動検出手段、
前記移動検出手段により移動が検出された商品の移動に係る人物を特定する人物特定手段、
前記移動検出手段により商品の移動が検出された日時を取得する日時取得手段、及び、
前記個々の商品について、前記日時取得手段により取得した日時と前記人物特定手段により当該日時に検出された移動に係るとして特定した人物の情報とを関連付けて記憶する記憶手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、店舗システム及びコンピュータに当該店舗システムとしての機能を実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、店舗内を移動する買物客の動線データを作成する技術は知られている。また、店舗内を買物客とともに移動する商品の動線データを作成する技術も知られている。これらの動線データを解析することで、買物客の移動軌跡とともに商品の移動軌跡を認識できるので、例えば買物客がどのようなルートを通って商品を購入したのかという情報を得ることは容易である。
【0003】
しかし、例えば商品棚に陳列されている個々の商品について、買物客が手に取ったが購入には至らず、商品棚に戻したというような情報までは把握できないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-031963号公報
【特許文献2】特開2005-174217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、個々の商品について、人物が手に取った履歴が有るか否かを管理できる店舗システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、店舗システムは、移動検出手段と、日時取得手段と、人物特定手段と、記憶手段とを備える。移動検出手段は、店舗内で販売される個々の商品の移動を検出する。日時取得手段は、移動検出手段により商品の移動が検出された日時を取得する。人物特定手段は、移動検出手段により移動が検出された商品の移動に係る人物を特定する。記憶手段は、個々の商品について、日時取得手段により取得した日時と人物特定手段により当該日時に検出された移動に係るとして特定した人物の情報とを関連付けて記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る店舗システムの概略構成図。
【
図3】動線ファイルに保存されるデータの主要項目を示す模式図。
【
図5】棚監視装置が設けられた商品棚の一例を示す正面図。
【
図6】対峙者ファイルに保存されるデータの主要項目を示す模式図。
【
図8】取引ファイルに保存されるデータの主要項目を示す模式図。
【
図11】個品管理ファイルに保存されるデータの主要項目を示す模式図。
【
図12】人物追跡装置の制御部が実行する情報処理の手順を示す流れ図。
【
図13】棚監視装置の制御部が実行する情報処理の手順を示す流れ図。
【
図14】取引処理装置の制御部が実行する情報処理の手順を示す流れ図。
【
図15】個品管理装置の制御部が実行する情報処理の手順を示す流れ図。
【
図16】
図15におけるイベント決定処理の要部手順を示す流れ図。
【
図17】
図15における最終イベント判定処理の要部手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、店舗システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態は、ユーザ端末を用いたセルフ登録方式の店舗に構築される店舗システムを例示する。セルフ登録方式は、買物客が購入すべき商品を買物籠に入れる際にユーザ端末を操作して当該商品のデータをセルフで登録する方式である。
【0009】
[店舗システムの構成説明]
図1は、本実施形態に係る店舗システム100の概略構成図である。店舗システム100は、人物追跡装置10と、棚監視装置20と、取引処理装置30と、個品管理装置40と、データベースサーバ50と、通信ネットワーク60とを含む。店舗システム100は、人物追跡装置10と、棚監視装置20と、取引処理装置30と、個品管理装置40と、データベースサーバ50とを、通信ネットワーク60で接続する。通信ネットワーク60は、典型的にはLAN(Local Area Network)である。LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。通信ネットワーク60は、例えばインターネット又はインターネットの技術を応用して構築されたネットワークであってもよい。
【0010】
データベースサーバ50は、商品データベース51と個品データベース52とを管理する。
商品データベース51は、店舗で販売される各商品の品目毎に生成される商品データを一括保存する。商品データは、商品コード、商品名、価格等の項目を含む。商品コードは、各商品を、品目を単位として識別するための識別情報である。各商品には、商品コードを表すバーコードが付されている。
【0011】
個品データベース52は、商品の個品毎に生成される個品データを一括保存する。個品データは、個品ID、商品コード等の項目を含む。個品IDは、各商品を、個品を単位として識別するための識別情報である。各商品には、それぞれ無線タグが付されている。無線タグは、固有のRFID(Radio Frequency Identification)をICメモリに記憶した無線通信媒体である。RFIDは、無線タグ毎に異なる。したがって、無線タグが付された商品は、その無線タグのRFIDによって個品を単位として識別される。そこで本実施形態では、商品に付された無線タグのRFIDを、当該商品の個品IDとする。無線タグは、専用のリーダを用いることによって、ICメモリに記憶されたRFIDを非接触で読み取ることができる。
【0012】
店舗システム100は、ユーザ端末70を利用可能とする。ユーザ端末70は、店舗で買物を行う消費者、いわゆる買物客が使用する。ユーザ端末70は、少なくともバーコードのスキャニング機能と、情報の表示機能とを有する。またユーザ端末70は、無線通信機能を有しており、店舗内に配置されたアクセスポイントAPを中継して、取引処理装置30とデータ通信を行う。ユーザ端末70は、例えば店舗内で利用されるショッピングカートに取り付けられた専用端末である。上述した各機能を実現するためのアプリケーションプログラムを実装しているのであれば、買物客が所有するスマートフォン、タブレット端末等をユーザ端末70として用いることも可能である。
【0013】
[人物追跡装置の説明]
人物追跡装置10は、店舗内を移動する人物の動線を追跡するための装置である。人物は、買物客に限らない。商品棚への品出し、回収などの作業を行う店員も含まれる。
【0014】
図2は、人物追跡装置10の機能構成を示すブロック図である。人物追跡装置10は、人物検出部11、追跡部12、時計部13、通信部14、記憶部15及び制御部16としての機能を有する。
【0015】
人物検出部11は、店舗内に配置された複数のセンサによって、店舗内を移動する人物の位置を検出する。人物検出部11は、複数の人物の位置を同時に検出することができる。センサとしては、光学カメラ、赤外線カメラ、TOF(Time of Flight)カメラ、ステレオカメラ等の周知のカメラセンサを用いることができる。また、ビーコンの発信器と受信器をセンサとして用いて、人物の位置を検出してもよい。
【0016】
追跡部12は、人物検出部11によって検出された各人物の位置情報を基に、店舗内を移動する人物の動線を追跡する。
【0017】
時計部13は、日時を計時する。
通信部14は、通信ネットワーク60に接続される。通信部14は、所定の通信プロトコルに従い、通信ネットワーク60に接続された他の装置とデータ通信を行う。
【0018】
記憶部15は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。記憶部15は、不揮発性のメモリ領域において、人物追跡装置10としての動作を制御するための制御プログラムを記憶する。記憶部15は、揮発性のメモリ領域において、人物追跡装置10として動作する上で必要なデータを記憶する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0019】
制御部16は、上記制御プログラムに従い、人物検出部11、追跡部12、時計部13、通信部14及び記憶部15をそれぞれ制御する。制御部16は、プロセッサを主体に構成される。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0020】
