IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルストム トランスポート テクノロジーズの特許一覧

特開2022-14451車両の電源回路、関連する駆動ラインおよび車両
<>
  • 特開-車両の電源回路、関連する駆動ラインおよび車両 図1
  • 特開-車両の電源回路、関連する駆動ラインおよび車両 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014451
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】車両の電源回路、関連する駆動ラインおよび車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220112BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H02M7/48 M
B60L9/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021111460
(22)【出願日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】2007146
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】313011906
【氏名又は名称】アルストム トランスポート テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィザル・アル・カヤル
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ-エメ・ブンチャ-チャナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー・ブー・サアーダ
【テーマコード(参考)】
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125AC02
5H125BA04
5H125BB00
5H125FF03
5H770BA03
5H770DA03
5H770JA17W
5H770KA01W
5H770LA02W
5H770LA02X
5H770LA05W
5H770LA05X
5H770LB08
(57)【要約】
【課題】実装が簡易でコンパクトな駆動ラインの変換器の保護装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、車両の電源回路(14)であって、
- 直流電源信号を受け取るために電源(16)に接続するようにされた接続器(20)と、
- 受け取った直流電源信号を濾波して濾波済み直流電源信号を得るのに適したフィルタ(22)と、
- 濾波済み直流電源信号を少なくとも1つの駆動用電動機(12)に供給するための交流電源信号に変換するのに適したインバータ(24)と
を備える電源回路(14)において、
接続器(20)とフィルタ(22)との間に接続された電源回路(14)の保護装置(26)であって、厳密に2電子ボルト超のギャップエネルギーを有する材料で製作された接合型電界効果トランジスタ(40)を含む保護装置(26)を備えることを特徴とする、電源回路(14)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源(16)から発する、車両、特に鉄道車両の電源回路(14)であって、
- 直流電源信号を受け取るために前記電源(16)に接続するようにされた接続器(20)と、
- 前記接続器(20)で受け取った前記直流電源信号を濾波して濾波済み直流電源信号を得るのに適したフィルタ(22)と、
- 前記濾波済み直流電源信号を少なくとも1つの駆動用電動機(12)に供給するための交流電源信号に変換するのに適したインバータ(24)と
を備える電源回路(14)において、
前記接続器(20)と前記フィルタ(22)との間に接続された前記電源回路(14)の保護装置(26)であって、厳密に2電子ボルト超、好ましくは3電子ボルト超のギャップエネルギーを有する材料で製作された接合型電界効果トランジスタ(40)を含む保護装置(26)を備え、前記接合型電界効果トランジスタ(40)が前記保護装置(26)における唯一のトランジスタであることを特徴とする、電源回路。
【請求項2】
前記接合型電界効果トランジスタ(40)の前記材料が、炭化ケイ素および窒化ガリウムの中から選ばれる、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記接合型電界効果トランジスタ(40)が、常閉型である、請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記保護装置(26)が、前記電界効果トランジスタ(40)と逆並列に接続されたダイオード(42)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項5】
前記保護装置(26)が、前記電界効果トランジスタ(40)と前記フィルタ(22)との間に前記フィルタ(22)と並列に接続されたダイオード(44)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項6】
前記接続器(20)と前記保護装置(26)との間に接続された入力接触器(28)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項7】