人物追跡装置10は、記憶部15の揮発性メモリ領域の一部を動線ファイル151の領域とする。動線ファイル151は、人物検出部11により検出された人物毎に、追跡部12によって追跡される動線のデータを保存する領域である。
【0021】
図3は、動線ファイル151に保存されるデータの主要項目を示す模式図である。動線ファイル151は、人物IDと、属性と、複数の人物動線データと、追跡終了フラグと、を保存する。人物IDは、人物検出部11により検出された人物を個々に識別するために割り当てられた一意のコードである。人物IDは、人物検出部11によって設定される。人物IDは、追跡部12によって設定されてもよい。
【0022】
属性は、人物の属性を示す情報である。属性には、買物客と店員とがある。属性は、人物検出部11によって決定される。例えば店員は、店舗で定められた制服を着用している。人物検出部11は、カメラセンサで得た画像の解析により検出し得た人物が制服を着用している場合、その人物の属性を店員として決定する。人物検出部11は、同画像の解析により検出し得た人物が制服を着用していない場合、その人物の属性を買物客として決定する。人物検出部11は、受信器で受信したビーコンのIDが店員用のIDである場合、その人物の属性を店員として決定し、同IDが店員用のIDでない場合には、その人物の属性を買物客として決定してもよい。
【0023】
人物動線データは、日時と位置情報と人物ステータスとからなるデータである。人物動線データは、日時、位置情報及び人物ステータス以外の情報を含んでいてもよい。日時は、人物IDによって識別される人物が人物検出部11によって検出された時点において、時計部13で計時されている日時である。位置情報は、その日時に当該人物が検出されたときの店舗内の位置を示す座標である。位置座標は、店舗内の任意の点を原点とし、その原点からの距離をX軸方向とY軸方向とZ軸方向との三次元で表した三次元座標である。三次元座標は、追跡部12によって算出される。三次元座標は、制御部16が算出してもよい。人物ステータスは、人物IDによって識別される人物の状態を表す。状態には、店舗内を移動している移動状態と、移動せずに留まっている静止状態とがある。
【0024】
動線ファイル151には、人物IDによって識別される人物が人物検出部11によって検出されてから検出されなくなるまでの間、人物動線データが時系列に保存される。追跡終了フラグは、人物IDによって識別される人物の追跡が終了すると、セットされる1ビットデータである。本実施形態では、人物IDによって識別される人物が人物検出部11によって検出されなくなると追跡終了となる。
【0025】
[棚監視装置の説明]
棚監視装置20は、商品棚に陳列される商品の移動と商品棚に対峙する人物の行動とを監視するための装置である。棚監視装置20は、商品棚毎に設けられる。1つの商品棚には、1品目以上の商品が陳列される。各商品には、それぞれ個品識別のために、無線タグが付されている。
【0026】
図4は、棚監視装置20の機能構成を示すブロック図である。また
図5は、棚監視装置20が設けられた商品棚80の一例である。
図5は、底板81と天板82との間を2つの棚板83で仕切った3段構成の商品棚80を正面から見た状態を図示している。正面は、商品棚80に対して商品を出し入れする側の面である。商品棚80の各段は、左右及び中央の3つの区画に分けられており、基本的には1つの区画に1品目の商品が陳列される。1品目の商品が複数の区画に跨って陳列されてもよい。1つの区画に複数品目の商品が陳列されることを妨げるものでもない。
【0027】
棚監視装置20は、対峙者検出部21、移動検出部22、個品認識部23、時計部24、通信部25、記憶部26及び制御部27としての機能を有する。
【0028】
対峙者検出部21は、商品棚の正面に対峙する人物を検出する。
図5に示すように、本実施形態では、商品棚80の正面側の床面のうち、商品棚80の縁から幅Hの区画を監視対象領域ARaとする。監視対象領域ARaには、人物が一人だけ立ち止まることができる。監視対象領域ARaに位置する人物を検出するためのカメラセンサ91が、商品棚80の上方、例えば天井に取り付けられている。カメラセンサ91は、その撮影領域ARb内に人物が映り込むことによって、監視対象領域ARaに人物が居ることを検出する。カメラセンサ91は、TOFカメラ、ステレオカメラ又は2Dカメラである。カメラセンサ91としてTOFカメラ、ステレオカメラ又は2Dカメラを用いることによって、監視対象領域ARaに位置する人物の骨格を推定し、骨格の動きから人物の行動を検知することができる。具体的には、人物が商品棚80の前で屈むという行動、商品棚80に向けて腕部を伸ばすという行動、あるいは商品棚80から腕部を引き戻すという行動等を検知することができる。
【0029】
移動検出部22は、商品棚80に陳列される商品の移動を検出する。
図5に示すように、本実施形態では、商品棚80の各区画における商品が置かれる面に、それぞれ重量センサ92を配置している。重量センサ92は、その区画に陳列された商品の総重量を計測するものである。移動検出部22は、重量センサ92によって計測される総重量の変動により、商品が移動したことを検出する。具体的には、総重量が増加方向に変動した場合には、移動検出部22は、商品棚80に商品が置かれたことを検出する。総重量が減少方向に変動した場合には、移動検出部22は、商品棚80から商品が取り出されたことを検出する。
【0030】
商品棚80の各段には、カメラセンサ93が取り付けられている。カメラセンサ93は、例えば光学カメラ又は赤外線カメラであり、各段にそれぞれ陳列されている商品を監視するためのものである。商品を監視できるのであれば、カメラセンサの取り付け位置は特に限定されない。また、
図5では、各段に対して1つのカメラセンサ93を配置した例を示しているが、カメラセンサ93の数も特に限定されるものではない。例えば各段の区画毎にカメラセンサ93を配置してもよい。移動検出部22は、カメラセンサ93の画像を分析することによって商品の移動を検出してもよい。あるいは移動検出部22は、重量センサ92によって計測される総重量の情報とカメラセンサ93の画像を分析した情報とを併用することによって、商品の移動を検出してもよい。
【0031】
個品認識部23は、移動検出部22によって移動が検出された商品の個品IDを認識する。
図5に示すように商品棚80の各段には、それぞれ無線タグリーダ94のアンテナ95が埋設されている。無線タグリーダ94は、アンテナ95と非接触で通信する無線タグからRFIDを読み取る機能を有したものである。アンテナ95は、当該アンテナ95を埋設した段に陳列されている全ての商品に付されている無線タグと非接触通信が可能なように出力レベルが設定されている。移動検出部22によって商品棚80に商品が置かれたことが検出された場合、個品認識部23は、新たに読み取ることができたRFIDを、商品棚80に置かれた商品の個品IDとして認識する。移動検出部22によって商品棚80から商品が取り出されたことが検出された場合、個品認識部23は、読み取ることができなくなったRFIDを、商品棚80から取り出された商品の個品IDとして認識する。
【0032】
時計部24は、日時を計時する。
通信部25は、通信ネットワーク60に接続される。通信部25は、所定の通信プロトコルに従い、通信ネットワーク60に接続された他の装置とデータ通信を行う。
【0033】
記憶部26は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。記憶部26は、不揮発性のメモリ領域において、棚監視装置20としての動作を制御するための制御プログラムを記憶する。記憶部26は、揮発性のメモリ領域において、棚監視装置20として動作する上で必要なデータを記憶する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0034】
制御部27は、上記制御プログラムに従い、対峙者検出部21、移動検出部22、個品認識部23、時計部24、通信部25及び記憶部26をそれぞれ制御する。制御部27は、プロセッサを主体に構成される。プロセッサは、例えばCPUである。
【0035】
棚監視装置20は、記憶部26の揮発性メモリ領域の一部を対峙者ファイル261の領域とする。対峙者ファイル261は、商品棚80の正面に対峙した人物毎に、その人物が移動させた商品のデータを保存する領域である。
【0036】
図6は、対峙者ファイル261に保存されるデータの主要項目を示す模式図である。対峙者ファイル261は、対峙者IDと、対峙位置座標と、少なくとも1つの個品移動データと、監視終了フラグとを保存する。対峙者IDは、対峙者検出部21により検出された人物を個々に識別するために割り当てられた一意のコードである。対峙者IDは、対峙者検出部21によって設定される。
【0037】
対峙位置座標は、対峙者検出部21により検出された人物の監視対象領域ARa内における位置を示す座標である。対峙位置座標は、人物動線データに係る位置座標と同様に店舗内の任意の点を原点とし、その原点からの距離をX軸方向とY軸方向との二次元で表した二次元座標である。二次元座標は、対峙者検出部21によって算出される。対峙位置座標は、床面からの高さ方向をZ軸方向として含む三次元座標としてもよい。
【0038】
個品移動データは、日時と、個品IDと、商品コードと、区画IDと、個品ステータスとからなるデータである。個品移動データは、日時、個品ID、商品コード、区画ID及び個品ステータス以外の情報を含んでいてもよい。日時は、移動検出部22によって商品の移動が検出された時点において、時計部24で計時されている日時である。個品IDは、移動が検出された商品に付された無線タグのRFIDである。商品コードは、移動が検出された商品の商品コードである。区画IDは、移動検出部22によって商品の移動が検出された区画の区画IDである。商品棚80の各区画には、区画を個々に識別するための識別情報として一意の区画IDが予め設定されている。個品ステータスは、移動が検出された商品の状態を表す。状態には、商品棚80から取り出された取出し状態と、商品棚80に置かれた載置状態とがある。
【0039】
対峙者ファイル261には、対峙者検出部21によって検出された人物が監視対象領域ARaの外に出るまでの間、その人物が対峙する商品棚80において商品が移動する毎に、その移動に係る個品移動データが時系列に保存される。監視終了フラグは、対峙者IDによって識別される人物の監視が終了すると、セットされる1ビットデータである。本実施形態では、対峙者IDによって識別される人物が監視対象領域ARaの外に出て対峙者検出部21により検出されなくなると監視終了となる。
【0040】
[取引処理装置の説明]
取引処理装置30は、買物客が購入した商品のリスト、いわゆる購買リストを作成し、その購買リストのデータを基に買物客との取引を決済するものである。
【0041】
図7は、取引処理装置30の機能構成を示すブロック図である。取引処理装置30は、登録処理部31、返品処理部32、個品認識部33、決済処理部34、時計部35、第1通信部36、第2通信部37、記憶部38及び制御部39としての機能を有する。
【0042】
登録処理部31は、買物客が商品棚80から購入した商品の販売データを購買リストに登録するための処理を実行する。例えばユーザ端末70において商品のバーコードがスキャニングされると、登録処理部31は、そのバーコードから得られる商品コードで商品データベース51を検索する。そして登録処理部31は、その商品コードを含む商品データを商品データベース51から取得し、その商品データを基に販売データを生成して、購買リストに登録する。
【0043】
返品処理部32は、買物客が商品棚80に返品した商品の販売データを購買リストから取消すための処理を実行する。例えばユーザ端末70において返品操作の後に商品のバーコードがスキャニングされると、返品処理部32は、そのバーコードから得られる商品コードを含む販売データを、購買リストから削除する。
【0044】
個品認識部33は、買物客が商品棚80から購入した商品、又は、買物客が商品棚80に返品した商品の個品IDを認識するための処理を実行する。買物客は、商品棚80から手に取った商品を購入する場合、その商品のバーコードをユーザ端末70でスキャニングしてから買物籠に入れる。そこで個品認識部33は、スキャニングされたバーコードの商品コードを含む個品移動データのうち、現在日時に最も近い過去日時の個品移動データに含まれる個品IDを、買物客が商品棚80から購入した商品の個品IDとして認識する。買物客は、一旦スキャニングした商品を返品するために商品棚80に戻す場合には、ユーザ端末70において返品操作を行った後、その商品のバーコードをユーザ端末70でスキャニングしてから商品棚80に戻す。そこで個品認識部33は、スキャニングされたバーコードの商品コードを含む個品移動データのうち、現在日時に最も近い未来日時の個品移動データに含まれる個品IDを、買物客が商品棚80に返品した商品の個品IDとして認識する。
【0045】
なお、買物籠内の商品に付された無線タグを読み取るためのリーダを例えばショッピングカートに設けることにより、個品認識部33は、新たに読み取られた無線タグのRFIDを買物客が商品棚80から購入した商品の個品IDとして認識し、返品操作後に読み取れなくなった無線タグのRFIDを買物客が商品棚80に返品した商品の個品IDとして認識してもよい。
【0046】
決済処理部34は、購買リストのデータを基に買物客との取引を決済するための処理を実行する。決済方法は、特に限定されない。現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、コード決済等の既存の決済方法をそのまま利用することができる。
【0047】
時計部35は、日時を計時する。個品認識部33は、時計部35で計時される日時を現在日時とする。
第1通信部36は、通信ネットワーク60に接続される。第1通信部36は、所定の通信プロトコルに従い、通信ネットワーク60に接続された他の装置とデータ通信を行う。
第2通信部37は、アクセスポイントに接続される。第2通信部37は、アクセスポイントを介してユーザ端末70と無線通信を行う。
【0048】
記憶部38は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。記憶部38は、不揮発性のメモリ領域において、取引処理装置30としての動作を制御するための制御プログラムを記憶する。記憶部38は、揮発性のメモリ領域において、取引処理装置30として動作する上で必要なデータを記憶する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0049】
制御部39は、上記制御プログラムに従い、登録処理部31、返品処理部32、決済処理部34、時計部35、第1通信部36、第2通信部37及び記憶部38をそれぞれ制御する。制御部39は、プロセッサを主体に構成される。プロセッサは、例えばCPUである。
【0050】
取引処理装置30は、記憶部38の揮発性メモリ領域の一部を取引ファイル381の領域とする。取引ファイル381は、ユーザ端末70を用いてセルフ登録を行う買物客毎に、購買リストのデータを保存する領域である。
【0051】
図8は、取引ファイル381に保存されるデータの主要項目を示す模式図である。取引ファイル381は、端末IDと、少なくとも1つの販売データと、代金支払データと、取引終了フラグとを記憶する。端末IDは、ユーザ端末70を個々に識別するためにユーザ端末70毎に設定された一意のコードである。各ユーザ端末70の記憶部には、それぞれ固有の端末IDが設定されている。
【0052】
販売データは、商品コード、商品名、価格、個品ID、処理日時及び取消フラグからなるデータである。販売データは、商品コード、商品名、価格、個品ID、処理日時及び取消フラグ以外の情報を含んでいてもよい。商品コード、商品名及び価格は、商品データベース51に設定された商品データである。個品IDは、個品認識部33によって認識された個品IDである。処理日時は、販売データが登録された時点又は取消された時点において、時計部35で計時されている日時である。取消フラグは、販売データが取消されると、セットされる1ビットデータである。取消フラグがリセット状態にある販売データによって購買リストが作成される。代金支払データは、取引の決済に使用された代金のデータである。例えば、クレジットカード決済によって決済された取引の場合には、クレジット支払金額が代金支払データとなる。電子マネー決済によって決済された取引の場合には、電子マネーによる支払金額が代金支払データとなる。取引終了フラグは、端末IDによって識別されるユーザ端末70を使用する買物客との取引が決済すると、セットされる1ビットデータである。
【0053】
[個品管理装置の説明]
個品管理装置40は、人物追跡装置10、棚監視装置20及び取引処理装置30でそれぞれ処理されているデータを基に、商品棚80に陳列されて販売される商品とその商品の移動に関わった人物との対応関係を個品単位に管理するものである。