前記接続器(20)が、パンタグラフである、請求項1から6のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項8】
車両の、特に鉄道車両の駆動ライン(10)であって、駆動用電動機(12)と、請求項1から7のいずれか一項に記載の電源回路(14)とを少なくとも備える駆動ライン。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動ライン(10)を少なくとも備える車両、特に鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の、特に鉄道車両の電源回路に関する。本発明は、関連する駆動ライン、および関連する車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両においては、短絡時に車両の機器(電力変換器、駆動用インバータ)をカテナリー吊下式架線から保護し、切り離す必要がある。
【0003】
そこで、機械式高速電流遮断器(HSBC、すなわち英語で「High Speed Current Breaker」)を備える保護装置をプレロード回路に関連して使用することが知られている。
【0004】
しかし、そうした機械式遮断器は高価であり、かさばりもする。また、反応時間にも制約がある。その制約により、短絡時または過電圧時に遮断される電流はピークで非常に高い値となり、駆動用インバータまたは補助変換器の入力フィルタの過度な拡充(surdimensionner)が求められることになる。さらに、保護装置の構成要素のことを考えると、短絡電流をインバータの入力レベルで遮断できるように、入力フィルタのインダクタは鉄心インダクタではなく、空心インダクタであることが好ましい。ただ、空心インダクタは、鉄心インダクタと比べてかなりかさばる。
【0005】
短絡電流を阻止するものとして、超高速機械式開閉器とIGBTトランジスタを含む保護装置も知られている。この解決法の原理は、主電流を電圧定格の低い(したがって伝導損失の少ない)IGBTを含む第1の分岐に通すというものである。故障時には、IGBTは超高速機械式開閉器によって切り離され、次いで電流は、IGBTおよびバリスタを含む第1の分岐と並列の第2の分岐で切断される。このような解決策は、短絡電流の素早い切断を可能にする。一方で、超高速機械式開閉器と2つの分岐を用いるために、実装が複雑かつ高価なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、実装が簡易でコンパクトな駆動ラインの変換器の保護装置に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本明細書は、電源から発する、車両、特に鉄道車両の電源回路であって、
- 直流電源信号を受け取るために電源に接続するようにされた接続器と、
- 接続器で受け取った直流電源信号を濾波して濾波済み直流電源信号を得るのに適したフィルタと、
- 濾波済み直流電源信号を少なくとも1つの駆動用電動機に供給するための交流電源信号に変換するのに適したインバータと
を備える電源回路において、
接続器とフィルタとの間に接続された電源回路の保護装置であって、厳密に2電子ボルト超、好ましくは3電子ボルト超のギャップエネルギーを有する材料で製作された接合型電界効果トランジスタを含む保護装置を備え、接合型電界効果トランジスタが保護装置における唯一のトランジスタであることを特徴とする、電源回路を対象とする。
【0008】
本発明のそれ以外の有利な態様によれば、電源回路は、以下の1以上の特徴を独立して、または技術的に可能なあらゆる組合せで備える。
- 接合型電界効果トランジスタの材料は、炭化ケイ素および窒化ガリウムの中から選ばれる。
- 接合型電界効果トランジスタは、常閉型である。
- 保護装置は、電界効果トランジスタと逆並列に接続されたダイオードを備える。
- 保護装置は、電界効果トランジスタとフィルタとの間にフィルタと並列に接続されたダイオードを備える。
- 電源回路は、接続器と保護装置との間に接続された入力接触器を備える。
- 接続器は、パンタグラフである。
【0009】
本明細書は、車両の、特に鉄道車両の駆動ラインであって、駆動用電動機と、前述のような電源回路とを少なくとも備える駆動ラインにも関する。
【0010】
本明細書は、また、前述のような駆動ラインを少なくとも備える車両、特に鉄道車両に関する。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の図面を参照しながら、もっぱら例としてのみ行う本発明の実施形態に関する説明を読むことによって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電源回路の保護装置を具備した本発明による電源回路を備えた車両の、特に鉄道車両の駆動ラインの一例を示した概略図である。
図2図1の電源回路のフィルタのコイルを流れる電流の強さの変化および電源回路の保護装置のトランジスタの端子間の電圧の変化の一例を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に鉄道車両の駆動ライン10を示す。鉄道車両はたとえば、列車、路面電車またはトラム=トレインである。
【0014】
駆動ラインは、1以上の駆動用電動機12と、電源16から発する、駆動用電動機12のための1つの電源回路14とを備える。
【0015】
図1には2つの駆動用電動機12が示されている。駆動用電動機12は、たとえば交流(AC)モータである。