【0054】
図9は、個品管理装置40の機能構成を示すブロック図である。個品管理装置40は、個品移動取得部41、人物動線取得部42、購買商品取得部43、時計部44、通信部45、記憶部46及び制御部47としての機能を有する。
【0055】
個品移動取得部41は、棚監視装置20から処理対象となる少なくとも1つの対峙者ファイル261を取得する。
人物動線取得部42は、人物追跡装置10から処理対象となる少なくとも1つの動線ファイル151を取得する。
購買商品取得部43は、取引処理装置30から処理対象となる少なくとも1つの取引ファイル381を取得する。
【0056】
時計部44は、日時を計時する。
通信部45は、通信ネットワーク60に接続される。通信部45は、所定の通信プロトコルに従い、通信ネットワーク60に接続された他の装置とデータ通信を行う。
【0057】
記憶部46は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。記憶部46は、不揮発性のメモリ領域において、個品管理装置40としての動作を制御するための制御プログラムを記憶する。記憶部46は、揮発性のメモリ領域において、個品管理装置40として動作する上で必要なデータを記憶する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROMである。揮発性のメモリ領域は、例えばRAMである。
【0058】
制御部47は、上記制御プログラムに従い、個品移動取得部41、人物動線取得部42、購買商品取得部43、時計部44、通信部45及び記憶部46をそれぞれ制御する。制御部47は、プロセッサを主体に構成される。プロセッサは、例えばCPUである。
【0059】
個品管理装置40は、記憶部46の揮発性メモリ領域の一部を移動履歴テーブル461の領域と個品管理ファイル462の領域とする。
【0060】
図10は移動履歴テーブル461の構成を示す模式図である。移動履歴テーブル461は、“1”から“N”までの一連のテーブル番号(No.)の順番に、日時、区画ID、個品ステータス、対峙者ID及び対峙位置座標をそれぞれ記述するための領域を有する。
【0061】
図11は、個品管理ファイル462に保存されるデータの主要項目を示す模式図である。個品管理ファイル462は、個品IDと、商品コードと、少なくとも1つの個品管理データと、管理終了フラグとを記憶する。
【0062】
個品管理データは、日時、対峙者ID、人物ID、属性、イベント及び区画IDからなる。個品管理データは、日時、対峙者ID、人物ID、属性、イベント及び区画ID以外の項目を含んでもよい。日時は、個品IDで識別される商品の移動が、棚監視装置20の移動検出部22で検出された日時である。対峙者IDは、上記日時に商品の移動が検出された際に、棚監視装置20の対峙者検出部21で検出されていた対峙者IDである。人物ID及び属性は、上記対峙者IDを含む対峙者ファイル261の対峙位置座標とX-Y座標が一致する位置座標の場所において、上記日時に人物ステータスが静止状態にある人物動線データを含む動線ファイル151の人物ID及び属性である。イベントについては後述する。区画IDは、上記日時に商品の移動が検出された際に、棚監視装置20の移動検出部22で検出されていた区画IDである。
【0063】
管理終了フラグは、個品IDで識別される個品が買物客によって購入され、あるいは店舗から回収された場合にセットされる1ビットデータである。
【0064】
[店舗システムの作用説明]
図12は、人物追跡装置10の制御部16が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図13は、棚監視装置20の制御部27が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図14は、取引処理装置30の制御部39が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図15乃至
図17は、個品管理装置40の制御部47が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。なお、情報処理の手順は流れ図に従ったものに限定されるものではない。同様な作用効果を得られるのであれば、その手順は適宜変更することができる。
【0065】
はじめに、
図2、
図3及び
図12を用いて人物追跡装置10の作用について説明する。
人物追跡装置10の制御部16は、ACT1として人物検出部11により人物が検出されるのを待ち受ける。店舗内の追跡部12によって追跡可能な領域内に買物客又は店員が入ると、人物検出部11は、その人物を検出する。制御部16は、ACT1においてYESと判定し、ACT2へと進む。制御部16は、ACT2として人物検出部11により決定されたその人物の属性を認識する。
【0066】
属性が店員である場合、制御部16は、ACT2においてYESと判定し、ACT3へと進む。制御部16は、ACT3として店員用の人物IDを生成する。例えば制御部16は、記号“S”と4桁の数字とを組み合わせたコードを店員用の人物IDとして生成する。
【0067】
属性が店員でない、つまり買物客である場合には、制御部16は、ACT2においてNOと判定し、ACT4へと進む。制御部16は、ACT4として買物客用の人物IDを生成する。例えば制御部16は、記号“C”と4桁の数字とを組み合わせたコードを買物客用の人物IDとして生成する。
【0068】
ACT3又はACT4の処理を終えると、制御部16は、ACT5へと進む。制御部16は、ACT5として記憶部15に動線ファイル151を作成する。すなわち、店員を検出した場合には、制御部16は、店員用の人物IDと店員を示す属性とを記憶した動線ファイル151を作成する。買物客を検出した場合には、制御部16は、買物客用の人物IDと買物客を示す属性とを記憶した動線ファイル151を作成する。そして制御部16は、ACT6として1つ目の人物動線データを登録する。当該人物動線データの日時は、時計部13によって計時されている現在日時である。位置座標は、当該人物が検出された地点を基に追跡部12によって算出された三次元座標である。人物ステータスは任意である。人物ステータスは、移動状態であってもよいし静止状態であってもよい。制御部16は、ACT7としてその動線ファイル151の追跡終了フラグを“0”にリセットする。
【0069】
制御部16は、ACT8として監視時間が経過するのを待ち受ける。監視時間は、人物が移動しているか静止しているかを判定するのに有効な時間である。例えば人物が一箇所に5秒以上留まっていることを検出した場合に静止しているとみなす場合、監視時間を5秒とする。監視時間が経過すると、制御部16は、ACT8においてYESと判定し、ACT9へと進む。制御部16は、ACT9として追跡部12により当該人物を追跡できているか否かを確認する。
【0070】
人物を追跡できている場合、制御部16は、ACT9においてYESと判定し、ACT10へと進む。制御部16は、ACT10として現時点における当該人物の位置座標を取得する。そして制御部16は、ACT11としてその位置座標が直前に動線ファイル151に登録された人物動線データの位置座標と一致しているか否かを確認する。例えば直前の位置座標と今回の位置座標とを結ぶ線分の長さが所定長以下の場合、制御部16は、位置座標が一致しているとみなす。上記線分の長さが所定長を超える場合には、制御部16は、位置座標がずれているとみなす。
【0071】
位置座標がずれている場合、制御部16は、当該人物が移動していると認識する。制御部16は、ACT11においてYESと判定し、ACT12へと進む。制御部16は、ACT12として人物ステータスを移動状態とする。
【0072】
位置座標が一致している場合には、制御部16は、当該人物が静止していると認識する。制御部16は、ACT11においてNOと判定し、ACT13へと進む。制御部16は、ACT13として人物ステータスを静止状態とする。
【0073】
ACT12又はACT13の処理を終えると、制御部16は、ACT14へと進む。制御部16は、ACT14として動線ファイル151に人物動線データを登録する。当該人物動線データの日時は、時計部13によって計時されている現在日時である。位置座標は、当該人物が検出された地点を基に追跡部12によって算出された三次元座標である。人物ステータスは、ACT12又はACT13の処理で設定された状態の情報である。すなわち、ACT11において移動していると認定された場合には、人物ステータスは移動状態である。ACT11において静止していると認定された場合には、人物ステータスは静止状態である。