【0016】
図1に示す例では、電源16は、直流(DC)電源信号を供給するカテナリー吊下式架線である。変形形態では、電源16は、ディーゼル機関のような熱機関、またはその他あらゆる電源であることができる。電源16が機関である場合は、その機関は車両に搭載される。
【0017】
電源回路14は、接続器20、フィルタ22、インバータ24および保護装置26を備える。有利には、電源回路14は、入力接触器28をさらに備える。
【0018】
接続器20は、電源16に接続して直流電源信号を受け取るためのものである。図1に示す例では、接続器20は、パンタグラフである。
【0019】
フィルタ22は、保護装置26とインバータ24との間に接続される。
【0020】
フィルタ22は、接続器20によって取り込まれてインバータ24に届く電源信号を濾波して、濾波済みの直流電源信号を得るのに適する。そうすることで、取り込まれた電源信号中の高調波を減らす、さらには除去することができる。
【0021】
図1に示された例では、フィルタ22は、コンデンサ30およびコイル32を備える。コンデンサ30は、電源信号の電圧の濾波を行うのに適する。コイル32は、電源信号の電流の濾波を行うのに適する。
【0022】
この例では、コンデンサ30は、インバータ24と並列に接続されている。そのため、コンデンサ30の端子の1つは、コイル32の端子の1つとインバータ24の端子の1つとの間に接続される。コンデンサ30のもう1つの端子は、インバータ24のもう1つの端子とアースとに接続される。コイル32の一方の端子は保護装置26の1つの端子に、コイル32のもう一方の端子はコンデンサ30に(アースに接続されていない端子によって)接続される。
【0023】
インバータ24は、フィルタ22の出力に接続される。インバータ24は、フィルタ22の出力の濾波済み直流電源信号を、駆動用電動機12への給電が可能な交流信号に変換するのに適する。
【0024】
インバータ24は、たとえば少なくとも1つの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を、有利には4象限構成の複数のIGBTを備える。
【0025】
保護装置26は、接続器20とフィルタ22との間に接続される。
【0026】
保護装置26は、接合型電界効果トランジスタ40を備える。用語「接合型電界効果トランジスタ」(英語の「Junction Field Effect Transistor」の頭文字を取ってJFET)とは、ゲートがチャネルと直に接触する電界効果トランジスタをいう。
【0027】
図1に示した例では、保護装置26は、第1のダイオード42と第2のダイオード44をさらに備えている。
【0028】
保護装置26は、それらのダイオード42、44を除けば、ほかに半導体素子、特にIGBTや機械式開閉器は一切含まない。そのため、接合型電界効果トランジスタ40は、保護装置26における唯一のトランジスタである。
【0029】
図1に示す例では、接合型電界効果トランジスタ40は、接続器20に(ここでは接触器28を介して)接続されたドレインDと、フィルタ22(特にコイル32)に接続されたソースSと、ソースSに接続されたゲートGとを備えている。
【0030】
有利には、電界効果トランジスタ40は、ギャップの大きな材料で製作される。その材料は、典型的には、厳密に2電子ボルト超、好ましくは3電子ボルト超のギャップエネルギーを有する。このような材料は導電状態での抵抗が小さく、高い電圧、典型的には数キロボルトを超える電圧に耐えることができる。
【0031】
有利には、電界効果トランジスタ40の材料は、炭化ケイ素および窒化ガリウムまたはエネルギーギャップの大きいその他の材料の中から選ばれる。
【0032】
有利には、電界効果トランジスタ40は、常閉(英語で「Normally ON」)型である。接合型電界効果トランジスタは、ゲートとソースとの間の制御電圧がゼロに近いとき、常閉型であるという。これは、制御電圧がないときにドレイン/ソース間の通り道が導電性であることを意味する。反対に、ゲートとソースとの間に制御電圧がないときにドレイン/ソース間の通り道の導通性がない場合、接合型電界効果トランジスタは、常開(英語で「Normally OFF」)型という。常閉型のJFETトランジスタは、スイッチング動作がより素早く、導電状態での導通損失が小さく(導電状態での抵抗が小さい)、耐温度性に優れるほか、MOSFETやIGBTなど、他のトランジスタと比べてサイズも小さい。
【0033】
第1のダイオード42は、電界効果トランジスタ40と逆並列に接続される。すなわち、第1のダイオード42のカソードはトランジスタ40のドレインDに接続され、第1のダイオード42のアノードはトランジスタ40のソースSに接続される。
【0034】
第1のダイオード42は、JFETトランジスタ40を保護するのに適する。実際、入力側で短絡が発生した場合、第1のダイオード42がなければ、JFETトランジスタ40は、その損傷を引き起こす可能性のある負電圧を端子間に受けることになる。
【0035】
第2のダイオード44は任意選択である。第2のダイオード44は、電界効果トランジスタ40とフィルタ22との間に、フィルタ22と並列に接続される。特に、第2のダイオード44のカソードはJFETトランジスタ40のソースに接続され、第2のダイオード44のアノードはアースに接続される。
【0036】
第2のダイオード44は、JFETトランジスタ40の開放時の過電圧を抑えるのに適する。実際、JFETトランジスタ40の開放時には、JFETの入力インダクタは、還流ダイオードとして機能する第2のダイオード44から切り離される。