【0074】
ACT14の処理を終えると、制御部16は、ACT8へと戻る。すなわち制御部16は、監視時間が経過するのを待ち受ける。そして監視時間が経過すると、制御部16は、ACT9以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、追跡部12により追跡されている人物の人物IDが設定された動線ファイル151には、監視時間が経過する毎に人物動線データが登録される。
【0075】
追跡部12によって追跡可能な領域から当該人物が出たために、追跡部12が当該人物を追跡できなくなった場合には、制御部16は、ACT9においてNOと判定し、ACT15へと進む。制御部16は、ACT15として当該人物の人物IDが設定された動線ファイル151の追跡終了フラグを“1”にセットする。以上で、制御部16は、
図12の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0076】
このように、人物追跡装置10は、制御部16がACT1乃至ACT15の処理を実行することにより、店舗内を移動する人物の動線を追跡する動線追跡手段として機能する。この機能により、人物追跡装置10は、人物別に作成される動線ファイル151に、当該人物に係る人物動線データを時系列に登録する。人物動線データは、日時と位置座標と人物ステータスとからなる。したがって、人物動線データをコンピュータ等で解析することによって、人物が時間の経過とともに店舗内をどのように移動し、また、どの場所にどの程度留まったのか、というような人物行動に関する情報を容易に得ることができる。
【0077】
次に、
図4、
図5、
図6及び
図13を用いて棚監視装置20の作用について説明する。
棚監視装置20の制御部27は、ACT21として対峙者検出部21により商品棚80に対峙する人物が検出されるのを待ち受ける。一人の店員又は買物客が監視対象領域ARa内に入ると、対峙者検出部21は、その人物を検出する。制御部27は、ACT21においてYESと判定し、ACT22へと進む。以下では、対峙者検出部21によって検出された人物を対峙者と称する。
【0078】
制御部27は、ACT22として対峙者に対して固有の対峙者IDを生成する。対峙者IDは、少なくとも1営業日内では他の対峙者IDと重複しない任意の数字列又は文字と数字とを組み合わせたコードである。また制御部27は、ACT23として対峙位置座標を取得する。対峙位置座標は、対峙者が検出された地点を基に対峙者検出部21によって算出された三次元座標である。
【0079】
制御部27は、ACT24として記憶部26に対峙者ファイル261を作成する。すなわち制御部16は、ACT22の処理で生成した対峙者IDと、ACT23の処理で取得した対峙位置座標とを記憶した対峙者ファイル261を作成する。制御部16は、ACT25としてその対峙者ファイル261の追跡終了フラグを“0”にリセットする。
【0080】
制御部27は、ACT26として対峙者が監視対象領域ARa内に留まっているか否かを確認する。対峙者検出部21により対峙者が検出されている場合、制御部27は、ACT26においてYESと判定し、ACT27へと進む。制御部27は、ACT27として移動検出部22により商品の移動が検出されたか否かを確認する。商品の移動が検出されていない場合、制御部27は、ACT27においてNOと判定し、ACT26へと戻る。ここに制御部27は、ACT26及びACT27において対峙者検出部21により対峙者が検出されなくなるか、移動検出部22により商品の移動が検出されるのを待ち受ける。
【0081】
ACT26及びACT27の待ち受け状態において、移動検出部22により商品の移動が検出されると、制御部27は、ACT27においてYESと判定し、ACT28へと進む。制御部27は、ACT28として時計部24で計時されている現在の日時を、移動検出部22により商品の移動が検出された日時として取得する。また制御部27は、ACT29として移動検出部22により移動が検出された商品の個品IDを取得する。すなわち制御部27は、無線タグリーダ94で読み取っているRFIDの情報を基に、個品認識部23において移動商品に付されているものとして認識された無線タグのRFIDを取得する。さらに制御部27は、ACT30として移動検出部22により移動が検出された商品の位置に係る情報として、重量センサ92により計測されている総重量の情報を基に、商品の移動が検出された区画の区画IDを取得する。
【0082】
制御部27は、ACT31として商品の移動が取出し方向の移動なのか載置方向の移動なのかを判定する。すなわち制御部27は、重量センサ92により計測されている総重量の情報、又は、カメラセンサ93により検出されている画像の情報を基に、移動検出部22によって商品棚80から商品が取り出されたことが検出された場合には、取出し方向の移動と決定する。制御部27は、上記情報を基に移動検出部22によって商品棚80に置かれたことが検出された場合には、載置方向の移動と決定する。
【0083】
制御部27は、商品の移動が取出し方向の移動と決定した場合には、ACT31においてYESと判定し、ACT32へと進む。制御部27は、ACT32として個品ステータスを取出し状態とする。制御部27は、商品の移動が載置方向の移動と決定した場合には、ACT31においてNOと判定し、ACT33へと進む。制御部27は、ACT33として個品ステータスを載置状態とする。
【0084】
ACT32又はACT33の処理を終えると、制御部16は、ACT34へと進む。制御部16は、ACT34として対峙者ファイル261に個品移動データを登録する。当該個品移動データの日時は、ACT28の処理で取得した日時である。個品IDは、ACT29の処理で取得した個品IDである。商品コードは、個品データベース52において当該個品IDと関連付けて記憶されている商品コードである。区画IDは、ACT30の処理で取得した区画IDである。個品ステータスは、ACT32又はACT33の処理で設定された状態の情報である。すなわち、ACT31において取出し方向と決定した場合には、個品ステータスは取出し状態である。ACT31において載置方向と決定した場合には、個品ステータスは載置状態である。
【0085】
ACT34の処理を終えると、制御部27は、ACT26へと戻る。すなわち制御部27は、対峙者検出部21により対峙者が検出されなくなるか、移動検出部22により商品の移動が検出されるのを再び待ち受ける。
【0086】
この待ち受け状態において、移動検出部22により商品の移動が再び検出されると、制御部27は、ACT28以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、対峙者ファイル261に新たな個品移動データが登録される。すなわち、対峙者が商品を商品棚80から手に取った場合には、その時点の日時と、その商品に付された無線タグのRFIDである個品IDと、その個品IDと関連付けられた商品コードと、商品が置かれていた区画の区画IDと、取出し状態の個品ステータスとからなる個品登録データが登録される。対峙者が商品を商品棚80に置いた場合には、その時点の日時と、その商品に付された無線タグのRFIDである個品IDと、その個品IDと関連付けられた商品コードと、商品が置かれた区画の区画IDと、載置状態の個品ステータスとからなる個品登録データが登録される。
【0087】
ACT26及びACT27の待ち受け状態において、対峙者検出部21により対峙者が検出されなくなると、制御部27は、ACT26においてNOと判定し、ACT35へと進む。制御部27は、ACT35として対峙者ファイル261の追跡終了フラグを“1”にセットする。以上で、制御部27は、
図13の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0088】
このように、棚監視装置20は、制御部27が
図13のACT27の処理を実行することにより、店舗内で販売される個々の商品の移動を検出する移動検出手段として機能する。また棚監視装置20は、制御部27が
図13のACT28の処理を実行することにより移動検出手段により商品の移動が検出された日時を取得する日時取得手段として機能する。さらに棚監視装置20は、制御部27が
図13のACT30の処理を実行することにより、移動検出手段により移動が検出された商品の位置を示す情報を取得する位置取得手段として機能する。
【0089】
そして棚監視装置20は、対峙者毎に作成される対峙者ファイル261に、当該対峙者によって移動された商品に係る個品移動データを時系列に登録する。個品移動データは、日時と個品IDと商品コードと区画IDと個品ステータスとからなる。したがって、個品動線データをコンピュータ等で解析することによって、商品棚80に対峙した対峙者が、時間の経過とともに、商品棚80のどの区画に置かれていた商品を手に取り、また商品を商品棚80のどの区画に置いたのかという商品移動に係る情報を、個品を単位として容易に得ることができる。
【0090】
次に、
図7、
図8及び
図14を用いて取引処理装置30の作用について説明する。
取引処理装置30の制御部39は、ACT41として商品の登録開始が指令されるのを待ち受ける。買物客は、買物を開始する際にユーザ端末70を操作して、買上商品の登録が可能な状態とする。このような操作により、ユーザ端末70から取引処理装置30に対して登録開始コマンドが無線送信される。登録開始コマンドには、ユーザ端末70に設定されている端末IDが含まれる。制御部39は、登録開始コマンドを受信すると、ACT41においてYESと判定し、ACT42へと進む。制御部39は、ACT42として登録開始コマンドから端末IDを取得する。そして制御部39は、ACT43としてその端末IDを含む取引ファイル381を記憶部38に作成する。制御部39は、ACT44としてその取引ファイル381の取引終了フラグを“0”にリセットする。
【0091】
制御部39は、ACT45としてユーザ端末70から購入コマンドを受信したか否かを確認する。購入コマンドを受信していない場合、制御部39は、ACT45においてNOと判定し、ACT46へと進む。制御部39は、ACT46としてユーザ端末70から返品コマンドを受信したか否かを確認する。返品コマンドを受信していない場合、制御部39は、ACT46においてNOと判定し、ACT47へと進む。制御部39は、ACT47として会計コマンドを受信したか否かを確認する。会計コマンドを受信していない場合、制御部39は、ACT47においてNOと判定し、ACT45へと戻る。このように制御部39は、ACT45乃至ACT47においてユーザ端末70からのコマンドを待ち受ける。
【0092】
買物客が商品棚80から手に取った商品を購入するために、ユーザ端末70のスキャニング機能を利用して商品に付されたバーコードをスキャニングすると、ユーザ端末70から購入コマンドが送信される。購入コマンドには、スキャニングされたバーコードのデータが含まれる。
【0093】
制御部39は、購入コマンドを受信すると、ACT45においてYESと判定し、ACT48へと進む。制御部39は、ACT48として個品認識部33を制御して個品認識処理を実行する。この処理により、個品認識部33では、買物客が商品棚80から購入した商品の個品IDが認識される。個品IDが認識されたならば、制御部39は、ACT49として登録処理部31を制御して登録処理を実行する。この処理により、登録処理部31では、バーコードが付された商品の販売データが生成され、取引ファイル381に登録される。具体的には、商品コード、商品名及び価格と、個品認識部で認識された個品IDと、現時点において時計部35で計時されている日時と、リセット状態の取消フラグとからなる販売データが取引ファイル381に登録される。登録処理が終わると、制御部39は、ACT45乃至ACT47の待ち受け状態に戻る。
【0094】
買物客が一旦スキャニングした商品を返品するために、ユーザ端末70に対して返品操作をした後に商品に付されたバーコードをスキャニングすると、ユーザ端末70から返品コマンドが送信される。返品コマンドには、スキャニングされたバーコードのデータが含まれる。
【0095】
制御部39は、返品コマンドを受信すると、ACT46においてYESと判定し、ACT50へと進む。制御部39は、ACT50として個品認識部33を制御して個品認識処理を実行する。この処理により、個品認識部33では、買物客が商品棚80に戻した商品の個品IDが認識される。個品IDが認識されたならば、制御部39は、ACT51として返品処理部32を制御して返品処理を実行する。この処理により、返品処理部32では、バーコードが付された商品の販売データが取引ファイル381から取り消される。具体的には、個品認識部33で認識された個品IDを含む販売データの取消フラグが“1”にセットされる。また、同販売データの日時が、現時点において時計部35で計時されている日時に更新される。返品処理が終わると、制御部39は、ACT45乃至ACT47の待ち受け状態に戻る。
【0096】
買物を終えた買物客がユーザ端末70に対して会計操作を行うと、ユーザ端末70から会計コマンドが送信される。会計コマンドには、代金支払データが含まれる。
【0097】
制御部39は、会計コマンドを受信すると、ACT47においてYESと判定し、ACT52へと進む。制御部39は、ACT52として決済処理部34を制御して決済処理を実行する。この処理により、決済処理部34では、代金支払データを基に決済処理が実行される。例えば代金支払データがクレジット支払金額の場合には、クレジットカード決済の決済処理が実行される。代金支払データが電子マネーによる支払金額の場合には、電子マネー決済の決済処理が実行される。代金支払データがコード決済による支払金額の場合には、コード決済の決済処理が実行される。
【0098】
決済処理が終わると、制御部39は、ACT53として取引ファイル381の取引終了フラグを“1”にセットする。以上で、制御部39は、
図14の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0099】
このように取引処理装置30は、制御部39が
図14のACT48及びACT49の処理を実行することによって、登録処理手段として機能する。また、制御部39が
図14のACT50及びACT51の処理を実行することによって、返品処理手段として機能する。さらに、制御部39が
図14のACT52の処理を実行することによって、決済処理手段として機能する。
【0100】
そして取引処理装置30は、ユーザ端末70別に作成される取引ファイル381に、当該ユーザ端末70の利用者である買物客が購入した商品に係る販売データを登録する。したがって、販売データをコンピュータ等で解析することによって、買物客が購入した商品又は返品した商品に関する情報を、個品IDで識別される個品を単位として、その処理日時とともに容易に得ることができる。
【0101】
次に、
図9、
図10、
図11、
図15、
図16及び
図17を用いて個品管理装置40の作用について説明する。
個品管理装置40の制御部47は、例えば時計部44で計時される時刻が毎営業日の閉店後の時刻になると、
図15の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。制御部47は、ACT61として精査対象の個品IDを選択する。例えば制御部47は、所定のルールに従って、個品データベース52に保存されている個品IDのリストから任意の個品IDを精査対象の個品IDとして選択する。このとき制御部47は、複数の個品IDを選択してもよい。その場合には、制御部47は、個品ID毎に、後述するACT62乃至ACT71の処理を繰り返し実行する。なお、精査対象の個品IDを選択する方法は、上述した方法に限定されるものではない。要は、精査対象となる個品IDを自動的に又は人為的に選択できればよい。
【0102】
精査対象の個品IDを取得すると、制御部47は、ACT62として精査対象の個品IDを含む個品管理ファイル462を記憶部46に作成する。そして制御部47は、ACT62として個品管理ファイル462の管理終了フラグを“0”にリセットする。
【0103】
制御部47は、ACT64として個品移動取得部41を制御して、精査対象の個品IDを含む個品移動データが登録された対峙者ファイル261を棚監視装置20から収集する。制御部47は、ACT65として収集した対峙者ファイル261から、精査対象の個品IDを含む個品移動データを取得する。そして制御部47は、ACT66として移動履歴テーブル461を作成する。具体的には制御部47は、個品移動データの日時、区画ID及び個品ステータスと、その個品移動データを含む対峙者ファイル261の対峙者ID及び対峙位置情報とを、日時の早い順にテーブル番号No.=1から順に並べた移動履歴テーブル461を作成する。
【0104】