【0037】
入力接触器28は、接続器20と保護装置26との間に接続される。入力接触器28は、電気または空圧による操作によって、電流の流れを通すか、または止めるかするのに適した電磁構成要素である。
【0038】
図1に示された駆動ラインの動作について説明する。そのため、フィルタ22のコイル32(したがってJFETトランジスタ40)の電流の強さIおよびJFETトランジスタ40の端子電圧VJFETを表した図2を参照する。
【0039】
動作時、かつ短絡がない場合(図2のフェーズA)には、保護装置26のJFETトランジスタ40は導電状態にあり、入力接触器28(もしあれば)もまた導電状態にある。そのため、接続器20によって取り込まれた直流電源信号は、フィルタ22に送られて濾波され、次いでインバータ24に送られてそこで交流電源信号に変換されることで、駆動用電動機12への給電が可能となる。コイル32における電流の強さIは一定であり、JFETトランジスタ40の端子における電圧VJFETも同様である。
【0040】
短絡が、たとえばインバータ24レベルまたはフィルタ22のコンデンサ30レベルで発生すると、それはJFETトランジスタ40の挙動に影響を及ぼす。
【0041】
特に、第1のフェーズ(図2のフェーズB)では、コイル32内の電流の強さIが大幅に上昇する(上昇速度はコイル32のインダクタンスによって決まる)。その結果、JFETトランジスタ40の端子電圧VJFETもまた増大する。このフェーズにおける強さIの増大は、導電状態のJFETトランジスタ40の抵抗が小さいことによって可能となる。ともかくも、強さIの増大は、JFETトランジスタ40のジャンクション温度Tを上昇させる。
【0042】
JFETトランジスタ40のジャンクション温度Tが閾値を超えると、JFETトランジスタ40の抵抗は急速に増大する。そのため、電流の強さIは低下し、JFETトランジスタ40の端子電圧VJFETは、電源回路14の入力電圧の値Eに達するところまで増大する(図2のフェーズC)。
【0043】
一定の時間(数百ミリ秒)が経過すると、制限された電流Iは、場合により、JFETトランジスタ40自体によって、または入力接触器28によって切断される(図2のフェーズD)。この切断は、場合によって弱い過電圧を発生させることがあるが、電流はすでに非常に限定されたものとなっていることから、その過電圧は通常の切断と比べてごくわずかである。
【0044】
保護装置26は、入力過電圧による電流を制限することもできる。そこで、保護装置26におけるJFETトランジスタ40の利用により、カテナリー吊下式架線の過電圧時に入力電流(Iin)を自動的に低減することができる。それにより、カテナリー吊下式架線の過電圧(Vin)の影響は、JFETトランジスタ40を備えるインバータのバス電圧に対してはさらに小さなものとなる。
【0045】
そのため、保護装置26におけるJFETトランジスタ40の利用は、非常に迅速な電流の遮断を可能にし、それによって、駆動ラインの変換器をカテナリー吊下式架線からきわめて迅速に、かつ非常に優れた性能で切り離すことができる。こうした保護装置26は、カテナリー吊下式架線の過電圧から変換器を守ることもできる。
【0046】
また、保護装置26は、電流センサなしで済ませることもできる。実際、JFETトランジスタ40の端子で電圧降下を測定することによってリアルタイムで電流を判定することが可能である。
【0047】
さらに、JFETトランジスタ40による電流制限は自動的に行われ、トランジスタ40に対しては何ら操作が送られることもない。JFETトランジスタ40によるこうした電流制限を引き起こすのは、閾値を超える温度の上昇である。JFETトランジスタは、アルミニウム製接続部の溶融温度に当たる600℃を超えるような非常に高いジャンクション温度に耐えられることに留意する必要がある。このことは、故障時にはJFETトランジスタは回路が開いた状態で破損し、インバータが自動的かつ電気的にカテナリー吊下式架線から切り離されるということを意味する。安全上の観点からこれはきわめて好都合である。
【0048】
このように、JFETトランジスタ40の使用は、機械式遮断器やプレロード回路を不要とするとともに、カテナリー吊下式架線の過電圧を吸収するためのフィルタ22の構成要素の過度な拡充を回避することができる。その他、その使用は、空心インダクタに代えて鉄心インダクタを使用することも可能にする。
【0049】
従来型の機械式遮断器と比較した場合、1500Vの鉄道用途では、JFETによる保護装置26は、コスト的にもサイズ的にも少なくとも20%~30%の利得が可能であることが計算によって示された。
【0050】
炭化ケイ素および窒化ガリウム製JFETトランジスタの使用により、不飽和電圧とも呼ばれる高電圧をその端子間で持ちこたえるのに適した電流制限要素を手に入れることができる。
【0051】
このように、本出願で説明した保護装置26は、簡易に実装することができ、占有体積も少ないものでありながら、駆動ラインの変換器を効率的かつ迅速に保護することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 駆動ライン、12 駆動用電動機、14 電源回路、16 電源、20 接続器、22 フィルタ、24 インバータ、26 保護装置、28 入力接触器、30 コンデンサ、32 コイル、40 接合型電界効果トランジスタ、42 第1のダイオード、44 第2のダイオード
図1
図2
【外国語明細書】