制御部47は、ACT67として番号カウンタnを“0”に初期化する。次いで制御部47は、ACT68として番号カウンタnを“1”だけカウントアップする。そして制御部47は、ACT69として番号カウンタnが移動履歴テーブル461におけるテーブル番号No.の最大値Nを超えたか否かを確認する。
【0105】
番号カウンタnが最大値Nを超えていない場合、制御部47は、ACT69においてNOと判定し、ACT70へと進む。制御部47は、ACT70としてイベント決定処理を実行する。
【0106】
図16は、イベント決定処理の要部手順を示す流れ図である。イベント決定処理に入ると、制御部47は、ACT81として移動履歴テーブル461から番号カウンタnをテーブル番号No.とするデータ(日時・区画ID・個品ステータス・対峙者ID・対峙位置座標)を取得する。以下では、説明の便宜上、移動履歴テーブル461から取得したテーブル番号No.=nのデータを番号nデータと称する。
【0107】
制御部47は、ACT82として番号nデータから日時と対峙位置座標とを検出する。そして制御部47は、ACT83として人物動線取得部42を制御して、日時が番号nデータから検出した日時の直後で、位置座標が番号nデータから検出した対峙位置座標と一致し、人物ステータスが静止状態にある人物動線データを含む動線ファイル151を、人物追跡装置10から取得する。
【0108】
制御部47は、ACT84として人物追跡装置10から取得した動線ファイル151の人物IDを、番号nデータの対峙者IDで識別されていた人物の人物IDとして特定する。また制御部47は、ACT85として同動線ファイル151から属性を取得する。さらに制御部47は、ACT86として番号nデータから個品ステータスを取得する。
【0109】
制御部47は、ACT87として動線ファイル151から取得した属性が店員を示すか否かを確認する。属性が店員を示す場合、制御部47は、ACT87においてYESと判定し、ACT88へと進む。制御部47は、ACT88として番号nデータから取得した個品ステータスが載置状態を示すか否かを判定する。個品ステータスが載置状態を示す場合、番号nデータで特定される商品の移動は、店員が商品棚80に商品を品出しした場合と想定される。制御部47は、ACT88においてYESと判定し、ACT89へと進む。制御部47は、ACT89としてイベントを「品出し」と決定する。
【0110】
個品ステータスが取出し状態を示す場合には、番号nデータで特定される商品の移動は、店員が商品棚80から商品を回収した場合と想定される。制御部47は、ACT88においてNOと判定し、ACT90へと進む。制御部47は、ACT90としてイベントを「回収」と決定する。
【0111】
一方、動線ファイル151から取得した属性が買物客を示す場合には、制御部47は、ACT87においてNOと判定し、ACT91へと進む。制御部47は、ACT91として番号nデータから取得した個品ステータスが取出し状態を示すか否かを判定する。個品ステータスが取出し状態を示す場合、番号nデータで特定される商品の移動は、買物客が商品棚80から商品を手に取った場合と想定される。制御部47は、ACT91においてYESと判定し、ACT92へと進む。制御部47は、ACT90としてイベントを「取上げ」と決定する。
【0112】
個品ステータスが載置状態を示す場合には、番号nデータで特定される商品の移動は、買物が商品棚80から手に取った商品を元に戻した場合と想定される。制御部47は、ACT91においてNOと判定し、ACT93へと進む。制御部47は、ACT93としてイベントを「戻し」と決定する。
【0113】
ACT89、ACT90、ACT92又はACT93においてイベントが決定されると、制御部47は、イベント決定処理を終了して、
図15のACT71へと進む。制御部47は、ACT71として個品管理ファイル462に個品管理データを登録する。個品管理データにおいて、日時、区画ID、対峙者IDは、番号nデータの日時、区画ID、対峙者IDである。人物IDは、
図16のACT84の処理で特定された人物IDである。属性は、
図16のACT85の処理で取得した属性である。イベントは、
図16のACT89、ACT90、ACT92又はACT93において決定されたイベントである。
【0114】
個品管理ファイル462に個品管理データを登録した制御部47は、ACT68へ戻る。すなわち制御部47は、番号カウンタnをさらに“1”だけカウントアップする。そして制御部47は、ACT69以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、制御部47は、番号カウンタnが最大値Nに達するまでACT70及びACT71の処理、すなわち、店員又は買物客による商品の移動に伴うイベントを決定し、そのイベントを含む個品管理データを個品管理ファイル462に登録する処理を繰り返し実行する。
【0115】
番号カウンタnが最大値Nに達すると、制御部47は、ACT69においてYESと判定し、ACT72へと進む。制御部47は、ACT72として最終イベント判定処理を実行する。
【0116】
図17は、最終イベント判定処理の要部手順を示す流れ図である。最終イベント判定処理に入ると、制御部47は、ACT101として番号カウンタnが最大値Nのときの番号nデータを基に、最後に個品管理ファイル462に登録された個品管理データのイベントを取得する。以下では、このイベントを最終イベントと称する。
【0117】
制御部47は、ACT102として最終イベントが「取上げ」であるか否かを確認する。最終イベントが「取上げ」でない場合、制御部47は、ACT102においてNOと判定し、ACT103へと進む。制御部47は、ACT103として最終イベントが「回収」であるか否かを確認する。最終イベントが「回収」でもない場合、制御部47は、ACT103においてNOと判定し、最終イベント判定処理を終了する。
【0118】
最終イベントが「取上げ」でも「回収」でない場合、すなわち「品出し」又は「戻し」の場合には、当該個品管理データを含む個品管理ファイル462の個品IDをRFIDとする無線タグが付された商品は、商品棚80に陳列されている。したがって、最終イベントは、現状を維持する。
【0119】
一方、最終イベントが「取上げ」である場合には、制御部47は、ACT102においてYESと判定し、ACT104へと進む。制御部47は、ACT104として購買商品取得部43を制御して、当該個品管理データが登録された個品管理ファイル462の個品IDを含む販売データが登録された取引ファイル381を取得する。
【0120】
取引処理装置30から該当する取引ファイル381を取得したならば、制御部47は、ACT105としてその取引ファイル381の取引終了フラグを調べる。取引終了フラグが“1”にセットされている場合、当該取引ファイル381で管理される買物客は、取引の決済を終えている。つまり、当該個品管理データが登録された個品管理ファイル462の個品IDをRFIDとする無線タグが付された商品は、買物客によって買い上げられている。この場合、制御部47は、ACT105においてYESと判定し、ACT106へと進む。制御部47は、ACT106として最終イベントを「購入」と変更する。
【0121】
取引終了フラグが“1”にセットされていない場合には、当該取引ファイル381で管理される買物客は、取引の決済を終えていない。つまり、当該個品管理データが登録された個品管理ファイル462の個品IDをRFIDとする無線タグが付された商品は、買物客によって決済されることなく持ち出されたと推測される。この場合、制御部47は、ACT105においてNOと判定し、ACT107へと進む。制御部47は、ACT107として最終イベントを「異常」と変更する。
【0122】
制御部47は、ACT106又はACT107の処理を終えると、ACT108へと進む。制御部47は、ACT108として当該個品管理データが登録された個品管理ファイル462の管理終了フラグを“1”にセットする。
【0123】
他方、最終イベントが「回収」である場合には、制御部47は、ACT103においてYESと判定し、ACT108へと進む。制御部47は、ACT108として当該個品管理データが登録された個品管理ファイル462の管理終了フラグを“1”にセットする。
【0124】
以上で、制御部47は、最終イベント判定処理を終了する。最終イベント判定処理が終了すると、制御部47は、
図15で示す手順の情報処理を終了する。
【0125】
このように、個品管理装置40は、制御部47がACT82乃至ACT84の処理を実行することにより、移動検出手段により移動が検出された商品の移動に係る人物を特定する人物特定手段として機能する。詳しくは、制御部47は、動線追跡手段により追跡する各人物の動線に基づき、商品の移動に係る人物を特定する。より詳しくは、制御部は、各人物の動線の中から、商品の移動が検出された時刻に、その移動が検出された地点で静止状態にある動線の人物を特定する。
【0126】
また個品管理装置40は、制御部47がACT85乃至ACT93の処理を実行することにより、移動検出手段により検出された移動に伴うイベントを決定するイベント決定手段として機能する。詳しくは、制御部47は、人物特定手段により特定された人物の属性に基づきイベントを決定する。より詳しくは、制御部47は、人物特定手段により特定された人物の属性と、移動検出手段により移動が検出される商品の移動方向とに基づきイベントを決定する。
【0127】
さらに個品管理装置40は、制御部47が記憶部46と協働してACT67乃至ACT72の処理を実行することにより、個々の商品について、日時取得手段により取得した日時と人物特定手段により当該日時に検出された移動に係るとして特定した人物の情報とを関連付けた個品管理データを記憶する記憶手段として機能する。詳しくは、制御部47は、個々の商品について、上述した日時及び人物の情報に、イベント決定手段により決定されたイベントの情報を関連付けた個品管理データを記憶する。より詳しくは、制御部47は、個々の商品について、上述した日時及び人物の情報と関連付けて、位置取得手段により取得した位置の情報、すなわち区画IDを関連付けた個品管理データを記憶する。
【0128】
そして個品管理装置40は、商品の個品毎に作成される個品管理ファイル462に、当該個品に係る個品管理データを時系列に登録する。個品管理データは、上述したように、商品が移動した日時と、その移動に係るとして特定された人物の情報とを関連付けたものである。したがって、個品管理データをコンピュータで解析することによって、個品毎に商品棚80に置かれた時刻、あるいは商品棚から取り出された時刻と、その移動に関わった人物の情報とを容易に得ることができる。これらの情報から、個々の商品について、人物が手に取った履歴が有るか否か、履歴がある場合には何回手に取られたか、さらには手に取った人物が買物客なのか店員なのかというような分析を容易に行うことができる。
【0129】
また、時刻及び人物の情報と関連付けて記憶されたイベントの情報により、商品の移動に係る事象を把握することができる。具体的には、店員が商品棚80に商品を品出しした場合には、「品出し」というイベントが個品管理データに含まれる。店員が商品棚80から商品を回収した場合には、「回収」というイベントが個品管理データに含まれる。買物客が商品棚から商品を取り上げた場合には、「取上げ」というイベントが個品管理データに含まれる。買物客が一旦取り上げた商品を商品棚に戻した場合には、「戻し」というイベントが個品管理データに含まれる。したがって、イベントの情報から、そのイベントに係る商品の移動が品出しに係る移動なのか、回収に係る移動なのか、取上げに係る移動なのか、戻しに係る移動なのかを容易に知ることができる。
【0130】
さらに、時刻及び人物の情報と関連付けて記憶された位置の情報により、商品の移動が発生した場所、つまりは商品棚80の区画を把握することができる。したがって、買物客が取り上げた商品を戻した際に元の場所とは違う場所に戻すことがあるが、いつそのような事象が発生したのかを容易に把握することができる。
【0131】
また個品管理装置40は、個品管理ファイル462に最後に登録された個品管理データのイベント、つまりは最終イベントが「取上げ」であった場合には、その個品管理データによって管理される商品が買物客によって購入されたか否かを、取引処理装置30で管理される取引ファイル381の情報から判断する。そして購入されている場合には、個品管理装置40は最終イベントを「購入」とする。しかし、購入されていない場合には、個品管理装置40は最終イベントを「異常」とする。したがって、個品管理ファイル462に最後に登録された個品管理データのイベントを検証することにより、個品が万引きされたか否かを容易に認定することができる。
【0132】
以上、店舗システム100の実施形態について説明したが、かかる実施形態はこれに限定されるものではない。
前記実施形態では、ユーザ端末70を用いたセルフ登録方式の店舗に構築される店舗システム100を例示した。店舗システム100は、必ずしもユーザ端末70を用いたセルフ登録方式の店舗におけるシステムに限定されない。例えば、買物客が購入する商品を、レジ等と称される会計場にて、店員又はセルフによりPOS(Point Of Sales)端末に登録する方式の店舗においても、POS端末への登録の際に商品に付された無線タグを一括して読み取る機能を有することによって、実施形態と同様な効果を奏し得る。
【0133】
前記実施形態では、各商品には商品コードを表すバーコードが付されていることを前提とした。しかし、生鮮食品等の一部の商品には、バーコードが付されていない場合もあり得る。そのような場合には、例えばユーザ端末70にバーコード無し商品のリストを表示する機能を設け、そのリストの中から商品が選択されると、ユーザ端末70から取引処理装置に選択された商品の情報が送信されて、登録処理されるようにすればよい。
【0134】
前記実施形態では、個品データベース52に個品データを一括保存する場合を例示した。他の実施形態としては、各個品にそれぞれ付される無線タグに、個品IDとしてのRFID以外に商品コード等の個品データベース52に設定されるデータを記憶するようにする。そうすることにより、個品データベース52を不要にできる。
【0135】
前記実施形態では、人物の属性を買物客と店員とした。例えば買物客については、性別、年代等の客層を属性に含めてもよい。このような属性は、例えば買物客を撮影した画像の分析により得ることができる。また、店員に関しては、例えば店舗責任者、正社員、アルバイト等の雇用形態を属性に含めてもよい。このような属性は、例えば各店員が所持するネームプレートから発せられるビーコン信号に雇用形態の識別情報を含め、このビーコン信号の受信器を商品棚に設けることによって得ることができる。
【0136】
前記実施形態では、対峙者検出部21が任意の対峙者IDを生成した。この点に関しては、対峙者検出部21が、対峙者を検出してから所定の時間内に、対峙位置座標と一致する位置座標において静止状態となった人物動線データを含む動線ファイル151の人物IDを対峙者IDとしてもよい。
【0137】
前記実施形態では、動線追跡手段としての機能を人物追跡装置10が有し、移動検出手段、日時取得手段及び位置取得手段としての機能を棚監視装置20が有し、人物特定手段、記憶手段及びイベント決定手段としての機能を個品管理装置40が有する店舗システム100を例示した。例えば、移動検出手段としての機能と、日時取得手段としての機能と、人物特定手段としての機能と、記憶手段としての機能を、1つのコンピュータ装置によって実現させるようにしてもよい。言い換えれば、1つのコンピュータを、移動検出手段、日時取得手段、人物特定手段及び記憶手段として機能させることができるプログラムを提供することによって、前記実施形態と同様な効果を奏し得る店舗システムを得ることができる。
【0138】
さらには、上述した1つのコンピュータ装置に、イベント決定手段としての機能を有してもよい。あるいは、位置取得手段、さらには動線追跡手段としての機能を有するようにしてもよい。
【0139】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
10…人物追跡装置、11…人物検出部、12…追跡部、13,24,35,44…時計部、14,25,45…通信部、15,26,37,46…記憶部、16,27,38,47…制御部、20…棚監視装置、21…対峙者検出部、22…移動検出部、23…個品認識部、30…取引処理装置、31…登録処理部、32…返品処理部、33…個品認識部、34…決済処理部、36…第1通信部、37…第2通信部、40…個品管理装置、41…個品移動取得部、42…人物動線取得部、43…購買商品取得部、50…データベースサーバ、51…商品データベース、52…個品データベース、60…通信ネットワーク、70…ユーザ端末70…商品棚、91,93…カメラセンサ、92…重量センサ、94…無線タグリーダ、95…アンテナ、151…動線ファイル、261…対峙者ファイル、381…取引ファイル、461…移動履歴テーブル、462…個品管理ファイル。